JP3802425B2 - エミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路 - Google Patents
エミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路に係わり、特に差動対に安定な電流を供給する手段を改善したエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の微細化技術の進展に伴い、シリコン(Si)基板を用いたバイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)においては、急速な高fT化が進んでいる。
【0003】
特に、Si−Ge構造のBJTは従来のガリウム砒素(GaAs)トランジスタのfTに接近してきている。
【0004】
移動体通信分野用の高周波IC(RF−IC)では、従来は、GaAs ICと Si−ICでは棲み分けされていたが、最近ではその棲み分けが崩れつつあり、より安価な製品を求める市場要求もありGaAs ICのSi−IC化が進んできている。そこで、GaAs ICの特徴である低雑音特性をSi基板上のBJTで実現するために、増幅回路として最も素子数の少ないエミッタ接地増幅回路が見直されてきている。
【0005】
従来から用いられてきたエミッタ接地増幅回路は、BJTのエミッタ電極と接地電位GND間に電流帰還抵抗素子(いわゆるエミッタディジェネレーション抵抗素子、またはエミッタ帰還抵抗素子と呼ばれる)が挿入されており、BJTのべース電極の電圧が変動してもコレクタ電流変動が比較的少ない回路構成であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このエミッタ帰還抵抗素子には雑音特性上好ましくなく、エミッタ抵抗素子がもつ熱雑音がエミッタ接地増幅回路全体としての雑音特性を劣化させるというデメリットがある。
【0007】
従って、GaAs ICに対抗する雑音特性を有するにはエミッタ帰還抵抗素子のない回路か、帰還抵抗素子の変わりにインダクタンスを挿入することしかできない。
【0008】
エミッタ電極を直接接地電位GNDに接続する場合でも、インダクタンスを介す場合でもエミッタ電極〜接地電位GND間の抵抗素子は0(ゼロ)オーム(Ω)になるので、エミッタ接地トランジスタのベース電極の電圧変動によるコレクタ電流の変動は大きくなる。つまり、ベース電圧変動に対し指数関数的に変動する。
【0009】
また、近年の高速化されたBJTプロセスでは特にエミッタ電極やベース電極の開口が狭小化されているために、同じエミッタサイズのトランジスタを近接配置してもサイズ比を確保することが困難になってきている。
【0010】
極端な場合を例に挙げると、エミッタ電極の開口形状は通常長方形であるが開口を狭くしていくと、エミッタ電極開口形状は長方形ではなく楕円に近づいてしまい、レチクルの開口縦横比では開口サイズをコントロールできなくなってきている。
【0011】
その結果、レイアウト上同一サイズを近接配置してもサイズ比のずれが生じ、いわゆる、相対バラツキが増大してしまう。この開口比のズレによる影響を最も強く受ける設計パラメータは順方向飽和電流(Is)であり、このIs変動による回路特性変動をいかに低減した回路を提供するかが、これからの微細化プロセスで製品化する上で重要な事項である。
【0012】
特に、後述する図1に示した回路のように、バランス入力バランス出力の差動増幅器を構成した場合、バランスすべきペアトランジスタは、トランジスタQ1およびQ2とPNP型およびQ4の2つのペアであるが、PNP型およびQ4のIs相対バラツキにより、Q1およびQ2のベースバイアスがアンバランスになるとトランジスタQ1およびQ2に流れるコレクタ電流がアンバランスになってしまう。
【0013】
ここで注意が必要なのはトランジスタQ1およびQ2にはエミッタ帰還抵抗素子が無いために、ベースバイアスのオフセットにより指数関数的にコレクタ電流が変化してしまう点である。
【0014】
上述したように、エミッタ接地増幅回路の、特にエミッタ電極と接地電位間に抵抗素子が挿入されていない場合は、特に、相対的な素子バラツキ(特にIs)に変動しやすいという欠点があった。
【0015】
このような欠点を改善した一例が特開2000−22448号公報に記載されている。同公報記載の回路図を示した図7を参照すると、この回路は温度補償回路、バイアス回路、ミキサ回路の3つのブロックから構成されている。
【0016】
後述する本発明の一実施の形態を示した図4と比較すると、バイアス回路とミキサ回路が比較対照ブロックになる。図4における基準電圧入力端子は、図7におけるNPN型トランジスタQ26、Q27の共通ベースのノードに当たる。
【0017】
図7におけるエミッタ接地トランジスタのベース電圧オフセットは、トランジスタQ32とQ33のベース電圧差になる。
【0018】
ここで、トランジスタQ26、Q27のIsの相対バラツキによるトランジスタQ32とQ33のベース電圧差を計算すると以下のようになる。
【0019】
ここで、
Vb12:トランジスタQ32のベース電圧
Vb13:トランジスタQ33のベース電圧
RL:抵抗素子R28、R29が同一値としての抵抗素子値
Is6:トランジスタQ26の順方向飽和電流
Is7;トランジスタQ27の順方向飽和電流
Vbe6:トランジスタQ26、Q27のベースエミッタ電極間電圧
さらに、
【0020】
