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JP3832582B2 - ネジ穴位置度測定方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、3次元測定機を用いてネジ穴の中心位置の座標を正確に測定するためのネジ穴位置度測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、エンジンのシリンダブロック、シリンダヘッド等の機械加工製品の寸法精度を測定するために、3次元測定機が用いられている。ところで、ネジ穴等の内面に細かい凹凸を有する穴の寸法を正確に測定することは困難であり、従来から、このような穴の寸法を測定するための装置が種々提案されている(例えば特許文献1および2参照)。このような事情から、機械加工製品のネジ穴の中心位置を測定する場合には、専用のゲージを用いて測定される場合が多い。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−128005号公報
【特許文献2】
特開平11−2503号公報
【0004】
しかしながら、専用のゲージは、測定すべき機械加工製品毎に準備する必要があり、コストがかかるため、汎用の3次元測定機を用いてネジ穴の中心位置の座標を正確に求めることが要求されている。そこで、従来、3次元測定機を用いてネジ穴の中心位置の座標を求めるために、例えば次のような測定方法がとられている。
【0005】
3次元測定機を用いた従来のネジ穴位置度測定方法について、図7を参照して説明する。図7に示されるように、直径がネジピッチPの1.25倍程度(約3mm)の球状の先端部形状を有する3次元測定機の測定子2を製品図面上の寸法に基づいて、ネジ穴1の中心に所定の深さで挿入する。測定子2をネジ穴1の軸に直交する方向に移動させて、測定子2がネジ穴1の内周部(ネジ部)に当接する点Aの座標を求める。次に、測定子2をネジ穴の中心に沿って1/4ピッチ(P/4)移動させ、点Aから90°異なる位置でネジ穴1のネジ部に当接する点Bの座標を求める。同様に測定子2を1/4ピッチおよび90°ずつ移動させて、順次ネジ穴1のネジ部に当接する点Cおよび点Dの座標を求める。
【0006】
このようにして、測定子2をネジ穴1の軸に沿って1/4ピッチおよび90°ずつ異なる位置でネジ穴1のネジ部に当接させることにより、測定子2は、ネジ部のネジ山−ネジ溝間の同様の位置に当接することになるので、4つの点A、B、CおよびDは、ネジ穴1と同心で同じ直径を有する円周上に位置することになる。したがって、これらの4つの点A、B、CおよびDの位置に基づいて、ネジ穴1の中心位置の座標を求めることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のネジ穴位置度測定方法では、次のような問題がある。図8に示されるように、測定子2は、先端部の直径がネジピッチPよりも大きいため、ネジ部のネジ山3に当接することになるが、ネジ部を機械加工する際、ネジ山3の頂部に高さ0.15mm程度のバリ4が生じることがあり、測定子2の当接位置がバリ4によって変動してしまう。このため、ネジ穴1の中心位置の座標を正確に求めることができない。
【0008】
なお、測定子2の先端部の直径をネジピッチPより小さくして、測定子2をネジ部のネジ溝5に当接させることにより、バリ4の影響を解消することができるが、測定子2は、必ずしもネジ溝5に当接するわけではなく、ネジ山3に当接する可能性があるため、依然として問題の解決にはならない。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、3次元測定機を用いてネジ穴の中心位置の座標を正確に測定することができるネジ穴位置度測定方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係るネジ穴位置度測定方法は、測定子をネジ穴内に挿入し、前記測定子を前記ネジ穴の軸に直交する等間隔の3方向に移動させて、前記測定子が前記ネジ穴のネジ部に当接する3点を表す第1位置を測定し、その後、前記測定子を前記ネジ穴の軸に沿って前記ネジ部の1/2ピッチに相当する分だけ異なる位置に移動させ、前記測定子を前記3方向に沿って移動させて、前記測定子が前記ネジ部に当接する3点を表す第2位置を測定し、前記第1位置および前記第2位置が表す6点の中から、前記測定子が前記ネジ部のネジ溝に当接する3点を抽出し、この3点の位置に基づいて、前記ネジ穴の中心位置を求めることを特徴とする。
