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JP3816896B2 - シナモン入り紅茶飲料の製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シナモン入り紅茶飲料の新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シナモン入り紅茶飲料を工業的に製造する場合、従来においては、紅茶原料から紅茶成分を抽出し、この紅茶抽出液にシンナミックアルデヒドやオイゲノールを主成分としたいわゆるシナモン香料を調合段階で添加することにより、シナモン風味を有する紅茶飲料を得る製法が用いられてきた。しかしながら、香料を添加する方法では、シナモンの香りに近いものは得られるものの、風味は本物のシナモンを用いた場合と異なり、満足のいくものではなかった。
【0003】
一方、本物のシナモンを用いたシナモン入り嗜好飲料の工業的製造方法としては、粉砕したコーヒー豆とシナモン粉末とを特定比率で配合してなる混合物を熱水で抽出する製法が公知である(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。しかしながら、かかる製法をシナモン入り紅茶の製造に転用した場合、シナモンと紅茶葉を同時に抽出するため、紅茶の香味とシナモンの風味の強さとを調節することが困難であり、各々に最適な条件で抽出することができない。
【0004】
このように、紅茶の香味を損なうことなく本物のシナモンから得られる良好なシナモン風味を有する紅茶飲料の製造方法は未だ提供されていなかったのが現状である。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−38053号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平7−143850号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み開発されたものであり、紅茶の香味を損なうことなく本物のシナモンから得られる良好なシナモン風味を有するシナモン入り紅茶飲料の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、本物のシナモンを用いたシナモン入り紅茶飲料の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、紅茶成分とシナモン成分を別々に抽出・濾過し、調合段階でこれらを混合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、紅茶成分とシナモン成分とを別々に抽出することにより、紅茶成分とシナモン成分それぞれについて最適条件で抽出することができ、更にはシナモン成分の抽出時には重曹を添加することなく、紅茶成分の抽出時においてのみ重曹を添加することが可能となるため、紅茶の香味を損なうことなく、良好なシナモン風味が得られることを見出し、本発明を完成した物である。
【0009】
すなわち、本発明は、紅茶葉から紅茶成分を、シナモン原料からシナモン成分を、それぞれ別々に抽出し、得られた紅茶成分とシナモン成分を混合することを特徴とするシナモン入り紅茶飲料の製造方法であって、紅茶葉から紅茶成分を抽出する際に重曹を添加し、シナモン原料からシナモン成分を抽出する際には重曹を添加しない、シナモン入り紅茶飲料の製造方法である。
【0010】
本発明において紅茶成分の抽出は70〜95℃の範囲で行われることが好ましく、シナモン成分の抽出は50〜95℃の範囲で行われることが好ましい。
【0011】
また、本発明において紅茶成分の抽出時における重曹の添加量は、紅茶抽出液に対して100ppm〜1000ppmの範囲であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、本物のシナモン原料を用いたシナモン入り紅茶飲料の製造方法であって、紅茶成分とシナモン成分を別々に抽出後、両成分を混合することを特徴とするものである。紅茶成分とシナモン成分それぞれについて最適条件で抽出することができる点、更にはシナモン成分の抽出時には重曹を添加することなく、紅茶成分の抽出時においてのみ重曹を添加することが可能となる点に本発明の最大の利点が見出される。これにより、紅茶の優れた香味を損なうことなく、良好なシナモンの風味を有するシナモン入り紅茶飲料の提供が可能となる。
