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JP3824569B2 - ハイブリッド車両 - Google Patents
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JP3824569B2 - ハイブリッド車両 - Google Patents

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  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
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  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンと、そのエンジンをアシストする電動モータと、トルクコンバータ付きの変速機と、前記トルクコンバータに対するロックアップクラッチと、前記エンジン及び前記電動モータの作動を制御し、且つ、前記ロックアップクラッチの締結状態を切り換え制御する制御手段とが備えられているハイブリッド車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
このようなハイブリッド車両は、電動モータが回生作動を実行することにより回生作動にて得られた電力をバッテリーに充電させ、そして、バッテリーの電力を用いて電動モータを力行作動させてエンジンの動力をアシストすることにより、所望の走行駆動力を得られるようにしながらエンジンの燃料消費量を低減させることができるようにしたものである。
【0003】
そして、ハイブリッド車両における前記電動モータのエンジンに対する配置構成、並びに、エンジンをアシストするときにおける電動モータの制御として、従来では、次のように構成されたものがあった。つまり、前記電動モータがエンジンと一体回転するように直結されて、バッテリーの充電状態が設定量以上であれば、アクセル開度の情報に基づいて求められる走行駆動に必要な走行駆動用トルクを出力するように前記電動モータの作動を制御するように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
又、他の従来技術として、ハイブリッド車両における前記電動モータのエンジンに対する配置構成、並びに、エンジンをアシストするときにおける電動モータの制御として次のように構成されたものもある。つまり、エンジンと電動モータとが遊星ギア機構を介して連動連係される構成として、アクセル操作量や車速等の走行用駆動情報に基づいて走行に必要とされる駆動力を求め、エンジンを低燃費状態で作動させ、且つ、エンジンの動力では不足する走行駆動力(走行駆動用トルク)を出力するように前記電動モータの作動を制御する構成である(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
又、従来では、前記エンジンの動力をトルクコンバータ付きの変速機にて変速して走行装置に伝える場合、前記制御手段は、例えば変速機の変速段数の切り換え情報に基づいてロックアップクラッチを締結させたり、締結を解除させたりする切り換え制御を実行する構成となっており、このロックアップクラッチの切り換え制御と上記したような走行駆動用トルクについての作動制御とは夫々各別に行われるものとなっていた(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−299004号公報(第2頁―第4頁、図1―図3)
【特許文献2】
特開2002−152907号公報(第5頁―第6頁、図1、図6)
【特許文献3】
特開平8−254266号公報(第4頁―第6頁、図1、図5)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来においては、電動モータを用いてエンジンの動力をアシストする場合に、常に、アクセル操作量等の走行用駆動情報に基づいて求められた走行駆動用トルクを出力するように電動モータの作動を制御する構成となっているが、このような上記従来構成においては、エンジンの燃費を向上させるという点で未だ改善の余地がある。
【0008】
すなわち、エンジンの燃費を悪化させる要因について検討を加えると、エンジンの回転に伴って一体的に回転する回転部分における慣性マスがエンジンの燃費の悪化の要因の一つとなっている。
