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JP3801717B2 - バイオリアクター用担体及び触媒 - Google Patents
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JP3801717B2 - バイオリアクター用担体及び触媒 - Google Patents

バイオリアクター用担体及び触媒 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は動植物細胞、微生物、原生動物等の生体触媒を結合固定し、バイオリアクター(固定化生体触媒)として物質生産、有害物の無害化処理、廃油処理、排水処理、脱臭等に使用する吸水性ゲル担体に関する。
【0002】
【従来の技術】
バイオリアクターに用いられる担体は、大別すると多孔質担体とゲル担体(非多孔質)に分けられる。多孔質担体としてはポリウレタン多孔体、セルロース多孔体、ポリプロピレン多孔体、ポリビニルホルマール多孔体、セラミックス多孔体などがある。
【0003】
これらの担体は多孔体であるがゆえに大きな表面積を有し、多孔表面に動植物細胞、微生物や原生動物を結合固定して用いる場合が多い。
しかし、ポリウレタン、ポリプロピレン多孔体は疎水性であるため、水中流動性に劣り、且つ動植物細胞、微生物、原生動物等の生体触媒が結合しにくい欠点がある。セルロース多孔体は微生物の侵食を受け耐用年数が低い。ポリビニルホルマール多孔体は工業的製造方法が確立されていない等の欠点がある。又、セラミックスは比重が高いために水中で流動させることができないので、使用方法に限定を受ける。
【0004】
ゲル担体としては、ポリアクリルアミドゲル担体、ポリエチレングリコールゲル担体、ポリビニルアルコールゲル担体、アルギン酸ゲル担体などが例示できる。これらのゲル担体では、ゲル中に動植物細胞、微生物、原生動物等を包括固定して用いることが一般的であるが、ゲル表面に動植物細胞、微生物や原生動物を結合固定して用いることもできる。
【0005】
これらのゲル担体は高度に水分を含有するため、細胞毒性のあるアクリルアミドから合成されるポリアクリルアミドゲル担体を除き、生体に対する親和性が高く、動植物細胞、微生物や原生動物に好適な生息環境を与えるが、一方では高度に水分を含有するがゆえに物理的強度に劣る担体が多く、排水処理システム等の反応槽中で使用中に磨耗したり崩壊する恐れが大きい。
【0006】
上記した担体を含め、従来報告されているゲル担体は熱硬化性、低温硬化性、イオン架橋による硬化性あるいは光硬化性有機高分子化合物の範疇に入るものであり、反応性モノマーを水に溶解した状態から反応ゲル化して得られる。
【0007】
これらの担体は大きな表面積を得るために、粒径数ミリのサイコロ状、球状または円柱状にする必要があるが、その手段としては、従来は含水し、膨潤したゲルを切断する方法や、モノマー水溶液を粒径数ミリの球状にした状態で反応ゲル化する方法等が主流であった。その結果、従来のゲル担体の製造はきわめて繁雑であり、製造時間とコストが著しく大きいという欠点があった。また、大量のゲルを作成することも困難であり、これらの理由から、ゲル担体を使用したバイオリアクターがなかなか普及しないと考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高度に水分を含有し、物理的強度に優れ、微生物の侵食を受けず、且つ工業的大量生産が容易な架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂の吸水性ゲルからなるバイオリアクター用担体を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下の発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は、下記一般式(A)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドを原料として合成される架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂を、水又は生体触媒の懸濁液にて膨潤ゲル化して得られる吸水性ゲルからなるバイオリアクター用担体を提供する。
【0011】
【化2】
Figure 0003801717
【0012】
[式(A)中、R1及びR2は各々独立に水素原子又はメチル基を表す。]
【0013】
また、本発明は、前記バイオリアクター用担体を使用した排水処理用触媒を提供する。
また、本発明は、前記バイオリアクター用担体を使用した脱臭用触媒を提供する。
