JP3800596B2 - 液化ガス流下用ノズル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料缶詰のような容器詰めの飲料製品の製造に際して、飲料充填済みで密封前の上部開口容器を密封装置に向けて連続的に搬送する途中で、各容器のヘッドスペースに不活性ガスの低温液化ガスを所定量ずつ流下させるために使用される、液化ガス流下用ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
コーヒー,紅茶,緑茶,ウーロン茶,スポーツ飲料,および果汁等の非炭酸飲料を、DI(絞りしごき)缶のような薄肉の胴壁を持つ缶体に充填して缶詰にする際に、飲料を充填した缶内のヘッドスペース(缶内上部の飲料がない空間部分)の液面上に、液体窒素や液化アルゴンのような不活性ガスの低温液化ガスを少量添加してから、缶の開口部に缶蓋を巻締めして密封することにより、密封後の缶内圧を高くして外圧による缶の変形を防止したり、缶内の空気を不活性ガスに置換して残存酸素量を減少させることで酸化による飲料の劣化を防止したりするということが従来から一般的に行われている。
【0003】
一方、缶詰の製造に使用する缶蓋巻締装置として、低速運転と高速運転(低速運転の2倍の速度)の2速に切り換えるタイプの他に、最近では、低速運転から高速運転までの間の速度を無段階的(曲線的またはスロープ的)に変化させられるものが開発されており、この缶蓋巻締装置の運転速度に合わせた製造ラインの缶の搬送速度に対応できるように、缶内のヘッドスペースに液化ガスを添加するための液化ガス流下装置についても、製造ラインの無段階的な速度変化に追従して、液化ガスの単位時間当たりの流下量を連続的且つに無段階的に変化させられるようにすることが本出願人により提案され、特開平10−250711号公報によって既に公知となっている。
【0004】
すなわち、特開平10−250711号公報には、シリンダーとプラグからなる液化ガス流下用ノズルについて、プラグの外周面と摺接するシリンダーの内周面に、シリンダーの上端から下端にわたって、液化ガスを通すための複数本の溝部を形成すると共に、各溝部のうちの少なくとも一本以上について、上端から下端に向けて、幅が略一定で、溝の深さが徐々に浅くなるように溝底を傾斜させることで、シリンダーに対するプラグの上昇位置を変えることによって、各溝部を通した液化ガスの流下量(単位時間当たりの流下量)を連続的且つに無段階的に変えられるようにするということが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような液化ガス流下用ノズルによれば、複数本の溝部から液化ガスを複数条の流れに分けて流下させていることで、液化ガスの流下時における飲料液面との衝突の衝撃を緩和することができて、液化ガスの缶外への飛散を防ぐことができると共に、ノズル孔の開口数や大きさの異なる複数のノズルを用意してノズル自体を取り替えて使用するようなことなく、プラグの上昇位置を変えるだけで、液化ガスの流下量を無段階的または連続的に微調整することができて、缶詰製造ラインの無段階的な速度変化に追従して、液化ガスの単位時間当たりの流下量を連続的且つに無段階的に変化させることができる。
【0006】
しかしながら、そのような液化ガス流下用ノズルについて更に検討したところ、DI缶のような通常の円筒状の缶による飲料缶詰の製造の際には殆ど問題はないものの、各種の飲料で近年急速に広まりつつあるボトル型缶(ネジ付きの口頸部と薄肉の胴部が一体成形された金属製の缶)による飲料缶詰の製造の際には、以下のような問題が起きる虞のあることが判明した。
【0007】
すなわち、ネジ付きの口頸部を有するボトル型缶の場合には、通常の円筒状の缶と比べて開口部の内径がかなり小径であるため(通常の缶では開口部の内径が約48〜60mmであるのに対して、ボトル型缶では開口部の内径が約20〜30mmである)、使用する液化ガス流下用ノズルについては必然的に小型にする必要があって、溝底部分を含めたシリンダーの内径を15mm以下(好ましくは10mm以下)とする必要がある。