説明を加えると、エンジンにおいては、クランクやトルクコンバータの駆動側回転体等、エンジンの回転に伴って一体的に回転する回転部分には大きな質量があり、このような回転部分をエンジンで回転させるとき大きなエネルギーが必要となり、それだけ燃料消費量が多くなるからであり、エンジンの燃費を悪化させる要因となっており、この点で改善の余地があった。
【0009】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、エンジンの回転に伴って一体的に回転する回転部分の慣性マスに起因する燃費の悪化を改善することが可能となるハイブリッド車両を提供する点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のハイブリッド車両は、エンジンと、そのエンジンをアシストする電動モータと、トルクコンバータ付きの変速機と、前記トルクコンバータに対するロックアップクラッチと、前記エンジン及び前記電動モータの作動を制御し、且つ、前記ロックアップクラッチの締結状態を切り換え制御する制御手段とが備えられているものであって、前記制御手段が、前記ロックアップクラッチが締結解除状態であれば、アクセル操作量の情報を含む走行用駆動情報に基づいて求められる走行駆動用トルクを出力するように、前記電動モータの作動を制御し、且つ、前記ロックアップクラッチが締結状態であれば、アクセル操作量の情報を含む走行用駆動情報に基づいて求められる走行駆動用トルクと前記エンジンの回転速度の単位時間当りの増加量の情報に基づいて求められる加算用トルクとを加算して得られた増大補正トルクを出力するように、前記電動モータの作動を制御するよう構成されていることを特徴とする。
【0011】
すなわち、アクセル操作量の情報を含む走行用駆動情報に基づいて求められる走行駆動用トルクと、前記エンジンの回転速度の単位時間当りの増加量の情報に基づいて求められる加算用トルクとを加算して得られた増大補正トルクを出力するように電動モータの作動を制御するのである。前記加算用トルクは、クランク、及び、トルクコンバータの駆動側回転体等のエンジンの回転に伴って一体的に回転する回転部分の慣性マスに対して回転速度を変化させるためのトルクとして用いられることになる。
このように、走行駆動用トルクを出力することにより、車体が走行するのに必要なトルクが出力されて車体の走行駆動が良好に行われるとともに、加算用トルクを加算して出力することにより、前記慣性マスを回転させるためのエンジンの駆動エネルギーを低減することができ、それだけ燃料供給量を低下させることができて更に燃費を低減することが可能となる。
【0012】
ところで、本出願人が上記したような構成にて実験を行ったところ、上記したような増大補正トルクを出力するように電動モータを作動させる制御を常時実行するように構成した場合には、エンジンの回転速度の単位時間当りの増加量が大きい場合に、前記走行駆動用トルクに加えて前記加算用トルクを加算した大きなトルクを出力するように電動モータを作動させた場合、トルクコンバータに対するロックアップクラッチが締結解除状態にあるときに、次のような不具合が発生することが判明した。
【0013】
実験内容としては、例えば図11に示すような特性に基づいて、エンジンの回転速度の単位時間当りの増加量に対する前記加算用トルクを求めて、アクセル操作量等の走行用駆動情報に基づいて求められた走行駆動用トルクにその加算用トルクを加算した値を出力するように電動モータの作動を制御するようにした。その結果、アクセル操作によって車体を発進させて加速した後にアクセル操作量を一定に維持して約40km/h程度の一定車速で走行させているときに、エンジンの回転速度の単位時間当りの増加量に基づいて求められる加算用トルクL1として、例えば、図15(5)に示すように、約1秒程度の間隔をあけて脈動的に大となるようなトルクが発生して、その脈動トルクに起因して車体にわずかに振動が発生して乗り心地が低下する状態となった。トルクコンバータに対するロックアップクラッチが締結状態であれば、このような脈動トルクは発生せず、電動モータによるアシストが適正に行われて問題は生じなかった。因みに、図15において、(1)はエンジンの回転速度、(2)は車速、(3)は前記走行駆動用トルク、(4)はアクセル操作量、(6)は加算用トルクと走行駆動用トルクとを加算した増大補正トルク夫々の時間的な変化状態を示している。尚、ここでは、アクセル操作量が少なく低速で走行しているので安定走行時には走行駆動用トルクは負の値、すなわち、回生作動を行うためのトルクとなっている。