【0014】
本発明の架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂の吸水性ゲルからなるバイオリアクター用担体(以下、「吸水性ゲル担体」ということがある。)を用いると、排水処理システム等における反応槽内の撹拌効率、動植物細胞密度、微生物や原生動物密度等を高め、高度の処理能力を実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(1)架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂
本発明に使用される架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂は、下記一般式(A)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドを原料として合成されるものである。具体的には、前記N−ビニルカルボン酸アミドを重合したホモポリマー、又はN−ビニルカルボン酸アミド及びその他のビニルモノマーを共重合したコポリマー等のN−ビニルカルボン酸アミド樹脂の主鎖を架橋剤にて架橋して得られる。
【0016】
【化3】
Figure 0003801717
【0017】
[式中R1及びR2は各々独立に水素原子またはメチル基を示す。]
【0018】
(i)N−ビニルカルボン酸アミド樹脂
N−ビニルカルボン酸アミド樹脂の主構成モノマー成分は、上記一般式(A)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドであり、その代表的なものを以下に例示すると、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドが挙げられ、特にN−ビニルアセトアミドが好ましい。
【0019】
N−ビニルカルボン酸アミド樹脂がN−ビニルカルボン酸アミドとその他のビニルモノマーとを共重合したコポリマーである場合は、該コポリマーを構成するその他のビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ドデシルエステル、ステアリルエステル、パルミチルエステル等のアルキルエステル;ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル等のヒドロキシ低級アルキルエステル;ジメチルアミノメチルエステル、ジメチルアミノエチルエステル等の低級アルキルアミノ基で置換された低級アルキルエステル;ハロゲン化トリメチルアミノエチルエステル、ハロゲン化トリエチルアミノエチルエステル等の第4級アミノ基で置換された低級アルキルエステル;ジメチルアミノメチルアミド、ジエチルアミノエチルアミド等の低級アルキルアミノ基で置換されたアミド;ハロゲン化トリメチルアミノエチルアミド、ハロゲン化トリエチルアミノエチルアミド等の第4級アミノ基で置換された低級アルキルアミド;スルフォメチルアミド、スルフォエチルアミド、ソディウムスルフォエチルアミド等のスルフォン酸又はアルカリ金属スルフォン酸で置換された低級アルキルアミド、
【0020】
アクリロニトリル、N−ビニル−2−ピロリドン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の低級カルボン酸ビニル、
アリルスルホン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸又はそれらのアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0021】
特に、通常は負に帯電している微生物を効率よく吸水ゲル担体に付着・吸着させることを目的に、吸水ゲル担体に陰イオン交換基を導入する場合は、アクリル酸、メタクリル酸のハロゲン化トリエチルアミノエチルエステル等の第4級アミノ基で置換された低級アルキルエステル又はハロゲン化トリエチルアミノエチルアミド等の第4級アミノ基で置換された低級アルキルアミドを選択し、水中で陰イオン交換基の解離により陽イオンを生ぜしめて担体を正に帯電させることも可能である。
【0022】
(ii)架橋剤
