JP3801044B2 - 防犯監視システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、街路などの公共の場所に設置され、犯罪の被害者と被疑者を特定して犯罪の解決に寄与するとともに犯罪の発生を防止する防犯監視システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、街路などの公共の場所における防犯対策として、監視区域を撮像する監視カメラを設置し、監視カメラで撮像した画像を通信回線を介して遠隔地に設置された監視センタ等にて監視員が目視で監視するか、あるいは監視員による目視の代わりにビデオテープなどの記録媒体に撮像画像を記録することが行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のものでは監視員が監視カメラの撮像画像を常時監視していなければならず、監視区域の数も少なく、人件費などのコストも非常に高くついてしまう。そのため、公共の場所でも特に犯罪発生率の高い場所等に監視区域が限定されがちである。しかし、ひったくりのような犯罪は街路などのごく普通の場所で発生することが多く、特にひったくりなどの不意をつかれる犯罪は被害者が犯人の特徴を捉えることは難しい。また、街路などの広域な場所に監視カメラを設置し、監視カメラで撮像される全ての画像を監視員が監視することは困難である。しかも、後者のもののように犯罪発生後に監視員が記録媒体に記録された撮像画像から犯人(被疑者)を確認する場合、警察による初動捜査の遅れにつながり、被疑者の逮捕が遅延若しくは困難になる虞がある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、監視区域の監視に要する労力を低減しつつ広い範囲を監視できるとともに犯罪発生時には被疑者に関する情報を速やかに取得することが可能であって警察の初動捜査にも充分に貢献し得る防犯監視システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、不特定多数の人が往来する監視区域に設置され、人により操作されて発報を行う発報装置と、監視区域を時系列で撮像する撮像装置と、発報装置からの発報を受けた場合に監視区域の撮像画像を画像処理することで発報装置を操作した人及びその人が被害者となった犯罪の被疑者を特定する画像処理装置とを有する防犯監視システムであって、画像処理装置は、撮像装置で撮像された画像を記憶する画像記憶手段と、画像記憶手段に記憶された発報入力時点前後の時系列画像群を画像処理することで監視区域内を移動する移動物体を検出する移動物体検出手段と、移動物体検出手段で検出された移動物体の中から発報装置を操作した人を発報者として特定する発報者特定手段と、発報入力時点以前の時系列画像群を画像処理することで移動物体検出手段にて検出された移動物体の中から発報者特定手段で特定された発報者に接近する移動物体を被疑者の候補となる注目物体として検出する注目物体検出手段とを備えたことを特徴とし、犯罪の被害者によって発報装置が操作されて発報されると時系列画像群を画像処理することによって被害者並びに被疑者が特定できるから、監視区域の監視に要する労力を低減しつつ広い範囲を監視できるとともに犯罪発生時には被疑者に関する情報を速やかに取得することが可能であって警察の初動捜査にも充分に貢献し得る。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、発報入力時点前後の時系列画像群を画像処理することで注目物体を追跡する追跡手段を画像処理装置に備えることを特徴とし、特定した注目物体を追跡することで被疑者と推測される人物又は物体の逃走経路を知ることができる。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、追跡手段で追跡する注目物体が監視区域外に出た場合に当該監視区域に隣接する監視区域を監視対象とする他の防犯監視システムの画像処理装置に対して注目物体の追跡に必要な情報を伝達する情報伝達手段を画像処理装置に備え、他の防犯監視システムの画像処理装置における追跡手段は情報伝達手段に伝達された情報に基づいて注目物体を追跡することを特徴とし、複数の防犯監視システムで連携して注目物体を追跡するため、個々の防犯監視システムの監視区域よりも広い範囲にわたって追跡することができる。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、追跡手段で追跡する注目物体が監視区域外に出た場合に追跡結果に基づいて注目物体の監視区域外での移動方向や移動速度を推定する推定手段を画像処理装置に備え、情報伝達手段は推定手段による推定結果を他の防犯監視システムの画像処理装置に伝達することを特徴とし、複数の防犯監視システムの監視区域同士に隔たりがある場合においても、推定手段による推定結果を伝達し合うことで各防犯監視システムで連携して注目物体を追跡することができ、防犯監視システムの設置間隔を広くして費用を抑えることができ、また、監視区域内に撮像装置の視野を遮る障害物が存在する場合にも障害物の影響を回避することができる。
【0009】
請求項5の発明は、請求項2の発明において、注目物体検出手段は発報者に接近する移動物体が複数存在する場合に各移動物体を注目物体として検出し、追跡手段は注目物体検出手段で検出された複数の注目物体をそれぞれ追跡することを特徴とし、複数の注目物体の中から被疑者が特定できない状況においても全ての注目物体を追跡することで真の被疑者を追跡することができる。また、被疑者が複数である場合も全ての被疑者を追跡することができる。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1の発明において、移動物体検出手段で検出した移動物体が監視区域外に出た場合に当該監視区域に隣接する監視区域を監視対象とする他の防犯監視システムの画像処理装置に対して移動物体の追跡に必要な情報を伝達する情報伝達手段を画像処理装置に備え、他の防犯監視システムの画像処理装置においては、移動物体検出手段が少なくとも情報伝達時点以前の時系列画像群を画像処理することで監視区域内を移動する移動物体を検出し、発報者特定手段が情報伝達手段に伝達された情報に基づいて発報者を特定し、注目物体検出手段が情報伝達時点以前の時系列画像群を画像処理することで特定された発報者に接近する移動物体を注目物体として検出することを特徴とし、発報者が被害にあった場所が発報を受けた防犯監視システムの監視区域外である場合でも複数の防犯監視システム間で情報を伝達することにより、発報者が被害にあった場所を監視区域に含む防犯システムにて被疑者の候補となる注目物体を特定することができる。しかも、複数の防犯監視システム同士で発報装置を共用することが可能となってコストダウンが図れる。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1の発明において、発報者特定手段は、発報入力時点における画像に複数の移動物体が含まれる場合に発報装置との距離が最も近い移動物体を発報者と特定することを特徴とし、複数の移動物体の中から最も発報者である蓋然性の高い移動物体を発報者に特定することができる。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1〜7の何れかの発明において、移動物体検出手段は、時系列画像と基準となる背景画像との差分画像から移動物体を検出し、追跡手段並びに発報者特定手段は、特定の時系列画像群における全ての移動物体について位置、移動速度、移動方向又は形状特徴値の相関値を算出し、当該相関値が閾値以上且つ最大となる移動物体を注目物体又は発報者とすることを特徴とし、発報者と被疑者以外の物体が監視区域に存在する場合でも発報者並びに被疑者の候補とする注目物体を精度良く特定並びに追跡することができる。
【0013】
請求項9の発明は、請求項1〜8の何れかの発明において、発報装置からの発報を受けた場合に犯罪発生を周囲に報知する報知手段を備えたことを特徴とし、犯罪発生並びに発生場所を迅速に報知して救助を求めることができる。
【0014】
請求項10の発明は、請求項1〜9の何れかの発明において、発報装置からの発報を受けた場合に関係機関に設置される中央監視装置に犯罪発生を通報する通報手段を備えたことを特徴とし、警察や消防署あるいは警備会社等の関係機関に設置される中央監視装置に犯罪発生を通報して迅速な対応を要求することができる。
【0015】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、監視区域の画像を撮像する撮像手段と、中央監視装置からの指令に基づいて撮像手段を制御して監視区域の撮像画像を取得し、取得した撮像画像を中央監視装置に伝送する伝送制御手段とを備えたことを特徴とし、伝送されてくる撮像画像によって遠隔地に設置されている中央監視装置にて監視区域を監視することができる。
【0016】
請求項12の発明は、請求項1の発明において、少なくとも視野が可変である撮像手段と、追跡手段による追跡結果に基づいて注目物体が視野内に含まれるように撮像手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とし、追跡中の注目物体の拡大画像等を得ることができる。
【0017】
請求項13の発明は、請求項2〜5の何れかの発明において、追跡手段による追跡結果を関係機関に設置される中央監視装置に送信する送信手段を備えたことを特徴とし、遠隔地に設置されている中央監視装置にて追跡結果を把握することができる。
【0018】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、送信手段は、追跡結果として注目物体が含まれる撮像画像を送信することを特徴とし、中央監視装置にて被疑者と推定される注目物体が含まれた撮像画像を確認することができる。
【0019】
請求項15の発明は、請求項14の発明において、撮像画像に含まれる注目物体を強調させる強調手段を備え、強調手段にて注目物体が強調された撮像画像を送信手段により送信することを特徴とし、中央監視装置における注目物体の認識が容易となる。
【0020】
請求項16の発明は、請求項3又は4又は6の発明において、画像処理装置が備える複数の手段の少なくとも一部を他の防犯監視システムの画像処理装置と共用することを特徴とし、共用化によるコストダウンが図れるとともに保守も容易になる。
【0021】
請求項17の発明は、請求項1〜16の何れかの発明において、監視区域に設置される外灯、街路灯又は防犯灯に少なくとも発報装置及び撮像装置を配設したことを特徴とし、これらの灯は夜間撮像時の照明装置ともなり、発報装置及び撮像装置が容易に設置できるとともにほぼ同一の基準並びに条件で複数の防犯監視システムを構築できる。
【0022】
請求項18の発明は、請求項1の発明において、発報装置は、人が携帯する送信器と、監視区域内に設置される受信器とを有し、送信器は、人の操作に応じて無線媒体により緊急信号を送信する緊急信号送信手段を具備し、受信器は、緊急信号を受信する緊急信号受信手段と、緊急信号受信手段にて緊急信号を受信した場合に発報を行う発報手段とを具備し、画像処理装置は、緊急信号の送信位置を特定する緊急信号送信位置特定手段を具備し、発報者特定手段は、移動物体検出手段で検出された移動物体の中から緊急信号送信位置特定手段にて特定された送信位置に対応する位置に存在する移動物体を発報者として特定することを特徴とし、被害者の被害状況によっては被害者自身が発報装置を操作することが困難な場合が少なくないが、人(被害者)が携帯する送信器を操作して発報を行うことができるために被害を受けたその場で即座に発報を行うことが可能となる。
【0023】
請求項19の発明は、請求項18の発明において、緊急信号送信手段は、光を媒体として緊急信号を送信し、緊急信号受信手段は、監視区域を撮像することで緊急信号を受信し、緊急信号送信位置特定手段は、緊急信号受信手段が発報入力時点前後に撮像した時系列画像群を画像処理することで送信位置を特定することを特徴とし、送信位置が簡単且つ迅速に特定できる。
