JP3804431B2 - リクライニング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リクライニング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
リクライニング装置の一形式として、先端側に外歯を有するポールをラチェットの内周側の内歯に解除可能に噛合させて、シートバックをシートクションに対してロックし、かつ、ポールとラチェットの噛合状態を解除することによりシートバックのシートクションに対するロックを解除してアンロック状態とし、シートバックを傾動可能とするリクライニング装置がある。
【0003】
当該形式のリクライニング装置においては、ポールとラチェットの噛合強度を高めることによりシートバックのシートクションに対するロック強度を高めることができることから、例えば特開平6−125821号公報にて提案されているように複数のポールを採用して、ポールとラチェットの噛合強度を高める手段が採られる。当該形式のリクライニング装置においては、ラチェットの所定角度範囲ではポールを非噛合状態とするフリーゾーンが必要であり、上記公報にて提案されているリクライニング装置では、アンラッチングリングを組み込んでフリーゾーンを形成する手段を採っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、当該形式のリクライニング装置においては、採用するポールの数を増やすほどポールとラチェットの噛合強度を高めることができるが、ポールの数を増やすと、フリーゾーンを設定するための、ポールを非噛合状態にするためのアンラッチングリングの凸部を形成できなくなる。これは、フリーゾーンを設定するための凸部が、隣接するポールにとってのフリーゾーン外を形成しなければならない部位に位置してしまうからであり、これはポールの数が多くてフリーゾーンの角度範囲が大きいほど顕著となる。
【0005】
従って、本発明の目的は、当該形式のリクライニング装置において、或るポールをラチェットとの噛合を解除する角度範囲と、隣接するポールをラチェットに噛合させる方向へ移動させるべき角度範囲とが平面視で重なる関係にあっても、フリーゾーンの設定を可能にすることにより、より多くのポールの使用を可能にして、ポールとラチェットの噛合強度を高めることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はリクライニング装置に関するもので、当該リクライニング装置は、先端側に外歯を有する複数のポールと、内周側に内歯を有する円環状のラチェットと、前記各ポールを前記ラチェットの内歯に対して進退可能に保持するホルダと、前記各ポールを前進方向に押圧して前記ラチェットに噛合させるとともに任意の操作力により動作して前記各ポールに対する押圧力を解除して同各ポールと前記ラチェットの噛合状態を解除するカム体を具備し、前記各ポールと前記ラチェットの噛合時には同ラチェットと前記ホルダの相対回転を規制し、かつ、前記各ポールと前記ラチェットの噛合解除時には同ラチェットと前記ホルダの相対回転を許容する形式のリクライニング装置である。
【0007】
しかして、本発明に係るリクライニング装置は、前記ホルダと前記ラチェットの相対回転角度が所定の範囲において少なくとも1個の所定のポールを前記ラチェットから後退動作させるアンロック部材を備え、前記アンロック部材は前記ラチェットに係合して一体化していて、前記所定のポールを前記ラチェットから後退動作して同所定のポールの前記ラチェットに対する噛合を解除すると、前記カム体の残りのポールに対する押圧力を解除してこれらのポールの前記ラチェットとの噛合を解除するものであり、前記アンロック部材による前記所定のポールの前記ラチェットとの噛合を解除する角度範囲は、隣接する他のポールを前記ラチェットに噛合させる方向へ移動させるべき角度範囲とは平面視で重なる関係に設定されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係るリクライニング装置においては、前記アンロック部材は、前記所定のポールに設けた突起部と係合する切欠を有するプレート状部材であって前記ラチェットと回転方向に係合して同方向に一体化されており、前記所定のポールの前記ラチェットとの噛合が解除される領域で同ポールの突起と係合して同ポールを前記ラチェットから後退方向へ移動させる段部を備えている構成とすることができる。