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JP3844040B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機を備えた車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【関連する背景技術】
周知のように流体継手を備えた自動変速機では、車両の減速時にロックアップクラッチを係合させて流体継手を直結することにより、エンジン回転速度が燃料カット域を下回ることを防止して燃費低減を図っている。ところが、一般的にロックアップクラッチはエンジンにて変速機側が駆動されている状態、即ち、ポンプ回転速度(=エンジン回転速度)がタービン回転速度より高い状態において、円滑に係合するように油圧回路が構成されていることから、上記減速時のように逆にポンプ回転速度がタービン回転速度より低い状態では、ロックアップクラッチの係合が確実に行われない虞がある。
【0003】
そこで、特開平7−81460号公報に記載の制御装置では、減速開始時においてアイドルスピードコントロールバルブ(ISCV)を開側に制御することによりエンジン回転の低下を抑制し、もってポンプ回転速度とタービン回転速度との差を縮小して、ロックアップクラッチの確実な係合を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、公報に記載の制御装置では、上記のようにエンジン回転速度の低下がロックアップクラッチの係合不良を招くことに着目して、単に減速開始時にエンジン回転の低下を抑制しているだけであり、例えば一旦アイドル回転付近まで低下してロックアップクラッチの直結領域外となった場合に、エンジン回転速度を積極的に引き上げてロックアップクラッチを直結する等の発想は全くない。従って、その利点はクラッチ係合の確実化に止まり、ロックアップの頻度、ひいては燃料カットの頻度を高めて燃費低減を達成する等の要望を満たすことはできず、改良の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、減速時において燃料カットの頻度を高めて燃費低減を達成することができる車両の制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、エンジン出力軸に流体継手を介して接続された変速機を備えた車両であって、流体継手を直結可能なクラッチと、車両減速状態で、且つ、エンジン回転速度が所定の燃料カット判定回転速度を越えているときにエンジンの燃料供給を中止する燃料カット手段と、車両の加速直後の減速時であってエンジンの略アイドル運転時に、変速機の変速比を縮小方向に制御して燃料カット判定回転速度を越える領域内で流体継手の出力軸回転速度を低下させる出力軸回転速度低下手段と、出力軸回転速度低下手段の作動時にエンジン回転速度を流体継手の出力軸回転速度に向けて上昇させるエンジン回転速度上昇手段と、エンジン回転速度と流体継手の出力軸回転速度との差が所定値以下になると、クラッチを作動させて流体継手を直結する制御手段とを備えた。
【0007】
従って、加速直後の減速時にエンジンがアイドル運転となると、出力軸回転速度低下手段により変速機の変速比が縮小方向に制御されて燃料カット判定回転速度を越える領域内で流体継手の出力軸回転速度が低下されると共に、エンジン回転速度上昇手段によりエンジン回転速度が上昇されて、エンジン回転速度と流体継手の出力軸回転速度とが次第に接近し、その差が所定値以下になると、制御手段によりクラッチが作動されて流体継手を直結する。流体継手の出力軸回転速度は車速と変速機の変速比とによって一義的に決定されるため、このときには出力軸回転速度に向けてエンジン回転速度が上昇して、燃料カット判定回転速度を越える領域内で流体継手が直結される。その結果、エンジン回転速度が燃料カット判定回転速度を下回って燃料カットが実行されない状況であっても、クラッチにて流体継手が直結さ-れて、エンジン回転速度が燃料カット判定回転速度を越える回転域に保持され、燃料カットが実行される。
【0008】
請求項2の発明では、請求項1において、出力軸回転速度低下手段の作動時にクラッチをスリップさせるスリップ制御手段を備えたものである。従って、出力軸回転速度を低下させる際に生じる増速方向の慣性エネルギが、クラッチのスリップによって生じる減速方向の慣性エネルギによって相殺されるため、ショックの発生を抑制可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をベルト式無段変速機を備えた車両の制御装置に具体化した一実施形態を説明する。