本発明の架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂の合成に使用される架橋剤は、1分子中に重合可能な不飽和基を少なくとも2個以上有する化合物が用いられ、代表的なものを例示すると、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド等のN,N’−低級アルキレンビスアクリルアミド;アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル等のジビニル化合物;トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等のポリアリル化合物;N,N’−メチレンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,N’−プロピレンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,N’−ブチレンビス(N−ビニルアセトアミド)等のN,N’−低級アルキレンビス(N−ビニルカルボン酸アミド)等が挙げられる。
【0023】
本発明の架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂の合成に使用される架橋剤の使用量は、主鎖中のN−ビニルカルボン酸アミドの割合及ぴ所望の吸水ゲルの吸水率、物理的強度に合わせて適宜添加すればよく、限定されない。
【0024】
(iii)架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂の合成
本発明の架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂の合成は、上述したN−ビニルカルボン酸アミド樹脂の構成モノマーと架橋剤とを、これらを均一に溶解させる非水系溶媒中で、以下に挙げる重合開始剤を用いて沈殿共重合させた後、溶媒を蒸発・乾固させることにより行われる。これにより、粒子状の架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂が得られる。また、粒子状の架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂は、重合・乾燥した後に粉砕することによっても得られる
合成に使用される重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)等の、重合反応に使用する溶媒に溶解する過酸化物、有機過酸化物、アゾビス系化合物等が用いられる。使用量は、所望の吸水性ゲルの粒径、吸水率、物理的強度に合わせて適宜添加すればよく、特に限定されない。
【0025】
このように、本発明の架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂は、乾燥状態の粒子状で得られ、この樹脂を水または動植物細胞及び微生物の懸濁液にて膨潤ゲル化してバイオリアクター用担体として使用するので、従来のゲル状担体が含水状態で得られるのと比較して、輸送又は保存の面で非常に有利である。
【0026】
(2)吸水性ゲル
本発明の吸水性ゲルは、上記方法で得られる架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂を、水又は生体触媒の懸濁液にて膨潤ゲル化して得られる。生体触媒としては、動植物細胞、微生物、原生動物等が挙げらる。具体的には、微生物としては硝酸菌、脱窒菌、糸状菌等が挙げられ、原生動物としては、ミミズ、ワムシ、ツリガネムシ等が挙げられる。特に、前記樹脂を所望の生体触媒の懸濁液にて膨潤させると、バイオリアクターの初期性能が著しく向上するので好ましい。
【0027】
このようにして得られる本発明の吸水性ゲルの粒径は、水に完全膨潤した状態で1.0mm〜20mmの範囲であるものが好ましく、更に好ましくは3.0mm〜10mmの範囲である。粒径が1.0mm未満の場合、バイオリアクターや生物処理槽から流出してしまい好ましくない。20mmより大きい場合は、吸水性ゲルの表面積が小さくなり、その結果、バイオリアクターや生物処理槽に投入する吸水性ゲルの量が増加するので好ましくない。
【0028】
このような粒径の吸水性ゲルは、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂の重合時に該樹脂が水に完全膨潤した状態で1.0mm〜20mmとなるよう沈殿共重合させるか、該樹脂を重合・乾燥した後に粉砕することによって上記範囲の粒径の架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂を得、これを膨潤化することによって得られる。さらに、乾燥状態又は膨潤状態の樹脂又はゲルをふるいにかけることよって、粒径の揃った吸水性ゲルとすることができる。
【0029】
本発明の吸水性ゲルは、以下に示す数式(I)で定義される吸水率が50%〜3500%の範囲であるものが好ましく、更に好ましくは500%〜3000%の範囲である。
