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JP3847484B2 - 粘土複合ゴム材料及びその製造方法 - Google Patents
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粘土複合ゴム材料及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,極性の低いゴムポリマー中に粘土鉱物を分子レベルで分散させた,粘土複合ゴム材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,ゴム材料の機械的特性を改良するために,粘土鉱物の添加,混合が検討されている。例えば,特開平1−198645号公報において,末端又は側鎖にオニウムイオンを導入したオリゴマーを使用して粘土鉱物の有機化を行い,これをゴム材料の中に混合するという方法が開示されている。
【0003】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の粘土複合ゴム材料においては,オニウムイオンを導入したオリゴマーの調製は,必ずしも容易ではなかった。また,粘土層間へオリゴマーを直ちに導入させようとするため,粘土層間の膨潤が不十分な場合があった。
また,Giannelisらによれば,極性基のないポリスチレンを用いた場合には,層間にはポリスチレン分子が1層しか入ることができず,層間膨潤にも限界がある(E.P.Giannelisら,Chem.Mater.5,1694−1696(1993))。
【0004】
尚,本願の発明者らは,分子内に極性基を有するオリゴマー又はポリマーを,オニウムイオンにより有機化された粘土鉱物の層間に十分に入り込ませる技術,及び有機化された粘土粘土の層間に極性基を有する低分子物質を導入した後に極性基を有しないオリゴマー又はポリマーを粘土層間に導入する技術について,先に出願している(「粘土複合材料及びその製造方法」平成7年6月5日出願,「粘土複合材料及びその製造方法,並びにブレンド材料」平成7年6月30日出願)。しかし,かかる技術は,プラスチックを主対象としたものであり,ゴム材料を対象としたものではない。
【0005】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み,極性の低いゴムポリマー中における粘土鉱物の分散性が高い,粘土複合ゴム材料及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,不飽和基を有する炭素数6以上の有機オニウムイオンがイオン結合することにより有機化された粘土鉱物と,分子長が上記有機オニウムイオンと同じかそれよりも小さく,且つその分子内の極性基が上記粘土鉱物と水素結合している第1ゲスト分子と,分子長が上記有機オニウムイオンよりも大きく,且つその分子内に不飽和基を有し,極性基を有しない第2ゲスト分子とよりなり,上記第1ゲスト分子及び第2ゲスト分子は,少なくともその一部が上記粘土鉱物の層間に入り込んでいる第1粘土複合材料及び/又は,
不飽和基を有する炭素数6以上の有機オニウムイオンがイオン結合することにより有機化された粘土鉱物と,分子内に極性基と不飽和基とを有し,且つ分子長が上記有機オニウムイオンと同じかそれよりも大きい第3ゲスト分子とからなり,上記第3ゲスト分子は少なくともその一部が粘土鉱物の層間に入り込んでおり,上記第3ゲスト分子の極性基は粘土鉱物と水素結合を形成している第2粘土複合材料と,
ゴム材料とが混練され,
且つ上記第2ゲスト分子又は第3ゲスト分子の少なくとも一方が,上記ゴム材料の分子と架橋結合しており,
上記第1粘土複合材料又は第2粘土複合材料の少なくとも一方の中の有機オニウムイオンは,上記第2ゲスト分子又は上記第3ゲスト分子の少なくとも一方と,上記ゴム材料の分子との間に架橋結合を形成していることを特徴とする粘土複合ゴム材料である。
【0007】
本発明において最も注目すべきことは,ゴム材料が,粘土鉱物の層間にゲスト分子を導入させた粘土複合材料と混練されていること,該粘土複合材料の中のゲスト分子とゴム材料の分子とが架橋結合していること,及び有機オニウムイオンと,第2ゲスト分子又は/及び第3ゲスト分子と,ゴム材料分子との間に架橋結合が形成されていることである。
【0008】
次に,本発明の粘土複合ゴム材料の作用について説明する。
粘土複合ゴム材料は,上記のごとく有機化された粘土鉱物の層間にゲスト分子を入り込ませた各種粘土複合材料のいずれかを,ゴム材料に混練してゲスト分子とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成したものである。そのため,従来粘土鉱物の分散が困難であったゴム分子に対しても粘土鉱物を均一に大きな層間距離をもって分散させることができる。その理由は以下のように考えられる。
【0009】
即ち,図1に示すごとく,第1粘土複合材料100においては,有機オニウムイオン6により有機化された粘土鉱物7が,空間的に多くのスペースを有するため,その層間に一旦は極性の弱いオリゴマー又はポリマーを取り込むことができるが,粘土鉱物のシリケート層の極性により直ちに排除される傾向が強かった。しかし,上記のごとく,第1ゲスト分子1に極性基10を結合させることにより,極性基10が粘土鉱物7のシリケート層と水素結合を形成して,層間に留まる。このため,粘土鉱物7の層間は,疎水化され,極性基を有しない第2ゲスト分子2が安定して留まることができる。第2ゲスト分子2は,有機オニウムイオンよりも分子長が長いため,層間を著しく膨潤させる。
【0010】
また,図2に示すごとく,第2粘土複合材料200においては,有機オニウムイオン6により有機化された粘土鉱物7の層間に,極性基30を有する第3ゲスト分子3を導入して,粘土鉱物7のシリケート層と水素結合を形成している。そのため,第3ゲスト分子3は,粘土鉱物7の層間に留まることができる。第3ゲスト分子3は,有機オニウムイオン6よりも分子長が長いため,層間を著しく膨潤させる。
【0011】
上記のごとく,粘土鉱物の層間が十分に膨潤した第1,第2粘土複合材料の少なくとも一方を,ゴム材料と混練する。すると,ゴム材料中において粘土鉱物は凝集することなく,分子レベルで均一に分散する。
