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JP3825591B2 - 微小領域走査装置 - Google Patents
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JP3825591B2 - 微小領域走査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子間力顕微鏡(AFM)や走査型近視野顕微鏡(SNOM)に代表される走査型プローブ顕微鏡(SPM)の試料走査やプローブ走査に利用される微小領域走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、機械的探針(以下、プローブと呼ぶ)によって試料表面を走査し、プローブと試料表面との間に働く相互作用を検出することによって、試料表面の物理量をnm(10-9m)以下のオーダーで観察する装置である。例えば、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の一つとして代表的な原子間力顕微鏡(AFM)では、プローブと試料表面の間に働く原子間力をプローブのたわみ量変化という情報で検出し、これを利用することによって試料の表面形状を観察することができる。
【0003】
こうした装置において、試料やプローブを水平方向(以下XY方向と呼ぶ)と高さ方向(以下Z方向と呼ぶ)に精度良く走査するために必要な機械装置が、微小領域走査装置である。
走査型プローブ顕微鏡(SPM)に利用される微小領域走査装置には、0.01〜0.1nmの高い分解能が要求されるため、一般的に圧電素子(ピエゾ)が使われる。代表的には、例えば米国特許第5、306、919(Elings et al.)が開示しているような円筒型圧電素子を利用した微小領域走査装置が挙げられる。この微小領域走査装置は、圧電素子の横効果を利用し、1本の円筒型圧電素子によってXY方向およびZ方向に走査することができる。この円筒型圧電素子を利用した微小領域走査装置の原型は、米国特許第4、087、715(Myer et al.)が開示しているマイクロポジショナーに見ることができる。
【0004】
この例では、円筒型圧電素子の内側にグランド電極を作り、側面には4分割の電極を製作し、対向する2極を1組としている。この2極に電圧を印加し、1極を伸ばし、1極を縮めれば、円筒型圧電素子は1方向に傾く。これを2組の電極で行えば、2方向に円筒型圧電素子を変形させることができる。これに加えて、側面円周上に別の電極を形成し電圧を加えれば、円筒型圧電素子の軸方向に円筒型圧電素子を伸縮させることができる。こうすることによって、1本の円筒型圧電素子によって、XY方向、Z方向に走査をすることができる。
【0005】
図10は、円筒型ピエゾを利用した従来の微小領域走査装置の構成の一例を示す模式図である。
図10において、円筒型圧電素子1001が、支持基盤1002上に固定される。円筒型圧電素子1001の上には試料皿1010が配置され、その上に試料1009が搭載される。円筒型圧電素子の内側側面の全域にはグランド用電極1003が形成される。一方、外側側面の1部には4分割の電極を製作し、それぞれは電気的に絶縁されている。この4分割のX1電極1004、X2電極1005、Y1電極1006、Y2電極1007は、それぞれ2極が対向する位置関係にある。すなわち、X1電極1004とX2電極1005、Y1電極1006とY2電極1007は対向位置の関係にある。外側側面の残りの部分には1極のZ電極1008が形成され、内側のグランド用電極、外側の4分割電極とは電気的に絶縁される。
【0006】
4分割のX1電極1004、X2電極1005、Y1電極1006、Y2電極1007、もう一つのZ電極1008は、それぞれ、グランド用電極1003との間で高電圧を掛け、電極の形成される部分の圧電材料の分極を行う。この時、対向する電極の形成される部分の圧電材料は、同じ極性の電圧を印加された場合に、それぞれ反対の効果、すなわち、「伸び」「縮み」を起こすように分極される。
【0007】
図11は従来の円筒型圧電素子型微小領域走査装置の動作を示した模式図である。