【0030】
【数1】
Figure 0003801717
【0031】
尚、数式(I)において、完全膨潤時重量は、25℃の純水に浸漬し重量変化のなくなったときの重量であり、絶乾時重量は、100℃で乾燥し重量減少のなくなったときの重量である。
【0032】
50%未満の吸水率では吸水性ゲルとは言い難く、微生物の付着が悪いと共に吸水性ゲルの比重が高くなって水中での流動性が悪くなる。3500%より大きい吸水率では吸水性ゲルの物理的強度が著しく低下するため実用的ではない。
【0033】
(3)バイオリアクター用担体
本発明のバイオリアクター用担体(吸水性ゲル担体)は、上記架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂の吸水性ゲルからなり、素材のN−ビニルカルボン酸アミド樹脂の親水性が極めて高く、多量の水分をゲル中に蓄える性質を有し、動植物細胞、微生物、原生動物等の生体触媒に対する親和性に優れている。
【0034】
N−ビニルカルボン酸アミド樹脂は、非イオン性のポリマーであるため、従来のゲル担体に使用されているポリマーに比べて、広範囲のpH領域及び温度領域でも安定的な吸水・保水効果を持ち、その効果は、培養液や海水などの塩溶液中やアルコール等の有機溶媒中でも発揮される。
【0035】
本発明に使用される架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂は、乾燥状態の粒子状で得られ、この樹脂を水または動植物細胞及び微生物の懸濁液にて膨潤ゲル化してバイオリアクター用担体として使用するので、従来のゲル状担体が含水状態で得られるのと比較して、輸送又は保存の面で非常に有利である。
【0036】
また、樹脂を膨潤する際に、所望の動植物細胞及び微生物の懸濁液にて膨潤させることにより、バイオリアクターの初期性能が著しく向上する。
本発明の吸水性ゲル担体は、動植物細胞、微生物、原生動物等の存在する培養液や被処理水中に投入して用いる。この担体は、生体に対する親和性が極めて高いため、水中に存在する動植物細胞、微生物や原生動物はゲル表面に付着し、増殖する。
【0037】
本発明の吸水性ゲル担体はスポンジ状多孔質担体と異なり、肉眼で確認できる多孔構造は有していない。従って、硝酸菌、脱窒菌、糸状菌などの粘着性の強い生体触媒が吸水性ゲル担体表面に優先的に付着することになる。
【0038】
吸水牲ゲル担体を含む培養液や被処理水は、エアレーション撹拌やアジテータによる撹拌などの方法で撹拌を受ける。すると、担体への粘着性が低い動植物細胞、微生物、原生動物等の生体触媒は吸水性ゲル担体の表面より剥がれ落ちることになる。
【0039】
粘着性の強い動植物細胞、微生物、原生動物等のみが多量に付着、結合固定され、これらの生体触媒は流動するときも剥がれにくい。従って、微生物群の中から粘着性の強い動植物細胞、微生物、原生動物等のみを担体表面で増殖させる効果がある。この点は本発明の吸水性ゲル担体において、特に強調すべき点である。
【0040】
また、従来の含水ゲルと異なり、耐剪断性が高いので、生体触媒として扱う動植物細胞、微生物、原生動物等が担体の外部表面に多量且つ高密度に固定化された状態において、プロペラなどによる効率的な撹拌が可能となる。
【0041】
以下に、本発明の吸水性ゲル担体を使用した排水処理について、特に排水中のアンモニア態窒素の硝酸態窒素への分解処理を例として挙げて説明する。
図1は本発明の吸水性ゲル担体を使用した排水処理システムの概略図である。図1中、1は最初沈澱池又は原水タンク、2は生物学的反応槽、3は最終沈澱池又は沈殿槽である。最初沈澱池1から供給された被処理水4は、生物学的反応槽2内で生物学的に処理される。処理された処理水5は最終沈澱池3に供給され、ここで沈澱物を除去して上澄水を放流するように設計されている。
【0042】
生物学的反応槽2には、酸素あるいは酸素濃度を適宜調整した空気を供給するエアレーションのための散気装置6が設置されている。6にはブロアモーター7から酸素を含む空気が送られる。
【0043】
また、生物学的反応槽2には、本発明の吸水性ゲル担体8が投入される。生物学的反応槽2において、被処理水4を導入しつつ槽内の処理水5を最終沈殿池3に送る状態で、散気装置6から酸素を含んだ空気を吹き出すと、槽内の混合液9に酸素が供給される。この時上昇気泡流が生じ、混合液の対流が起き、吸水性ゲル担体は反応槽内を浮遊、循環流動する。混合液9中に存在する有機汚濁物質を分解、除去する微生物などが吸水性ゲル担体8に付着、結合固定化される。
【0044】