と書けることを考えると式(29)はさらに、
【0021】
と表せる。
【0022】
ここで式(30)の2.7とは、現状の移動体通信ICの電源電位Vcc推奨動作範囲下限値であり、0.8とは、トランジスタQ32、Q33のDCバイアス値は約0.8Vという仮定による。
【0023】
式(31)を式(28)と比較すると、どちらの式も「ベース電圧の差」はIsの比で決まるのであるが、式(28)においてはIsの比が対数で圧縮されている点が異なる。
【0024】
また、式(28)ではIs比が対数圧縮された後、Vt(=26mV)という低い係数しかない点である。この効果を図3に示す。
【0025】
このIsの比が対数で圧縮される理由は、回路構成的にエミッタ接地トランジスタのベース電極を電圧印加によるバイアス回路ではなく、定電流源で電流をベース電極に供給する構成になっているためである。図3におけるグラフの比較からも本発明の優位性は明白である。
【0026】
さらに、後述する図1の回路において、外部基準電圧端子Vrefの変動によるQ1のコレクタ電流の変動量は、
【0027】
なので、
【0028】
となる。同様な観点で図7の回路のトランジスタQ26のベース電圧が変動した場合のトランジスタQ32のコレクタ電流変動量は、
【0029】
となる。
【0030】
ここで、
Ic12:トランジスタQ32のコレクタ電流
Ic6:トランジスタQ26のコレクタ電流
Vb5:トランジスタQ25のベース電圧
である。
【0031】
本発明での式(33)の意味するところは、Vref電圧が変動してもPNP型およびQ4のエミッタ電極は抵抗素子R3を介して電源電位Vccに接地されているために、抵抗素子R3がエミッタ帰還抵抗素子になり、Ic1の変動幅は帰還抵抗素子値の2倍の逆数になる。
【0032】
図7の従来回路ではVb5の電圧変動は、トランジスタQ26と抵抗素子R28で構成するエミッタ接地増幅器として動作するので、この増幅器によりゲイン倍されてトランジスタQ32のベースに入力される。式(34)において右辺第2と第3項の積がこのゲインを表している、さらに右辺第1項はトランジスタQ32の相互コンダクタンス(gm)を表している。
【0033】
また、式(34)中のRLは入力端子IN21,IN22からの入力抵抗素子を設定する抵抗素子であるために、高抵抗素子値に設定されることは、Ic12の変動量をより助長させてしまう。
【0034】
また、バイアス回路の電流であるが、図7のバイアス回路部では、Q32、Q33のベース電流を供給するとともに、トランジスタQ26、Q27のコレクタ電流も消費しなければならない分、消費電流は大きいが、本発明では、ベース電流しか流さないので低電流化を図ることができる。
【0035】
また、エミッタ接地回路を用いたミキサ回路の他の例が特開平08−116216号公報に記載されている。同公報記載のミキサ回路のエミッタ接地されたトランジスタのベースバイアスの設定は電圧で制御されており、電流で制御される本発明とは異なった手法である。
【0036】
このミキサ回路は、エミッタ接地された一方のトランジスタと対をなす他方のトランジスタでカレントミラ回路を構成しており、このカレントミラーの電流源を備える。
【0037】
この電流源の電流が上記カレントミラー回路を構成する他方のトランジスタのエミッタ抵抗素子とエッミタ・ベース間電圧とに電圧を発生させ、この電圧を上記のエミッタ接地された一方のトランジスタのベース電極に印加する、という方法である。
【0038】
したがって、電流源電流を電圧に変換するための負荷素子、すなわち、上記カレントミラー回路を構成する他方のトランジスタとそのエミッタ抵抗素子とが必要な構成になっている。
【0039】
一方、本発明では電流源電流がエミッタ接地を構成するトランジスタのベース電極に入力されるので、電流を電圧に変換させる構成要素である上記カレントミラー回路を構成する他方のトランジスタとそのエミッタ抵抗素子とに相当するものが不要である。
【0040】
本発明の目的は、上述した従来の欠点に鑑みなされたものであり、差動対に安定な電流を供給する手段を改善し、エミッタ接地トランジスタのベースバイアスオフセットを減少でき、かつベースバイアス回路の低電流化できるたエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路を提供することにある。
【0041】
【課題を解決するための手段】
本発明のエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路は、エミッタ電極が直接接地されるエミッタ接地NPN型トランジスタ対を備える差動増幅器の前記NPN型トランジスタ対それぞれのベース電極ごとに入力信号レベルの減衰防止用高抵抗素子が接続され、その減衰防止用高抵抗素子を介してベース電流を供給するPNP型トランジスタ対の対応するコレクタ電極に高周波バイパス用容量素子がそれぞれ接続され、さらに前記PNP型トランジスタ対の共通接続されたエミッタ電極と電源電位と間に電流供給用抵抗素子が挿入接続され、その電流供給用抵抗素子を流れる電流により前記NPN型トランジスタ対のコレクタ電流も制御する機能を有することを特徴とする。
【0042】
