JP3843541B2 - 捨て型枠材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートを打設する場合に使用される良好な排水性を備えた捨て型枠材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、地下室のコンクリ−ト壁を構築する場合の湧水処理工法として、種々の工法が提案されている。
【0003】
その一つに、凹入部を有する湧水処理板をプレキャスト板の内面側に配設して捨て型枠を形成し、これにコンクリ−トを打ち込むようにした湧水処理工法がある。
【0004】
この湧水処理工法は、湧水処理板の凹入部が排水路の役目を果たし、コンクリ−ト壁を浸透してきた水が該凹入部を通じて排水されるものである。
【0005】
また、上記の湧水処理板に代えて不織布等の透水シ−トをプレキャスト板の内面側に配設し、透水シ−トそのものを排水路として利用することも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の湧水処理板をプレキャスト板の内面側に配設する工法では、打ち込まれたコンクリ−トが凹入部に侵入し、排水路としての機能を低下させる心配があった。
【0007】
また、透水シートをプレキャスト板の内側面に配設する工法でも、打ち込まれたコンクリートの重圧で透水シートの通水空隙が圧縮され、排水路としての機能が低下する心配があった。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、コンクリ−トの打設後も長期に亘り、良好な排水性を有する捨て型枠材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る捨て型枠材は、前板部と、両側の側板部と、内部の仕切板部によって仕切られた縦方向の多数の中空部とを具備して成る方形プラスチック板の開放された後面に、プラスチックの縦糸や横糸に補強用の線材を埋入したプラスチックネットを固着一体化したことを特徴とするものである。
【0010】
そして、請求項2に係る捨て型枠材は、上記請求項1の捨て型枠材において、ネットが0.04〜1cm2 程度の大きさの網目を有するプラスチックネットであることを特徴とし、更に、請求項3に係る捨て型枠材は、上記請求項1又は請求項2の捨て型枠材において、ネットに繊維層を積層一体化したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項1の捨て型枠材を用いて、その後面のネットが型枠内側となるように、コンクリートの捨て型枠を組み立て、これにコンクリートを打ち込んで硬化させると、コンクリート内の水分や、硬化後にコンクリートを浸透してくる外部からの浸透水が、捨て型枠材のネットの無数の網目から方形プラスチック板の中空部へ流入し、中空部を流下して中空部の開口した下端から排出される。また、ネットを構成するプラスチックの縦糸や横糸に補強用の線材を埋入してあるので、コンクリートの重圧が作用してもネットが破断する恐れが皆無に等しくなる。
【0012】
また、請求項2の捨て型枠材のように、ネットが0.04〜1cm2 程度の大きさの網目を有するプラスチックネットであると、コンクリート内の水分や外部からの浸透水が該網目を通じて中空部へ流入しやすく、しかも、コンクリートの固形粒子が該網目を通って中空部に入り難いため、中空部に固形粒子が詰まることなく長期に亘って良好な排水機能を維持することができる。そして、このようなプラスチックネットは溶着などの手段で方形プラスチック板の開放された後面に容易且つ強固に固着一体化させることができる。
【0013】
更に、請求項3の捨て型枠材のように、ネットに繊維層を積層一体化すると、該繊維層の繊維間空隙が排水路の役目をする上に、該繊維層がフィルタ−の役目をしてコンクリ−トの固形粒子がネットの網目から方形プラスチック板の中空部に入るのを防止するため、より長期に亘ってその排水性能を維持できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0015】
図1本発明の一実施形態に係る捨て型枠材を示すもので、(a)は同捨て型枠材の一部破断正面図、(b)は同捨て型枠材の縦断面図、(c)は同捨て型枠材の横断面図である。
【0016】
この捨て型枠材P1 は方形プラスチック板1とネット2で構成されている。
【0017】
方形プラスチック板1は、前板部1aと、両側の側板部1b,1bと、内部の仕切板部1c,1dにより仕切られた多数の縦方向の中空部1eを具備して成るハニカム構造の中空板であって、後板部がなく、後面が開放されている。
【0018】