【0014】
そこで、ロックアップクラッチが締結状態であれば、アクセル操作量の情報を含む走行用駆動情報に基づいて求められる走行駆動用トルクとエンジンの回転速度の単位時間当りの増加量の情報に基づいて求められる加算用トルクとを加算して得られた増大補正トルクを出力するように電動モータを制御するが、ロックアップクラッチが締結解除状態であれば、アクセル操作量の情報を含む走行用駆動情報に基づいて求められる走行駆動用トルクを出力するように電動モータを制御することとした。
【0015】
つまり、ロックアップクラッチが締結状態であれば、上述したような走行駆動用トルクと加算用トルクとを加算して得られた増大補正トルクを出力することで、前記慣性マスを回転させるためのエンジンの駆動エネルギーを低減させて、燃費を低減することが可能となる。又、このときロックアップクラッチは締結状態であるから、図15に示すような脈動トルクの発生はなく、脈動トルクの発生に起因して車体の乗り心地が悪化するおそれはない。
【0016】
又、前記ロックアップクラッチが締結解除状態であれば、アクセル操作量の情報を含む走行用駆動情報に基づいて求められる走行駆動用トルクを出力するように電動モータが制御されることになるので、走行駆動用トルクを出力することにより、車体の走行に必要なトルクが出力されて車体の走行駆動が良好に行われ、又、上述したような加算用トルクは加算せずに走行駆動用トルクだけを出力するので、慣性マスに起因した燃費の悪化を抑制する効果が発揮できないものの、図15に示すような脈動トルクの発生がなく車体の乗り心地を悪化させるおそれはない。
【0017】
従って、上述したような脈動トルクの発生に起因した乗り心地の悪化を回避しながら、エンジンの回転に伴って一体的に回転する回転部分の慣性マスに起因する燃費の悪化を改善することが可能となるハイブリッド車両を提供できるに至った。
【0018】
請求項2に記載のハイブリッド車両は、請求項1において、前記制御手段が、前記エンジンの回転速度の単位時間当りの増加量が大きいほど大となる値として前記加算用トルクを求めるよう構成されていることを特徴とする。
【0019】
すなわち、前記エンジンの回転速度の単位時間当りの増加量が大きいほど、エンジンの回転に伴って一体的に回転する回転部分の慣性マスを回転させるための駆動エネルギーも大きくなるので、単位時間当りの増加量が大きいほど大となる値として加算用トルクを求めてその加算用トルクを電動モータにて出力させることで、駆動エネルギーの大きさに対応させて電動モータのトルクが大きくなるので、慣性マスに起因した燃費の悪化をより効率的に抑制することができるのである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るハイブリッド車両について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ハイブリッド車両は、走行駆動用のエンジン1と走行駆動用の電動モータ2とが一体回転するように直結されている。つまり、走行駆動用のエンジン1の出力軸1aに直結される状態で走行駆動用の電動モータ2を備えて、これらの動力により走行装置としての左右の車輪3を駆動して走行するように駆動手段としての駆動ユニットKUが構成されている。前記電動モータ2は、エンジン1の出力軸1aにロータ2aが同一軸芯で一体回動するように連結され、そのロータ2aの外周部を囲うステータ2bが位置固定状態で図示しない車体支持部に支持される構成となっている。
【0021】
そして、この電動モータ2は、エンジン1の作動が停止している状態においてその出力軸1aに対して駆動力を与えてエンジン1を始動させるように構成され、且つ、エンジン1が始動した後は、出力軸1aに対してエンジン回転方向と同方向の駆動力を与えて動力の補助つまりアシストを行う力行状態と、前記出力軸1aから駆動力が与えられて発電する回生状態とに切り換え可能に構成されている。つまり、電動モータ2がエンジン1にて回転駆動される出力軸1aに対してその回転方向と同一方向にトルクを出力させる力行状態に切り換えることで、所望の走行駆動力を出力しながらエンジン1が低燃費状態となるように、エンジン1の出力に対するアシストを行うことができる構成となっている。この作動状態が力行作動に対応する。又、走行速度を減速させているとき等において電動モータ2が回生状態となって、出力軸1aから駆動力が与えられて発電して得られた回生電力をバッテリー4に充電することができる構成となっている。この作動状態が回生作動に対応する。