また,粘土鉱物が均一に分散することにより,ガス等に対する遮断性が向上する。また,シリケート層近傍のゴム分子の運動が拘束される。そのため,粘土複合ゴム材料の力学的性質に良好な影響を与える。
【0012】
また,本発明においては,上記第1粘土複合材料又は第2粘土複合材料の少なくとも一方の中の有機オニウムイオンは,上記第2ゲスト分子又は上記第3ゲスト分子の少なくとも一方と,上記ゴム材料の分子との間に架橋結合を形成している。そのため,粘土鉱物のシリケート層とゴムとの界面が非常に強固に結合する。
従って,さらにシリケート層近傍のゴム分子の運動が拘束され,力学的性質特に硬さや弾性率が向上する。
【0013】
次に,本発明の詳細について説明する。
本発明の粘土複合ゴム材料においては,第1,第2粘土複合材料の少なくとも一方又は双方が,ゴム材料と混練されている。
【0014】
まず,第1粘土複合材料について説明する。
上記第1粘土複合材料は,有機オニウムイオンにより有機化された粘土鉱物と,第1ゲスト分子と,第2ゲスト分子とよりなる。
【0015】
上記第1粘土複合材料において,上記粘土鉱物は,炭素数6以上の有機オニウムイオンとイオン結合して有機化されている。炭素数が6未満の場合には,有機オニウムイオンの親水性が高まり,第1,第2ゲスト分子との相溶性が低下する
【0016】
また,不飽和有機オニウムイオンとして1−ヘキセニルアンモニウムイオン,1−ドデセニルアンモニウムイオン,9−オクタデセニルアンモニウムイオン(オレイルアンモニウムイオン),9,12−オクタデカジエニルアンモニウムイオン(リノールアンモニウムイオン),9,12,15−オクタデカトリエニルアンモニウムイオン(リノレイルアンモニウムイオン)を用いることができる。
【0017】
これらの有機オニウムイオンのうち,請求項12に係る溶媒溶解法で粘土複合ゴム材料を製造する場合には,溶媒に対する膨潤性の点で,2級オニウムイオンが特に好ましい。なお,図示する有機オニウムイオンは,いずれも二股状に表記して2級オニウムイオンであることを示しているが,2級オニウムイオンに限定する趣旨ではない。
【0018】
粘土鉱物としては,第1,第2ゲスト分子との接触面積が大きいものを用いることが好ましい。これにより,粘土鉱物の層間を大きく膨潤させることができる。具体的には,粘土鉱物の陽イオンの交換容量は,50〜200ミリ等量/100gであることが好ましい。50ミリ等量/100g未満の場合には,オニウムイオンの交換が十分に行われず,粘土鉱物の層間を膨潤させることが困難な場合がある。一方,200ミリ等量/100gを越える場合には,粘土鉱物の層間の結合力が強固となり,粘土鉱物の層間を膨潤させることが困難な場合がある。
【0019】
上記粘土鉱物としては,例えば,モンモリロナイト,サポナイト,ヘクトライト,バイデライト,スティブンサイト,ノントロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物,バーミキュライト,ハロイサイト,又は膨潤性マイカがある。天然のものでも,合成されたものでもよい。
【0020】
第1ゲスト分子は,分子内に1つ又は2つ以上の極性基を有している。極性基は,第1ゲスト分子の主鎖,側鎖又は末端の少なくともいずれかに結合している。この中,極性基は第1ゲスト分子の末端に結合していることが好ましい。これにより,粘土鉱物の層間をより大きく膨潤させることができる。
【0021】
本発明において,極性基とは,分子内で電子が局在しており,電荷の偏りが生じたものをいい,完全に分極したイオンは含まない。よって,オニウムイオンは,上記極性基には含まれない。
請求項2の発明のように,上記第1ゲスト分子及び/又は第3ゲスト分子の上記極性基は,例えば,水酸基(OH),ハロゲン基(F,Cl,Br,I),カルボキシル基(COOH),無水カルボン酸基,チオール基(SH),エポキシ基,及びアミノ基のグループから選ばれる1種又は2種以上である。上記アミノ基は,一級,二級,または三級のアミン(NH2 ,NH,N)である。
【0022】
尚,イミノ基,フォスフォニル基,スルフォニル基等の分極の程度が相対的に強い基は,上記「極性基」の定義には一応該当するが,これらの基は本発明においては余り好ましくない。なぜなら,これらの基を含む第1ゲスト分子は溶媒への溶解性が小さく,また溶融するための高温安定性に欠けるからである。
【0023】
上記第1ゲスト分子の分子長は,有機オニウムイオンと同じかそれよりも小さい。有機オニウムイオンの分子長よりも大きい場合には,第1ゲスト分子の入手が困難となる場合があり,また,極性の低いポリマーの中に相溶化する第1ゲスト分子の種類が限られるという問題がある。
【0024】
請求項8記載のように,上記第1ゲスト分子は,例えば,直鎖状若しくは分岐状の構造のオレフィン又はパラフィン,あるいは,直鎖状若しくは分岐状の構造で且つ主鎖及び/若しくは側鎖の中に芳香環を有するオレフィン又はパラフィンを用いることができる。即ち,第1ゲスト分子は,例えば,1以上の極性基を有し,かつ,飽和若しくは不飽和の直鎖状又は分岐状の構造を有するものである。また,その主鎖及び/又は側鎖に,芳香環を含むこともある。
【0025】
上記の極性基を有する第1ゲスト分子としては,例えば,ラウリルアルコール(炭素数12),ステアリルアルコール(炭素数18),ステアリン酸(炭素数18),又はステアリルクロライド(炭素数18)を用いることができる。また,両末端にOH,COOH,Cl,エポキシ基等の極性基を有するポリエチレン,ポリプロピレン,ポリイソプレン,ポリブタジエン,又はこれらの水添物若しくは共重合体でもよい。これらの第1ゲスト分子は,有機オニウムイオンの分子長と同程度以下となるように選択して用いる。第1ゲスト分子は,炭素数6以上のものがより好ましい。
【0026】
上記第1ゲスト分子は,その混合割合が大きくなるに連れて,粘土鉱物の層間を広く拡張する傾向にある。第1ゲスト分子の混合割合は,有機化された粘土鉱物1重量部に対して,0.1重量部以上であることが好ましい。0.1重量部未満の場合には,層間の膨潤が不十分となるおそれがある。
【0027】