【0008】
そこで、ボトル型缶にも適用できる液化ガス流下用ノズルとして、具体的には、上端面が擂鉢状の凹曲面となり、軸線と平行な溝部(溝幅が約1mm)が内周面に8本形成され、溝部の上端での各溝部の溝底を結ぶ仮想円の直径が約9mmとなり、溝部の下端での各溝部の溝底を結ぶ仮想円の直径が約7mmとなり、各溝部での溝底の軸線に対する傾斜角度が約3°となり、溝部が形成されていない内周面の部分を結んだ仮想円の直径が約5.5mmとなるようにシリンダーを作成すると共に、このシリンダーの内周面に上下動可能に摺接する棒状(円柱状)部を有し、且つ、この棒状部の上方にシリンダーの上端面の凹曲面に合致した凸曲面の樹脂製の閉鎖部を備えたプラグを作成した。
【0009】
そして、液化ガス貯留槽の下端部に液化ガス通路が連通され、液化ガス通路の下端部に上記のシリンダーとプラグからなる液化ガス流下用ノズルが配設されている液化ガス流下装置を使用して、該装置の液化ガス貯留槽と液化ガス用元タンクとを連結する液化ガス供給管に設けた開閉弁を、貯留槽の液面高さを検知して開閉操作することにより、貯留槽内の液面の高さを略一定に維持して、貯留槽内を外部と連通させることにより、貯留槽内の液面上の圧力を大気圧に維持した状態で、液化ガス流下用ノズルのシリンダーの内周面の各溝部(8本の溝部)を通して液体窒素を一定量(単位時間当たり)流下し続けると共に、口頸部の開口部の内径が20mmで内容量500ml用のボトル型缶を、約491gの水を充填済みの状態で液化ガス流下用ノズルの下方を通過させて、ボトル型缶内に所定量の液体窒素を添加してから、キャップを冠着して密封させた後、触圧式検缶機で缶内圧を測定するという実験を行った。
【0010】
その結果、液化ガス流下用ノズルからの液体窒素の流下状態は、例えば、図5に示すように、ノズルの直下ではシリンダーの溝部の数と同じ数(8本)の糸状に分散して流下しているが、シリンダーの各溝部の溝底が中心に向かう方向に傾斜しているために、途中で複数本(8本)の糸状の流れが次第に接近して遂には一本の流れに合流してしまうこととなり、そのために、缶内の液面上に液体窒素が落下した際の衝撃が大きくなり、缶内の液面での眺ね返りが大きくなって液体窒素が飛散するのに起因して、一缶毎の缶内圧のバラツキが大きくなってしまうという問題が起きることが判明した。
【0011】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、シリンダーの内周面に形成された溝底が傾斜した溝部を通して、液化ガスを複数条の流れに分けて流下させることで、液化ガスの流下量を無段階的または連続的に微調整できるようにした液化ガス流下用ノズルにおいて、複数条の流れに分けて流下させた液化ガスを、途中で合流させるようなことなく、確実に分散させたまま容器内の液面上に落下させるようにすることを課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、軸線が上下方向のシリンダーと、シリンダーに上方から挿入される棒状部と該棒状部の上方に位置する閉鎖部とを備えたプラグとからなり、プラグの棒状部の外周面と摺接するシリンダーの内周面の上端から下端にわたって、液化ガスを通すための溝部が、シリンダーの軸線方向に平行して複数本形成されており、各溝部のうちの対向する少なくとも一対以上は、上から下に向けて、幅が略一定で、溝の深さが徐々に浅くなるように溝底が傾斜していて、シリンダーに対して相対的に上下動可能なプラグがその最下端位置に達すると、プラグの閉鎖部の下面がシリンダーの上端面に密着することで、シリンダーの各溝部の上端開放部が全てプラグによって塞がれるように構成されている液化ガス流下用ノズルにおいて、シリンダーの溝底が傾斜している溝部の下端付近で、溝部の下端から所定の高さだけ溝の深さが略同じになっていることを特徴とするものである。
