JP3852869B2 - 重合性化合物およびそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合性化合物およびそれを用いる液晶表示素子に関する。より詳細には、本発明は、高分子(または高分子壁)に囲まれた液晶層を有する液晶表示素子の高分子(または高分子壁)と液晶領域との界面において、液晶領域内の液晶分子の配向規制力を高めるための重合性化合物と、それを用いる液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
(液晶材料と高分子材料とを用いた液晶表示素子)
(i)特表昭58−501631号公報には、高分子材料でカプセル化された液晶材料を有する高分子分散型液晶表示素子が記載されている。この液晶表示素子では、液晶材料と高分子材料との屈折率の違いを利用して、電圧無印加時には液晶分子の散乱による白濁状態を表示し、電圧印加時には液晶分子の屈折率の変化により透明状態を表示する。また、特表昭61−502128号公報には、液晶組成物と光硬化性樹脂との混合物に紫外線を照射して、液晶材料と硬化した樹脂とを3次元的に相分離させてることにより形成した液晶層を有する液晶表示素子が記載されている。これらの素子は、基本的に、液晶層の入射光の散乱(白濁)−透過(透明)状態の変化を電気的に制御する液晶表示素子である。
【0003】
(ii)特開平1−269922号公報には、液晶組成物と光硬化性樹脂(高分子材料)との混合物に対して、ホトマスクを介して紫外線を選択的に照射し(1段目)、さらに、ホトマスクを除いて紫外線照射(2段目)することにより、1段目の紫外線照射においてホトマスクで遮光した領域に選択的に紫外線を照射して、異なる特性の領域を形成する技術が記載されている。こうして得られる素子は基本的に散乱型素子である。
【0004】
一方、特開平5−257135号公報には、配向規制力を有する配向膜が設けられた基板間に、液晶組成物と光硬化性樹脂との混合物を注入し、基板上に配設したホトマスクを介して紫外線を照射することにより得られる液晶層を有する液晶素子が記載されている。この素子は、ホトマスクが配置されていた内側部分と外側部分とで液晶領域の電圧印加による光学特性が異なることを利用して、ホトマスクのパターンの絵模様が液晶層に反映するように形成される。この素子は、各基板上に設けられた電極間に印加する電圧により、液晶層の光線透過率を制御するスタティック駆動用液晶素子である。従って、後述する本発明の素子のようなマトリックス駆動用液晶素子とは構成が異なる。
【0005】
(液晶表示素子の視角特性の改善の原理)
液晶表示素子の視角特性を改善するためには、画素(液晶領域)内で少なくとも3方向以上の方向に液晶分子を配向させることが必要である。この視角特性の改善の原理を、図27および図28を参照して説明する。
【0006】
図27は、高分子壁を有さないTNモードの液晶表示素子の概略断面図であり、図28は、高分子壁で囲まれた液晶領域を有する液晶表示素子の概略断面図である。図27の液晶表示素子は、対向配設された基板1と、この基板1、1間に挟まれた液晶層10とを有する。液晶層10では、液晶分子は一方向に配向している。一方、図28の液晶表示素子は、対向配設された基板1と、この基板1、1に挟まれた液晶層20とを有し、液晶層20は、高分子壁21に囲まれた液晶領域20とからなる。液晶領域20では、液晶分子は、軸Xに対して軸対称状に配向している。図27および図28において、(a)は、それぞれ、液晶層10および20に電圧を印加していない状態を示し、(b)は、それぞれ、液晶層10および20に電圧を印加して中間調を表示している状態を示し、(c)は、それぞれ、液晶層10および20に飽和電圧を印加した状態を示す。
【0007】
図27(b)からわかるように、中間調表示状態では、液晶表示素子を方向Aから見た場合の液晶分子の屈折率と、方向Bから見た場合の液晶分子の屈折率とが異なる。従って、方向Aから見た場合と、方向Bから見た場合とでは、コントラストが異なる。一方、図28(b)からわかるように、液晶分子が軸対称状に配向している場合は、中間調表示状態で、方向Aから見た場合と、方向Bから見た場合の液晶分子の見かけ上の屈折率が平均化されて、両方向AおよびBから見た場合のコントラストが等しくなる。
【0008】
このように、図28で示すように、液晶分子が軸対称状に配向している液晶表示素子の視角特性は、図27で示すTNモードの液晶表示素子の視角特性と比べて改善されることになる。
【0009】
(広視角モードを有する素子の具体例)
▲1▼特開平4−338923号公報および特開平4−212928号公報には、前述の高分子分散型液晶表示セルに互いに直交する偏光子を組み合わせた広視野角モードの液晶表示素子に関する技術が記載されている。
【0010】
▲2▼特開平5−27242号公報には、偏光板を用いる非散乱型液晶表示素子の視角特性を改善する方法として、液晶と光硬化性樹脂との混合物から相分離により、液晶と高分子体との複合材料を作製する方法が記載されている。この方法では、生成した高分子体の影響により液晶ドメインの配向状態がランダム状態になる。従って、電圧印加時に個々の液晶ドメインで液晶分子の立ち上がる方向が異なるために、各方向から見た液晶分子の見かけ上の屈折率が等しくなり、中間調表示状態での視角特性が改善される。
【0011】
▲3▼特開平6−265902号公報および特開平6−324337号公報には、液晶表示セルを構成する基板の各画素毎に、同心円状または軸対称状の配向処理を施すことにより、広視野角モードの液晶表示素子を作製する技術が記載されている。これらの技術では、各画素毎に液晶分子の配向を制御することが重要であるが、そのためのプロセスが複雑であり、極めて制御性が低いことが問題である。
【0012】
▲4▼最近、本発明者らは、特開平6−301015号公報にて、視角特性が改善された液晶表示素子を提案している。この液晶表示素子は、液晶組成物と光硬化性樹脂とを含有する液晶表示セル中に、ホトマスクを介して光照射をすることにより作製される。作製された液晶表示素子では、マスクの遮光領域に当たる画素部で液晶分子が全方向的な配向状態(軸対称状配向)となった液晶領域が形成され、マスクの透光部で主に光硬化性樹脂からなる高分子壁が形成される。この液晶表示素子では、液晶分子が全方向的な配向状態を形成しており、図28で説明したような電圧応答挙動で動作することにより、視角特性が著しく改善されている。
【0013】
図29に、図28に示した液晶表示素子の、電圧印加時の平面図を示す。図において、素子作製時にホトマスクを設けた位置を破線23で示す。図29からわかるように、液晶領域20は、ほぼホトマスクの形状を反映して形成される。このように、液晶領域20に存在する液晶分子が、軸(図28(a)で示す基板面に対して垂直方向の軸X)に対して対称状に配向している場合、通常、電圧印加時の液晶領域20外周部などにリバースチルトによるディスクリネーションライン22が発生する。
【0014】
▲5▼そこで、本発明者らは引き続いて、特願平6−132288号にて、上記▲4▼で説明した液晶表示素子で問題となった電圧印加時で発生するディスクリネーションを改善するために、液晶組成物と光硬化性樹脂との混合物に、液晶類似骨格を有する直鎖状重合性化合物を添加することを提案している。
【0015】