上記第1ゲスト分子は,その極性基により,粘土鉱物と水素結合を形成している。そして,第1ゲスト分子は,少なくともその一部が粘土鉱物の層間に入り込んでいる。第1ゲスト分子の全てが層間に入り込んでいる必要はない。例えば,請求項5の発明のように,第1粘土複合材料における粘土鉱物の層間には,第1ゲスト分子全量の中の10重量%以上が入り込んでいれば,層間は十分に膨潤する。一方,10重量%未満の場合には,層間の膨潤が不十分となるおそれがある。
【0028】
次に,上記第2ゲスト分子は,極性基を有していない,非極性又は極性の低いオリゴマー又はポリマーである。この第2ゲスト分子は,直鎖状又は分岐状の構造を有しており,飽和又は不飽和であって,また,芳香環を含む場合もあり,含まない場合もある。そして,第2ゲスト分子の分子長は,有機オニウムイオンよりも大きい。有機オニウムイオンの分子長と同じか又はそれよりも小さい分子長の場合には,粘土鉱物の層間の膨潤が不充分となるという問題がある。
【0029】
請求項3の発明のように,上記第2ゲスト分子は,分子量が1000〜500000の,非極性若しくは極性の低いオリゴマー又はポリマーであることが好ましい。1000未満の場合には,粘土鉱物の層間の膨潤が不十分となるおそれがある。一方,500000を越える場合には,溶媒に難溶となったり,軟化点又は融点が粘土鉱物の分解点以上となってしまうおそれがある。第2ゲスト分子は,有機オニウムイオンの3〜4倍程度以上の分子長を有することが,より好ましい。
上記第2ゲスト分子としては,例えば,液状ポリブタジエン,液状ポリイソプレン,液状ブチルゴムを用いることができる。
【0030】
上記第2ゲスト分子は,その混合割合が大きくなるに連れて,上記粘土鉱物の層間が膨潤する傾向にある。第2ゲスト分子の混合割合は,有機化された粘土鉱物1重量部に対して,0.1重量部以上であることが好ましい。0.1重量部未満の場合には,粘土鉱物の層間の膨潤が不十分となるおそれがある。
上記第2ゲスト分子は,粘土鉱物の層間に,少なくともその一部が入り込んでいる。第2ゲスト分子のすべてが入り込んでいる必要はない。
【0031】
次に,第2粘土複合材料について説明する。
上記第2粘土複合材料は,有機オニウムイオンにより有機化された粘土鉱物と,第3ゲスト分子とよりなる。
【0032】
上記第2粘土複合材料において,粘土鉱物,有機オニウムイオンは,上記粘土鉱物,有機オニウムイオンとして列挙したもののいずれかを用いることが好ましい。また,第3ゲスト分子は,主鎖及び/若しくは側鎖に1つ又は2つ以上の極性基を有している。該極性基としては,上記第1ゲスト分子の極性基として列挙した基のいずれかを用いることが好ましい。
第2粘土複合材料における粘土鉱物,有機オニウムイオン,第3ゲスト分子の極性基は,第1粘土複合材料における粘土鉱物,有機オニウムイオン,第1ゲスト分子の極性基と,同種又は異種のいずれでもよい。
【0033】
上記第3ゲスト分子の分子長は,有機オニウムイオンと同じかそれよりも大きい。有機オニウムイオンの分子長よりも小さい場合には,第3ゲスト分子が,有機オニウムイオンが粘土界面に存在する領域よりも外側へ突出しないため,粘土鉱物が,ゴム材料中に分散しにくくなる。
【0034】
請求項9記載のように,上記第3ゲスト分子は,例えば,直鎖状若しくは分岐状の構造のオレフィン又はパラフィン,あるいは,直鎖状若しくは分岐状の構造で且つ主鎖及び/若しくは側鎖の中に芳香環を有するオレフィン又はパラフィンを用いることができる。
即ち,第3ゲスト分子は,例えば,1以上の極性基を有し,かつ,飽和若しくは不飽和の直鎖状又は分岐状の構造を有するものである。その主鎖及び/又は側鎖に芳香環を含むこともある。
【0035】
上記第3ゲスト分子としては,例えば両末端にOH,COOH,Cl,エポキシ基等の極性基を有するポリエチレン,ポリプロピレン,ポリイソプレン,ポリブタジエン,又はこれらの水添物若しくは共重合体でもよい。これらの第3ゲスト分子は,有機オニウムイオンの分子長と同じかそれよりも大きくなるように選択して用いる。
【0036】
上記第3ゲスト分子は,その混合割合が大きくなるに連れて,粘土鉱物の層間が広く拡張される傾向にある。第3ゲスト分子の混合割合は,有機化された粘土鉱物1重量部に対して,0.5重量部以上であることが好ましい。0.5重量部未満の場合には,粘土鉱物の層間の膨潤が不充分となるおそれがある。
【0037】
また,請求項4の発明のように,上記第3ゲスト分子は,分子量が500〜100000の非極性のオリゴマー又はポリマーであることが好ましい。500未満の場合には,粘土鉱物の層間の膨潤が不十分となるおそれがある。一方,100000を越える場合には,溶媒に不溶となったり,軟化点又は融点が粘土鉱物の分解点以上となってしまうおそれがある。第3ゲスト分子は,有機オニウムイオンの3〜4倍程度以上の分子長を有することが,より好ましい。
【0038】
上記第3ゲスト分子は,少なくともその一部が粘土鉱物の層間に入り込んでいる。粘土鉱物の層間には,第3ゲスト分子のすべてが入り込む必要はない。例えば,請求項6の発明のように,上記第2粘土複合材料における粘土鉱物の層間には,第3ゲスト分子全量の中の10重量%以上が入り込めば,層間は十分に膨張する。10重量%未満の場合には,粘土鉱物の層間に膨潤が不十分となるおそれがある。特に,第3ゲスト分子が分子量1000〜10000程度のポリマーの場合には,第3ゲスト分子全量の10重量%入り込めば,層間の膨張は十分である。
【0039】
次に,請求項7の発明のように,上記ゴム材料は,天然ゴム,イソプレンゴム,クロロプレンゴム,スチレンゴム,ニトリルゴム,エチレン−プロピレンゴム,ブタジエンゴム,スチレン−ブタジエンゴム,ブチルゴム,エピクロルヒドリンゴム,アクリルゴム,ウレタンゴム,フッ素ゴム,及びシリコーンゴムのグループから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0040】
上記第1,第2粘土複合材料の中に含まれる,第2ゲスト分子又は第3ゲスト分子は,ゴム材料の分子との間に,例えば,「加硫」と呼ばれる硫黄架橋結合,又はこれに準ずる架橋結合等を形成している。これに準ずる架橋結合としては,例えば,過酸化物架橋結合を挙げることができる。
【0041】
本発明の粘土複合ゴム材料は,例えば,プレス成形法又は押出成形法により成形される。