【0013】
上記のような構成によれば、プラグを最下端位置から上昇させることでシリンダーの各溝部を通して液化ガスを流下させるのに際して、製造ラインの速度に対応してプラグの上昇位置を変えることにより、シリンダーの溝底が傾斜した各溝部を通した液化ガスの流下量(単位時間当たりの流下量)を、連続的且つに無段階的に変化させることができる。
【0014】
また、液化ガスの流下量を変えられるように、各溝部のうちの対向する少なくとも一対以上で、上から下に向けて溝の深さが徐々に浅くなるように溝底を傾斜させているのに対して、それらの溝部の下端付近で、溝部の下端から所定の高さだけ溝の深さを略同じにしていることにより、図4に示すように、溝底の傾斜面に沿ってやや中心方向に向かって流下してきた液化ガスは、溝部の下端付近で、略同じ深さの傾斜していない溝底に沿って流れることで、下方(垂直方向)に向かう流れに変わるため、溝部の下端から流下した液化ガスは、途中で合流することなく、溝部の数と同じ数の乱れのない糸状になって常に安定的に下方に流下する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液化ガス流下用ノズルの実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態の液化ガス流下用ノズルについて、図1は、ノズルが配設されている液化ガス流下装置の下端部分を示し、図2は、ノズルが所望の開度で開かれている状態を示し、図3(A),(B)は、ノズルを構成するシリンダーの構造を示し、図4は、シリンダーの溝部を通って液化ガスが流下する状態を示すものである。また、図5は、比較例の液化ガス流下用ノズルについて、シリンダーの溝部を通って液化ガスが流下する状態を示すものである。
【0016】
本実施形態の液化ガス流下用ノズルが使用される液化ガス流下装置の全体構造(ノズルの部分の構造を除くその他の部分の構造)については、図示していないが、例えば、実公昭63−35933号公報,実公平1−10331号公報,特公平1−59170号公報,特開平10−250711号公報等に開示されているような従来から知られた適宜の構造であって、液化ガス流下装置の下端部に配設されたノズルを通して流下させた液化ガスは、搬送されている飲料充填済みで密封前の缶のヘッドスペースに上方から添加される。
【0017】
そのような液化ガス流下装置では、液化ガス用元タンクから供給される低温の液化ガス(窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスの低温液化ガス)を、外気温から断熱するための真空断熱室によって囲まれた貯留槽内に貯留してから、この貯留槽内に貯留された液化ガスの液面の高さが常に一定に保たれ、且つ、液面が大気に開放された(液面上は大気圧とほぼ同じ)状態で、それ自体の重量により、常に一定の圧力がかかっている状態で、液化ガス流下用ノズルを通して流下させている。
【0018】
そのような液化ガス流下装置に使用される本実施形態の液化ガス流下用ノズルについて説明すると、液化ガス流下装置の下端部では、図1に示すように、真空断熱室6によって全体が囲まれた状態で、貯留槽4の底部と連通するように液化ガス通路5が形成されていて、この液化ガス通路5の下端には、シリンダー2とプラグ3とからなる液化ガス流下用のノズル1が配設されている。また、このノズル1に対応して、低温の液化ガスの流下に伴って大気中及び缶内の飲料からの水蒸気がノズル1の出口付近に上昇し、氷結して付着するのを防止するために、防霜用のカバー7が、真空断熱室6の外壁の一部として液化ガス通路5を囲んでいる外筒部分8に対して着脱可能に取り付けられていると共に、この防霜用カバー7と外筒部分8との隙間に乾燥させた窒素ガスを導入して防霜用カバー7の下端の開口部から流出するようにしている。なお、図示していないが、防霜用カバー7にはヒーターが取り付けてあり、開口部付近に霜が付着するのを防止している。
