JP3798855B2 - 信号切換えスイッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は信号切換えスイッチに関する。例えば、本発明は、携帯電話の送受信切り換え等に使用される高周波用の信号切換えスイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は、従来の携帯電話の送受信切り換え等に使用される信号切換えスイッチ1を示す回路図である。一般に、この種の回路はSPDT(Single-Pole-Dual-Throw)スイッチと呼ばれている。
【0003】
このSPDTスイッチは、入出力端子として、送受信共用アンテナが接続されるANT端子(図では、ANTで示す)と、送信用電力増幅器が接続されるTX端子(図では、TXで示す)と、受信用低雑音増幅器が接続されるRX端子(図では、RXで示す)とを備えている。
【0004】
この信号切換えスイッチ1は4つのスイッチング用半導体素子(以下、スイッチング用素子という)Q1〜Q4を有しており、スイッチング用素子としてGaAs MESFET(GaAs Metal-Semiconductor FET)が用いられている。ANT端子−RX端子間には、スイッチング用素子Q1のソース・ドレインが直列に接続され、RX端子−グランド(以下、GNDと記す)間には、スイッチング用素子Q2のソース・ドレインが直列に接続され、ANT端子−TX端子間には、スイッチング用素子Q3のソース・ドレインが直列に接続され、TX端子−GND間には、スイッチング用素子Q4のソース・ドレインが直列に接続されている。
【0005】
各スイッチング用素子Q1〜Q4のゲートは、それぞれ抵抗R1〜R4を介して制御電圧端子に接続されている。V1〜V4は制御電圧端子を介して各スイッチング用素子Q1〜Q4のゲートに印加されている制御電圧(ゲートバイアスVGB)である。各スイッチング用素子Q1〜Q4は、ゲートにピンチオフ電圧VP以上の電圧VONを印加する(V1〜V4≧VON)ことによりON(導通)状態となり、逆に、ゲートにピンチオフ電圧VP以下の電圧VOFFを印加する(V1〜V4≦VOFF)ことによりOFF(遮断)状態となる。
【0006】
しかして、信号切換えスイッチ1を通して送信する場合には、スイッチング用素子Q1,Q4の制御電圧V1,V4をVOFFにし、スイッチング用素子Q2,Q3の制御電圧V2,V3をVONにすると、ANT端子−RX端子間がOFFとなり、ANT端子−TX端子間がONとなり、送信側の電力増幅器からアンテナに送信信号が出力される。
【0007】
また、信号切換えスイッチ1を通して受信する場合には、スイッチング用素子Q2,Q3の制御電圧V2,V3をVOFFにし,スイッチング用素子Q1,Q4の制御電圧V1,V4をVONにすると、ANT端子−TX端子間はOFFとなり、ANT端子−RX端子間はONとなり、アンテナから受信側の低雑音増幅器に受信信号が入力される。
【0008】
RX端子−GND間のスイッチング用素子Q2は、スイッチング用素子Q1がOFF状態となっている場合にON状態となり、OFF状態にあるスイッチング用素子Q1のOFF容量を通してRX端子側に漏れてきた信号電力をGNDに落とすことにより、RX端子のアイソレーション特性を高める効果がある。同様に、TX端子−GND間のスイッチング用素子Q4は、スイッチング用素子Q3がOFF状態となっている場合にON状態となり、OFF状態にあるスイッチング用素子Q3のOFF容量を通してTX端子側に漏れてきた信号電力をGNDに落とすことにより、TX端子のアイソレーション特性を高める効果がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図2は上記スイッチング用素子(GaAs MESFET)Q1〜Q4の特性を表わし、さらに、OFF状態のスイッチング用素子とON状態のスイッチング用素子のゲート・ソース間に加わっている信号電圧波形を表わす図であって、横軸はゲート・ソース間電圧VGS、縦軸はドレイン電流IDSを示している。なお、IDSSはゲート・ソース間電圧VGS=0Vのときの飽和ドレイン電流、IFmaxはゲート・ソース間電圧印加時の飽和ドレイン電流、VTHはゲート順方向電流の立ち上がり電圧、VPはピンチオフ電圧、VBはゲート逆方向耐圧である。
【0010】