図11において、円筒型圧電素子1001のX1電極1004とX2電極1005に、電圧を印加する。この状態において、X1電極1004の形成された部分の圧電材料に伸びを生じる。一方、X2電極1005の形成された部分の圧電材料は、収縮する。これによって、円筒型圧電素子1001は、紙面向かって左側に変形する。よって、円筒型圧電素子1001の自由端に配置される試料皿1010および試料1009は、紙面向かって左側に走査される。同時に、Z電極1008とグランド用電極1003に電圧を印加すれば、Z電極1008の形成された部分の圧電材料は伸縮する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上に示したような従来の円筒型圧電素子型微小領域走査装置は、他の微小領域走査装置、例えば積層圧電素子をXYZに組み合わせた構造の微小領域走査装置に比べ、構造が簡単で軽く、XYZ方向の共振周波数が高いという特徴から、SPMのほとんどで利用されてきた。
【0009】
走査型プローブ顕微鏡(SPM)の先鞭であるSTM、AFMの登場当初は、その観察対象は金属表面の原子像や単分子膜の分子配列などであり、必要とされるXY方向走査範囲は1〜20μm程度であった。この走査範囲においては、円筒型圧電素子型微小領域走査装置は、すでに述べたように、他の微小領域走査装置に比べ、構造が簡単で軽く、XYZ方向の共振周波数が高いという長所がある。
【0010】
一方、ここ数年で、STM、AFMが計測装置として一般化し、普及するにつれ、その観察対象は工業材料や生物試料の表面観察にまで広がってきた。その対象は、例えばコンパクトディスク表面のスタンパや、薄膜磁気ヘッドの凸凹、細胞などである。SPMの種類も、最近では、SNOM(走査型近視野顕微鏡)のような光学顕微鏡と組み合わせるタイプのものも登場し、観察試料の多様化傾向に拍車がかかっている。こうした状況を背景として、SPMに求められるXY方向走査範囲は、50〜200μmにまで拡大している。従来の円筒型圧電素子型微小領域走査装置によって、この走査範囲を満足させる場合、円筒型圧電素子の全長を伸ばしてXY方向走査用の電極長さを長くするか、円筒型圧電素子の肉厚を薄くするか、あるいは圧電率のより高い圧電材料を用いるなどで対応する必要がある。
【0011】
円筒型圧電素子の全長を伸ばす、あるいは、円筒型圧電素子の肉厚を薄くするなどした場合、円筒型圧電素子のXY方向での共振周波数は低下し、これはすなわち、XY走査速度の低下を招く。これを以下に説明する。
円筒型圧電素子がZ方向に伸縮変形し、その振動が円筒型圧電素子のXY方向の共振周波数に接近もしくは一致すると、円筒型圧電素子はXY方向に共振振動を起こす。円筒型圧電素子においては、その形状から、XY方向の共振周波数は
、Z方向の共振周波数より小さく、そのため、XY方向の走査速度は、XY方向の共振周波数によって制限されるのである。
【0012】
また、圧電材料の圧電率を上げていくと、XY方向走査時におけるヒステリシスの増加を招き、精密な走査にはセンサーが必要になる等の問題があった。
そこで、本発明の目的は、従来の円筒型圧電素子型微小領域走査装置の持つ上記のような課題を解決し、XY方向の共振周波数を落とさずに、XY方向走査範囲を拡大し、さらに、XY方向の走査速度をより速く出来る微小領域走査装置を実現することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の試料走査やプローブ走査用の円筒型圧電素子型微小領域走査装置において、1本でXYZ方向に走査可能な円筒型圧電素子を、少なくとも1本以上の第1の円筒型圧電素子と、少なくとも1本以上の第2の円筒型圧電素子に分離し、さらに
a)前記第2の円筒型圧電素子の固定端が、前記第1の円筒型圧電素子の自由端に結合されており、
b)前記第1の円筒型圧電素子の軸と前記第2の円筒型圧電素子の軸が同軸上あるいは平行な位置にあり、
c)前記第1の円筒型圧電素子の固定端と前記第2の円筒型圧電素子の自由端が、前記第1の円筒型圧電素子の自由端を基準面としたときに、同じ面の側にあり、
d)前記第2の円筒型圧電素子の自由端が出力端であり、
e)前記第1の円筒型圧電素子と前記第2の円筒型圧電素子のどちらか一方が円筒軸方向に伸縮するモードで駆動され、もう一方が、円筒半径方向に屈曲するモードで駆動される、
という構造とした。
【0014】
この結果、前記第1の円筒型圧電素子と前記第2の円筒型圧電素子の駆動モードの組み合わせにより、前記第2の円筒型圧電素子の自由端が、円筒軸方向および円筒半径方向に駆動される。
