JP3829948B2 - ディーゼル軽油組成物 - Google Patents
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- F02B3/06—Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ディーゼル軽油組成物に関し、更に詳しくは、自動車,船舶,発電機等に用いられるディーゼルエンジン用の軽油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、排ガス規制への対応のためディーゼルエンジン用軽油においても、その硫黄分含量を低減することが求められている。しかしながら、このような低硫黄化のため軽油基材について深度脱硫を行った場合、得られる軽油製品の潤滑性能が低下することが知られてきた。即ち、このような潤滑性能の低下により燃料である軽油で潤滑を行っているディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプの各部の摩耗が増大し、この結果エンジンの回転不良、運転性悪化等の不都合が生じることが報告されている。特に、ガバナスリーブの摺動性の低下により、フォークリフト等においてはアイドリング時にエンジンが停止するという不具合が報告されている。更に、フェイスカムの摩耗により、燃料噴射が出来なくなり、ポンプの破壊的な故障が生じる例が一部の市場で報告されている。
このような軽油の潤滑性能の低下に対して、ハード面からの対応もなされているが、その一方で燃料面からの対応が要求されこれに対する検討がなされてきたが、未だ満足のいく対応は見出されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情下においてなされたものであり、深度脱硫軽油を用い、硫黄分含量を著しく低減した場合においても優れた潤滑性能が維持され、加えてディーゼル自動車のエンジンの燃料噴射ポンプに不具合を起こすことがなく、排ガスの悪化が起こらないディーゼル軽油組成物を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の組成及び性能を有する深度脱硫軽油に、極性基含有潤滑性付与剤を配合することにより、硫黄分含量を低減しつつ優れた潤滑性能を維持することが可能となり、またこの結果ディーゼル自動車のエンジンの燃料噴射ポンプに不具合を起こすことのないディーゼル軽油組成物が得られることを見出したものである。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、硫黄分が0 . 050重量%以下である軽油であって、2〜8容量%の多環芳香族分を含有し、かつ15℃における密度が0.800〜0.860g/cm3 であり、30℃における動粘度が1.7cSt以上である軽油に、ジリノール酸系化合物である極性基含有潤滑性付与剤を10〜2000ppm配合してなるディーゼル軽油組成物、を提供するものである。
【0006】
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のディーゼル軽油組成物に使用される軽油は、その各特性が日本工業規格(JIS)を満足するものであり、特に、0.010〜0.050重量%の硫黄分及び2〜8容量%の多環芳香族分を含有し、かつ15℃における密度が0.800〜0.860g/cm3 であり、30℃における動粘度が1.7cSt以上であるものである。
ここで、硫黄分含量が0.050重量%を超えるものは、潤滑性能は優れるものの、排ガスが悪化し好ましくない。また、0.010重量%未満である場合は潤滑性能の悪化が著しい。
また、多環芳香族分含量は2〜8容量%、好ましくは3〜8容量%であることが必要であり、この値が8容量%を超える場合は極性基含有潤滑性付与剤添加の効果が認められず、また2容量%未満の場合は極性基含有潤滑性付与剤添加が大量に必要となり好ましくない。上記値が3〜8容量%の範囲であれば、極性基含有潤滑性付与剤添加効果の点で一層好ましいものとなる。本発明においては、上記多環芳香族分として、二環以上の芳香族分の含量が上記範囲にあることが好ましい。
【0007】
更に、上記軽油の密度は15℃において、0.800〜0.860g/cm3 であることが必要である。上記密度が0.860g/cm3 を超える場合は排ガスが悪化することがあり、また0.800g/cm3 未満の場合は、潤滑性能が悪化し好ましくない。
上記軽油の動粘度については、30℃において1.7cSt以上、好ましくは2.5cSt以上である。この値が1.7cSt未満の場合は、潤滑性能が悪化し好ましくない。上記値が2.5cSt以上であれば、潤滑性能の面で一層好ましいものとなる。
【0008】
本発明のディーゼル軽油組成物は、上記組成及び性状を有する軽油に極性基含有潤滑性付与剤を配合してなるものである。ここで使用しうる極性基含有潤滑性付与剤としては、具体的には、