▲6▼さらに、本発明者らは上記▲5▼の発明において課題として残されていた応答速度および電圧−透過率特性の急峻性などの問題点を解決するためにパーフルオロ基などのフッ化アルキル基を導入した液晶類似骨格を有する直鎖状重合性化合物を樹脂系として添加した材料組成物およびこれらの材料組成物を用いて作製した液晶素子に関する発明を特願平7−175264号において提案した。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記▲4▼で説明した液晶表示素子では、高分子壁と液晶領域との界面において、液晶分子のリバースティルトによるディスクリネーションが発生するという問題がある。このディスクリネーションが輝線として表示されるために黒状態での表示特性が低下する。
【0017】
一方、このディスクリネーションの発生を抑制するために、上記▲5▼で提案したような重合性化合物を用いた液晶表示素子では、次のような2つの問題が認められている。第1に、液晶領域における液晶分子のプレティルトが大きくなり、電圧無印加時に明るさが減少するという問題がある。第2に、高分子−液晶複合層および高分子壁と液晶領域との界面に存在する相互作用などにより、液晶素子の応答速度の劣化、ならびに電圧−透過率特性の閾値特性および急峻性の劣化などの問題が認められる。
【0018】
さらに、上記▲4▼などの液晶表示素子においては、視角特性改善に必要な画素内で全方位配向を取らせるための液晶の配向制御を行う方法と、液晶と高分子との界面で起こる散乱による脱偏光によるコントラストの低下を防ぐ方法とが問題となる。液晶と高分子との界面で起こる散乱を抑制するには、画素内に液晶と高分子との界面を少なくする方法が考えられる。しかし、従来の方法では、3次元高分子マトリクス中に生成する液晶ドロップレットのサイズ、形成位置などを制御することが極めて困難である。
【0019】
これらの問題点を解決するために、ディスクリネーション発生の抑制だけでなく、応答速度および電圧−透過率特牲の劣化がないような重合性化合物を選択することは重要であり、あわせて、画素に少なくとも1つの液晶ドロップレットを形成することが有用である。すなわち、従来の液晶表示モードを疑似固体化した液晶表示素子を実現するためには、上述の液晶配向の制御と散乱強度の抑制という問題を両方または単独に解決する必要がある。
【0020】
さらに、従来の液晶類似骨格を有する直鎖状重合性化合物は、(1)その反応性に起因して、未反応の化合物が残留することにより液晶表示素子の特性が低下するという問題;(2)重合性化合物の分子構造に起因して、形成される高分子(壁)の強度(例えば、耐圧力性、耐衝撃性)および耐熱性が不十分であり、その結果、液晶表示素子の強度および耐熱性が不十分であるという問題;などの本質的な問題を有している。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ディスクリネーションラインを発生させず、応答速度および電圧−透過率特性の劣化が少なく、電圧無印加時にも明るく、高いコントラストを有し、かつ強度(例えば、耐圧力性、耐衝撃性)および耐熱性に優れる液晶表示素子が得られる重合性化合物、およびそのような液晶表示素子を提供することにある。
【0022】
本発明者らは、鋭意検討した結果、液晶類似骨格を有し、かつ、分岐した重合性活性基を有する多官能性化合物を用いることにより、ディスクリネーションラインを発生させず、応答速度および電圧−透過率特性の劣化が少なく、電圧無印加時にも明るく、高いコントラストを有し、しかも強度(例えば、耐圧力性、耐衝撃性)および耐熱性に優れる液晶表示素子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0023】
本発明の重合性化合物は、下記式(I)で表される化合物である:
【0024】
【化3】
【0025】
ここで、Xは、水素原子またはメチル基であり;lおよびmは、それぞれ独立して、0〜14の整数であり;Yは、単結合、-COO-、-OCO-、または-O-であり;nおよびpは、それぞれ独立して、0〜18の整数であり;qおよびsは、それぞれ独立して、0または1であり;RAおよびRBは、それぞれ独立して、式(II)または式(III)で表される:
【0026】
【化4】
【0027】
ただし、Y が -O- であるとき、n=1、p=0、q=0ではなく、そして Y が単結合であるとき、n=0、p=1、q=1またはn=1、p=0、q=1ではなく;RAが式(II)で表されるとき、RBは式(II)で表される。
【0028】
好適な実施態様においては、上記式(I)において、n+p≦18である。
【0029】
好適な実施態様においては、上記式(I)において、n+p≦18であり、かつ、s=0である。
【0030】
好適な実施態様においては、上記式(I)において、n+p≦18であり、かつ、s=1である。
【0031】
本発明の液晶表示素子は、一対の基板間に、高分子と該高分子で囲まれた液晶領域とを有する液晶層が挟持されている液晶表示素子であって、該高分子が、上記重合性化合物を少なくとも含有する重合前駆体から形成される。
【0032】
好適な実施態様においては、上記液晶領域内の液晶分子の配向状態は、軸対称状、放射状または同心円状配向、渦巻状配向、あるいはランダム配向である。
【0033】
好適な実施態様においては、上記液晶表示素子は、上記基板上に液晶分子の配向状態を規制する絶縁膜を具備する。
【0034】
好適な実施態様においては、上記液晶表示素子は、上記基板上に、上記液晶領域に対応して、一軸性の一様な液晶分子の配向状態を実現するための絶縁配向膜をさらに具備し、該液晶領域の配向状態および該素子の全体構成が、TN、STN、ECB、およびSSFLCモードに適した配置とされる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本明細書において「高分子と該高分子で囲まれた液晶領域とを有する液晶層」とは、完全に液晶領域が高分子(重合体)により囲まれたり、覆われたりした液晶領域を有する液晶層、柱状または壁状の高分子により区切られた液晶領域を有する液晶層、または、高分子が形成する3次元網目構造によって区切られた液晶領域を有する液晶層など、液晶領域の液晶分子が高分子に接して区切られた構造を有する液晶層をいう。
【0036】
(重合性化合物)
本発明の重合性化合物は、液晶類似骨格を有し、かつ、分岐した重合性活性基を有する多官能性化合物である。本発明の多官能性化合物は、3次元網目構造を形成しやすく、かつ、反応性に優れる。従って、本発明の多官能性化合物は、従来の単官能性の“液晶類似骨格を有する重合性化合物”としての性質を保ちつつ、同時に、未反応の化合物による液晶表示素子の特性の低下を低減し、高分子のガラス転移温度(Tg)を向上させるといった多官能性化合物の特徴を同時に実現し得ることが最大の特徴である。
【0037】
本発明の重合性化合物の構造は特に限定されないが、好ましくは上記式(I)で表される構造を有する。この重合性化合物は、重合活性基が分岐して分子中に導入され、連結基を介して液晶に類似した構造を有するメソーゲン基と結合した構造を有している。上記式(I)において、Xは、水素原子またはメチル基であり;lおよびmは、それぞれ独立して、0〜14の整数であり;Yは、単結合、-COO-、-OCO-、または-O-であり;nおよびpは、それぞれ独立して、0〜18の整数であり;qおよびsは、それぞれ独立して、0または1であり;RAおよびRBは、それぞれ独立して、上記式(II)または上記式(III)で表される。ただし、Y が -O- であるとき、n=1、p=0、q=0ではなく、そして Y が単結合であるとき、n=0、p=1、q=1またはn=1、p=0、q=1ではなく;RAが上記式(II)で表されるとき、RBは上記式(II)で表される。