本発明の粘土複合ゴム材料は,通常のゴムの各種用途に利用することができる。特に,ガス等に対するバリヤ性や,ゴム材料の力学的性質の改良が要求されている場合に利用すると,本発明の効果を最も有効に発揮させることができる。
【0042】
次に,上記粘土複合ゴム材料を製造する第1の方法としては,例えば,請求項10の発明のように,粘土鉱物を,炭素数6以上の有機オニウムイオンに接触させることにより,上記粘土鉱物と上記有機オニウムイオンとの間にイオン結合を形成して上記粘土鉱物を有機化し,
次に,分子長が上記有機オニウムイオンと同じかそれよりも小さく,且つその分子内に極性基を有する第1ゲスト分子と,分子長が上記有機オニウムイオンよりも大きく,且つその分子内に不飽和基を有しており,極性基を有しない第2ゲスト分子とを,上記粘土鉱物に接触させることにより,上記第1ゲスト分子の極性基を上記粘土鉱物に水素結合を形成させて上記粘土鉱物の表面を疎水化すると共に,上記粘土鉱物の層間に第2ゲスト分子の少なくとも一部を入り込ませることにより第1粘土複合材料を得た後,
該第1粘土複合材料をゴム材料と混練すると共に,上記第2ゲスト分子の不飽和基とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成させる粘土複合ゴム材料の製造方法であって,
上記有機オニウムイオンは不飽和基を有し,上記第1粘土複合材料をゴム材料と混練するステップにおいて,上記有機オニウムイオンの不飽和基と,上記第2ゲスト分子の不飽和基と,上記ゴム材料の中の不飽和基との間に架橋結合を形成させることを特徴とする粘土複合ゴム材料の製造方法がある。
【0043】
上記第1の方法において最も注目すべきことは,有機化された粘土鉱物の表面を極性基を有する第1ゲスト分子により疎水化すること,不飽和基を有する第2ゲスト分子を粘土鉱物の層間に入り込ませること,及び該不飽和基とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成させることである。
【0044】
次に,上記第1の方法の作用について説明する。
上記の製造方法においては,先ず,図1に示すごとく,粘土鉱物7に有機オニウムイオン6を結合させることによって,粘土鉱物を有機化している。これにより,粘土鉱物7の層間に,ある程度のスペースが発生する。
【0045】
次に,有機化された粘土鉱物に,第1,第2ゲスト分子を接触させると,上記の層間のスペースに,第1,第2ゲスト分子1,2が入り込む。第1ゲスト分子1は極性基10を有する。そのため,粘土鉱物7と水素結合して,粘土鉱物7の層間に留まり,粘土鉱物7の層間を疎水化する。そのため,粘土鉱物7の層間に入り込んだ,極性の低い第2ゲスト分子2は,粘土鉱物の極性により排除されることはなく,層間に安定して留まることができる。
【0046】
また,第2ゲスト分子2は,その分子長が有機オニウムイオン6よりも大きく,嵩高である。それ故,第2ゲスト分子2が粘土鉱物7の層間に留まることにより,層間が無制限に膨潤した無限膨潤状態となる。
従って,上記無限膨潤状態にある第1粘土複合材料100をゴム材料中に混練することにより,元来極性物質である粘土鉱物を,極性の低いゴム材料中に分子レベルで均一に分散させた,粘土複合ゴム材料を得ることができる。
【0047】
また,第2ゲスト分子は,不飽和基を有している。不飽和基は,ゴム材料との混練の際に,ゴム材料の分子と架橋結合する。そのため,シリケート層近傍のゴム分子の運動が拘束され,粘土複合ゴム材料の力学的性質に良好な影響を与える。
【0048】
また,上記有機オニウムイオンは不飽和基を有し,上記第1粘土複合材料をゴム材料と混練するステップにおいて,上記有機オニウムイオンの不飽和基と,上記第2ゲスト分子の不飽和基と,上記ゴム材料の中の不飽和基との間に架橋結合を形成させている。上記有機オニウムイオンを使用すると,第2ゲスト分子とゴム材料とを混練,架硫するときに,有機オニウムイオンの不飽和基と第2ゲスト分子の不飽和基とゴム材料の分子との間に架橋結合が形成される。そのため,粘土鉱物のシリケート層とゴムの界面とが非常に強固に結合される。それ故,シリケート層近傍のゴム分子がさらに運動が拘束され,力学的性質時に硬さ弾性率が向上する。
【0049】
上記粘土鉱物を有機オニウムイオンと接触させる方法としては,例えば,イオン交換法がある。このイオン交換法は,例えば,有機オニウムイオンを含む水溶液中に粘土鉱物を浸漬した後,該粘土鉱物を水洗して過剰な有機オニウムイオンを除去する方法である。
【0050】
上記第1ゲスト分子としては,上述したものを用いることができる。上記第2ゲスト分子としては,不飽和基を有する,液状ポリブタジエン,液状ポリイソプレン,液状ブチルゴム等を用いることができる。
第1,第2ゲスト分子を,有機化された粘土鉱物に接触させるに当たっては,両者を接触させる順序は問わない。即ち,両者を同時に投与して接触させても良く,いずれか一者を接触させた後に他者を接触させても良い。いずれの場合においても,結果的に同じ作用・効果が得られる。
【0051】
そして,第1,第2ゲスト分子の接触法としては,例えば,請求項12の発明のように,第1,第2ゲスト分子を溶媒に溶解した状態で,上記有機化された粘土鉱物に接触させる方法がある。また,請求項13の発明のように,第1,第2ゲスト分子を熱により軟化又は溶融した状態で,上記有機化された粘土鉱物に接触させる方法がある。
【0052】
前者の請求項12の方法によれば,室温で第1,第2ゲスト分子を粘土鉱物の層間に入り込ませることができる。この方法において使用し得る溶媒としては,例えば,トルエン,ベンゼン,キシレン,ヘキサン,オクタン等の極性の低い溶媒がある。
一方,後者の請求項13の方法において,第1,第2ゲスト分子を軟化又は溶融させるためには,第1,第2ゲスト分子を軟化温度又は溶融温度と同じか又はそれよりも高い温度に加熱する。この加熱は,第1,第2ゲスト分子及び粘土鉱物が分解せず,安定に存在する程度の温度において行う。例えば,加熱温度は,250℃以下であることが好ましい。250℃を越える場合には,有機化された粘土鉱物が分解するおそれがある。
【0053】