【0019】
液化ガス流下用のノズル1では、シリンダー2が、その下端近傍の外周面に形成されたフランジ部21で、外筒部分8の下部外周面に螺合されるシリンダーキャップ9により、パッキンと共締めされた状態で液化ガス通路5の底壁に固定されており、プラグ3が、上下方向に延びる長いロッド10の下端部に、それ自体は従来から一般的に知られた構造の自在継ぎ手11を介して、前後左右に揺動が可能で且つ偏心スライドが可能なように可動的に連結されていて、シリンダー2に上方から挿入されたプラグ3は、ロッド10が上下動することで、固定されたシリンダー2に対して上下動するようになっている。
【0020】
ノズル1のプラグ3には、シリンダー2の円筒状の内周面(シリンダー孔)と摺接する円柱状の棒状部31の上方に、フッ素樹脂やポリアミド樹脂のように耐寒性や耐摩耗性及び滑り性に優れた樹脂製のパッキン部材(閉鎖部)32が一体的に取り付けられていて、図1に示すように、プラグ3の棒状部31の下端がシリンダー2の下端に達するまで完全に挿入された状態(プラグ3が最下端位置の状態)では、擂鉢状の凹曲面(又は擂鉢状のテーパー面でも良い)に形成されたシリンダー2の上端面23に対して、プラグ3のパッキン部材32の下面(シリンダー2の上端面23の凹形状に合致した凸形状に形成されている)が密着するようになっている。
【0021】
ノズル1のシリンダー2には、図3(A),(B)に示すように、その下端近傍の外周面にフランジ部21が形成されている共に、プラグ3の棒状部31の外周面と摺接するシリンダー2の内周面20に、その上端から下端にわたって、幅が略一定で、上から下に向かって溝底の深さが徐々に浅くなり、下端部付近では極めて僅かな深さとなるように、溝底の傾斜した溝部22が、シリンダー2の軸芯に対してそれぞれ放射状で等間隔に複数本(図示したものでは8本)、それぞれシリンダー2の軸線方向に平行して形成されている。
【0022】
上記のようなシリンダー2とプラグ3とからなる液化ガス流下用のノズル1では、図1に示すように、シリンダー2に対してプラグ3がその最下端位置に達するまで完全に挿入された状態では、シリンダー2の上端面23にプラグ3のパッキン部材32の下面が密着することで、シリンダー2の各溝部22の上端開放部は、全てプラグ3のパッキン部材32により塞がれて、ノズル1は完全に閉じられた状態となっているため、貯留槽4内に貯留されている液化ガスは、液化ガス通路5からノズル1を通して流下することはない。
【0023】
そのような状態からロッド10を所望の移動量だけ上昇させることで、図2に示すように、シリンダー2に対してプラグ3を所望の高さだけ上方に移動させて停止させると、シリンダー2の上端面23からプラグ3のパッキン部材32が上方に離れて、シリンダー2の各溝部22の上端開放部が液化ガス通路5に連通すると共に、停止したプラグ3の棒状部31の下端位置におけるシリンダー2の各溝部22の溝底の深さ(溝部の横断面積)に応じて液化ガスが通過するように、各溝部22が下方に開放される。
【0024】
そのため、貯留槽4内に貯留されている液化ガスは、プラグ3の下端位置でのシリンダー2の各溝部22の横断面積に応じた流量で、液化ガス通路5からシリンダー2の各溝部22を通って複数本(8本)の均一な糸状に分散された状態で下方に流下することとなり、したがって、シリンダー2に対するプラグ3の上昇位置をロッド10の移動量により調整して、下方に開放される各溝部22の横断面積を変えることにより、各溝部22を通して流下させる液化ガスの流下量(ノズル1の開度)を無段階的に連続して変更することができる。
【0025】