【0038】
本発明の重合性化合物は、分子中に液晶に類似した構造を有するメソーゲン骨格を有するため、本発明の重合性化合物を含む単量体から形成された高分子は、メソーゲン基が導入された重合体として形成される。このことにより、配向膜の配向規制力が液晶領域内の液晶分子にまでおよび得るため、液晶分子の配向状態が安定化する。さらに、液晶分子にプレティルトが発生するため、電圧印加時にディスクリネーションラインの発生が抑制される。併せて、メソーゲン基の一部としてシクロヘキシル環を導入した化合物を用いる場合には、重合体(高分子)の屈折率が使用する液晶材料の常光屈折率(no)の値と一致または近接するようになり、2枚の偏光子を直交(クロスニコル)配置した間に液晶セルを設置して評価すると、電圧印加時では液晶と高分子の界面で屈折率整合のために光線透過率が低下する。これらの要因のために電圧印加時では黒状態表示が良好となって高コントラストの表示が実現できる。
【0039】
本発明の重合性化合物は、液晶類似骨格を有し、かつ、分岐した重合性活性基を有する多官能性化合物である。このような液晶に類似した構造を有する重合性化合物の効果について以下に詳細に記載する。
【0040】
一般に、液晶材料と重合性樹脂材料との混合物から重合反応を伴う相分離により作製される液晶表示素子には、表1に示すような問題点がある。
【0041】
【表1】
【0042】
上記問題点の原因は主に、高分子壁に対する液晶分子のアンカリング強度が強いこと、および高分子材料と液晶材料との相溶性が良好なことにある。これらの問題に対しては、フッ素化した重合性化合物を使用することが有効である。フッ素化した重合性化合物により形成された高分子部分は、フッ素化していない高分子部分と表面自由エネルギーが異なるため、高分子壁および高分子層の表面に出てくる。その結果、高分子の表面自由エネルギーが低下し高分子層と液晶分子のアンカリング強度が低減するので、液晶の配向状態が安定化し得る。あるいは、フッ素化した樹脂材料と液晶材料とは表面自由エネルギーが異なるために、高分子材料と液晶材料との相溶性が低下する。従って、本発明でも規定するようにメソーゲン基の一部をフッ素化することも有効である。
【0043】
しかも、本発明の重合性化合物は、液晶類似骨格を有し、かつ、分岐した重合性活性基を有する多官能性化合物である。本発明の多官能性化合物は、3次元網目構造を形成しやすく、かつ、反応性に優れる。従って、本発明の多官能性化合物は、従来の単官能性の“液晶類似骨格を有する重合性化合物”としての性質を保ちつつ、同時に、未反応の化合物による液晶表示素子の特性の低下を低減し、高分子のガラス転移温度(Tg)を向上させるといった多官能性化合物の特徴を同時に実現し得ることが最大の特徴である。従って、液晶表示素子の表示特性および強度(例えば、耐圧力性、耐熱性)の観点からきわめて有効である。
【0044】
本発明の重合性化合物のメソーゲン骨格と重合活性基となるエチレン性不飽和基とは連結基を介して結合している。連結基としては-(CH2)l-〔(CH2)m〕CH-(CH2)n-Y-(CH2)p-(O)q-などの分岐構造を有する骨格が好ましい。lおよびmは、それぞれ独立して、0〜14の整数、好ましくは0〜12の整数である。Yは、単結合、-COO-,-OCO-,または-O-などが挙げられる。好ましくは、単結合あるいは-COO-である。nおよびpは、それぞれ独立して、0〜18の整数、好ましくは0〜12の整数である。好ましくは、n+p≦18である。qは、0または1の整数である。lまたはmが14より大きい場合、あるいは、nまたはpが18より大きい場合には、液晶領域を包囲する高分子壁を構成する高分子表面からメソーゲン部分が突出して、液晶分子の応答速度を悪化させてしまう。さらに、ディスクリネーションライン発生を抑制する効果は、鎖長が長いほど少量で効果を発揮する傾向が認められる一方で、プレティルトが大きくなるためセルの透過率が低下する。従って、ディスクリネーションラインを制御し、かつ、プレティルトが大きくならないような添加量、化合物の種類を選択することが重要となる。
【0045】
本発明の重合性化合物を用いて液晶領域を包囲する高分子壁を構成する高分子を得る場合、本発明の重合性化合物は、単独重合、または他の重合性単量体と共重合され得る。他の重合性単量体としては、アルキル基またはベンゼン環を有するアクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを含む単官能性単量体、および2官能性以上の多官能性単量体、例えば、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-へキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、R−684(日本化薬社製)などを挙げることができる。
【0046】
他の重合性単量体と共重合する場合には、本発明の重合性化合物は、全単量体重量の好ましくは3重量%〜60重量%、より好ましくは3重量%〜40重量%の割合で使用され得る。
【0047】
(本発明の重合性化合物の合成方法)
次に、本発明で規定する重合性化合物の合成方法について具体的に説明する。以下に記載する合成経路は一例であり、これらによって本発明が限定されるものではない。
【0048】
(合成経路1)
上記式(I)において、Yが単結合であり、RAが式(II)で表され、そしてs=0の場合を説明する。図1および図2に、合成経路1を模式的に示す。
【0049】
l、m≠1の場合:市販の化合物(1)と、市販の化合物(2)をベンジル化して得られる化合物(3)とを、アルカリ条件下で縮合反応させることにより化合物(4)が得られる。化合物(4)と、化合物(5)のベンジル化物(6)とを同様に縮合させることにより、化合物(7)が得られる。化合物(7)を、塩化リチウム、ジメチルスルホキシドで脱炭酸させて化合物(8)を得た後、水酸化リチウムアルミニウム等で還元することにより化合物(9)が得られる。化合物(9)を四臭化炭素で臭素化して化合物(10)とした後、ヨウ化ナトリウムを作用させることにより化合物(11)が得られる。
【0050】
市販の化合物(12)に、ブチルリチウム、硼酸トリメチルを作用させ、希硫酸で加水分解することにより化合物(13)が得られる。化合物(13)と市販の化合物(14)とのパラジウム触媒によるカップリング反応により、化合物(15)が得られる。一方、化合物(16)にベンジルクロライドを作用させることにより、化合物(17)が得られる。アルカリ条件下で、化合物(17)と化合物(15)とをエーテル化反応することにより化合物(18)が得られる。化合物(18)を、パラジウム触媒下、水素ガスで脱ベンジル化して化合物(19)とした後、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)で酸化することにより化合物(20)が得られる。
【0051】