【0024】
請求項20の発明は、請求項19の発明において、緊急信号送信手段は、可視光を発する光源を点滅させることで緊急信号を送信し、緊急信号送信位置特定手段は、時系列画像群の中から可視光の輝度が繰り返して変化する位置を検出するとともに当該位置を送信位置として特定することを特徴とし、可視光を利用することで送信器及び受信器の設計のコストを抑えることができる。
【0025】
請求項21の発明は、請求項19の発明において、緊急信号送信手段は、赤外光を発する光源を点滅させることで緊急信号を送信し、緊急信号送信位置特定手段は、時系列画像群の中から赤外光の輝度が繰り返して変化する位置を検出するとともに当該位置を送信位置として特定することを特徴とし、赤外光を利用することで緊急信号の送信が犯人(被疑者)に悟られ難くなり、犯人を刺激することがない。
【0026】
請求項22の発明は、請求項19の発明において、緊急信号送信手段は、所定のパターン周期にて光を点滅させることで緊急信号を送信し、緊急信号送信位置特定手段は、時系列画像群の中から輝度が当該パターン周期に従って変化する位置を検出するとともに当該位置を送信位置として特定することを特徴とし、外乱による影響を受け難くなり、緊急信号の受信精度が向上する。
【0027】
請求項23の発明は、請求項18の発明において、送信器は、超音波を媒体として緊急信号を送信する緊急信号送信手段を具備し、受信器は、超音波の緊急信号を受信する複数の緊急信号受信手段を具備し、さらに送信器又は受信器の一方に、前記緊急信号送信手段と複数の緊急信号受信手段との間で緊急信号送受信の同期を取るための同期信号を送信する同期信号送信手段を具備し、他方に、同期信号を受信する同期信号受信手段を具備し、緊急信号送信位置特定手段は、同期手段により同期が取れた後に複数の緊急信号受信手段にて受信する緊急信号の遅延時間に基づいて各緊急信号受信手段から送信位置までの距離を求めて送信位置を特定することを特徴とし、光による緊急信号の送受信が困難な状況においても緊急信号を確実に送受信できる。
【0028】
請求項24の発明は、請求項18の発明において、送信器は、超音波を媒体として緊急信号を送信する緊急信号送信手段と、同期信号を受信する同期信号受信手段とを具備し、受信器は、超音波の緊急信号を受信する緊急信号受信手段と、当該緊急信号受信手段、並びに監視区域同士が隣接する他の防犯監視システムの受信器が具備する他の緊急信号受信手段と緊急信号送信手段との間で緊急信号送受信の同期を取るための同期信号を送信する同期信号送信手段とを具備し、緊急信号送信位置特定手段は、同期手段により同期が取れた後に各防犯監視システムにおける緊急信号受信手段にて受信する緊急信号の遅延時間に基づいて各緊急信号受信手段から送信位置までの距離を求めて送信位置を特定することを特徴とし、光による緊急信号の送受信が困難な状況においても緊急信号を確実に送受信できるとともに、1つの防犯監視システムにおける受信器に複数の緊急信号受信手段を設ける必要が無く、システムの導入コストが低減できる。
【0029】
請求項25の発明は、請求項18の発明において、送信器は、緊急信号とともに固有の識別番号を送信する緊急信号送信手段を具備し、受信器は、緊急信号並びに識別番号を受信する緊急信号受信手段と、個々の識別番号と各識別番号が割り当てられた個々の送信器を使用する使用者との対応関係が登録されたデータベースと、当該データベースを管理し緊急信号受信手段で受信した識別番号に対応する使用者の情報をデータベースから取得する使用者情報取得手段と、使用者情報取得手段にて取得した使用者情報を付加して発報を行う発報手段とを備えたことを特徴とし、発報があった場合に直ちに被害者の情報が使用者情報として得られ、警察の初動捜査に有益な情報が提供できるとともに、いたずら等による誤発報を防ぐことができる。
【0030】
請求項26の発明は、請求項1〜25の何れかの発明において、発報装置による発報が行われた場合に発報完了を報知する発報完了報知手段を備えたことを特徴とし、発報を行った被害者に発報が確実に行われたことを知らしめることができ、さらに周囲に犯罪の発生を知らせることができる。
【0031】
請求項27の発明は、請求項26の発明において、発報完了報知手段は、受信器に具備されて発報手段による発報が完了すると発報完了を報知する発報完了信号を送信する発報完了信号送信手段と、送信器に具備されて発報完了信号を受信する発報完了信号受信手段と、送信器に具備されて発報完了信号受信手段にて発報完了信号が受信されたことを表示や音、振動などにより通知する通知手段とを有することを特徴とし、発報を行った被害者のみに発報完了を知らせることができて犯人を刺激することがない。
【0032】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態の防犯監視システムの概略構成を図1に示す。この防犯監視システムは、街路等の不特定多数の人が往来する監視区域に設置され、人により操作されて発報を行う発報装置1と、監視区域を時系列で撮像する撮像装置2と、発報装置1からの発報を受けた場合に監視区域の撮像画像を画像処理することで発報装置1を操作した人及びその人が被害者となった犯罪の被疑者を特定する画像処理装置10とを有する。
【0033】
発報装置1は、人によって操作可能な位置に設けられた押釦スイッチ(図示せず)と、押釦スイッチが押操作されたときに発報信号を出力する出力回路(図示せず)とを備え、監視区域内の建物の壁面などに設置されるものである。また、撮像装置2はCCDのような固体撮像素子を用いたテレビカメラからなり、所定の時間間隔で撮像した画像(時系列画像)を出力するものであって、監視区域全体が視野内に収まるように設置される。但し、撮像装置2として夜間でも照明無しで撮像可能な赤外線カメラを用いても良いし、視野を広げるために魚眼レンズのような広角レンズを使用しても良い。なお、図2に示すように防犯灯や街路灯あるいは外灯のように監視区域に設置された屋外照明設備100に発報装置1並びに撮像装置2を配設すれば、屋外照明設備100が夜間撮像時の照明装置ともなり、設置が容易であるとともにほぼ同一の基準並びに条件で複数の防犯監視システムを構築できるという利点がある。
【0034】
画像処理装置10は、撮像装置2で撮像された画像(時系列画像)を記憶する画像記憶手段11と、画像記憶手段11に記憶された発報入力時点前後の時系列画像群を画像処理することで監視区域内を移動する移動物体を検出する移動物体検出手段12と、移動物体検出手段12で検出された移動物体の中から発報装置1を操作した人を発報者として特定する発報者特定手段13と、発報入力時点以前の時系列画像群を画像処理することで移動物体検出手段12にて検出された移動物体の中から発報者特定手段13で特定された発報者に接近する移動物体を被疑者の候補となる注目物体として検出する注目物体検出手段14とを備え、発報装置1並びに撮像装置2と各々信号線によって接続されて発報装置1並びに撮像装置2の近傍に設置される。すなわち、発報装置1から出力される発報信号、並びに撮像装置2で撮像された画像がそれぞれ信号線を通して画像処理装置10に伝送される。但し、信号線の代わりに電波等の無線媒体を使って発報信号及び画像を伝送することも可能であり、この場合には画像処理装置10を発報装置1並びに撮像装置2から離れた場所に設置することができる。
【0035】
画像記憶手段11は、図3に示すように、例えば30分〜60分といった比較的に長い時間に渡る多数の画像It-n(n=0,1,2,…)を時系列で保存可能な容量を有し、且つ必要に応じて任意の画像Itを取り出し得るメモリやハードディスク装置などからなる。また、移動体検出手段12、発報者特定手段13並びに注目物体検出手段14は、例えば汎用のコンピュータ装置に画像処理を含む専用の処理プログラムを実行させることで実現される。而して、画像処理装置10は、平常時には撮像装置2で撮像されて信号線を通して伝送されてくる画像Itを画像記憶手段11に保存する処理を繰り返している。
【0036】
次に監視区域内で犯罪(例えばひったくり)が発生した場合の防犯監視システムの動作を図4のフローチャートを参照して説明する。ここで、図1に示すように犯罪発生時点で監視区域内には被害者(発報者)HAと犯人(被疑者)HB以外の人物が存在しない状況を仮定する。なお、監視区域内には街路樹Tのような静止物体が存在する場合もある。
【0037】
まず、撮像装置2で撮像された画像が画像処理装置10に取り込まれ(ステップ1)、画像記憶手段11に保存される(ステップ2)。なお、上述したように発報が行われていない時点では上記ステップ1,ステップ2の処理が繰り返されている。そして、犯罪の被害者HAが発報装置1の押釦スイッチを押操作すると発報信号が出力され、この発報信号が信号線を通して画像処理装置10に伝送される(ステップ3)。ここで、画像記憶手段11内では時刻tに撮像された画像をIt、時刻tよりも1つ前の時刻t−1に撮像された画像をIt-1というように時系列画像群にラベルが付与されている。そして、以下説明を簡単にするために発報信号を受けた時刻tをt=t0とし、この時刻t=t0に撮像された画像をIt0、時刻t0よりも過去の時刻t=t0−nに撮像された画像をIt-n(n=1,2,…)、時刻t=t0よりも後の時刻t=t0+mに撮像された画像をIt+m(m=1,2,…)と表記する。
【0038】
発報信号を受けた画像処理装置10では、図5に示すように移動物体検出手段12が画像記憶手段11に保存されている画像Itのうちから時刻t=t0の画像It0を取り出し、予め撮像しておいた監視区域の背景画像Ibと画像It0との差分画像Ir0を作成することで移動物体K1,K2,…を検出する(ステップ4)。続いて、移動物体検出手段12によって検出された移動物体K1,K2,…のうちから発報者特定手段13にて発報者を特定する。すなわち、発報が行われた時点で発報装置1に最も近い位置にある移動物体が発報者であると考えられるので、発報者特定手段13では、図6に示すように上記差分画像Ir0において発報装置1の周囲に設定した発報者検出範囲Mに存在する移動物体K1,K2のうちで発報装置1からの距離が最も近い移動物体K1を発報者HAとして特定する(ステップ5)。
【0039】
次に、発報者特定手段13で特定された発報者HAに接近する移動物体を注目物体検出手段14にて検出する(ステップ6)。例えば、時刻t=t0の画像It0(あるいは上記差分画像Ir0)において、図7に示すように発報者HAとして特定した移動物体K1を中心とする小円の注目物体検出範囲Nを設定し、この注目物体検出範囲N内に移動物体が存在するか否かを判定し(ステップ6)、注目物体検出範囲N内に存在する移動物体K3を被疑者HBの候補である注目物体と特定する(ステップ7)。ここで、発報時点の画像It0において注目物体検出範囲N内に存在する移動物体が存在しない場合、移動物体検出手段12が画像記憶手段11に保存されている画像Itのうちから時刻t=t0よりも1つ前の時刻t=t0−1の画像It0-1を取り出し(ステップ8)、背景画像Ibとの差分画像Ir1を作成することで移動物体K1,…を検出する(ステップ9)。そして、発報者特定手段13が移動物体K1,…のうちから発報者と特定するのであるが、このときには最初に発報者として特定した移動物体K1との全体的な類似度を相関演算するパターンマッチング、あるいは移動物体の髪型、帽子、衣服、体形、顔かたち、眼鏡などの構成部分の形状や色などの特徴を特徴量として抽出した特徴量抽出値の照合又はこれら複数の特徴量を組み合わせた類似度などによって画像It0-1(あるいは差分画像Ir1)における複数の移動物体K1,…の中から発報者HAを特定する(ステップ10)。さらに、図7に示すように画像It0-1(あるいは差分画像Ir1)における注目物体検出範囲N内に移動物体が存在するか否かを判定し(ステップ6)、注目物体検出範囲N内に移動物体が存在すればその移動物体を注目物体と特定し(ステップ7)、画像It0-1において注目物体検出範囲N内に存在する移動物体が存在しない場合、上記ステップ6〜ステップ10の処理を繰り返して過去の画像It0-k(k=1,2,…)に遡って注目物体の特定処理を継続する(図8参照)。なお、本実施形態ではステップ6〜ステップ10の処理を繰り返しす際に連続した時刻の画像It0,It0-1,It0-2,…を順次取り出しているが、1つ飛ばしや2つ飛ばしで画像Itの間引きを行っても注目物体の特定は可能である。
