JP3848593B2 - コンバイン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機体の左右の傾斜角が制御可能なコンバインにおいて、非作業時の回行等において、機体を基準高さにし、或いは、機体を絶対水平制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の大豆等を収穫するコンバインにおいて、大豆等は地表近くの高さにも実がなるため、できるだけ地表面近くの株元より刈り取り収穫することが望ましいが、数条一度に収穫する場合には、図15に示すように、左右の畝高さが異なると、一方の条は株元より刈り取り収穫できるが、他方は地面より上部位置で刈り取ることになるので、刈り残しが生じたり、または逆に、土中に突っ込んでしまい刈取部を傷めたりしてしまう。また、作業時に土中に刈取部を突っ込んでしまうと、収穫物に土や石等が混入して、収穫物を汚したり、土や石が収穫物に混じり品質が低下して商品価値も低下させてしまうのである。
【0003】
そこで、このような問題を解決するために、クローラ走行装置等左右一対の走行装置に、それぞれ機体昇降駆動用アクチュエータを配置して機体支持高さを変更可能とし、機体には傾斜検知手段を配置している。
【0004】
更に、刈取部においては、機体に対して刈取部を昇降可能に配置して、刈取部を昇降駆動用アクチュエータにより昇降可能とし、該刈取部の底部の左右方向複数箇所には対地高さ(刈り高さ)を検知する検知手段(36L・36R)を設け、前記傾斜角検知手段と対地高さ検知手段と機体昇降駆動用アクチュエータ及び刈取部昇降駆動アクチュエータをそれぞれ制御手段と接続して、刈取部が圃場面と平行となるようにする技術が公知なっている。例えば、特許2839820の技術である。
【0005】
この技術は、対地高さが所定値未満であれば、刈取部対地平行制御を実行し、刈取部の高さが所定値以上である状態が所定時間未満であれば制御動作を中止し、所定時間以上であれば機体水平制御を実行するようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のコンバインにおいて、刈取部が所定高さとなってから、更に所定時間経過後に機体水平制御を実行するので、刈取部を上昇させなが回行するときには、制御遅れとなって機体が傾斜した不安定な状態となり、走行停止しなければならない場合がある。また、刈取部の高さを刈高さセンサーで検知する構成とした場合、接地しているときに所定高さとなりその後に、所定時間経過後に、機体水平制御を行なうことになるので、機体を水平側に傾斜するときに刈取部が地面に接触する場合ある。また、対地平行制御時に、手動操作等で刈高さセンサが非接地となって所定時間経過するまではその高さを維持するので、対地平行制御に戻るのに時間がかかり制御遅れとなることがある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
機体の左右支持高さを独立して変更可能な左右一対の昇降駆動手段である油圧シリンダ(25L・25R)と、前記左右支持高さを検出する車高検知手段(26L・26R)と、機体の基準高さを設定する基準高さ設定手段(50)と、刈取部の高さを設定する刈り高さ設定手段(51)と、刈取部を昇降する昇降駆動手段としての油圧シリンダ(27)と、刈取部の左右の対地高さを検知する対地高さ検知手段(34L・34R)と、刈取部が最上昇位置に上昇されたことを検知する高位置センサー(66)と、前記各検出値を記憶する記憶手段(61)と、これらと接続して前記昇降駆動手段を制御する制御手段(60)を設けて、刈り高さ及び車高を制御するコンバインにおいて、刈取部を昇降するために、スイッチである刈取部昇降操作手段(64)を手動操作している場合には、手動操作制御モードにより制御し、そして、前記高位置センサー(66)がONされておらず、設定した高さまで自動的に刈取部を上昇させる自動上昇操作手段となるオートリフトスイッチ(65)がONされておらず、刈取部昇降操作手段(64)を手動で設定時間以上操作していない場合には、刈取部(4)は下降位置にあるとし、この状態での刈取作業は、地面に対して平行とする対地平行制御により行ない、また、