JP3847083B2 - タッチパネル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、指または物体が接触したことを検出するタッチパネル装置に関し、特に、IDTを用いた弾性表面波の遮断を検知してそれらの接触を検出するタッチパネル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
主としてパーソナルコンピュータ等のコンピュータシステムの普及に伴って、コンピュータシステムにより情報が表示される表示装置の表示画面上を指または物体により指示することにより、新たな情報を入力したり、コンピュータシステムに対して種々の指示を与えたりする装置が利用されている。パーソナルコンピュータ等の表示装置の表示画面に表示された情報に対してタッチ方式にて入力操作を行う場合には、その表示画面上での接触位置(指示位置)を高精度に検出する必要がある。
【0003】
指または物体の接触位置を検出するタッチパネル装置としては、▲1▼抵抗膜方式,▲2▼静電容量方式,▲3▼電磁誘導方式,▲4▼超音波方式などが知られている。▲1▼,▲2▼は共に、ITO(Indium Tin Oxide)などの透光性導電膜を用いる方式であるが、その透光性導電膜は完全には透明でないため、液晶表示面からの光がタッチパネル部を通過する際に、20%程度の光量ロスが生じるので、明るさの点で問題がある。なお、反射型の液晶表示装置に利用する場合には、光が2回透過するので、この明るさの問題が増長される。一方、▲3▼の方式では、小型化が困難であり、専用の入力用ペンが必要であるという問題もある。
【0004】
これに対して、▲4▼の方式は、例えば非圧電基板としてのガラス板に弾性表面波(Surface Acoustic Wave 、以下SAWとも示す)を伝播させて、そのガラス板に指または物体が接触することによって生じる弾性表面波の減衰を検知して、指または物体による接触位置を検出するものである(特開昭55−153041号公報など)。この超音波方式は、透明度に優れており、また入力用の専用ペンも不要である。
【0005】
しかしながら、従来の超音波方式のタッチパネル装置では、弾性表面波を発生,検出するトランスデューサがセラミック振動子にて構成されていたため、他の方式と比べて、薄形・小型化が困難である、部品コストが高い、取付けが難しいなどの問題があった。また、ガラス板の縁に沿って反射器を設ける必要があり、全体的なコストも高かった。
【0006】
そこで、トランスデューサとして、フォトリソグラフィ技術を用いて一括形成が可能なIDT(Inter Digital Transducer:櫛型電極)を用いる方式が提案された(特開平6−3489号公報,特開平6−43995号公報,特開平6−75688号公報,特開平6−75689号公報,特開平6−149459号公報,特開平11−21925号公報など)。この方式は、大量生産が可能であり、低コスト化を図れる。
【0007】
このタッチパネル装置では、ガラス板の一端部に入力IDT及び圧電薄膜で構成される複数の励振素子を設けると共に、ガラス板の他端部のこれに対向する位置に同じく出力IDT及び圧電薄膜で構成される複数の受信素子を設けている。各励振素子に電気信号を入力して弾性表面波を励振させて、ガラス板を伝播させ、伝播した弾性表面波を受信素子で受信させる。そして、ガラス板上の弾性表面波の伝播路に指または物体が接触した場合には、弾性表面波は減衰する。よって、受信素子の受信信号のレベル減衰の有無を検知することによって、接触の有無及びその接触位置を検出することが可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図16は、IDTを用いるこのような従来のタッチパネル装置の構成を示す図である。図16において、1はガラス板であり、ガラス板1のX方向,Y方向夫々の一端部には弾性表面波を励振する複数の入力IDT2が、夫々を複数のトラック夫々に対応させて、一列状に配列して形成されている。また、ガラス板1のX方向,Y方向夫々の他端部には、入力IDT2に対向させた態様で、弾性表面波を受信する複数の出力IDT3が階段状に配列して形成されている。このような配置構成により、各トラックについて入力IDT2,出力IDT3間の距離を夫々異ならせて、各出力IDT3での受信タイミングをずらせ、受信信号が減衰するトラックを正しく識別できるようにしている。
【0009】
このような構成のタッチパネル装置では、各トラックにおける弾性表面波の励振から受信までの時間を異ならせるために、出力IDT3を階段状に設置する必要があるので、図16に示すように、入力IDT2及び出力IDT3を設置するための領域(以下、額縁領域という)が広くなり、接触位置を検出できる領域(以下、検出領域という)が相対的に狭くなるという問題がある。このような問題は、トラック数が増加するに伴って深刻化することになり、この配置構成は現実的ではない。そこで、各伝播時間の差とは異なる手法にて各トラックを識別でき、入力IDT2だけでなく出力IDT3も一列に配置できるような構成にしたタッチパネル装置の開発が望まれている。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、入力IDT及び出力IDTを何れも一列に配置でき、額縁領域を狭くして、検出領域を広く取ることができるタッチパネル装置を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的は、温度環境の変化に影響を受けることなく、接触位置を常に正確に検出することができるタッチパネル装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るタッチパネル装置は、非圧電基板の複数のトラック夫々に対応して、弾性表面波を励振する複数の入力IDTの夫々と弾性表面波を受信する複数の出力IDTの夫々とを備えており、前記入力IDTと前記出力IDTとの間で弾性表面波を前記非圧電基板に伝播させ、前記出力IDTでの受信結果に基づき前記非圧電基板に接触された物体の位置を検出するタッチパネル装置において、前記複数の入力IDT夫々は広帯域の電極構造を有し、前記複数の出力IDT夫々は特定の信号列を受信した場合に出力信号を得るマッチドフィルタの構造を有しており、前記複数のトラック夫々について前記特定の信号列を異ならせていることを特徴とする。