【0022】
前記駆動ユニットKUの動力は、トルクコンバータ5付きの変速機としてのトランスミッション6に伝えられ、このトランスミッション6内部のギア式の自動変速機構により変速された後に差動機構7を介して左右の車輪3に伝えられる構成となっている。前記トルクコンバータ5には、駆動側と従動側とが一体回転するように締結する締結状態と、駆動側と従動側との締結を解除する締結解除状態とに切り換え自在なロックアップクラッチ5aが備えられている。
【0023】
次に、このハイブリッド車両における制御構成について説明する。
図1及び図2に示すように、車両全体の動作を統括して管理する車両制御部8、この車両制御部8からの制御情報に基づいて電動モータ2の動作を制御するモータ制御部9、車両制御部8からの制御情報に基づいてエンジン1の出力、具体的には、電子スロットル弁10のスロットル開度及びインジェクタ11による燃料噴射量を自動調節するエンジン制御部12夫々が備えられ、アクセル操作具13の操作量を検出するポテンショメータ式のアクセル操作量検出センサS1、ブレーキ操作具14が踏み込み操作されているか否かを検出するスイッチ式のブレーキ操作検出センサS2、電動モータ2の回転速度、言い換えると、エンジン1の出力軸1aの回転速度を検出する回転速度検出手段としての回転速度センサS3、車輪3の車軸の回転速度に基づいて車速を検出する車速センサS4、シフトポジションレバー17の位置を検出するシフトポジションセンサS5、バッテリー4の充電状態SOCを検出する充電状態検出部S6等による各種の検出情報が車両制御部8に入力される構成となっている。
【0024】
前記モータ制御部9は、図3に示すように、バッテリー4から供給される直流電力を三相交流電力に変換して電動モータ2に供給する駆動用電力を制御したり、回生作動により電動モータ2にて発生してバッテリー4に供給される回生電力を制御するインバータ28と、車両制御部8からの制御情報に基づいてパルス幅変調(PWM)されたパルス駆動信号をインバータ28における各スイッチングトランジスタの各ベース端子に供給するPWM制御回路29等を備えて構成され、電動モータ2に通流する電流の大きさや交流電流の周波数を変更させることにより駆動トルクや回転速度を調整したり、前記バッテリー4に充電される回生電力を調整することができる構成となっている。
【0025】
前記ブレーキ操作具14により機械式制動手段KSを作動させて機械的な制動力を発生させるための構成について説明を加えると、運転者の足踏み操作にてブレーキ操作具14が操作されると、その足踏み操作力に対応させて制動用の油圧操作力を発生させる周知構成のマスターシリンダ15が備えられ、このマスターシリンダ15から作動油供給路15aを通して出力される油圧操作力にて前記車輪3の近傍に設けられた摩擦式の制動装置16を作動させて車体を制動させる構成となっている。このような機械式制動手段KSは、ブレーキ操作具14に対する運転者の操作力が大きくなるほど、その油圧操作力、すなわち、機械的な制動力が大となるように変更調節自在に構成されている。
【0026】
前記シフトポジションレバー17の位置としては、「P」(駐車位置)、「R」(後進走行位置)、「N」(中立位置)、「D」(前進走行位置)があり、運転者により運転状況に応じて適宜切り換え操作されることになる。
【0027】
前記車両制御部8は、シフトポジションセンサS5の検出情報、アクセル操作量検出センサS1の検出情報、車速センサS4の検出情報、及び、充電状態検出部S6によるバッテリー4の充電量情報等の情報に基づいてモータ制御部9およびエンジン制御部12に制御情報を指令するように構成されている。又、この車両制御部8は、エンジン制御部にて管理される電子スロットル弁10のスロットル開度の情報並びに車速センサS4の検出情報に基づいて、ロックアップクラッチ5aの締結状態を切り換え制御するよう構成されている。
従って、車両制御部8、モータ制御部9、エンジン制御部12の夫々により、エンジン1及び電動モータ2の作動を制御し、且つ、ロックアップクラッチ5aの締結状態を切り換え制御する制御手段Hが構成される。
【0028】
以下、各部の具体的な動作について説明する。