この場合、前記アンロック部材を、略半円形の扇形状プレートに形成することができる。また、これらのリクライニング装置においては、前記各ポールと前記ラチェットとの噛合および噛合を解除するカム体を、任意の操作力を受けて前記ホルダおよび前記ラチェットに対して同心的に回転して前記各ポールに対して押圧力を与える回転カムと、回転方向で前記回転カムと一体化されるとともに前記各ポールと係合し、前記回転カムが前記各ポールに対する押圧力を解除するように回転する時、前記各ポールの前記ラチェットに対する噛合をを解する作動プレートとの組立体に構成することができる。
【0009】
【発明の作用・効果】
本発明に係るリクライニング装置においては、アンロック部材により特定のポールがラチェットから後退方向に移動されて噛合を解除されると、特定のポールがカム体を介して他のポールをも同方向に移動させるため、アンロック部材により特定の1つポールのみを移動させれば残りの全てのポールの非噛合状態が保持され、1つのポールのラチェットに対する噛合を解除する角度範囲と、隣接するポールを噛合方向へ移動させるべき角度範囲とが平面視で重なる関係にあっても、フリーゾーンの設定が可能となる。
【0010】
当該リクライニング装置を使用したリクライニングシートにおいては、シートバックをシートクションに対して最小角度まで倒した状態でもロック状態を構成することができ、シートバックがこのような状態でロックされている場合には、車両走行中に振動が加わっても、シートバックが不安定な状態に振動することを防止できる。
【0011】
また、シートバックをその背部が水平状態でロックする構成とすれば、水平状態のシートバックの不安定な振動を防止することができるため、シートバックの背部をテーブルとして利用することができる。
【0012】
さらにまた、当該リクライニング装置においては、ラチェット側に突起部、爪等の掛止部を形成するという簡単な構成により、アンロック部材をラチェットと回動方向に一体化できる利点があり、また、アンロック部材を適宜変更することにより、車種に応じたフリーゾーンの設定に容易に対処することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一例に係るリクライニング装置の縦断面図、図2は当該リクライニング装置を分解した斜視図、図3および図4は当該リクライニング装置における一部の構成部材を取外した状態の正面図である。当該リクライニング装置は、車両用リクライニングシートを構成するもので、固定円盤11、可動円盤12、支持軸13、操作レバー14、4個のスライドポール15(15A,15B,15C,15D)、回転カム16、操作アーム17、作動プレート18、アンロックプレート19、スパイラルスプリング21、および、セットプレート22にて構成されている。かかる構成において、固定円盤11は本発明におけるホルダに相当し、可動円盤12は本発明におけるラチェットを具備し、回転カム16および作動プレート18は本発明におけるカム体に相当し、かつ、アンロックプレート19は本発明におけるアンロック部材に相当する。
【0014】
固定円盤11は、車両用シートのシートクッション側に取付けられるものであり、また、可動円盤12は、車両用シートのシートバック側に取付けられるものであって、固定円盤11と可動円盤12は互いに対向して重合されていて、可動円盤12側から嵌合されたセットプレート22の外周縁部をカシメることにより、一体的に結合されている。各スライドポール15、回転カム16、操作アーム17、作動プレート18、アンロックプレート19およびスパイラルスプリング21は、後述するように、固定円盤11と可動円盤12が形成する収容空間部に収容された状態で、これらの構成部材の中央部を貫通する支持軸13に直接的に、または構成部材を介して間接的に支持されている。支持軸13の外端部には、操作レバー14が取付けられている。
【0015】
当該リクライニング装置を構成する固定円盤11は、図2および図3に示すように、円盤本体11aの内側に段付きの円形凹所11bを備え、円形凹所11b内には、十字状に交差して縦横に延びる組付溝11cが形成されている。組付溝11cは、円形凹所11bよりも一段と深く形成されていて、組付溝11cの各交差部の4カ所の外側角部が略三角形状を呈する受承壁部11dとなっている。各受承壁部11dは、円盤本体11aと同一の厚み寸法となっている。なお、円形凹所11bの中央部には、貫通孔11eが形成されているとともに掛止溝11fが形成されている。