そのようなプラグ3の上昇位置の制御によるノズル1の開度の制御について、実際の缶詰製造ラインに適用する場合の具体的な一例について詳細に述べると、プラグ3の位置と単位時間当たりの液化ガスの流下量との関係、および、缶詰製造ラインの速度とその速度で缶詰を製造する場合に必要な単位時間当たりの液化ガスの流下量(製造される缶詰に必要な缶内圧が得られる量)との関係を予め調べておいて、それらをコンピューターに入力しておく一方、その缶詰製造ラインの速度をモニタリングしてコンピューターに送り、その速度に合ったプラグ3の位置を演算して、プラグ3の位置移動を指示する信号を、ロッド10の上端に取り付けたサーボモーター(図示せず)に送り、そのラインの速度でその缶詰を製造する場合に必要な液化ガスの単位時間当たりの流下量が得られる位置にプラグ3を移動させることによって、ノズル1から流下する液化ガスの流下量を、ライン速度の無段階的な変化に対応させて無段階的に変化させることができる。
【0026】
ところで、液化ガス流下用のノズルのシリンダーに形成した各溝部の溝底を上端から下端に向けて徐々に深さが浅くなるように(シリンダー2の軸芯に向かう方向に)一様に傾斜させた場合、液化ガスの流下状態は、図5に示すように、ノズルの直下では溝部22の数と同じ数(8本)の糸状に分散して流下しているが、途中で各溝部22からの糸状の流れが次第に接近して遂には一本の流れに合流してしまうこととなり、その結果、缶内のヘッドスペースの液面とノズルとの距離によっては、缶内の液面上に液化ガスが落下した際の衝撃が大きく液面での眺ね返りが大きくなって液化ガスが飛散するような虞が生じることとなる。
【0027】
そのような問題に対処するために、本実施形態の液化ガス流下用ノズル1では、図4に示すように、溝部22の下端付近で、溝部22の下端から所定の高さHだけ溝の深さが略同じになるように、即ち、溝部22の下端から所定の高さHだけ溝底を傾斜させることなく略垂直方向に延ばすようにしている。
【0028】
上記のような本実施形態の液化ガス流下用ノズル1によれば、ロッド10の移動量を制御してプラグ3の上昇位置(固定位置)を変えるだけで、シリンダー2の各溝部22を通してノズル1から流下させる液化ガスの流下量を、例えば、缶詰製造ラインの速度の無段階的な変化に対応できるように、連続的に微量ずつ無段階的に変化させることができるため、製造ラインの速度変化に関係なく、一定の缶内圧を得るのに必要な量の液化ガスを缶内に添加させることができる。
【0029】
また、シリンダー2の複数本の各溝部22を通して流下させた液化ガスを、途中で合流させるようなことなく、均一な糸状に分散させた状態のままで下方の缶内に流下させることができて、流下した液化ガスが缶内の飲料液面に衝突する際の衝撃を緩和することができるため、液面との衝突による衝撃で液化ガスが容器外に飛散するのを効果的に防止することができる。
【0030】
すなわち、図4に示すように、溝部22の下端付近で、下端から所定の高さH(好ましくは2〜10mm,特に好ましくは3〜8mm)だけ、溝の深さを略同じにしていることにより、溝部22の溝底の傾斜面に沿ってやや中心方向に向かって流下してきた液化ガスは、溝部22の下端付近(下端から所定の高さHの範囲)で、略同じ深さの傾斜していない溝底に沿って流れることで、下方(垂直方向)に向かう流れに変わるため、シリンダー2の各溝部22を通って流下した液化ガスは、途中で一本の流れに合流するようなことなく、均一な糸状に分散させた状態のままで下方の缶内に流下することとなる。なお、溝部の下端における溝底の下端の角部を面取りすることも、液化ガスを均一な糸状に分散させた状態で流下させるのに効果的であり、特に、上記の所定の高さHが短い(1〜3mm)ような場合には、角部を面取りしておくことが好ましい。
【0031】
また、本実施形態では、シリンダー2の下端面で、各溝部22とその間の部分のそれぞれの下端によるノズル出口部分24を、その周辺部分25よりも下方に突出していることにより、液化ガスの液切れ性が良好なものになっている(液化ガスが各溝部22の下端から周辺部分に伝わって流れることがない)。