先ず、車両制御部8によるロックアップクラッチ5aの締結状態の切り換え制御について説明する。つまり、このロックアップクラッチ5aは、エンジン制御部12にて管理される電子スロットル弁10のスロットル開度の情報並びに車速センサS4の検出情報に基づいて制御される。具体的には、図10に示すように予め設定されたマップデータに基づいて、スロットル開度及び車速の夫々が図10の斜線で示す領域にあれば、ロックアップクラッチ5aを締結状態に切り換えるようになっており、その斜線領域以外の領域にあればロックアップクラッチ5aを締結解除状態に切り換えるように構成されている。
【0029】
次に、車両制御部8によるエンジン1及び電動モータ2の制御について説明する。例えば、シフトポジションレバー17が、「P」(駐車位置)や「N」(中立位置)にあるときは、基本的にはエンジン1を停止し電動モータ2による力行作動や回生作動は行わない。しかし、バッテリー4の充電状態が設定量以下にまで低下してバッテリー4を充電する必要があるような場合には、車両制御部8は、エンジン1を作動させてエンジン1の動力を電動モータ2の回生作動により発電した電力をバッテリー4に充電するように、エンジン1及び電動モータ2の作動を制御すべく、モータ制御部9およびエンジン制御部12に制御情報を指令するよう構成されている。
【0030】
又、シフトポジションレバー17が「D」(前進走行位置)に操作されて、車体進行方向として前進方向が指令されている場合には、アクセル操作具13が踏み込み操作されて車体を発進させるときは、そのときエンジン1が停止していれば電動モータ2を回転させてエンジン1を始動させ、車体が前進走行すると、アクセル操作量に応じてエンジン1の出力を調整するとともに、後述するように電動モータ2が力行作動や回生作動を実行するように、モータ制御部9およびエンジン制御部12に制御情報を指令するよう構成されている。
そして、シフトポジションレバー17が「R」(後進走行位置)に操作されて、車体進行方向として後進方向が指令されている場合には、アクセル操作量に応じてエンジン1の出力を調整することになるが、電動モータ2については力行作動及び回生作動のいずれも行わないようになっている。
【0031】
次に、電動モータ2の力行作動および回生作動について説明する。
電動モータ2の力行作動や回生作動は、後述するような各種の情報に基づいて目標トルクを求めて、その求めた目標トルクを発生させるように電動モータ2の作動を制御することにより行われる。
説明を加えると、力行作動においては、エンジン1の回転方向と同じ方向に電動モータ2が目標トルクを出力するように、その目標トルクに対応する制御情報がPWM制御回路29に与えられ、PWM制御回路29からその目標トルクに対応するパルス信号がインバータ28の各スイッチングトランジスタのベース端子に印加され、電動モータ2が目標トルクにてエンジン1をアシストすることになる。又、回生作動においては、電動モータ2がエンジン1の回転方向とは反対方向に目標トルクを出力するように、その目標トルクに対応する制御情報がPWM制御回路29に与えられ、PWM制御回路29がその目標トルクに対応するパルス信号がインバータ28の各スイッチングトランジスタのベース端子に印加され、電動モータ2がエンジン1に対して逆向きのトルク、つまり、回生制動力を付与するように作用することになる。そうすると、電動モータ2がエンジン1の動力によって駆動されて発電機として作用して、インバータ28によって前記回生制動力に対応する回生電力に変更調整される状態でバッテリー4に充電されることになる。
【0032】
そして、前記制御手段Hは、ロックアップクラッチ5aが締結解除状態であれば、アクセル操作量の情報を含む走行用駆動情報に基づいて求められる走行駆動用トルクを出力するように、電動モータ2の作動を制御し、且つ、ロックアップクラッチ5aが締結状態であれば、アクセル操作量の情報を含む走行用駆動情報に基づいて求められる走行駆動用トルクとエンジン1の回転速度の単位時間当りの増加量の情報に基づいて求められる加算用トルクとを加算して得られた増大補正トルクを出力するように、電動モータ2の作動を制御するよう構成されている。
【0033】
すなわち、電動モータ2の力行作動および回生作動を実行するときにおける前記目標トルクを求めるためのトルクの情報として、アクセル操作量の情報を含む走行用駆動情報に基づいて求められる走行駆動用トルクTm、及び、エンジン1の回転速度の単位時間当りの増加量の情報に基づいて求められる加算用トルクTkがある。
【0034】
先ず、走行駆動用トルクTmの求め方について以下に説明する。
