JP3839900B2 - 採血管への薬剤塗布方法及び塗布具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、採血管の内壁面に抗凝固剤等の薬剤を塗布する方法に関し、より詳細には、採血管内壁面に薬剤の水溶液もしくは水分散液を均一かつ微小粒径の水滴状として付着させることを可能とする採血管への薬剤塗布方法及び塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】
採血管は、ガラスもしくはプラスチックからなる有底筒状の管と、管の開口を封止するためのゴムもしくはプラスチックなどからなる栓とを有する。採血管では、従来、検査目的に応じて、抗凝固剤、解糖阻止剤などの薬剤が粉末、顆粒もしくは水溶液の状態で管の底部に収容されていた。
【0003】
しかしながら、管の底部に薬剤が収納されているので、採取した血液を採血管内に導いた場合、初期状態では血液が薬剤と部分的にしか接触しない。そのため、薬剤の溶解に時間を要したり、あるいは局所的に薬剤濃度が高くなったりするため、溶血等の所望でない現象が生じるおそれがあった。そこで、採血後、採血管を速やかに転倒混和し、完全かつ均一に薬剤を血液に溶解させる作業を行うことが必須不可欠であった。
【0004】
しかしながら、大病院や大きな検査センターでは、多数の検体を処理するため、上記のような作業が非常に煩雑であった。また、迅速に行わねばならない検査では、上記作業を行うと、正確に検査を行い得ないこともあった。
【0005】
そこで、上記のような問題を解決するものとして、特開平2−167140号公報には、採血管の内壁面のほぼ全体にエアーレス型スプレーを用いて薬剤の水溶液もしくは水分散液を噴霧することにより採血管に薬剤を塗布する方法が開示されている。ここでは、エアーレス型スプレーを用いて薬剤の水溶液もしくは水分散液を採血管の内壁面のほぼ全体に噴霧するため、薬剤の水溶液もしくは水分散液が微小粒径の水滴状の状態で採血管の内壁面のほぼ全体に付着されると されており、導かれた血液と薬剤との接触面積が大きく、薬剤が速やかに溶解するため、上述した煩雑な作業を省略し得るとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先行技術に記載の採血管への薬剤塗布方法では、エアーレス型スプレーを用いているためか、付着された水滴状の薬剤の面積にばらつきがあり、粒径の大きな水滴状薬剤が流下し、採血管の管底部に集まり、採取した血液を導いた場合、やはり薬剤が局所的に高濃度になるおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、上記先行技術の欠点を解消し、採血管内壁面のほぼ全体に、薬剤の水溶液もしくは水分散液を均一な微小粒径の多数の水滴として確実に付着させ得る、採血管への薬剤塗布方法及び塗布具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項4に記載の発明は、採血管内壁面のほぼ全体に、薬剤の水溶液もしくは水分散液を均一な微小粒径の多数の水滴状に付着させるように、外管と内管とを有する気液2重管構造のスプレーノズルを備え、前記スプレーノズルの外管の内径をD1、内管の外径をd1、外管の内壁と内管の外壁との距離をd2としたときに、d2が外管の内径D1と内管の外径d1との差ΔDの25〜75%の範囲とされていることを特徴とする採血管への薬剤塗布具である。
【0011】
本発明に係る採血管への薬剤塗布方法では、採血管の内壁面のほぼ全体に薬剤の水溶液もしくは水分散液が均一な微小粒径の多数の水滴状となるように付着される。この場合、使用する採血管については特に限定されるものではないが、薬剤の水溶液もしくは水分散液を均一な微小粒径の水滴状に付着させるには、疎水性材料からなる採血管を用いることが好ましい。このような疎水性材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリルブタジエンスチレン共重合体などの合成樹脂を挙げることができる。
【0012】
また、上記採血管の管としては、ガラスや上記合成樹脂以外の材料からなる採血管の内面に上記合成樹脂をコーティングしたものを用いてもよく、上記合成樹脂に代えて、液状シリコンなどの撥水剤を用いて内面を処理したものであってもよい。
【0013】