そして、ネット2は方形プラスチック板1の開放された後面に配置され、方形プラスチック板1の両側の側板部1b,1bと内部の仕切板部1dの先端に溶着等の手段で固着一体化されている。ネット2を固着する手段は溶着に限らず、接着剤で接着したり止具で固定してもよい。
【0019】
ネット2としては金網などを使用してもよいが、プラスチックネットを使用する方が好ましい。かかるプラスチックネットは、錆びる恐れがないので耐久性に富み、溶着等の手段で容易且つ強固に固着一体化できるからである。
【0020】
特に、0.04〜1cm2 程度の大きさの方形又は菱形の網目を有するプラスチックネットは最適であり、このようなプラスチックネットを使用すると、後述するようにコンクリート内の水分や外部からの浸透水が該網目を通じて方形プラスチック板1の中空部1eへ流入しやすく、しかも、コンクリートの固形粒子が該網目を通って中空部1eに入り難いため、中空部1eに固形粒子が詰まることなく長期に亘って良好な排水機能を維持できる利点がある。
【0021】
また、ネットを構成するプラスチックの縦糸や横糸に補強用の線材を埋入したプラスチックネットも極めて好適であり、このような補強用線材入りネットを使用すると、コンクリートの重圧が作用してもネットが破断する恐れが皆無に等しくなる。
【0022】
尚、方形プラスチック板1やネット2の材料となるプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、その他の汎用されている熱可塑性樹脂が全て使用可能であり、また、不飽和ポリエステルを繊維で強化したFRPなども使用可能である。
【0023】
上記のような構成の捨て型枠材P1 は、例えば押出成形機を用いて方形プラスチック板1を押出成形すると同時に、繰り出したプラスチックのネット2を方形プラスチック板1の開放された後面に重ねて溶着一体化させる等の方法により、効率良く量産することができる。この製法はあくまでも一例であり、その他の製法、例えば、先に方形プラスチック板1を押出成形しておき、後からネット2を接着剤で接着したり、熱溶着するなどの方法によっても製造できることは言うまでもない。
【0024】
図2は上記捨て型枠材P1 の一使用例を示す縦断面図であって、コンクリート製の地下室の外壁を構築する場合を例示したものである。
【0025】
即ち、上記捨て型枠材P1 を用いて、その後面のネット2が型枠内側となるようにコンクリート打設用の内側の捨て型枠(室内側の捨て型枠)を組み立てると共に、通常の合板を用いた型枠材3で外側の型枠(室外側の型枠)を組み立て、これら内外の型枠内にコンクリートCを打設する。そして、コンクリートCが硬化すると、外側の型枠材3を取り外して、室内側壁面に捨て型枠材P1 が固着一体化されたコンクリート製の外壁を構築し、この外壁の外側に土を埋め戻す。
【0026】
このようにしてコンクリート製の外壁を構築すると、コンクリートC内の水分や、外部からコンクリートCを浸透してくる浸透水Wが、捨て型枠材P1 のネット2の網目を通って方形プラスチック板1の後面側の中空部1eに流入し、該中空部1eの内部を流下して下端から排水されるので、コンクリート外壁の室内側壁面に湧水が生じることはなくなる。そして、このネット2は、コンクリートCの固形粒子が中空部1eへ入り込むのを阻止するため、中空部1eが詰まることなく長期に亘って良好な排水機能を維持できる。
【0027】
この場合、捨て型枠材P1 の下端に樋部材4を設け、中空部1eから流下してくる水を該樋部材4を通じて水槽(不図示)に集水し、この水をポンプ等で排水するように構成することが望ましい。
【0028】
上記実施形態の捨て型枠材P1 では、方形プラスチック板1の内部を前後に仕切る仕切板部1cと、左右に仕切る多数の仕切板部1dとによって、縦方向の多数の中空部1eを前後二列に横並びの状態で形成しているが、方形プラスチック板1の内部の仕切構造は、方形プラスチック板1の強度や中空部1eの排水量などを考慮して適宜決定すればよい。
【0029】
図3〜図6はいずれも、本発明の他の実施形態に係る捨て型枠材の横断面図である。
【0030】
即ち、図3に示す捨て型枠材P2 は、方形プラスチック板1の内部を左右に仕切る多数の仕切板部1dを等間隔に設けることによって、縦方向の多数の中空部1cを横一列に形成し、ネット2を方形プラスチック板1の両側の側板部1b,1bと上記の仕切板部1dの先端に溶着又は接着して固着一体化したものである。
【0031】
このような捨て型枠材P2 は、それぞれの中空部1cの開口面積が大きいので排水性が良く、たとえコンクリートの固形粒子が中空部1cに入り込むようなことがあったとしても、中空部1cが詰まる心配は皆無に等しい。
【0032】