【0032】
さらに、本実施形態では、ロッド10とプラグ3を自在継ぎ手11を介して連結していることにより、ロッド10の取付位置とシリンダー2の取付位置が僅かにずれていたり、ロッド10が僅かに傾いていたりして、ロッド10の軸芯とシリンダー2の軸芯とが精密に一致していなくても、プラグ3がシリンダー2に挿入された状態では、シリンダー2に対するロッド10の傾きには影響されることなく、プラグ3はシリンダー2に対して傾くことなく挿入されていて、その結果、互いに摺接するプラグ3(棒状部31)の外周面とシリンダー2(シリンダ孔)の内周面20との間で所謂かじりつき現象が発生するようなことはなく、また、シリンダー2の上端面23とプラグ3のパッキン部材32の下面との密着部分での密封性が悪くなるようなことはない。
【0033】
また、本実施形態では、図3(B)に示すように、シリンダー2の上端面23を擂鉢状の凹曲面(又は擂鉢状のテーパー面でも良い)に形成しており、それによって、プラグ3をシリンダー2に上方から挿入する際に、ロッド10とシリンダー2の軸芯同士が精密に一致していないことで、プラグ3の下端(棒状部31の下端)とシリンダー2のシリンダ孔との位置関係がずれていたとしても、プラグ3のシリンダー2への挿入を容易に行うことができる。
【0034】
すなわち、シリンダー2の上端面の形状については、プラグ3のパッキン部材32の下面の形状をそれに合致させる限りにおいて、平坦面を含むどのような形状であっても良いのであるが、シリンダー2の上端面を、擂鉢状に傾斜したテーパー面や凹曲面のような、外周部から中央部に向かって下方に傾斜するような傾斜面に形成しておけば、プラグ3をシリンダー2に上方から挿入する際に、プラグ3の下端(棒状部31の下端)とシリンダー2のシリンダー孔との位置関係がずれていたとしても、そのままロッド10を下降させるだけで、プラグ3の下端は、シリンダー2の上端の傾斜面によって強制的に中央のシリンダー孔に案内されるため、プラグ3をシリンダー2に容易に挿入することができる。
【0035】
なお、図3(B)に示すように、シリンダー2の上端面23を擂鉢状の傾斜面に形成するのに、単なるテーパー面ではなく凹曲面に形成しておくと共に、この凹曲面に合致するように、プラグ3のパッキン部材32の下面を凸曲面に形成しておけば、単なるテーパー面にした場合と比べて、シリンダー2の上端面23とプラグ3のパッキン部材32の下面との密着面積を少しでも大きくすることができて、シリンダー2の上端面23とプラグ3のパッキン部材32との密着によるノズル閉鎖時の密封性の向上を図ることができる。
【0036】
以上、本発明の液化ガス流下用ノズルの一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に示したような具体的な構造にのみ限定されるものではなく、例えば、シリンダーの内周面(及びプラグの棒状部の外周面)の形状については、上記の実施形態に示したような真円の横断面形状を有するものに限らず、対向する一対の平面壁を有する長円形の横断面形状として、該平面壁のそれぞれに、シリンダーの上端から下端にわたって複数本の溝部を並列的に形成するようにしても良く、そのようにした場合には、該平面壁が缶の搬送方向と平行になるように液化ガス流下用ノズルを設置することで、分散させて流下させる複数条の液化ガスの流れを、幅の狭い範囲に集めることができるため、開口部の径の小さい容器に対して液化ガスを流下するのに好適なものとなる。
【0037】
また、シリンダーの内周面に形成する複数本の溝部については、上記の実施形態に示したような全ての溝部を溝底が傾斜した同じ形状にするものに限らず、複数本の溝部のうちの少なくとも対向する一対以上で溝部で溝底が傾斜していれば良く、また、溝部の数や大きさ等についても適宜に変更可能なものであるが、傾斜した溝底を持つ溝部の数が少ない程、プラグの位置を変えても液化ガスの流下量が大きく変化しないことから、液化ガスの流下量を変化の幅を大きくするためには、液化ガスを分散させて流下するのに適当な数の溝部を設けて、その全て(又は大部分)の溝底を傾斜させるのが好ましい。