こうすることにより、従来の円筒型圧電素子と同等のXY方向の走査範囲を実現する場合、円筒型圧電素子の全長を短くすることができる。これにより、円筒型圧電素子の重心位置が下がり共振周波数が向上する。さらにXY走査用円筒型圧電素子とZ方向走査用円筒型圧電素子の直径、材質を変えることができるため、その組み合わせを工夫することで、より大きい変位とより大きい共振周波数を得ることができる。例えば、第1の円筒型圧電素子を円筒軸方向に伸縮するモードで駆動されるZ方向走査用円筒型圧電素子とし、第2の円筒型圧電素子を円筒半径方向に屈曲するモードで駆動されるXY方向走査用円筒型圧電素子とした時、Z方向走査用円筒型圧電素子である第1の円筒型圧電素子の直径、断面積、弾性率などをXY方向走査用円筒型圧電素子である第2の円筒型圧電素子よりも大きくすることにより、Z方向走査用円筒型圧電素子そのものを構造材として利用し、XY方向走査用円筒型圧電素子の取り付け剛性を高め、XY方向の共振周波数を向上させることが出来る。
【0015】
また、XY方向走査用円筒型圧電素子である第2の円筒型圧電素子の直径を極力小さくすることで、XY方向の共振周波数をより小さく、XY方向の走査範囲をより大きくすることができる。
また、この例とは逆に、第1の円筒型圧電素子を円筒半径方向に屈曲するモードで駆動されるXY方向走査用円筒型圧電素子とし、第2の円筒型圧電素子を円筒軸方向に伸縮するモードで駆動されるZ方向走査用円筒型圧電素子とすれば、Z方向走査用円筒型圧電素子に掛かる質量は試料皿のみとなり、負荷の低減が図れる。こうすることによりZ方向の共振周波数を向上させることができ、よりノイズに強い微小領域走査装置を実現することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(1)第1の実施の形態
図1は、本発明の微小領域走査装置のうち、第1の実施の形態を示した模式図である。図1において、基盤101上に、基盤101にその軸線が垂直になるように第1の円筒型圧電素子102が固定される。この第1の円筒型圧電素子102は、円筒軸方向に伸縮するモードで駆動されるZ方向走査用円筒型圧電素子である。第1の円筒型圧電素子102の伸縮端には、基盤101と平行に梁103が固定される。梁103上には、第2の円筒型圧電素子104が、第1の円筒型圧電素子102と平行に固定される。第2の円筒型圧電素子104は、円筒半径方向に屈曲するモードで駆動されるXY方向走査用円筒型圧電素子である。第2の円筒型圧電素子104の自由端には、試料皿105が配置される。第1の円筒型圧電素子102の直径は、第2の円筒型圧電素子104の直径より大きい。肉厚は第1の円筒型圧電素子102と第2の円筒型圧電素子104は同等である。
【0017】
第1の円筒型圧電素子102の内側側面の全域には第1のグランド用電極106が形成される。外側側面の全域には、Z電極107が形成される。第1のグランド用電極106と、Z電極107の間には高電圧を掛け、圧電素子の分極を行う。
第2の円筒型圧電素子104の内側側面の全域には第2のグランド用電極108が形成される。外側側面には、円周方向に4分割した電極が形成される。電極はそれぞれ、X1電極109、X2電極110、Y1電極111、Y2電極112であり、X1電極109とX2電極110、Y1電極111とY2電極112は対向する位置関係にある。 第2のグランド用電極108と、4分割された電極のそれぞれ、すなわちX1電極109、X2電極110、Y1電極111、Y2電極112との間には高電圧を掛け、電極の形成される部分の圧電材料の分極を行う。この時、対向する電極の形成される部分の圧電材料は、同じ極性の電圧を印加された場合に、それぞれ反対の効果、すなわち、「伸び」「縮み」を起こすように分極される。したがって、X1電極109とX2電極110の形成される部分の圧電材料は、極性の異なる方向に分極される。同様にY1電極111とY2電極112の形成される部分の圧電材料は、極性の異なる方向に分極される。
【0018】
図2(a)は、第1の実施の形態の動作を示した模式図である。