【0040】
而して、本実施形態の防犯監視システムでは、犯罪の被害者によって発報装置1が操作されて発報されると時系列画像群を画像処理装置10で画像処理することによって被害者HA並びに被疑者HBが特定でき、監視区域の監視に要する労力を低減しつつ広い範囲を監視できる。また、犯罪発生時には被疑者HBに関する情報を速やかに取得することが可能であって警察の初動捜査にも充分に貢献し得るものである。特に、ひったくりなどのように通報時に被害者すら確認できなかった被疑者を即座に特定して追跡を行うために従来被疑者の検挙が難しかった犯罪の解決に大きな効果をもたらし、さらに、本システムによる犯罪の検挙率が上昇することでシステムの設置自体が犯罪発生の未然防止につながることも期待できる。
【0041】
(実施形態2)
図9は本実施形態における画像処理装置10のブロック図を示しており、実施形態1における画像処理装置10に注目物体を追跡する注目物体追跡手段15を追加した点に特徴があり、これ以外の画像処理装置10の構成並びに発報装置1及び撮像装置2については実施形態1と共通である。よって、共通する構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0042】
注目物体追跡手段15は、時系列画像群を画像処理することによって注目物体検出手段14で検出された注目物体を過去から現在の時間の流れに沿って追跡するものであって、注目物体の逃走経路を知るための重要な情報が得られるものである。なお、このような注目物体追跡手段15は、他の手段と同様に汎用のコンピュータ装置に専用の処理プログラムを実行させることで実現可能である。
【0043】
次に、図10のフローチャートを参照して注目物体の追跡動作を説明する。但し、注目物体を特定するまでの処理は実施形態1と同一であるから説明を省略する。
【0044】
注目物体特定手段14によって注目物体が特定されると(ステップ1)、注目物体が特定された画像It’(時刻t=t’の画像)における移動物体を移動物体検出手段12にて検出する(ステップ2)。そして、注目物体追跡手段15が全体的な類似度を相関演算するパターンマッチング、あるいは移動物体の髪型、帽子、衣服、体形、顔かたち、眼鏡などの構成部分の形状や色などの特徴を特徴量として抽出した特徴量抽出値の照合又はこれら複数の特徴量を組み合わせた類似度演算等の画像処理技術を利用して移動物体検出手段12で検出された移動物体のうちから注目物体を特定する(ステップ3)。注目物体追跡手段15による注目物体の特定(追跡)が現在の画像Itまで行われたか否かが判定され(ステップ4)、行われていなければ、移動物体検出手段12が画像記憶手段11に保存されている画像Itのうちから時刻t=t’よりも1つ後の時刻t=t’+1の画像It'+1を取り出し(ステップ5)、この画像It'+1における移動物体を検出する(ステップ6)。続いて、注目物体追跡手段15が移動物体検出手段12で検出された移動物体のうちから注目物体を特定する(ステップ7)。さらに、図11に示すように注目物体追跡手段15による注目物体の特定(追跡)が現在の画像Itまで行われたか否かが判定され(ステップ4)、現在の画像Itにおける注目物体の特定が行われとた判定されるまでの間、上記ステップ4〜ステップ7の動作が繰り返される(図11参照)。また、注目物体追跡手段15による注目物体の特定(追跡)が現在の画像It'+kまで行われると、撮像装置2で撮像される実時間での画像(次の時刻t=t'+k+1での画像It'+k+1)に対して注目物体追跡手段15が注目物体の追跡を継続する(ステップ8)。
【0045】
このように注目物体追跡手段15にて過去の画像から現在の画像に遡って注目物体を追跡することにより、被疑者の逃走経路を知ることができて警察の捜査に有益な情報を提供することができる。なお、本実施形態ではステップ4〜ステップ7の処理を繰り返しす際に連続した時刻の画像It',It'+1,It'+2,…を順次取り出しているが、1つ飛ばしや2つ飛ばしで画像It'の間引きを行っても注目物体の追跡は可能である。
【0046】
ところで、発報者HAに接近する移動物体が1つであるとは限らず、例えば複数犯の犯行である場合や被害者が複数である場合には注目物体も複数検出されることになる。すなわち、図12のフローチャート並びに図13を参照して説明すると、注目物体検出手段14は注目物体を特定(ステップ7)したのちに特定した注目物体の数が予め設定されている閾値を越えるか、あるいは注目物体を特定した時刻(注目物体を特定した画像の撮像された時刻)が閾値を越えるかを判断し(ステップ11)、何れの閾値も越えていなければステップ8の処理に戻って1つ前の時刻の画像について注目物体の検出処理を続行する。また、特定された注目物体については上記追跡処理を行う(ステップ12)。そして、少なくとも何れか一方の閾値を越える場合には、全ての注目物体の検出が完了したものとして注目物体検出手段14の処理を終了する(ステップ13)。なお、図12に示したフローチャートにおけるステップ1〜ステップ7の処理は実施形態1と共通である。
【0047】
而して、本実施形態においては、複数の注目物体が検出される状況においても全ての注目物体を追跡することで真の被疑者を追跡することができ、また、被疑者が複数ある場合も全ての被疑者を追跡することができる。
【0048】
(実施形態3)
本実施形態は、図14に示すように複数(例えば2つ)の防犯監視システムA,Bの間で注目物体の追跡に必要な情報を伝達するために各システムA,Bが備える画像処理装置10A,10Bに通信手段16,16を設けた点に特徴がある。但し、発報装置1並びに撮像装置2は実施形態1と共通であるから図示は省略し、さらに各画像処理装置10A,10Bの構成についても実施形態1,2と共通する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
通信手段16は従来周知の構成を有するものであって、専用回線や公衆電話回線等の有線あるいは無線の通信回線90を使って通信を行う。なお、通信回線90の接続は直列型又はスター型、あるいはその他の接続方式でも良い。
【0050】
ここで、本実施形態における2つの防犯監視システムA,Bの監視区域SA,SBが図15に示すように隣接している場合を想定して画像処理装置10A,10Bの動作を説明する。
【0051】
例えば、一方の防犯監視システム10Aの監視区域SA内で発報が有り、画像処理装置10Aによって注目物体KXの特定及び追跡が行われているときに、図15に示すように注目物体KXが監視区域SAを出て隣の監視区域SBに進入した場合、画像処理装置10Aの注目物体追跡手段15が注目物体KXの追跡に必要な情報(以下、「追跡情報」と呼ぶ)を通信手段16を介して隣の監視区域SBを監視する画像処理装置10Bに送信する。なお上記追跡情報としては、注目物体KXが監視区域SAを出たときの位置、移動速度並びに注目物体KXの形状を表す特徴などが含まれる。
【0052】
一方、通信手段16を介して画像処理装置10Aから上記追跡情報を受け取った画像処理装置10Bでは、受け取った追跡情報に基づいて注目物体検出手段14が相関などを用いた従来周知のマッチング処理によって監視区域SB内の注目物体KXを検出し、さらに検出された注目物体KXを注目物体追跡手段15にて追跡するのである(図16参照)。
【0053】
而して、本実施形態によれば、複数の防犯監視システムA,Bで連携して注目物体KXを追跡することができるから、個々の防犯監視システムA,Bの監視区域SA,SBよりも広い範囲にわたって追跡することができる。なお、本実施形態では2つの防犯監視システムA,B間で注目物体を追跡する場合を例示したが、3つ以上の防犯監視システム間においても追跡情報を授受して注目物体の追跡が行えることは明らかである。
【0054】
ところで、複数の防犯監視システムA,Bの監視区域SA,SBが接しておらず、図17に示すように間隔が空いている場合も考えられる。このような場合には注目物体KXが監視区域SAの外に出る直前の注目物体KXの位置、移動速度並びに移動方向から監視区域SAの外における注目物体KXの動き(移動速度や移動方向)並びにその動きから予測される監視区域SBへの到達時刻などを画像処理装置10Aの注目物体追跡手段15にて推定し、その推定結果を追跡情報として通信手段16を介して隣の監視区域SBを監視する画像処理装置10Bに送信すればよい。そして、通信手段16を介して上記追跡情報を受け取った画像処理装置10Bでは、受け取った追跡情報に基づいて注目物体検出手段14が注目物体KXの位置、移動方向並びに形状を表す特徴などを推定し、これらを用いて監視区域SBにおける注目物体KXを追跡するのである(図18参照)。なお、監視区域SA外における注目物体KXの動きを推測する方法としては、注目物体KXの移動の軌跡を直線又は2次曲線などに切り分けて推定するという従来周知の方法を用いればよい。
【0055】
このようにすれば、複数の防犯監視システムA,Bの監視区域SA,SB同士に隔たりがある場合においても、監視区域SA外における注目物体KXの推定結果を伝達し合うことで各防犯監視システムA,Bで連携して注目物体KXを追跡することができ、防犯監視システムA,Bの設置間隔を広くして費用を抑えることができる。また、監視区域SA,Sb内に撮像装置2の視野を遮る障害物が存在する場合にも障害物の影響を回避することができる。
【0056】
(実施形態4)
ところで、犯罪が発生した監視区域と発報装置1からの発報が行われた監視区域とが異なる状況においては、発報が行われた監視区域を監視する画像処理装置だけでは発報者に接近する移動物体を検出することができない。そこで、本実施形態では、図19に示すように複数(例えば2つ)の防犯監視システムA,Bの間で注目物体の特定に必要な情報を通信手段16により伝達するようにしている。本実施形態の構成は実施形態3と共通であるから共通する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
ここで、本実施形態における2つの防犯監視システムA,Bの監視区域SA,SBが図20に示すように隣接している場合を想定して画像処理装置10A,10Bの動作を説明する。
【0058】
例えば、一方の防犯監視システム10Aの監視区域SA内で発報が有り、画像処理装置10Aによって移動物体K1が発報者HAとして特定され、さらに発報者HAとして特定された移動物体K1に接近する他の移動物体を移動物体検出手段12で検出する過程において画像処理装置10Aの画像記憶手段11に保存されている画像It0-kに移動物体K1が含まれなくなったとき、画像処理装置10Aの発報者特定手段13が発報者HAとして特定した移動物体K1に関する情報(以下、「発報者情報」と呼ぶ)を通信手段16を介して隣の監視区域SBを監視する画像処理装置10Bに送信する。なお上記発報者情報としては、移動物体K1の監視区域SAに入ってきたときの位置、移動速度並びに移動物体K1の形状を表す特徴などが含まれる。
【0059】
一方、通信手段16を介して画像処理装置10Aから上記発報者情報を受け取った画像処理装置10Bでは、受け取った発報者情報に基づいて発報者特定手段13が相関などを用いた従来周知のマッチング処理によって監視区域SB内の移動物体K1を検出し、さらに検出された移動物体K1に接近する他の移動物体を注目物体検出手段14にて検出するのである(図21参照)。
【0060】
而して本実施形態によれば、発報者HAが被害にあった場所が発報を受けた防犯監視システムAの監視区域SAの外である場合でも複数の防犯監視システムA,B間で発報者情報を伝達することにより、発報者HAが被害にあった場所を監視区域SBに含む防犯システムBにて被疑者の候補となる注目物体KXを特定することができる。この場合、複数の防犯監視システムA,B同士で発報装置1を共用することが可能となるからコストダウンが図れるという利点もある。
【0061】
(実施形態5)