本発明のエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路の他の特徴は、エミッタ電極が抵抗素子を介さずに直接接地されるエミッタ接地NPN型トランジスタ対を備える差動増幅器の前記NPN型トランジスタのコレクタ電流制御用に設けられ一端が電源電位に接続された電流制限抵抗素子と、この電流制限抵抗素子の他端にエミッタ電極が共通接続され、かつ前記NPN型トランジスタ対のベース電流をそれぞれ供給するための電流源となる第1および第2のPNP型トランジスタ対と、この第1および第2のPNP型トランジスタ対それぞれのコレクタ電極が個別に設けた高周波バイパス用容量素子を介してそれぞれ接地されるとともに前記NPN型トランジスタ対のベースに抵抗素子を介して前記ベース電流を供給する機能を有することにある。
【0046】
本発明のエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路のまた他の特徴は、エミッタ電極が抵抗素子を介さずに直接接地されるエミッタ接地NPN型トランジスタ対を備える差動増幅器が、安定動作確保手段として、前記差動増幅器に電源電位からの電流を一括して供給する電流一括供給用抵抗素子にエミッタ電極が接続されたベース電流供給用のPNP型トランジスタ対のコレクタ電極および前記エミッタ接地NPN型トランジスタ対のベース電極の間に接続される抵抗素子と、PNP型トランジスタ対のコレクタ電極および接地電位の間に接続される容量素子とを備えることにある。
【0047】
本発明のエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路のまたさらに他の特徴は、エミッタ電極が抵抗素子を介さずに直接接地されるエミッタ接地NPN型トランジスタ対を備える差動増幅器の前記エミッタ接地NPN型トランジスタ対は、前記差動増幅器に電源電位から電流を一括供給する電流供給用抵抗素子の電流出力側端子に一端が接続される第1および第2の負荷受動素子の他端がコレクタ電極に接続され、前記電流一括供給用抵抗素子によりコレクタ電流が制御される機能を有することにある。
【0048】
本発明のエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路のさらにまた他の特徴は、エミッタ電極が直接接地される第1および第2のNPN型トランジスタからなる差動対を有する差動増幅器の前記第1および第2のNPN型トランジスタのベース電極は、第1および第2の入力端子にそれぞれ接続されるとともに第1および第2の抵抗素子を介してそれぞれの対応するベース電流源用の第1および第2のPNP型トランジスタのコレクタ電極に接続され、さらに前記第1および第2のPNP型トランジスタのコレクタ電極と接地電位間には第1および第2の容量素子がそれぞれ接続され、前記第1および第2のPNP型トランジスタのベース電極はあらかじめ定める基準電位に共通接続され、前記第1および第2のNPN型トランジスタのコレクタ電極は、前記差動増幅器の電流出力端となり、さらに第1および第2の受動負荷素子を介したのちにそれぞれ束ねられ前記第1および第2のPNP型トランジスタの共通エミッタ電極に接続され、さらに電流供給用抵抗素子を介し電源電位に接続されることにある。
【0053】
さらに、前記第1および第2の負荷受動素子は、抵抗素子またはインダクタの一方で構成する。
【0055】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の概要を述べる。エミッタ接地用バイアス回路を実現するための本発明による第1の実施の形態の回路図を参照すると、本発明の構成要素は、図1の中で2点鎖線で囲われた定電流源部M1とエミッタ接地増幅部M2の2つのブロックから構成されている。
【0056】
定電流源ブロック(M1)は、PNP型トランジスタQ3,Q4と抵抗素子R1,R2,R3と容量素子C1,C2とで構成される。
【0057】
PNP型トランジスタQ3,Q4のコレクタ電流は、それぞれNPN型トランジスタQ1、Q2のベース電流を供給する。抵抗素子R1,R2は入力端子IN1、IN2の入力抵抗素子を設定する。
【0058】
容量素子C1、C2は入力端子IN1、IN2から入力される高周波信号を交流的に接地させ、定電流源として使用されるPNP型トランジスタQ3,Q4のコレクタ電極への高周波電流の流入を遮断するためのものである。
【0059】
電源Vccはこのエミッタ接地差動増幅器を搭載する半導体集積回路の動作電圧で外部から与えられる。基準電源入力端子Vrefは電流源電流値設定のための電圧である。基準電源入力端子Vrefの基準電圧とPNP型トランジスタQ4のベースエミッタ電極間電圧により電流源PNP型トランジスタQ4のコレクタ電流を設定する。
【0060】
エミッタ接地増幅部(M2)は、NPN型トランジスタQ1,Q2と負荷受動素子Z1、Z2で構成される。NPN型トランジスタQ1、Q2のベースには入力信号としてバランス信号(移相が180℃違うもの)が入力され、差動増幅器として動作する。出力信号も負荷受動素子端からバランス出力される。
【0061】
再び図1を参照して構成を説明する。電流源として使用されるPNP型トランジスタQ3,Q4のベース電極は基準電圧Vrefの基準電圧入力端子に共通接続され、かつエミッタ電極も共通接続され抵抗素子R3を介し電源Vccに接続される。
【0062】
PNP型トランジスタQ3のコレクタ電極は、容量素子C1を介し接地電位GNDに接地されるとともに、抵抗素子R1を介しNPN型トランジスタQ1のベース電極に接続される。PNP型トランジスタQ4のコレクタ電極は容量素子C2を介しGNDに接続されるとともに、抵抗素子R2を介しNPN型トランジスタQ2のベース電極に接続される。
【0063】
