JP3840532B2 - ゴム補強用ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム補強用ポリエステル繊維の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、ゴムとの接着性に優れると共に耐疲労性も良好で、タイヤコード、ベルト、ホースなどの補強用として好適に使用することができるゴム補強用ポリエステル繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート繊維で代表されるポリエステル繊維は、強力、ヤング率、寸法安定性および耐疲労性などの優れた特性を有していることから、タイヤコード、ベルト、ホースなどのゴム複合体の補強用繊維として汎用されている。しかし、ポリエステル繊維は、ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド繊維と比較すると、ゴムと繊維の接着に広く用いられているレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)で処理してもゴム類との接着性が不十分なため、該ポリエステル繊維の優れた力学的特性を十分に発揮することができない。このため、RFLとの反応性を有し、かつポリエステル繊維とも親和性を有するエポキシ化合物やイソシアネート化合物等の反応性が高い物質で処理した後に、RFLで処理して接着性を向上させる方法が実用に供されている(特開昭54−77794号公報、特開昭60−99076号公報、特開昭60−21924号公報参照)。
【0003】
しかしながら、この様な方法では、エポキシ化合物やイソシアネート化合物などの処理剤は繊維表面に硬い被覆層を形成するため、繊維コードでの単繊維間自由度が阻害される結果、耐疲労性が悪化するという問題がある。この問題を解消させるために、繊維コードを緻密構造にしたり、処理剤を付与する際に繊維コードに高いテンションをかけたりして、エポキシ化合物やイソシアネート化合物などの処理剤がコード内部に浸透するのを抑える方法等が提案され、一部実用に供されている。確かにこれらの方法によれば、処理剤の浸透が抑えられて単繊維の自由度の阻害が低減されるものの、実際にゴム補強用繊維として使用した場合、コード端面などから高温の水や水蒸気などが浸透しやすいため、加水分解によるポリエステルの劣化が生じやすく、用途によっては耐疲労性が不十分であるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、ゴムとの接着性に優れると共に耐疲労性も良好で、タイヤ、ベルト、ホースなどの補強用繊維として好適に使用することができるポリエステル繊維を製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、予めフッ素化ウレタン化合物を付着させたポリエステル繊維を、エポキシ化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物を含む処理剤で処理した後、さらにRFLを含む処理剤で処理することにより、コード中の単繊維の自由度をあまり抑制することなく繊維とゴムとの接着性を改善することができ、さらにはコード中への水浸透性も低下して耐疲労性が向上することを見出だし本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明の目的は、「ポリエステル繊維を、フッ素化ウレタン化合物を含む第1処理剤で処理した後、エポキシ化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物を含む第2処理剤で処理し、次いでレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第3処理剤で処理することを特徴とするゴム補強用ポリエステル繊維の製造方法」により達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明が対象とするポリエステル繊維は、全繰返し単位の90モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレート単位であるか、または全繰返し単位の90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエステルからなるものであればよいが、ポリエチレン−2,6−ナフタレートまたはポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。10モル%以下の割合で含んでいても差し支えない共重合3成分としては、(a)2個のエステル形成性官能基を有する化合物として、例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのジカルボン酸;グリコール酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸;プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、p,p’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(p−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレングリコールなどのオキシ化合物が挙げられ、さらに(b)1個のエステル形成性官能基を有する化合物、例えば安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどを、重合体の重合度があまり低下しない範囲内で使用することができ、また(c)3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物、例えばグリセリン、ペンタエリストール、トリメチロールプロパンなども、重合体が実質的に線状である範囲内で使用可能である。