上記第1粘土複合材料とゴム材料との混練方法は,ゴムを混練する一般的な方法を用いることができる。特に,100℃以下にしてゴムロールで混練する方法が好ましい。100℃を越える場合には,混練中に架橋反応が進行してしまうおそれがあるからである。
【0054】
第1粘土複合材料とゴム材料とを混練する際には,両者間に「加硫」と呼ばれる硫黄架橋結合,又はこれに準ずる架橋結合を形成させる必要がある。そのためには,第1粘土複合材料である場合にはその第2ゲスト分子が,不飽和基を含んだものである必要がある。不飽和基とは,炭素間に二重結合又は三重結合を形成した基をいう。上記不飽和基を有する第2ゲスト分子としては,例えば,液状ポリブタジエン,液状ポリイソプレン,液状ブチルゴムがある。
混練の際には,例えば,硫黄等の加硫剤,加硫促進剤,過酸化物等の架橋剤,カーボン等の充填剤を添加することが好ましい。
【0055】
次に,上記粘土複合ゴム材料を製造する第2の方法としては,例えば,請求項11の発明のように,粘土鉱物を,炭素数6以上の有機オニウムイオンに接触させることにより,上記粘土鉱物と上記有機オニウムイオンとの間にイオン結合を形成して上記粘土鉱物を有機化し,
次に,上記粘土鉱物を,分子内に極性基と不飽和基とを有し,且つ分子長が上記有機オニウムイオンと同じかそれよりも大きい第3ゲスト分子に接触させることにより,上記粘土鉱物の層間に,上記第3ゲスト分子の少なくとも一部を入り込ませて,粘土鉱物との間に水素結合を形成して第2粘土複合材料を得た後,
該第2粘土複合材料をゴム材料と混練すると共に,上記第3ゲスト分子の不飽和基とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成させる粘土複合ゴム材料の製造方法であって,
上記有機オニウムイオンは不飽和基を有し,上記第2粘土複合材料をゴム材料と混練するステップにおいて,上記有機オニウムイオンの不飽和基と,上記第3ゲスト分子の不飽和基と,上記ゴム材料の中の不飽和基との間に架橋結合を形成させることを特徴とする粘土複合ゴム材料の製造方法がある。
【0056】
上記第2の方法において最も注目すべきことは,有機化された粘土鉱物の層間に,極性基と不飽和基とを有する第3ゲスト分子を入り込ませること,該不飽和基とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成させることである。
【0057】
第2の方法は,第3ゲスト分子を用いている点が,第1,第2ゲスト分子を用いている上述の第1の方法と異なる。
第3ゲスト分子は,極性基と不飽和基とを有しており,その分子長は有機オニウムイオンと同じか又はそれよりも長い。かかる第3ゲスト分子としては,例えば,両末端に−OH基を有するポリブタジエン,両末端に−OH基を有するポリイソプレン等を用いることができる。
その他は,上記第1の方法と同様である。
【0058】
次に,上記第2の方法の作用について説明する。
上記の方法においては,まず,図2に示すごとく,粘土鉱物7に有機オニウムイオン6を結合させることにより,粘土鉱物7の層間にある程度のスペースが発生する。
次に,有機化された上記粘土鉱物7に,極性基30を有する第3ゲスト分子3を接触させる。すると,第3ゲスト分子3は,粘土鉱物7の層間のスペースに入り込み,その極性基30によって粘土鉱物7のシリケート層と水素結合する。これにより,第3ゲスト分子3は,粘土鉱物7の表面の極性によって排除されることなく,層間に留まる。このため,上記の第1の方法と同様に,粘土鉱物7の層間は,更に膨潤して,無限膨潤状態となる。従って,この無限膨潤状態にある第2粘土複合材料200をゴム材料中に混練することにより,元来極性物質である粘土鉱物を,ゴム材料中で分子レベルで均一に分散させることができる。
【0059】
また,第3ゲスト分子は,不飽和基を有している。そのため,この不飽和基がゴム材料の分子と架橋結合することによって,上記と同様に,粘土複合ゴム材料の力学的性質に良好な影響を与える。
【0060】
また,上記有機オニウムイオンは不飽和基を有し,上記第2粘土複合材料をゴム材料と混練するステップにおいて,上記有機オニウムイオンの不飽和基と,上記第3ゲスト分子の不飽和基と,上記ゴム材料の不飽和基との間に架橋結合を形成させている。有機オニウムイオンを使用すると,有機オニウムイオンの不飽和基と第3ゲスト分子とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成し,上記と同様に,粘土複合ゴム材料の力学的性質に良好な影響を与える。
【0061】
また,上記第1粘土複合材料及び第2粘土複合材料の両方を,ゴム材料に混練して第2,第3ゲスト分子とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成させることもできる。この場合にも,上記と同様の効果を得ることができる。
【0062】
また,上述したように,上記第3ゲスト分子を有機化された粘土鉱物に接触させる方法としては,請求項12の発明のように,上記第3ゲスト分子を溶媒に溶解した状態で有機化された粘土鉱物に接触させる方法がある。また,請求項13の発明のように,第3ゲスト分子を熱により軟化又は溶融した状態で,上記有機化された粘土鉱物に接触させる方法がある。
【0063】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本例においては,粘土複合ゴム材料の配合割合を変化させて,シートを成形し,その力学的性質を評価した。
まず,各種粘土複合ゴム材料の調製方法について説明する。
【0064】
(本発明の試料4〜6)
粘土鉱物としてはナトリウム型モンモリロナイト(山形県産,イオン交換容量120meq/100g)を用いた。有機オニウムイオンとしては,不飽和基を分子内に持つオレイルアンモニウムイオンを用いた。第3ゲスト分子としては水酸基を持つポリイソプレン(クラレ製:LIR506)を用いた。
ゴム材料は,ブチルゴム(日本合成ゴムButyl268)を用いた。
【0065】
次に,上記粘土複合材料の製造方法について説明する。