まず、第2の円筒型圧電素子104の第2のグランド用電極108とX1電極109の間、および、第2のグランド用電極108とX2電極110の間に正の電圧を印加する。これによってX1電極109の形成される部分の圧電材料が伸びる。同時に、X2電極110の形成される部分の圧電材料は、極性の反対の分極を施されているため、縮む。これによって、第2の円筒型圧電素子104は、紙面向かって左側に曲がって行き、この結果、第2の円筒型圧電素子104の自由端に配置される試料皿105が紙面向かって左側に変位する。次に、第2のグランド用電極108とX1電極109の間、および、第2のグランド用電極108とX2電極110の間に負の電圧を印加すると、第2の円筒型圧電素子104の自由端に配置される試料皿105が紙面向かって右側に変位する。これを、例えば正電圧から負電圧までのサイン波状の電圧とすれば、試料皿105は、左右に走査されることになる。この走査状態を上方から観察したのが図2(b)である。
【0019】
この時に、この微小領域走査装置が走査型プローブ顕微鏡(SPM)に搭載された場合を考えると、試料皿105の上に試料113が搭載され、試料113の上にはプローブ114が設置されている。走査回路115によって電極に電圧が印加され、これにより第2の円筒型圧電素子104が左右に曲がる。これによって試料皿105が左右に走査され、試料113も左右に走査される。このとき、プローブ114は、試料表面との相互作用により、試料表面の凹凸に沿って、試料表面に接触しないで変形する。このとき、AFM(原子間力顕微鏡)であれば、プローブ114と試料表面との相互作用は原子間力である。このプローブ114の変形は、例えばレーザー光式変位検出器116によって検出される。原子間力顕微鏡の試料表面観察の原理は、このレーザー光式変位検出器116によって検出された信号がある一定の値になるように、つまり、プローブ114の変形が一定になるようにフィードバック回路117の制御電圧によって円筒型圧電素子を伸縮させ、この時の円筒型圧電素子に入力される制御電圧をオシロスコープ118によって画像化することにある。
【0020】
より具体的には、このプローブ114の変形を一定値に保つように、第1の円筒型圧電素子102の第1のグランド用電極106とZ電極107の間にフィードバック回路117より制御電圧を印加し第1の円筒型圧電素子102を伸縮させる。例えば正の電圧を印加すれば、(電圧×圧電率)で規定される分だけ第1の円筒型圧電素子102が伸びる。プローブ114が規定値より上側に変形すれば、その変形をキャンセルするように、負の電圧を印加する。試料表面の凸凹状態、プローブ114の先端状態にもよるが、第2の円筒型圧電素子102の走査速度を、例えば1Hzとすると、その時の第1の円筒型圧電素子102に要求される伸縮速度は、1kHz〜10kHz程度である。このときのフィードバック回路117よりZ電極107に入力される制御電圧信号を、走査回路115によって第2の円筒型圧電素子104に印加される電圧信号に連動してオシロスコープ118に画像化することによって、試料表面形状を確認することができる。
【0021】
以上が、第1の実施の形態の動作であるが、円筒型圧電素子を第1の円筒型圧電素子102と第2の円筒型圧電素子104の2つに分割したことにより、従来の円筒型圧電素子と同等のXY方向の走査範囲を実現する場合に、円筒型圧電素子の全長を短くすることができる。これにより、円筒型圧電素子の重心位置が下がりXY方向の共振周波数が向上し、XY方向走査速度を向上させることができる。
(2)第2の実施の形態
図3は、本発明の微小領域走査装置のうち、第2の実施の形態を示した模式図である。図3において、基盤101上に、基盤101にその軸線が垂直になるように第1の円筒型圧電素子102が3本、それぞれ平行に固定される。第1の実施の形態と同様、第1の円筒型圧電素子が円筒軸方向に伸縮するモードで駆動されるZ方向走査用円筒型圧電素子である。第1の円筒型圧電素子102の伸縮端には、基盤101と平行に梁103が固定される。梁103は、第1の梁103(a)と第2の梁103(b)の2つよりなり、第1の梁103(a)は1本の第1の円筒型圧電素子102の伸縮端に固定され、第2の梁103(b)は2本の第1の円筒型圧電素子102の伸縮端に固定される。第1の梁103(a)には2本の第2の円筒型圧電素子104が第1の円筒型圧電素子102と平行に固定される。第2の梁103(b)には1本の第2の円筒型圧電素子104が第1の円筒型圧電素子102と平行に固定される。第1の実施の形態と同様、第2の円筒型圧電素子は、円筒半径方向に屈曲するモードで駆動されるXY方向走査用円筒型圧電素子である。3本の第2の円筒型圧電素子104の自由端には、ボール125が固定され、ボール125上に試料皿105が接触配置される。試料皿105と、ボール125が接触する部分は支持平面126が形成されている。支持平面126は、試料皿105の一部を切削・研磨することで形成するか、あるいは、平板を固定して形成する方法などがある。ボール125と支持平面126の接触摩擦により、試料皿105が保持される。第1の円筒型圧電素子102の直径は、第2の円筒型圧電素子104の直径より大きい。肉厚は第1の円筒型圧電素子102と第2の円筒型圧電素子104は同等である。