【0013】
請求項1のタッチパネル装置にあっては、各入力IDTは広帯域の電極構造を有し、各出力IDTは特定の信号列を受信した場合に出力を得るマッチドフィルタの構造を有しており、各出力IDTは、自身に設定された特定の信号列を受信した場合にのみ出力信号を出し、それ以外の場合には出力信号を出さない。そして、複数のトラック夫々において、その特定の信号列を異ならせているため、1つの特定の信号列に対して複数のトラックにおける出力IDTが同時に出力信号を出すことはない。よって、入力IDT及び出力IDTを夫々一列に配置しても、どのトラックに関する出力信号であるかを識別できる。これにより、額縁領域を狭くでき、大きな検出範囲が得られる。
【0014】
請求項2に係るタッチパネル装置は、請求項1において、互いに異なっている前記特定の信号列を時系列的に生成し、生成した時系列の信号列を前記複数の入力IDT夫々に所定の時間間隔をもって印加する印加手段と、前記複数の出力IDT夫々の出力信号を合成し、その合成結果に基づいて接触された前記物体が存在するトラックの位置を検出する検出手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項2のタッチパネル装置にあっては、各出力IDTにマッチする夫々の信号列を各入力IDTに所定の時間間隔を設けて印加し、各出力IDTの出力信号の合成信号に基づいて接触位置を検出する。よって、簡単な構成にて、接触されたトラックを識別できる。また、各入力IDTから弾性表面波が常に同位相にて励振されるため、回折の問題は生じず、検出精度は高くなる。
【0016】
請求項3に係るタッチパネル装置は、請求項2において、時系列の信号列を前記複数の入力IDT夫々に印加する際に、隣合う信号列の間に所定の時間間隔を設置するようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項3のタッチパネル装置にあっては、各出力IDTにマッチする複数の特定の信号列において、隣合う信号列の間に所定の時間間隔を設置する。よって、各信号列を明確に区別できて、信号検出の誤動作を防げる。
【0018】
請求項4に係るタッチパネル装置は、請求項1〜3の何れかにおいて、前記複数の出力IDT夫々にマッチする信号列の受信タイミングに応じてゲート信号を生成し、前記複数の出力IDT夫々の出力信号を選択的にマスキングして取り出すようにしたことを特徴とする。
【0019】
請求項4のタッチパネル装置にあっては、ゲート信号を利用して各出力IDTに対応する信号列の出力信号を選択的にマスキングして取り出す。よって、自身にマッチした信号列の出力信号のみを正しく検出でき、信号検出の誤動作を防げる。
【0020】
請求項5に係るタッチパネル装置は、請求項1〜4の何れかにおいて、前記複数の入力IDT及び/または前記複数の出力IDTを複数個ずつブロック分けし、各ブロック毎に独立して前記物体の接触位置を検出するようにしたことを特徴とする。
【0021】
請求項5のタッチパネル装置にあっては、複数の入力IDT及び/または複数の出力IDTをブロック分けしており、各ブロック毎に独立して検出処理を行う。よって、検出領域が広くてトラック数が多い場合にも、簡単に対応できる。
【0022】
請求項6に係るタッチパネル装置は、請求項5において、異なるブロック間にあって、同一の特定の信号列を重複して使用するようにしたことを特徴とする。
【0023】
請求項6のタッチパネル装置にあっては、異なるブロックの間では、同一の信号列を重複して使えるようにする。よって、検出領域が広くてトラック数が多い場合でも、有効的な信号列の設定が可能である。
【0024】
請求項7に係るタッチパネル装置は、請求項1〜6の何れかにおいて、前記非圧電基板の温度を検知するための少なくとも1組の入出力IDTを更に備えることを特徴とする。
【0025】
請求項7のタッチパネル装置にあっては、非圧電基板に更に設けた少なくとも1組の入出力IDTにて温度を検知する。よって、弾性表面波の速度に影響を与える温度変化を考慮して、正確な検出動作を行える。
【0026】
請求項8に係るタッチパネル装置は、請求項7において、温度検知用の前記入出力IDTに増幅器を接続して弾性表面波発振器を構成し、該弾性表面波発振器の発振信号を利用して温度補償を行うようにしたことを特徴とする。
【0027】
請求項8のタッチパネル装置にあっては、温度に応じた弾性表面波を発振する弾性表面波発振器の発振信号を利用して温度補償を行う。よって、リアルタイムでの温度補償を行え、正確な検出動作を行える。
【0028】
請求項9に係るタッチパネル装置は、請求項8において、温度検知用の前記入出力IDTは、位置検出用の前記入力IDT及び出力IDTと同じ基本周期を有しており、前記発振信号と前記複数の特定の信号列とを合成し、その合成信号を位置検出用の前記入力IDTに印加するようにしたことを特徴とする。
【0029】