【0013】
紅茶成分の抽出時において重曹を添加することは優れた紅茶の香味を得ると共に、クリームダウンを抑制するために重要であり、一方、シナモン抽出時において重曹を添加しないことはシナモンの風味を生かすために重要である。
【0014】
以下、本発明における紅茶成分並びにシナモン成分の抽出条件について説明する。
【0015】
本発明において紅茶葉から紅茶成分を抽出する際の抽出温度は、好ましくは70〜95℃、より好ましくは80〜95℃であり、抽出時間は、好ましくは6〜11分、より好ましくは6〜9分である。また、紅茶成分の抽出時における重曹の添加量は、紅茶抽出液に対して好ましくは100ppm〜1000ppmである。
【0016】
次いでシナモン成分の抽出条件について説明する。本発明においてシナモン成分の抽出に用いるシナモン原料の形態は特に限定されるものではなく、小枝状のものでもよいし、粉砕されたパウダー状のものでもよい。シナモン原料からシナモン成分を抽出する際の抽出温度、抽出時間は、原料の形態に応じて適宜決定することができる。例えばシナモンパウダーを使用する場合、その粉砕粒度はろ過時に目詰まりがなく、効率よくシナモン成分を抽出できるような粒度であればよく、例えばJIS60メッシュをパスする粒度のシナモンが95質量%の含有率で含まれているものである。また、好ましい抽出温度は50〜95℃、より好ましくは60〜80℃であり、好ましい抽出時間は6〜22分、より好ましくは9〜15分である。
【0017】
本発明においては、舌触り、のどごし等の観点から、抽出液をろ過することが好ましい。紅茶成分とシナモン成分を別々に抽出、ろ過した後に両成分を混合してもよいし、紅茶成分とシナモン成分を混合した後にろ過してもよい。
【0018】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、実施例は例示のために提示するものであって、どのようにも本発明を限定することを意図するものではない。
【0019】
(1)シナモンの最適抽出条件の検討
シナモンの抽出効率が約12%となるように、抽出温度および時間をそれぞれ調整し、シナモン成分を抽出した。その抽出されたシナモン抽出液の風味の特徴を調べることにより、シナモンの最適抽出条件(抽出温度、抽出時間)を検討した。また、風味に及ぼす重曹の影響についても同時に検討した。
【0020】
<試験方法>
市販のシナモンパウダー2gに純水100ミリリットル(以下、「mL」と表記する。)を加え、シナモンの抽出効率が約12%となるよう抽出温度および時間を調整した。その際、1分毎に30秒間撹拌しながらシナモン成分を抽出した。その後、得られたシナモン抽出液を20℃まで冷却して微細ろ過し、純水を加えて1000mLにメスアップして調整した。同様にして、シナモンパウダー2gに重曹55mgを添加した処理水100mLを加え、同様にシナモン成分を抽出した。なお、重曹を添加して抽出した場合、前記シナモン抽出液にビタミンCを添加してpHを前記重曹無添加抽出のものと同程度に調整する以外は、同様に調製した。
【0021】
シナモンの抽出条件及び検討結果を各々表1、表2に示す。なお、官能評価は、伊藤園株式会社内10名のパネラーによる香り、味のブラインドテストにより行った。
【0022】
【表1】
Figure 0003816896
【0023】
【表2】
Figure 0003816896
【0024】
(2)紅茶の最適抽出条件の検討
紅茶を様々な温度及び時間で重曹抽出し、それぞれの紅茶抽出液の香味の特徴、色調及び透過度を調べることにより、シナモンの成分抽出とは分けて紅茶成分を抽出する場合についての最適抽出条件(抽出温度、抽出時間)を検討した。また、95℃において重曹無添加で紅茶を抽出し、重曹の影響についても検討した。
【0025】
紅茶(品種:アッサム)21gに重曹350mgを添加した後、純水630mL(30倍量)を加え、紅茶の抽出効率が約33%となるよう抽出温度および時間をそれぞれ調整した。その際、1分毎に30秒間撹拌しながら紅茶成分を抽出した。その後、得られた紅茶抽出液を20℃まで冷却して微細ろ過し、純水を加え1000mLにメスアップして調整した。同様にして、紅茶(品種:アッサム)21gに純水630mL(30倍量)を加え、同様に抽出した。なお、重曹無添加抽出の場合、前記紅茶抽出液に重曹を添加してpHを前記重曹添加抽出のものと同程度にする以外は同様に調製した。
【0026】