このように構成したことにより、第1位置の3点のうち、少なくとも1点は、ネジ溝に位置する点となり、第2位置の3点のうち、第1位置のネジ溝に位置する点に対応する点は、ネジ山の点となり、また、第1位置のネジ山の点に対応する点は、ネジ溝に位置する点となるので、第1位置および第2位置の6点の中からネジ溝に位置する3点を抽出し、そのネジ溝に位置する3点の位置に基づいて、ネジ穴の中心位置の座標を決定することができる。
請求項2の発明に係るネジ穴位置度測定方法は、上記請求項1の構成において、前記測定子は、主軸に直交する等間隔の3方向に突出する接触子を有していることを特徴とする。
このように構成したことにより、測定子の接触子がネジ部に当接する。
請求項3の発明に係るネジ穴位置度測定方法は、上記請求項1又は2の構成において、前記第1位置および前記第2位置が表す6点の中から2点を選ぶ全ての組合わせについて、その2点間の距離を計算し、その距離が大きい方から3つの組合わせを抽出し、その3つの組合わせに含まれる3点の位置に基づいて、前記ネジ穴の中心位置を求めることを特徴とする。
このように構成したことにより、簡単なアルゴリズムによってネジ溝に位置する3点を抽出することができる。
また、請求項4の発明に係るネジ穴位置度測定方法は、上記請求項1又は2の構成において、前記第1位置および前記第2位置が表す6点について、前記ネジ穴の所定の仮想中心からの距離を計算し、その距離が大きい方から順に3点を抽出し、該抽出された3点の位置に基づいて、前記ネジ穴の中心位置を求めることを特徴とする。
このように構成したことにより、簡単なアルゴリズムによってネジ溝に位置する3点を抽出することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、上記従来例と同様の部分については同一の符号を付して説明する。
本実施形態に係る3次元測定機の測定子について、図2および図3を参照して説明する。図2及び図3に示されるように、測定子6は、主軸7の先端部側面に、主軸7と直交する3つの接触子8A、8B及び8Cが等間隔すなわち120°間隔で突出されている。これらの接触子8A、8B及び8Cは、長さが等しく、先端部9A、9B及び9Cが球状に形成されている。先端部9A、9B及び9Cの直径は、測定すべきネジ穴1のネジピッチPよりも充分小さく、好ましくは1mm程度(後述)とされる。また、主軸7の直径および接触子8A、8B及び8Cの長さは、測定子6がネジ穴1に挿入できるように、3つの接触子8A、8B及び8Cの先端を通る円の直径がネジ穴1の直径よりも充分小さくなるようにしてある。
【0012】
次に、測定子6を用いてネジ穴1の中心位置の座標を測定するためのネジ穴位置度測定方法について主に図1を参照して説明する。図1に示されるように、測定すべき製品の図面上の寸法に基づいて、測定子6をネジ穴1の(仮想)中心に所定の深さで挿入する。このときの3つの接触子8A、8B及び8Cの先端部9A、9B及び9Cの中心を通る平面を第1断面とする。そして、測定子6を第1断面上において、ネジ穴1の中心から順次3つの接触子8A、8B及び8Cに沿って(すなわち、ネジ穴1の軸に直交する等間隔の3方向に)移動させて、各接触子の先端部9A、9B及び9Cをネジ部に順次当接させ、各接触子の先端部9A、9B及び9Cがそれぞれネジ部に当接する3点A1、B1及びC1(第1位置)の座標を求める。
【0013】
このとき、3つの接触子8A、8B及び8Cは、120°間隔で配置されているので、3つの接触子の先端部9A、9B及び9Cのうち、少なくとも1つは、ネジ溝5に当接することになる(図示の例では、接触子8Aの先端部9Aが点A1においてネジ溝5に当接し、接触子8B及び8Cの先端部9B及び9Cが点B1及びC1においてネジ山3に当接している)。
【0014】