この時吸水性ゲル担体8は極めて高い含水率を有し、微生物等に対する親和性が高い。混合液9には浮遊の微生物群が含まれている。この微生物群の中には、有機汚濁物質を栄養源とするBOD資化細菌、アンモニア態窒素を硝酸態窒素に分解する硝酸菌、硝酸態窒素を気体窒素に変換する脱窒菌など多種多様の微生物が含まれている。
【0045】
これらの微生物群は水中で泥の粒の様に見えるので、微生物群を総称して活性汚泥と呼ぶこともある。さらに、ミミズやワムシ、ツリガネムシなどの原生動物も含まれている場合がある。
【0046】
これらの浮遊微生物群の中から、粘着性の強い微生物、例えば硝酸菌などが積極的に吸水性ゲル担体表面に結合固定されていく。生物学的反応槽2において、担体の表面に結合固定された微生物群と浮遊の微生物群の両方の作用で被処理水中の有機汚濁物質や窒素成分が分解除去される。
【0047】
排水中のアンモニア態窒素が、河川や海洋汚染の主原因のーつであることが判明し、現在では排水中のアンモニア態窒素を低下させることが求められている。排水中のアンモニア態窒素は活性汚泥中に存在する硝酸菌により硝酸に変換され、硝酸は脱窒菌により、窒素まで変換され大気中に放出される。
【0048】
硝酸菌はきわめて生育が遅い菌であるため、浮遊微生物群すなわち活性汚泥中の濃度は余り高くない。従って、ー般の排水処理に用いられている活性汚泥法では十分にアンモニア態窒素を処理することができないのである。
【0049】
なぜ、活性汚泥中で硝酸菌が増殖できないのであろうか。発明者等は、考察した結果次のような考えにたどり着いた。
即ち、ある単位空間に存在できる微生物の総数はほぼ一定であると考えられる。従って、活性汚泥中にBOD資化菌の様な増殖の早い菌が存在すると、BOD資化菌ばかりが増えて、硝酸菌のような増殖の遅い菌は増殖できないことになる。その結果、活性汚泥中の硝酸菌濃度はいつも低い結果となる。それを避けるには硝酸菌のみを別の空間で増殖させれば良い。硝酸菌は粘着性が強いため、吸水性ゲル担体の平滑表面にも付着できる。一方、粘着性が余り強くないBOD資化菌のような微生物は担体表面に付着できない。従って、担体表面の空間は硝酸菌のみが高濃度で増殖することになる。
【0050】
本発明の吸水性ゲル担体を使用することは、硝酸菌とBOD資化菌の生息空間を分離するという意味を有している。吸水性ゲル担体表面に結合した硝酸菌により、アンモニア態窒素は極めて効率的かつ高速度に生物学的に処理される。
【0051】
一方、多孔質の担体を使用した場合、スポンジ状の担体の気孔部に汚泥が引っ掛けられ、生物学的反応槽中の汚泥濃度を増加させることにより、排水処理能力を向上させるものである。したがって発明者等の言う、生息区間を分ける効果は少ない。そのため、多孔質担体は吸水性ゲル担体よりアンモニア態窒素の処理能力に劣る場合が多い。
【0052】
以上、排水処理、特に排水中のアンモニア態窒素の硝酸態窒素への分解処理について例示したが、本発明の吸水性ゲル担体は上記例に限定されず、排水処理用触媒、脱臭用触媒等として、脱窒過程等の他の排水処理や、生物脱臭等の排水処理以外の生体触媒反応にも利用することができる。
【0053】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0054】
【実施例1】
<架橋型N−ビニルアセトアミドゲル担体の調製>
架橋型N−ビニルアセトアミド樹脂(昭和電工(株)製)をふるいにかけ、粒径1.0〜2.0mmのものを採取し、室温下、24時間、脱イオン水に浸漬して粒径3.0〜6.0mmの架橋型N−ビニルアセトアミド樹脂吸水性ゲル担体を得た。この吸水性ゲルの吸水率は2800%であった。
【0055】
【実施例2】
<架橋型N−ビニルアセトアミドゲル担体の調製>
架橋型N−ビニルアセトアミド樹脂(昭和電工(株)製)をふるいにかけ、粒径1.0〜2.0mmのものを採取し、MLSSで5000mg/lの硝化槽汚泥懸濁液に浸漬し、25℃で24時間、エアポンプによる空気撹拌を行いつつ、粒径3.0〜6.0mmの架橋型N−ビニルアセトアミド樹脂吸水性ゲル担体を得た。この吸水ゲルの吸水率は2800%であった。
【0056】
【比較例1】
<ポリエチレングリコールゲル担体の製造>
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(M−230G;新中村化学工業(株)製)10重量部とポリエチレングリコールジメタクリレート(23G;新中村化学工業(株)製)5重量部とジメチルアミノプロピオニトリル0.4重量部とを水34.4重量部に溶解した。これにMLSSで5000mg/lの硝化槽汚泥懸濁液49.4重量部に過硫酸カリウム0.6重量部を溶解したものを添加し、よく撹拌した後、型に流し込みゲル化させた。ゲルを取り出して5mm角に裁断し、ポリエチレングリコールゲル担体を得た。このゲル担体の吸水率は570%であった。