また、本発明で用いられる薬剤としては、水溶性もしくは水分散性を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、5〜60w/w%エチレンジアミン四酢酸(以下、EDTA)の金属塩水溶液、0.1〜2w/w%ヘパリン塩水溶液、シュウ酸塩、クエン酸塩などの抗凝固剤;5〜30w/w%モノハロゲン化酢酸もしくはその金属塩水溶液、2〜30w/w%フッ化塩水溶液、D−マンノース、クエン酸などの解糖阻止剤などを挙げることができ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0014】
さらに、抗凝固剤に代えて、0.05〜1.0w/w%シリカの水分散液や0.1〜2.0w/w%トロンビン水溶液などの凝固促進剤を用いてもよい。
さらに、本発明では、上記薬剤の他に血清分離剤などを併用してもよい。
また、本発明により薬剤が塗布される採血管は、常圧で用いられる採血管の他、いわゆる真空採血管であってもよい。
【0015】
本発明においては、上記採血管の内壁面に、薬剤の水溶液もしくは水分散液を均一な微小粒径の水滴状となるように気液外部混合型スプレーを用いて付着させる。この気液外部混合型スプレーの構造を、図1及び図2を参照して説明する。なお、図示の気液外部混合型スプレーは、本発明で用い得る気液外部混合型スプレーの一例であって、本発明で用いられる気液外部混合型スプレーは図示のものに限定されるものではない。
【0016】
図2に示すように、気液外部混合型スプレーは、外管と内管とを有する気液2重管構造を備えたスプレーノズル1を有する。スプレーノズル1は、図1に示すように、内部を薬剤の水溶液もしくは水分散液が通過する内管2と、内管2に外挿された外管3とを有する。薬剤の水溶液もしくは水分散液を噴霧するためのガスが、内管2の外表面と外管3の内面との間を通過するように構成されている。
【0017】
内管及び外管は、ステンレス、黄銅メッキした鉄などの適宜の材料で構成され得る。また、内管2の先端2aは外管3の先端3aよりも若干突出されている。この突出量は、使用する採血管の大きさによっても異なるが、通常0.1mm〜4.0mm程度とされるが、必ずしも突出させる必要はない。
【0018】
また、スプレーノズル1の基端側には、液体注入口1aと、該液体注入口1aとは別の面に設けられたガス導入口1bとが設けられている。液体注入口1aは内管2に連通されており、ガス注入口1bは外管3に連通されており、但し、ガスが内管2内には入り込まないように構成されている。
【0019】
図2に示すように、上記スプレーノズル1の液体注入口1aが、ポンプ4を介して薬液タンク5に接続されている。他方、ガス導入口1bは、圧力計6、減圧弁7、フィルタ8を介してコンプレッサー9に接続されている。
【0020】
薬液タンク5内に貯留されている薬剤の水溶液もしくは水分散液はポンプ4で送液されて液体注入口1aから内管2内に送液される。他方、コンプレッサー9で圧縮された圧縮ガスがフィルタ8、減圧弁7及び圧力計6を経由してガス導入口1bに供給され、内管2と外管3との間の空間に吐出される。この場合、フィルタ8は、供給されるガス中の異物を除去するために設けられている。フィルタ8については、適宜のエアーフィルタなどにより構成することができる。
【0021】
減圧弁7は、外管3と内管2との間に供給するガスの圧力を調整するために設けられており、圧力計6は、供給されるガスの圧力を確認するために設けられている。
【0022】
上記ガスとしては、空気を用いることができるが、薬剤の水溶液もしくは水分散液に影響を与えない限り、窒素等の他の気体を用いてもよい。
また、スプレーノズル1のガス導入口1bに供給されるガスの圧力は、薬剤の水溶液もしくは水分散液の粘度等によっても異なるが、好ましくは、0.5〜4.0とされる。この範囲外では、薬剤の水溶液もしくは水分散液を採血管の内壁面に均一かつ微小な多数の水滴状の形態で付着させることが困難となることがある。
【0023】
また、1本の採血管あたりにスプレーノズル1から噴霧される薬剤量についても、好ましくは、20〜30μlとされる。この範囲より少ない場合には、採血管の内壁面のほぼ全体に水滴状に薬剤の水溶液もしくは水分散液を均一に付着させることが困難となることがあり、30μlよりも多いと、水滴状の薬剤の水溶液もしくは水分散液同士が合着し、大きな水滴となり、管底部に流下することがある。
【0024】
また、薬剤の水溶液もしくは水分散液の均一な微小粒径の水滴における粒径については、好ましくは、多数の水滴のうち、最大の水滴の粒径を0.5〜1mmとすることが望ましい。この範囲外では、水滴が管底部に流下することがある。
【0025】
