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JP3816293B2 - 内燃機関の空燃比フィードバック制御装置 - Google Patents
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内燃機関の空燃比フィードバック制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の空燃比をフィードバック制御する装置に関し、特にスライディングモード制御を用いて燃焼混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用内燃機関では、排気浄化や燃費向上等を目的として、燃焼混合気の空燃比を目標値にフィードバック制御することが一般的である。
【0003】
このため、排気通路等に設けた空燃比センサによって空燃比を逐次検出しつつ、該検出空燃比を目標空燃比に収束させるように、PID制御(比例・積分・微分)等を用いて燃料供給量をフィードバック制御している。
【0004】
一方、外乱の影響を抑制したロバスト性の高い制御として、スライディングモード制御が知られており、ロボット制御等で多用されているが、該スライディングモード制御を用いて空燃比のフィードバック制御を行なうことが提案されている(特開平8−232713号公報等参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特開平8−232713号公報に開示される制御装置では、大きな空燃比偏差を速やかに収束させるために、適応制御やオブザーバ制御を用いる構成となっているが、適応制御やオブザーバ制御は制御設計が複雑で、多くのメモリ容量を必要とし、オンボード化し難いという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、簡便な制御構成で大きな空燃比偏差を速やかに収束させることができる、スライディングモード制御を用いた空燃比フィードバック制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明は、空燃比の検出値と目標空燃比とに基づくスライディングモード制御によって線形項及び非線形項を含む空燃比フィードバック制御量を算出する構成であって、前記線形項のゲインを、空燃比の検出値と目標空燃比との偏差に応じて切り換える構成とした。
【0008】
かかる構成によると、空燃比の検出値と目標空燃比との偏差に応じたゲインで線形項が算出され、この線形項と別途算出される非線形項とから空燃比フィードバック制御量を算出し、空燃比フィードバック制御量により例えば燃料噴射量の補正を行って、燃焼混合気の空燃比を調整する。
【0009】
請求項2記載の発明では、空燃比の検出値と目標空燃比との偏差の絶対値が大きいほど線形項のゲインを大きくする構成とした。
かかる構成によると、実際の空燃比の目標空燃比に対するずれが大きいときほど線形項のゲインを大きくし、前記ずれが大きいときほど線形項による補正量を大きくする。
【0010】
請求項3記載の発明では、空燃比の検出値と目標空燃比との偏差を切換関数とするスライディングモード制御によって線形項及び非線形項を算出するよう構成し、かつ、前記切換関数の正負に応じて正負が切り換えられるゲインを積分して前記非線形項を算出する構成とした。
【0011】
かかる構成によると、空燃比の状態が切換線を横切る毎に切換関数の正負が反転し、これに応じて正負が反転するゲインを積分した値である非線形項により、空燃比の状態を切換線上に拘束しつつ目標空燃比に収束させる。
【0012】
請求項4記載の発明では、前記非線形項のゲインを、機関運転状態に応じて切り換える構成とした。
かかる構成によると、機関負荷・回転速度などの機関運転状態に応じたゲインを用いて空燃比フィードバック制御量の非線形項が算出される。
【0013】
請求項5記載の発明では、前記線形項を、空燃比の検出値に対する空燃比偏差の割合に比例した値として算出する構成とした。
かかる構成によると、空燃比の状態が切換線から離れたときほど、これに比例して大きな線形項が設定されることになる。
【0014】
【発明の効果】
請求項1,2記載の発明によると、目標空燃比と実際の空燃比との間に大きな空燃比ずれが生じたときに、大きなゲインで線形項が算出されることで、前記空燃比ずれを速やかに収束させることができ、簡便な制御構成で収束性に優れた空燃比フィードバック制御を行わせることができるという効果がある。
【0015】