図2に示すように、従来の高周波用信号切換えスイッチ1においては、ANT端子とRX端子又はTX端子の間を伝搬する信号電圧ΔVGSが各スイッチング用素子Q1〜Q4のゲートバイアスVGB=V1〜V4(すなわち、制御電圧VON又はVOFF)を中心としてゲート・ソース間電圧VGSに重畳されるので、送信時にTX端子から大電力の信号が入力された場合、ゲート・ソース間電圧VGSがスイッチング用素子Q1〜Q4のピンチオフ電圧VPに達する。このとき、送信時にはON状態であるはずのスイッチング用素子Q3は、ゲート・ソース間電圧VGS(=VON+ΔVGS)がピンチオフ電圧VP以下となる毎に一時的にOFF状態となるので、送信電力波形がクリッピングされて波形歪が生じる。
【0011】
また、TX端子から大電力の信号が入力された場合には、OFF状態であるはずのスイッチング用素子Q1は、ゲート・ソース間電圧VGS(=VOFF+ΔVGS)がピンチオフ電圧VP以上となる毎に一時的にON状態となるので、送信電力の一部がRX端子へ漏れ、RX端子のアイソレーションが悪化する。
【0012】
さらに、TX端子から大電力の信号が入力された場合には、OFF状態であるはずのスイッチング用素子Q4は、ゲート・ソース間電圧VGSがピンチオフ電圧VP以上となる毎に一時的にONとなるので、送信電力の一部がGNDに落ち、挿入損失が増加する。
【0013】
この結果、従来の信号切換えスイッチにおいては、大きな電圧の信号による性能劣化により、線形最大伝送可能電力が制限されていた。
【0014】
しかし、信号切換えスイッチの用途によっては低電圧動作を特に要求されない場合もあり、そのような場合にはピンチオフ電圧VPや制御電圧VON,VOFFを、上記の電圧的な制限からくるスイッチ性能の劣化が生じないよう、十分余裕を持って設定することが可能である。すなわち、VON−VP,VP−VOFFを十分に大きくすることにより、上記のようなスイッチ性能の劣化を防止できる。
【0015】
このように電圧的な制限が問題とならない場合には、信号切換えスイッチ1の線形最大伝送可能電力は、電流的な制限から決まる。すなわち、信号切換えスイッチ1を伝搬する電流IDSがスイッチング用素子Q1〜Q4のドレイン電流飽和領域に達すると、送信電力波形がクリッピングされるため歪が生じ、このスイッチ性能の劣化が信号切換えスイッチ1の線形最大伝送可能電力を制限することになる。これは、スイッチング用素子Q1〜Q4の飽和ドレイン電流IDSS(又は、IFmax)で決まり、線形最大伝送可能電力を増加させるには、スイッチング用素子Q1〜Q4の飽和ドレイン電流IDSSを十分大きく設定することが必要になる。
【0016】
しかしながら、スイッチング用素子Q1〜Q4の飽和ドレイン電流IDSSを大きくするには、スイッチング用素子Q1〜Q4の活性層のキャリア密度等の内部構造が決定している場合、一般にゲート幅Wgを増やす方法が採られる。しかし、ゲート幅Wgを大きくするとスイッチング用素子Q1〜Q4の面積が増大することからチップ面積が増大し、コストが増加するという問題が生じる。また、スイッチング用素子Q1〜Q4のゲートは断線等のプロセス不良が生じやすいため、ゲート幅Wgが増大すると歩留りが低下するという問題が生じる。
【0017】
本発明は叙上の従来例の欠点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スイッチング用の半導体素子における電流的な制限を緩和することにより、線形最大伝送可能電力を向上させることにある。
【0018】
【発明の開示】
請求項1に記載の信号切換えスイッチは、半導体素子がスイッチング素子として用いられたスイッチ回路と、複数の入出力端子とを備え、スイッチ回路によって各入出力端子を互いに接続したり、切り離したりするための信号切換えスイッチにおいて、前記入出力端子と前記スイッチ回路との間にインピーダンス変換回路を設け、スイッチ回路からインピーダンス変換回路をみたインピーダンスを、入出力端子から外部回路をみたインピーダンスより大きくしたことを特徴としている。ここで、入出力端子とは、入力端子、出力端子もしくは入出力共用端子をさす。
【0019】
請求項1に記載の信号切換えスイッチにあっては、スイッチ回路からインピーダンス変換回路をみたインピーダンスが、入出力端子から外部回路をみたインピーダンスより大きくなっているので、インピーダンス変換回路を設けたことにより、スイッチ回路内部を伝搬する信号電力の電流波の振幅が小さくなる。
【0020】
よって、スイッチ回路に用いられているスイッチング用の半導体素子に要求される電流容量、例えば飽和ドレイン電流の制限を緩和することができ、信号切換えスイッチにおける線形最大伝送可能電力を向上させることができる。
【0021】
すなわち、飽和ドレイン電流を大きくすることなく、つまりスイッチング用の半導体素子のゲート幅を大きくすることなく、信号電流を小さくすることによって線形最大伝送可能電力を向上させることができる。