エミッタ電極がGNDに接地されたNPN型トランジスタQ1のベース電極はさらに入力端子IN1にも接続され、コレクタ電極は負荷受動素子Z1に接続されるとともに出力端子OUT1に接続される。
【0064】
NPN型トランジスタQ1と共に差動増幅器を構成するNPN型トランジスタQ2のエミッタ電極は、GNDに接続され、ベース電極は抵抗素子R2に接続されるともに入力端子IN2に接続される。
【0065】
コレクタ電極は負荷受動素子Z2に接続されるとともに出力端子OUT2に接続される。受動素子Z1、Z2の他端はPNP型トランジスタQ3,Q4のエミッタ電極と抵抗素子R3に共通接続される。
【0066】
定電流源部のPNP型トランジスタQ3、Q4のコレクタ電流は一定電流を出力しNPN型トランジスタQ1、Q2のベース電流を供給する。PNP型トランジスタQ3、Q4のコレクタ電流は次のように設定される。
【0067】
PNP型トランジスタQ3、Q4のサイズは同一と仮定するとベースエミッタ間電圧も同一になりVbepとすると、PNP型トランジスタQ3、Q4のコレクタ電流Ic3、Ic4は、
【0068】
【0069】
ここでPNP型トランジスタQ3、Q4のサイズが同じなら順方向飽和電流Is3=Is4で定電流Ic3=Ic4になる。また、Vtは通常常温で約26mVになる物理量である。
【0070】
定電流Ic3はQ3のコレクタ電極から出力され抵抗素子R1を介しトランジスタQ1のベース電流として供給される。抵抗素子R3は入力端子IN1の入力抵抗を高くするために高抵抗値に設定される(通常2k〜10KΩ)。
【0071】
容量素子C1は入力端子IN1から入力される高周波信号を交流的に接地することにより、定電流減として働くQ3のコレクタ電極端子に交流信号を流さないのが目的である。C1の容量値は入力される周波数等により設定される。抵抗素子R2、容量素子C2も同様にR1、C1と同じ値に設定される。
【0072】
エミッタ接地増幅部のNPN型トランジスタQ1、Q2はエミッタ接地され、ベース電極はそれぞれ入力端子IN1、IN2に接続されている。エミッタ接地増幅器を2つ使用してバランス入力、バランス出力の増幅器を構成している。NPN型トランジスタQ1、Q2は通常同一サイズで構成される。したがってNPN型トランジスタQ1、Q2のコレクタ電流(無信号時)は次のようになる。
【0073】
【0074】
または、
【0075】
【0076】
とも表される。
【0077】
ここで、hFEn:Q1、Q2のhFE
Ib1 :Q1のベース電流
Ib2 :Q2のベース電流
Ic1 :Q1のコレクタ電流
Ic2 :Q2のコレクタ電流
Is1:Q1の順方向飽和電流
Is2:Q2の順方向飽和電流
Vb1:Q1のベース電極電圧
Vb2:Q2のベース電極電圧
また、Ic3=Ic4(=Icpとする)なので、無信号時はIc1、Ic2も等しくなる。
【0078】
無信号時のNPN型トランジスタQ1、Q2のベース電極電圧Vb1、Vb2は、
【0079】
【0080】
となる。
【0081】
通常、NPN型トランジスタQ1、Q2のサイズが同一であれば順方向飽和電流Is1=Is2(=Isnとする)なので、無信号時のNPN型トランジスタQ1のベース電極電圧Vb1はNPN型トランジスタQ2のベース電極電圧Vb2と等しくなる。
【0082】
入力端子IN1、IN2のバランス信号が入力された場合は式(5)、(6)においてベース電極電圧Vb1、Vb2が変動することでコレクタ電流Ic1、Ic2が変化する。
【0083】
このコレクタ電流Icの変動を負荷受動素子Z1、Z2(値は通常同一)で受け出力端子OUT1、OUT2で出力する。負荷受動素子Z1、Z2に流れる電流Ic1、Ic2は抵抗素子R3で束ねられ電源Vccに流れる。
【0084】
入出力信号がバランス入力、バランス出力されるのであれば抵抗素子R3に流れる電流(IR3)も常に一定になる。したがって、PNP型トランジスタQ3、Q4のエミッタ電圧も電流Ic3、Ic4も常に一定となる。
【0085】
PNP型トランジスタQ3、Q4のエミッタ電流を無視して考えると、無信号時には抵抗素子R3に流れる電流(IR3)が半分ずつPNP型トランジスタQ1、Q2のコレクタ電流に流れることになる。
【0086】
また、信号入力時には電流Ic1とIc2の総和は常に電流IR3に等しく一定になる。無信号時に、
【0087】
【0088】
回路電流設定の一般的手順について説明する。まず、PNP型トランジスタQ3、Q4のベースエミッタ電極間電圧Vbepは、ほぼ0.8Vに仮定する。次に電流Ic1、Ic2の設定は電源Vccと基準電圧Vrefと抵抗素子R3との関係により下式に従って設定する。
【0089】
ここでVbep:Q3、Q4のベースエミッタ電極間電圧
一般に、増幅器出力端の振幅余裕は広く設定したいので、抵抗素子R3両端の電圧降下は50m〜300mV程度になるので流したい電流値により抵抗素子R3を設定すれば良い。
【0090】
以下、本実施の形態のバランス信号入力時の動作を、動作説明用の波形図を示した図2を参照しながら説明する。図中の動作波形を示す横軸は入力端子IN1、IN2の入力差電圧(Vin)で以下のように定義する。
【0091】
図2−1のグラフは入力差電圧Vinに対するNPN型トランジスタQ1、Q2のコレクタ電流を示すグラフであり、図2−2は入力差電圧Vinに対するPNP型、Q4のコレクタ電流を示すグラフであり、図2−3は入力差電圧Vinに対する入力信号源の流入電流(In1,In2)を示すグラフである。
【0092】