請求項9のタッチパネル装置にあっては、弾性表面波発振器の発振信号と複数の特定の信号列とを合成した合成信号を、位置検出用の入力IDTに印加する。よって、温度変化への自動的な補償が可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のタッチパネル装置の基本構成を概念的に示す図である。図1において、1は非圧電基板としての矩形状のガラス板であり、ガラス板1のX方向,Y方向夫々の一端部には弾性表面波を励振する複数(N個,M個)の入力IDT2が、夫々を複数(N本,M本)のトラック夫々に対応させて、一列状に配列して形成されている。また、ガラス板1のX方向,Y方向夫々の他端部には、各入力IDT2に対向させた態様で、弾性表面波を受信する複数(N個,M個)の出力IDT3が一列状に配列して形成されている。
【0031】
各入力IDT2は、広帯域の電極構造(櫛形金属パターン)を有している。一方、各出力IDT3は、特定の2値信号列が来た場合にのみ出力信号を出すマッチドフィルタの電極構造(櫛形金属パターン)を有している。
【0032】
各入力IDT2で励振された弾性表面波は、ほぼ直進してガラス板1を伝播して、各出力IDT3にて受信される。これらの入力IDT2と出力IDT3とで囲まれる領域が、物体の位置を検出する検出領域1aであり、この検出領域1a内において、X方向N本、Y方向M本の互いに直交するトラックが設定されることになる。このように入力IDT2及び出力IDT3を配置する場合には、図15に示す従来例に比べて額縁領域1bは狭くなる。
【0033】
次に、出力IDT3で利用しているマッチドフィルタの作用について説明する。弾性表面波マッチドフィルタは、特定の2値信号列(2値情報列)に対してのみ大きな信号を出力し、それ以外の2値信号列に対してはノイズ信号しか出力しないようなフィルタである(詳細は、芝隆司他、学振150委員会第46回研究会資料pp.107−110,1996年、または、S.T.Costanza et al. "Analog Matched Filter Using Tapped Surface Wave Delay Line", IEEE Trans., MTT-17, pp.1042-1043 1969)。
【0034】
図2は、この弾性表面波マッチドフィルタの基本構成図である。図2に示すように、入力IDT2は、広帯域特性が必要なために、電極対数が比較的少ない構成とする。また、出力IDT3では、特定の2値信号列に応じて、等間隔(ピッチp1 )にて”1”または”0”の極性を有するように電極対を形成する。図2に示す例では、[1011011]の7ビットの信号列が形成されている。”1”を正の電極配置とした場合、”0”は逆位相の電極配置となっている。このような構造のパターンは、タップドディレイラインと称せられる。
【0035】
次に、この弾性表面波マッチドフィルタの動作について説明する。図3は、弾性表面波マッチドフィルタの動作信号を表しており、(a)入力IDT2への入力信号、(b)伝播する弾性表面波、(c)出力IDT3からの出力信号を示している。
【0036】
ここで、入力IDT2へ時間的に変化する入力信号[1101101]を印加する。これは、出力IDT3における電極パターン[1011011]の逆の順序となっている。入力信号の印加によって、弾性表面波が励振され、出力IDT3に向かって、図3(b)に示すような”1”または”0”の順序にて、弾性表面波が伝播する。伝播した弾性表面波は、出力IDT3に到達し、励振時から(p2 +6p1 )/V秒(p2 :ガラス板1での伝播距離,p1 :信号ピッチ,V:弾性表面波の速度)経過した後に、励振された弾性表面波の先頭”1”が出力IDT3の最後のパターン”1”に丁度達した時点で、弾性表面波の信号列と出力IDT3のパターンとが一致する。この際、出力IDT3は大きな相関出力を発生する(図3(c))。以上のような内容が、弾性表面波マッチドフィルタの基本動作である。
【0037】
入力信号列が1ビットでも出力IDT3のパターンと異なっている場合には、このような大きな出力は得られない。出力IDT3のパターンに一致した信号列が入力された場合と異なる信号列が入力された場合とのS/N比を向上させるためには、ある決められた情報列のグループを用いれば良いことが知られている。これが2値PN(Pseudo Noise)符号列であり、M系列,Barkerコード,Gold系列などが知られている。これらの2値PN符号列は、現在スペクトル拡散通信で盛んに用いられている。このような2値PN符号列を利用することにより、S/N比が良いマッチドフィルタを構成することが可能である。
【0038】
本発明のタッチパネル装置では、このような弾性表面波マッチドフィルタの特性を利用する。即ち、従来のように各トラックにおける弾性表面波の伝播距離を異ならせて、その伝播時間の違いによって各トラックを識別するのではなく、各トラックに対応して設けた各出力IDTに設定されている符号列を異ならせて、出力信号が得られるか否かによって各トラックを識別するようにしている。このようにすることにより、従来例の階段状とは異なり、出力IDTを一列状に配置することができ、額縁領域を大幅に狭くできる。
【0039】
以下、本発明をより具体的に説明する。
(第1実施の形態)
図4は、第1実施の形態の構成を示す図である。この第1実施の形態では、説明を分かりやすくするために、直交するX方向,Y方向の中で、Y方向における接触位置を検出することとし、トラック数を5本(N=5)としている。なお、画面サイズ,検出精度によっても変わるが、1トラックの幅は250μm(100dpi)〜2.5mm(10dpi)程度であり、例えば5インチサイズの表示画面で長辺方向に検出する場合、10dpiで29トラック、100dpiで290トラック程度必要であり、短辺方向ではこれより少ない。なお、X方向,Y方向は、説明のための便宜的な呼称であり、何れが長辺,短辺であっても良いことは勿論である。
【0040】