【0057】
【実施例3】
<短期排水処理硝化試験>
実施例1、実施例2及び比較例1で得られた3種のゲル担体を用いて、短期間の排水処理硝化試験を行った。試験装置としては、図1に示した排水処理装置を用いた。20L容量の曝気槽(生物学的反応槽)2に、2Lの担体と、実施例1のゲル担体については硝化槽汚泥5g−SSとを添加して、表1に示す人工排水を用い、表2に示す条件で試験を行った。
【0058】
【表1】
Figure 0003801717
【0059】
【表2】
Figure 0003801717
【0060】
ゲル担体添加から2週間後と4週間後に原水と処理水のNH4−N濃度を測定し、NH4−N除去率を求めた。また、4週間の試験を行った担体について後述の硝化菌体付着試験を行った。結果を表3に示す。
【0061】
【実施例4】
<硝化菌体付着試験>
実施例3に示した排水処理硝化試験を4週間行った後、50個のゲル担体を曝気槽から取り出し、50ml容メスフラスコに投入し、純水でメスアップした。メスフラスコごとに超音波洗浄機に供して担体から微生物を剥離させた後、メスフラスコ中の微生物懸濁液について、硝化細菌測定キット(「検出くん」:(株)ヤクルト製)を用いて亜硝酸菌数と硝酸菌数とを測定し、両数の和を硝化菌数として硝化菌体付着量を求めた。結果を表3に示す。
【0062】
【実施例5】
<ゲル担体磨耗試験>
実施例1、実施例2及び比較例1で得られた3種のゲル担体について以下の摩耗試験を行った。すなわち、担体の磨耗強度比較ガラス瓶(直径40mm、長さ200mm)の内面に耐水サンドペーパー(100番)を貼った容器に、ゲル担体30ml(100mlのメスシリンダーを使用して計量)と水120mlを加えて、栓をした。この容器をストローク70mm、回転数150rpmで20時間往復振とうさせた。その後、中の担体を取り出し、見開き1mmのふるいを通した。ふるいに残ったゲル担体の容積を100mlのメスシリンダーを使用して計量し、下記数式(II)に基づいて摩耗残存率を求めた。結果を表3に示す。
【0063】
【数2】
Figure 0003801717
【0064】
【表3】
Figure 0003801717
【0065】
【発明の効果】
本発明の架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂の吸水性ゲルからなるバイオリアクター用担体は、高度に水分を含有するにもかかわらず、磨耗強度も高く、親水性であるため動植物細胞、微生物や原生動物がその生理活性を低下させることなく吸着し、微生物の侵食を受けにくい。また、幅広いpH領域、温度領域及び塩溶液中、有機溶媒中でも安定したゲル化能を保持する。更に、乾燥樹脂粒子として得られるので輸送・保存の面で有利なゲル担体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の架橋型N−ビニルカルボン酸アミドゲル担体を使用した排水処理システムの概略図である。
【符号の説明】
1・・・最初沈殿池
2・・・生物学的反応槽
3・・・最終沈殿池
4・・・被処理水
5・・・処理水
6・・・散気装置
7・・・ブロアモーター
8・・・吸水性ゲル担体
9・・・混合液

Claims (6)

  1. 下記一般式(A)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドを原料として合成される架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂を水または生体触媒の懸濁液により膨潤ゲル化して得られる吸水性ゲルからなるバイオリアクター用担体であって、前記吸水性ゲルの吸水率が500〜3500%であるバイオリアクター用担体。
    Figure 0003801717
    [式(A)中、R1及びR2は各々独立に水素原子又はメチル基を表す。]
  2. N−ビニルカルボン酸アミドがN−ビニルアセトアミドである請求項1記載のバイオリアクター用担体。
  3. 前記吸水性ゲルの粒径が1.0mm〜20mmである請求項1記載のバイオリアクター用担体。
  4. 請求項1記載のバイオリアクター用担体を使用したバイオリアクター。
  5. 前記生体触媒が排水処理用触媒または脱臭用触媒である請求項4記載のバイオリアクター。
  6. 請求項4または5記載のバイオリアクターを、被処理水と混合し、反応漕中で撹拌し、被処理水中の有機汚濁物質や窒素成分を分解除去する、廃水処理方法。
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