市販の化合物(21)と化合物(13)とを、パラジウム触媒下、カップリング反応させれることにより化合物(22)が得られる。化合物(22)のグリニャール試薬を調製した後、銅触媒下、化合物(17)とカップリング反応させることにより化合物(23)が得られる。化合物(23)を、パラジウム(Pd)触媒下、水素ガスで脱ベンジル化して化合物(24)とした後、PCCで酸化すれば化合物(25)が得られる。
【0052】
市販の化合物(26)と化合物(13)とのPd触媒下でのカップリング反応により化合物(27)が得られる。
【0053】
化合物(11)と、化合物(20)、(25)および(27)とのWittig反応により、それぞれ、化合物(28)、(29)および(30)が得られる。一方、銅触媒下、化合物(22)のグリニャール試薬を化合物(10)に作用させることにより化合物(31)が得られる。化合物(28)、(29)、(30)および(31)のそれぞれに、Pd触媒下、水素ガスを添加することにより化合物(32)が得られる。化合物(32)に、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより、化合物(33)が得られる。化合物(33)はまた、化合物(32)とアクリル酸またはメタクリル酸とのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)による脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0054】
l=m=1の場合:化合物(15)と化合物(34)との光延反応により化合物(35)が得られる。
【0055】
化合物(34)のベンジル化物(36)と化合物(22)のグリニャール試薬とを、銅触媒下でカップリング反応させることにより化合物(37)を得た後、Pd触媒下の水素ガスによる脱ベンジル化により化合物(38)が得られる。化合物(38)を、四臭化炭素で臭素化することにより化合物(39)が得られる。
【0056】
市販の化合物(40)と化合物(13)とのカップリング反応により化合物(41)が得られる。化合物(41)を、水素化ホウ素リチウムで還元して化合物(42)を得た後、四臭化炭素、三臭化リン等で臭素化することにより化合物(43)が得られる。
【0057】
化合物(35)、(39)および(43)のそれぞれと化合物(1)とを、アルカリ条件下、縮合反応させることにより化合物(44)が得られる。化合物(44)を、水素ホウ素リチウムで還元して化合物(45)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させれば化合物(46)が得られる。化合物(46)はまた、化合物(45)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0058】
(合成経路2)
上記式(I)において、Yが単結合であり、RAが式(III)で表され、そしてs=0の場合を説明する。図3および図4に、合成経路2を模式的に示す。
【0059】
l、m≠1の場合:化合物(12)にブチルリチウムを作用させ、リチウム塩とした後、市販の化合物(47)との縮合により化合物(48)が得られる。化合物(48)のp-トルエンスルホン酸による脱水反応により化合物(49)が得られる。化合物(49)を、Pd触媒下、水素添加して化合物(50)とした後、酸性条件下で脱保護することにより化合物(51)が得られる。化合物(51)を水素化ホウ素ナトリウムで還元し、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により精製することにより化合物(52)が得られる。化合物(52)と化合物(17)とのアルカリ条件下でのエーテル化反応により化合物(53)が得られる。化合物(53)を、Pd触媒下、水素添加することにより化合物(54)が得られ、さらに、PCCで酸化することにより化合物(55)が得られる。
【0060】
化合物(51)に(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライドを作用させて化合物(56)を得た後、酸性条件下で加水分解し、アルカリ条件下で異性化反応を行うことにより化合物(57)が得られる。化合物(57)と、化合物(58)のベンジル化により得られる化合物(59)とのWittig反応により化合物(60)が得られる。化合物(60)を、Pd触媒下、水素添加して化合物(61)を得た後、PCCで酸化することにより化合物(62)が得られる。
【0061】
化合物(57)を水素化ホウ素ナトリウムで還元して化合物(63)とした後、四臭化炭素で臭素化することにより化合物(64)が得られる。化合物(64)を、シアン化ナトリウムでシアノ化すれば化合物(65)が得られる。化合物(65)を、アルカリ条件下で加水分解しカルボン酸[化合物(66)]とした後、酸性条件下、メタノール中で加熱することにより化合物(67)が得られる。化合物(67)を水素化イソブチルアルミニウム(DIBAH)で還元すれば化合物(68)が得られる。化合物(68)はまた、化合物(67)を水素化ホウ素リチウムで還元して化合物(82)を得た後、PCCで酸化することによっても得られ得る。
【0062】
化合物(11)と、化合物(55)、(62)、(68)、(57)および(51)とのWittig反応により、それぞれ、化合物(69)、(70)、(71)、(72)および(73)が得られる。これらを、Pd触媒下、水素添加して化合物(74)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(75)が得られる。化合物(75)はまた、化合物(74)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0063】
l=m=1の場合:化合物(52)と化合物(36)とのアルカリ条件下でのエーテル化反応により化合物(76)が得られる。化合物(76)を水素添加反応により化合物(77)とした後、四臭化炭素等で臭素化することにより化合物(78)が得られる。一方、化合物(57)と化合物(17)とのWittig反応により化合物(79)が得られる。化合物(79)を、Pd触媒下で水素ガスを作用させて化合物(80)とした後、四臭化炭素等で臭素化することにより化合物(81)が得られる。
【0064】
化合物(67)を還元して化合物(82)とし、同様に臭素化することにより化合物(83)が得られる。
【0065】
化合物(78)、(81)、(83)および(64)のそれぞれと化合物(1)とのアルカリ条件下における縮合反応により化合物(84)が得られる。化合物(84)を、水素化ホウ素リチウムで還元して化合物(85)とした後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(86)が得られる。化合物(86)はまた、化合物(85)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0066】
(合成経路3)
上記式(I)において、Yが-COO-であり、RAが式(II)で表され、そしてs=0の場合を説明する。図5に合成経路3を模式的に示す。
【0067】
l、m≠1の場合:化合物(10)をシアン化ナトリウムでシアノ化することにより化合物(87)が得られる。化合物(87)を、アルカリ条件下で加水分解することにより化合物(88)が得られる。