【0022】
線形最大伝送可能電力を向上させるためにゲート幅を大きくする必要がないので、チップ面積が大きくならず、コストの増大という問題も生じない。さらに、ゲート幅が大きくならないので、断線の恐れも増加せず、信号切換えスイッチの歩留りが低下することもない。
【0023】
請求項2に記載の実施態様は、請求項1記載の信号切換えスイッチにおいて、前記インピーダンス変換回路が、前記スイッチ回路が形成された半導体集積回路のボンディングワイヤもしくはリードのインダクタンスと、前記半導体集積回路のストレーキャパシタンスとを用いたものであることを特徴としている。
【0024】
請求項2に記載の実施態様にあっては、スイッチ回路が形成されている半導体集積回路のボンディングワイヤもしくはリードのインダクタンスとストレーキャパシタンスをインピーダンス変換回路に利用しているので、信号切換えスイッチの構成部品点数を削減することができる。また、スイッチ回路及びインピーダンス変換回路を構成された半導体集積回路のチップ面積を小さくすることができる。
【0025】
従って、信号切換えスイッチを小型化することができると共に製造コストも安価にすることができる。
【0026】
請求項3に記載の実施態様は、請求項1又は2記載の信号切換えスイッチにおいて、前記インピーダンス変換回路が、誘電体多層基板内に形成されたインダクタンス、キャパシタンス及び伝送線路から構成されていることを特徴としている。
【0027】
このように、インピーダンス変換回路を構成するインダクタンス、キャパシタンス及びボンディングワイヤを誘電体多層基板内に積層することにより、インピーダンス変換回路を小面積に形成することができ、信号切換えスイッチの小型化を図ることができる。
【0028】
また、請求項3に記載の実施態様によれば、インピーダンスのQ値を下げることができ、広帯域なインピーダンス変換が実現できる。よって、広帯域にわたって信号切換えスイッチの性能を向上させることができる。
【0029】
請求項4に記載の実施態様は、請求項1〜3記載の信号切換えスイッチにおいて、前記インピーダンス変換回路が、単一正電源動作用の直流カット用キャパシタンスと高周波チョーク用インダクタンスとを含んでいることを特徴としている。
【0030】
この実施態様によれば、単一正電源動作用の高周波チョーク用インダクタンス及び直流カット用キャパシタンスをインピーダンス変換回路の一部として利用しているので、信号切換えスイッチの素子数を削減でき、半導体集積回路として構成する場合にはチップ面積を減少させることができる。従って、製造コストの削減を図ることができる。
【0031】
請求項5に記載の実施態様は、請求項1〜4に記載の信号切換えスイッチにおいて、前記入出力端子から各インピーダンス変換回路をみたインピーダンスが前記各外部回路の要求する最適インピーダンスにほぼ等しくなっていることを特徴としている。
【0032】
請求項5に記載の実施態様にあっては、インピーダンス変換回路が入出力端子に接続する外部回路との最適インピーダンスによる整合機能を有しているので、入出力端子と外部回路との間に整合回路を設ける必要がなくなる。
【0033】
各入出力端子と外部回路との間に整合回路が不要になるので、信号切換えスイッチの性能を向上させた状態で、通信システム等の全体における変換損失の低減を図ることができる。さらに、素子数を減少させ、半導体集積回路においてはチップ面積を減少させることができるので、信号切換えスイッチの製造コストの削減を図ることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図3は、本発明の一実施形態による信号切換えスイッチ11を示す回路図である。この信号切換えスイッチ11は、スイッチング用素子Q1〜Q4としてGaAs MESFETのような半導体素子を用いたスイッチ回路12と、入出力端子であるANT端子、RX端子及びTX端子と、インピーダンス変換回路M1〜M3とから構成されている。ここで、スイッチ回路12は、従来例として説明した信号切換えスイッチ(SPDTスイッチ)1と同じものであるので、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。インピーダンス変換回路M1はANT端子とスイッチ回路12の間に接続されており、スイッチ回路12からインピーダンス変換回路M1をみたインピーダンスZSWがANT端子から外部回路をみたインピーダンスZ0より大きくなるようにしている。同様に、インピーダンス変換回路M2はRX端子とスイッチ回路12の間に接続され、インピーダンス変換回路M3はTX端子とスイッチ回路12の間に接続されており、いずれもスイッチ回路12からインピーダンス変換回路M2〜M3をみたインピーダンスZSWがRX端子又はTX端子から外部回路をみたインピーダンスZ0より大きくなるようにしている。