前記高位置センサー(66)がONし、または、前記オートリフトスイッチ(65)がONされ、または、刈取部昇降操作手段(64)を手動で設定時間以上操作した場合であって、かつ、対地高さ検知手段(34L・34R)を構成する接地部材(36L・36R)が地面に非接地の場合には、前記機体の昇降手段である油圧シリンダ(25L・25R)を制御して、前記地面に対して平行とする対地平行制御を中止し、機体を水平にする絶対水平制御、または機体を基準高さ設定手段(50)で設定した基準高さとする基準高さ制御へ移行するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施例を説明する。
図1は本発明に係るコンバインの全体構成を示す側面図、図2は同じく平面図、図3は刈り高さ(対地高さ)検知手段の側面図、図4は油圧回路図、図5は制御ブロック図、図6は運転部内を示す図、図7は回行時のフローチャート図、図8は左右の対地高さセンサーの高さと出力値の関係を示し、左右のセンサー値の一方を他方に合わせる図、図9は左右の対地高さセンサーの出力値を補正するフローチャート図、図10刈取部の昇降駆動制御のフローチャート図、図11は刈り高さと出力センサー値の関係を示す図、図12は対地平行制御のフローチャート図、図13は左右のセンサー値の差と出力電圧の関係を示す図、図14は絶対水平制御のフローチャート図である。
【0010】
まず、本発明に係わるコンバインの全体構成について、図1、図2により説明する。
クローラ式走行装置1上にはシャーシ10が搭載され、該シャーシ10上には脱穀部2が搭載され、該脱穀部2の前方には、フィーダ室3を介して刈取部4が連設されると共に、脱穀部2の横側方には穀粒タンク5が搭載され、該穀粒タンク5の前方側には、運転部6が連設され、キャビンで覆われている。
【0011】
さらに、前記脱穀部2の下方には、揺動選別装置9が配置され、該揺動選別装置9の下方に横設された一番コンベアよりバケット式の揚穀コンベア7を介して、揺動選別装置9で選別された一番物などの精粒が穀粒タンク5に搬送されて貯留できるようにしている。該穀粒タンク5の下部には、スクリュー式の搬出コンベアが軸装され、該搬出コンベアの終端部は、その後部に立設した穀粒排出装置13下部に受継ぎケースを介して連通されている。
【0012】
該穀粒排出装置13はバケット式昇降機として上部に排出口を設け、該排出口より中継搬送装置14を介してコンベア式排出装置15の基部に連通され、該コンベア式排出装置15により穀粒タンク5内の穀粒を排出できるようにしている。該コンベア式排出装置15昇降回動及び旋回可能に構成されている。
【0013】
前記クローラ式走行装置1は左右一対配設されて、ミッションケースより伝動された動力により駆動される駆動スプロケット20、トラックフレーム24の後部にテンション機構介して取り付けられる従動スプロケット21、トラックフレーム24上に複数配置される遊転輪22・22・・・、駆動スプロケット20と従動スプロケット21と遊転輪22間に巻回されるクローラベルト23等から構成されている。そして、左右それぞれの前記トラックフレーム24とシャーシ10との間に機体支持高さ昇降駆動手段となる油圧シリンダ25L・25Rと揺動リンク機構と車高検知手段26L・26Rが配設され、該油圧シリンダ25L・25Rは後述する制御手段60により制御され、油圧シリンダ25L・25Rを伸長させることにより揺動リンク機構を構成する前後のベルクランクが回動されて、トラックフレーム24が平行に下方に移動されて機体を上昇させることができる。逆に油圧シリンダ25L・25Rを縮小するとトラックフレーム24が上方に移動されて、機体を下降させることができる。
【0014】
前記刈取部4はフィーダ室3の前部にオーガケース30を配設し、該オーガケース30内に横送りオーガを収納し、該オーガケース30の前下部に刈刃31を配置し、その両側から前方にデバイダ32を突出し、オーガケース30の前上方に掻込リール33を昇降可能に配置し、該オーガケース30と掻込リール33の間にリール昇降シリンダ39を配置して掻込リール33を昇降可能としている。また、フィーダ室3の下部とシャーシ枠10の間に刈取部4の昇降駆動手段として油圧シリンダ27が配設されている。そして、刈取部4の下部には複数の対地高さ(刈り高さ)検知手段34が配置されている。本実施例では左右に対地高さ検知手段34L・34Rが左右対称に配置されるので、一方について説明する。