ラウリル酸,オレイン酸,ステアリン酸,ドデシルコハク酸,ドデセニルコハク酸,リノール酸,ジリノール酸等の高級脂肪酸類;
ドデシルアルコール,オレイルアルコール,リノレニルアルコール等の高級アルコール類;
ステアリン酸アミド,オレイン酸アミド,ステアリン酸ビス(ポリエチレングリコール)アミド,ドデセニルコハク酸アミド,ドデセニルコハク酸(ヒドロキシエチル)アミド,アルケニルコハク酸アミド等のアミド類;
ドデシルアミン,ステアリン酸アミン,ステアリン酸ジメチルアミン,シクロヘキシルアミン,ドデシルビス(ジエチレングリコール)アミン等のアミン系化合物;
フェニル−α−ナフチルアミン,ビスオクチルフェニルアミン,ビスノニルフェニルアミン,ジフェニル−p−フェニレンジアミン,ジピリジリルアミン,フェノチアジン,N−メチルフェノチアジン,N−エチルフェノチアジン等の上記以外のアミン系化合物;
ラウリル酸メチルエステル,ステアリン酸メチルエステル,ソルビタンモノオレエート,ペンタエリスリトールモノステアリン酸エステル,リノレニン等のエステル類;
ジブチルジスルフィド,ジオクチルジスルフィド,ジドデシルジスルフィド等のジスルフィド類;
塩素化パラフィンワックス,塩素化ナフタレン,塩素化アルキルベンゼン等の塩素化炭化水素類;
n−ブチルジ−n−オクチルホスフィネート等のホスフィネート類;
ジ−n−ブチルヘキシルホスホネート,ジ−n−ブチルフェニルホスホネート等のホスホネート類;
トリブチルホスフェート,トリクレジルホスフェート,トリオレイルホスフェート,ジ−2−エチルヘキシルホスフェート等のホスフェート類;
(C4 H9 O)2 PONR1 R2 〔ここで、R1 及びR2 は各々水素または−C4 H9 基を表す〕、(C4 H9 O)2 POR1 R2 R3 R4 〔ここで、R1 ,R2 ,R3 及びR4 は各々水素,−C4 H9 基または−C8 H17基を表す〕等のアミン系ホスフェート類;
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール);2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン;2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン;4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール);オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル;トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−5−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のフェノール類;
エチレン/酢酸ビニル共重合体,エチレン/アルキルアルキレート共重合体,ポリアルキル(メタ)アクリレート,α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体等の重合体
等が挙げられる。
【0009】
上記の極性基含有潤滑性付与剤のうち、本発明においては好ましくはアミン系化合物,エステル系化合物,フェノール類,アルキルホスフェート,アミン系ホスフェート,エチレン/酢酸ビニル共重合体,エチレン/アルキルアルキレート共重合体,ポリアルキルアクリレート,アルケニルこはく酸アミド,ジリノール酸系化合物等が用いられる。より好ましくは、アミン系系化合物あるいはフェノール類のうち酸化防止剤として用いられる各種化合物、アルキルホスフェート及びアミン系ホスフェートから選ばれる化合物のうち腐食防止剤として用いられる各種化合物、エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アルキルアクリレート共重合体,ポリアルキルアクリレート及びアルケニルこはく酸アミドから選ばれる化合物のうち低温流動性向上剤として用いられる各種化合物、及びジリノール酸系化合物のうち潤滑向上剤として用いられる各種化合物、から選ばれる少なくとも一種が用いられる。上記化合物のうち、本発明においては、アミン系化合物及びエステル系化合物が特に好ましく用いられる。
【0010】
本発明においては、上記極性基含有潤滑性付与剤は、ディーゼル軽油組成物中に好ましくは10〜2000ppm、更に好ましくは15〜1800ppm配合される。上記配合量が2000ppmを超える場合は、ディーゼル軽油組成物中に完全に溶解しなくなることがあり、また10ppm未満では本発明の効果が十分に発揮されないことがある。上記値が15〜1800ppmの範囲にあれば、上記溶解の問題及び効果の点で一層好ましいものとなる。
【0011】