ところで、発報時点から犯罪が発生した時点までの間で監視区域内に発報者及び被疑者以外の移動物体が存在する場合も考えられる。本実施形態は、このような場合においても被疑者を特定するための発報者の追跡や、被疑者と特定された注目物体の追跡を精度良く行うための処理を提供するものである。但し、本実施形態の構成は実施形態2と共通であるから図示並びに説明は省略する。
【0062】
図22のフローチャートを参照して本実施形態の画像処理装置10の処理動作を説明する。まず、移動物体検出手段12にて時刻t=tの画像It及び時刻t=t−1の画像It-1と背景画像Ibとの差分画像を作成することで全ての移動物体を検出する(ステップ1)。続いて、移動物体検出手段12は時刻t=tの画像Itと背景画像Ibとの差分画像から何れか1つの移動物体を選択し(ステップ2)、選択した移動物体の位置、移動速度、移動方向又は形状を表す特徴と、時刻t=t−1の画像It-1から検出された全ての移動物体の位置、移動速度、移動方向又は形状を表す特徴とを比較して両者の相関値を計算する(ステップ3)。さらに、求めた相関値が閾値以上となる移動物体が存在するか否かを判定し(ステップ4)、閾値以上の移動物体のなかから相関値が最大の移動物体を時刻t=tの画像Itにおいて検出された移動物体と対応付け(ステップ5)、相関値が閾値以上となる移動物体が時刻t=tの画像Itの他の移動物体の中に存在しなければ、選択した上記移動物体が時刻t=t−1の時点では監視区域外にいると判断する(ステップ6)。なお、移動物体が監視区域外にいるか否かの判断を行う場合に当該移動物体の位置データを利用しても良い。
【0063】
そして、移動物体検出手段12は時刻t=tの画像Itにおいて検出された全ての移動物体に対して上記ステップ2〜ステップ7の処理を繰り返し、全ての移動物体について処理が終了すれば追跡のための対応付けが完了する(ステップ8)。このような対応付けを行うことにより、注目物体検出手段14による注目物体15の検出処理、あるいは注目物体追跡手段16による注目物体の追跡処理において無関係の移動物体を検出又は追跡することが可能となって、被疑者を特定するための発報者の追跡や、被疑者と特定された注目物体の追跡を精度良く行うことができる。但し、注目物体の追跡処理においては、上述の説明における時刻t=t−1を時刻t=t+1と置き換えれば同じように説明できる。また、上記処理においては、例えば時刻t=tの画像Itと時刻t=t−2の画像It−2を使うといったように画像を間引いても構わない。
【0064】
(実施形態6)
本実施形態は、図23に示すように発報装置1からの発報を受けた場合に犯罪の発生を周囲に報知する報知装置20と、発報装置1からの発報を受けた場合に関係機関に設置される中央監視装置80に犯罪の発生を通報する通報手段30と、中央監視装置80からの指令に基づいて撮像装置2を制御して監視区域の画像を取得するとともに取得した監視区域の画像を中央監視装置80に伝送する伝送制御手段40とを備えた点に特徴がある。なお、画像処理装置10を含む基本的な構成は実施形態1と共通であるから共通する構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0065】
報知装置20は、例えば発報装置1からの発報信号を受信するとサイレンやベルなどの警報音、あるいは非常用ランプの点灯などによる警報表示を行うものであって、警報音や警報表示の届く範囲を可能な限り広くするために比較的高所に設置される。
【0066】
中央監視装置80は、警察や消防署あるいは警備会社等の関係機関に設置され、各防犯監視システムが具備する通報手段30と通信回線により接続されている。通報手段30は例えば発報装置1に付設あるいは内蔵されており、通信回線を通して中央監視装置80に犯罪発生を通報したり、中央監視装置80を操作するオペレータと通話し得る電話機能を備えている。但し、通報手段30は発報装置1とは別に設置されるものであっても良い。また、通信回線は専用回線や公衆電話回線等の有線あるいは無線の何れでも構わない。なお、このような中央監視装置80並びに通報手段30は従来周知の技術を用いて容易に実現可能であるから、詳細な構成については図示並びに説明を省略する。
【0067】
伝送制御手段40は、同じく通信回線により中央監視装置80と接続されており、通信回線を介して中央監視装置80から伝送される指令に基づいて撮像装置2のレンズの焦点距離を遠隔制御し、所望の視野で撮像された画像を撮像装置2から取り込むとともに、取り込んだ画像を通信回線を介して中央監視装置80に伝送するものである。但し、本実施形態では伝送制御手段40により撮像装置2を制御して監視区域の画像を取得しているが、別途設けたテレビカメラやスチルカメラから監視区域の画像を取得する構成としても良い。
【0068】
而して、本実施形態によれば、報知装置20によって犯罪発生並びにその発生場所を迅速に報知して救助を求めることができ、また、通報手段30から関係機関の中央監視装置80に犯罪発生を通報して迅速な対応を要求することができ、さらに、伝送制御手段40から伝送される撮像画像によって遠隔地に設置される中央監視装置80にて監視区域を監視することができる。
【0069】
(実施形態7)
本実施形態は、図24に示すように注目物体追跡手段15による追跡結果に基づいて注目物体が視野内に含まれるように撮像装置2を制御する制御手段17と、上記追跡結果を中央監視装置80に送信する送信手段18とを画像処理装置10に備えた点に特徴がある。なお、画像処理装置10を含む基本的な構成は実施形態1と共通であるから共通する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
撮像装置2には遠隔制御によって焦点距離を可変とするレンズ機構や視野の方向を変えるための姿勢制御機構が設けられており、制御手段17により上記レンズ機構並びに姿勢制御機構が制御される。制御手段17は注目物体追跡手段15に追跡結果に基づいて追跡中の注目物体が視野内に収まるようにレンズ機構並びに姿勢制御機構を制御することにより、例えば注目物体の拡大画像を撮像して被疑者の逮捕に有益な情報を取得することができる。なお、本実施形態では制御手段17により撮像装置2を制御して注目物体の拡大画像等を取得しているが、別途設けたテレビカメラやスチルカメラで注目物体を撮像する構成としても良い。
【0071】
送信手段18は中央監視装置80と通信回線によって接続されており、注目物体追跡手段15による追跡結果(例えば注目物体が移動する方向や移動速度、現在位置等)を通信回線を介して中央監視装置80に送信するものである。而して、中央監視装置80においては送信手段18より送信される情報から各防犯監視システムによる注目物体(犯罪の被疑者)の追跡結果を把握することができる。
【0072】
(実施形態8)
本実施形態は、図25に示すように注目物体検出手段14で検出された注目物体の含まれる画像を画像記憶手段11から読み出して中央監視装置80に送信する送信手段18と、上記画像に含まれる注目物体を強調する強調手段19とを画像処理装置10に備えた点に特徴がある。なお、画像処理装置10を含む基本的な構成は実施形態1と共通であるから共通する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
送信手段18は中央監視装置80と通信回線によって接続されており、注目物体検出手段14で検出された注目物体の含まれる画像を画像記憶手段11から読み出し、通信回線を介して中央監視装置80に送信するものである。而して、中央監視装置80においては送信手段18より送信される画像、つまり被疑者と推定される注目物体が含まれた画像を確認することができる。
【0074】
また、強調手段19では画像記憶手段11から読み出した上記画像に対して注目物体のみを切り出した画像を生成したり、あるいは注目物体のみに輪郭付けした画像を切り出すなどの画像処理を行うことで注目物体を強調させるものであり、注目物体が強調された画像が送信手段18から通信回線を介して中央監視装置80に送信される。而して、中央監視装置80には注目物体が強調された画像を受け取るため、受け取った画像における注目物体の認識が容易になるという利点がある。なお、強調手段19において注目物体の位置と注目物体を切り出した画像を地図画像と合成すれば、注目物体のみをより明瞭にすることができる。
【0075】
(実施形態9)
本実施形態は、図26に示すように互いに異なる監視区域に設置された防犯監視システムA,Bの撮像装置2A,2Bと画像処理装置10を通信回線により接続し、2つの防犯監視システムA,Bで画像処理装置10を共用した点に特徴がある。なお、画像処理装置10を含む基本的な構成は実施形態1と共通であるから共通する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
本実施形態における画像処理装置10は、通信回線を介して各撮像装置2A,2Bで撮像された監視区域の画像を取り込むととともに、隣接した2つの監視区域を撮像した上記各画像を1つの画像に合成する隣接画像合成手段21を備えている。なお、隣接画像合成手段21により合成された画像は画像記憶手段11に保存され、移動物体検出手段12、発報者特定手段13、注目物体検出手段14並びに注目物体追跡手段15の処理対象である時系列画像となる。
【0077】
而して本実施形態の構成では、隣接画像合成手段21により2つの監視区域の画像を1つの画像に合成して発報者や注目物体の検出及び追跡を行うため、2つの防犯監視システムA,Bで1つの画像処理装置10を共用することができ、共用化によるコストダウンが図れるとともに保守も容易になるという利点がある。なお、共用される画像処理装置10は中央監視装置80とともに関係機関に設置しても良い。
【0078】
(実施形態10)
本実施形態の防犯監視システムの概略構成を図27に示す。但し、本実施形態の基本構成は実施形態1と共通であるから、共通する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
実施形態1においては、押釦スイッチを備えた発報装置1が監視区域内の建物の壁面などに設置されているため、被害者が犯罪発生後に発報装置1を探さなければならず、発報が遅れてしまう虞がある。特に、犯罪発生直後の被害者は気が動転しており、発報装置1を即座に探し出すことが難しい場合も想定される。また、被害者が負傷していて発報装置1の設置場所まで移動できない状況も考えられるが、このような状況では特に迅速な発報を行って救援を求めることが重要である。
【0080】
そこで本実施形態は、上述のような不具合を解消するために、発報装置1を人が携帯する送信器3と、監視区域内に設置される受信器4とで構成し、人の操作に応じて無線媒体により緊急信号を送信する緊急信号送信手段を送信器3に具備し、緊急信号を受信する緊急信号受信手段4aと、緊急信号受信手段4aにて緊急信号を受信した場合に発報を行う発報手段4bとを受信器4に具備するとともに、画像処理装置10に緊急信号の送信位置を特定する緊急信号送信位置特定手段22を設け、発報者特定手段13が移動物体検出手段12で検出された移動物体の中から緊急信号送信位置特定手段22にて特定された送信位置に対応する位置に存在する移動物体を発報者として特定するようにしたものである。
【0081】
送信器3は、図28に示すように押釦スイッチを有し押釦スイッチが操作された場合に操作信号を出力する操作部3aと、操作部3aから操作信号が入力されると緊急信号を送信するための制御信号を出力する制御部3bと、可視光を発する発光ダイオード等の光源を有した発光部3cと、制御信号が入力されると駆動信号を出力して発光部3cを駆動する駆動部3dと、電池を電源として各部の動作電源を作成する電源部3eとを備え、被害者HAが操作部3aを操作したときに発光部3cから光信号(緊急信号)を送信するものである。
【0082】