【0035】
しかして、この信号切換えスイッチ11にあっては、入出力端子であるANT端子、RX端子及びTX端子とスイッチ回路12の間にそれぞれインピーダンス変換回路M1〜M3を設け、スイッチ回路12からインピーダンス変換回路M1〜M3をみたインピーダンスZSWが、ANT端子、RX端子及びTX端子から外部回路をみたインピーダンスZ0より大きくなるようにしているので、スイッチ回路12内部を伝搬する信号電力の電流波の振幅を小さくすることができる。よって、スイッチング用素子Q1〜Q4としてのMESFETに要求される電流容量、すなわち飽和ドレイン電流IDSSの制限が緩和されるため、MESFETのゲート幅を短くできる。この結果、スイッチング用素子Q1〜Q4のチップ面積の縮小が達成され、チップ面積の縮小によって製造コストが低下し、またゲート幅が短いため製造プロセスによる歩留りが向上する。そして、同じゲート幅のスイッチング用素子Q1〜Q4を用いた信号切換え用スイッチに比べて線形最大伝送可能電力を向上させることができる。
【0036】
なお、本発明は、一般的にいうと、インピーダンス変換回路M1〜M3によりスイッチ回路12の内部のインピーダンスを増加させ、スイッチ回路12に流れる信号の電流振幅を減少させたものである。すなわち、スイッチ回路12のインピーダンスをZSW、スイッチ回路12に流れる電流波の最大振幅をISWとすると、スイッチ回路12を伝送される電力Pは、P=(ISW 2・ZSW)/2で表わされるから、スイッチ回路12に入力される電力がPであるとすると、スイッチ回路12のインピーダンスZSWを大きくすることにより、スイッチ回路12を流れる電流ISWを小さくすることができる。従って、スイッチング用素子Q1〜Q4の電流的な制限から生じるスイッチング性能の劣化を緩和することができる。よって、本実施形態ではスイッチング用素子Q1〜Q4としてGaAs MESFETを例として用いたが、他の半導体素子、例えばPINダイオード等を用いても、許容電流等の電流的な制限を緩和することが可能である(以下の実施形態においても同様)。
【0037】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の別な実施形態による信号切換えスイッチ13を示す回路図である。インピーダンス変換回路M1は、L型接続されたインダクタンスLANTとキャパシタンスCANTからなるL型無損失回路であり、信号の周波数をfとするとき、インダクタンスLANTによるインピーダンスがj(2πf)LANT=j50Ω、キャパシタンスCANTによるインピーダンス−j/(2πfCANT)=−j100Ωとなっている。従って、ANT端子から外部回路をみたインピーダンスがZ0=50Ωのとき、スイッチ回路12からインピーダンス変換回路M1をみたインピーダンスはZSW=100Ωになる。同様に、インピーダンス変換回路M2,M3は、それぞれL型接続されたインダクタンスLRX,LTXとキャパシタンスCRX,CTXとからなるL型無損失回路であり、インダクタンスLRX,LTXによるインピーダンスj(2πf)LRX=j50Ω、j(2πf)LTX=j50Ω、キャパシタンスCRX,CTXによるインピーダンス−j/(2πfCRX)=−j100Ω、−j/(2πfCTX)=−j100Ωとなっている。従って、RX端子又はTX端子から外部回路をみたインピーダンスがZ0=50Ωのとき、スイッチ回路12からRX端子又はTX端子をみたインピーダンスもZSW=100Ωになる。なお、インダクタンスLANT,LRX,LTX、キャパシタンスCANT,CRX,CTXの素子定数は回路を流れる信号の周波数fによって定まり、1.9GHzにおいては、LANT=LRX=LTX=4.188nH、CANT=CRX=CTX=0.838pFとなっている。
【0038】
図5及び図6はそれぞれ、信号切換えスイッチ13にP=360mWの信号電力を入力したときの、入力端子(すなわち、TX端子またはANT端子)、スイッチ回路12の内部、出力端子(すなわち、ANT端子またはRX端子)における電流波形及び電圧波形を示す図である。但し、簡単のため、スイッチ回路12の内部での抵抗損失は0であるとして計算している。入出力端子であるANT端子、RX端子、TX端子はZ0=50Ω系であるから、電圧波の最大振幅は6V[=(2PZ0)1/2]、電流波の最大振幅は120mA[=(2P/Z0)1/2]となっているが、スイッチ回路12の内部ではインピーダンス変換回路M1〜M3によりZSW=100Ω系となっているため、電圧波の最大振幅は8.5V[=(2PZSW)1/2]、電流波の最大振幅は85mA[=(2P/ZSW)1/2]となっている。