【0015】
該対地高さ検知手段34はポテンショメータやロータリエンコーダ等の角度センサー35と、オーガケース30底部に配置される接地部材36と、該接地部材36と角度センサー35を連結する連結機構37等より構成される。角度センサー35はオーガケース30の側板の外側に固設され、該角度センサー35よりセンサーアーム35aが突出されている。接地部材36は左右方向に複数設けられ、図3に示すように、本実施例では左右対称に機体左右中央から両側方に延設されて、2個の側面視弓状に曲げた幅広板状のソリ状部材から構成されている。該接地部材36は前部に枢支軸40を横設して、オーガケース30底部に設けた支持部材41に枢支され、該枢支軸40より後方へ延出されている。該枢支軸40の側端部にはアーム42の基部が固設されて後方へ延出され、該アーム42の他端に連結ロッド43が枢支され、該連結ロッド43にはバネ44が外嵌されて接地時のショックを軽減し、該連結ロッド43の他端は連動アーム45の一端と連結し、該連動アーム45の中途部がオーガケース30の側面に軸46によって枢支され、該連動アーム45の他端は角度センサー35のセンサーアーム35aに当接されている。
【0016】
このようにして、刈取部4が下降されて、接地部材36が地表面に接地すると、アーム42、連結ロッド43、連動アーム45を介してセンサーアーム35aが回動されて、このセンサーアーム35aの回動は接地部36の回動と比例するので、その回動角が角度センサー35により検出され、対地高さを検知できるようにしている。この接地部36が最大下方に回動した状態が地面に対して非接触となった状態であり、最小回動した状態(上方に最大回動した状態)が接地部36が刈取部4の底面に当接した状態となる。
【0017】
また、図6に示すように、前記運転部6には丸ハンドル型のステアリングハンドル90が座席シート91前方に配置され、該座席シート91側方のサイドコラム92上には、主変速レバー93と副変速レバー94と作業クラッチレバー70と該作業クラッチレバー70のON・OFFを検知する手段としてのスイッチ71と、ボリューム等からなる刈り高さ設定手段51と刈取時の自動と手動を切り換える自動刈り高さスイッチ99と、クロスレバーで構成して前後方向の回動で機体の車高を、左右方向の回動で傾斜をそれぞれ手動で変更可能とする操作手段95と、水平セットスイッチ96と、ボリュームからなる本機傾斜角設定手段97と本機の基準高さ(車高)設定手段50が配置されている。
【0018】
更に、前記主変速レバー93には変速操作しながら操作可能とするために、刈取部4を昇降操作するレバースイッチからなる刈取部昇降操作手段64と、設定した高さまで自動的に刈取部を上昇させる自動上昇操作手段となるオートリフトスイッチ65と、刈取部4を自動的に設定した高さに下降させるオートセットスイッチ98が配置されており、上記設定手段や操作スイッチ等は図5に示す如く制御手段(コントローラ)60と接続されている。なお、刈取部のオートリフトスイッチ65による上昇位置設定は、例えば、刈取部昇降操作手段64により所望の高さに刈取部4を位置させてオートリフトスイッチ65をONすることによりセットできる。また、下降位置設定は刈取部4を刈取部昇降操作手段64により所望の高さに下降させてオートセットスイッチ98をONすることによりセットできる。また、刈取部4の回動基部近傍には刈取部4の高さを検知する高さセンサー69が配置され、本機任意場所には機体の傾斜を検知する傾斜センサー29が配置されている。
【0019】
また、刈取部4の高さを最上昇位置に上昇されたことを検知する高位置センサー66が刈取部4の昇降回動基部に配置され、コントローラ60と接続されている。本実施例ではフィーダ室3の上後方の脱穀室前部上に高位置センサー66が配置され、刈取部4が上昇されて最上昇位置に至ると高位置センサー66がONする構成としている。
【0020】
次に、図4、図5より油圧回路と制御装置について説明する。