受信器4の緊急信号受信手段4aは、CCDのような固体撮像素子を用いたテレビカメラからなり、監視区域全体を画角内に収めるようにして常時撮像を行っている。なお、緊急信号受信手段4aを撮像装置2で兼用することも可能である。発報手段4bは、緊急信号受信手段4aで撮像した画像を時系列で記憶するメモリを有し、メモリに記憶した時系列の画像間(フレーム間)の差分を演算して差分画像を求め、差分画像における最も輝度の高い部分のレベルが所定の閾値を越えた場合に緊急信号が送信されたと判断して発報信号を画像処理装置10に出力する。
【0083】
一方、画像処理装置10の緊急信号送信位置特定手段22は、発報信号を受け取ると、緊急信号受信手段4aが発報入力時点前後に撮像した時系列画像群を画像処理することで送信位置を特定する。例えば、緊急信号送信位置特定手段22は発報手段4bが緊急信号の送信判断の根拠とした差分画像を発報手段4bより取得し、その差分画像における最もレベル(明るさのレベル)の高い部分の位置を検出して当該位置を送信位置に特定するのである。例えば、図29(a)は緊急信号の送信直前の画像、同図(b)は緊急信号の送信時の画像、同図(c)はこれら2つの画像の差分画像をそれぞれ示しており、緊急信号を送信している送信器3の位置(図29における黒丸部分)のレベルが最も高いことから、この位置が送信位置Xと特定できる。そして、画像処理装置10の発報者特定手段13にて、移動物体検出手段12によって検出された移動物体K1,K2のうちで緊急信号送信位置特定手段22で特定された送信位置Xの近傍(円形の領域Yで示された範囲)で最も近い位置に存在する移動物体K1が発報者HAとして特定される(図29(d)参照)。
【0084】
本実施形態は上述のように構成したものであるから、人(被害者)が携帯する送信器3を操作して発報を行うことができるために被害を受けたその場で即座に発報を行うことが可能になる。
【0085】
なお、本実施形態では、緊急信号送信用の光信号に可視光を利用することで送信器3及び受信器4の設計のコストを抑えることができるという利点がある。但し、上記光信号は可視光に限定されるものではなく、例えば近赤外光を用いても良い。この場合、送信器3の光源部3aには近赤外光を発する光源(発光ダイオードなど)を設け、受信器4の緊急信号受信手段4aには近赤外光に高い感度を有する赤外線用テレビカメラを用いる。なお、撮像装置2により特定波長の近赤外光を撮像可能として兼用しても構わない。而して、緊急信号送信用の光信号に赤外光を利用すれば、緊急信号の送信が近辺に居る犯人(被疑者)に悟られ難くなり、犯人を刺激することなく緊急信号が送信できるという利点がある。
【0086】
また、本実施形態では光源部3aを連続点灯させることで緊急信号を送信しているが、光源部3aを点滅させることで緊急信号を送信し、緊急信号送信位置特定手段22にて時系列画像群の中から可視光の輝度が繰り返して変化する位置を検出して当該位置を送信位置として特定することも可能である。例えば、図30(a)に示すように光源部3aを断続的に駆動して一定時間の点灯と消灯を交互に繰り返すことで緊急信号を送信すれば、受信器4の緊急信号受信手段4aによる撮像画像においては、同図(b)に示すように、点滅箇所の画素について輝度値の高い時系列画像群と輝度値の低い時系列画像群とが交互に現れる。このとき、点滅の周期は、予め撮像画像のフレーム周期(撮像周期)Tfの約8倍の周期Txと設定しているため、この半分に相当する4フレーム前の画像との差分画像を求め、求めた差分値を正の値のみデジタル化すれば、同図(c)に示すようになる。このデジタル信号を解析することで点滅状態の検知、すなわち緊急信号の受信が可能となり、点滅箇所の位置を特定することができる。なお、図30に示すように、光源部3aの点滅周期Txを撮像画像のフレーム周期Tfよりも数倍以上に充分長くすることで確実な検出が可能である。
【0087】
ところで、緊急信号を光信号とした場合、監視区域内又はその近傍に設置された信号機や広告灯などの光の点滅、あるいは自然光の反射や揺らぎによる光の点滅が生じているとこれらの光の点滅が受信器4にて緊急信号と誤認識される虞がある。そこで、送信器3において光源部3aを信号機や広告灯等の点滅のパターン周期と異なる所定のパターン周期で駆動して光を点滅させることで緊急信号を送信し、受信器4では上記所定のパターン周期を持ったデジタル信号のみを検出するようにすれば、上述のような光源部3aからの光以外の光の点滅を誤検出することがなく、正しい緊急信号のみを検出することができる。
【0088】
(実施形態11)
本実施形態の防犯監視システムの一部省略した概略構成を図31に示す。但し、本実施形態の基本構成は実施形態1並びに実施形態10と共通であるから、共通する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0089】
本実施形態と実施形態10との基本的な相違点は、本実施形態が発報装置1における緊急信号送信用の無線媒体に光ではなく超音波を用いる点にある。本実施形態の発報装置1は、携帯可能であって超音波により緊急信号を送信する送信器5と、送信器5から送信される超音波の緊急信号を受信する受信器6とで構成される。
【0090】
送信器5は、図32に示すように押釦スイッチを有し押釦スイッチが操作された場合に操作信号を出力する操作部5aと、操作部5aから操作信号が入力されると緊急信号を送信するための制御信号を出力する制御部5bと、超音波振動子を有する送信部5cと、制御信号が入力されると駆動信号を出力して送信部5cを駆動する駆動部5dと、後述する同期信号を受信するための受信素子を有する受信部5eと、受信部5eの出力を信号処理して同期信号を取り出す受信回路部5fと、電池を電源として各部の動作電源を作成する電源部5gとを備え、送信部5cの超音波振動子を駆動して超音波信号(緊急信号)を送信するものである。
【0091】
受信器6は、超音波信号を受信するための超音波検出器を有し、送信器5から送信される超音波の緊急信号を受信する複数(本実施形態では3つ)の緊急信号受信手段6A1,6A2,6A3と、緊急信号を受信した場合に画像処理装置10に発報信号を出力する発報手段6Bと、送信器5に対して同期信号を送信する同期信号送信手段6Cとを備える。3つの緊急信号受信手段6A1〜6A3は、有線又は無線の伝送路Lsで互いに接続され、この伝送路Lsを通して後述する種々のデータの授受を行っている。また、同期信号送信手段6Cは、3つのうちの1つの緊急信号受信手段6A1からの指令に基づいて電波や光あるいは超音波などの無線媒体により同期信号を送信するものである。
【0092】
次に、本実施形態における発報装置1の動作を説明する。
【0093】
通常は緊急信号受信手段6A1のみが緊急信号を受信可能な状態になっており、他の2つの緊急信号受信手段6A2,6A3は受信不可能な状態となっている。このような状況で人(被害者)HAが操作部5aを操作して送信器5から緊急信号が送信されると、受信可能状態である緊急信号受信手段6A1のみで緊急信号が受信され、他の2つの緊急信号受信手段6A2,6A3では緊急信号が受信されない。
【0094】
緊急信号を受信した緊急信号受信手段6A1は、同期信号送信手段を制御して同期信号を送信させるとともに、伝送路Lsを通して他の2つの緊急信号受信手段6A2,6A3に対して緊急信号の受信を許可するコマンドデータを送信する。緊急信号受信手段6A2,6A3は、伝送路Lsを通して上記コマンドデータを受信すると緊急信号を受信可能な状態に移行する。
【0095】
一方、送信器5では、受信部5e並びに受信回路部5fを介して同期信号を受け取った制御部5bが駆動部5dに制御信号を出力して送信部5cから再度緊急信号を送信させる。このとき、1回目の緊急信号の送信時とは違って2つの緊急信号受信手段6A2,6A3も受信可能状態となっているから、上記2回目の緊急信号は3つ全ての緊急信号受信手段6A1〜6A3で受信される。そして、緊急信号を受信した3つの緊急信号受信手段6A1〜6A3は伝送路Lsを通して受信許可のコマンドデータを送信又は受信した時点から2回目の緊急信号を受信した時点までの経過時間(遅延時間)を算出するとともに、2つの緊急信号受信手段6A2,6A3が算出した遅延時間のデータを伝送路Lsを通して緊急信号受信手段6A1に送信する。
【0096】
緊急信号受信手段6A1は、2回目の緊急信号を受信すると発報手段6Bに発報信号を出力させるとともに、他の2つの緊急信号受信手段6A2,6A3から受け取った遅延時間並びに自己の遅延時間のデータを発報手段6Bを介して画像処理装置10の緊急信号送信位置特定手段22に伝送する。
【0097】
緊急信号送信位置特定手段22では、緊急信号受信手段6A1から受け取った3つの遅延時間のデータと緊急信号の無線媒体である超音波の速度(音速)とに基づいて、各緊急信号受信手段6A1〜6A3と送信器5との距離を求める。ここで、同期信号の無線媒体に超音波よりも充分に高速な電波や光を用いている場合には、同期信号の送受信に要する時間を無視することができ、上記遅延時間と音速との積がそのまま各緊急信号受信手段6A1〜6A3と送信器5との距離を示すことになる。また、同期信号を緊急信号と同じく超音波で送信する場合には、同期信号の送受信に要する時間を無視することができず、上記緊急信号受信手段6A1の遅延時間と音速との積のおよそ半分が緊急信号受信手段6A1と送信器5との距離を示すことになる。また、他の緊急信号受信手段6A2,6A3の各遅延時間より緊急信号受信手段6A1の遅延時間のおよそ半分を引いた時間と音速との積が各緊急信号受信手段6A2,6A3と送信器5との距離をそれぞれ示すことになる。なお、送受信回路で遅延する時間などの誤差となる時間を除いて上記演算を行うことはいうまでもない。そして、各緊急信号受信手段6A1〜6A3と送信器5との距離が求まれば、三角測量の原理を用いて各緊急信号受信手段6A1〜6A3からみた送信器5の相対的な位置(送信位置)が求められる。そして、このようにして求めた送信位置を発報者特定手段13に与えれば、予め求めておいた撮像装置2と各緊急信号受信手段6A1〜6A3との位置関係と送信位置とに基づいて発報者HAの特定が可能である。なお、本実施形態では対象の空間での送信位置を特定するために緊急信号受信手段6A1〜6A3を3つとしたが4つ以上としてもよく、緊急信号受信手段6A1,…の数が多いほど送信位置の検出精度が高くなる。また、送信位置が受信手段の位置より前方の地上面に限定される場合は、緊急号受信手段を2つとしても良く、この場合、2つでも送信位置の特定が可能である。
【0098】
ところで、上述のように本実施形態においては、1つの緊急信号受信手段6A1を常時超音波信号が受信可能な状態とし、送信器3から送信された最初の緊急信号(超音波信号)を上記緊急信号受信手段6A1で受信したときに、同期信号を送信器5に送信するとともに他の2つの緊急信号受信手段6A2,6A3に超音波信号(緊急信号)の受信許可を与え、同期信号を受信した送信器5から距離を算出するための2回目の緊急信号を送信させている。これに対して、全ての緊急信号受信手段6A1〜6A3を超音波信号の受信不可状態とし、1回目の緊急信号が送信される前に電波あるいは光のような超音波よりも高速な無線媒体により送信器5から送信されるトリガ信号を受信したときに、このトリガ信号を受信した何れかの緊急信号受信手段6A1,…が超音波信号の受信可能状態に切り換わると同時に他の緊急信号受信手段6A2,…に受信許可のコマンドデータを伝送し、さらに送信器5に対して同期信号を送信するようにしてもよい。そして、同期信号を受信した送信器5から緊急信号を送信すれば、この緊急信号が全ての緊急信号受信手段6A1〜6A3にて受信されるので、既に説明した手順で各緊急信号受信手段6A1〜6A3から送信器5までの距離が算出できる。なお、トリガ信号が送信器5から緊急信号受信手段6A1,…に到達するまでの時間は超音波信号による緊急信号に比較して充分に短いことから、緊急信号受信手段6A1,…から送信される同期信号を待たずに、トリガ信号と同時又は所定時間だけ遅らせて送信器5から緊急信号(超音波信号)を送信するようにしても良い。
【0099】
また、他の構成として、超音波よりも高速な電波や光などの無線媒体により同期信号を送信する同期信号送信手段を送信器5に具備し、各緊急信号受信手段6A1〜6A3に同期信号受信手段を具備し、送信器5が同期信号送信手段より同期信号を送信すると同時に、超音波による緊急信号を送信し、全ての緊急信号受信手段6A1〜6A3において、前記同期信号を受信した時点から超音波の緊急信号を受信するまでの遅延時間を測定し、この遅延時間に基づいて各緊急信号受信手段6A1〜6A3と送信器5との距離を算出する構成としてもよい。