好ましくは、上記スプレーノズル1の外管及び内管が疎水性物質でコーティングされる。疎水性物質で内管及び外管をコーティングすることにより、薬剤のノズルの内管もしくは外管表面からの分離を確実なものとすることができ、従って、ノズルへの薬剤の結晶の付着を抑制することができ、ノズルの詰まりを防止することができ、かつより一層均一かつ微小な多数の水滴として薬剤の水溶液もしくは水分散液を採血管の内壁面のほぼ全体にわたり付着させることができる。
【0026】
上記疎水性物質としては、特に限定されるものではないが、フッ化エチレン樹脂、疎水性シリコン樹脂などを挙げることができる。
また、スプレーノズル1を構成している各部品をコーティングした後、スプレーノズルを組み立ててもよく、あるいは、内管及び外管のみを疎水性物質でコーティングした後、組み立ててもよい。さらに、コーティングの具体的な方法についても特に限定されるものではない。
【0027】
また、上記疎水性物質のコーティング厚みについても特に限定されるわけではないが、好ましくは、1〜20μmの範囲とされる。1μm未満では、疎水性物質をコーティングした効果が十分に得られないことがあり、20μmを超えると、疎水性物質のコーティングにより薬剤の水溶液もしくは水分散液の表面からの分離を容易とする効果がそれ以上高まらず、ガスの噴き出し方に偏りが生じることがある。
【0028】
なお、内管2及び外管3を疎水性物質でコーティングする場合、必ずしもその全表面をコーティングする必要はなく、少なくとも、内管2の外表面及び外管3の内表面をコーティングすればよい。また、内管2の外表面及び外管3の内表面のそれぞれについて、全体にコーティングする必要も必ずしもなく、それぞれ、先端2a,3aから10mm以内の部分までコーティングされてさえおれば、薬剤の水溶液もしくは水分散液のスプレーノズル1からの分離を容易とすることができ、それによってノズルへの薬剤の結晶の付着を抑制することができ、かつ微小かつ均一な水滴を確実に採血管の内壁面に付着させることができる。
【0029】
また、スプレーノズル1では、使用に際しては、図3(a)に示すように、内管2及び外管3が採血管10内に挿入され、その状態で薬剤の水溶液もしくは水分散液と気体とが同時に噴き出される。この場合、上記噴霧開始から、スプレーノズル1は図3(b)に矢印で示すように次第に上昇されていき、採血管10の内壁面10aのほぼ全体にわたり薬剤の水溶液または水分散液の水滴が付着される。
上記噴霧時間は採血管10の容量によっても異なるが、通常、0.5〜2.0秒程度とされる。
【0030】
また、スプレーノズル1の内管2及び外管3においては、図4に示すように、外管3の内径をD1、内管2の外径をd1としたときに、外管3の内壁と内管2の外壁との間の距離d2が、D1〜d1=ΔDの25〜75%、より好ましくは40〜60%の範囲とされる。
【0031】
なお、気液外部混合型スプレーでは、内管2の先端2aが自由端となっているため、薬剤の水溶液もしくは水分散液を噴霧した際に、内管2の先端2a側において偏心し、ガスの噴き出し方に偏りが生じるおそれがある。このような偏りが生じると、薬剤の水溶液もしくは水分散液が噴霧されて付着される水滴の大きさにばらつきが生じ、粒径の大きな水滴が管壁を伝わって流れ落ち、管底部に集まるおそれがある。請求項1に記載の発明では、上記d2がΔDの25〜75%とされているため、ガスの噴き出し方の偏りが生じ難く、薬剤の水溶液もしくは水分散液の水滴のばらつきを抑制することが可能とされる。
【0032】
d2がΔDの25%未満及び75%超では、すなわち内管2が偏心している場合、外管3の内壁との最短距離d2(図4参照)が小さくなり、従って、噴霧に際して内管2が外管3に接触したりし、均一かつ微細な水滴を採血管の内壁面のほぼ全体に付着させることが困難となることがある。
【0033】
より好ましくは、図5に示すように、偏心抑制手段として、内管2の外表面にワイヤー11が螺旋状に先端側に向かって巻回される。この場合、ワイヤー11は、内管2の外表面と外管3の内表面との間の空間に配置されることになり、ガスの噴き出しが均一であるため、それによって、噴射されるガスがより効果的に薬剤の水溶液もしくは水分散液を微小かつ均一な水滴として噴霧させることができる。
【0034】
上記ワイヤー11は、内管2の先端2aから5mm後退した位置から上部に向かって30mm以上の長さにわたり3〜5回転されるように巻き付けられる。
また、ワイヤー11の径については、特に限定されるものではないが、好ましくは、上記ΔDの40〜50%の径のものが用いられる。50%を超えると、内管2の外表面と外管3の内表面との間の空間において巻き付けることができないことがあり、40%未満では、ワイヤー11を巻き付けたことによる上記効果が十分に得られないことがあるからである。