【0016】
可動円盤12は、図2〜図4に示すように、円盤本体12aの内側に段付きの円形凹所12bを備え、円形凹所12bの外側大径部である円環状部の内周の全周面には内歯が形成されていて、円環状部がラチェット12cに形成されている。円盤本体12aは、固定円盤11の内面側に重合された際には、その円形凹所11bに丁度嵌合する寸法に形成されている。また、円形凹所12bの中央部には固定円盤11の貫通孔11eに対向する貫通孔12dが形成されているとともに、円形凹所12bの周縁には左右一対の係合突起部12eが形成されている。
【0017】
各スライドポール15(15A,15B,15C,15D)は、その主要構成部は全て同一形状のもので、スライドポール15Aは特定の機能においてのみ他のスライドポール15B,15C,15Dとは相違する。スライドポール15Aは、本発明における所定のポールに相当し、かつ、スライドポール15B,15C,15Dは、本発明における残りのポールに相当する。従って、以下の各スライドポール15(15A,15B,15C,15D)の説明では、スライドポール15Aの特定の機能を説明する場合には、各スライドポール15B,15C,15Dと区別して説明するが、それ以外の場合には、総称してスライドポール15として説明する。
【0018】
スライドポール15は、図2〜図4に示すように、門形形状のポール本体15aの頂部(組付けた状態では径外方側)に可動円盤12のラチェット12cに噛合可能な歯部15bを備えているとともに、ポール本体15aの頂部とは反対側(組付けた状態では径内方側)に左右一対の脚部15c,15dを備えている。また、ポール本体15aにおける頂部とは反対側端部の中央部には、組付けた状態において、後述する作動プレート18側へ突出する半円柱状のカムピン15eが形成されている。脚部15c,15dは、互いに長さを異にする脚部であって、左側の脚部15cは短い所定長さに形成されているとともに、右側の脚部15dは長い所定長さに形成されている。また、各脚部15c,15dの先端面は、内側内方へ延びる傾斜状を呈している。各スライドポール15においては、スライドポール15Aのカムピン15eのみが他のカムピン15eに比較してわずかに長く形成されている。
【0019】
回転カム16は略円形状のプレートであって、図2〜図4に示すように、カム本体16aの外周縁には、3つの受承カム部16b,16c,16dを一組とするカム部を、周方向に同一間隔を保持して4組備えている。各受承カム部16b,16c、16dは、径方向の高さを異にするもので、受承カム部16bから受承カム16c、受承カム部16dの順に高くなっている。カム本体16aの中央部には、後述する操作アーム17と略同一形状で同操作アーム17が嵌合可能な嵌合孔16eが形成されているとともに、カム本体16aの回転中心を中心とする円周上に一定の間隔を保持して4個の係合突起部16fが形成されている。各係合突起部16fは、組付けた状態において、後述する作動プレート18側へ突出する。
【0020】
操作アーム17は、図2〜図4に示すように、円筒状本体17aに外方へ突出する係合アーム部17bを備えているもので、回転カム16の嵌合孔16eと略同一形状を呈している。また、円筒状本体17aの内孔はスプライン状に形成されている。
【0021】
作動プレート18は円形状を呈するもので、図2〜図4に示すように、プレート本体18aの中央部には、円形状の貫通孔18bと、貫通孔18bの内周縁に周方向に一定間隔を保持して位置する4個の係合孔18cが形成されている。また、プレート本体18aの外周側部には、周方向に一定間隔を保持して位置する4個のカム溝18dが形成されている。各カム溝18dは、一端側から内径方向へ緩やかに延びて他端に至る略円弧状に形成されている。
【0022】
アンロックプレート19は、図2〜図4に示すように、略半円形の扇形状プレートであって、プレート本体19aの要部に貫通孔19bが形成されているとともに、外周縁側に外周縁に沿って延びる円弧状の長孔19cが形成されている。長孔19cは、図示左側から大幅孔部19c1、小幅孔部19c2、大幅孔部19c3の段付き孔に形成されている。長孔19cは、作動プレート18の各カム溝18dに対向し得るように位置している。
【0023】