ここで、流入電流In1は入力信号源から入力端子IN1に流れ込む電流で流入電流In2は入力信号源から入力端子IN2に流れ込む電流とする。In1=−In2の関係がある。
【0093】
図2−4は入力差電圧Vinに対するNPN型トランジスタQ2のベース・エミッタ電極間電圧を示すグラフでる。
【0094】
線形増幅器として使用する場合の入力差電圧Vinは図2横軸の領域1の範囲内で使用する。まず領域1の状態を説明する。
【0095】
電流Ic1、Ic2は次のように計算できる。
【0096】
【0097】
【0098】
または、
【0099】
【0100】
ここで、
【0101】
式(14)、(15)、(16)の解釈は、入力信号が電圧Vinで入力されると、ベース電極電圧Vb1、Vb2が線形変化することでコレクタ電流Ic1、Ic2は指数関数的に変動する。Vin=0時はVb1=Vb2なのコレクタ電流Ic1とIc2は等しくなる。
【0102】
式(17)、(18)、(19)は入力信号が電圧でなく入力電流の場合の表現になっている。
【0103】
図2−1の領域1でのカーブは式(14)〜(16)で表現されたものになっている。コレクタ電流Ic3、Ic4は式(1)、(2)より、Vinに対し独立なので一定値を保つ。
【0104】
(図2−2)In1、In2は、式(17)、式(18)を流入電流In1、In2についてとき
【0105】
【0106】
であらわされる、コレクタ電流Ic3、Ic4は一定なのでコレクタ電流Ic1、Ic2の1/hFEnで変動する。Vin=0のときは
【0107】
【0108】
なので、In1=In2=0となる。(図2−2)
ベース電極電圧Vb1、Vb2は式(8)、(9)で表現されている通りコレクタ電流Ic1、Ic2に依存し変動する。
【0109】
【0110】
入力信号電圧Vin=0のときはコレクタ電流Ic1=Ic2になるのでベース電極電圧Vb1もVb2と等しくなり
【0111】
とあらわされる。
【0112】
次に領域2について説明する。領域2は入力信号電圧Vinが増大して線形動作範囲を超えたところからNPN型トランジスタQ2が遮断領域に入る領域である。コレクタ電流Ic1、Ic2は式(11)での関係があり
【0113】
入力信号電圧Vinが増大してコレクタ電流Ic1が増していくが、限界値IR3を超えることができない。Ic1=IR3に達したときにIc2=0となりNPN型トランジスタQ2は遮断する(図2−1)。
【0114】
Ic1=IR3、Ic2=0になるまで入力信号電圧Vinが増大してもコレクタ電流Ic3、Ic4は一定電流を流しつづける(図2−2)。
【0115】
流入電流In1、In2は式(20)、(21)の通り変化していく。コレクタ電流Ic1、Ic2が飽和するに従い流入電流In1、In2も飽和する。入力信号電圧Vin増大時に流入電流In2が負(マイナス)になるのはコレクタ電流Ic4が入力電源側に流れ込むためである(図2−3)。
【0116】
ベース電極電圧Vb1、Vb2は式(8)、(9)の変動をするがコレクタ電流Ic1の限界値がIR3なのでベース電極電圧VB1にも限界値があり、
【0117】
となりこれを超えられない。さらに入力信号電圧Vinが増大する場合、ベース電極電圧Vb1は限界値に漸近し、ベース電極電圧Vb2が減少しながらVinの変動幅を吸収する(図2−4)。
【0118】
領域3の動作は領域2の説明から容易に推測できるのでここでは省略する。
【0119】
上述した第1の実施の形態では、エミッタ接地トランジスタのベースバイアスを電圧で与えるのではなく、電流源からベース電流を供給する回路をシンプルに構成している。この構成を用いると、
(a)エミッタ接地トランジスタのベースバイアスオフセットを減少できる。
(b)ベースバイアス回路の低電流化できる。
という利点がある。
【0120】
ここでベースバイアスオフセットとは、バランス入出力増幅器を構成する一対のエミッタ接地トランジスタのベース電圧の相対差についてであり、バイアス回路起因で生じるものを対象とする。
【0121】
図1を用いて説明すると、入力端子IN1、IN2がオープンのときのNPN型トランジスタQ2のベース電極の電圧差(Vb1とVb2の差)がベースバイアスオフセットとなる。
【0122】
ベース電極電圧Vb1、Vb2にオフセットの生じる原因はPNP型トランジスタQ4の順方向飽和電流Is3、Is4の相対バラツキによるものである。式(1)、式(2)を式(8)、(9)にそれぞれ代入しIc3、Ic4を消去すると次式を得る。
【0123】
【0124】
を得る。ベースバイアスオフセットをVb1−Vb2とすると
【0125】
となる。
【0126】
式(28)からわかるように、ベースバイアスオフセットに与える順方向電流Is3、Is4の相対バラツキの影響は対数圧縮されるので、ベースバイアスオフセットを減少させることができる。
【0127】
これは、エミッタ接地トランジスタベースを電圧で印加するのではなく、電流を流す回路であることによる。
【0128】
また、NPN型トランジスタとPNP型トランジスタを比較した場合、順方向電流Isの相対バラツキ幅は、レイアウト上のエミッタ電極開口が大きいPNP型トランジスタのほうが小さく、エミッタ電極開口の小さいNPN型トランジスタのほうがIs相対バラツキは大きくなっている。
【0129】
式(28)中の順方向電流Is3、Is4はPNP型トランジスタの順方向電流IsのためNPN型トランジスタより小さな値となる。これは、定電流回路がPNP型トランジスタにより実現されていることによる。バイアス回路の低電流化という観点からは、コレクタ電流Ic3、Ic4は全てNPN型トランジスタQ1、Q2のベース電流となるので、理論的にこれ以上低電流化できない。