5本の各トラックに対応した第1〜第5入力IDT2は、入力接続線11,12により互いに並列に接続されており、それらはまた、各入力IDT2に所定の時系列信号を印加する入力信号印加回路13に接続されている。入力信号印加回路13は、所定のクロック信号を入力し、そのクロック信号に応じて、各出力IDTでマッチする特定の信号列を時系列的に生成し、生成した時系列の信号列を各入力IDT3に同時に印加する。
【0041】
各入力IDT2は、2つの相互に入り組んだ例えばアルミニウム(Al)製の電極指を持っており、夫々の入力IDT2は、同一形状の広帯域の電極構造(櫛形金属パターン)を有している。なお、図4に示す例では、各入力IDT2は1対の電極(+−の電極指が1本ずつ)を有しているが、広帯域であれば良く、数対から数十対の電極を有していても良い。但し、1対でない場合には、その対数に合わせて出力IDT3の電極の対数を変更する必要はある。
【0042】
5本の各トラックに対応した第1〜第5出力IDT3が、第1〜第5入力IDT2夫々に対向させて設けられている。これらの第1〜第5出力IDT3は、出力接続線21,22により互いに並列に接続されており、また、それらの出力信号(検出信号)に基づいて接触位置を検出する位置検出回路23に接続されている。
【0043】
各出力IDT3は、2つの相互に入り組んだ例えばアルミニウム(Al)製の電極指を6対持っていて何れもマッチドフィルタの構造を有しているが、そのマッチパターンは各出力IDT3において異なっている。即ち、各第1〜第5出力IDT3には、夫々固有の信号列が電極指の極性によって書き込まれており、夫々で相異なる符号列を有するマッチドフィルタを構成している。本例では、トラック数が5本と少ないので、符号列は6ビットのM系列を使用する。出力IDT3では、入力IDT2の電極指ピッチ(p3 )の2倍のピッチ(2p3 )で電極指が並べられている。符号”1”と符号”0”とでは電極指の極性が逆になっている。
【0044】
各入力IDT2で同時に励振された弾性表面波は、ほぼ直進してガラス板1を伝播して、各出力IDT3にて受信される。これらの5個の入力IDT2と5個の出力IDT3とで挟まれる領域が検出領域1aであり、この検出領域1a内において、Y方向に分画された5本のトラックが設定されている。各トラックにおける書き込み符号列は、第1トラックが[101001]、第2トラックが[101111]、第3トラックが[111011]、第4トラックが[111101]、第5トラックが[100101]に設定されており、これに合わせて第1〜第5出力IDT3の電極指の極性を設計している。
【0045】
図5は、このタッチパネル装置の断面図である。入力IDT2とこれに積層させた圧電薄膜4とで励振素子が構成され、出力IDT3とこれに積層させた圧電薄膜4bとで受信素子が構成される。ガラス板1における検出領域1aには圧電薄膜4は存在せず、ガラス板1の額縁領域1bは圧電薄膜4で被われている。圧電効果にて弾性表面波を励振,受信するための圧電薄膜圧電薄膜4は、例えば、酸化亜鉛(ZnO),窒化アルミニウム(AlN)を使用できる。なお、図4にあっては、これらの圧電薄膜4の図示を省略している。ガラス板1の上にアルミニウムの薄膜などで入力IDT2,出力IDT3を蒸着法またはスパッタリング法にてパターン形成し、圧電薄膜4をスパッタリング法にて全域に形成した後、表示部分(検出領域1a)の圧電薄膜4を除去する。
【0046】
図6は、第1実施の形態における弾性表面波の伝播状態を示す図、図7,図8は、第1実施の形態における各種信号の波形例を示す図である。第1〜第5入力IDT2に、図6に示すように、同時に書き込み信号(入力信号)を印加する。この書き込み信号は、第1出力IDT3の符号列(第1インターバル),第2出力IDT3の符号列(第2インターバル),第3出力IDT3の符号列(第3インターバル),第4出力IDT3の符号列(第4インターバル)及び第5出力IDT3の符号列(第5インターバル)をこの順に時系列的に並べたものである。
【0047】
各インターバルにおける書き込みの時間的順序は、例えば第1インターバル[101001]のときには、第1出力IDT3の符号列の並び方とは逆に”100101”の順とする。このようにした場合、各トラック一斉にこの信号列にて弾性表面波が励振され、入力IDT2からガラス板1を介して出力IDT3へ弾性表面波は伝播する。この際、伝播する弾性表面波は、各トラックで同期して同じ信号であるため、同位相面を保つことになる。従って、夫々のトラックの幅を狭くしていっても、従来のように各トラックを順次掃引する場合に比べて、位相面が回折により曲がってしまって、無駄なロスは生じることが少ないという利点がある。
【0048】
各トラックに一斉に時系列的に伝播した弾性表面波は、ガラス板1に物体が接触していない場合、順次出力IDT3に到達する。まず最初に第1インターバルの信号列[101001]が第1〜第5出力IDT3夫々に同時に達する。この信号列[101001]は、第1出力IDT3にはマッチするが、他の第2〜第5出力IDT3の何れにもはマッチしない。この結果、第1出力IDT3のみから大きな信号が出力され、他の第2〜第5出力IDT3夫々からは出力されない。第1〜第5出力IDT3は全て並列に接続されているので、第1出力IDT3で得られた大きな検出信号は、出力信号線21,22を介して位置検出回路23に送られる。以上のことを時間軸上での電気信号列として表した図7において、信号11が第1インターバルに対応した検出信号である。
【0049】
次に、第2インターバルの信号列[101111]の弾性表面波が第1〜第5出力IDT3夫々に同時に達し、第2出力IDT3にのみマッチして、第2出力IDT3のみから大きな検出信号(図7の信号12)が出力され、他の第1,第3〜第5出力IDT3夫々からは出力されない。