前記機体の支持高さを変更する昇降駆動手段となる油圧シリンダ25L・25Rはそれぞれ電磁切換バルブ52L・52Rを介して油圧ポンプと接続され、該電磁切換バルブ52L・52Rのソレノイドは制御手段となるコントローラ60と接続されて、該コントローラ60からの制御信号によって電磁切換バルブ52L・52Rが切り換えられる。この切換制御は後述する。
【0021】
また、刈取部4の高さを変更する昇降駆動手段となる油圧シリンダ27は電磁バルブ53を介して油圧ポンプと接続され、該電磁バルブ53のソレノイドはコントローラ60と接続されて、昇降制御される。また、リール昇降用の油圧シリンダ39は電磁バルブ54と接続され、オーガ昇降用の油圧シリンダ55は電磁バルブ56と接続され、排出コンベア駆動用油圧モータ57は電磁バルブ58と接続され、それぞれの電磁バルブのソレノイドはコントローラと接続されて制御される。
【0022】
また、エンジンは電子ガバナ式のディーゼルエンジンが利用され、ラック位置センサー67により、ラック位置を検知することにより過負荷を検知できるようにしており、過負荷となると警報装置68が作動する構成としている。該ラック位置センサー67及びブザーやランプ等よりなる警報装置68はコントローラ60と接続されており、後述する回行時においては警報装置68により警報を発しないように制御している。つまり、作業時において設定負荷よりも過負荷となると、エンストしたり、伝動装置や処理装置等が傷められたりするので、警報装置68により警報を発するが、作業クラッチを「入」として回行するときも、過負荷となり易い。しかし、回行時には殆ど脱穀装置や揺動選別装置における負荷が小さくなっており、エンジン自体にも余裕があるために、回行時においては設定負荷よりも過負荷となっていても、エンストしたり、損傷を与える程度でもない。このとき、頻繁に警報が発せられるとオペレーターにとって不愉快となる。
【0023】
そこで、本発明では後述する回行状態であることを検知したときには、過負荷となっても警報装置68により警報を発しないように制御している。即ち、刈り高さ検知手段34が非接地状態であって、かつ、昇降操作手段64を上昇に切り換えてから設定時間が経過した時または高位置センサー66がONまたはオートリフトスイッチ65がONされたときに、警報装置68への駆動信号をOFFとするのである。
【0024】
刈取作業中において、圃場端に至り回行する場合、刈取部昇降操作手段(昇降レバー)64を操作し、この操作信号がコントローラ60に送信され、または、オートリフトスイッチ65を操作することにより、コントローラ60から電磁バルブ53を切り換えて油圧シリンダ27伸長させて刈取部4が上昇される。該刈取部4が最上昇位置まで上昇すると、高位置センサー66がONする。そして、刈取部4が上昇されて接地部材36L・36Rが地表より離れて非接地となると、つまり、刈高さ検知手段34L・34Rが最高値を検出すると、回行と判断して、対地平行制御から絶対水平制御に移行して制御を行なう。または、対地平行制御から機体を基準高さとする。
【0025】
この絶対水平制御または機体を基準高さとするのは、回行時において、機体が圃場端で対地平行の状態が旋回外側に傾斜した状態であって、そのまま旋回すると慣性により外側へ大きく傾いて不安定となってしまうので、旋回時には機体を水平にし、または、基準高さに機体を合わせて地面と平行とし、安定した機体の姿勢のまま旋回しようとする。そして、次の条の刈り開始時において、刈取部を下降して刈取作業を行なうときに、先端が地面に突っ込むことを防止しているのである。
【0026】
次に、具体的な制御について説明する。
まず、図7に示すように、刈取部4を昇降するために刈取部昇降操作手段64を手動操作していると(130)、手動操作制御モード(131)により制御する。そして、高位置センサー66からの入力により刈取部4が高位置になく(132)、オートリフトスイッチ65がONされておらず(133)、手動上昇スイッチを設定時間以上操作していない(134)場合では、刈取部は下降位置にあり、この状態での刈取作業は対地平行制御により行なわれる(135)。また、刈取部4が高位置(132)、または、オートリフトスイッチがONされた時(133)、または、手動上昇スイッチを設定時間以上操作した(134)場合であって、かつ、刈り高さ検知手段34の接地部材36L・36Rが非接触の場合(136・137)、絶対水平制御または機体を基準高さとする制御が行なわれる。なお、対地平行制御と絶対水平制御は後述する。