【0039】
すなわち、TX端子又はANT端子から信号電力を入力すると、スイッチ回路12を伝搬する電圧波の最大振幅はインピーダンスがZ0=50Ωであると6Vに達するが、インピーダンス変換回路M1〜M3によりインピーダンスがZSW=100Ωになっているため、スイッチ回路12を伝搬する電圧波の最大振幅は8.5Vと√2倍に増加する。そのかわり、電流波の最大振幅は、Z0=50Ωでは120mAであったが、ZSW=100Ωでは85mAと1/√2倍に減少する。
【0040】
従って、ANT端子、RX端子、TX端子とスイッチ回路12の間にインピーダンス変換回路M1〜M3を設け、スイッチ回路12からANT端子、RX端子、TX端子をみたインピーダンスZSWを、ANT端子、RX端子、TX端子から外部回路をみたインピーダンスZ0より大きくなるように設定することで、スイッチ回路12の内部を伝搬する信号電力の電流波の振幅を小さくできる。
【0041】
これによって、スイッチング用素子Q1〜Q4に流れる電流が、その飽和ドレイン電流IDSSに達しにくくなるので、信号切換えスイッチ13に大きな電力を供給できるようになり、線形最大伝送可能電力を大きくすることができる。よって、同一のゲート幅のスイッチング用素子Q1〜Q4を用いた場合と比較して、線形最大伝送可能電力を向上させることができる。
【0042】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の別な実施形態による信号切換えスイッチ14を示す平面図である。この信号切換えスイッチ14においては、スイッチ回路12はIC(半導体集積回路)チップ15上に形成されている。16、17、18はそれぞれ、ICチップ15上に形成されているスイッチ回路12のANT側端子電極、RX側端子電極、TX側端子電極である。スイッチ回路12を形成されたICチップ15は、ダイパッド19上にダイボンドされている。ダイパッド19からは3本のグランド端子20が延出されている。また、ICチップ15を封止しているモールドパッケージ21には、ANT端子となるANTリード22と、RX端子となるRXリード23と、TX端子となるTXリード24の各端部が埋めこまれている。ANTリード22とスイッチ回路12のANT側端子電極16はボンディングワイヤ25により接続されており、RXリード23とスイッチ回路12のRX側端子電極17はボンディングワイヤ26により接続されており、TXリード24とスイッチ回路12のTX側端子電極18はボンディングワイヤ27により接続されている。また、28、29、30はそれぞれANT側端子電極16、RX側端子電極17、TX側端子電極18の近傍に設けられたグランド電極であって、バイアホール31を介してダイパッド19に導通している。スイッチ回路12のANT側端子電極16とグランド電極28はMIMキャパシタ32によって接続されており、スイッチ回路12のRX側端子電極17とグランド電極29はMIMキャパシタ33により接続されており、スイッチ回路12のTX側端子電極18とグランド電極30は、ICチップ15上に形成されたMIMキャパシタ34により接続されている。
【0043】
図8は上記信号切換えスイッチ14の等価回路図である。この信号切換えスイッチ14にあっては、ANT端子、RX端子、TX端子とスイッチ回路12の間に挿入されているインピーダンス変換回路M1〜M3は、いずれもインダクタンスLL1,LL2,LL3とキャパシタンスCS1,CS2,CS3からなるL型回路とインダクタンスLW1,LW2,LW3とキャパシタンスCM1,CM2,CM3からなるL型回路の2段構成となっている。
【0044】
インピーダンス変換回路M1においては、ANTリード22の先端がANT端子となっており、インダクタンスLL1はANTリード22のインダクタンスにより構成され、キャパシタンスCS1はANTリード22とグランド端子20の間のストレーキャパシタンスにより構成され、インダクタンスLW1はボンディングワイヤ25のインダクタンスにより構成され、大容量のキャパシタンスCM1はMIMキャパシタンス32により構成されている。
【0045】
同様に、インピーダンス変換回路M2においては、RXリード23の先端がRX端子となっており、インダクタンスLL2はRXリード23のインダクタンスにより構成され、キャパシタンスCS2はRXリード23とグランド端子20の間のストレーキャパシタンスにより構成され、インダクタンスLW2はボンディングワイヤ26のインダクタンスにより構成され、大容量のキャパシタンスCM2はMIMキャパシタンス33により構成されている。