電動モータ2の回転速度の変化に対する電動モータ2の走行駆動用トルクTmの変化特性が図4に示すような特性として予め設定されており、前記車両制御部8がこの特性に基づいて電動モータ2の走行駆動用トルクTmを求める構成となっている。図4に示されるラインq1は、バッテリー4の充電状態SOCが高い場合においてアクセル操作量が最大(全開)になったとき(以下、フルアクセル状態という)に対応する回転速度の変化に対する走行駆動用トルクTmの変化を示している。又、ラインq2はアクセル操作量が最小(全閉)になったとき(以下、アクセルオフ状態という)に対応する走行駆動用トルクTmの変化を示している。そして、ラインq3は、バッテリー4の充電状態SOCが低い状態であるときにおけるフルアクセル状態に対応する回転速度の変化に対する走行駆動用トルクTmの変化を示している。
【0035】
又、図6に示すように、バッテリー4の充電状態SOCの変化に対してモータトルクを制限するためのトルク制限率が予め設定されている。図6のラインr1は、フルアクセル状態に対応する電動モータ2の走行駆動用トルクTmのトルク制限率を示している。つまり、バッテリー4の充電状態SOCが設定充電状態としての下部側閾値A0よりも高い状態であればトルク制限率は「正」の値になり、バッテリー4の充電状態SOCが上部側閾値A2より高く満充電に近い状態であれば「+1」の値になる。このときは、図4に示されるラインq1がそのまま適用されることになる。そして、バッテリー4の充電状態SOCが少し低下してバッテリー4の充電状態SOCが上部側閾値A2より低く下部側閾値A0よりも高い状態であれば、トルク制限率が「+1」よりも小さい比率になる。そうすると、図4のラインq1に対してその比率に応じて低くなる変化特性が適用されることになる。
そして、バッテリー4の充電状態SOCが下部側閾値A0よりも低い状態であれば、フルアクセル状態に対応する電動モータ2の走行駆動用トルクTmの制限率は「負」の値になり、その値が「−1」であれば、図4のラインq3がフルアクセル状態に対応する電動モータ2の走行駆動用トルクTmになる。
【0036】
図6のラインr2は、アクセルオフ状態に対応する電動モータ2の走行駆動用トルクTmの制限率を示している。つまり、バッテリー4の充電状態SOCが中間閾値A1よりも低い状態であればこのトルク制限率はほぼ全ての領域で「+1」の値になり、このときは、図4に示されるラインq2がそのまま適用されることになる。そして、バッテリー4の充電状態SOCが中間閾値A1より高ければトルク制限率が零となり、アクセルオフ状態であれば電動モータ2の走行駆動用トルクTmは常に零となる。
【0037】
更に、図5に示すように、アクセル操作量が変化した場合の走行駆動用トルクTmの変化割合である出力率Bについての変化特性が予め設定されている。つまり、アクセル操作量が零であれば出力率Bは零であり、アクセル操作量が最大値でありフルアクセル状態であれば出力率Bは100%になる。
【0038】
上記したような各特性から電動モータ2の走行駆動用トルクTmは、次のようにして求められる。
つまり、図4〜図6に示される特性から、バッテリー4の充電状態SOCの検出情報に基づいて、フルアクセル状態における走行駆動用トルクTmとアクセルオフ状態における走行駆動用トルクTmとが求められ、それらの走行駆動用トルクTmとアクセル操作量の検出値に基づく変化割合(出力率B)とにより、そのときの回転速度とアクセル操作量に対応する走行駆動用トルクTmが求められる。
例えば、バッテリー4の充電状態SOCが上部側閾値A2よりも高ければ、図7に示すように、アクセル操作量が変化するに伴って走行駆動用トルクTmがラインq1と零との間で変化する。アクセル操作量の出力率Bが零であれば走行駆動用トルクTmは零となり、出力率Bが100%であればラインq1上の値として走行駆動用トルクTmが求められる。つまり、回転速度センサS3にて検出される電動モータ2の回転速度に対応するラインq1上の値が定まり、ラインq1上の値と零との間で出力率Bの大きさに応じて異なる状態で走行駆動用トルクTmが求められる。
又、バッテリー4の充電状態SOCが上部側閾値A2よりも低く下部閾値A0より高ければ、図8に示すように、アクセル操作量が変化するに伴って走行駆動用トルクTmがラインq1とラインq2との間で変化するから、上部側閾値A2よりも高い場合と同様にして、それらの間でアクセル操作量の出力率Bにより走行駆動用トルクTmが求められる。