【0050】
以下、同様にして、第3,第4,第5インターバルの信号列が順次出力IDT3に到達するのに応じて、第3,第4,第5出力IDT3が順次マッチし、夫々から大きな検出信号(図7の信号13,14,15)が出力される。入力信号パターンが一巡した後は、再び第1インターバルの信号列に戻り、第1出力IDT3から大きな検出信号(図7の信号11)が出力される。
【0051】
以上のような過程は、ガラス板1上に物体が接触されていない場合の例である。次に、例えばガラス板1の第3トラックに物体が接触されている場合について説明する。
【0052】
この場合、第3トラックを伝播する弾性表面波は、常に減衰してしまって第3出力IDT3まで到達しない。従って、第3インターバルの信号列[111011]も第3出力IDT3まで到達しないので、本来得られるべき大きな検出信号(図7の信号13)は得られず、小さな検出信号(図8の信号23)が得られるか完全に消滅してしまう。予め、大きい検出信号が得られるタイミングとそれに該当するトラックの番号とを同定しておけば、この大きさの変化(図7の信号13から図8の信号23への変化)を検知することにより、第3トラックに物体が接触されていることを検出できる。
【0053】
物体が大きくて、その接触の影響が隣のトラックにも及ぶ場合、第2,第4トラックの検出信号(図8の信号32,34)にまで減衰が起こる。そして、この減衰状態(エンベロープの形状)から、物体の接触位置及び接触物体の大きさを正確に検出できるだけでなく、それらの減衰度から押圧の強さも検出することも可能である。
【0054】
次に、印加する信号列の時間設定について説明する。この例では、1ビットの基本周期がτ4 であり、この基本周期τ4 と図4のIDTの基本的な空間周期p3 とには、弾性表面波のIDT下の音速をVとした場合、下記(1)の関係が成立する。
τ4 =p3 /V …(1)
この音速Vは、材料と電極の膜厚とが決まれば一定である。しかし空間周期p3 は、IDTの共振周波数fの値によって変化する。これらの関係は、下記(2)となる。
p3 =τ4 ×V=V/f …(2)
【0055】
本例では、各出力IDT3に対応する隣合った6ビットの符号列の間、つまり隣合うインターバルの間に、所定のスペース時間τ5 を挿入している。このスペース時間τ5 は、0以上の任意の値を設定できるが、基本周期τ4 に基づいた方が仕様は容易となるので、下記(3)に示すように、τ4 の整数倍とすることが好ましい。なお、図7に示す例では、n=2としている。
τ5 =n×τ4 …(3)
【0056】
よって、各インターバルの周期τ2 は、下記(4)のようになる。
τ2 =6×2×τ4 +τ5 …(4)
【0057】
また、各トラックに応じた信号列が一巡する時間は、5×τ2 となるが、次の繰り返しとの間に、図7に示すようなスペース時間τ3 を挿入しても良い。このスペース時間τ3 も、上記(3)で表されるτ5 と同様に、τ4 の整数倍とすることが好ましい。全てのトラックについて1回掃引する時間τ1 は、下記(5)のように表される。
τ1 =5×τ2 +τ3 …(5)
【0058】
このようなスペース時間τ5 ,τ3 を挿入することにより、各インターバルの分別が明確となり、インターバル間での信号検出の誤動作を防ぐことが可能である。この点を、第3インターバルから第4インターバルに移る場合を例にして説明する。もしスペース時間τ5 を設けていないとすると、出力信号13と出力信号14との間であって出力信号13から10クロック後に(1クロック時間はτ4 )、第3インターバルの最終の1ビットと第4インターバルの先頭からの5ビット分とから[110111]の信号列が生じて、第3出力IDT3がマッチして大きな検出信号を余分に出力してしまって、誤動作となる。本発明では、第3,第4インターバル間にスペース時間τ5 が挿入されているので、”0”が間に入っている限りパターンマッチングは起こらないので、上述したような誤動作は避けられる。
【0059】
なお、スペース時間τ5 を設けることが困難である場合、または、誤動作をより完全に防ぎたい場合には、図8に示すような受信タイミングに応じて生成した読み出しゲート信号(図8の信号41〜46)によるアンド処理により、不要部分をマスクしてしまって、所望の信号列の弾性表面波を選択的に取り出すようにすることも有効である。
【0060】
なお、上述した例では、Y方向のトラックに対する位置検出について述べたが、全く同様な構成をX方向にも適用することにより、検出した両方向のトラックの交点から物体の接触位置を検出できる。この際、X方向での各トラックの符号列に、Y方向で用いた符号列と同じものを重複して使用しても良い。また、トラック数を5本としたが、これは例示であり、実際にはもっと多数のトラックを必要とするが、この場合にも基本原理は同じであって本発明を同様に適用できることは勿論である。トラックの本数を多くすると、符号列は少し長くなるが、これに伴う出力IDT3の長さの増加は非常に小さく、トラックの本数が多ければ多いほど、額縁領域を狭くできるという本発明の効果がより顕著となる。
【0061】
ここで、マッチドフィルタの取り得る符号列の数について説明する。符号列は1ビットでも異なっていれば如何なるものでも良いという訳ではない。1ビットでも異なっている場合と完全に一致する場合とのS/N比を大きく取れるような符号列の特定な集合が存在する。この中で最も良く使われているものがM系列と呼ばれるものであり、最近のスペクトラム拡散通信では汎用されている。取り得る符号列の数は、符号長によって異なっており、一般的に符号長が長くなればなるほど、取り得るM系列の数も増えていく。文献(丸山元,中川正雄,河野隆二,「スペクトル拡散通信とその応用」,pp,72−75,電子情報通信学会編,コロナ社,1998年)から、これらの関係をまとめると下記表1のようになる。