スパイラルスプリング21は所定の巻き数を有するもので、図2に示すように、内端部21aは方形状に巻回されており、かつ、外端部21bは外方へ突出している。内端部21aは、操作アーム17の円筒状本体17aに丁度外嵌できる寸法に形成され、かつ、外端部21bは固定円盤11の掛止溝11fの一方に掛止し得る寸法に形成されている。
【0024】
セットプレート22は、図2に示すように、環状のプレート本体22aの外周縁部に筒部22bを備えているもので、固定円盤11と可動円盤12を互いに重合された状態において、可動円盤12側から固定円盤11の外周側に嵌合し得る寸法に形成されている。セットプレート22は、可動円盤12および固定円盤11に外嵌した状態で、図1に示すように、筒部22bの先端部をカシメて、固定円盤11および可動円盤12を互いに結合するようになっている。
【0025】
これらの各構成部材は、例えば下記の順序で組付けられて、図1に示す構造のリクライニング装置が構成される。すなわち、固定円盤11の貫通孔11eに支持軸13を貫通し、貫通した支持軸13上に、スパイラルスプリング21、操作アーム17、回転カム16、各スライドポール15、作動プレート18、アンロックプレート19、および可動円盤12をこの順序で組付け、次いで、セットプレート22を可動円盤12側から固定円盤11の外周に嵌合し、最後に、セットプレート22の筒部22bの先端部を図1に示すようにカシメる。これにより、リクライニング装置が完成する。なお、操作レバー14については、予め支持軸13上の先端に取付けておいてもよく、また、リクライニング装置を組立てた後に、支持軸13上の先端に取付けてもよい。
【0026】
この組付け状態においては、スパイラルスプリング21の外端部21bは固定円盤11の掛止溝11fの一方に掛止されていて、操作アーム17の筒状本体17aはスパイラルスプリング21の内端部21a内に挿入され、回転カム16は操作アーム17に外嵌していて、操作アーム17の係合アーム17bは回転カム16の嵌合孔16eに嵌合している。また、各スライドポール15は、固定円盤11の組付溝11c内に半径方向へ摺動可能に配置されて受承壁部11dで周方向の移動を規制され、回転カム16の外周側に十文字状に位置している。スライドポール15においては、その各脚部15c,15dが回転カム16の各受承カム部16c,16bに受承され、かつ、その内側面部15fが受承カム部16dに受承されている。各スライドポール15は、この状態では、図3に示すように、その歯部15bが可動円盤12のラチェット12cの対向する各部位に噛合している。
【0027】
また、この組付け状態においては、作動プレート18は、各スライドポール15を挟んで回転カム16に対向して位置し、回転カム16の各係合突起部16fが作動プレート18の各係合孔18cに係合している。これにより、作動プレート18は回転カム16と周方向に連結し、回転カム16と一体回転可能である。また、作動プレート18は各スライドポール15の一側に位置し、各スライドポール15のカムピン15eが作動プレート18の各カム溝18dに臨んでいる。これにより、各スライドポール15のカムピン15eと作動プレート18の各カム溝18dは、各スライドポール15をスライド動作させるカム機構を構成している。
【0028】
また、この組付け状態においては、アンロックプレート19は、作動プレート18を挟んで各スライドポール15に対向して位置するとともに、可動円盤12の円形凹所12b内に位置している。アンロックプレート19は、この状態では、プレート本体19aの周方向の左右の各端部の先端縁が可動円盤12の各係合突起部12eに係合して、可動円盤12に対しては、周方向へ一体回転可能に連結している。各スライドポール15のうちの1個のスライドポール15A(所定のポール)のカムピン15eは、作動プレート18の各係合孔18cを通してアンロックプレート19の長孔19cに臨んでいる。これにより、スライドポール15Aのカムピン15eとアンロックプレート19の長孔19cは、スライドポール15Aをスライド動作させるカム機構を構成している。
【0029】
次ぎに、当該リクライニング装置の作動について、図3〜図8に基づいて説明する。図3および図4は、当該リクライニング装置の固定円盤11、支持軸13およびスパイラルスプリング21を省略した状態の正面図であり、図3は各スライドポール15が可動円盤12に設けたラチェット12cに噛合して、図示しないシートバックをシートクッションにロックさせている状態を示し、また、図4は、操作レバー14の回動操作により、各スライドポール15をラチェット12cから後退させてラチェット12cとの噛合状態が解除されている状態を示している。