【0022】
第1の円筒型圧電素子102および第2の円筒型圧電素子104の電極配置は、第1の実施の形態と変わるところはない。
図4は、第2の実施の形態の動作を示した模式図である。動作原理は第1の実施の形態と変わるところはない。3本の第2の円筒型圧電素子104に同時に同極性の電圧を印加することで、第2の円筒型圧電素子102の自由端に配置される試料台105および試料113がXY方向に駆動される。同時に、プローブ114と試料113の表面の相互作用によるプローブ114の変形に応じて、3本の第1の円筒型圧電素子102に電圧を印加することで、第1の円筒型圧電素子102の自由端に固定される第1の梁103(a)および第2の梁103(b)がZ方向に駆動される。これにより、第1の梁103(a)および第2の梁103(b)に固定される3本の第2の円筒型圧電素子104の自由端は、Z方向に動作する。この一連の動作により、プローブ114で試料表面を走査することが出来る。
【0023】
第1の実施の形態と大きく異なる点は、XY方向に走査した時に、試料113に傾きが発生しない点である。個々の第2の円筒型圧電素子104の自由端を観察すると、XY方向への走査時に、第2の円筒型圧電素子104の自由端は、円弧軌道を描く。したがって、個々の第2の円筒型圧電素子104の自由端は、Z方向下方に高さ変化を起こしつつ、傾きながらXY方向に駆動される。この様子を示したのが図5(a)である。この時に、試料皿105は、3本の第2の円筒型圧電素子104の自由端のボール125の上に配置してあるため、3個のボール125の動作に合わせてZ方向下方に高さ変化を起こしつつ、平行に移動する。よって、試料113の表面には傾きは発生せず、傾きによる形状誤差のない観察像を得ることができる。この様子を示したのが図5(b)である。
(3)第3の実施の形態
図6は、本発明の微小領域走査装置のうち、第3の実施の形態を示した模式図である。図6において、基盤101上に、基盤101にその軸線が垂直になるように第1の円筒型圧電素子102が固定される。この第1の円筒型圧電素子102は、第1の実施の形態とは異なり、円筒半径方向に屈曲するモードで駆動されるXY方向走査用円筒型圧電素子である。第1の円筒型圧電素子102の自由端には、基盤101と平行に梁103が固定される。梁103上には、第2の円筒型圧電素子104が、第1の円筒型圧電素子102の同軸上に固定される。第2の円筒型圧電素子104は、第1の実施の形態とは異なり、円筒軸方向に伸縮するモードで駆動されるZ方向走査用円筒型圧電素子である。第2の円筒型圧電素子104の自由端には、試料皿105が配置される。
【0024】
第1の円筒型圧電素子102の内側側面の全域には第2のグランド用電極108が形成される。外側側面には、円周方向に4分割した電極が形成される。電極はそれぞれ、X1電極109、X2電極110、Y1電極111、Y2電極112であり、X1電極109とX2電極110、Y1電極111とY2電極112は対向する位置関係にある。 第2のグランド用電極108と、4分割された電極のそれぞれ、すなわちX1電極109、X2電極110、Y1電極111、Y2電極112との間には高電圧を掛け、電極の形成される部分の圧電材料の分極を行う。この時、対向する電極の形成される部分の圧電材料は、同じ極性の電圧を印加された場合に、それぞれ反対の効果、すなわち、「伸び」「縮み」を起こすように分極される。したがって、X1電極109とX2電極110の形成される部分の圧電材料は、極性の異なる方向に分極される。同様にY1電極111とY2電極112の形成される部分の圧電材料は、極性の異なる方向に分極される。
【0025】