【0130】
参考のため、式(28)のグラフを示した図3を参照すると、横軸は、Is3/Is4で縦軸がオフセットである。横軸が1の時が順方向電流ISの相対バラツキのない状態であり、この時オフセットもなくなる。Is3/Is4が1からずれるにつれオフセットも大きくなる。
【0131】
なお、上述した実施の形態は、負荷受動素子Z1、Z2としては、抵抗素子でもインダクタでも同様の効果を有する。
【0133】
また、付加的な効果ではあるが、定電流源PNP型トランジスタQ4の高周波特性は必要とされない。なぜなら、PNP型トランジスタQ3、Q4のエミッタ電極は共通接続されているので交流電流や交流電圧は発生しない(仮想中点)。
【0134】
また、コレクタ電極は容量素子C1、C2により交流を遮断されている。PNP型トランジスタQ4は定電流源としてだけ動作すればいいので、PNP型トランジスタの高fT特性は要求されない。
【0135】
したがってPNP型トランジスタのftが低い場合でも回路全体の高周波特性を律速することはない(NPN型トランジスタの高fT特性を生かした回路を構成できる)。
【0136】
次に第2の実施の形態を説明する。
【0137】
上述した第1の実施の形態のにおける図1では、バランス入力、バランス出力の増幅器としての回路例を説明したが、その他の機能ブロックでの展開例を以下に示す。図4はミキサとしての回路構成例である。
【0138】
図4を参照すると、図1の回路に対し、NPN型トランジスタQ2のコレクタ電極側に2つの差動対NPN型トランジスタQ5、Q6、Q7、Q8を付加した構成になっている。
【0139】
すなわち、付加されたNPN型トランジスタQ5、Q6のエミッタ電極が共通接続されQ1コレクタ電極に接続される。NPN型トランジスタQ7、Q8のエミッタ電極も共通接続されNPN型トランジスタQ2コレクタ電極に接続される。
【0140】
NPN型トランジスタQ5、Q8のベースは共通接続されさらにローカル入力端子Lo2に接続され、NPN型トランジスタQ6、Q7のベースも共通接続され、さらにもう一方のローカル入力端子Lo1に接続される。
【0141】
NPN型トランジスタQ5、Q7のコレクタ電極は共通接続し出力端子OUT1に接続され、さらに負荷受動素子Z1を介し抵抗素子R3に接続される。NPN型トランジスタQ6、Q8のコレクタ電極も共通接続し出力端子OUT2に接続され、さらに負荷受動素子Z2を介し抵抗素子R3に接続される。
【0142】
エミッタ接地NPN型トランジスタQ2と定電流源用PNP型トランジスタQ4、抵抗素子R1、R2、R3、容量素子C1、C2の構成は図1の実施の形態と同じであるからここでの説明は省略する。
【0143】
動作としては、公知技術であるギルバートセルミキサと呼ばれている回路と同様であり、差動増幅器を上下2段縦済みに構成し周波数変換回路(ミキサ)機能を実現している。ここで図1の実施の形態の差動増幅器は下段差動増幅器として動作する。
【0144】
次に第3の実施の形態を説明する。
【0145】
図5は直交変調器としての回路構成例である。直交変調器としての機能詳細は公知なので概略のみ説明する。
【0146】
入力端子IN1、IN2、IN3、IN4にはいわゆるIQ信号がお互い90°の移相差をもち入力される。ローカル入力端子Lo1、Lo2、Lo3、Lo4もお互い90°の移相差を持ち入力される。出力信号は出力端子OUT1、OUT2からバランス出力される(出力は180°の位相差を持つ)。
【0147】
図5において、定電流源用トランジスタはPNP型トランジスタQ3、Q4、Q13、Q14の4つを用いており、Q3、Q4、Q13、Q14のベースは共通接続され基準電圧Vrefの基準電源入力端子に接続され、エミッタ電極も共通接続され抵抗素子R3を介し電源Vccに接続される。
【0148】
PNP型トランジスタQ3のコレクタ電極端子は、容量素子C1を介しGNDに接続され、さらに抵抗素子R1を介しNPN型トランジスタQ1のベースに接続される。PNP型トランジスタQ4のコレクタ電極端子は、容量素子C2を介しGNDに接続され、さらに抵抗素子R2を介しNPN型トランジスタQ2のベースに接続される。
【0149】
PNP型トランジスタQ13のコレクタ電極端子は、容量素子C11を介しGNDに接続され、さらに抵抗素子R11を介しNPN型トランジスタQ11のベースに接続される。PNPトランジスタQ14のコレクタ電極端子は、容量素子C12を介しGNDに接続され、さらに抵抗素子R12を介しNPN型トランジスタQ12のベースに接続される。
【0150】
NPN型トランジスタQ1,Q2が1対のエミッタ接地差動増幅器を構成しており、NPN型トランジスタQ2のエミッタ電極はGNDに接続されている。NPN型型トランジスタQ1のベースは抵抗素子R1とさらに入力端子IN1に接続されている。
【0151】
NPN型トランジスタQ2のべースは抵抗素子R2とさらに入力端子IN2に接続されている。NPN型トランジスタQ1、Q12も1対のエミッタ接地差動増幅器を構成しており、NPN型トランジスタQ1、Q12のエミッタ電極はGNDに接続され、NPN型トランジスタQ1のベースは抵抗素子R11とさらに入力端子IN11に接続されている。
【0152】