【0062】
【表1】
【0063】
表1から理解されるように、ビット長が6〜7ビット程度では、取り得るM系列の数が6個であるので、本発明を用いる効果は少ない。なぜなら、図16に示すような従来のタッチパネル装置を使用した場合、弾性表面波の伝播時間の遅延にて各トラックを識別するようにしているので、最低の1ビットの遅延にてこれを行うようにすれば、n本のトラックを識別するために最低nビットの遅延を考慮すれば良いことになるからである。
【0064】
しかしながら、表1から明らかなように、ある程度まではビット数を増やせば増やすほど、従来例に対する本発明の効果が顕著となる。例えば、12ビットの符号長を用いた場合、従来例では12トラックしか識別できないが、本発明にあっては176トラックもの識別が可能である。逆に言えば、176トラックを識別するために、従来例では176ビットの長さに相当する額縁領域が必要であるが、本発明では12ビットにて済ませることができ、額縁領域の幅を1/15程度に縮小できる。
【0065】
以上のように、画面サイズが大きくなったり、または、精度を上げようとした場合、判別すべきトラックの本数を増加させる必要があるが、このような場合に本発明は優れた効果を奏する。
【0066】
(第2実施の形態)
次に、識別すべきトラックの本数の増加に容易に対処できる実施の形態について説明する。この第2実施の形態は、マッチドフィルタで使用する符号列の数を増加させずに、識別できるトラックの本数を増加できるものである。図9は、第2実施の形態の構成を示す図である。
【0067】
この第2実施の形態では、図9に示すように、複数(10個)の入力IDT2と複数(10個)の出力IDT3とが、夫々5個ずつの第1入力IDT群2A及び第2入力IDT群2Bと第1出力IDT群3A及び第2出力IDT群3Bとにグループ分けされている。第1入力IDT群2Aと第1出力IDT群3Aとが対応し、第2入力IDT群2Bと第2出力IDT群3Bとが対応している。第1入力IDT群2A,第2入力IDT群2Bに含まれる夫々5個の入力IDT2が、2本の入力接続線11,12により互いに並列に接続されている。また、第1出力IDT群3A,第2出力IDT群3Bに含まれる夫々5個の出力IDT3が、2本の出力接続線21,22により互いに並列に接続されている。夫々の入力IDT群2A,2Bには、独立した信号印加系(入力信号印加回路13)が設けられている。また、夫々の出力IDT群3A,3Bには、独立した信号検出系(位置検出回路23)が設けられている。これらの2個ずつの信号印加系,信号検出系は時系列的に切り換えて用いられる。
【0068】
一方、設定される複数(10本)トラックもこれらに合わせて、夫々5本ずつの2つのグループに分けられている。これらの2つのトラック群において、同一の符号列が使用されている。図9において、トラック1-1 と2-1 、トラック1-2 と2-2 、トラック1-3 と2-3 、トラック1-4 と2-4 、トラック1-5 と2-5 とで、夫々同一の符号列が用いられている。
【0069】
図10は、第2実施の形態において第1入力IDT群2A,第2入力IDT群2Bへの入力信号の印加を制御する回路の構成図である。この回路は、1個のフリップフロップ31と、入力IDTへの書き込み信号及びフリップフロップ31のQ出力を入力とするANDゲート32と、入力IDTへの書き込み信号及びフリップフロップ31のバーQ出力を入力とするANDゲート33とを有する。
【0070】
入力信号の印加手法としては、第1入力IDT群2Aの各入力IDT2に、符号列[101001](トラック1-1 に対応)、[101111](トラック1-2 に対応)、[111011](トラック1-3 に対応)、[111101](トラック1-4 に対応)、[100101](トラック1-5 に対応)をこの順に時系列的に印加した後、第2入力IDT群2Bの各入力IDT2に、再び同一の符号列の信号を同一の順序で印加する。この際の第1入力IDT群2Aから第2入力IDT群2Bへの切換えのタイミングは、フリップフロップ31に入力される切り換え信号にて制御される。
【0071】
図11は、第2実施の形態において第1出力IDT群3A,第2出力IDT群3Bからの検出信号の取り出しを制御する回路の構成図である。この回路は、1個のフリップフロップ41と、第1出力IDT群3Aからの検出信号及びフリップフロップ41のQ出力を入力とするANDゲート42と、第2出力IDT群3Bからの検出信号及びフリップフロップ41のバーQ出力を入力とするANDゲート43とを有する。そして、フリップフロップ41に入力される切り換え信号を用いて、第1出力IDT群3Aからの検出信号と第2出力IDT群3Bからの検出信号とを時系列的に合成し、連続した1つの検出信号として出力する。
【0072】
この第2実施の形態では、トラックを識別するための同一の符号列を2回使用することができるので、短い符号列を使用する場合でも多数のトラックを識別することが可能である。この結果、同じトラック数の場合、上述した第1実施の形態に比べて出力IDT3の長さを短くできて額縁領域をより狭くすることが可能である。
【0073】
図12は、第2実施の形態の変形例の構成を示す図である。この変形例では、複数(10個)の出力IDT3を夫々5個ずつの第1出力IDT群3A及び第2出力IDT群3Bにグループ分けしているが、入力IDT2についてはグループ分けを行っていない。このような例でも、図9の構成の例と同様な効果を奏する。また、この変形例とは逆に、複数(10個)の入力IDT2のみをグループ分けして、出力IDT3はグループ分けしないような構成でも、同様の効果があることは勿論である。
【0074】