請求項3記載の発明によると、空燃比を目標空燃比付近に拘束して速やかに目標空燃比に収束させることができるという効果がある。
請求項4記載の発明によると、空燃比の検出遅れ時間中に非線形項の値が過剰に積算されることを回避でき、応答性を確保しつつ実空燃比の目標空燃比からのずれ量を適度に小さくして、安定した空燃比フィードバック制御を行えるという効果がある。
【0016】
請求項5記載の発明によると、切換線上を目標空燃比に向けて速やかにかつオーバーシュートを抑制しつつ収束させることができるという効果がある。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は実施の形態における内燃機関のシステム構成図である。
【0018】
この図1において、車両に搭載される内燃機関1の各気筒の燃焼室には、エアクリーナ2,吸気通路3,モータで開閉駆動される電子制御式スロットル弁4を介して空気が吸入される。各気筒の燃焼室内に燃料(ガソリン)を直接噴射する電磁式の燃料噴射弁5が設けられており、該燃料噴射弁5から噴射される燃料と前記吸入される空気とによって燃焼室内に混合気が形成される。
【0019】
燃料噴射弁5は、コントロールユニット20から出力される噴射パルス信号によりソレノイドに通電されて開弁し、所定圧力に調圧された燃料を噴射する。そして、噴射された燃料は、吸気行程噴射の場合は燃焼室内に拡散して均質な混合気を形成し、また圧縮行程噴射の場合は点火栓6回りに集中的に層状の混合気を形成する。燃焼室内に形成される混合気は、点火栓6により着火燃焼する。
【0020】
但し、内燃機関1を上記の直接噴射式ガソリン機関に限定するものではなく、吸気ポートに燃料を噴射する構成の機関であっても良い。
機関1からの排気は排気通路7より排出される。前記排気通路7には排気浄化用の触媒8が介装されている。
【0021】
また、燃料タンク9にて発生した蒸発燃料を燃焼処理する蒸発燃料処理装置が設けられている。
キャニスタ10は、密閉容器内に活性炭などの吸着剤11を充填したもので、燃料タンク9から延設される蒸発燃料導入管12が接続されている。従って、燃料タンク9にて発生した蒸発燃料は、前記蒸発燃料導入管12を通って、キャニスタ10に導かれ吸着捕集される。
【0022】
また、キャニスタ10には、新気導入口13が形成されると共に、パージ配管14が導出され、前記パージ配管14には、コントロールユニット20からの制御信号によって開閉が制御されるパージ制御弁15が介装される。
【0023】
上記構成において、パージ制御弁15が開制御されると、機関1の吸入負圧がキャニスタ10に作用する結果、新気導入口13から導入される空気によってキャニスタ10の吸着剤11に吸着されていた蒸発燃料がパージされ、パージエアがパージ配管14を通って吸気通路3のスロットル弁4下流に吸入され、その後、機関1の燃焼室内で燃焼処理される。
【0024】
コントロールユニット20は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インターフェイス等を含んで構成されるマイコンを備え、各種センサからの入力信号を受け、これらに基づいて演算処理して、燃料噴射弁5,点火栓6及びパージ制御弁15などの作動を制御する。
【0025】
前記各種センサとして、機関1のクランク角を検出するクランク角センサ21、カム軸から気筒判別信号を取り出すカムセンサ22が設けられており、前記クランク角センサ21からの信号に基づき機関の回転速度が算出される。
【0026】
この他、吸気通路3のスロットル弁4上流で吸入空気流量Qaを検出するエアフローメータ23、アクセルペダルの踏込み量(アクセル開度)APSを検出するアクセルセンサ24、スロットル弁4の開度TVOを検出するスロットルセンサ25、機関1の冷却水温Twを検出する水温センサ26、排気中の酸素濃度に応じて燃焼混合気の空燃比をリニアに検出する広域型の空燃比センサ27、車速VSPを検出する車速センサ28などが設けられている。
【0027】
ここで、前記広域型の空燃比センサ27の構造を、図2に基づいて説明する。ジルコニア(ZrO2)等の固体電解質部材からなる基板31上には、酸素濃度測定用の+電極32が設けられている。また、基板31には大気が導入される大気導入孔33が開設され、この大気導入孔33には、−電極34が+電極32に対向させて取り付けられている。
【0028】
このようにして、基板31と+電極32と−電極34とにより酸素濃度検出部35が形成される。
また、ジルコニア等からなる固体電解質部材36の両面に一対の白金からなるポンプ電極37,38を設けて形成される酸素ポンプ部39を有している。
【0029】