【0008】
また、これらのポリエステル中には、二酸化チタンなどの艶消剤や、リン酸、亜リン酸、それらのエステルなどの安定剤が含まれてもよい。
【0009】
本発明においては、上記のポリエステル繊維は、先ずフッ素化ウレタン化合物を含有する第1処理剤で処理する必要がある。ここでポリエステル繊維は予め加撚してコードにしておいてもよいが、無撚の状態の方が各単繊維を十分に処理することができ耐疲労性がより向上するので好ましい。例えば、ポリエステル繊維を製糸する際の紡糸工程や延伸工程など、または撚糸工程の前の段階で、該フッ素化ウレタン化合物を含む処理剤を付着させる方法を挙げることができる。
【0010】
ここで使用されるフッ素化ウレタン化合物とは、イソシアネート化合物とパーフルオロアルキル基を構造中に有する活性水素化合物との縮合反応物を主成分とするウレタン化合物であって、この様なフッ素化ウレタン化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート化合物やイソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート化合物と、パーフルオロアルキル基を含有する活性水素化合物と、必要に応じて脂肪族アルコールを併用して得られる反応生成物を例示することができる。なかでもヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート化合物と、パーフルオロアルキル基を含有する活性水素化合物および脂肪族アルコールとの反応生成物が好ましい。
【0011】
上記フッ素化ウレタン化合物は、ポリエステル繊維の製造時に油剤と混合して付着させても、あるいは、ポリエステル繊維製糸後独立に付着させてもよいが、ポリエステル繊維に対する付着量があまりに多くなりすぎると接着性が低下する傾向にあり、他方少なくなりすぎると耐疲労性の改善効果が低下する傾向にあるので、ポリエステル繊維重量を基準として0.1〜3.0重量%、好ましくは0.3〜1.0重量%の範囲とするのが適当である。
【0012】
次に、フッ素化ウレタン化合物を含む第1処理剤で処理したポリエステル繊維を、エポキシ化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物を含む第2処理剤で処理する。好ましく用いられるエポキシ化合物としては、一分子中に2個以上のエポキシ基を、該化合物100gあたり0.2g当量以上含有するものを挙げることができ、具体的にはエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類とエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂などの多価フェノール類と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、過酢酸または過酸化水素などで不飽和化合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物、すなわち、3,4−エポキシシクロヘキセンエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル)アジペートなどを挙げることができる。これらの中、特に、多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応生成物、すなわち、多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物、例えばソルビトールジグリシジルエーテルなどが優れた性能を示すので好ましい。
【0013】
かかるポリエポキシド化合物は、通常水乳化液または水溶液として使用される。乳化液または溶液とするには、該化合物をそのままあるいは必要に応じて少量の溶媒に溶解した後、公知の乳化剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物等を用いて水中に乳化または溶解すればよい。
【0014】