図1は実施形態の車両の全体構成を示しており、本実施形態のエンジン1は4サイクルガソリン機関として構成され、ロックラップクラッチ2を備えた流体継手としてのトルクコンバータ3を介してベルト式の無段変速機(以下、CVTという)4が組み合わされている。エンジン1の出力軸1aにはトルクコンバータ3のポンプインペラ3aが連結され、トルクコンバータ3のタービンランナ3bはCVT4の入力側に連結されている。図示はしないが、CVT4の出力側はディファレンシャルギアや車軸等を介して左右の駆動輪に連結されている。CVT4は、プライマリプーリ及びセカンダリプーリと両プーリ間に掛け渡された金属ベルトとから構成され、油圧アクチュエータにて両プーリの有効径を変更することで変速比を調整し、エンジン1側からの駆動力を変速して駆動輪側に伝達するようになっている。
【0010】
車室内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM,BURAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えたECU(電子制御ユニット)11が設置され、このECU11はエンジン1、ロックアップクラッチ2、CVT4等の総合的な制御を行う。ECU11の入力側には、エンジン1の出力軸1aの回転に伴ってパルスを出力するクランク角センサ12、エンジン1のスロットルバルブの開度θthを検出するスロットルセンサ13、スロットルバルブの全閉に伴ってオンするアイドルスイッチ14、トルクコンバータ3のポンプインペラ3aの回転速度Npを検出するポンプ回転速度センサ15、同じくタービンランナ3bの回転速度Ntを検出するタービン回転速度センサ16、車速Vを検出する車速センサ17、及びその他の各種スイッチやセンサ類が接続されている。ECU11の出力側には、エンジン1を運転するための図示しない各種アクチュエータ(燃料噴射弁、イグナイタ等)、上記したロックアップクラッチ2やCVT4等が接続されている。
【0011】
そして、ECU11は上記した各種センサにて検出された情報、例えばクランク角センサ12のパルスから判定したエンジン回転速度Neやスロットルセンサ13にて検出されたスロットル開度θth等から燃料噴射量や点火時期を決定し、それらの値に基づいて燃料噴射弁及びイグナイタを駆動制御してエンジン1を運転する。又、アイドルスイッチ14がオンされる車両の減速状態で、且つ、エンジン回転速度Neが予め設定された燃料カット判定回転速度Ncut(例えば、1100rpm)を越えているときには、燃料カットを実行して燃料噴射を中止する(燃料カット手段)
【0012】
更に、ECU11はスロットル開度θthや車速V等から図示しない変速マップに従ってCVT4の変速比を決定し、油圧アクチュエータにより実際のCVT4の変速比を調整する。又、所定車速以上でロックアップクラッチ2を係合させてトルクコンバータ3を直結し、トルクコンバータ3の滑りによる燃費悪化を防止すると共に、車両の減速時にロックアップクラッチ2を直結して、エンジン回転速度Neが上記した燃料カット判定回転速度Ncutを下回ることを防止する。以下、この減速時において、ロックアップクラッチ2を直結するためにECU11が実行する制御について詳述する。
【0013】
ECU11は図2に示す減速時制御ルーチンを所定の制御インターバルで実行し、まず、ステップS2でアイドルスイッチ14がオンしているか否かを判定し、ステップS4で車速センサ17にて検出された車速Vが、ロックアップクラッチ2を直結してもエンストの虞がない速度として設定された所定車速V0以上であるか否かを判定する。更に、ステップS5でクランク角センサ12にて検出されたエンジン回転速度Ne又はポンプ回転速度センサ15にて検出されたポンプ回転速度Npが、予め設定されたアイドル回転速度近傍の値N0以下であるか否かを判定する。何れかのステップSでNO(否定)の判定を下したときにはこのルーチンを終了し、又、両ステップSでYES(肯定)の判定を下したとき、つまり、車両が減速状態で、且つ、ロックアップクラッチ2を直結可能な速度域のときにはステップS6に移行する。
【0014】
ステップS6では現在ロックアップクラッチ2を直結制御中か否かを判定し、判定がYESのときには、ステップS8でエンジン回転速度Neが燃料カット判定回転速度Ncutを越えているか否かを判定し、判定がNOのときにはステップS10に移行して燃料噴射を継続して、このルーチンを終了する。また、前記ステップS8の判定がYESのときにはステップS12に移行して燃料カットを実行してルーチンを終了する。
【0015】