本発明のディーゼル軽油組成物は上記のような組成及び性状を有する軽油を用い、これに上記極性基含有潤滑性付与剤を配合してなるものであるが、このような軽油としては、例えば深度脱硫軽油(DGO)、またはこれに必要に応じて一般に用いられる灯軽油基材を混合してなるものが使用できる。具体的には、例えば深度脱硫軽油(DGO)に、水素化分解軽油(HCGO)あるいは脱硫灯油(DK)を80容量%以下、またはその他の軽油留分、例えば直留軽油(LGO),直接脱硫軽油(DSGO),分解軽油(LCO),脱硫軽質軽油(VHLGO),硫黄分が0.05重量%以上のその他の軽油基材を10容量%以下含有するように混合したものを用いることができる。これらの灯軽油基材が上記各範囲を超える場合は、潤滑性能の改善が見られない場合があったり、また排ガスが悪化する場合があるなど好ましくない場合がある。
【0012】
上記深度脱硫軽油(DGO)は一般に沸点範囲が170〜390℃のものであり、その密度が0.80〜0.90の範囲のものを適宜使用できる。上記DGOとしては硫黄分含量が0.05重量%以下のものが好ましく使用できる。硫黄分含量が0.05重量%を超えるものは排ガスが悪化するため好ましくない。
上記深度脱硫軽油(DGO)は、具体的には、原料油としての直留軽油(LGO)を水添脱硫装置を用いて、Co−Mo/アルミナ触媒,Ni−Mo/アルミナ触媒等の触媒の存在下で、30〜100kg/cm2 G、好ましくは50〜70kg/cm2 Gの圧力下、300〜400℃、好ましくは330〜360℃の温度で、液空間速度(LHSV)0.5〜5h-1、好ましくは1〜2h-1の条件で深度脱硫反応を行い、その後ストリッパーで硫化水素とナフサを除去して得られるものである。
【0013】
上記水素化分解軽油(HCGO)とは、重質軽油(HGO)、減圧軽油(VGO)あるいはこれらの混合油を触媒の存在下で水素化分解し、当該分解生成油を燃料油留分と潤滑油留分に蒸留分離して得られたものであり、その蒸留性状としては沸点範囲が180〜380℃であり、50%蒸留点が220〜340℃のものである。上記潤滑油留分は沸点範囲が250〜540℃、好ましくは300〜530℃であり、燃料油留分は沸点の終点が250〜370℃のものである。
尚、脱硫灯油(DK)あるいは上記軽油留分としての直留軽油(LGO),直接脱硫軽油(DSGO),分解軽油(LCO),脱硫軽質軽油(VHLGO)については通常の方法で調製することができる。またその一般性状としては下記第1表に示すものを一般に使用可能である。
【0014】
【表1】
【0015】
本発明のディーゼル軽油組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じてセタン価向上剤,酸化防止剤,金属不活性剤,低温流動向上剤,氷結防止剤,腐食防止剤,微生物殺菌剤,助燃剤,帯電防止剤,潤滑性付与剤,着色剤等の添加剤を適宜加えることができる。
【0016】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1,2及び比較例1、2
第2表に示す性状の軽油基材を第3表に示す割合で混合して軽油を調製し、これに第2表に示す極性基含有潤滑性付与剤を添加して、得られたディーゼル軽油組成物の各々について摩耗幅、即ち摩耗跡の平均直径を測定した。その結果を第3表に示した。この値としては、ポンプ性能から0.5mm以下の値が求められている。
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
第3表から明らかなように、極性基含有潤滑性付与剤の添加により、硫黄分含量を著しく低減した場合においても、著しく優れた潤滑性能を有する軽油組成物が得られた。
尚、軽油の性状及び性能は次の方法によって求めた。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、深度脱硫軽油基材を用い、硫黄分含量を著しく低減した場合においても優れた潤滑性能が維持され、ディーゼル自動車のエンジンの燃料噴射ポンプに不具合を起こすことがなく、排ガスの悪化のないディーゼル軽油組成物を提供することができる。
Claims (3)
- 硫黄分が0 . 050重量%以下である軽油であって、2〜8容量%の多環芳香族分を含有し、かつ15℃における密度が0.800〜0.860g/cm3 であり、30℃における動粘度が1.7cSt以上である軽油に、ジリノール酸系化合物である極性基含有潤滑性付与剤を10〜2000ppm配合してなるディーゼル軽油組成物。
- 軽油の多環芳香族分含量が3〜8容量%である請求項1に記載のディーゼル軽油組成物。
- 軽油の30℃における動粘度が2.5cSt以上である請求項1又は2に記載のディーゼル軽油組成物。
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