【0030】
また、図5〜図8は、当該リクライニング装置の作動時の可動円盤12と、ラチェット12cと、各スライドポール15と、アンロックプレート19との動作の関連を示すもので、可動円盤12、ラチェット12c、各スライドポール15、およびアンロックプレート19以外の他の構成部材を省略した正面図である。
【0031】
当該リクライニング装置においては、操作レバー14の非操作時には、図3に示すように、各スライドポール15の各脚部15c,15dおよび内側面部15fは、回転カム16の各受承カム部16c,16b,16dにて受承されていて、可動円盤12のラチェット12cの対向する部位に噛合している。回転カム16には、操作アーム17を介してスパイラルスプリング21のバネ力が作用していて、回転カム16はこの回転位置に保持され、この結果、各スライドポール15とラチェット12cの噛合状態が保持されている。この噛合状態は、当該リクライニング装置の可動円盤12を固定円盤11にロックして、シートバックのシートクッションに対するロック状態を構成し、シートバックのシートクッションに対する前後方向の回動を規制している。
【0032】
当該リクライニング装置における図3に示す噛合状態では、シートバックがシートクッションに対して最前方での傾動位置(初段ロック位置)にて起立している状態にあり、アンロックプレート19に唯一連結しているスライドポール15Aのカムピン15eはアンロックプレート19の長孔19cにおける大幅孔部19c1内にて、小幅孔部19c2との境界段部に位置している。
【0033】
この噛合状態にある当該リクライニング装置において、シートバックのシートクッションに対するロック状態を解除すべく操作レバー14を回動操作すると、操作アーム17は図3の図示時計方向に回動して回転カム16を同方向へ所定量回転させ、回転カム16は各スライドポール15を径内方へフリー状態にし、かつ、作動プレート18は回転カム16と一体に回転して各スライドポール15のカムピン15eを径内方へ押圧して、各スライドポール15をラチェット12cから後退させ、各スライドポール15のラチェット12cに対する噛合状態を解除させる。図4は、各スライドポール15がラチェット12cから後退して、その噛合状態を解除された状態を示している。
【0034】
各スライドポール15のラチェット12cに対する噛合が解除された状態では、可動円盤12は固定円盤11に対して時計方向および反時計方向へ回転可能であり、シートバックはシートクッションに対するロックが解除された状態にある。このため、シートバックをシートクッションに対して前後方向へ回動可能となり、シートバックをシートクッションに対する前後方向の傾斜角度を調整することができるとともに、シートバックをシートクッション上に略水平状態に倒伏させることができる。
【0035】
当該リクライニング装置において、シートバックをシートクッションに対して後方へ傾動させれば、図3に示す位置にある可動円盤12は図示時計方向に回動し、所定量回動した回動位置にて操作レバー14の回動操作を解除すれば、支持軸13および操作アーム17はスパイラルスプリング21のバネ力で図示反時計方向へ回動して、回転カム16を同方向へ回動復帰させ、この回動復帰時には各スライドポール15をラチェット12cに対して前進させて噛合させる。これにより、可動円盤12は固定円盤11にロックされ、シートバックはシートクッションに対して所望の傾斜角度でロックされ、かつ、この傾斜状態を保持される。
【0036】
当該リクライニング装置においては、スライドポール15Aのカムピン15eは、可動円盤12が回動する間、アンロックプレート19の長孔19c内を移行するもので、カムピン15eがアンロックプレート19の長孔19cの大幅孔部19c1内を移行する範囲内では、各スライドポール15をラチェット12cに対して噛合させ、かつ、これらの噛合状態を操作レバー14の回動操作により解除させることができて、シートバックのシートクッションに対する傾斜角度の任意の調整が可能である。この間の、可動円盤12、ラチェット12c、各スライドポール15、およびアンロックプレート19は、図5に示す状態から図6に示す状態の範囲となる。