【0068】
化合物(34)の水酸基を3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(THP)で保護することにより化合物(89)が得られる。化合物(89)のグリニャール試薬を調製した後、銅触媒下、化合物(10)とカップリング反応を行うことにより化合物(90)が得られる。酸性条件下で保護基を除去して化合物(91)とした後、PCCで酸化することにより化合物(92)が得られる。さらに、過マンガン酸カリウム等で酸化することにより化合物(93)が得られる。
【0069】
化合物(15)と化合物(36)とのエーテル化反応により化合物(94)が得られる。化合物(94)を、Pd触媒下、水素ガスで脱ベンジル化を行うことにより化合物(95)が得られる。
【0070】
化合物(8)をアルカリ加水分解することにより、化合物(96)が得られる。
【0071】
化合物(96)、(88)および(93)のそれぞれを酸クロライドに誘導した後、化合物(15)、(42)、(38)および(95)のそれぞれとエステル化反応を行うことにより化合物(97)が得られる。また、化合物(96)、(88)および(93)のそれぞれと、化合物(15)、(42)、(38)および(95)のそれぞれとのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)による縮合、あるいは、光延反応によっても化合物(97)が得られ得る。化合物(97)を水素ガスで脱ベンジル化して化合物(98)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(99)が得られる。化合物(99)はまた、化合物(98)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0072】
(合成経路4)
上記式(I)において、Yが-COO-であり、RAが式(III)で表され、そしてs=0の場合を説明する。図6に合成経路4を模式的に示す。
【0073】
l、m≠1の場合:化合物(96)、(88)および(93)のそれぞれを酸クロライドに誘導した後、化合物(52)、(63)、(82)、(77)および(80)のそれぞれとエステル化反応を行うことにより化合物(100)が得られる。また、化合物(96)、(88)および(93)のそれぞれと、化合物(52)、(63)、(82)、(77)および(80)のそれぞれとのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)による縮合、あるいは、光延反応によっても化合物(100)が得られ得る。化合物(100)を水素ガスで脱ベンジル化して化合物(101)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(102)が得られる。化合物(102)はまた、化合物(101)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0074】
(合成経路5)
上記式(I)において、Yが-OCO-であり、RAが式(II)で表され、そしてs=0の場合を説明する。図7に合成経路5を模式的に示す。
【0075】
l、m≠1の場合:市販の化合物(103)の一方の水酸基をベンジル基で保護することにより化合物(104)が得られる。化合物(104)をPCCで酸化して化合物(105)とした後、化合物(6)のグリニャール試薬を作用させることにより化合物(106)が得られる。また、l=mの場合には、市販の化合物(107)に、化合物(3)または化合物(6)のグリニャール試薬を作用させ、酸で処理することにより化合物(108)が得られる。
【0076】
化合物(88)を水素化リチウムアルミニウム(LAH)で還元することにより化合物(109)が得られる。
【0077】
化合物(16)の水酸基をTHPで保護した化合物(110)と化合物(10)との銅触媒によるカップリング反応により化合物(111)が得られ、酸性条件下で保護基を除去することにより化合物(112)が得られる。
【0078】
化合物(41)をアルカリ加水分解することにより化合物(113)が得られる。
【0079】
化合物(114)をベンジル保護した化合物(115)と化合物(22)のグリニャール試薬とのカップリング反応により化合物(116)が得られる。化合物(116)に水素添加して保護基を除去し[化合物(117)]、PCCで酸化して化合物(118)を得た後、過マンガン酸カリウム等で酸化することにより化合物(119)が得られる。化合物(115)と化合物(15)とのエーテル化反応により化合物(120)を得た後、水素添加してベンジル基を除去し[化合物(121)]、PCCで酸化することにより化合物(122)が得られる。化合物(122)を過マンガン酸カリウム等で酸化することにより化合物(123)が得られる。
【0080】
化合物(113)、(119)および(123)のそれぞれを酸クロライドに誘導した後、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれとエステル化反応を行うことにより化合物(124)が得られる。また、化合物(113)、(119)および(123)のそれぞれと、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれとのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)による縮合、あるいは、光延反応によっても化合物(124)が得られ得る。化合物(124)を水素ガスで脱ベンジル化して化合物(125)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(126)が得られる。化合物(126)はまた、化合物(125)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0081】
(合成経路6)
上記式(I)において、Yが-OCO-であり、RAが式(III)で表され、そしてs=0の場合を説明する。図8に合成経路6を模式的に示す。
【0082】
l、m≠1の場合:化合物(57)を過マンガン酸カリウム等で酸化することにより、化合物(127)が得られる。化合物(57)と化合物(36)とのWittig反応により化合物(128)が得られ、Pd触媒下、水素添加することにより化合物(129)が得られる。化合物(129)をPCCで酸化し[化合物(130)]、さらに、過マンガン酸カリウム等で酸化することにより化合物(131)が得られる。
【0083】
化合物(52)と化合物(115)とのアルカリ条件下でのエーテル化により化合物(132)が得られる。化合物(132)の水素添加による脱ベンジル化により化合物(133)が得られる。化合物(133)をPCC酸化することにより化合物(134)が得られ、さらに過マンガン酸カリウムによる酸化を行うことにより化合物(135)が得られる。
【0084】
