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JP3808415B2 - 超音波探触子 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、超音波の走査を電気的あるいは機械的に走査し超音波診断画像を描出する超音波診断装置に装着される超音波探触子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の超音波探触子は、下記特許文献1の図1に記載されている技術が知られている。以下、従来の超音波探触子について説明する。超音波の信号を送受信する素子(トランスデューサ)はロータに固定され、モータを駆動源として素子を回転させながら超音波の送受信を行うことにより、超音波の走査を実現している。具体的には、ロータの側面に取りつけられた1回転300程度の磁気パターンドラムと、それと対向するMRセンサーを用いた位置情報検出器でロータの位置すなわち素子の位置を検出している。この超音波の断層像を描出するには、ロータの回転位置を検出して回転位置の情報を図示していない超音波診断装置本体にフィードバックして、素子からの超音波信号とロータの回転位置情報をもとに、超音波診断装置本体に超音波の断層像を描出している。従来の技術では、位置検出手段として磁気ドラムと、それと対向する磁気抵抗効果を備えたセンサ素子としては、MR(磁気抵抗)センサー、GMR(巨大磁気抵抗)センサーなどが用いられている。
【0003】
すなわち、図7は従来の超音波探触子を簡略化して図示したものである。図において磁気ドラム1は、図示していない超音波を送受信する素子を固定したロータ11の側面に取り付けられている。ウインドウ5は超音波素子の送受信信号を減衰なく生体に伝達するための音響結合液体3を封止している。MRセンサー2は磁気抵抗素子で構成され、一般にガラスを材料としたMRセンサー基板15の上に蒸着技術でパターンを形成されている。MRセンサー基板15の上に形成されたMRセンサー2は、磁気ドラム1と対向して配置され、フレーム5に固定されていて、磁気ドラム1に形成された磁化パターンによってMRセンサー2に交差する磁束の変化によって抵抗値が変化する。
【0004】
図5は磁気ドラムを展開しMRセンサー2のパターンとの位置関係をあらわした図面で、磁気ドラムのN極とS極に発生する磁束が、MRセンサー2のパターンを交差することを示している。一般にMRセンサー2は、図6に示したように2つのMRセンサーパターンの中点を取りだし、この2つのMRセンサーが交差する磁束によって抵抗値が変化することを利用して、磁気ドラムの位置を検出している。図6はMRセンサーのパターンを等価的に抵抗に置き換えたものをあらわしている。図6のA1とA4は磁気ドラムのN極とS極のパターンピッチに対して、A1がS極の中心に有るときはA4がN極とS極の中間の位置になるように配置されており、A1に交差する磁束が最小の時にA4に交差する磁束が最大となるようにしている。A1の一方は電源に接続されており、A4のもう一方はグランドに接続されている。
【0005】
以上のように接続されたMRセンサーは、図5の位置関係ではA4に交差する磁束が最大となり、A1に交差する磁束が最小となることによって、A4の抵抗値が最小となって、結果として2つのMRセンサーパターンの中点電位が変化する。MRセンサーを用いた位置検出の場合に出力を大きく取る場合には、A1とA4の中点から出力されるA相の信号と、A相信号と180度位相のずれた、つまり反転したAバー信号得て、この2つの出力信号を差動アンプで増幅する。また、回転方向を検出するためには、上記A信号と同様の原理で90度位相のずれたB信号を得て、A相とB相信号から回転方向を検出している。
【0006】
図5にはAとAバーおよびBとBバーを得るためのMRセンサーパターンと磁気ドラムのN極とS極のパターンの位置関係を表している。
【0007】
実際の磁気ドラム1は、図7に示すように円筒形となっており、MRセンサーと磁気ドラムの隙間は回転中心位置からフレームへの垂線を最小として、この垂線の両側では隙間が大きくなっている。よって図7に示した隙間に存在する音響結合液体の流速は隙間の大きさに反比例する。
【0008】