また、図4に示す捨て型枠材P3 は、図3に示す捨て型枠材P2 と同一構造の捨て型枠材のネット2の全面に繊維層5を積層一体化したものである。繊維層5としては、例えば合成樹脂繊維、天然繊維、無機繊維等の不織布や織布やマットなどが好適に使用される。
【0033】
このように繊維層5をネット2に積層一体化させると、この繊維層5の繊維間空隙も排水路の役目をするため、排水性が一層向上することになり、しかも、この繊維層5がフィルターの役目をして、コンクリートの固形粒子がネット2の網目を通じて方形プラスチック板1の中空部1cに入るのを防止するため、中空部1cが詰まることなく長期に亘って良好な排水性を維持できる。
【0034】
また、図5に示す捨て型枠材P4 は、図1(c)に示す捨て型枠材P1 と同一構造の捨て型枠材の仕切板部1cからネット2に向かって補助の仕切板部1fを更に設けることにより、方形プラスチック板1の前面側には開口面積の大きい中空部1cを横一列に形成すると共に、後面側には開口面積の小さな中空部1cを横一列に形成したものである。
【0035】
このように補助の仕切板部1fを仕切板部1dの間に設け、これらの仕切板部1d,1fの先端にネット2を固着すると、ネット2の固着強度が向上する。そして、コンクリート打設時に大きいコンクリート圧がネット2に作用しても、ネット2が上記の仕切板部1d,1fによって十分支持されるため、ネット2が破損したり中空部1cに向かって大きく湾曲することが防止される。
【0036】
また、図6に示す捨て型枠材P5 は、図1(c)に示す捨て型枠材P1 と同一構造の捨て型枠材の一方の側板部1bに凸部1gを形成すると共に、他方の側板部1bに凹部1hを形成したものである。
【0037】
このような捨て型枠材P5 は、コンクリート打設用の型枠を組み立てる際に、上記の凸部1gを、隣接する捨て型枠材の凹部1hに嵌合することにより、継手部材を全く使用しないで簡単に接続することができ、接続箇所からコンクリートが漏れ出すのを防止できる利点がある。尚、上記の凸部1gと凹部1hに代えて、例えば接続用の段差部などを両側の側板部1b,1bに形成してもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の捨て型枠材は、ネットの網目を通して水を方形プラスチック板の中空部に導入し、中空部の下端から排水できるので、この捨て型枠材を固着一体化させたコンクリート構造物を構築すると、コンクリート内の水分や外部からの浸透水を効率良く排水してコンクリート面の湧水を充分に防止できるといった効果を奏する。
【0039】
特に、0.04〜1cm2 程度の大きさの網目を有するプラスチックネットを方形プラスチック板の開放された後面に固着一体化した捨て型枠材は、排水性が良好で、しかもコンクリートの固形粒子が網目を通じて方形プラスチック板の中空部に入り難いため、中空部が詰まることなく長期に亘って良好な排水機能を維持することができ、更に、繊維層をネットに積層一体化した捨て型枠材は、該繊維層の繊維間空隙が通水路の役目を果たすと共に、該繊維層が固形粒子の中空部への侵入を阻止するフィルターの役目を果たすため、長期に亘ってより一層優れた排水機能を維持できるといった顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る捨て型枠材を示すもので、(a)は同捨て型枠材の正面図、(b)は同捨て型枠材の縦断面図、(c)は同捨て型枠材の横断面図である。
【図2】同捨て型枠材の一使用例を示す縦断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る捨て型枠材の横断面図である
【図4】本発明の更に他の実施形態に係る捨て型枠材の横断面図である
【図5】本発明の更に他の実施形態に係る捨て型枠材の横断面図である
【図6】本発明の更に他の実施形態に係る捨て型枠材の横断面図である
【符号の説明】
1 方形プラスチック板
1a 前板部
1b 側板部
1c,1d,1f 仕切板部
1e 中空部
1g 凸部
1h 凹部
2 ネット
5 繊維層
Claims (3)
- 前板部と、両側の側板部と、内部の仕切板部によって仕切られた縦方向の多数の中空部とを具備して成る方形プラスチック板の開放された後面に、プラスチックの縦糸や横糸に補強用の線材を埋入したプラスチックネットを固着一体化したことを特徴とする捨て型枠材。
- ネットが0.04〜1cm2程度の大きさの網目を有するプラスチックネットであることを特徴とする請求項1に記載の捨て型枠材。
- ネットに繊維層を積層一体化したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の捨て型枠材。
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