まず,モンモリロナイト20.0gを80℃の水2000mlに分散させた。次に,オレイルアミンの塩酸塩8.8gを80℃の水1500mlに溶解した。この両方の水溶液を一気に混合した。その沈澱物を80℃の水で2回洗浄し,オレイルアンモニウムイオンで有機化したモンモリロナイトを得た。これを,OL−モンモリロナイトという。灼残法により求めたOL−モンモリロナイト中の無機含量は,69.4重量%であった。X線回折法により,モンモリロナイトの層間距離を測定したところ,OL−モンモリロナイトの層間距離は,22.5Åであった。
【0066】
ポリイソプレン100gに対し,上記OL−モンモリロナイトをそれぞれ70,140,210g混合し,80℃で4時間混合し,3種の第2粘土複合材料を得た。X線回折法により粘土複合材料におけるモンモリロナイトの層間距離を測定したところ,70.0Åであった。
ここへ,硫黄3.0g,亜鉛華5.0g,ステアリン酸3.0g,加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーMSA−G)1.5gを添加して混練した。
【0067】
これらの混練物に表1に示す組成でブチルゴム及びカーボンを混練して,粘土複合ゴム材料を調製した(試料4〜6)。
【0068】
(比較用の試料1〜3)
比較のために,第2粘土複合材料を添加しないで,ゴム材料とカーボンとからなる材料を調製し,これらを試料1〜3とした。
【0069】
(比較用の試料11〜14,18,21〜26,参考用の試料15〜17,19,20)
比較,参考のために,分子内に不飽和基を持たない有機オニウムイオンを用いて粘土複合ゴム材料を調製した。
本例では,表2に示すごとく,第2粘土複合材料を用いた。第2粘土複合材料は,分子内に不飽和基を持たない有機オニウムイオンを用いて有機化された粘土鉱物と第3ゲスト分子とよりなる。上記有機オニウムイオンとしては,炭素数38のジステアリルジメチルアンモニウムイオン(以下,DSDMという。)を用いた。粘土鉱物としてはモンモリロナイトを用いた。これにより有機化された粘土鉱物としては,DSDM−モンモリロナイト(DSDM−Mtと表示する。)を用いた。DSDM−モンモリロナイトにおいて,DSDMとモンモリロナイトとの重量比は,常に同じとした。第3ゲスト分子としては,両末端に−OH基を有する液状ポリブタジエン(日本曹達(株) 商品名G2000)(液状ゴムと表示する。)を用いた。ゴム材料としては,ブチルゴム(日本合成ゴムButyl 268)を用いた。これらを表2に示す種々の配合比で用いて上記試料4〜6と同様に粘土複合ゴム材料を調製した。これらを比較用の試料11〜14,18,21〜26,参考用の試料15〜17,19,20とした。
【0070】
この中,試料18,21,22は,有機化されていない粘土鉱物として,未処理モンモリロナイト(Na−Mtと表示する。)を用いた例である。また,試料11〜14,18,21〜26は,DSDM−Mt未添加でシートを成形した例である。試料15〜17,19,20は,不飽和基を有しないDSDMで有機化されたモンモリロナイト及び液状ゴムをゴム材料に添加した例であり,この内,試料15〜17は更にカーボンを添加した場合,試料19,20はカーボンを添加しなかった場合である。
【0071】
(力学的特性の測定)
上記試料1〜6,11〜26の粘土複合ゴム材料の貯蔵弾性率,引張り強さ,伸び,引張り応力及びガス遮断性能を測定した。以下,測定方法を説明する。
貯蔵弾性率;粘弾性スペクトロメータにより測定した。
引張り強さ;粘土複合ゴム材料を均一に混練し,150℃,40分間加硫し厚み2mmのシートを成形し,ダンベル3号の試験片を切出し,これを引張り試験で引張り強さを測定した。
引張り応力;引張り強さと同様に引張り試験により測定した。
ガス遮断性能;粘土複合ゴム材料を均一に混練し,150℃,40分間加硫し厚み0.5mmのシートを成形し,窒素でのガス透過性を測定した。
【0072】
測定結果を表1,表2に示した。
尚,同表中,OL−モンモリロナイトの組成比の数値欄中,( )内の数値はモンモリロナイトの重量比を,( )左隣の数値はOL−モンモリロナイトの重量比を,それぞれ重量部にて示すものである。表1,表2の数値欄中,「−」,「×」は,測定不能であることを示す。
【0073】
同表より,OL−モンモリロナイトを用いた試料4〜6と,OL−モンモリロナイトを用いていない試料2とを比較すると,試料4〜6の方が,優れた力学的特性が得られることがわかる。
また,本例の試料4〜6は,試料15〜17と比較して,貯蔵弾性率,引張り強さ,伸び及び引張り応力が高かった。また,ガス遮断性能も高かった。
【0074】
この理由は,以下のように推定される。即ち,第3ゲスト分子であるポリイソプレン,及び有機オニウムイオンであるオレイルアンモニウムイオンは,いずれも分子内に不飽和基を持つ。そのため,両者を混練,加硫するときに,同時に有機オニウムイオンにも架橋結合が形成される。それ故,モンモリロナイトのシリケート層とブチルゴムとの界面が非常に強固に結合される。故に,シリケート層近傍のゴム分子の運動が拘束され,力学的性質,特に硬さや弾性率が向上すると考えられる。
【0075】
次に,表2に示した結果より,モンモリロナイトの有機化の有無について考察する。
有機化されたモンモリロナイト(DSDM−Mt)を用いた試料19と,有機化されていないモンモリロナイト(Na−Mt)を用いた試料22とを比較すると,試料19の方が,貯蔵弾性率及びガス遮断性に優れていた。
このことから,モンモリロナイトを有機化した方が優れた力学的特性が得られることがわかる。
【0076】
その理由は,モンモリロナイトを有機化すると,モンモリロナイトの層間に液状ブチルゴムが入り込み,層間が膨潤して,モンモリロナイトがゴム材料中において分子レベルで均一に分散する。これにより,モンモリロナイトがゴム材料の分子運動を拘束して,粘土複合ゴム材料の貯蔵弾性率及びガス遮断性等の力学的特性に良影響を与えることとなったものと考えられる。
【0077】
一方,モンモリロナイトを有機化しない場合には,その層間に液状ブチルゴムが入り込むことができず,層間は膨潤しない。そのため,モンモリロナイトがゴム材料中に均一に分散しない。そのため,ゴム材料の分子運動は拘束を受けにくい状態となる。このため,粘土複合ゴム材料の力学的特性は改良されなかったものと考えられる。
【0078】
次に,粘土複合ゴム材料の貯蔵弾性率について考察する。