また第2処理剤に含有されるブロックドポリイソシアネート化合物とは、ポリイソシアネート化合物とブロック化剤との付加反応化合物であって、加熱によりブロック成分が遊離して活性なポリイソシアネート化合物を生ぜしめるものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート、あるいはこれらポリイソシアネートと活性水素原子を2個以上有する化合物、例えばトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどとをイソシアネート基(−NCO)とヒドロキシル基(−OH)の比が1を超えるモル比で反応させてえられる末端イソシアネート基含有のアルキレンポリオールアダクトポリイソシアネートなどが挙げられる。特にトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートの如き芳香族ポリイソシアネートが優れた性能を発現するので好ましい。ブロック化剤としては例えばフェノール、チオフェノール、クレゾール、レゾルシノール等のフェノール類、ジフェニルアミン、キシリジン等の芳香族第2級アミン類、フタル酸イミド類、カプロラクタム、バレロラクタム等のラクタム類、アセトキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム類及び酸性亜硫酸ソーダなどをあげることができる。
【0015】
エポキシド化合物Aとブロックドポリイソシアネート化合物Bとの混合比は、0.05≦(A)/〔(A)+(B)〕≦0.50(重量比)、特に0.10≦(A)/〔(A)+(B)〕≦0.30(重量比)の範囲が好ましい。なお、第2処理剤中にはゴムラテックスL、特に後述する第3処理剤に含まれるRFLに使用されているゴムラテックスと同じものを用いる場合、ゴム接着性が向上するだけでなく、耐疲労性も向上するのでより好ましい。エポキシド化合物Aとブロックドポリイソシアネート化合物Bの合計とゴムラテックスLとの混合比は、3≦〔(A)+(B)〕/(L)≦10(重量比)の範囲が適当である。
【0016】
上記、エポキシド化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物を含む第2処理剤は、ポリエステル繊維製糸後、撚糸してコードとなす前に付着させても一旦撚糸してコードとなした後に付着させてもよいが、後者の撚糸後の方が耐疲労性に優れているのでより好ましい。ポリエステル繊維に対するエポキシド化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物の付着量は合計で0.5〜10重量%、特に1〜5重量%の範囲が適当である。
【0017】
本発明においては、上記のようにエポキシド化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物を含む処理剤で処理されたポリエステル繊維を、必要に応じて複数本合わせて加撚処理し、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第3処理剤を付与する。この際、加撚処理する前に第3処理剤を付与した場合には、処理後に加撚処理してコードとなし実用に供される。
【0018】
撚糸条件は、使用目的によって異なるが、通常は所望の太さのコードが得られるように複数本のポリエステル繊維を引揃え、4≦K≦10、好ましくは6≦K≦8の範囲内で加撚処理する。ここでKは撚係数であり、撚数をT(回/m)、Dを繊維コードの繊度とするとき、K=(T×D 1/2 )/2874で算出される値である。なお、ポリエステル繊維を複数本引揃える場合には、夫々のポリエステル繊維を予め4≦K≦10の範囲内で加撚処理してもよいが、その撚糸方向は合糸後の加撚方向と通常逆方向が採られる。
【0019】
第3処理剤に含まれるレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスは、通常RFLと呼ばれるものであり、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比が1:0.1から1:8、好ましくは1:0.5〜1:5、さらに好ましくは1:1〜1:4の範囲で用いられる。ゴムラテックスとしては、例えば天然ゴムラテックス、スチレン・ブタジエン・コポリマーラテックス、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマーラテックス、ニトリルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスなどがあり、これらを単独または併用して使用する。ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマーラテックスを使用する場合には全ラテックス重量の1/2量以上使用した場合が優れた性能を示す。
【0020】
レゾルシン・ホルマリンとゴムラテックスとの配合比率は、後述の添加剤の添加割合にもよるが、固形分量比で1:1〜1:15、好ましくは1:3〜1:12の範囲が望ましい。ゴムラテックスの比率が少なすぎると処理されたポリエステル繊維材料が硬くなり耐疲労性が低下する傾向にあり、一方多すぎると接着力やゴム付着率が低下しやすい。
【0021】
本発明においては、上記のRFLを含有する第3処理剤を、未処理のポリエステル繊維の重量を基準として0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%付着させるのが好適である。付着量が0.5重量%より低い場合にはゴムとの接着性が低下し、一方10重量%を越える場合には、ゴムとの接着性が逆に低下したり耐疲労性も低下しやすくなる。