次いで、測定子6をネジ穴1の軸に沿って1/2ピッチだけ移動させる。このとき、3つの接触子8A、8B及び8Cの先端部9A、9B及び9Cの中心を通る平面を第2断面とする。そして、測定子6を第2断面上において、ネジ穴1の中心から順次3つの接触子8A、8B及び8Cに沿って(すなわち、ネジ穴1の軸に直交する等間隔の3方向に)移動させて、各接触子の先端部9A、9B及び9Cをネジ部に順次当接させ、各接触子の先端部9A、9B及び9Cがそれぞれネジ部に当接する3点A2、B2及びC2(第2位置)の座標を求める。
【0015】
このとき、第1断面と第2断面とは、1/2ピッチだけ離れており、ネジ山3及びネジ溝5の位相が180°異なるので、第1断面においてネジ溝5に当接した接触子8A、8B又は8Cは、第2断面においてネジ山3に当接し、第1断面においてネジ溝5に当接した接触子8A、8B又は8Cは、第2断面においてネジ山3に当接することになる(図示の例では、接触子8Aの先端部9Aが点A2においてネジ山3に当接し、接触子8B及び8Cの先端部9B及び9Cが点B2及びC2においてネジ溝5に当接している)。したがって、第1断面上の3点A1、B1、C1及び第2断面上の3点A2、B2、C2の合計6点のうち3点は、必ずネジ溝5に位置する点である。
【0016】
なお、第1断面と第2断面とでネジ部の位相が180°異なれば、上記と同じ結果が得られるので、測定子6の移動量は、ネジ部の1/2ピッチに限らず、3/2ピッチ、5/2ピッチ等、1/2ピッチに相当するネジ部の位相変化が得られる移動量とすることができる。
【0017】
次に、第1断面上の3点A1、B1、C1及び第2断面上の3点A2、B2、C2の合計6点のうちからネジ溝5に位置する3点を抽出する方法について説明する。
上記6点A1、B1、C1、A2、B2及びC2のうちから2点を選んだ15通りの全ての組合わせについて、その2点間の距離を計算する。このうち、2点間の距離が大きい方から3つの組合わせを抽出する(図1の例では、A1B2、A1C2及びB2C2)。これらの3つの組合わせに含まれる3点(図1の例では、A1、B2及びC2)がネジ溝5に位置する点となる。このようにして、簡単なアルゴリズムによってネジ溝5に位置する3点を抽出することができる。
【0018】
このようにして抽出したネジ溝5に位置する3点の座標に基づいて、ネジ穴1の中心位置の座標を計算することにより、ネジ溝5に位置する点データのみに基づいてネジ穴1の中心位置の座標を求めることができるので、ネジ山3に生じたバリ4(図4参照)の影響を受けることなく、正確な座標を求めることができる。
【0019】
このほか、第1断面上において、製品図面上の寸法に基づくネジ穴1の(仮想)中心から3点A1、B1およびC1までの距離をそれぞれ計算し、また、第2断面上において、ネジ穴1の(仮想)中心から3点A2、B2およびC2までの距離をそれぞれ計算し、ネジ穴1の(仮想)中心からの距離が大きい方から3点を抽出することにより、ネジ溝5に位置する3点を決定することができる。このようにして、簡単なアルゴリズムによってネジ溝5に位置する3点を抽出することができる。
【0020】
上記のほか、他の公知の数学的手法によって、上記6つの点A1、B1、C1、A2、B2及びC2から、ネジ溝5に位置する3点を抽出することもできる。
【0021】
次に、図5を参照して上述のネジ穴位置度測定方法のフローについて説明する。図5を参照して、ステップS1では、3次元測定機の測定子6を製品図面上の寸法に基づいて、ネジ穴1の中心に所定の深さで挿入して、接触子8A、8B及び8Cを第1断面上に配置する。ステップS2では、第1断面上において、測定子6を120°間隔の3方向に移動させて、接触子の先端部9A、9B及び9Cがそれぞれネジ部(ネジ山3又はネジ溝5)に当接する3点A1、B1及びC1の座標を測定する。
【0022】
ステップS3では、測定子6をネジ穴1の軸に沿って1/2ピッチ移動させて、接触子8A、8B及び8Cを第2断面上に移動させる。ステップS4では、第2断面上において、測定子6を120°間隔の3方向に移動させて、接触子の先端部9A、9B及び9Cがそれぞれネジ部(ネジ山3又はネジ溝5)に当接する3点A2、B2及びC2の座標を測定する。
【0023】