試料15,16,17より,モンモリロナイト含量を5,10,15重量部と増加させると,貯蔵弾性率が著しく向上することがわかる。その理由は,有機化されたモンモリロナイトの層間に液状ブチルゴムが多く入り込むほど,層間が大きく膨潤して,モンモリロナイトがゴム材料の中に均一に分散しやすい状態となる。そして,モンモリロナイトが均一に分散することによって,貯蔵弾性率が高くなったものと考えられる。
また,試料19,20はいずれもカーボンが0であるが,この場合にも,モンモリロナイトの含量が高い試料20の方が貯蔵弾性率が向上した。
【0079】
次に,成形シートのガス遮断性について考察する。試料11は,カーボン量が多くモンモリロナイトが0である。一方,試料19,20は,カーボン量が少なくモンモリロナイト量が多い。これらを比較すると,モンモリロナイトの多い試料19,20のガス透過性が60〜70%低減した。このことから,モンモリロナイトの含量が多いほど,ガス遮断性が高くなることがわかる。
【0080】
【表1】
Figure 0003847484
【0081】
【表2】
Figure 0003847484
【0082】
参考例1
本例は,不飽和基を有しない有機オニウムイオンを用いて調製した粘土複合ゴム材料である。
本例の粘土複合ゴム材料は,第1粘土複合材料とゴム材料とが混練され,かつ,上記第1粘土複合材料中の第2ゲスト分子が,ゴム材料の分子と架橋結合をしている。
【0083】
上記粘土複合材料は,図1に示すごとく,炭素数6以上の有機オニウムイオン6で有機化された粘土鉱物7と,分子長が上記有機オニウムイオンと同じかそれよりも小さく,且つその分子内の極性基10が粘土鉱物7と水素結合している第1ゲスト分子1と,分子長が上記有機オニウムイオンよりも大きく,且つその分子内に極性基を有しない第2ゲスト分子2とよりなる。第1ゲスト分子1及び第2ゲスト分子2は,少なくともその一部が粘土鉱物7の層間に入り込んでいる。
【0084】
粘土鉱物は,ナトリウム型モンモリロナイト(山形県産,イオン交換容量120meq/100g)である。有機オニウムイオンは,ジステアリルジメチルアンモニウムイオン(DSDM)であり,その炭素数は38である。第1ゲスト分子はステアリン酸であり,その炭素数は18である。第2ゲスト分子は,液状ブチルゴム(ハードマン社製,商品名カレン800)であり,その分子量は約5000である。
【0085】
次に,上記粘土複合ゴム材料の製造方法について説明する。
まず,モンモリロナイト20.0gを80℃の水2000mlに分散させた。次に,ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド21.0gを80℃の水1500mlに溶解した。上記の分散液と溶解液とを一気に混合した。その沈澱物を80℃の水で2回洗浄して,DSDMで有機化されたモンモリロナイトを得た。これを,以下,DSDM−モンモリロナイトという。
【0086】
灼残法により求めたDSDM−モンモリロナイト中の無機含量は,54.2重量%であった。X線回折法により,DSDM−モンモリロナイトの層間距離を測定して,膨潤挙動を観察した。DSDM−モンモリロナイトの層間距離は,32.8Åであった。
【0087】
次に,溶媒としてのトルエン20gの中に,上記DSDM−モンモリロナイト1.0g,ステアリン酸0.5g,及び液状ブチルゴム(ハードマン社製,商品名カレン800)1.0gを添加し,6時間混合した。次に,減圧下においてトルエンを蒸発させた。これにより,第1粘土複合材料を得た。
【0088】
X線回折法により粘土複合材料におけるモンモリロナイトの層間距離を測定したところ,54.8Åであった。
このことから,ステアリン酸と液状ブチルゴムとを添加することにより,無添加の場合に比べて,モンモリロナイトの層間距離が拡大し,膨潤することがわかる。
【0089】
次に,上記第1粘土複合材料とゴム材料とを,ASTM D 3182に準拠し,ロールで混練した。上記ゴム材料は,ブチルゴム(日本合成ゴムButyl268)を用いた。
粘土複合ゴム材料の配合割合は,ゴム材料100重量部に対し,第1粘土複合材料20重量部(内,粘土鉱物5重量部),カーボン(旭カーボン#70)20重量部,亜鉛華1重量部,イオウ1.75重量部,加硫促進剤1重量部である。
【0090】
次に,均一に混練した後,150℃,40分間加硫で厚み2mmのシートを成形した。シートからダンベル3号の試験片を切りだし,引っ張り試験を行った。その結果,18.0MPaの引っ張り強さであった。
また,厚み0.5mmのシートも同様に成形し,窒素でのガス透過性を評価した。その結果,ガス透過率係数は1.9×10-11 cm3 ・cm・cm-2・sec-1・cmHg-1であった。
【0091】
【発明の効果】
以上のごとく,本発明によれば,極性の低いゴムポリマー中における粘土鉱物の分散性が高く,且つ力学的特性に優れた,粘土複合ゴム材料及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における,第1粘土複合材料の説明図。
【図2】本発明における,第2粘土複合材料の説明図。
【符号の説明】
1...第1ゲスト分子,
10,30...極性基,
100...第1粘土複合材料,
2...第2ゲスト分子,
200...第2粘土複合材料,
3...第3ゲスト分子,
6...有機オニウムイオン,
7...粘土鉱物,

Claims (13)

  1. 不飽和基を有する炭素数6以上の有機オニウムイオンがイオン結合することにより有機化された粘土鉱物と,分子長が上記有機オニウムイオンと同じかそれよりも小さく,且つその分子内の極性基が上記粘土鉱物と水素結合している第1ゲスト分子と,分子長が上記有機オニウムイオンよりも大きく,且つその分子内に不飽和基を有し,極性基を有しない第2ゲスト分子とよりなり,上記第1ゲスト分子及び第2ゲスト分子は,少なくともその一部が上記粘土鉱物の層間に入り込んでいる第1粘土複合材料及び/又は,
    不飽和基を有する炭素数6以上の有機オニウムイオンがイオン結合することにより有機化された粘土鉱物と,分子内に極性基と不飽和基とを有し,且つ分子長が上記有機オニウムイオンと同じかそれよりも大きい第3ゲスト分子とからなり,上記第3ゲスト分子は少なくともその一部が粘土鉱物の層間に入り込んでおり,上記第3ゲスト分子の極性基は粘土鉱物と水素結合を形成している第2粘土複合材料と,