NPN型トランジスタQ2のコレクタ電極にはそれぞれ、2つの差動対NPN型トランジスタQ5、Q6とNPN型トランジスタQ7、Q8の共通接続されたエミッタ電極が接続されている。
【0153】
NPN型トランジスタQ6、Q7のベースは共通接続されさらにローカル入力端子Lo1に接続されており、NPN型トランジスタQ5、Q8のベースは共通接続されると共にローカル入力端子Lo2に接続される。
【0154】
NPN型トランジスタQ1、Q12のコレクタ電極にはそれぞれ、2つの差動対NPN型トランジスタQ5、Q16とNPN型トランジスタQ7、Q18の共通接続されたエミッタ電極が接続されている。NPN型トランジスタQ5、Q18のベースは共通接続されさらにローカル入力端子Lo11に接続される。
【0155】
NPN型トランジスタQ6、Q17のベースは共通接続されると共にローカル入力端子Lo12に接続されている。NPN型トランジスタQ5、Q7、Q15、Q17のコレクタ電極は共通接続されると共に出力端子OUT1に接続され、さらに負荷受動素子Z1と抵抗素子R5を介しVccに接続される。
【0156】
NPN型トランジスタQ6、Q8、Q16、Q18のコレクタ電極は共通に接続されるとともに出力端子OUT2に接続され、さらに負荷受動素子Z2と抵抗素子R5を介して電源Vccに接続される。
【0157】
動作としては、公知の直交変調器と同様に、前述のミキサ回路を2つ並列に接続することで達成される。ここで図1の実施の形態の差動増幅器は、2つのミキサ回路の下段差動増幅器として動作する。
【0158】
次に第4の実施の形態を説明する。図6はゲインコントロールアンプとしての回路構成例である。
【0159】
図6において、定電流源はPNP型トランジスタQ4で構成されておりPNP型トランジスタQ4のベースは共通接続されさらに基準電圧Vrefの基準電圧入力端子に接続されエミッタ電極も共通接続されさらに抵抗素子R3を介して電源Vccに接続される。
【0160】
PNP型トランジスタのコレクタ電極は容量素子C1を介しGNDに接地されさらに抵抗素子R1を介してNPN型のベースとさらに入力端子IN1に接続されている。
【0161】
PNP型トランジスタQ4のコレクタ電極は容量素子C2を介しGNDに接続されさらに抵抗素子R2を介しNPN型トランジスタQ2のベースに接続されさらに入力端子IN2に接続されている。
【0162】
NPN型トランジスタQ1のコレクタ電極には、差動対を構成するトランジスタQ5、Q6の共通エミッタ電極が接続される。NPN型トランジスタQ5のコレクタ電極は出力端子OUT1に接続されさらに負荷受動素子Z1を介しPNP型トランジスタQ4の共通エミッタ電極に接続される。NPN型トランジスタQ6のコレクタ電極は負荷受動素子Z4を介しPNP型トランジスタQ3、Q4の共通エミッタ電極に接続される。
【0163】
さらに、負荷受動素子Z3はNPN型トランジスタQ5、Q6のコレクタ電極間に接続される。NPN型トランジスタQ2のコレクタ電極には、差動対を構成するNPN型トランジスタQ7、Q8の共通エミッタ電極に接続される。
【0164】
NPN型トランジスタQ8のコレクタ電極は出力端子OUT2に接続されさらに負荷受動素子Z2を介しPNP型トランジスタQ4の共通エミッタ電極に接続される。NPN型トランジスタQ7のコレクタ電極は負荷受動素子Z6を介しPNP型トランジスタQ4の共通エミッタ電極に接続される。更に負荷受動素子Z5はNPN型トランジスタQ7、Q8のコレクタ電極間に接続されて構成される。
【0165】
動作としては、基本的には図1と同じであるが、利得(ゲイン)を可変するためにNPN型トランジスタQ5、Q6の差動対とNPN型トランジスタQ7、Q8の差動対が付加されている。
【0166】
すなわち、設けられている入力端子Vc1、Vc2間の差電圧により、出力端子OUT1、OUT2から出力される信号の大きさを可変できる。
【0167】
【発明の効果】
上述したように、本発明のエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路は、エミッタ電極が抵抗素子を介さずに直接接地されるエミッタ接地NPN型トランジスタ対を備える差動増幅器に電源電位から電流を一括供給する電流供給用抵抗素子と、電流供給用抵抗素子から電流が供給されるPNP型トランジスタ対およびPNP型トランジスタ対から供給される電流をNPN型トランジスタ対のベース電極に与える抵抗素子からなる差動増幅器のベース電流供給手段と、NPN型トランジスタ対のベース電極に入力端子から与えられる入力信号の高周波をバイパスする容量素子とを備えるので、エミッタ接地トランジスタのベースバイアスを電圧で与えるのではなく、電流源からベース電流を供給する回路をシンプルに構成している。この構成を用いると、エミッタ接地トランジスタのベースバイアスオフセットを減少でき、ベースバイアス回路の低電流化できるという利点がある。
【0168】
また、付加的な効果ではあるが、定電流源トランジスタの高周波特性は必要とされない。なぜなら、定電流源トランジスタのエミッタ電極は共通接続されているので交流電流や交流電圧は発生しない(仮想中点)。
【0169】
また、コレクタ電極は容量素子により交流を遮断されており、定電流源トランジスタは定電流源としてだけ動作すればいいので、PNP型トランジスタの高fT特性は要求されない。したがってPNP型トランジスタのftが低い場合でも回路全体の高周波特性を律速することはなく、NPN型トランジスタの高fT特性を生かした回路を構成できるという効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の回路図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の動作説明用の波形図である。