なお、入力IDT群,出力IDT群のグループ分け数を2つとしたが、これは例示であり、3つ以上のグループ分けも可能であることは言うまでもない。また、入力IDT群のグループ分け数と出力IDT群のグループ分け数とは、必ずしも合わせる必要はない。一般的にグループ分け数が多くなればなるほど、より短い符号長で済むようになり、額縁領域もより狭くなるが、その反面、各群から取り出される端子の数が多くなるので、それらを接続するための領域が必要となり、処理回路も複雑化する。よって、全体として効率が良いグループ分け数を選択することが望ましい。なお、Y方向の位置検出の場合について説明したが、これと直交するX方向についても、この第2実施の形態を適用できることは言うまでもない。
【0075】
(第3実施の形態)
次に、温度変化に対応できる実施の形態について説明する。この第3実施の形態では、温度変化に伴って生じる弾性表面波の速度変化を補償できるようにしている。
【0076】
前述したように、弾性表面波素子は、IDT上に圧電薄膜を形成して構成される。弾性表面波素子には、形成する圧電薄膜の種類または膜厚により、そのIDTの周期で決まる共振周波数に温度依存性がある。これは、圧電薄膜下の弾性表面波の速度が温度依存性を持つことに由来する。
【0077】
本発明のタッチパネル装置で使用するマッチドフィルタでは、このような弾性表面波の速度の温度依存性に検出信号の大きさが敏感に影響する。即ち、入力IDT2に書き込む際の基本周波数f(上記(2)における周波数)を一定にした場合、ある温度までは全く問題なく動作するが、それよりもかなり高温になったときには、弾性表面波の速度が遅くなるため、周波数fで書き込まれる際の波長は短くなる。
【0078】
従って、このようなときには、入力IDT2での励振効率及び出力IDT3での検出効率が悪くなり、本来はマッチする符号列が到達しても検出信号が劣化することになる。これとは逆に、かなり低温にになったときには、弾性表面波の速度が速くなるために波長は長くなり、こようなときにも同様に出力信号の劣化を招く。このような温度環境による影響を防止するためには、温度に応じて基本周波数fを変化させることが望ましく、このその変化を自動的に行えれば更に望ましい。
【0079】
図13は、第3実施の形態の構成を示す図である。第3実施の形態では、ガラス板1の4隅に、温度検知用の各1組の入出力IDT5が設けられている。この温度検知用の入出力IDT5は、入力IDT2,出力IDT3と同一のピッチ(p3 )で電極指が設定されている。
【0080】
この温度検知用の入出力IDT5を用いて発振器を構成することにより、その発振器からの発振出力(発振周波数ft)から、温度変化に伴う入力IDT2,出力IDT3の周波数変化を直接検知することが可能である。入力IDT2,出力IDT3が存在しないガラス板1の4隅部を利用して入出力IDT5を形成するので、入出力IDT5を形成するための特別な領域は不要であり、入出力IDT5の形成によって額縁領域が特に広くなることはない。なお、入出力IDT5をガラス板1の各隅部に形成して、4箇所にて温度検知を行うので、精度が良い。勿論、ガラス板1の対角の両隅部にのみ入出力IDT5を形成する構成でも良い。
【0081】
図14は、温度検知用の入出力IDT5を用いて構成した発振器の一例を示す図であり、2ポート共振器を用いた位相推移型の発振器を示している。この発振器は、温度検知用の入出力IDT5の2個の各ポートに接続された演算増幅器51,51を有する。なお、この演算増幅器51,51に加えるバイアス電圧の回路は省略している。
【0082】
図14に示す発振器の発振周波数ftは、波長p3 と弾性表面波の速度とで決まる周波数になり、この周波数は、入力IDT2,出力IDT3の最適周波数と一致する。なお、一致しない場合には、適当なLC回路を加えて合わせることができる。そして、一旦一致した後は、温度によって変化するだけとなり、この変化は、入力IDT2,出力IDT3の最適周波数の温度による変化と一致する。従って、このような発振器の発振周波数ftを増幅して、増幅したものを入力信号印加回路13に加えるクロックの基本周波数として用いる。
【0083】
図15は、温度検知用の入出力IDT5を用いて構成した発振器の他の例を示す回路図であり、1ポート弾性表面波共振器を用いたコルピッツ型の発振器を示している。この発振器では、トランジスタ61から発振周波数ftが得られる。なお、トランジスタ61に加えるバイアス電圧の回路は省略している。
【0084】
第3実施の形態の変形例として、温度検知用の入出力IDT5の基本周期は、必ずしも入力IDT2,出力IDT3の基本周期と一致しなくても良い。この場合には、温度検知用の発振器の発振周波数ftを用いて、温度により変化しない適当な係数をその発振周波数ftに掛けて、それによって計算される較正周波数を入力IDT2への印加周波数とするようにしても良い。
【0085】
【発明の効果】
本発明のタッチパネル装置では、複数の入力IDT夫々は広帯域の電極構造を有し、複数の出力IDT夫々はマッチドフィルタの構造を有しており、複数のトラック夫々においてその特定の信号列を異ならせるようにしたので、複数の入力IDT及び複数の出力IDTの両方を一列に配置しても、どのトラックに関する出力信号であるかを識別でき、額縁領域を狭くでき、大きな検出範囲を得ることができる。
【0086】
本発明のタッチパネル装置では、複数の出力IDT夫々にマッチする夫々の信号列を時系列的に入力IDT夫々に印加し、複数の出力IDTの出力信号を合成し、その合成信号に基づいて接触位置を検出するようにしたので、簡単な構成にて、接触されたトラックを検出でき、また、各入力IDTから弾性表面波が常に同位相にて励振されるため、回折の問題が生じず、検出精度の向上を図れる。
【0087】