【0037】
なお、図5は図3に対応する図面であり、図5の基線L1はシートバックの初段ロック位置を示し、図6の基線L3は最終段ロック位置を示していて、当該リクライニング装置では、シートバックの傾斜角度が基線L1〜基線L2の角度範囲θ1、および基線L2〜基線L3の角度範囲θ2のθ3の角度範囲で調整可能に設定されており、また、シートバックは基線L1であるシートバックの初段ロック位置にて略直立状態に設定されている。
【0038】
図3に示す噛合状態にある当該リクライニング装置において、シートバックをシートクッションに対して略水平状態に倒伏させる場合には、操作レバー14を回動操作して回転カム16および作動プレート18を図示時計方向へ所定量回転させる。これにより、各スライドポール15はラチェット12cから後退して、ラチェット12cとの噛合状態が解除される。これにより、可動円盤12は固定円盤11に対して回動可能となり、シートバックをシートクッションに対して前方へ回動させることができる。このシートバックの前方への回動により可動円盤12がアンロックプレート19を一体に反時計方向へ回動し、図4に示すように、スライドポール15Aのカムピン15eがアンロックプレート19の長孔19cにおける大幅孔部19c1から小幅孔部19c2に移行し、シートバックのさらなる前方への回動により、カムピン15eは小幅孔部19c2内を移行して最端部である大幅孔部11c3に移行する。
【0039】
スライドポール15Aのカムピン15eがアンロックプレート19の長孔19cにおける大幅孔部19c1から小幅孔部19c2に移行した際には、スライドポール15Aはカムピン15eを介して作動プレート18および回転カム16を図示時計方向へ押圧し、操作レバー14の回動操作が解除されている状態においても、全てのスライドポール15をラチェット12cに対して噛合解除状態に保持する。この押圧状態は、カムピン15eが長孔19cの小幅孔部19c2内に位置している間継続され、この間、可動円盤12はフリー状態にあって、シートバックをシートクッションに対して略水平状態になるまで、前方へ倒伏させることができる。この間の、可動円盤12、ラチェット12c、各スライドポール15、およびアンロックプレート19は、図5に示す状態から図7に示す状態を経て図8に示す状態となる。
【0040】
なお、図7は図4に対応する図面であり、図7の基線L4は、スライドポール15Aのカムピン15eがアンロックプレート19の長孔19cの大幅孔部19c1から小幅孔部19c2に移行した際のシートバックの回動位置を示し、シートバックを基線L1から基線L4に至る角度θ4だけ回動した時点で、スライドポール15Aのカムピン15eがアンロックプレート19の長孔19cの小幅孔部19c2に移行する。また、図8の基線L5は、シートバックが前方へ最大限倒伏した回動位置を示し、基線L1から基線L5に至る角度θ5(但し角度θ4を含む)まで回動した時点で、シートバックが略水平に倒伏するように設定されている。
【0041】
シートバックをシートクッションに対して、前方へ略水平状態に倒伏させた状態では、図8に示すように、スライドポール15Aのカムピン15eは、アンロックプレート19の長孔19cにおける小幅孔部19c2から最端部の大幅孔部19c3に移行する。スライドポール15Aのカムピン15eが長孔19cの大幅孔部19c3に移行した際には、スライドポール15Aの作動プレート18および回転カム16に対する図示時計方向への押圧力は消失し、回転カム16および作動プレート18はスパイラルスプリング21のバネ力により、図示反時計方向へ回動復帰して、各スライドポール15をラチェット12cに対して前進させて噛合する。これにより、可動円盤12は固定円盤11にロックされて、シートバックがシートクッションに対して略水平に倒伏した状態でロックされる。
【0042】
前方へ倒伏状態にあるシートバックを起立状態に復帰させるには、操作レバー14を回動操作して、図8に示す噛合状態にある各スライドポール15をラチェット12cから後退させて噛合解除し、シートバックを後方へ所定量回動させ、操作レバー14の回動操作を解除してさらに後方へ回動する。シートバックの後方への回動時には、スライドポール15Aのカムピン15eは、アンロックプレート19の長孔19cの小幅孔部19c2に移行しているため、可動円盤12は固定円盤11に対してフリー状態にあって、シートバックの後方への回動を許容する。