【図3】式(28)のグラフを示した図である。
【図4】本発明の第2の実施形態のミキサの回路図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の直行変調器の回路図である。
【図6】本発明の第3の実施形態のゲインコントロールアンプの回路図である。
【図7】従来のバイアス発生回路およびミキサの一例の回路図である。
【符号の説明】
Q1,Q2,Q5〜Q12,Q15〜Q18 NPN型トランジスタ
Q3,Q4,Q13,Q14 PNP型トランジスタ
R1,R2,R11,R12 抵抗素子
R3 電流供給用抵抗素子
C1,C2,C11,C12 容量素子
Claims (6)
- エミッタ電極が直接接地されるエミッタ接地NPN型トランジスタ対を備える差動増幅器の前記NPN型トランジスタ対それぞれのベース電極ごとに入力信号レベルの減衰防止用高抵抗素子が接続され、その減衰防止用高抵抗素子を介してベース電流を供給するPNP型トランジスタ対の対応するコレクタ電極に高周波バイパス用容量素子がそれぞれ接続され、さらに前記PNP型トランジスタ対の共通接続されたエミッタ電極と電源電位との間に電流供給用抵抗素子が挿入接続され、その電流供給用抵抗素子を流れる電流により前記NPN型トランジスタ対のコレクタ電流も制御する機能を有することを特徴とするエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路。
- エミッタ電極が直接接地されるエミッタ接地NPN型トランジスタ対を備える差動増幅器の前記NPN型トランジスタのコレクタ電流制御用に設けられ一端が電源電位に接続された電流供給用抵抗素子と、この電流供給用抵抗素子の他端にエミッタ電極が共通接続され、かつ前記NPN型トランジスタ対のベース電流をそれぞれ供給するための電流源となる第1および第2のPNP型トランジスタ対と、この第1および第2のPNP型トランジスタ対それぞれのコレクタ電極と接地電位間に個別に設けた高周波バイパス用容量素子および前記コレクタ電極に一端を接続した入力信号レベルの減衰防止用高抵抗素子とを備え、前記第1および第2のPNP型トランジスタ対それぞれのコレクタ電極が、前記NPN型トランジスタ対のベース電極に前記減衰防止用高抵抗素子を介して前記ベース電流を供給する機能を有することを特徴とするエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路。
- エミッタ電極が直接接地されるエミッタ接地NPN型トランジスタ対を備える差動増幅器が、安定動作確保手段として、前記差動増幅器に電源電位からの電流を一括して供給する電流供給用抵抗素子にエミッタ電極が共通接続されたベース電流源用のPNP型トランジスタ対それぞれのコレクタ電極および前記エミッタ接地NPN型トランジスタ対それぞれの対応するベース電極間に接続されかつベース電極に接続された入力端子の入力抵抗を高く設定して信号レベル減衰を防止する複数の高抵抗素子と、PNP型トランジスタ対それぞれのコレクタ電極および接地電位の間に接続されかつ前記コレクタ電極への入力信号電流の流入を防止する複数の容量素子とを備えることを特徴とするエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路。
- エミッタ電極が直接接地されるエミッタ接地NPN型トランジスタ対を備える差動増幅器の前記エミッタ接地NPN型トランジスタ対は、前記差動増幅器に電源電位から電流を一括供給する電流供給用抵抗素子の電流出力側端子に一端が接続される第1および第2の負荷受動素子の他端がそれぞれ対応するコレクタ電極に接続され、前記電流供給用抵抗素子によりコレクタ電流が制御される機能を有することを特徴とするエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路。
- エミッタ電極が直接接地される第1および第2のNPN型トランジスタからなる差動対を有する差動増幅器の前記第1および第2のNPN型トランジスタのベース電極は、第1および第2の入力端子にそれぞれ接続されるとともに第1および第2の抵抗素子を介してそれぞれの対応するベース電流源用の第1および第2のPNP型トランジスタのコレクタ電極に接続され、さらに前記第1および第2のPNP型トランジスタのコレクタ電極と接地電位間には第1および第2の容量素子がそれぞれ接続され、前記第1および第2のPNP型トランジスタのベース電極はあらかじめ定める基準電位に共通接続され、前記第1および第2のNPN型トランジスタのコレクタ電極は、前記差動増幅器の電流出力端となり、さらに第1および第2の負荷受動素子を介したのちにそれぞれ束ねられ前記第1および第2のPNP型トランジスタの共通エミッタ電極に接続され、さらに電流供給用抵抗素子を介し電源電位に接続されることを特徴とするエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路。
- 前記第1及び第2の負荷受動素子は、抵抗素子またはインダクタの一方で構成する請求項4または請求項5に記載のエミッタ接地差動増幅器用バイアス回路内蔵の半導体集積回路。
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