図7に示したMRセンサー2は磁気抵抗素子であって、図6の等価回路に示したように常に電流が流れ、MRセンサーパターンはオームの法則による発熱が起こる。このMRセンサーパターンからの発熱は、接触している音響結合液体3やMRセンサー基板に放熱される。
【0009】
ここで音響結合液体への伝熱が支配的であるとすれば、磁気ドラムとMRセンサーの隙間を流れる音響結合液体の流速が速ければ冷却効果が大きく、流速が遅ければ冷却効果が小さくなり、MRセンサーパターンそのものの温度が磁気ドラムとの隙間、すなわち磁気ドラムとの相対的な位置関係によって異なる。固体の抵抗は温度により変化する事は周知の事実であり、本来は磁気ドラムのパターンにより発生する磁束のみによって変化すべきMRセンサーパターンの抵抗値が、上記温度変化によって異なった値となる。図5からも明らかなようにAとAバーの配置上の中間位置はBとBバーの中間位置とは異なり、回転軸を中心とした垂線上に両者を配置することは物理的に不可能であり、必ず音響結合液体の流速がアンバランスになる。すなわち、このMRセンサーを用いた位置検出手段は音響結合液体の中にあって、磁気ドラムとMRセンサーの間には音響結合液体が存在する。磁気ドラムの回転により上記音響結合液体は、磁気ドラムとMRセンサーの隙間を流れる。円筒形のドラムと平面であるMRセンサーとの隙間が均一で無いことから、音響結合液体の流速が不均一となる。
【0010】
【特許文献1】
特許第2876510号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の超音波探触子においては、MRセンサーは一般にガラス基板の上に強磁性体である磁気抵抗素子蒸着して形成されている。熱伝導率の低いガラス基板の上に形成された抵抗体であるMRセンサーパターンは、放熱が不均一となることがわかった。そして、MRセンサーパターンの温度が不均一となるとMRセンサーの抵抗値が変化し、結果としてMRセンサーの出力信号がロータの回転速度や回転方向により変化し、正確な位置情報が得られないという問題を有していた。
【0012】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、MRセンサーパターンの放熱を均一にし、ロータと一体となって回転する磁気ドラムの回転速度や回転方向によるMRセンサー出力の変化を低減し、正確な位置情報を検出する超音波探触子を提供することを第1番目の目的とする。
【0013】
本発明の第2番目の目的は、液体流速の不均一により発生する放熱の不均一性を軽減し、磁気ドラムの回転速度や回転方向によるMRセンサーの出力変化を軽減し正確な位置情報を検出することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の超音波探触子は、超音波を送受信する圧電素子と、前記圧電素子を回転可能に保持するロータと、前記ロータを収納する液体封止室と、前記液体封止室に充填された音響結合液体と、前記ロータの位置を検出するために前記液体封止室内に設けられた磁気抵抗効果を備えたセンサ素子と、前記ロータに取りつけられた磁気ドラムとを備え、前記センサ素子が、A相及びB相を含み、前記各相が、それぞれ2つ以上の磁気抵抗素子で構成されその中点電位を出力するものであり、前記2つ以上の磁気抵抗素子の中間位置が、前記A相と前記B相で異なる位置に配置される超音波探触子であって、前記センサ素子のパターンを形成する基板が、窒化珪素であることを特徴とする。
【0015】
これにより、MRセンサーパターンの放熱を均一にし、ロータと一体となって回転する磁気ドラムの回転速度や回転方向によるMRセンサー出力の変化を低減し、正確な位置情報を検出できる。とくに窒化珪素は、熱伝導率が150W/m・K以上であり、MRセンサーパターンの放熱を均一にし、ロータと一体となって回転する磁気ドラムの回転速度や回転方向によるMRセンサー出力の変化を低減し、正確な位置情報を検出できる。
【0016】