【0035】
上記ワイヤー11は、内管2の外表面に固定される限り、固定方法については特に限定されるものではないが、ワイヤー11を金属材料で構成した場合には、半田付けまたは溶接により固定すればよい。
【0036】
また、ワイヤー11を構成する材料についても、ステンレス、黄銅メッキした鉄などの適宜の材料を用いることができ、中でも、防錆性に優れているステンレスを用いることが望ましい。
ワイヤー11の固定は、両端においてのみ行ってもよく、あるいは両端と両端間の1以上の箇所において固定してもよく、任意である。
【0037】
噴霧に際して内管2の偏心を抑制するには、上記ワイヤー11を用いる方法の他、図6(a)及び(b)に示すように、内管2と外管3との間に、複数本の管12を配置してもよい。この場合、複数本の管12は、内管2の外管3内における偏心を抑制するために設けられているものであるため、内管2の外表面と外管3の内表面とに接し得る限り、その径及び数については偏心を抑制し得る限り特に限定されるものではない。図6(b)に示すように、6本の管12を用いる場合には、管12としては、内管2と同一径のものを用いることにより、図示のように内管2を外管3内の中央に確実に位置させることができる。
【0038】
また、管12は、内管2の外管3内における偏心を抑制するために設けられているので、その長さについても、内管2や外管3の全長にわたる必要は必ずしもなく、外管3の長さの10〜100%の間の長さとすればよい。また、外管3の長さ方向において複数箇所に上記複数の管12を配置してもよい。
【0039】
また、管12は、内管2の外表面または外管3の内表面の何れに固定されていてもよく、固定方法についても半田付けもしくは溶接等、任意である。
さらに、管12に代えて、中実の棒状部材を用いてもよい。
【0040】
また、管12に代えて、図7(a)に示すように、例えば、フッ化エチレン樹脂などからなる揺動防止材13を内管2の外表面と外管3の内表面との間に配置してもよい。さらに、図7(b)に示すように、内管2の外表面と外管3の内表面との間にステンレスなどからなる支柱14を設けてもよい。
【0041】
偏心抑制手段としての上記揺動防止材13や支柱14についても、外管3の長さの全長にわたる必要は必ずしもなく、外管3の長さの10〜100%の範囲で適宜の長さとすればよい。また、揺動防止材13や支柱14の固定についても、半田付け溶接、接着等の適宜の方法で行い得る。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
内径が10mm、全長が75mmのポリエチレンテレフタレート(以下、PET)製の管と、ブチルゴムよりなる栓体とからなる採血管を用意し、採血管内にエチレンジアミン四酢酸(以下、EDTA)の二カリウム塩12w/w%水溶液30μlを、気液外部混合型スプレーを用いて噴霧し、均一な微小粒径の多数の水滴として、採血管の内壁面のほぼ全体に付着させた。しかる後、栓体を取付け、採血管を室温で1時間放置した。
【0044】
(実施例2)
実施例1において、EDTAの二カリウム塩12w/w%水溶液30μlに代えて、EDTAの二カリウム塩及びフッ化ナトリウムの混合水溶液45μl(EDTAの二カリウム塩の濃度は8w/w%、フッ化ナトリウムの濃度は5w/w%)を用いたことを除いては、実施例1と同様にして採血管の内壁面のほぼ全体に薬液を付着させ、栓体を用いた閉栓し室温で1時間放置した。
【0045】
(実施例3)
薬液としてヘパリンのナトリウム塩10w/w%水溶液20μlを用いたことを除いては、実施例1と同様とした。
【0046】
(比較例1)
エアーレス型スプレーを用いて噴霧したことを除いては、実施例1と同様にして採血管に薬液を付着させ、かつ閉栓し、室温で1時間放置した。
【0047】
(比較例2)
エアーレス型スプレーを用いて噴霧したことを除いては、実施例2と同様にして採血管に薬液を付着させ、かつ閉栓し、室温で1時間放置した。
【0048】
(比較例3)
エアーレス型スプレーを用いて噴霧したことを除いては、実施例3と同様にして採血管に薬液を付着させ、かつ閉栓し、室温で1時間放置した。
【0049】
実施例1〜3及び比較例1〜3において、室温で1時間放置した後の採血管の内面の状態を観察し、水滴の流下性及び最大粒径を評価した。結果を下記の表1に示す。
【0050】