そして、該酸素ポンプ部39を、例えばアルミナで枠状に形成したスペーサ40を介して酸素濃度検出部35の上方に積層して、酸素濃度検出部35と酸素ポンプ部39との間に中空室41が設けられ、かつ、この中空室41に機関の排気を導入するための導入孔42が酸素ポンプ部39の固体電解質部材36に形成されている。
【0030】
尚、前記スペーサ40の外周にはガラス製の接着剤43が充填され、中空室41の密閉性を確保すると共に、基板31及びスペーサ40と固体電解質36とを接着固定するようにしてある。ここで、スペーサ40と基板31とは同時焼成して結合されるため、中空室41の密閉性はスペーサ40と固体電解質部材36とを接着することによって確保されるものである。また、酸素濃度検出部39には、暖機用のヒーター44が内蔵されている。
【0031】
そして、導入孔42を介して中空室41に導入された排気の酸素濃度を前記+電極32の電圧から検出する。具体的には、大気導入孔33内の大気中の酸素と中空室41内の排気中の酸素との濃度差に応じて基板31内を酸素イオン電流が流れ、これに伴って、+電極32に排気中の酸素濃度に対応する電圧が発生する。
【0032】
そして、この検出結果に応じて中空室41内の雰囲気を一定(例えば理論空燃比) に保つように酸素ポンプ部39に流す電流値を可変制御し、その時の電流値から排気中の酸素濃度を検出する。
【0033】
具体的には、前記+電極32の電圧を、制御回路45によって増幅処理した後、電圧検出抵抗46を介して電極37,38間に印加し、中空室41内の酸素濃度を一定に保つようにする。
【0034】
例えば、排気中の酸素濃度の高いリーン領域での空燃比を検出する場合には、外側のポンプ電極37を陽極、中空室41側のポンプ電極38を陰極にして電圧を印加する。すると、電流に比例した酸素(酸素イオンO2- )が中空室41から外側に汲み出される。そして、印加電圧が所定値以上になると、流れる電流は限界値に達し、この限界電流値を前記制御回路45で測定することにより排気中の酸素濃度、換言すれば、空燃比を検出できる。
【0035】
逆に、ポンプ電極37を陰極、ポンプ電極38を陽極にして中空室41内に酸素を汲み入れるようにすれば、排気中の酸素濃度の低い空燃比リッチ領域での検出ができる。
【0036】
かかる限界電流は、前記電圧検出抵抗46の端子間電圧を検出する差動増幅器47の出力電圧から検出する。
前記コントロールユニット20は、所定の空燃比フィードバック制御条件が成立するときに、前記空燃比センサ27で検出される空燃比(実空燃比)を運転条件に応じた目標空燃比に一致させるべく、本発明に係るスライディングモード制御による空燃比フィードバック制御を行なう。
【0037】
図3は、前記スライディングモード制御による空燃比フィードバック制御を示すブロック図である。
非線形項演算部101では、フィードバック制御量の非線形項UNLを、次式により算出する。
【0038】
NL=(ゲイン1)×(実空燃比−目標空燃比)/(|実空燃比−目標空燃比|)+UNL(OLD)
尚、上式で、ゲイン1は予め決定された固定値、目標空燃比はそのときの運転条件に応じて設定される空燃比の目標値、実空燃比は前記空燃比センサ27で検出されたそのときの実際の空燃比、UNL(OLD)は非線形項UNLの前回値である。
【0039】
本実施形態でのスライディングモード制御では、直接切換関数法によって、切換関数Sを切換関数S=実空燃比−目標空燃比とすることにより、切換線S=0が所望の状態である実空燃比=目標空燃比となり、該切換線を横切る毎にフィードバックゲインの増減方向(正負)が切り換えられる。そして、このように切換線S=0で増減方向(正負)が切り換えられるフィードバックゲインを積分した値として非線形項UNLが算出される。
【0040】
また、線形項演算部102では、フィードバック制御量の線形項ULを、次式により算出する。
L=(ゲイン2)×(実空燃比−目標空燃比)/実空燃比
そして、前記線形項制御量ULと、非線形項制御量UNLとを加算した値を、空燃比フィードバック補正係数αの中央値(=1.0)に加算し、該加算結果をリミッタ処理部103で、上・下限値以内となるようにリミッタ処理を行なった後、最終的な空燃比フィードバック補正係数αとして出力する。
【0041】
吸入空気量,機関回転速度に応じて算出される基本燃料噴射量Tp(理論空燃比相当の基本燃料噴射量Tp)に前記空燃比フィードバック補正係数αを乗算することで、そのときの目標空燃比相当の噴射量に補正して、これを最終的な燃料噴射量Tiとし、該燃料噴射量Tiに相当するパルス幅の噴射パルス信号を燃料噴射弁5に出力することで燃料を噴射させる。