【0046】
同じく、インピーダンス変換回路M3においては、TXリード24の先端がTX端子となっており、インダクタンスLL3はTXリード24のインダクタンスにより構成され、キャパシタンスCS3はTXリード24とグランド端子20の間のストレーキャパシタンスにより構成され、インダクタンスLW3はボンディングワイヤ27のインダクタンスにより構成され、大容量のキャパシタンスCM3はMIMキャパシタンス34により構成されている。
【0047】
本実施形態によれば、信号切換えスイッチ14をモールドパッケージ21に納める際に問題となる、ANTリード22、RXリード23、TXリード24やボンディングワイヤ25,26,27の各インダクタンスLL1,LL2,LL3やLW1,LW2,LW3、ANTリード22、RXリード23、TXリード24とグランド端子20の間のストレーキャパシタンスCS1,CS2,CS3をインピーダンス変換回路M1〜M3の一部として積極的に利用することができ、ICチップ15のチップ面積を小さくすることが可能となり、信号切換えスイッチ14の性能を向上した状態で、ICチップ15の面積を小さくでき、製造コストを低廉にできる。
【0048】
(第4の実施形態)
図9は、本発明のさらに別な実施形態による信号切換えスイッチ35を示す斜視図、図10はその等価回路図である。この信号切換えスイッチ35にあっては、インピーダンス変換回路M1〜M3が構成された誘電体多層基板36の上面に、スイッチ回路12を形成されたICチップ15が実装され、ICチップ15と誘電体多層基板36とがボンディングワイヤ37により接続されている。
【0049】
インピーダンス変換回路M1〜M3は、図10に示すように、誘電体多層基板36の内部に多段に形成されたインダクタンスLA1,LA2,LA3;LB1,LB2,LB3;LC1,LC2,LC3とキャパシタンスCA1,CA2,CA3;CB1,CB2,CB3;CC1,CC2,CC3と伝送線路MS1,MS2,MS3により構成されている。
【0050】
インピーダンス変換回路M1においては、ANT端子とスイッチ回路12間に直列にインダクタンスLA1、キャパシタンスCA1、伝送線路MS1、インダクタンスLA3が接続され、インダクタンスLA1とキャパシタンスCA1の接続点がインダクタンスLA2を介してグランド(GND)に接続され、キャパシタンスCA1と伝送線路MS1の接続点がキャパシタンスCA2を介してグランドに接続され、伝送線路MS1とインダクタンスLA3の接続点がキャパシタンスCA3を介してグランドに接続されている。
【0051】
同様に、インピーダンス変換回路M2,M3においては、RX端子,TX端子とスイッチ回路12間に直列にインダクタンスLB1,LC1、キャパシタンスCB1,CC1、伝送線路MS2,MS3、インダクタンスLB3,LC3が接続され、インダクタンスLB1又はLC1とキャパシタンスCB1又はCC1の接続点がインダクタンスLB2,LC2を介してグランドに接続され、キャパシタンスCB1又はCC1と伝送線路MS2又はMS3の接続点がキャパシタンスCB2,CC2を介してグランドに接続され、伝送線路MS2又はMS3とインダクタンスLB3又はLC3の接続点がキャパシタンスCB3,CC3を介してグランドに接続されている。なお、ボンディングワイヤ37のインダクタンスがインピーダンス変換回路M1〜M3に利用されており、ボンデイングワイヤ37がインピーダンス変換回路M1〜M3の一部となっている。
【0052】
このように、インピーダン変換回路M1〜M3を誘電体多層基板36に形成することにより、小さな実装面積において、インピーダンス変換回路M1〜M3をインダクタンスLA1〜LC3、キャパシタンスCA1〜CC3、伝送線路MS1〜MS3及びボンディングワイヤ37により多段に形成することができる。
【0053】
従って、インピーダンス変換回路M1〜M3のQ値を下げることができ、広帯域なインピーダンス変換が実現できる。よって、広帯域にわたってスイッチ回路12の性能を向上することができる。また、このインピーダンス変換回路M1〜M3は誘電体多層基板36に形成しているため、実装面積が小さくて済み、信号切換えスイッチ35を小型化することができる。
【0054】
(第5の実施形態)
図11は、本発明のさらに別な実施形態による信号切換えスイッチ38を示す回路図である。この信号切換えスイッチ38は、単一正電源動作を実現するために直流カット用キャパシタンスCDCと高周波チョーク用インダクタンスLRFを付加しており、この直流カット用キャパシタンスCDCと高周波チョーク用インダクタンスLRFをインピーダンス変換回路M1〜M3の一部としている。