【0043】
当該リクライニング装置においては、シートバックが基線L4を経て基線L1に達すると、スライドポール15Aのカムピン15eは、アンロックプレート19の長孔19cの大幅孔部19c1に移行して、各スライドポール15の後退側への押圧が解除され、各スライドポール15はスパイラルスプリング21のバネ力にてラチェット12c側へ前進してラチェット12cに噛合する。これにより、シートバックは、基線L1である初段ロック位置にてシートクッションに対してロックされ、所定の傾斜角度にて起立状態に保持される。
【0044】
このように、当該リクライニング装置においては、アンロックプレート19を採用して、特定の1個のポールであるスライドポール15Aを、ラチェット12cとの噛合を解除する方向に後退させると、スライドポール15Aが作動プレート18および回転カム16を作動して、各スライドポール15をラチェット12cとの噛合を解除する方向に後退させ、ラチェット12cに対する噛合解除状態を形成するように構成している。
【0045】
このため、アンロックプレート19により、1個のスライドポール15Aのみを移動させれば、各スライドポール15のフリーゾーンを形成することができる。かかるフリーゾーンにおいては、スライドポール15Aのラチェット12cに対する噛合を解除する角度範囲と、隣接するスライドポール15B,15Dを噛合方向へ移動させるべき角度範囲とが平面視で重なる関係にあっても、フリーゾーンの設定が可能である。
【0046】
当該リクライニング装置は、シートクッションとシートバックのヒンジ部に取付けられて車両用リクライニングシートを構成するためのリクライニング装置であり、車両用リクライニングシートに適した下記のごとき設定となっている。
【0047】
すなわち、当該リクライニング装置においては、図5〜図8に示すように、(1)シートクッションに対するシートバックのなす角度が所定角度より大きい側(基線L1から基線L2,L3側)で各スライドポール15がラチェット12cに対して噛合可能でロック状態を構成し得るように、(2)シートクッションに対するシートバックのなす角度が所定角度より小さい側(基線L1から基線L4,L5側)で各スライドポール15がラチェット12cに対して噛合不能でロック状態を構成し得ないように、(3)シートクッションに対するシートバックのなす角度が最小値の位置(基線L5位置)では各スライドポール15がラチェット12cに対して噛合してロック状態を構成するように設定している。
【0048】
従って、当該リクライニング装置を使用した車両用リクライニングシートにおいては、シートバックをシートクションに対して最小角度まで倒した状態(基線L5の回動位置)、換言すれば、略水平状態でロック状態を構成することができるようになっている。このため、シートバックが略水平状態でロックされている場合には、車両走行中に振動が加わっても、シートバックが不安定な状態に振動することを防止できる。また、シートバックはその背部が略水平状態でロックされて不安定な振動を防止されるため、シートバックの背部をテーブルとして利用することができる。
【0049】
さらにまた、当該リクライニング装置においては、可動円盤12に係合突起部12eを形成するという簡単な構成により、アンロックプレート19をラチェット12cを備えた可動円盤12と回動方向に一体化できる利点があり、かつ、車種毎に異なるリクライニング装置のフリーゾーンを、アンロックプレート19を適宜変更する手段によって容易に対処し得る利点がある。なお、可動円盤12に設ける係合突起部12eについては、適宜の形状のものでよいとともに、係合突起部12eに相当する突起部または掛止部を1個設けるとともに、アンロックプレート19側に当該突起部または掛止部を掛止する掛止部または突起部を1個設け、これらの突起部をこれらの掛止部にて掛止して、アンロックプレート19を可動円盤12に回動方向に一体的に連結するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係るリクライニング装置の縦断端面図である。
【図2】同リクライニング装置を分解して各構成部材の配置関係を示す斜視図である。
【図3】同リクライニング装置における一部の構成部材を取除いた、スライドポールがラチェットに噛合状態にある正面図である。