【0100】
なお、上記同期信号として、特定が容易なように予め規定したパルス周期又は変調モードの信号を用いると誤認識を防いで確実に受信することができ、上記遅延時間測定のタイミング同期を高い精度で行うことが可能である。また、同期信号に送信器5の固有番号などの識別情報を付加してもよい。あるいは、同期信号に超音波信号の発信モードや強度などのデータを付加して送信し、瞬時に超音波信号の送受信モードを自動的に切り換え、状況に応じて最適な送受信を行えるようにしてもよい。
【0101】
(実施形態12)
本実施形態の防犯監視システムの一部省略した概略構成を図33に示す。但し、本実施形態の基本構成は実施形態11と共通であるから、共通する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0102】
実施形態11では1つの受信器6が複数(例えば3つ)の緊急信号受信手段6A1,…を備えていたが、本実施形態では複数の防犯監視システムA,B,Cにおける各受信器6がそれぞれただ1つの緊急信号受信手段6A1,6A2,6A3と同期信号送信手段6C1,6C2,6C3とを備え、各防犯監視システムA,B,Cの緊急信号受信手段6A1,6A2,6A3同士が有線又は無線の伝送路Lsで接続されており、この点に本実施形態の特徴がある。
【0103】
次に、本実施形態における発報装置1の動作を説明する。
【0104】
通常は各防犯システムA,B,Cの各緊急信号受信手段6A1,6A2,6A3が全て緊急信号を受信可能な状態になっており、人(被害者)HAが操作部5aを操作して送信器5から緊急信号が送信された場合、送信器5からの距離が最も近い、例えば防犯監視システムAの緊急信号受信手段6A1で最初に緊急信号が受信される。緊急信号を受信した緊急信号受信手段6A1は、同期信号送信手段6C1を制御して同期信号を送信させるとともに、伝送路Lsを通して他の防犯監視システムB,Cの緊急信号受信手段6A2,6A3に対して同期信号の送信を禁止するコマンドデータを送信する。緊急信号受信手段6A2,6A3は、伝送路Lsを通して上記コマンドデータを受信すると、緊急信号を受信したとしても同期信号送信手段6C2,6C3から同期信号の送信を行わない。
【0105】
一方、送信器5では、受信部5e並びに受信回路部5fを介して同期信号を受け取った制御部5bが駆動部5dに制御信号を出力して送信部5cから再度緊急信号を送信させる。そして、この2回目の緊急信号が各緊急信号受信手段6A1〜6A3で受信されると、緊急信号を受信した各緊急信号受信手段6A1〜6A3は伝送路Lsを通して同期信号送信禁止のコマンドデータを送信又は受信した時点から2回目の緊急信号を受信した時点までの経過時間(遅延時間)を算出する。さらに、同期信号を送信しなかった2つの緊急信号受信手段6A2,6A3が算出した遅延時間のデータが伝送路Lsを通して緊急信号受信手段6A1に送信される。
【0106】
緊急信号受信手段6A1は、2回目の緊急信号を受信すると発報手段6B1に発報信号を出力させるとともに、他の2つの緊急信号受信手段6A2,6A3から受け取った遅延時間並びに自己の遅延時間のデータを発報手段6Bを介して画像処理装置10の緊急信号送信位置特定手段22に伝送する。
【0107】
緊急信号送信位置特定手段22では、実施形態11と同様に緊急信号受信手段6A1から受け取った3つの遅延時間のデータと緊急信号の無線媒体である超音波の速度(音速)とに基づいて算出した各緊急信号受信手段6A1〜6A3と送信器5との距離から送信器5の送信位置を求める。そして、発報者特定手段13にて、予め求めておいた撮像装置2と各緊急信号受信手段6A1〜6A3との位置関係と送信位置とに基づいて発報者HAを特定する。
【0108】
上述のように本実施形態では、実施形態11のように1つの防犯監視システムA,B,Cにおける受信器61〜63に複数の緊急信号受信手段6Aを設ける必要が無く、実施形態11に比較してシステムの導入コストが低減できるという利点がある。なお、本実施形態では上述のように連係して動作する防犯監視システムの数を3つとしたが4つ以上としてもよく、連係させる防犯監視システム(緊急信号受信手段6A1,…)の数が多いほど送信位置の検出精度が高くなる。
【0109】
(実施形態13)
本実施形態の防犯監視システムの一部省略した概略構成を図34に示す。但し、本実施形態の基本構成は実施形態10と共通であるから、共通する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0110】
本実施形態における送信器3は、それぞれ固有の識別番号(機器ID)が割り当てられて内蔵メモリ(図示せず)等に記憶しており、緊急信号を送信する際に自己に割り当てられた上記機器IDを同時に送信する。そして、受信器4では緊急信号受信手段4aが受信した緊急信号と機器IDを分離し、両者を発報手段4bに出力する。
【0111】
発報手段4bでは受け取った機器IDを使用者情報取得手段7に与える。この使用者情報取得手段7は、個々の機器IDと各機器IDが割り当てられた個々の送信器3を使用する使用者との対応関係が登録されたデータベースDBにアクセスし、緊急信号を送信した使用者(被害者)HAに関する使用者情報を取得する。ここで、データベースDBには送信器3を使用者に販売又は貸し出す際に申告された個人情報(使用者の氏名、住所、年齢、性別、連絡先の電話番号等)が販売又は貸し出された送信器3の機器IDと関連付けて登録されており、機器IDからその所有者の個人情報を検索することができるようになっている。
【0112】
使用者情報取得手段7にて取得された使用者情報は発報手段4bに送られ、発報手段4bから画像処理装置10に対して発報信号に付加して伝送される。但し、機器IDに対応する使用者情報がデータベースDBに登録されていない場合、その旨のエラー情報が発報手段4bに送られる。発報手段4bでは当該エラー情報を受け取った場合には、緊急信号受信手段4aによって緊急信号が誤検出されたものと判断し、発報信号の出力を行わないようにすることでいたずら等による誤発報を防いでいる。
【0113】
上述のように本実施形態では、発報を行う際に送信器3を所持する使用者(被害者)の個人情報を合わせて送信するようにしたため、発報があった場合に直ちに被害者の情報が使用者情報として得られ、警察の初動捜査に有益な情報が提供できるという利点がある。
【0114】
(実施形態14)
本実施形態の防犯監視システムの一部省略した概略構成を図35に示す。但し、本実施形態の基本構成は実施形態10と共通であるから、共通する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0115】
本実施形態は、発報装置1による発報が行われた場合に発報完了を報知する発報完了報知手段8を備えた点に特徴がある。発報完了報知手段8は、発報手段4bから発報信号を受け取ると発報完了の報知動作、例えばサイレン等を鳴らして音による報知を行ったり、あるいは回転灯や電光掲示板等を点灯させて光による報知を行う。また、発報完了報知手段8は必ずしも受信器4の近くに設置する必要はなく、確実且つ広い範囲に報知できる場所に設置されることが望ましい。
【0116】
本実施形態によれば、発報完了報知手段8により発報の完了を報知するようにしたので、発報を行った被害者に発報が確実に行われたことを知らしめることができ、さらに周囲に犯罪の発生を知らせることができるという利点がある。
【0117】
(実施形態15)
ところで、防犯監視システムの監視区域は人の往来の少ない場所であることが多いから、上述のように音や光を利用した発報完了報知を行うと犯人を刺激してしまい、被害者に危険が及ぶ虞もある。したがって、監視区域の状況によっては送信器3を所持した被害者のみに発報完了を報知する方が望ましい場合がある。
【0118】
そこで本実施形態では、図36及び図37に示すように発報手段4bによる発報が完了すると発報完了を報知する発報完了信号を送信する発報完了信号送信手段4cを受信器4に設け、発報完了信号を受信する発報完了信号受信部3fと、発報完了信号受信部3fにて発報完了信号が受信されたことを表示する表示部3gとを送信器3に設けている。
【0119】
受信器4の発報完了信号送信手段4cは、発報手段4bから発報信号が出力されると電波や光などの無線媒体を利用して発報完了信号を送信する。送信器3では発報完了信号受信部3fにて発報完了信号を受信すると、制御部3bが表示部3gに対して制御信号を出力する。表示部3gは例えば発光素子を具備しており、制御部3bから与えられる制御信号に応じて発光素子を発光させることで発報完了を報知する。
【0120】
本実施形態によれば、送信器3に設けられた表示部3gで発報完了が報知されるため、発報を行った被害者HAのみに発報完了を知らせることができて犯人を刺激することがないものである。ここで、表示部3gは視覚で認識される通知手段であるが、音などの聴覚で認識される通知手段、あるいは振動などの触覚で認識される通知手段などを用いてもよい。
【0121】
【発明の効果】
請求項1の発明は、不特定多数の人が往来する監視区域に設置され、人により操作されて発報を行う発報装置と、発報装置からの発報を受けた場合に監視区域の撮像画像を画像処理することで発報装置を操作した人及びその人が被害者となった犯罪の被疑者を特定する画像処理装置とを有する防犯監視システムであって、画像処理装置は、撮像装置で撮像された画像を記憶する画像記憶手段と、画像記憶手段に記憶された発報入力時点前後の時系列画像群を画像処理することで監視区域内を移動する移動物体を検出する移動物体検出手段と、移動物体検出手段で検出された移動物体の中から発報装置を操作した人を発報者として特定する発報者特定手段と、発報入力時点以前の時系列画像群を画像処理することで移動物体検出手段にて検出された移動物体の中から発報者特定手段で特定された発報者に接近する移動物体を被疑者の候補となる注目物体として検出する注目物体検出手段とを備えたので、犯罪の被害者によって発報装置が操作されて発報されると時系列画像群を画像処理することによって被害者並びに被疑者が特定できるから、監視区域の監視に要する労力を低減しつつ広い範囲を監視できるとともに犯罪発生時には被疑者に関する情報を速やかに取得することが可能であって警察の初動捜査にも充分に貢献し得るという効果がある。
【0122】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、発報入力時点前後の時系列画像群を画像処理することで注目物体を追跡する追跡手段を画像処理装置に備えるので、特定した注目物体を追跡することで被疑者と推測される人物又は物体の逃走経路を知ることができるという効果がある。
【0123】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、追跡手段で追跡する注目物体が監視区域外に出た場合に当該監視区域に隣接する監視区域を監視対象とする他の防犯監視システムの画像処理装置に対して注目物体の追跡に必要な情報を伝達する情報伝達手段を画像処理装置に備え、他の防犯監視システムの画像処理装置における追跡手段は情報伝達手段に伝達された情報に基づいて注目物体を追跡するので、複数の防犯監視システムで連携して注目物体を追跡するため、個々の防犯監視システムの監視区域よりも広い範囲にわたって追跡することができるという効果がある。
【0124】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、追跡手段で追跡する注目物体が監視区域外に出た場合に追跡結果に基づいて注目物体の監視区域外での移動方向や移動速度を推定する推定手段を画像処理装置に備え、情報伝達手段は推定手段による推定結果を他の防犯監視システムの画像処理装置に伝達するので、複数の防犯監視システムの監視区域同士に隔たりがある場合においても、推定手段による推定結果を伝達し合うことで各防犯監視システムで連携して注目物体を追跡することができ、防犯監視システムの設置間隔を広くして費用を抑えることができ、また、監視区域内に撮像装置の視野を遮る障害物が存在する場合にも障害物の影響を回避することができるという効果がある。