【0055】
すなわち、インピーダンス変換回路M1は、ANT端子とスイッチ回路12の間に挿入された直流カット用キャパシタンスCDCと、この直流カット用キャパシタンスCDCとスイッチ回路12間の接続点とグランドの間に直列に挿入されたインダクタンスLG及びキャパシタンスCGと、この直流カット用キャパシタンスCDCとスイッチ回路12間の接続点に接続されて定電圧VDDを印加された高周波チョーク用インダクタンスLRFとから構成されている。
【0056】
また、インピーダンス変換回路M2は、RX端子とスイッチ回路12の間に挿入された直流カット用キャパシタンスCDCと、この直流カット用キャパシタンスCDCとスイッチ回路12間の接続点とグランドの間に直列に挿入されたインダクタンスLG及びキャパシタンスCGと、スイッチング用素子Q2とグランドの間に挿入された直流カット用キャパシタンスCDCと、この直流カット用キャパシタンスCDCとスイッチング用素子Q2の接続点に接続されて定電圧VDDを印加された高周波チョーク用インダクタンスLRFとから構成されている。
【0057】
同様に、インピーダンス変換回路M3は、TX端子とスイッチ回路12の間に挿入された直流カット用キャパシタンスCDCと、この直流カット用キャパシタンスCDCとスイッチ回路12間の接続点とグランドの間に直列に挿入されたインダクタンスLG及びキャパシタンスCGと、スイッチング用素子Q4とグランドの間に挿入された直流カット用キャパシタンスCDCと、この直流カット用キャパシタンスCDCとスイッチング用素子Q4の接続点に接続されて定電圧VDDを印加された高周波チョーク用インダクタンスLRF(インピーダンス変換回路M2と共用)とから構成されている。
【0058】
この信号切換えスイッチ38は、上記のように単一正電源動作用の高周波チョーク用インダクタンスLRF及び直流カット用キャパシタンスCDCをインピーダンス変換回路M1〜M3の一部として利用しているので、信号切換えスイッチ38の素子数を削減でき、半導体集積回路として構成する場合にはチップ面積を減少させることができる。
【0059】
(第6の実施形態)
図12は、本発明のさらに別な実施形態による信号切換えスイッチ39を外部回路と共に示す図である。ANT端子には送受信アンテナ40が接続され、RX端子には受信用低雑音増幅器(LNA)41が接続され、TX端子には送信用電力増幅器(PA)42が接続されている。
【0060】
この信号切換えスイッチ39においては、スイッチ回路12からインピーダンス変換回路M1〜M3をみたインピーダンスZSWを、例えば第1又は第2の実施形態のように最大伝送可能電力が向上するような電流が流れる適当な値とし(すなわち、スイッチ回路12からインピーダンス変換回路M1〜M3をみたインピーダンスZSWをANT端子、RX端子及びTX端子から送受信アンテナ40、受信用低雑音増幅器41、送信用電力増幅器42等の外部回路をみたインピーダンスZ0より大きくし)、さらに、ANT端子、RX端子及びTX端子から各インピーダンス変換回路M1〜M3をみたインピーダンスを送受信アンテナ40、受信用低雑音増幅器41、送信用電力増幅器42等の外部回路が要求する最適インピーダンス(定格インピーダンス)ZANT,ZLNA,ZPAとなるよう、各インピーダンス変換回路M1〜M3が設計されている。これによってインピーダンス変換回路にANT端子、RX端子、TX端子に接続する外部回路との最適インピーダンスによる整合機能を持たせている。
【0061】
ここで、最適インピーダンスとは、送受信アンテナ40では、送信回路から送受信アンテナ40に入力された送信電力が全て空中へ放射され、逆に空中から入射した受信電力が全て受信回路へ出力されるようなインピーダンスZANTである。また、送信用電力増幅器42では、最大出力電力が得られるインピーダンスZPAである。また、受信用低雑音増幅器41では、最小雑音指数が得られるインピーダンスZLNAである。
【0062】
信号切換えスイッチ39が最適インピーダンスによる整合機能を有しない場合には、送受信アンテナ40、送信用電力増幅器42、受信用低雑音増幅器41等の外部回路をANT端子、TX端子、RX端子に接続する場合には、別途整合回路を用いることにより、ANT端子、TX端子及びRX端子における外部回路との特性インピーダンス(例えば50Ω)を外部回路が要求する最適インピーダンスに変換した後、整合回路を介してANT端子、TX端子及びRX端子に送受信アンテナ40、送信用電力増幅器42、受信用低雑音増幅器41等の外部回路を接続する必要がある。