【図4】同リクライニング装置における一部の構成部材を取除いた、スライドポールがラチェットに対して非噛合状態にある正面図である。
【図5】同リクライニング装置の可動円盤、スライドポール、ラチェットおよびアンロックプレートの一の作動状態を示す正面図である。
【図6】同リクライニング装置の他の作動状態を示す正面図である。
【図7】同リクライニング装置のさらに他の作動状態を示す正面図である。
【図8】同リクライニング装置のさらに他の作動状態を示す正面図である。
【符号の説明】
11…固定円盤、11a…円盤本体、11b…円形凹所、11c…組付溝、11d…受承壁部、11e…貫通孔、11f…掛止溝、12…可動円盤、12a…円盤本体、12b…円形凹所、12c…ラチェット、12d…貫通孔、12e…係合突起部、13…支持軸、14…操作レバー、15(15A,15B,15C,15D)…スライドポール、15a…ポール本体、15b…歯部、15c,15d…脚部、15e…カムピン、15f…内側面部、16…回転カム、16a…カム本体、16b,16c,16d…受承カム部、16e…嵌合孔、16f…係合突起部、17…操作アーム、17a…円筒状本体、17b…係合アーム部、18…作動プレート、18a…プレート本体、18b…貫通孔、18c…係合孔、18d…カム溝、19…アンロックプレート、19a…プレート本体、19b…貫通孔、19c…長孔、19c1…大幅孔部、19c2…小幅孔部、19c3…大幅孔部、21…スパイラルスプリング、21a…内端部、21b…外端部、22…セットプレート、22a…プレート本体、22b…円筒部。
Claims (4)
- 先端側に外歯を有する複数のポールと、内周側に内歯を有する円環状のラチェットと、前記各ポールを前記ラチェットの内歯に対して進退可能に保持するホルダと、前記各ポールを前進方向に押圧して前記ラチェットに噛合させるとともに任意の操作力により動作して前記各ポールに対する押圧力を解除して同各ポールと前記ラチェットの噛合状態を解除するカム体を具備し、前記各ポールと前記ラチェットの噛合時には同ラチェットと前記ホルダの相対回転を規制し、かつ、前記各ポールと前記ラチェットの噛合解除時には同ラチェットと前記ホルダの相対回転を許容するリクライニング装置であり、当該リクライニング装置は、前記ホルダと前記ラチェットの相対回転角度が所定の範囲において少なくとも1個の所定のポールを前記ラチェットから後退動作させるアンロック部材を備え、前記アンロック部材は前記ラチェットに係合して一体化していて、前記所定のポールを前記ラチェットから後退動作して同所定のポールの前記ラチェットに対する噛合を解除すると、前記カム体の残りのポールに対する押圧力を解除してこれらのポールの前記ラチェットとの噛合を解除するものであり、前記アンロック部材による前記所定のポールの前記ラチェットとの噛合を解除する角度範囲は、隣接する他のポールを前記ラチェットに噛合させる方向へ移動させるべき角度範囲とは平面視で重なる関係に設定されていることを特徴とするリクライニング装置。
- 請求項1に記載のリクライニング装置であり、前記アンロック部材は、前記所定のポールに設けた突起部と係合する切欠を有するプレート状部材であって前記ラチェットと回転方向に係合して同方向に一体化されており、前記所定のポールの前記ラチェットとの噛合が解除される領域で同ポールの突起と係合して同ポールを前記ラチェットから後退方向へ移動させる段部を備えていることを特徴とするリクライニング装置。
- 請求項1または2に記載のリクライニング装置であり、前記所定のポールを前記ラチェットから後退動作させるアンロック部材は、略半円形の扇形状プレートであることを特徴とするリクライニング装置。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のリクライニング装置であり、前記各ポールと前記ラチェットとの噛合および噛合を解除するカム体は、任意の操作力を受けて前記ホルダおよび前記ラチェットに対して同心的に回転して前記各ポールに対して押圧力を与える回転カムと、回転方向で前記回転カムと一体化されるとともに前記各ポールと係合し、前記回転カムが前記各ポールに対する押圧力を解除するように回転する時、前記各ポールの前記ラチェットに対する噛合を解除する作動プレートとの組立体であることを特徴とするリクライニング装置。
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