化合物(127)、(66)、(131)および(135)のそれぞれを酸クロライドに誘導した後、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれとエステル化反応を行うことにより化合物(136)が得られる。また、化合物(127)、(66)、(131)および(135)のそれぞれと、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112) のそれぞれとのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)による縮合、あるいは、光延反応によっても化合物(136)が得られ得る。化合物(136)を水素ガスで脱ベンジル化して化合物(137)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(138)が得られる。化合物(138)はまた、化合物(137)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0085】
(合成経路7)
上記式(I)において、Yが-O-であり、RAが式(II)で表され、そしてs=0の場合を説明する。図9に合成経路7を模式的に示す。
【0086】
l、m≠1の場合:化合物(109)および(112)の四臭化炭素による臭素化によって、それぞれ、化合物(139)および(140)が得られる。化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれと、化合物(43)、(39)および(35)のそれぞれとのエーテル化反応により、あるいは、化合物(10)、(139)および(140)のそれぞれと、化合物(15)、(42)、(38)および(95)のそれぞれとのエーテル化反応により、化合物(141)が得られる。また、化合物(141)は、化合物(10)、(139)および(140)の代わりに、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)にp-トルエンスルホン酸クロライドを作用させて得られるトシレート体を用いてエーテル化反応を行っても得ることができる。化合物(141)を、Pd触媒下、水素添加することにより化合物(142)が得られ、さらに、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(143)が得られる。化合物(143)はまた、化合物(142)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0087】
(合成経路8)
上記式(I)において、Yが-O-であり、RAが式(III)で表され、そしてs=0の場合を説明する。図10に合成経路8を模式的に示す。
【0088】
l、m≠1の場合:化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれと、化合物(64)、(83)、(81)および(78)のそれぞれとのエーテル化反応により、あるいは、化合物(10)、(139)および(140)のそれぞれと、化合物(52)、(63)、(82)、(80)および(77)のそれぞれとのエーテル化反応により、化合物(144)が得られる。また、化合物(144)は、化合物(10)、(139)および(140)の代わりに、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)にp-トルエンスルホン酸クロライドを作用させて得られるトシレート体を用いてエーテル化反応を行っても得ることができる。化合物(144)を、Pd触媒下、水素添加することにより化合物(145)が得られ、さらに、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(146)が得られる。化合物(146)はまた、化合物(145)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0089】
(合成経路9)
上記式(I)において、Yが単結合であり、RAおよびRBが式(II)で表される場合を説明する。図11および図12に、合成経路9を模式的に示す。
【0090】
l、m≠1の場合:市販の化合物(147)と化合物(13)とのカップリング反応により化合物(148)が得られる。化合物(148)と化合物(17)とをアルカリ条件下でエーテル化することにより化合物(149)が得られる。化合物(149)を水素ガスで脱ベンジル化することにより化合物(150)が得られ、さらに、PCCで酸化することにより化合物(151)が得られる。
【0091】
化合物(22)のグリニャール試薬に硼酸トリメチルを作用させ、希硫酸で加水分解することにより化合物(152)が得られる。化合物(152)と化合物(21)とのカップリング反応により化合物(153)が得られる。化合物(153)のグリニャール試薬と化合物(17)との銅触媒によるカップリング反応により化合物(154)が得られる。化合物(154)に水素添加してベンジル基を除去することにより化合物(155)が得られ、さらに、PCCで酸化することにより化合物(156)が得られる。
【0092】
化合物(26)と化合物(152)とのPd触媒下でのカップリング反応により化合物(157)が得られる。
【0093】
化合物(11)と、化合物(151)、(156)および(157)とのWittig反応により、それぞれ、化合物(158)、(159)および(160)が得られる。一方、化合物(153)のグリニャール試薬と化合物(10)とのカップリング反応により化合物(161)が得られる。化合物(158)、(159)、(160)および(161)を、Pd触媒下、水素添加することにより化合物(162)が得られ、さらに、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(163)が得られる。化合物(163)はまた、化合物(162)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0094】
l=m=1の場合:化合物(148)と化合物(34)との光延反応により化合物(164)が得られる。
【0095】
化合物(153)のグリニャール試薬と化合物(36)とのカップリング反応により化合物(165)が得られ、さらに、Pd触媒下で水素添加することにより化合物(166)が得られる。化合物(166)を四臭化炭素で臭素化することにより、化合物(167)が得られる。一方、化合物(152)と化合物(40)とのカップリング反応により化合物(168)が得られ、さらに、水素化ホウ素リチウムで還元することにより化合物(169)が得られる。化合物(169)を、臭化水素酸または三臭化リンで臭素化することにより、化合物(170)が得られる。
【0096】
化合物(164)、(167)および(170)のそれぞれと、化合物(1)とのアルカリ条件下での縮合反応により化合物(171)が得られる。化合物(171)を水素化ホウ素リチウムで還元することにより、化合物(172)が得られ、さらに、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドとエステル化を行うことにより、化合物(173)が得られる。化合物(173)はまた、化合物(172)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0097】
(合成経路10)
上記式(I)において、Y=単結合であり、RAが式(III)で表され、そしてRBが式(II)または(III)で表される場合を説明する。図13および図14に、合成経路10を模式的に示す。
【0098】