【0063】
これに対し、本実施形態による信号切換えスイッチ39では、インピーダンス変換回路M1〜M3に、ANT端子、TX端子、RX端子に接続する外部回路との最適インピーダンスによる整合機能を持たせているから、ANT端子、RX端子、TX端子と外部回路との間に整合回路が不要になり、外部回路と接続する際の構成を簡単にすることができる。
【0064】
さらに、ANT端子、RX端子、TX端子と外部回路との間に接続される整合回路が不要になるので、信号切換えスイッチ39の性能を向上させた状態において、信号切換えスイッチ39や通信システムにおける変換損失を低減でき、さらに素子数を減少させ、半導体集積回路を用いる場合にはチップ面積を減少させることができ、信号切換えスイッチ39の製造コストを安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例の信号切換え用スイッチを示す回路図である。
【図2】スイッチング用素子の特性とスイッチング用素子のゲートに印加される制御電圧に重畳された信号電圧を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による信号切換えスイッチを示す回路図である。
【図4】本発明の別な実施形態による信号切換えスイッチを示す回路図である。
【図5】同上の信号切換えスイッチに信号電力を入力したときの入力端子、出力端子及びスイッチ回路内部における電流波形を示す図である。
【図6】同上の信号切換えスイッチに信号電力を入力したときの入力端子、出力端子及びスイッチ回路内部における電圧波形を示す図である。
【図7】本発明のさらに別な実施形態による信号切換えスイッチを示す平面図である。
【図8】同上の信号切換えスイッチの等価回路を示す回路図である。
【図9】本発明のさらに別な実施形態による信号切換えスイッチを示す外観斜視図である。
【図10】同上の信号切換えスイッチの等価回路を示す回路図である。
【図11】本発明のさらに別な実施形態による信号切換えスイッチを示す回路図である。
【図12】本発明のさらに別な実施形態による信号切換えスイッチを示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
Q1〜Q4 スイッチング用素子
M1〜M3 インピーダンス変換回路
LANT,LL1〜LL3,LW1〜LW3,LA1〜LA3,LB1〜LB3,LC1〜LC3インダクタンス
CANT,CS1〜CS3,CM1〜CM3,CA1〜CA3,CB1〜CB3,CC1〜CC3キャパシタンス
MS1〜MS3 伝送線路
LRF 高周波チョーク用インダクタンス
CDC 直流カット用キャパシタンス
ANT ANT端子
RX RX端子
TX TX端子
GND グランド
12 スイッチ回路
15 ICチップ
36 誘電体多層基板
Claims (5)
- 半導体素子がスイッチング素子として用いられたスイッチ回路と、複数の入出力端子とを備え、スイッチ回路によって各入出力端子を互いに接続したり、切り離したりするための信号切換えスイッチにおいて、
前記入出力端子と前記スイッチ回路との間にインピーダンス変換回路を設け、スイッチ回路からインピーダンス変換回路をみたインピーダンスを、入出力端子から外部回路をみたインピーダンスより大きくしたことを特徴とする信号切換えスイッチ。 - 前記インピーダンス変換回路は、前記スイッチ回路が形成された半導体集積回路のボンディングワイヤもしくはリードのインダクタンスと、前記半導体集積回路のストレーキャパシタンスとを用いたものであることを特徴とする、請求項1に記載の信号切換えスイッチ。
- 前記インピーダンス変換回路は、誘電体多層基板内に形成されたインダクタンス、キャパシタンス及び伝送線路から構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の信号切換えスイッチ。
- 前記インピーダンス変換回路は、単一正電源動作用の直流カット用キャパシタンスと高周波チョーク用インダクタンスとを含んでいることを特徴とする、請求項1〜3に記載の信号切換えスイッチ。
- 前記入出力端子から各インピーダンス変換回路をみたインピーダンスが前記各外部回路の要求する最適インピーダンスにほぼ等しくなっていることを特徴とする、請求項1〜4に記載の信号切換えスイッチ。
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-
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