    ゴム材料とが混練され,
    且つ上記第2ゲスト分子又は第3ゲスト分子の少なくとも一方が,上記ゴム材料の分子と架橋結合しており,
    上記第1粘土複合材料又は第2粘土複合材料の少なくとも一方の中の有機オニウムイオンは,上記第2ゲスト分子又は上記第3ゲスト分子の少なくとも一方と,上記ゴム材料の分子との間に架橋結合を形成していることを特徴とする粘土複合ゴム材料。
  2. 請求項1において,上記第1ゲスト分子及び/又は第3ゲスト分子の極性基は,水酸基,ハロゲン基,カルボキシル基,無水カルボン酸基,チオール基,エポキシ基,及びアミノ基のグループから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする粘土複合ゴム材料。
  3. 請求項1又は2において,上記第2ゲスト分子は,分子量が1000〜500000の非極性のオリゴマー又はポリマーであることを特徴とする粘土複合ゴム材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において,上記第3ゲスト分子は,分子量が500〜100000の非極性のオリゴマー又はポリマーであることを特徴とする粘土複合ゴム材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において,上記第1粘土複合材料における粘土鉱物の層間には,上記第1ゲスト分子全量の中の10重量%以上が入り込んでいることを特徴とする粘土複合ゴム材料。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項において,上記第2粘土複合材料における粘土鉱物の層間には,上記第3ゲスト分子全量の中の10重量%以上が入り込んでいることを特徴とする粘土複合ゴム材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項において,上記ゴム材料は,天然ゴム,イソプレンゴム,クロロプレンゴム,スチレンゴム,ニトリルゴム,エチレン−プロピレンゴム,ブタジエンゴム,スチレン−ブタジエンゴム,ブチルゴム,エピクロルヒドリンゴム,アクリルゴム,ウレタンゴム,フッ素ゴム,及びシリコーンゴムのグループから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする粘土複合ゴム材料。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項において,上記第1ゲスト分子は,直鎖状若しくは分岐状の構造のオレフィン又はパラフィン,または,直鎖状若しくは分岐状の構造で且つ主鎖及び/若しくは側鎖の中に芳香環を有するオレフィン又はパラフィンであることを特徴とする粘土複合ゴム材料。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項において,上記第3ゲスト分子は,直鎖状若しくは分岐状の構造のオレフィン又はパラフィン,または,直鎖状若しくは分岐状の構造で且つ主鎖及び/若しくは側鎖の中に芳香環を有するオレフィン又はパラフィンであることを特徴とする粘土複合ゴム材料。
  10. 粘土鉱物を,炭素数6以上の有機オニウムイオンに接触させることにより,上記粘土鉱物と上記有機オニウムイオンとの間にイオン結合を形成して上記粘土鉱物を有機化し,
    次に,分子長が上記有機オニウムイオンと同じかそれよりも小さく,且つその分子内に極性基を有する第1ゲスト分子と,分子長が上記有機オニウムイオンよりも大きく,且つその分子内に不飽和基を有しており,極性基を有しない第2ゲスト分子とを,上記粘土鉱物に接触させることにより,上記第1ゲスト分子の極性基を上記粘土鉱物に水素結合を形成させて上記粘土鉱物の表面を疎水化すると共に,上記粘土鉱物の層間に第2ゲスト分子の少なくとも一部を入り込ませることにより第1粘土複合材料を得た後,
    該第1粘土複合材料をゴム材料と混練すると共に,上記第2ゲスト分子の不飽和基とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成させる粘土複合ゴム材料の製造方法であって,
    上記有機オニウムイオンは不飽和基を有し,上記第1粘土複合材料をゴム材料と混練するステップにおいて,上記有機オニウムイオンの不飽和基と,上記第2ゲスト分子の不飽和基と,上記ゴム材料の中の不飽和基との間に架橋結合を形成させることを特徴とする粘土複合ゴム材料の製造方法。
  11. 粘土鉱物を,炭素数6以上の有機オニウムイオンに接触させることにより,上記粘土鉱物と上記有機オニウムイオンとの間にイオン結合を形成して上記粘土鉱物を有機化し,
    次に,上記粘土鉱物を,分子内に極性基と不飽和基とを有し,且つ分子長が上記有機オニウムイオンと同じかそれよりも大きい第3ゲスト分子に接触させることにより,上記粘土鉱物の層間に,上記第3ゲスト分子の少なくとも一部を入り込ませて,粘土鉱物との間に水素結合を形成して第2粘土複合材料を得た後,
    該第2粘土複合材料をゴム材料と混練すると共に,上記第3ゲスト分子の不飽和基とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成させる粘土複合ゴム材料の製造方法であって,
    上記有機オニウムイオンは不飽和基を有し,上記第2粘土複合材料をゴム材料と混練するステップにおいて,上記有機オニウムイオンの不飽和基と,上記第3ゲスト分子の不飽和基と,上記ゴム材料の中の不飽和基との間に架橋結合を形成させることを特徴とする粘土複合ゴム材料の製造方法。
  12. 請求項10又は11において,上記第1ゲスト分子及び/若しくは第2ゲスト分子,又は第3ゲスト分子は,溶媒に溶解した状態で,上記有機化された粘土鉱物に接触させることを特徴とする粘土複合ゴム材料の製造方法。
  13. 請求項10〜12のいずれか一項において,上記第1ゲスト分子及び/若しくは第2ゲスト分子,又は第3ゲスト分子は,熱により軟化又は溶融した状態で,上記有機化された粘土鉱物に接触させることを特徴とする粘土複合ゴム材料の製造方法。
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