そして、バッテリー4の充電状態SOCが下部閾値A0よりも低ければ、図9に示すように、アクセル操作量が変化するに伴って走行駆動用トルクTmがラインq2とラインq3との間で変化するから、それらの間でアクセル操作量の出力率Bにより走行駆動用トルクTmが求められる。この図9から明らかなように、バッテリーの充電状態SOCが下部閾値A0よりも低ければ、電動モータ2は常に回生作動のみを行う構成となっている。
【0039】
以上の関係を数式で表すと、次のように表すことができる。
ラインq1で示されるトルクをq1、ラインq2で示されるトルクをq2、ラインq3で示されるトルクをq3、ラインr1で示されるトルク制限率をr1、ラインr2で示されるトルク制限率をr2、アクセル操作の出力率をBとすると、バッテリー4の充電状態SOCが下部閾値A0よりも高い場合には、電動モータ2の走行駆動用トルクTmは、次の数1で表すことができる。
【0040】
【数1】
Tm=(r1×q1−r2×q2)×B/100+r2×q2
(SOC≧A0)
【0041】
又、バッテリー4の充電状態SOCが下部閾値A0よりも低い場合には、電動モータ2の走行駆動用トルクTmは、次の数2で表すことができる。
【0042】
【数2】
Tm=(−r1×q3−r2×q2)×B/100+r2×q2
(SOC<A0)
【0043】
図4に示す特性において、零よりも上側である正(+)側はエンジン1の回転方向に対してアシストする方向に沿うトルクであることを示し、図において上側ほどトルクが大となる。零よりも下側である負(−)側は、エンジン1の回転方向と逆方向のトルク、すなわち、回生トルクであることを示しており、図において下側ほど回生トルクが大となる。
【0044】
次に、エンジン1の回転速度の単位時間当りの増加量の情報に基づいて求められる加算用トルクTkの求め方について説明する。
この加算用トルクTkは、エンジン1の回転速度の検出情報に基づいて、エンジン1の回転速度の増加側への単位時間当りの増加量が大きいほど大となる値として求める構成となっている。具体的には、図11に示すように、エンジン1の回転速度の単位時間当りの増加量に対する加算用トルクTkの変化特性が予め設定されており、この図から明らかなように回転速度の単位時間当りの増加量が大きいほど加算用トルクTkが大となる値になるように設定されている。そして、回転速度センサS3にて検出されるエンジン1の回転速度の検出情報に基づいて、エンジン1の回転速度の単位時間当りの増加量を求めるとともに、図11に示す特性から加算用トルクTkを求める。
【0045】
次に、図12に示すフローチャートに基づいて、シフトポジションレバー17のシフト操作位置が「D」(前進走行位置)にあり前進走行が指令されており、しかも、バッテリーの充電状態SOCが下部閾値A0よりも大であるときのモータ制御動作について説明する。
先ず、ロックアップクラッチ5aが締結状態にあるか否か、すなわち、締結状態であるか締結解除状態であるかを判別し(ステップ1)、判別結果が否、つまり、ロックアップクラッチ5aが締結解除状態であることが判別されると、上述したような演算方法により電動モータ2の走行駆動用トルクTmを求め、その走行駆動用トルクTmを目標トルクとして設定する(ステップ2)。
【0046】
前記ステップ1においてロックアップクラッチ5aが締結状態であることが判別されると、上述した演算方法により電動モータ2の走行駆動用トルクTmを求めるとともに、上述した演算方法により前記加算用トルクTkを求めて、走行駆動用トルクTmと加算用トルクTkとを加算して増大補正トルクを求め、その増大補正トルクを目標トルクとして設定する(ステップ3、4、5)。
【0047】
上記したようにして目標トルクが求められると、その目標トルクを出力するように電動モータ2の作動を制御することになる。つまり、目標トルクが「正」であるか「負」であるかを判断し、「正」であれば、前記力行作動を実行し、前記ステップ3の判断結果にて走行駆動用トルクTmが「正」でなく「負」であれば前記回生作動を実行する(ステップ6、7、8)。
【0048】
このようにロックアップクラッチ5aが締結状態であるときには、エンジン1の回転速度の単位時間当りの増加量の情報に基づいて求められる加算用トルクTkが加算された大きめのトルクが出力されるので、フライホイール、クランク、及び、トルクコンバータの駆動側回転体等のエンジン1の回転に伴って一体的に回転する回転部分の慣性マスを回転させるためのエンジン1の駆動エネルギーを低減することができ、それだけ燃費の低減が図れる。
【0049】