紅茶の抽出条件を表3に、検討結果を表4および表5に示す。なお、表4に示す官能評価は、伊藤園株式会社内10名のパネラーによる香り、味のブラインドテストにより行った。また、表5は色差計(メーカー名:日本電色、型番:SE2000)にてL、a、b値を、分光光度計(メーカー名:島津製作所、型番:PR−1)にて660nmのABS値を測定した結果である。
【0027】
【表3】
Figure 0003816896
【0028】
【表4】
Figure 0003816896
【0029】
【表5】
Figure 0003816896
【0030】
以上の結果から、紅茶は低温度域の抽出では、官能的にもボディー感(紅茶感)が弱く、紅茶の特徴的な渋味も弱くなる傾向にあり、紅茶飲料には適さないと考えられる。
【0031】
一方、重曹無添加抽出は、渋味が極めて強くなる傾向にあることがわかる。
【0032】
また、定性分析において重曹無添加抽出は、透過度が極端に低くなった。これはクリームダウンがおきているためと推測され、かかる結果より紅茶抽出における重曹添加は紅茶抽出液のクリームダウンを防ぐための有効な手段であると考えられる。
【0033】
(3)紅茶とシナモンを別々に抽出した場合と同時に抽出した場合との比較検討
紅茶とシナモンを別々に抽出した本発明に係るシナモンミルクティーと、紅茶とシナモンを同時に抽出したシナモンミルクティーとを製造し、製造方法の相違による香味の特徴について検討した。なお、各々の製造方法において重曹抽出と重曹無添加抽出を実施した。
【0034】
紅茶及びシナモンの抽出条件、およびシナモンミルクティーの原料配合を各々表6および表7に、検討結果を表8および表9に示す。
【0035】
【表6】
Figure 0003816896
【0036】
【表7】
Figure 0003816896
【0037】
【表8】
Figure 0003816896
【0038】
【表9】
Figure 0003816896
【0039】
以上の結果から、紅茶とシナモンとを別々に抽出すると、紅茶のボディ感が強く、ミルクに負けない適度な渋味があり、なおかつシナモンの甘い香りがあり辛みがほど良く感じられ、さらに紅茶とのバランスも良い傾向となる。これに対し、紅茶とシナモンとを同時に抽出すると、紅茶もしくはシナモンのいずれかの香味が悪く、この影響を受け紅茶とシナモンとのバランスも悪くなる傾向にあり、紅茶飲料には適さないと考えられる。
【0040】
(4)シナモンパウダーを取り除いた場合と取り除かない場合との比較検討
シナモン抽出液から、シナモンパウダー(粉末)を取り除いたシナモン入りミルクティと取り除かないシナモン入りミルクティとを製造し、両者について香味の比較検討を行った。
【0041】
その結果、シナモンを取り除かない製品は、舌触りにざらつき感があり、のどごしも非常に悪く飲みずらかった。一方、抽出液からシナモンを取り除いた製品は、舌触り、のどごしともになめらかで飲みやすかった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、紅茶成分とシナモン成分それぞれについて最適条件で抽出することができ、更にはシナモン成分の抽出時には重曹を添加することなく紅茶成分の抽出時に重曹を添加することが可能となるため、紅茶の優れた香味を損なうことなく、良好なシナモンの風味を有するシナモン入り紅茶飲料の提供が可能となった。

Claims (4)

  1. 紅茶葉から紅茶成分を、シナモン原料からシナモン成分を、それぞれ別々に抽出し、得られた紅茶成分とシナモン成分を混合することを特徴とするシナモン入り紅茶飲料の製造方法であって、紅茶葉から紅茶成分を抽出する際に重曹を添加し、シナモン原料からシナモン成分を抽出する際には重曹を添加しない、シナモン入り紅茶飲料の製造方法。
  2. 紅茶葉から紅茶成分を抽出する際の抽出温度が70〜95℃の範囲である、請求項1に記載の製造方法。
  3. シナモン原料からシナモン成分を抽出する際の抽出温度が50〜95℃の範囲である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 紅茶葉から紅茶成分を抽出する際に添加する重曹の添加量が、紅茶抽出液に対し100ppm〜1000ppmの範囲である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
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