次に本発明の別の超音波探触子は、超音波を送受信する圧電素子と、前記圧電素子を回転可能に保持するロータと、前記ロータを収納する液体封止室と、前記液体封止室に充填された音響結合液体と、前記ロータの位置を検出するために前記液体封止室内に設けられた磁気抵抗効果を備えたセンサ素子と、前記ロータに取りつけられた磁気ドラムとを備え、前記センサ素子が、A相及びB相を含み、前記各相が、それぞれ2つ以上の磁気抵抗素子で構成され、その中点電位を出力するものであり、前記2つ以上の磁気抵抗素子の中間位置が、前記A相と前記B相で異なる位置に配置される超音波探触子であって、前記センサ素子が、その上面を熱伝導率が0.01W/m・K以上5W/m・K以下である材料でコーティングされたセンサ素子であることを特徴とする。
【0017】
これにより、MRセンサーパターンの放熱を均一にし、ロータと一体となって回転する磁気ドラムの回転速度や回転方向によるMRセンサー出力の変化を低減し、正確な位置情報を検出できる。
【0018】
前記熱伝導率の低い材料が、エポキシ樹脂であることが好ましい。また、前記熱伝導率の低い材料が、ガラスウールのコーティング膜と、その上のエポキシ樹脂のコーティング膜であることが好ましい。また、前記コーティング膜の膜厚が、5〜30μmの範囲であることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
従来例で説明した図4〜7の構成は、下記を除いて本発明も同様である。
【0021】
(第一の実施の形態)
図1は本発明の第一の実施の形態における超音波探触子の断面図であり、MRセンサー基板4は窒化珪素を材料としたシリコン基板である。他の符号は図7の従来例と共通するので、説明を省略する。
【0022】
図2(a)(b)は、図1のMRセンサー基板4とMRセンサー2の部分を抜き出した図であり、図2(a)はMRセンサー2の概略斜視図、図2(b)はMRセンサー2の概略断面図である。なお、図2(b)の断面図内の配線は、MRセンサーパターン2aを模式的に表わしたものである。
【0023】
従来はMRセンサー基板にガラスを使用していたが、光学ガラスの熱伝導率は0.55から1.13W/m・kと小さい。MRセンサーパターン2aを蒸着した基板がガラスである場合には、MRセンサーパターン2aの発熱がガラスを経由して伝熱しにくく、MRセンサーパターン2a上面の音響結合液体にほとんどが放熱される。
【0024】
本発明の第一の実施例ではMRセンサー基板4に熱伝導率が150から200W/m・kと大きな材料を用いており、MRセンサーパターン2aの発熱は窒化珪素を材料とするシリコン基板を通して伝熱され、その結果としてMRセンサーの各パターンの温度差が極端に軽減され、MRセンサーパターン上面の音響結合液体の流速の差による温度差が軽減できる。よって、磁気ドラムすなわち素子を固定したロータ11の回転速度や回転方向によるMRセンサー出力信号の影響を軽減することができる。前記において、シリコン基板の厚みは0.8mmであり、シリコン基板を含めたMRセンサー2の大きさは、縦3.3mm、横7.1mmであった。
【0025】
本実施形態によれば、MRセンサーパターンの放熱が均一となり、磁気ドラムすなわちロータの回転速度や回転方向による変化が少なく正確な素子の位置を検出することができる。
【0026】
(第二の実施の形態)
図3は第二の実施例であり、MRセンサー基板がガラス基板8であっても、MRセンサー2の表面に熱伝導率が0.19W/m・kと低いエポキシ樹脂7を、厚み30μmでコーティングすることによって、MRセンサーパターンからの発熱が音響結合液体側に伝熱しにくくし、その結果として音響結合液体の流速変化すなわち音響素子を固定したロータ11の回転速度および回転方向によるセンサー出力信号への影響を軽減できる。
【0027】
また、MRセンサーを形成する基板が熱伝導率の低いガラスであっても、MRセンサーの表面に、熱伝導率の低い材料、例えばエポキシやガラスウール等をコーティングすることによって、MRセンサー表面に接触する音響結合液体への放熱を軽減し、結果としてMRセンサーのパターンの位置による放熱量の変化が少なく、MRセンサーパターンの温度を均一にする事が可能となり、その結果として、磁気ドラムすなわちロータの回転速度や回転方向による変化が少なく、正確な位置を検出することが可能となる。
【0028】
(第三の実施の形態)
図4は第三の実施例であり、第二の実施例の効果をさらに高めたものである。すなわち、ガラス基板8からなるMRセンサー基板表面のMRセンサー2上にグラスウール10で被覆し、その上にエポキシ樹脂7を被覆したものである。
【0029】