本出願人の実験結果によれば、ロックアップクラッチ5aが締結状態であるときには、図13に示すように、脈動トルクが発生することはなく安定した走行状態が得られた。因みに、図13において、(1)はエンジンの回転速度、(2)は車速、(3)は前記走行駆動用トルク、(4)はアクセル操作量、(6)は加算用トルクと走行駆動用トルクとを加算した増大補正トルク夫々の時間的な変化状態を示している。
【0050】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0051】
(1)上記実施形態では、前記加算用トルクを求める構成として、前記エンジンの回転速度の単位時間当りの増加量が大きいほど大となる値として前記加算用トルクを求める場合に、図11に示すような特性に従って加算用トルクを求めるように構成したが、このような構成に限らず、例えば、エンジンの回転速度の単位時間当りの増加量に対して前記加算用トルクが直線的に変化する特性あるいは階段状に変化する特性等に従って加算用トルクを求めるようにしてもよい。又、前記エンジンの回転速度の増加側への単位時間当りの増加量が設定値より小さい場合は前記加算用トルクを零とし、単位時間当りの増加量が設定値より大きい場合には、前記加算用トルクとして一定の値を設定する構成とする等、各種の形態で実施することができる。
【0052】
(2)上記実施形態では、走行駆動用のエンジンの出力軸と走行駆動用の電動モータとを直結する構成のハイブリッド車両を例示したが、このような構成に代えて、図14に示すように、エンジン1、及び、車両走行用の電動モータ2が、遊星歯車機構30を介して連結される駆動ユニットKUを備えて、このような構成の駆動ユニットKUの動力をトルクコンバータ付きの変速機を介して走行装置に伝える構成としてもよい。
【0053】
(3)上記実施形態における走行駆動用トルクを求める場合の図4〜図9に示すような各種の変化特性、並びに、ロックアップクラッチの締結状態を切り換えるための図10に示すようなマップデータは一例であって図示したような特性に限定されるものではなく適宜変更して実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハイブリッド車両の概略構成を示す図
【図2】制御ブロック図
【図3】電動モータの制御構成を示す図
【図4】電動モータの走行駆動用トルクの特性図
【図5】アクセル操作量に対応する出力率を示す図
【図6】トルク制限率を示す図
【図7】バッテリーの充電状態が上部側閾値よりも高いときの電動モータの走行駆動用トルクの特性図
【図8】バッテリーの充電状態が上部側閾値よりも低く下部側閾値より高いときの電動モータの走行駆動用トルクの特性図
【図9】バッテリーの充電状態が下部側閾値より低いときの電動モータの走行駆動用トルクの特性図
【図10】ロックアップクラッチの制御用マップデータを示す図
【図11】加算用トルクを求めるための変化特性を示す図
【図12】制御動作のフローチャート
【図13】実験結果に基づくタイムチャート
【図14】別実施形態のハイブリッド車両の概略構成を示す図
【図15】実験結果に基づくタイムチャート
【符号の説明】
1 エンジン
2 電動モータ
5 トルクコンバータ
5a ロックアップクラッチ
6 変速機
H 制御手段

Claims (2)

  1. エンジンと、そのエンジンをアシストする電動モータと、トルクコンバータ付きの変速機と、前記トルクコンバータに対するロックアップクラッチと、前記エンジン及び前記電動モータの作動を制御し、且つ、前記ロックアップクラッチの締結状態を切り換え制御する制御手段とが備えられているハイブリッド車両であって、
    前記制御手段が、
    前記ロックアップクラッチが締結解除状態であれば、アクセル操作量の情報を含む走行用駆動情報に基づいて求められる走行駆動用トルクを出力するように、前記電動モータの作動を制御し、
    且つ、前記ロックアップクラッチが締結状態であれば、アクセル操作量の情報を含む走行用駆動情報に基づいて求められる走行駆動用トルクと前記エンジンの回転速度の単位時間当りの増加量の情報に基づいて求められる加算用トルクとを加算して得られた増大補正トルクを出力するように、前記電動モータの作動を制御するよう構成されているハイブリッド車両。
  2. 前記制御手段が、
    前記エンジンの回転速度の単位時間当りの増加量が大きいほど大となる値として前記加算用トルクを求めるよう構成されている請求項1記載のハイブリッド車両。
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