なお、表1における流下とは、噴霧により付着された水滴が管底部に向かって流れている状態の有無を目視により観察した結果を示す。また、最大粒径とは、付着している水滴のうち最も大きな水滴の最大径を示す。
【0051】
【表1】
【0052】
表1から明らかなように、エアーレススプレーを用いた比較例1,2では、水滴の流下が生じていたのに対し、実施例1〜3では、水滴の流下がみられず、従って室温で1時間放置した後でも水滴が採血管の内壁のほぼ全体にわたりそのまま付着し続けていることがわかる。
【0053】
また、比較例1〜3では、最大粒径が1.0mmと大きいのに対し、実施例1〜3では、最大粒径が0.8mm以下であり、従って微小な水滴が分散して付着していることがわかる。
【0054】
(実施例4)
実施例1と同様にして、採血管の内壁に薬液を付着させた。但し、スプレーノズルとして、図5に示したようにワイヤー11が内管2の周囲に巻回されたものを用いた。すなわち、内管2の周囲に径3mmのステンレスよりなるワイヤー11を内管2の先端から5mm後退した位置から30mmの長さにわたり4周巻回させたものを用い、かつ外管3の内径D1と内管2の外径d1との差ΔDがD1の50%とされているものを用いた。
【0055】
(実施例5)
実施例2と同様にして薬液を採血管の内壁に付着させた。但し、スプレーノズルについては、実施例4で用いたものを用いた。
【0056】
(実施例6)
実施例1と同様にして採血管の内壁に薬液を付着させた。但し、スプレーノズルとしては、図6(a)及び(b)に示したように、内管2の周囲に内管と同一径の6本の管12を配置し、ΔDをD1の50%としたものを用いた。
【0057】
(実施例7)
実施例2と同様にして薬液を採血管の内壁に付着させた。但し、スプレーノズルについては、実施例6で用いたものを使用した。
【0058】
実施例4〜7に従って薬液を付着された採血管について、1時間放置後の水滴の流下本数及び最大粒径を観測した。結果を下記の表2に示す。なお、流下本数とは、付着されている薬剤の水滴のうち大きな水滴が管壁を伝わって流れ落ち、管底部に集まった数をいうものとする。また、比較のために、上記実施例1,2の結果についても、下記の表2に併せて示す。
【0059】
【表2】
【0060】
表2から明らかなように、実施例4〜7では、流下本数が0であり、最大粒径も0.4mm以下であり、実施例1,2に比べてさらに良好な採血管の得られることがわかる。
【0061】
(実施例8)
表面がフッ化エチレン樹脂で10μmの厚みにコーティングされたスプレーノズルを有する気液外部混合型スプレーを用い、実施例1で用意した採血管の内壁面にEDTAの二カリウム塩の12w/w%水溶液30μlを3時間連続して噴霧した。
【0062】
(実施例9)
薬液として、EDTAの二カリウム塩及びフッ化ナトリウムの混合水溶液45μl(但し、EDTAの二カリウム塩濃度は8w/w%、フッ化ナトリウムの濃度が5w/w%)を用いたことを除いては、実施例8と同様とした。
【0063】
(実施例10)
フッ化エチレン樹脂に代えて、シリコン樹脂を10μmの厚みにコーティングしたスプレーノズルを用いたことを除いては、実施例8と同様とした。
【0064】
(実施例11)
フッ化エチレン樹脂に代えて、シリコン樹脂を10μmの厚みにコーティングしたスプレーノズルを用いたことを除いては、実施例9と同様とした。
【0065】
実施例8〜11における薬液の噴霧状態を観察し、薬液が3時間後に結晶化している場合には、その結晶化している薬剤の重量を測定した。また、採血管の内壁面への塗布状態についても目視により観察し、水滴の大きさがどの範囲にあるか否かを測定した。結果を表3及び表4に示す。
【0066】
なお、表3及び表4においては、比較のために、実施例1,2と同様にして、但し、噴霧時間を3時間とした場合の結果も併せて示す。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
表3及び表4から明らかなように、実施例8〜11では、3時間噴霧して付着した場合でも、薬液の流下がほとんど見られないためか、薬剤の結晶が見られなかった。また、付着した薬剤の水滴の大きさについても、0.4mm以下と微小径であることがわかる。従って、実施例1,2に比べて、より一層微小粒径の水滴を採血管の内壁に確実に付着させ得ることがわかる。