第2の円筒型圧電素子104の内側側面の全域には第1のグランド用電極106が形成される。外側側面の全域には、Z電極107が形成される。第1のグランド用電極106と、Z電極107の間には高電圧を掛け、圧電素子の分極を行う。
図7は、第3の実施の形態の動作を示した模式図である。第1の円筒型圧電素子が円筒半径方向に屈曲するモードで駆動されるXY方向走査用円筒型圧電素子であり、第2の円筒型圧電素子が、円筒軸方向に伸縮するモードで駆動されるZ方向走査用円筒型圧電素子であること以外、動作原理は第1の実施の形態と変わるところはない。第1の円筒型圧電素子102に電圧を印加することで、第1の円筒型圧電素子102の自由端に固定される梁103がXY方向に駆動される。これにより、図に示すように、梁103上に固定される第2の円筒型圧電素子104の自由端は、梁103の駆動方向とは逆方向に動く。同時に、第2の円筒型圧電素子104は、プローブ114の変形に応じて、伸縮駆動を行い、試料表面を走査する。
【0026】
本実施の形態の効果は、Z方向走査用円筒型圧電素子の負荷質量が試料皿105のみであり、負荷が軽減されることから、第1の実施の形態と比べて、Z方向の共振周波数が向上し、よりノイズに強いという点にある。したがって、XY方向の走査速度よりZ方向分解能を重要視する場合により効果を発揮する。
(4)第4の実施の形態
図8は、本発明の微小領域走査装置のうち、第4の実施の形態を示した模式図である。基盤101上に、基盤101にその軸線が垂直になるように第1の円筒型圧電素子102が3本、それぞれ平行に固定される。第3の実施の形態と同様、第1の円筒型圧電素子は円筒半径方向に屈曲するモードで駆動されるXY方向走査用円筒型圧電素子である。3本の第1の円筒型圧電素子102の自由端には、それぞれ、第1の円筒型圧電素子102の軸と垂直に梁103が固定される。3個の梁103には、それぞれ、第2の円筒型圧電素子104が第1の円筒型圧電素子102と同軸に固定される。第3の実施の形態と同様、第2の円筒型圧電素子は、円筒軸方向に伸縮するモードで駆動されるZ方向走査用円筒型圧電素子である。3本の第2の円筒型圧電素子104の自由端には、ボール125が固定され、ボール125上に試料皿105が接触配置される。試料皿105と、ボール125が接触する部分は支持平面126が形成されている。支持平面126は、試料皿105の一部を切削・研磨することで形成するか、あるいは、平板を固定して形成する方法などがある。ボール125と支持平面126の接触摩擦により、試料皿105が保持される。
【0027】
第1の円筒型圧電素子102および第2の円筒型圧電素子104の電極配置は、第3の実施の形態と変わるところはない。
図9は、第4の実施の形態の動作を示した模式図である。動作原理は第3の実施の形態と変わるところはない。
3本の第1の円筒型圧電素子102に同時に同極性の電圧を印加することで、第1の円筒型圧電素子102の自由端に固定される3個の梁103がXY方向に駆動される。これにより、図に示すように、3個の梁103上に固定される第2の円筒型圧電素子104の自由端は、梁103の駆動方向とは逆方向に動く。同時に、3本の第2の円筒型圧電素子104は、プローブ114と試料113の表面の相互作用によるプローブ114(図示せず)の変形に応じて、伸縮駆動を行う。この一連の動作により、プローブ114で試料表面を走査することが出来る

【0028】
第3の実施の形態と大きく異なる点は、XY方向に走査した時に、試料113に傾きが発生しない点である。個々の第2の円筒型圧電素子104の自由端を観察すると、XY方向への走査時に、第2の円筒型圧電素子104の自由端は、円弧軌道を描く。したがって、第2の円筒型圧電素子104の自由端は、Z方向下方に高さ変化を起こしつつ、傾きながらXY方向に駆動される。この時に、試料皿105は、3本の第2の円筒型圧電素子104の自由端のボール125の上に配置してあるため、3個のボールの動作に合わせてZ方向下方に高さ変化を起こしつつ、平行に移動する。よって、試料113の表面には傾きは発生せず、傾きによる形状誤差のない観察像を得ることができる。
【0029】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の試料走査やプローブ走査用の微小領域走査装置において、1本でXYZ方向に走査可能な円筒型圧電素子を、少なくとも1本以上の第1の円筒型圧電素子と、少なくとも1本以上の第2の円筒型圧電素子に分離し、さらに