【0042】
また、空燃比の検出遅れ時間が機関運転状態により変化することに対応して、非線形項UNLのゲイン1を補正するためのゲイン補正値演算部104が設けられており、前記遅れ時間が長くなる機関運転状態のときほど(例えば吸入空気量が小さいときほど)、ゲイン1をより小さい値に補正する。
【0043】
更に、前記線形項制御量ULのゲイン2を、実空燃比と目標空燃比との偏差に応じて切り換えるゲイン切り換え設定部105が設けられており、該ゲイン切り換え設定部105では、実空燃比と目標空燃比との偏差の絶対値(|実空燃比−目標空燃比|)が大きいときほど、前記ゲイン2をより大きな値に切り換える。これにより、目標空燃比に対して実空燃比が大きくずれると、線形項制御量ULの演算ゲインが高くなって、目標空燃比への収束性が高められる。
【0044】
図4のフローチャートは、上記スライディングモード制御による空燃比フィードバック制御の様子を示すものであり、ステップS1では、空燃比センサ27で検出される実空燃比、及び、目標空燃比を読み込む。
【0045】
ステップS2では、
NL=(ゲイン1)×(実空燃比−目標空燃比)/(|実空燃比−目標空燃比|)+UNL(OLD)
として、非線形項UNLを算出する。
【0046】
ステップS3では、機関運転状態として機関の吸入空気量を読み込む。
ステップS4では、前記読み込んだ吸入空気量に応じてゲイン補正値を設定し、次のステップS5では、ステップS2で算出した非線形項UNLに前記ゲイン補正値を乗算して非線形項UNLを補正設定する。
【0047】
ステップS6では、実空燃比と目標空燃比との偏差の絶対値に応じて線形項ULの演算に用いるゲイン2を設定する。
ステップS7では、上記ゲイン2を用いて、線形項ULを次式により算出する。
【0048】
L=(ゲイン2)×(実空燃比−目標空燃比)/実空燃比
ステップS8では、空燃比フィードバック補正係数αを、
α=UNL+UL+1.0
として算出し、次のステップS9では、前記空燃比フィードバック補正係数αによって燃料噴射量を補正する。
【0049】
ステップS10では、次回の演算に備えて、今回算出された非線形項UNLを前回値UNL(OLD)にセットする。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における内燃機関のシステム構成図。
【図2】実施の形態における空燃比センサ及びその周辺回路を示す図。
【図3】実施の形態における空燃比フィードバック制御を示す制御ブロック図。
【図4】実施の形態における空燃比フィードバック制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…内燃機関
3…吸気通路
4…スロットル弁
5…燃料噴射弁
6…点火栓
20…コントロールユニット
27…空燃比センサ

Claims (5)

  1. 内燃機関の燃焼混合気の空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比フィードバック制御装置であって、
    前記空燃比の検出値と前記目標空燃比とに基づくスライディングモード制御によって線形項及び非線形項を含む空燃比フィードバック制御量を算出するよう構成する一方、
    前記線形項のゲインを、前記空燃比の検出値と前記目標空燃比との偏差に応じて切り換えるよう構成したことを特徴とする内燃機関の空燃比フィードバック制御装置。
  2. 前記空燃比の検出値と前記目標空燃比との偏差の絶対値が大きいほど前記線形項のゲインを大きくすることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の空燃比フィードバック制御装置。
  3. 前記空燃比の検出値と目標空燃比との偏差を切換関数とするスライディングモード制御によって線形項及び非線形項を算出するよう構成され、前記切換関数の正負に応じて正負が切り換えられるゲインを積分して前記非線形項を算出することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の空燃比フィードバック制御装置。
  4. 前記非線形項のゲインが、機関運転状態に応じて切り換えられることを特徴とする請求項3記載の内燃機関の空燃比フィードバック制御装置。
  5. 前記線形項が、前記空燃比の検出値に対する前記偏差の割合に比例した値として算出されることを特徴とする請求項3又は4記載の内燃機関の空燃比フィードバック制御装置。
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