l、m≠1の場合:化合物(174)を二クロム酸ナトリウムで酸化することにより化合物(175)が得られる。化合物(175)の一方のオキソ基をエチレングルコールで保護することにより化合物(176)が得られ、さらに、化合物(12)のリチウム塩を縮合させることにより化合物(177)が得られる。化合物(177)をp-トルエンスルホン酸で脱水することにより、化合物(178)が得られる。化合物(178)を、Pd触媒下、水素添加することにより化合物(179)が得られ、さらに、酸性条件下で保護基を除去することにより化合物(180)が得られる。
【0099】
化合物(180)を水素化ホウ素ナトリウムで還元し、再結晶またはカラムクロマトグラフィーでトランス体を単離することにより化合物(181)が得られる。化合物(47)と化合物(22)のグリニャール試薬との縮合により化合物(182)が得られる。化合物(177)から化合物(181)を得る操作と同様にして、化合物(182)から化合物(186)が得られる。
【0100】
化合物(181)および(186)と化合物(17)とのエーテル化反応により、化合物(187)が得られ、さらに、脱ベンジル化およびPCC酸化を行うことにより、化合物(189)が得られる。
【0101】
化合物(180)および(185)に、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライドを作用させて化合物(190)を得た後、酸性条件下で加水分解し、アルカリ条件下で異性化反応を行うことにより、化合物(191)が得られる。化合物(191)と化合物(59)とのWittig反応により、化合物(192)が得られる。化合物(192)を、Pd触媒下、水素添加することにより化合物(193)を得た後、PCCで酸化することにより化合物(194)が得られる。化合物(191)を水素化ホウ素ナトリウムで還元して化合物(195)とした後、四臭化炭素で臭素化することにより化合物(196)が得られ、さらに、シアン化ナトリウムでシアノ化することにより化合物(197)が得られる。化合物(197)を、アルカリ条件下で加水分解してカルボン酸[化合物(198) ] とした後、酸性条件下、メタノール中で加熱することにより化合物(199)が得られる。化合物(199)を水素化イソブチルアルミニウム(DIBAH)で還元することにより、化合物(200)が得られる。また、化合物(199)を水素化ホウ素リチウムで還元して化合物(214)を得た後、PCCで酸化することによっても化合物(200)が得られる。
【0102】
化合物(11)と、化合物(189)、(194)、(200)、(191)、ならびに(180)および(185)とのWittig反応により、それぞれ、化合物(201)、(202)、(203)、(204)および(205)が得られる。これらの化合物を、Pd触媒下、水素添加して化合物(206)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(207)が得られる。化合物(207)はまた、化合物(206)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0103】
l=m=1の場合:化合物(181)および(186)と化合物(36)とのアルカリ条件下でのエーテル化反応により化合物(208)が得られる。化合物(208)を水素添加反応により化合物(209)とした後、四臭化炭素等で臭素化することにより化合物(210)が得られる。
【0104】
化合物(191)と化合物(17)とのWittig反応により化合物(211)が得られ、さらに、Pd触媒下で水素ガスを作用させることにより化合物(212)が得られる。化合物(212)を四臭化炭素等で臭素化することにより化合物(213)が得られる。
【0105】
化合物(199)を還元して化合物(214)とし、同様に臭素化すれば化合物(215)が得られる。
【0106】
化合物(210)、(213)、(215)および(196)のそれぞれと、化合物(1)のアルカリ条件下における縮合反応により化合物(216)が得られる。化合物(216)を水素化ホウ素リチウムで還元して化合物(217)とした後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(218)が得られる。化合物(218)はまた、化合物(217)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0107】
(合成経路11)
上記式(I)において、Yが-COO-であり、RAおよびRBが式(II)で表される場合を説明する。図15に合成経路11を模式的に示す。
【0108】
l、m≠1の場合:化合物(148)と化合物(36)とのエーテル化反応により化合物(219)が得られ、さらに、Pd触媒下、水素ガスで脱ベンジル化を行うことにより化合物(220)が得られる。
【0109】
化合物(96)、(88)および(93)のそれぞれを酸クロライドに誘導した後、化合物(148)、(169)、(166)および(220)のそれぞれとエステル化反応を行うことにより、化合物(221)が得られる。また、化合物(96)、(88)および(93)のそれぞれと、化合物(148)、(169)、(166)および(220)のそれぞれとのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)による縮合、あるいは、光延反応によっても化合物(221)が得られ得る。化合物(221)を水素ガスで脱ベンジル化して化合物(222)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(223)が得られる。化合物(223)はまた、化合物(222)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0110】
(合成経路12)
上記式(I)において、Yが-COO-であり、RAが式(III)で表され、そしてRBが式(II)または(III)で表される場合を説明する。図16に合成経路12を模式的に示す。
【0111】
l、m≠1の場合:化合物(96)、(88)および(93)のそれぞれを酸クロライドに誘導した後、化合物(181)、(186)、(195)、(214)、(209)および(212)のそれぞれとエステル化反応を行うことにより、化合物(224)が得られる。また、化合物(96)、(88)および(93)のそれぞれと、化合物(181)、(186)、(195)、(214)、(209)および(212)のそれぞれとのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)による縮合、あるいは、光延反応によっても化合物(224)が得られ得る。化合物(224)を水素ガスで脱ベンジル化して化合物(225)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより、化合物(226)が得られる。化合物(226)はまた、化合物(225)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0112】
(合成経路13)
上記式(I)において、Yが-OCO-であり、RAおよびRBが式(II)で表される場合を説明する。図17に合成経路13を模式的に示す。
【0113】