【0125】
請求項5の発明は、請求項2の発明において、注目物体検出手段は発報者に接近する移動物体が複数存在する場合に各移動物体を注目物体として検出し、追跡手段は注目物体検出手段で検出された複数の注目物体をそれぞれ追跡するので、複数の注目物体の中から被疑者が特定できない状況においても全ての注目物体を追跡することで真の被疑者を追跡することができ、また、被疑者が複数である場合も全ての被疑者を追跡することができるという効果がある。
【0126】
請求項6の発明は、請求項1の発明において、移動物体検出手段で検出した移動物体が監視区域外に出た場合に当該監視区域に隣接する監視区域を監視対象とする他の防犯監視システムの画像処理装置に対して移動物体の追跡に必要な情報を伝達する情報伝達手段を画像処理装置に備え、他の防犯監視システムの画像処理装置においては、移動物体検出手段が少なくとも情報伝達時点以前の時系列画像群を画像処理することで監視区域内を移動する移動物体を検出し、発報者特定手段が情報伝達手段に伝達された情報に基づいて発報者を特定し、注目物体検出手段が情報伝達時点以前の時系列画像群を画像処理することで特定された発報者に接近する移動物体を注目物体として検出するので、発報者が被害にあった場所が発報を受けた防犯監視システムの監視区域外である場合でも複数の防犯監視システム間で情報を伝達することにより、発報者が被害にあった場所を監視区域に含む防犯システムにて被疑者の候補となる注目物体を特定することができ、しかも、複数の防犯監視システム同士で発報装置を共用することが可能となってコストダウンが図れるという効果がある。
【0127】
請求項7の発明は、請求項1の発明において、発報者特定手段は、発報入力時点における画像に複数の移動物体が含まれる場合に発報装置との距離が最も近い移動物体を発報者と特定するので、複数の移動物体の中から最も発報者である蓋然性の高い移動物体を発報者に特定することができるという効果がある。
【0128】
請求項8の発明は、請求項1〜7の何れかの発明において、移動物体検出手段は、時系列画像と基準となる背景画像との差分画像から移動物体を検出し、追跡手段並びに発報者特定手段は、特定の時系列画像群における全ての移動物体について位置、移動速度、移動方向又は形状特徴値の相関値を算出し、当該相関値が閾値以上且つ最大となる移動物体を注目物体又は発報者とするので、発報者と被疑者以外の物体が監視区域に存在する場合でも発報者並びに被疑者の候補とする注目物体を精度良く特定並びに追跡することができるという効果がある。
【0129】
請求項9の発明は、請求項1〜8の何れかの発明において、発報装置からの発報を受けた場合に犯罪発生を周囲に報知する報知手段を備えたので、犯罪発生並びに発生場所を迅速に報知して救助を求めることができるという効果がある。
【0130】
請求項10の発明は、請求項1〜9の何れかの発明において、発報装置からの発報を受けた場合に関係機関に設置される中央監視装置に犯罪発生を通報する通報手段を備えたので、警察や消防署あるいは警備会社等の関係機関に設置される中央監視装置に犯罪発生を通報して迅速な対応を要求することができるという効果がある。
【0131】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、監視区域の画像を撮像する撮像手段と、中央監視装置からの指令に基づいて撮像手段を制御して監視区域の撮像画像を取得し、取得した撮像画像を中央監視装置に伝送する伝送制御手段とを備えたので、伝送されてくる撮像画像によって遠隔地に設置されている中央監視装置にて監視区域を監視することができるという効果がある。
【0132】
請求項12の発明は、請求項1の発明において、少なくとも視野が可変である撮像手段と、追跡手段による追跡結果に基づいて注目物体が視野内に含まれるように撮像手段を制御する制御手段とを備えたので、追跡中の注目物体の拡大画像等を得ることができるという効果がある。
【0133】
請求項13の発明は、請求項2〜5の何れかの発明において、追跡手段による追跡結果を関係機関に設置される中央監視装置に送信する送信手段を備えたので、遠隔地に設置されている中央監視装置にて追跡結果を把握することができるという効果がある。
【0134】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、送信手段は、追跡結果として注目物体が含まれる撮像画像を送信するので、中央監視装置にて被疑者と推定される注目物体が含まれた撮像画像を確認することができるという効果がある。
【0135】
請求項15の発明は、請求項14の発明において、撮像画像に含まれる注目物体を強調させる強調手段を備え、強調手段にて注目物体が強調された撮像画像を送信手段により送信するので、中央監視装置における注目物体の認識が容易となるという効果がある。
【0136】
請求項16の発明は、請求項3又は4又は6の発明において、画像処理装置が備える複数の手段の少なくとも一部を他の防犯監視システムの画像処理装置と共用するので、共用化によるコストダウンが図れるとともに保守も容易になるという効果がある。
【0137】
請求項17の発明は、請求項1〜16の何れかの発明において、監視区域に設置される外灯、街路灯又は防犯灯に少なくとも発報装置及び撮像装置を配設したので、これらの灯は夜間撮像時の照明装置ともなり、発報装置及び撮像装置が容易に設置できるとともにほぼ同一の基準並びに条件で複数の防犯監視システムを構築できるという効果がある。
【0138】
請求項18の発明は、請求項1の発明において、発報装置は、人が携帯する送信器と、監視区域内に設置される受信器とを有し、送信器は、人の操作に応じて無線媒体により緊急信号を送信する緊急信号送信手段を具備し、受信器は、緊急信号を受信する緊急信号受信手段と、緊急信号受信手段にて緊急信号を受信した場合に発報を行う発報手段とを具備し、画像処理装置は、緊急信号の送信位置を特定する緊急信号送信位置特定手段を具備し、発報者特定手段は、移動物体検出手段で検出された移動物体の中から緊急信号送信位置特定手段にて特定された送信位置に対応する位置に存在する移動物体を発報者として特定するので、被害者の被害状況によっては被害者自身が発報装置を操作することが困難な場合が少なくないが、人(被害者)が携帯する送信器を操作して発報を行うことができるために被害を受けたその場で即座に発報を行うことが可能になるという効果がある。
【0139】
請求項19の発明は、請求項18の発明において、緊急信号送信手段は、光を媒体として緊急信号を送信し、緊急信号受信手段は、監視区域を撮像することで緊急信号を受信し、緊急信号送信位置特定手段は、緊急信号受信手段が発報入力時点前後に撮像した時系列画像群を画像処理することで送信位置を特定するので、送信位置が簡単且つ迅速に特定できるという効果がある。
【0140】
請求項20の発明は、請求項19の発明において、緊急信号送信手段は、可視光を発する光源を点滅させることで緊急信号を送信し、緊急信号送信位置特定手段は、時系列画像群の中から可視光の輝度が繰り返して変化する位置を検出するとともに当該位置を送信位置として特定するので、可視光を利用することで送信器及び受信器の設計のコストを抑えることができるという効果がある。
【0141】
請求項21の発明は、請求項19の発明において、緊急信号送信手段は、赤外光を発する光源を点滅させることで緊急信号を送信し、緊急信号送信位置特定手段は、時系列画像群の中から赤外光の輝度が繰り返して変化する位置を検出するとともに当該位置を送信位置として特定するので、赤外光を利用することで緊急信号の送信が犯人(被疑者)に悟られ難くなり、犯人を刺激することがないという効果がある。
【0142】
請求項22の発明は、請求項19の発明において、緊急信号送信手段は、所定のパターン周期にて光を点滅させることで緊急信号を送信し、緊急信号送信位置特定手段は、時系列画像群の中から輝度が当該パターン周期に従って変化する位置を検出するとともに当該位置を送信位置として特定するので、外乱による影響を受け難くなり、緊急信号の受信精度が向上するという効果がある。
【0143】
請求項23の発明は、請求項18の発明において、送信器は、超音波を媒体として緊急信号を送信する緊急信号送信手段を具備し、受信器は、超音波の緊急信号を受信する複数の緊急信号受信手段を具備し、さらに送信器又は受信器の一方に、前記緊急信号送信手段と複数の緊急信号受信手段との間で緊急信号送受信の同期を取るための同期信号を送信する同期信号送信手段を具備し、他方に、同期信号を受信する同期信号受信手段を具備し、緊急信号送信位置特定手段は、同期手段により同期が取れた後に複数の緊急信号受信手段にて受信する緊急信号の遅延時間に基づいて各緊急信号受信手段から送信位置までの距離を求めて送信位置を特定するので、光による緊急信号の送受信が困難な状況においても緊急信号を確実に送受信できるという効果がある。
【0144】
請求項24の発明は、請求項18の発明において、送信器は、超音波を媒体として緊急信号を送信する緊急信号送信手段と、同期信号を受信する同期信号受信手段とを具備し、受信器は、超音波の緊急信号を受信する緊急信号受信手段と、当該緊急信号受信手段、並びに監視区域同士が隣接する他の防犯監視システムの受信器が具備する他の緊急信号受信手段と緊急信号送信手段との間で緊急信号送受信の同期を取るための同期信号を送信する同期信号送信手段とを具備し、緊急信号送信位置特定手段は、同期手段により同期が取れた後に各防犯監視システムにおける緊急信号受信手段にて受信する緊急信号の遅延時間に基づいて各緊急信号受信手段から送信位置までの距離を求めて送信位置を特定するので、光による緊急信号の送受信が困難な状況においても緊急信号を確実に送受信できるとともに、1つの防犯監視システムにおける受信器に複数の緊急信号受信手段を設ける必要が無く、システムの導入コストが低減できるという効果がある。
【0145】
請求項25の発明は、請求項18の発明において、送信器は、緊急信号とともに固有の識別番号を送信する緊急信号送信手段を具備し、受信器は、緊急信号並びに識別番号を受信する緊急信号受信手段と、個々の識別番号と各識別番号が割り当てられた個々の送信器を使用する使用者との対応関係が登録されたデータベースと、当該データベースを管理し緊急信号受信手段で受信した識別番号に対応する使用者の情報をデータベースから取得する使用者情報取得手段と、使用者情報取得手段にて取得した使用者情報を付加して発報を行う発報手段とを備えたので、発報があった場合に直ちに被害者の情報が使用者情報として得られ、警察の初動捜査に有益な情報が提供できるとともに、いたずら等による誤発報を防ぐことができるという効果がある。
【0146】
請求項26の発明は、請求項1〜25の何れかの発明において、発報装置による発報が行われた場合に発報完了を報知する発報完了報知手段を備えたので、発報を行った被害者に発報が確実に行われたことを知らしめることができ、さらに周囲に犯罪の発生を知らせることができるという効果がある。
【0147】
請求項27の発明は、請求項26の発明において、発報完了報知手段は、受信器に具備されて発報手段による発報が完了すると発報完了を報知する発報完了信号を送信する発報完了信号送信手段と、送信器に具備されて発報完了信号を受信する発報完了信号受信手段と、送信器に具備されて発報完了信号受信手段にて発報完了信号が受信されたことを表示や音、振動などにより通知する通知手段とを有するので、発報を行った被害者のみに発報完了を知らせることができて犯人を刺激することがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示す概略構成図である。
【図2】同上における発報装置並びに撮像装置の設置状況を説明する説明図である。
【図3】同上における時系列画像の説明図である。
【図4】同上の動作説明用のフローチャートである。
【図5】同上における発報者の特定処理を説明する説明図である。