グラスウール10の熱伝導率は0.03から0.05W/m・kとエポキシ樹脂の熱伝導率よりさらに低い値である。グラスウール10は材料の中に熱伝導率の小さい空気を含有したものであって、その材料そのものだけでは音響結合液体の浸入により熱伝導率が大きくなるため、空気を含有したグラスウール10の表面にはエポキシなどのコーティングを行っている。グラスウールの厚みは30μm、エポキシ樹脂の厚みは10μmとした。
【0030】
以上のように3つの実施例を列挙したが、第一の実施例に加えて第二あるいは第三の実施例を組み合わせることにより、その効果は更に高めることも可能である。
【0031】
上記実施の形態によれば、液体の中にMRセンサーを用いた位置検出手段を設けても、素子を固定したロータ11の位置を、回転速度や回転方向による誤差を少なく、確実に検出することが可能となる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、MRセンサーの基板に熱伝導率の高い材料を用いることにより、回転速度や回転方向による変化の少ない、正確な位置を検出する事が出来る。また、MRセンサーの表面に熱伝導率の低い材料をコーティングする事によっても同様の効果が得られる。
【0033】
なお、本発明の位置検出手段としてはMRセンサーを用いたが、GMRセンサーでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例における超音波探触子の断面図。
【図2】(a)は本発明の第一実施例におけるMRセンサーの概略斜視図、(b)は同、MRセンサーの概略断面図。
【図3】本発明の第二実施例におけるMRセンサーの断面図。
【図4】本発明の第三実施例におけるMRセンサーの断面図。
【図5】従来例の円筒形の磁気ドラムを展開しMRセンサーとの相対位置関係を説明した図。
【図6】同、MRセンサーの等価回路を説明した図。
【図7】従来例の超音波探触子の断面図。
【符号の説明】
1 磁気ドラム
2 MRセンサー
3 音響結合液体
4 MRセンサー基板
5 フレーム
6 液の流速
7 エポキシ樹脂
8 ガラス基板
9 シリコン基板
10 ガラスウール
11 ロータ

Claims (5)

  1. 超音波を送受信する圧電素子と、前記圧電素子を回転可能に保持するロータと、前記ロータを収納する液体封止室と、前記液体封止室に充填された音響結合液体と、前記ロータの位置を検出するために前記液体封止室内に設けられた磁気抵抗効果を備えたセンサ素子と、前記ロータに取りつけられた磁気ドラムとを備え、
    前記センサ素子が、A相及びB相を含み、前記各相が、それぞれ2つ以上の磁気抵抗素子で構成されその中点電位を出力するものであり、
    前記2つ以上の磁気抵抗素子の中間位置が、前記A相と前記B相で異なる位置に配置される超音波探触子であって、
    前記センサ素子のパターンを形成する基板が、窒化珪素であることを特徴とする超音波探触子。
  2. 超音波を送受信する圧電素子と、前記圧電素子を回転可能に保持するロータと、前記ロータを収納する液体封止室と、前記液体封止室に充填された音響結合液体と、前記ロータの位置を検出するために前記液体封止室内に設けられた磁気抵抗効果を備えたセンサ素子と、前記ロータに取りつけられた磁気ドラムとを備え、
    前記センサ素子が、A相及びB相を含み、前記各相が、それぞれ2つ以上の磁気抵抗素子で構成されその中点電位を出力するものであり、
    前記2つ以上の磁気抵抗素子の中間位置が、前記A相と前記B相で異なる位置に配置される超音波探触子であって、
    前記センサ素子が、その上面を熱伝導率が0.01W/m・K以上5W/m・K以下である材料でコーティングされたセンサ素子であることを特徴とする超音波探触子。
  3. 前記コーティングの材料が、エポキシ樹脂である請求項2に記載の超音波探触子。
  4. 前記コーティングの材料が、さらに、ガラスウールを含み、エポキシ樹脂のコーティング膜の下にガラスウールのコーティング膜が形成された請求項3に記載の超音波探触子。
  5. 前記センサ素子にコーティングされたコーティング膜の膜厚が、1〜500μmである請求項2〜4のいずれかに記載の超音波探触子。
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