【0027】
前記対地高さを検知する角度センサー35は接地部材36毎に配置されており、本実施例では二つ左右に配置されて、それぞれコントローラ60と接続されている。前記角度センサー35L・35Rはセンサー自体の出力値のバラツキに加えて、取付時において誤差が生じるため、刈取部4の対地高さが左右同じあっても左右の出力値が異なり、本機が地面に対して平行に保てなくなることがあった。そこで、本実施例では、初期設定時において、刈取部4を昇降させて、そのときの左右の角度センサー35L・35Rのそれぞれの検値範囲を、それぞれコントローラ60に設けた記憶手段61に記憶し、左右一方の検出値を基準として、他方の検出値を基準側の値に換算して対地制御するようにしている。
【0028】
即ち、前記左右の角度センサー35L・35Rのそれぞれの検出値(出力電圧)は対地高さに対して、例えば、図8に示すような特性となる。そして、左右のセンサーのいずれか一方(本実施例では右側)の値Bを基準とし、他方(左側)の値Aを刈取部4が同じ高さで値Bに一致するように演算し、制御入力とする。言い換えれば、他方のセンサーの値Aが一方のセンサーで検出した値と同じとなるように換算(補正)する。
【0029】
つまり、図7に示すようにコントローラ60で制御する。まず初期設定時において、機体を水平にして水平な地面上で、刈取部4を最上昇位置から下降して接地部材36・36がオーガケース30の底板に当たるまで下降する(501)。この下降した時の油圧シリンダ27の同一ストロークに対する角度センサー35L・35Rの検出値A・Bを読み込む(502)。該各検出値A・Bから同一高さにおいてBに対するAの値を記憶して(503)初期設定を終了する(504)。そして、作業時における対地制御時においては、Bを基準とする場合には、角度センサー35LからA1が入力されると、該A1の値のときのB1を角度センサー35Lの検出として制御入力するのである。但し、前記初期設定時において、Aの特性とBの特性を演算式で表し、Aの値からBの値を演算して制御入力とすることもできる。
【0030】
また、前記(503)の処理は対地平行制御中に行なうようにすることも可能である。つまり、対地平行制御中に検出値A・Bの記憶値を読み出し、換算式からBに対するAを求めて、制御入力として制御することもできる。この場合、換算しないA・Bの値は他の制御に利用することができ、元に戻すような演算を省くことができる。このようにして、左右のセンサーが同じストロークの変化に対しては、同じ制御入力となり、傾斜制御を行なう場合に、左右の高さに誤差なく正確な左右角度で制御しながら作業ができるのである。
【0031】
次に、対地平行制御時について説明する。
刈取部4を地面に対して水平制御を行いながら刈取作業を行なうと、圃場面(畝)に凹凸があると、図15に示すように、左右方向において地面に刈取部が突っ込まないように高い側の高さに合わせて対地高さが制御される。しかし、大豆等の収穫作業の場合、低い側の株元にも結実しているために実を刈り残してしまう。そこで、刈取部4を地面に対して平行に位置させて刈取作業を行なうように制御(対地平行制御)することにより、未刈り部分をできるだけ少なくし、圃場面に突っ込まないようにする。このとき、左右の高低差が大きいと、左右一方の接地部材36が地表より浮いてしまう。この場合、対地平行制御が左右の接地部材の角度差が大きくても小さくても同じ昇降制御速度であると、差が大きい場合には制御遅れとなって、未刈り部分が多くなってしまう。
【0032】
そこで、本実施例では左右一方の接地部材36は接地しているが、他方の接地部材が地表より浮いている場合には、高速でアクチュエータ(油圧シリンダ25L・25R)を駆動して接地させるようにして、制御遅れができるだけ小さくなるようにするものである。
【0033】
次に、具体的に刈取制御について説明する。