【図6】同上における発報者の特定処理を説明する説明図である。
【図7】同上における注目物体の検出処理を説明する説明図である。
【図8】同上の動作説明図である。
【図9】実施形態2における画像処理装置のブロック図である。
【図10】同上の動作説明用のフローチャートである。
【図11】同上の動作説明図である。
【図12】同上の動作説明用のフローチャートである。
【図13】同上の動作説明図である。
【図14】実施形態3における画像処理装置のブロック図である。
【図15】同上の動作説明図である。
【図16】同上の動作説明図である。
【図17】同上の動作説明図である。
【図18】同上の動作説明図である。
【図19】実施形態4における画像処理装置のブロック図である。
【図20】同上の動作説明図である。
【図21】同上の動作説明図である。
【図22】実施形態5の動作説明用のフローチャートである。
【図23】実施形態6を示す概略構成図である。
【図24】実施形態7を示す概略構成図である。
【図25】実施形態8を示す概略構成図である。
【図26】実施形態9を示す概略構成図である。
【図27】実施形態10を示す概略構成図である。
【図28】同上における送信器を示すブロック図である。
【図29】同上の動作説明図である。
【図30】同上の動作説明図である。
【図31】実施形態11を示す一部省略した概略構成図である。
【図32】同上における送信器を示すブロック図である。
【図33】実施形態12を示す一部省略した概略構成図である。
【図34】実施形態13を示す一部省略した概略構成図である。
【図35】実施形態14を示す一部省略した概略構成図である。
【図36】実施形態15を示す一部省略した概略構成図である。
【図37】同上における送信器を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 発報装置
2 撮像装置
10 画像処理装置
11 画像記憶手段
12 移動物体検出手段
13 発報者特定手段
14 注目物体検出手段
Claims (27)
- 不特定多数の人が往来する監視区域に設置され、人により操作されて発報を行う発報装置と、監視区域を時系列で撮像する撮像装置と、発報装置からの発報を受けた場合に監視区域の撮像画像を画像処理することで発報装置を操作した人及びその人が被害者となった犯罪の被疑者を特定する画像処理装置とを有する防犯監視システムであって、画像処理装置は、撮像装置で撮像された画像を記憶する画像記憶手段と、画像記憶手段に記憶された発報入力時点前後の時系列画像群を画像処理することで監視区域内を移動する移動物体を検出する移動物体検出手段と、移動物体検出手段で検出された移動物体の中から発報装置を操作した人を発報者として特定する発報者特定手段と、発報入力時点以前の時系列画像群を画像処理することで移動物体検出手段にて検出された移動物体の中から発報者特定手段で特定された発報者に接近する移動物体を被疑者の候補となる注目物体として検出する注目物体検出手段とを備えたことを特徴とする防犯監視システム。
- 発報入力時点前後の時系列画像群を画像処理することで注目物体を追跡する追跡手段を画像処理装置に備えることを特徴とする請求項1記載の防犯監視システム。
- 追跡手段で追跡する注目物体が監視区域外に出た場合に当該監視区域に隣接する監視区域を監視対象とする他の防犯監視システムの画像処理装置に対して注目物体の追跡に必要な情報を伝達する情報伝達手段を画像処理装置に備え、他の防犯監視システムの画像処理装置における追跡手段は情報伝達手段に伝達された情報に基づいて注目物体を追跡することを特徴とする請求項2記載の防犯監視システム。
- 追跡手段で追跡する注目物体が監視区域外に出た場合に追跡結果に基づいて注目物体の監視区域外での移動方向や移動速度を推定する推定手段を画像処理装置に備え、情報伝達手段は推定手段による推定結果を他の防犯監視システムの画像処理装置に伝達することを特徴とする請求項3記載の防犯監視システム。
- 注目物体検出手段は発報者に接近する移動物体が複数存在する場合に各移動物体を注目物体として検出し、追跡手段は注目物体検出手段で検出された複数の注目物体をそれぞれ追跡することを特徴とする請求項2記載の防犯監視システム。
- 移動物体検出手段で検出した移動物体が監視区域外に出た場合に当該監視区域に隣接する監視区域を監視対象とする他の防犯監視システムの画像処理装置に対して移動物体の追跡に必要な情報を伝達する情報伝達手段を画像処理装置に備え、他の防犯監視システムの画像処理装置においては、移動物体検出手段が少なくとも情報伝達時点以前の時系列画像群を画像処理することで監視区域内を移動する移動物体を検出し、発報者特定手段が情報伝達手段に伝達された情報に基づいて発報者を特定し、注目物体検出手段が情報伝達時点以前の時系列画像群を画像処理することで特定された発報者に接近する移動物体を注目物体として検出することを特徴とする請求項1記載の防犯監視システム。
- 発報者特定手段は、発報入力時点における画像に複数の移動物体が含まれる場合に発報装置との距離が最も近い移動物体を発報者と特定することを特徴とする請求項1記載の防犯監視システム。
- 移動物体検出手段は、時系列画像と基準となる背景画像との差分画像から移動物体を検出し、追跡手段並びに発報者特定手段は、特定の時系列画像群における全ての移動物体について位置、移動速度、移動方向又は形状特徴値の相関値を算出し、当該相関値が閾値以上且つ最大となる移動物体を注目物体又は発報者とすることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の防犯監視システム。
- 発報装置からの発報を受けた場合に犯罪発生を周囲に報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の防犯監視システム。
- 発報装置からの発報を受けた場合に関係機関に設置される中央監視装置に犯罪発生を通報する通報手段を備えたことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の防犯監視システム。
- 監視区域の画像を撮像する撮像手段と、中央監視装置からの指令に基づいて撮像手段を制御して監視区域の撮像画像を取得し、取得した撮像画像を中央監視装置に伝送する伝送制御手段とを備えたことを特徴とする請求項10記載の防犯監視システム。
- 少なくとも視野が可変である撮像手段と、追跡手段による追跡結果に基づいて注目物体が視野内に含まれるように撮像手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の防犯監視システム。
- 追跡手段による追跡結果を関係機関に設置される中央監視装置に送信する送信手段を備えたことを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の防犯監視システム。
- 送信手段は、追跡結果として注目物体が含まれる撮像画像を送信することを特徴とする請求項13記載の防犯監視システム。
- 撮像画像に含まれる注目物体を強調させる強調手段を備え、強調手段にて注目物体が強調された撮像画像を送信手段により送信することを特徴とする請求項14記載の防犯監視システム。
- 画像処理装置が備える複数の手段の少なくとも一部を他の防犯監視システムの画像処理装置と共用することを特徴とする請求項3又は4又は6記載の防犯監視システム。
- 監視区域に設置される外灯、街路灯又は防犯灯に少なくとも発報装置及び撮像装置を配設したことを特徴とする請求項1〜16の何れかに記載の防犯監視システム。
- 発報装置は、人が携帯する送信器と、監視区域内に設置される受信器とを有し、送信器は、人の操作に応じて無線媒体により緊急信号を送信する緊急信号送信手段を具備し、受信器は、緊急信号を受信する緊急信号受信手段と、緊急信号受信手段にて緊急信号を受信した場合に発報を行う発報手段とを具備し、画像処理装置は、緊急信号の送信位置を特定する緊急信号送信位置特定手段を具備し、発報者特定手段は、移動物体検出手段で検出された移動物体の中から緊急信号送信位置特定手段にて特定された送信位置に対応する位置に存在する移動物体を発報者として特定することを特徴とする請求項1記載の防犯監視システム。
- 緊急信号送信手段は、光を媒体として緊急信号を送信し、緊急信号受信手段は、監視区域を撮像することで緊急信号を受信し、緊急信号送信位置特定手段は、緊急信号受信手段が発報入力時点前後に撮像した時系列画像群を画像処理することで送信位置を特定することを特徴とする請求項18記載の防犯監視システム。
- 緊急信号送信手段は、可視光を発する光源を点滅させることで緊急信号を送信し、緊急信号送信位置特定手段は、時系列画像群の中から可視光の輝度が繰り返して変化する位置を検出するとともに当該位置を送信位置として特定することを特徴とする請求項19記載の防犯監視システム。
- 緊急信号送信手段は、赤外光を発する光源を点滅させることで緊急信号を送信し、緊急信号送信位置特定手段は、時系列画像群の中から赤外光の輝度が繰り返して変化する位置を検出するとともに当該位置を送信位置として特定することを特徴とする請求項19記載の防犯監視システム。
- 緊急信号送信手段は、所定のパターン周期にて光を点滅させることで緊急信号を送信し、緊急信号送信位置特定手段は、時系列画像群の中から輝度が当該パターン周期に従って変化する位置を検出するとともに当該位置を送信位置として特定することを特徴とする請求項19記載の防犯監視システム。
- 送信器は、超音波を媒体として緊急信号を送信する緊急信号送信手段を具備し、受信器は、超音波の緊急信号を受信する複数の緊急信号受信手段を具備し、さらに送信器又は受信器の一方に、前記緊急信号送信手段と複数の緊急信号受信手段との間で緊急信号送受信の同期を取るための同期信号を送信する同期信号送信手段を具備し、他方に、同期信号を受信する同期信号受信手段を具備し、緊急信号送信位置特定手段は、同期手段により同期が取れた後に複数の緊急信号受信手段にて受信する緊急信号の遅延時間に基づいて各緊急信号受信手段から送信位置までの距離を求めて送信位置を特定することを特徴とする請求項18記載の防犯監視システム。
- 送信器は、超音波を媒体として緊急信号を送信する緊急信号送信手段と、同期信号を受信する同期信号受信手段とを具備し、受信器は、超音波の緊急信号を受信する緊急信号受信手段と、当該緊急信号受信手段、並びに監視区域同士が隣接する他の防犯監視システムの受信器が具備する他の緊急信号受信手段と緊急信号送信手段との間で緊急信号送受信の同期を取るための同期信号を送信する同期信号送信手段とを具備し、緊急信号送信位置特定手段は、同期手段により同期が取れた後に各防犯監視システムにおける緊急信号受信手段にて受信する緊急信号の遅延時間に基づいて各緊急信号受信手段から送信位置までの距離を求めて送信位置を特定することを特徴とする請求項18記載の防犯監視システム。
- 送信器は、緊急信号とともに固有の識別番号を送信する緊急信号送信手段を具備し、受信器は、緊急信号並びに識別番号を受信する緊急信号受信手段と、個々の識別番号と各識別番号が割り当てられた個々の送信器を使用する使用者との対応関係が登録されたデータベースと、当該データベースを管理し緊急信号受信手段で受信した識別番号に対応する使用者の情報をデータベースから取得する使用者情報取得手段と、使用者情報取得手段にて取得した使用者情報を付加して発報を行う発報手段とを備えたことを特徴とする請求項18記載の防犯監視システム。
- 発報装置による発報が行われた場合に発報完了を報知する発報完了報知手段を備えたことを特徴とする請求項1〜25の何れかに記載の防犯監視システム。
- 発報完了報知手段は、受信器に具備されて発報手段による発報が完了すると発報完了を報知する発報完了信号を送信する発報完了信号送信手段と、送信器に具備されて発報完了信号を受信する発報完了信号受信手段と、送信器に具備されて発報完了信号受信手段にて発報完了信号が受信されたことを表示や音、振動などにより通知する通知手段とを有することを特徴とする請求項26記載の防犯監視システム。
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