本発明のタッチパネル装置では、隣合う信号列の間に所定の時間間隔を設置するようにしたので、夫々の信号列を明確に区別できて、信号検出の誤動作を防ぐことができる。
【0088】
本発明のタッチパネル装置では、ゲート信号を利用して各出力IDTに対応する信号列の出力信号を選択的にマスキングして取り出すようにしたので、各出力IDTにおいて自身にマッチした所望の信号列の検出信号のみを正しく得ることができ、信号検出の誤動作を防ぐことができる。
【0089】
本発明のタッチパネル装置では、複数の入力IDT及び/または複数の出力IDTをブロック分けしており、各ブロック毎に独立して検出処理を行うようにしたので、検出領域が広くてトラック数が多い場合にも、額縁領域を広げることなく、簡単に対応できる。
【0090】
本発明のタッチパネル装置では、異なるブロックの間では、同一の信号列を重複して使えるようにしたので、検出領域が広くてトラック数が多い場合でも、有効的な2値信号列の設定が可能である。
【0091】
本発明のタッチパネル装置では、温度を検知するための入出力IDTを少なくとも1組設けるようにしたので、弾性表面波の速度に影響を与える温度の変化を補償でき、正確な検出動作を行うことができる。
【0092】
本発明のタッチパネル装置では、検知した温度に応じた弾性表面波を発振する弾性表面波発振器の発振出力を利用して温度補償を行うようにしたので、リアルタイムでの温度補償を行え、正確な検出動作を行うことができる。
【0093】
本発明のタッチパネル装置では、弾性表面波発振器の発振信号と信号列とを合成した合成信号を、入力IDTに印加するようにしたので、温度変化への自動的な補償を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタッチパネル装置の基本構成を示す図である。
【図2】弾性表面波マッチドフィルタの基本構成を示す図である。
【図3】弾性表面波マッチドフィルタの動作信号を表す図である。
【図4】第1実施の形態の構成を示す図である。
【図5】タッチパネル装置の断面図である。
【図6】第1実施の形態における弾性表面波の伝播状態を示す図である。
【図7】第1実施の形態における各種信号のタイミングチャートである。
【図8】第1実施の形態における各種信号のタイミングチャートである。
【図9】第2実施の形態の構成を示す図である。
【図10】第2実施の形態における入力信号印加用の制御系の回路図である。
【図11】第2実施の形態における検出信号取出し用の制御系の回路図である。
【図12】第2実施の形態の変形例の構成を示す図である。
【図13】第3実施の形態の構成を示す図である。
【図14】温度補償用の発振器の一例の構成を示す図である。
【図15】温度補償用の発振器の他の例の構成を示す図である。
【図16】従来のタッチパネル装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ガラス板
2 入力IDT
3 出力IDT
4 圧電薄膜
5 入出力IDT
1a 検出領域
1b 額縁領域
2A 第1入力IDT群
2B 第2入力IDT群
3A 第1出力IDT群
3B 第2出力IDT群
11,12 入力接続線
13 入力信号印加回路
21,22 出力接続線
23 位置検出回路
Claims (9)
- 非圧電基板の複数のトラック夫々に対応して、弾性表面波を励振する複数の入力IDTの夫々と弾性表面波を受信する複数の出力IDTの夫々とを備えており、前記入力IDTと前記出力IDTとの間で弾性表面波を前記非圧電基板に伝播させ、前記出力IDTでの受信結果に基づき前記非圧電基板に接触された物体の位置を検出するタッチパネル装置において、前記複数の入力IDT夫々は広帯域の電極構造を有し、前記複数の出力IDT夫々は特定の信号列を受信した場合に出力信号を得るマッチドフィルタの構造を有しており、前記複数のトラック夫々について前記特定の信号列を異ならせていることを特徴とするタッチパネル装置。
- 互いに異なっている前記特定の信号列を時系列的に生成し、生成した時系列の信号列を前記複数の入力IDT夫々に所定の時間間隔をもって印加する印加手段と、前記複数の出力IDT夫々の出力信号を合成し、その合成結果に基づいて接触された前記物体が存在するトラックの位置を検出する検出手段とを備える請求項1に記載のタッチパネル装置。
- 時系列の信号列を前記複数の入力IDT夫々に印加する際に、隣合う信号列の間に所定の時間間隔を設置するようにした請求項2に記載のタッチパネル装置。
- 前記複数の出力IDT夫々にマッチする信号列の受信タイミングに応じてゲート信号を生成し、前記複数の出力IDT夫々の出力信号を選択的にマスキングして取り出すようにした請求項1〜3の何れかに記載のタッチパネル装置。
- 前記複数の入力IDT及び/または前記複数の出力IDTを複数個ずつブロック分けし、各ブロック毎に独立して前記物体の接触位置を検出するようにした請求項1〜4の何れかに記載のタッチパネル装置。
- 異なるブロック間にあって、同一の特定の信号列を重複して使用するようにした請求項5に記載のタッチパネル装置。
- 前記非圧電基板の温度を検知するための少なくとも1組の入出力IDTを更に備える請求項1〜6の何れかに記載のタッチパネル装置。
- 温度検知用の前記入出力IDTに増幅器を接続して弾性表面波発振器を構成し、該弾性表面波発振器の発振信号を利用して温度補償を行うようにした請求項7に記載のタッチパネル装置。
- 温度検知用の前記入出力IDTは、位置検出用の前記入力IDT及び出力IDTと同じ基本周期を有しており、前記発振信号と前記複数の特定の信号列とを合成し、その合成信号を位置検出用の前記入力IDTに印加するようにした請求項8に記載のタッチパネル装置。
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