まず刈取部4の高さ制御から説明する。なお、図11において、目標高さをx、不感帯の下限値をx5、不感帯の上限値をx6、設定高さより大きく下方に離れて低速で処理する下限値をx4、上限値をx7とする。図10において、各センサーの記憶値を読み込み(210)、刈取部が下降させられて自動刈高さ制御に移行できる条件が整っているか判断し(211)、移行条件を満足できると、センサー35L・35Rの検出値A・Bを読み込み(212)、前述のようにAの値をBの値に換算して(213)誤差を修正する(BをAに換算しても良い)。
【0034】
次に、刈取部4の左右の低い方を目標高さに合わせるように刈取部4を昇降するために、AとBを比較して(214)、Bが大きい場合(右が高い場合)低い側(左側)のAに合わせる。このとき目標値xから大きく離れていないかを判断するためにAとx4を比較して(215)、x4よりも低い場合には高速で上昇して(216)制御遅れを小さくする。x4よりも低くないときはx5と比較して(217)、x5よりも低い場合は低速で上昇し(218)ハンチング等が生じないように上昇させる。x5よりも低くないときはx6と比較して(219)、x6よりも低い場合は不感帯内に入っているので昇降は停止する(220)。x6よりも高い場合はx7と比較して(221)、x7よりも低い場合にはハンチングしないように低速下降し(222)、x7よりも高い場合は大きく目標値より離れているので制御遅れが生じないように高速下降させる(223)。
【0035】
また、(214)のステップにおいて、AよりもBが小さくて左が低い場合には、Bとx4を比較して(230)、前記同様に、Bがx4より低い場合には高速上昇し(231)、高い場合にはx5と比較して(232)、x5よりも低い場合には低速上昇し(233)、高い場合にはx6と比較して(234)、x6より低い場合には不感帯内に位置しているので昇降を停止する(235)。x6よりも高い場合にはx7と比較して(236)、x7より低い場合には低速下降し(237)、高い場合には大きく目標値より離れているので高速下降する(238)。
【0036】
次に、対地平行制御について説明する。なお、図11において、接地部材36が地表より離れる高さをx1、図13において、左右センサー35L・35Rの検出値の差の正側の低速駆動限界値(不感帯上限値)をx2、負側の低速駆動限界値(不感帯下限値)をx3、左側の対地高さを検知する角度センサー35Lの値をA、右側の角度センサー35Rの値をBとする。
【0037】
図12に示すように、前述の如く刈取部4を下降させた状態で刈取作業を行なう時において、左右センサー35L・35Rの検出値を読み込み(250)、該センサー値を前述の如く左右一方に合わせるように換算する(251)。次に、左側の接地部材36Lが地表より離れる高さx1と比較して(252)、同じかそれ以上に高い場合は接地部材36Lは地表より浮いて設定高さよりも大きく乖離していることになるので、高速で本機を左傾斜させる(253)。また、右側の接地部材36Rが地表より離れる高さx1と比較して(254)、同じかそれ以上に高い場合は接地部材36Rは地表より浮いて設定高さよりも大きく乖離していることになるので、高速で本機を右傾斜させる(255)。
【0038】
次に、左右の高さを比較するために、左側の高さAと右側の高さBの差を上側の不感帯値x2と比較し(256)、その差が不感帯の上限x2よりも大きい場合には左側が高いために、設定高さに近づけるように低速で左傾斜させる(257)。また、その差を不感帯の下限x3と比較して(258)、該差が不感帯の上限x3よりも小さい場合には右側が高いために、設定高さに近づけるように低速で右傾斜させる(259)。上限x2よりも小さく下限x3よりも大きい場合には不感帯に入っているため駆動を停止してその傾斜を維持するのである。
【0039】
こうして左右の高さを接地部材36により検知して、刈取部4が設定高さよりも大きく離れていると、高速で下降させて制御遅れをなくし、次に左右の高さを比較して、不感帯より外れていると低速で昇降させてハンチング等が生じないようにして、刈取精度が向上するようにしている。なお、機体を左右に傾斜させるために油圧シリンダ25L・25Rを伸縮駆動するが、左右いずれか一方が下降限界となっていると、その側が高くて下げようとしても下げることができないので、他側を上げるように制御している。また逆に、上昇限界となっていると、上げようとしても上げられないので、他側を下げるように制御している。よって、前述のように、左傾斜、右傾斜としているのはその側が下がるようにアクチュエータの駆動を制御していることを意味する。