a)前記第2の円筒型圧電素子の固定端が、前記第1の円筒型圧電素子の自由端に結合されており、
b)前記第1の円筒型圧電素子の軸と前記第2の円筒型圧電素子の軸が同軸上あるいは平行な位置にあり、
c)前記第1の円筒型圧電素子の固定端と前記第2の円筒型圧電素子の自由端が、前記第1の円筒型圧電素子の自由端を基準面としたときに、同じ面の側にあり、
d)前記第2の円筒型圧電素子の自由端が出力端であり、
e)前記第1の円筒型圧電素子と前記第2の円筒型圧電素子のどちらか一方が円筒軸方向に伸縮するモードで駆動され、もう一方が、円筒半径方向に屈曲するモードで駆動される、という構造とした。
【0030】
この結果、前記第1の円筒型圧電素子と前記第2の円筒型圧電素子のモードの組み合わせにより、前記第2の円筒型圧電素子の自由端が、円筒軸方向および円筒半径方向に駆動される。これにより以下の効果がある。
(1)従来の円筒型圧電素子と同等のXY方向の走査範囲を実現する場合、円筒型圧電素子の全長を短くすることができる。これにより、円筒型圧電素子の重心位置が下がり共振周波数が向上する。さらにXY走査用円筒型圧電素子とZ方向走査用円筒型圧電素子の直径、材質を変えることができるため、その組み合わせを工夫することで、より大きい変位とより大きい共振周波数を得ることができる。
【0031】
例えば、第1の円筒型圧電素子を円筒軸方向に伸縮するモードで駆動されるZ方向走査用円筒型圧電素子とし、第2の円筒型圧電素子を円筒半径方向に屈曲するモードで駆動されるXY方向走査用円筒型圧電素子とした時、Z方向走査用円筒型圧電素子である第1の円筒型圧電素子の直径、断面積、弾性率などをXY方向走査用円筒型圧電素子である第2の円筒型圧電素子よりも大きくすることにより、Z方向走査用円筒型圧電素子そのものを構造材として利用し、XY方向走査用円筒型圧電素子の取り付け剛性を高め、XY方向の共振周波数を向上させることが出来る。また、XY方向走査用円筒型圧電素子である第2の円筒型圧電素子の直径を極力小さくすることで、XY方向の共振周波数をより小さく、XY方向の走査範囲をより大きくすることができる。
【0032】
(2)上記の例とは逆に、第1の円筒型圧電素子を円筒半径方向に屈曲するモードで駆動されるXY方向走査用円筒型圧電素子とし、第2の円筒型圧電素子を円筒軸方向に伸縮するモードで駆動されるZ方向走査用円筒型圧電素子とした時、第1の円筒型圧電素子および第2の円筒型圧電素子の直径を最小とすることにより、Z方向の共振周波数を向上させることができ、よりノイズに強い微小領域走査装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微小領域走査装置のうち、第1の実施の形態の構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の微小領域走査装置のうち、第1の実施の形態の動作の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の微小領域走査装置のうち、第2の実施の形態の構成の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の微小領域走査装置のうち、第2の実施の形態の動作の一例を示す模式図である。
【図5】本発明の微小領域走査装置のうち、第2の実施の形態の動作、特に円筒型圧電素子の自由端の傾きが補償される様子を示す模式図である。
【図6】本発明の微小領域走査装置のうち、第3の実施の形態の構成の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の微小領域走査装置のうち、第3の実施の形態の動作の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の微小領域走査装置のうち、第4の実施の形態の構成の一例を示す模式図である。
【図9】本発明の微小領域走査装置のうち、第4の実施の形態の動作の一例を示す模式図である。
【図10】従来の微小領域走査装置の構成の一例を示す模式図である。
【図11】従来の微小領域走査装置の動作の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
101 ・・・基盤
102 ・・・第1の円筒型圧電素子
103 ・・・梁
103(a) ・・・第1の梁