【0022】
なお、第1処理剤、第2処理剤および第3処理剤をポリエステル繊維に付着させるには、従来公知の方法、例えばローラーとの接触もしくはノズルからの噴射による塗布、または浸漬などの方法を採用することができる。また繊維に対する付着量を制御するためには、ローラーの回転数調整、圧接ローラーによる絞り、スクレイパーなどによるかきおとし、空気吹き付けによる吹き飛ばし、吸引、ビーターによる叩きなどの任意の手段を用いればよい。
【0023】
撚糸前に第1処理剤を付与し、撚糸後に第2および第3処理剤を付与する場合には、例えばポリエステル繊維の紡糸延伸工程で第1処理剤を付与した後、100〜240℃で0.05秒〜120秒、好ましくは130〜200℃で0.1秒〜60秒間熱処理する。第1処理剤で処理したポリエステル繊維は撚糸してコードとなした後、第2処理剤で処理し、50〜180℃で0.5〜5分間、好ましくは1〜3分間乾燥し、ついで180℃からポリエステル繊維の融点より10℃低い温度、好ましくは220〜250℃の温度で0.5〜5.0分間、好ましくは1〜3分間熱処理する。引き続いて第3処理剤で処理後、80〜180℃で0.5〜5分間、好ましくは1〜3分間乾燥し、ついで150〜260℃、好ましくは220〜250℃で0.5〜5.0分間、好ましくは1〜3分間熱処理する。ここで第2処理および第3処理での熱処理温度が低すぎる場合にはゴムとの接着が不十分になりやすく、一方温度が高すぎる場合にはポリエステル繊維が溶融・融着したり、著しく硬くなったり、あるいは強力劣化を起こしやすくなる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中における各物性値は下記方法により測定した。
【0025】
(1)撥水性(水吸い上げ高さ)
撚糸前のポリエステル繊維を筒網にし、一端を水に浸漬して垂直に保持し、24時間後の水吸い上げ高さをcmで表示した。
【0026】
(2)コード引抜接着力
処理コードとゴムとの剪断接着力を示すものである。コードをゴムブロック中に埋め込み、140℃下40分間(初期値)または175℃下45分間(耐熱値)、90kg/cm2 のプレス圧力下で加硫した後、コードをゴムブロックから200mm/分の速度で引き抜き、引き抜きに要した力をkg/cmの単位で表示した。
【0027】
(3)プライ間剥離力
処理コードとゴムとの接着力を示すものである。処理コードをコード密度36本/25mm(ただし2000デニールのコードの場合)で並べ、厚さ0.4mmの未加硫ゴム2枚に挟み、得られた成形シート2枚を90度の角度をなすようにクロスプライとしてゴム中に埋め込み150℃下30分間、50kg/cm2 のプレス圧力下で加硫した後、両プライを200mm/分の引張速度で剥離させるに要する力をkg/25mmで表示した。
【0028】
(4)ゴム付着率
繊維に対するゴムの接着性を示す尺度である。上記のプライ間剥離力測定の際にゴムから剥離されたコードを肉眼で観察し、目視判定でコード表面のうちゴムが付着している部分を百分率で表示した。
【0029】
(5)疲労性(グッドリッチ法)
コードをゴムブロック中に埋め込み、140℃下40分間、50kg/cm2 のプレス圧力下で加硫した後、JIS L−1017(1983年)に準じ、コードを埋めたゴムブロックを伸長率6.3%、圧縮率12.5%、2380rpmで70時間繰り返し疲労を与えた後の強力残存率を百分率で表示した。
【0030】
なお、第2処理剤は下記のとおり配合した。
エポキシ化合物3g(ナガセ化成工業株式会社製、ソルビトールポリグリシジルエーテル:デナコールEX−611)に、界面活性剤2.5g(第一工業製薬株式会社製、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩30%水溶液:ネオコールSW−30)を加え、水734gに攪拌しながら均一に溶解する。ついでブロックドポリイソシアネート化合物48g(明成化学工業株式会社製、ε−カプロラクタムブロックドイソシアネートの25重量%水乳化物:S−3)を加えて攪拌し、ゴムラテックス212.5g(日本ゼオン株式会社製、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマーゴムラテックスの41重量%水乳化物:ニッポール2518FS)を加えさらに撹拌して均一に混合する。
【0031】
また第3処理剤は、下記のとおり配合した。
10重量%苛性ソーダー水溶液4.4gおよび28重量%アンモニア水溶液12.8gを水314.6gに加え、よく攪拌して得た水溶液中に、酸性触媒で反応せしめたレゾルシン・ホルマリン初期縮合物(住友化学株式会社製、65重量%水溶液:スミカノール700S)17.7gを添加し,十分に攪拌して分散させる。次にビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマーゴムラテックス(日本ゼオン株式会社製、41重量%水乳化物:ニッポール2518FS)263g、およびスチレン・ブタジエンコポリマーゴムラテックス(日本ゼオン株式会社製、41重量%水乳化物:ニッポールLX−112)112.8gを、水343.7gで希釈する。この希釈液の中に上記レゾルシン・ホルマリン初期縮合分散液をゆっくりかき混ぜながら加えてゆき、さらにホルマリン(37重量%水溶液)15.3gを添加して均一に混合し配合剤をえる。