【0070】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、採血管の内壁に薬剤の水溶液もしくは水分散液を付着させるにあたり、気液外部混合型スプレーを用いて薬剤の水溶液もしくは水分散液を噴霧するものであるため、薬剤の水溶液もしくは水分散液が均一かつ微小粒径の水滴として採血管の内壁面のほぼ全体に確実に付着させることができ、薬剤の管底部への流下が生じ難い。従って、採取した血液を採血管内に導いた場合に、所望でない溶血現象等を確実に抑制することができ、転倒混和等の煩雑な攪拌作業を省略することができる。
【0071】
従って、請求項1に記載の発明に係る採血管を用いることにより、多数の検体を取り扱う大病院や大検査センターにおける血液検査の作業性を高めることが可能となると共に、迅速性を要求される検査にも容易に対応することができる。
【0072】
また、スプレーノズルが疎水性物質でコーティングされていると、薬剤の水滴がノズルの内管や外管の表面に付着し難いため、ノズル表面における薬剤の結晶化に起因する目詰まりが生じ難い。従って、長時間にわたり多数の採血管に薬剤の水溶液もしくは水分散液を噴霧した場合であっても、スプレーノズルの洗浄をさほど行う必要がないため、生産効率を高めることが可能となる。
また、ノズル先端に薬剤の結晶が生じ難いため、より一層均一な大きさの水滴を採血管の内壁面に付着させることができる。
【0073】
さらに、請求項1に記載の発明によれば、外管の内壁と内管の外壁との間の距離が、上記スプレーノズルの外管の内径D1と内管の外径d1との差ΔDの25〜75%の範囲とされているので、内管の外管に対する偏心が生じ難く、従って、より均一な粒径の水滴として薬剤の水溶液もしくは水分散液を採血管の内壁面に付着させることができ、水滴の採血管における流下を効果的に抑制することができる。
【0074】
また、請求項1に記載の発明の塗布具を用いることにより、内管の外管に対する偏心が生じ難く、従って、より均一な粒径の水滴として薬剤の水溶液もしくは水分散液を採血管の内壁面に付着させることができ、水滴の採血管における流下を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の採血管への薬剤塗布方法で用いられるスプレーノズルを説明するための側面図及び(a)のB−B線に沿う断面図。
【図2】本発明の採血管への薬剤塗布方法で用いられる気液外部混合型スプレーノズルを説明するための概略構成図。
【図3】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明においてスプレーノズルを採血管内に挿入し、薬剤の水溶液もしくは水分散液を噴霧する工程を説明するための各模式的断面図。
【図4】請求項1に記載の発明における内管の外径と外管の内径との関係を説明するための横断面図。
【図5】本発明において用いられるスプレーノズルにおいて内管の周囲にワイヤーを巻回した構造を説明するための部分切欠断面図。
【図6】(a)及び(b)は、本発明において内管の外管に対する偏心を抑制するために複数本の管を用いた例を説明するための側面図及びB−B線に沿う断面図。
【図7】(a)及び(b)は、本発明において内管を外管に対して偏心させないための他の構造例を説明するための各横断面図。
【符号の説明】
1…スプレーノズル
2…内管
3…外管
D1…外管の内径
d1…内管の外径
d2…外管の内壁と内管の外壁との距離
ΔD…外管の内径と内管の外径との差
Claims (1)
- 採血管内壁面のほぼ全体に、薬剤の水溶液もしくは水分散液を均一な微小粒径の多数の水滴状に付着させるように、外管と内管とを有する気液2重管構造のスプレーノズルを備え、
前記スプレーノズルの外管の内径をD1、内管の外径をd1、外管の内壁と内管の外壁との距離をd2としたときに、d2が外管の内径D1と内管の外径d1との差ΔDの25〜75%の範囲とされており、
かつ、前記内管の偏心抑制手段が設けられていることを特徴とする採血管への薬剤塗布具。
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| JP11937897A JP3839900B2 (ja) | 1997-05-09 | 1997-05-09 | 採血管への薬剤塗布方法及び塗布具 |
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| JP11937897A JP3839900B2 (ja) | 1997-05-09 | 1997-05-09 | 採血管への薬剤塗布方法及び塗布具 |
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-
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