【0038】
さらに、液化ガス流下用ノズルのプラグについて、上記の実施形態では、プラグを動かすためのロッドの下端とプラグを自在継ぎ手を介して連結しているが、プラグを支持するロッドの軸芯とシリンダーの軸芯を精密に一致させることができれば、ロッドとプラグを直接に連結しても良く、また、シリンダーの上端面の形状について、上記の実施形態では、外周部から中央部に向かって下方に傾斜するような傾斜面(擂鉢状の凹曲面又はテーパー面)としているが、平坦面やその他の形状であっても良い等、適宜設計変更可能なものであることは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の液化ガス流下用ノズルによれば、流下させる単位時間当たりの液化ガスの流下量を、簡単な構造により無段階的に変化させることができ、製造ラインの無段階的な速度変化に追従して、液化ガスの単位時間当たりの流下量を増減させられることから、製造ラインの速度がどのように変わっても、常に所望量の液化ガスを容器内に添加することができると共に、ノズルから分散させて流下する液化ガスを、途中で合流させることなく、均一な糸状に分散させた状態のままで下方に流下させることができて、流下した液化ガスの容器内での液面への衝突に起因する液化ガスの飛散を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る液化ガス流下用ノズルが配設されている液化ガス流下装置の下端部分を示す縦断面図。
【図2】図1に示した液化ガス流下用ノズルが所望の開度で開かれている状態を示す縦断面図。
【図3】図1に示した液化ガス流下用ノズルのシリンダーの構造を示す(A)上面図,および(B)図AのB−B線に沿った縦断面図。
【図4】図3に示した液化ガス流下用ノズルのシリンダーについて、シリンダーの溝部を通って液化ガスが流下する状態を示す縦断面説明図。
【図5】液化ガス流下用ノズルの比較例について、シリンダーの溝部を通って液化ガスが流下する状態を示す縦断面説明図。
【符号の説明】
1 (液化ガス流下用)ノズル
2 シリンダー
3 プラグ
22 溝部
24 ノズル出口部分
H 溝部の下端から所定の高さ
Claims (3)
- 軸線が上下方向のシリンダーと、シリンダーに上方から挿入される棒状部と該棒状部の上方に位置する閉鎖部とを備えたプラグとからなり、プラグの棒状部の外周面と摺接するシリンダーの内周面の上端から下端にわたって、液化ガスを通すための溝部が、シリンダーの軸線方向に平行して複数本形成されており、各溝部のうちの対向する少なくとも一対以上は、上から下に向けて、幅が略一定で、溝の深さが徐々に浅くなるように溝底が傾斜していて、シリンダーに対して相対的に上下動可能なプラグがその最下端位置に達すると、プラグの閉鎖部の下面がシリンダーの上端面に密着することで、シリンダーの各溝部の上端開放部が全てプラグによって塞がれるように構成されている液化ガス流下用ノズルにおいて、シリンダーの溝底が傾斜している溝部の下端付近で、溝部の下端から所定の高さだけ溝の深さが略同じになっていることを特徴とする液化ガス流下用ノズル。
- 溝底が傾斜した溝部の下端から溝の深さが略同じになっている部分の所定の高さが2〜10mmであることを特徴とする請求項1に記載の液化ガス流下用ノズル。
- シリンダーの下端面で、各溝部とその間の部分のそれぞれの下端によるノズル出口部分が、その周辺部分よりも下方に突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の液化ガス流下用ノズル。
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