【0032】
[実施例1]
固有粘度1.00のポリエチレンテレフタレートチップを300℃の温度で溶融し、192ホールを有する紡糸口金より吐出した。吐出量は、紡糸延伸後に得られるポリエステル繊維の総繊度が1000deになるように調整した。吐出された糸条は紡糸油剤を付与した後、460m/分の速度で引き取った。引き続き、全延伸倍率が5.6倍となるように2段延伸し、さらに3%の弛緩処理を施した後、パーフルオロオクチル基を含有するフッ素化ウレタン化合物(松本油脂製薬株式会社製、30重量%水溶液:KCM−500)を付着し、200℃にて0.1秒間熱セットしてから2500m/分で巻き取った。このときのフッ素化ウレタン化合物の固形分付着量は0.3重量%であった。
【0033】
得られた延伸糸2本を49×49T/10cmで撚糸して2000デニールのコードとなし、次いでコンピュートリーター処理機(CAリツラー株式会社製、タイヤコード処理機)を用い、前記第2処理剤中に浸漬した後、130℃下2分間乾燥し、引き続き230℃下1分間熱処理した。次いで、第3処理剤中に浸漬した後、170℃下2分間乾燥し、引き続き230℃下1分間熱処理した。処理後のコードには第2処理剤の固形分が1.4重量%、第3処理剤の固形分が1.8重量%付着していた。得られたコードの評価結果を表1に示す。
【0034】
[実施例2]
フッ素化ウレタン化合物を延伸工程ではなく、延伸糸に別工程で付着した後、130℃下0.5秒間乾燥させた以外は実施例1と同様に行った。結果は表1に示す。
【0035】
[比較例1、実施例3]
フッ素化ウレタン化合物の付着量を表1に記載のごとく変更する以外は実施例1と同様に行った。結果は表1に合わせて示す。
【0036】
[比較例2]
フッ素化ウレタン化合物に代えてフッ素化アクリル化合物(明成化学工業株式会社製、アサヒガードAG−710)を付着させた以外は実施例1と同様に行った。結果は表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、ポリエステル繊維表面に先ずフッ素化ウレタン化合物を付着させて撥水性を付与した後、第2処理剤および第3処理剤を付着させているため、第2処理剤および第3処理剤の繊維集合体内部への浸透を抑えることができる。その結果、最終的に得られるコード内部の単糸自由度が大きくなり、物理的作用の変動に容易に追随することができ耐久性が向上する。また、フッ素化ウレタン化合物付着により撥水性が向上しているので、コード等の補強材料として使用する際のコード内部への水浸透を抑えことができ、加水分解による強度劣化が抑制できる。さらに、フッ素化ウレタン化合物はポリエステル繊維表面および第2処理剤層との間の親和性が良好なので、最終的にゴムとの接着性も良好なレベルを維持することができる。したがって、本発明によれば、ゴムとの接着性に優れると共に耐疲労性も良好で、タイヤ、ベルト、ホースなどに好適なゴム補強用ポリエステル繊維を提供することが可能となる。
Claims (5)
- ポリエステル繊維を、フッ素化ウレタン化合物を含む第1処理剤で処理した後、エポキシ化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物を含む第2処理剤で処理し、次いでレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第3処理剤で処理することを特徴とするゴム補強用ポリエステル繊維の製造方法。
- フッ素化ウレタン化合物を含む第1処理剤で処理するポリエステル繊維が、実質的に無撚の状態である請求項1記載のゴム補強用ポリエステル繊維の製造方法。
- エポキシ化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物を含む第2処理剤ならびにレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第3処理剤で処理するポリエステル繊維が、加撚処理されたポリエステル繊維コードである請求項1記載のゴム補強用ポリエステル繊維の製造方法。
- 実質的に無撚の状態で予めフッ素化ウレタン化合物を含む第1処理剤で処理されたポリエステル繊維を、加撚してコードとなした後、エポキシ化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物を含む第2処理剤で処理し、次いでレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第3処理剤で処理することを特徴とするゴム補強用ポリエステル繊維の製造方法。
- フッ素化ウレタン化合物の付着量が、ポリエステル繊維重量を基準として0.1〜3.0重量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム補強用ポリエステル繊維の製造方法。
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