103(b) ・・・第2の梁
104 ・・・第2の円筒型圧電素子
105 ・・・試料皿
106 ・・・第1のグランド用電極
107 ・・・Z電極
108 ・・・第2のグランド用電極
109 ・・・X1電極
110 ・・・X2電極
111 ・・・Y1電極
112 ・・・Y2電極
113 ・・・試料
114 ・・・プローブ
115 ・・・走査回路
116 ・・・レーザー光式変位検出器
117 ・・・フィードバック回路
118 ・・・オシロスコープ
125 ・・・ボール
126 ・・・支持平面
1001 ・・・円筒型圧電素子
1002 ・・・支持基盤
1003 ・・・グランド用電極
1004 ・・・X1電極
1005 ・・・X2電極
1006 ・・・Y1電極
1007 ・・・Y2電極
1008 ・・・Z電極
1009 ・・・試料
1010 ・・・試料皿

Claims (7)

  1. それぞれが円筒形状を有するとともに、基盤に接続された第1の固定端と電圧印加によって円筒軸方向に伸縮駆動する第1の自由端とを有する、少なくとも3本の第1の円筒型圧電素子と、
    前記第1の自由端に固定された梁と、
    それぞれが円筒形状を有するとともに、前記第1の自由端が固定された前記梁の面と同一の面側に固定された第2の固定端と電圧印加によって円筒半径方向に屈曲駆動する第2の自由端とを有し、しかも、それぞれがそれぞれの前記第1の円筒型圧電素子の円筒外に配置された、少なくとも3本の第2の円筒型圧電素子と、
    それぞれの前記第2の自由端に1個ずつ固定されたボールと、
    それぞれの前記ボールに接触配置されて、しかも試料を搭載し、なお且つ前記第1の円筒型圧電素子の前記伸縮駆動と前記第2の円筒型圧電素子の前記屈曲駆動により高さ変化を起こしつつ平行に移動する試料台と、
    を有する微小領域走査装置。
  2. 前記第1の円筒型圧電素子が3本からなるとともに、前記第2の円筒型圧電素子が3本からなり、且つ前記梁が第1の梁と第2の梁の2つの梁からなり、前記第1の梁に、1本の前記第1の円筒型圧電素子の前記自由端と、2本の前記第2の円筒型圧電素子のそれぞれの前記固定端とが固定されており、なお且つ、前記第2の梁に、2本の前記第1の円筒型圧電素子のそれぞれの前記自由端と、1本の前記第2の円筒型圧電素子の前記固定端とが固定されていることを特徴とする請求項1に記載の微小領域走査装置。
  3. 前記第1の円筒型圧電素子の直径が、前記第2の円筒型圧電素子の直径よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の微小領域走査装置。
  4. 前記第1の円筒型圧電素子の断面積が、前記第2の円筒型圧電素子の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微小領域走査装置。
  5. 前記第1の円筒型圧電素子の弾性率が、前記第2の円筒型圧電素子の弾性率より大きいことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の微小領域走査装置。
  6. それぞれが円筒形状を有するとともに、基盤に接続された第1の固定端と電圧印加によって円筒半径方向に屈曲駆動する第1の自由端とを有する、少なくとも3本の第1の円筒型圧電素子と、
    それぞれの前記第1の自由端にそれぞれが固定された梁と、
    それぞれが円筒形状を有するとともに、前記第1の自由端が固定された前記梁の面と同一の面側に固定された第2の固定端と電圧印加によって円筒軸方向に伸縮駆動する第2の自由端とを有し、しかも、それぞれがそれぞれの前記第1の円筒型圧電素子の円筒内に配置された第2の円筒型圧電素子と、
    それぞれの前記第2の自由端に1個ずつ固定されたボールと、
    それぞれの前記ボールに接触配置されて、しかも試料を搭載し、なお且つ前記第1の円筒型圧電素子の前記屈曲駆動と前記第2の円筒型圧電素子の前記伸縮駆動により高さ変化を起こしつつ平行に移動する試料台と、
    を有する微小領域走査装置。
  7. 前記試料台に前記ボールが接触する支持平面が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の微小領域走査装置。
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