【0040】
次に、機体の絶対水平制御について図14より説明する。
まず、自動制御時において手動操作が優先されるので、手動操作レバー(操作手段95)を左右に回動することにより本機を傾倒でき、手動操作レバー95がOFFで(301)、水平セットスイッチ96がONされていない場合は(302)、本機傾斜設定手段97により設定した角度により傾倒制御される。つまり、傾斜角度センサーの値と左右の支持高さと設定角度を読み込み(310)、設定傾斜角から所定の角度内に入った、所謂、不感帯に入っていればその角度を維持し、不感帯より外れて(311)、設定角度よりも右下がりであると、右側を上昇させ(314)、左側が下がっていると、左油圧シリンダにより上昇させる(313)。また、水平スイッチ96がONされると(302)、機体の傾斜角センサー29からの値と、左右支持高さを読み込み(304)、水平に対して不感帯内(305)であればその角度を維持し、左下がりであれば(306)左を上昇し、右下がりであれば右を上昇させる。
【0041】
但し、絶対水平制御や設定傾斜角制御の場合、左右一側を基準として、他側を昇降するようにしており、一側が上昇限界または下降限界に位置しているときは、他側を水平または設定角度になるように昇降駆動する。また、水平または設定角度より大きく離れていると、昇降駆動速度を速くし、水平または設定角度近傍においては昇降速度を遅くして傾倒制御が正確に行なわれるようにしている。また、自動水平制御または設定傾斜角制御の場合において、機体が水平または設定角度と異なる場合に、上限に位置している場合を除き、左右一側を上昇させて水平または設定角度とする上昇優先方式を採用することもできる。または、逆に下降優先方式を採用することもできる。また、特定のファジールールに従ったファジー制御を採用することもできる。
【0042】
以上のようにして、自動制御状態で、水平セットスイッチをONした状態で、刈取作業を行なうと、対地高さ検知手段34により対地高さを検知して、対地平行制御を行なって、地面から所定の高さで刈取を行い収穫作業を行なう。そして、圃場端に至り回行するために、刈取部をオートリフトスイッチ65を操作したり、刈取昇降操作手段64を上昇操作したり、または、上昇位置を検知し、かつ、接地部材36L・36Rが地表より離れて非接地となると、絶対水平制御を行なうようにしている。または、絶対水平制御の代わりに、機体が基準高さとなるように油圧シリンダ25L・25Rを伸縮して機体を昇降し、回行時は機体を安定した状態で回行走行できるようにしているのである。
【0043】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
機体の左右支持高さを独立して変更可能な左右一対の昇降駆動手段である油圧シリンダ(25L・25R)と、前記左右支持高さを検出する車高検知手段(26L・26R)と、機体の基準高さを設定する基準高さ設定手段(50)と、刈取部の高さを設定する刈り高さ設定手段(51)と、刈取部を昇降する昇降駆動手段としての油圧シリンダ(27)と、刈取部の左右の対地高さを検知する対地高さ検知手段(34L・34R)と、刈取部が最上昇位置に上昇されたことを検知する高位置センサー(66)と、前記各検出値を記憶する記憶手段(61)と、これらと接続して前記昇降駆動手段を制御する制御手段(60)を設けて、刈り高さ及び車高を制御するコンバインにおいて、刈取部を昇降するために、スイッチである刈取部昇降操作手段(64)を手動操作している場合には、手動操作制御モードにより制御し、そして、前記高位置センサー(66)がONされておらず、設定した高さまで自動的に刈取部を上昇させる自動上昇操作手段となるオートリフトスイッチ(65)がONされておらず、刈取部昇降操作手段(64)を手動で設定時間以上操作していない場合には、刈取部(4)は下降位置にあるとし、この状態での刈取作業は、地面に対して平行とする対地平行制御により行ない、また、前記高位置センサー(66)がONし、または、前記オートリフトスイッチ(65)がONされ、または、刈取部昇降操作手段(64)を手動で設定時間以上操作した場合であって、かつ、対地高さ検知手段(34L・34R)を構成する接地部材(36L・36R)が地面に非接地の場合には、前記機体の昇降手段である油圧シリンダ(25L・25R)を制御して、前記地面に対して平行とする対地平行制御を中止し、機体を水平にする絶対水平制御、または機体を基準高さ設定手段(50)で設定した基準高さとする基準高さ制御へ移行するので、刈取部が完全に地表より上がった状態では、非作業時の走行または旋回時となり、安定した機体姿勢で走行や旋回ができるようになる。
また、次の条に移動して、刈り始める時に、地面と平行に刈取部が下降するので刈刃等が地面に突っ込み難くなる。
【0044】
また、絶対水平制御とすることにより、非作業時の走行または旋回時において、機体が地面に対して水平となり、旋回時の慣性力で機体が大きく傾くことがなくなり、安定した機体姿勢で旋回ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るコンバインの全体構成を示す側面図である。
【図2】 同じく平面図である。
【図3】 対地高さ検知手段の側面図である。
【図4】 油圧回路図である。
【図5】 制御ブロック図である。
【図6】 運転部内を示す図である。
【図7】 回行時のフローチャート図である。
【図8】 左右の対地高さセンサーの高さと出力値の関係を示し、左右のセンサー値の一方を他方に合わせる図である。
【図9】 左右の対地高さセンサーの出力値を補正するフローチャート図である。
【図10】 刈取部の昇降駆動制御のフローチャート図である。
【図11】 刈り高さと出力センサー値の関係を示す図である。
【図12】 対地平行制御のフローチャート図である。
【図13】 左右のセンサー値の差と出力電圧の関係を示す図である。
【図14】 絶対水平制御のフローチャート図である。
【図15】 従来の刈取を示すコンバインの正面図である。
【符号の説明】
4 刈取部
25L・25R 昇降駆動手段
26L・26R 車高検出手段
27 昇降駆動手段
34L・34R 対地高さ検知手段
50 本機高さ設定手段
51 刈り高さ設定手段
60 制御手段
Claims (1)
- 機体の左右支持高さを独立して変更可能な左右一対の昇降駆動手段である油圧シリンダ(25L・25R)と、前記左右支持高さを検出する車高検知手段(26L・26R)と、機体の基準高さを設定する基準高さ設定手段(50)と、刈取部の高さを設定する刈り高さ設定手段(51)と、刈取部を昇降する昇降駆動手段としての油圧シリンダ(27)と、刈取部の左右の対地高さを検知する対地高さ検知手段(34L・34R)と、刈取部が最上昇位置に上昇されたことを検知する高位置センサー(66)と、前記各検出値を記憶する記憶手段(61)と、これらと接続して前記昇降駆動手段を制御する制御手段(60)を設けて、刈り高さ及び車高を制御するコンバインにおいて、刈取部を昇降するために、スイッチである刈取部昇降操作手段(64)を手動操作している場合には、手動操作制御モードにより制御し、そして、前記高位置センサー(66)がONされておらず、設定した高さまで自動的に刈取部を上昇させる自動上昇操作手段となるオートリフトスイッチ(65)がONされておらず、刈取部昇降操作手段(64)を手動で設定時間以上操作していない場合には、刈取部(4)は下降位置にあるとし、この状態での刈取作業は、地面に対して平行とする対地平行制御により行ない、また、前記高位置センサー(66)がONし、または、前記オートリフトスイッチ(65)がONされ、または、刈取部昇降操作手段(64)を手動で設定時間以上操作した場合であって、かつ、対地高さ検知手段(34L・34R)を構成する接地部材(36L・36R)が地面に非接地の場合には、前記機体の昇降手段である油圧シリンダ(25L・25R)を制御して、前記地面に対して平行とする対地平行制御を中止し、機体を水平にする絶対水平制御、または機体を基準高さ設定手段(50)で設定した基準高さとする基準高さ制御へ移行することを特徴とするコンバイン。
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