一方、前記ステップS6でNOの判定を下したときには、ステップS14に移行して油圧アクチュエータによりCVT4の変速比を縮小方向、つまりハイギア側に制御する。次いで、ステップS16でロックアップクラッチ2を係合側に制御してスリップ状態とした後、ステップS18でスロットル開度θthの開側補正や燃料噴射量の増加補正等によってエンジン出力を増大する。ステップS14での変速比の縮小は、タービン回転速度Ntを低下させることを意味し、ステップS16でのクラッチのスリップ制御は、ポンプ回転速度Np(=エンジン回転速度Ne)をタービン回転速度Ntへと引き上げることを意味し、ステップS18でのエンジン出力の増大は、エンジン回転速度Neを上昇させることを意味する。
【0016】
実際には、タービン回転速度Ntが車速VとCVT4の変速比とによって一義的に決定されることから、ステップS14の変速比に応じてタービン回転速度Ntが低下し、そのタービン回転速度Ntに向けてステップS16及びステップS18の処理の結果、ポンプ回転速度Npが次第に引き上げられることになる。ステップS14の変速比、ステップS16のスリップ率、ステップS18のエンジン出力は、例えばポンプ回転速度Npやタービン回転速度Nt等に基づく予め設定されたマップに従って求められるが、エンジン回転速度Neが燃料カット判定回転速度Ncutより高い値まで引き上げられるように、その値が設定される。
【0017】
次いで、ステップS20でタービン回転速度Ntとポンプ回転速度Npとの差が所定値ΔN未満か否かを判定し、判定がNOのときにはルーチンを終了する。ステップS14乃至ステップS18の処理の繰り返しによりポンプ回転速度Npとタービン回転速度Ntとが次第に接近して、ステップS20の判定がYESになると、ステップS22に移行してロックアップクラッチ2を直結し、その後、前記ステップS8でYESの判定を下すことから、ステップS12で燃料カットを実行する。
【0018】
本実施形態では、ステップS14の処理を実行するときのECU11が出力軸回転速度低下手段として機能し、ステップS16の処理を実行するときのECU11がスリップ制御出手段として機能し、ステップS18の処理を実行するときのECU11がエンジン回転速度上昇手段として機能し、ステップS20及びステップS22の処理を実行するときのECU11が制御手段として機能する。
【0019】
そして、以上のECU11の減速時制御により、車両が急加速後に減速した場合においてポンプ回転速度Npとタービン回転速度Ntは以下に述べるように制御される。
図3のタイムチャートに示すように、急加速すべく運転者にてアクセルが踏込み操作されると(図3のポイントa)、燃料噴射量の増加に伴ってポンプ回転速度Npが急増し、それに追従してタービン回転速度Ntが増加する。つまり、このときにはロックアップクラッチ2が解放されて、トルクコンバータ3がスリップによるトルク増大作用を奏しながらエンジン1側からCVT4側に駆動力を伝達する。
【0020】
次いで、アクセル操作が中止されると(ポイントb)、ポンプ回転速度Npが急減してタービン回転速度Ntを下回り、更に燃料カット判定回転速度Ncutを下回る(ポイントc)。従来の制御装置では、ポンプ回転速度Npはこのままアイドル回転付近まで低下し続けるため、当然ながらロックアップクラッチ2の係合も、それに伴う燃料カットも実行されない。
【0021】
このとき、本実施形態ではステップS14でCVT4の変速比が縮小され、ステップS16でロックアップクラッチ2のスリップ率が係合側に制御され、ステップS18でエンジン出力が増大方向に制御される。各制御値は、制御開始当初(ポイントd〜ポイントf)はテーリングにより緩やかに変化するように制御され、その差が所定値ΔN未満になると(ポイントf)、ステップS22でロックアップクラッチ2が直結される。そして、この制御によりタービン回転速度Ntが低下すると共にポンプ回転速度Npが引き上げられ、ポンプ回転速度Npが燃料カット判定回転速度Ncutを越えると、ステップS12で燃料カットが実行される(ポイントe)。
【0022】
尚、このようにポンプ回転速度Npとタービン回転速度Ntを接近させた上で、ロックアップクラッチ2を係合しているのは、係合時のショックを抑制することのみならず、双方の回転差が大きい場合にクラッチ2の油圧回路上の特性で係合させ難いことを考慮して、確実にロックアップクラッチ2を係合させるためでもある。
【0023】
そして、以上の急加速から減速状態に移行した場合のように、ポンプ回転速度Npが燃料カット判定回転速度Ncutを下回って燃料カットが実行されない状況であっても、CVT4の変速比、ロックアップクラッチ2のスリップ率、エンジン出力をそれぞれ制御することにより、ポンプ回転速度Npをタービン回転速度Ntに向けて引き上げた上で、ロックアップクラッチ2を係合させ、結果としてポンプ回転速度Np(=エンジン回転速度Ne)を燃料カット判定回転速度Ncutを越える回転域に保持して、燃料カットを実行している。従って、燃料カットの頻度を高めて燃費低減を達成することができる。尚、ステップS18では燃料噴射量を増加補正しているが、その燃料消費分は、続く燃料カットによる燃費低減で簡単に解消できることは言うまでもない。