ステップS5では、第1および第2断面上の点A1、B1、C1、A2、B2及びC2から、上述の数学的手法によって、ネジ溝5に位置する3点を決定する。ステップS6では、ネジ溝5に位置する3点に基づいて、公知の数学的手法によって、ネジ穴1の中心の座標を計算する。
【0024】
このようにして、ネジ溝5に位置する3点の座標に基づいて、ネジ穴1の中心位置の座標を求めることにより、ネジ山3に生じたバリ4の影響を受けることなく、正確な座標を求めることができる。
【0025】
次に、本発明のネジ穴位置度測定方法による測定精度と接触子の先端部9A、9B及び9Cの直径との関係について、図6を参照して説明する。図6は、接触子先端部9A、9B及び9Cの直径を5mm、3mm及び1mmとした場合におけるネジ穴1の中心位置のズレ量についての測定値と真値との関係を示している。図6から分かるように、直径5mm又は3mmとした場合、測定値と真値との間に一定の割合でズレが生じるのに対して、直径1mmとした場合には、測定値と真値とが一致している。このことから、接触子先端部9A、9B及び9Cの直径は1mm程度とすることが望ましい。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係るネジ穴位置度測定法法によれば、3次元測定機を用いて、ネジ穴の中心位置の座標を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るネジ穴位置度測定方法を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るネジ穴位置度測定方法に使用する測定子を示す側面図である。
【図3】図2に示す測定子の正面図である。
【図4】図2に示す測定子がネジ溝に当接した状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るネジ穴位置度測定方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係るネジ穴位置度測定方法による測定精度と接触子の先端部の直径との関係を示す図である。
【図7】3次元測定機による従来のネジ穴位置度測定方法を示す説明図である。
【図8】従来のネジ穴位置度測定方法に用いる測定子がネジ山に当接した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 ネジ穴
3 ネジ山
5 ネジ溝
6 接触子
A1、B1、C1 点(第1位置)
A2、B2、C2 点(第2位置)

Claims (4)

  1. 測定子をネジ穴内に挿入し、前記測定子を前記ネジ穴の軸に直交する等間隔の3方向に移動させて、前記測定子が前記ネジ穴のネジ部に当接する3点を表す第1位置を測定し、その後、前記測定子を前記ネジ穴の軸に沿って前記ネジ部の1/2ピッチに相当する分だけ異なる位置に移動させ、前記測定子を前記3方向に沿って移動させて、前記測定子が前記ネジ部に当接する3点を表す第2位置を測定し、前記第1位置および前記第2位置が表す6点の中から、前記測定子が前記ネジ部のネジ溝に当接する3点を抽出し、この3点の位置に基づいて、前記ネジ穴の中心位置を求めることを特徴とするネジ穴位置度測定方法。
  2. 前記測定子は、主軸に直交する等間隔の3方向に突出する接触子を有していることを特徴とする請求項1に記載のネジ穴位置度測定方法。
  3. 前記第1位置および前記第2位置が表す6点の中から2点を選ぶ全ての組合わせについて、その2点間の距離を計算し、その距離が大きい方から3つの組合わせを抽出し、その3つの組合わせに含まれる3点の位置に基づいて、前記ネジ穴の中心位置を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載のネジ穴位置度測定方法。
  4. 前記第1位置および前記第2位置が表す6点について、前記ネジ穴の所定の仮想中心からの距離を計算し、その距離が大きい方から順に3点を抽出し、該抽出された3点の位置に基づいて、前記ネジ穴の中心位置を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載のネジ穴位置度測定方法。
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