【0024】
又、ステップS14の処理により変速比が縮小方向に制御されると、CVT4内の慣性質量が車両を増速させる方向に作用し、一方、ステップS16の処理によりロックアップクラッチ2がスリップ制御されると、エンジン1内の慣性質量が車両を減速させる方向に作用する。従って、何れか一方の処理のみを実施した場合には、車両に増速方向或いは減速方向のショックが発生することになるが、上記のようにこれらの処理が共に実施されることから双方の慣性エネルギが相殺されて、ショックの発生を抑制できるという効果もある。
【0025】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、CVTを備えた車両の制御装置として具体化したが、変速機の形式はこれに限らず、例えば遊星歯車機構を利用した通常の自動変速機に適用する制御装置として具体化してもよい。
又、上記実施形態では、車両が加速から減速に移行したときに、ステップS14による変速比の制御、及びステップS18によるエンジン出力の制御に加えて、ステップS16でスリップ率の制御を実施したが、このスリップ率の制御を省略して、エンジン出力の制御のみによりポンプ回転速度Npを増大するようにしてもよい。但し、この場合は出力増大に伴って燃料消費量が増加するため、上記実施形態に比べて燃費が若干悪化する可能性がある。
【0026】
更に、上記実施形態では、ロックアップクラッチ2の直結以前に燃料カットを開始しているが、燃料カットに伴ってポンプ回転速度Npが燃料カット判定回転速度Ncutをすぐに下回ってしまうような場合であれば、ポンプ回転速度Npが十分高回転になるロックアップクラッチ直結後に燃料カットを実施してもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明の車両の制御装置によれば、加速直後の減速時に、流体継手の出力軸回転速度を低下させると共にエンジン回転速度を上昇させた上で、クラッチにて流体継手を直結するようにしたため、燃料カット判定回転速度を越える回転域にエンジン回転速度Neを保持して燃料カットを実行でき、その結果、燃料カットの頻度を高めて燃費低減を達成することができる。
請求項2の発明の車両の制御装置によれば、請求項1に加えて、クラッチのスリップによる減速方向の慣性エネルギで出力軸回転速度を低下させる際に生じる増速方向の慣性エネルギを相殺するため、ショックの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の車両を示す全体構成図である。
【図2】ECUが実行する減速時制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】減速時制御ルーチンに基づく制御状況を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
1a 出力軸
2 ロックアップクラッチ
3 トルクコンバータ(流体継手)
4 CVT(変速機)
11 ECU(出力軸回転速度低下手段、エンジン回転速度上昇手段、制御手段、スリップ制御出手段、燃料カット手段
Ne エンジン回転速度
Nt タービン回転速度(出力軸回転速度)

Claims (2)

  1. エンジン出力軸に流体継手を介して接続された変速機を備えた車両であって、
    流体継手を直結可能なクラッチと、
    車両減速状態で、且つ、エンジン回転速度が所定の燃料カット判定回転速度を越えているときに上記エンジンの燃料供給を中止する燃料カット手段と、
    車両の加速直後の減速時であってエンジンの略アイドル運転時に、上記変速機の変速比を縮小方向に制御して上記燃料カット判定回転速度を越える領域内で上記流体継手の出力軸回転速度を低下させる出力軸回転速度低下手段と、
    上記出力軸回転速度低下手段の作動時にエンジン回転速度を上記流体継手の出力軸回転速度に向けて上昇させるエンジン回転速度上昇手段と、
    上記エンジン回転速度と流体継手の出力軸回転速度との差が所定値以下になると、上記クラッチを作動させて上記流体継手を直結する制御手段と
    を備えたことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 上記出力軸回転速度低下手段の作動時にクラッチをスリップさせるスリップ制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両の制御装置。
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