l、m≠1の場合:化合物(168)をアルカリ加水分解することにより化合物(227)が得られる。
【0114】
化合物(115)と化合物(148)とのエーテル化反応により、化合物(228)が得られる。化合物(228)を、水素添加してベンジル基を除去することにより、化合物(229)が得られ、さらに、PCCで酸化することにより化合物(230)が得られる。化合物(230)を過マンガン酸カリウム等で酸化することにより化合物(231)が得られる。
【0115】
化合物(115)と化合物(153)とのカップリング反応により化合物(232)が得られ、さらに、水素添加して保護基を除去することにより化合物(233)が得られる。化合物(233)をPCCで酸化して化合物(234)を得た後、過マンガン酸カリウム等で酸化することにより化合物(235)が得られる。
【0116】
化合物(227)、(231)および(235)のそれぞれを酸クロライドに誘導した後、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれとエステル化反応を行うことにより、化合物(236)が得られる。また、化合物(227)、(231)および(235)のそれぞれと、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれとのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)による縮合、あるいは、光延反応によっても化合物(236)が得られ得る。化合物(236)を水素ガスで脱ベンジル化して化合物(237)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより、化合物(238)が得られる。化合物(238)はまた、化合物(237)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0117】
(合成経路14)
上記式(I)において、Yが-OCO-であり、RAが式(III)で表され、そしてRBが式(II)または(III)で表される場合を説明する。図18に合成経路14を模式的に示す。
【0118】
l、m≠1の場合:化合物(191)を過マンガン酸カリウム等で酸化することにより、化合物(239)が得られる。
【0119】
化合物(191)と化合物(36)とのWittig反応により化合物(240)が得られ、さらに、Pd触媒下、水素添加することにより化合物(241)が得られる。化合物(241)をPCCで酸化することにより化合物(242)が得られ、さらに、過マンガン酸カリウム等で酸化することにより化合物(243)が得られる。
【0120】
化合物(181)および(186)のそれぞれと化合物(115)とのアルカリ条件下でのエーテル化により化合物(244)が得られ、さらに、水素添加による脱ベンジル化により化合物(245)が得られる。化合物(245)をPCC酸化することにより化合物(246)が得られ、さらに、過マンガン酸カリウムによる酸化を行うことにより化合物(247)が得られる。
【0121】
化合物(239)、(243)、(247)および(198)のそれぞれを酸クロライドに誘導した後、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれとエステル化反応を行うことにより、化合物(248)が得られる。また、化合物(239)、(243)、(247)および(198)のそれぞれと、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれとのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)による縮合、あるいは、光延反応によっても化合物(248)が得られ得る。化合物(248)を水素ガスで脱ベンジル化して化合物(249)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより、化合物(250)が得られる。化合物(250)はまた、化合物(249)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0122】
(合成経路15)
上記式(I)において、Yが-O-であり、RAおよびRBが式(II)で表される場合を説明する。図19に合成経路15を模式的に示す。
【0123】
l、m≠1の場合:化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれと、化合物(170)、(167)および(164)のそれぞれとのエーテル化反応により、あるいは、化合物(10)、(139)および(140)のそれぞれと、化合物(148)、(169)、(166)および(220)のそれぞれとのエーテル化反応により、化合物(251)が得られる。また、化合物(251)は、化合物(10)、(139)および(140)の代わりに、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)にp-トルエンスルホン酸クロライドを作用させて得られるトシレート体を用いてエーテル化反応を行っても得ることができる。化合物(251)を、Pd触媒下、水素添加することにより化合物(252)が得られ、さらに、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより、化合物(253)が得られる。化合物(253)はまた、化合物(252)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0124】
(合成経路16)
上記式(I)において、Yが-O-であり、RAが式(III)で表され、そしてRBが式(II)または(III)で表される場合を説明する。図20に合成経路16を模式的に示す。
【0125】
l、m≠1の場合:化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれと、化合物(196)、(215)、(210)および(213)のそれぞれとのエーテル化反応により、あるいは、化合物(10)、(139)および(140)のそれぞれと、化合物(181)、(186)、(195)、(214)、(212)および(209)のそれぞれとのエーテル化反応により、化合物(254)が得られる。また、化合物(254)は、化合物(10)、(139)および(140)の代わりに、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)にp-トルエンスルホン酸クロライドを作用させて得られるトシレート体を用いてエーテル化反応を行っても得ることができる。化合物(254)を、Pd触媒下、水素添加することにより化合物(255)が得られ、さらに、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(256)が得られる。化合物(256)はまた、化合物(255)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得ることができる。
【0126】
(液晶表示素子)
本発明の液晶表示素子は、少なくとも一方が透明である一対の基板とその基板間に挟まれた高分子または高分子壁と、この高分子または高分子壁で囲まれた液晶領域とを有する液晶層を有し、この高分子または高分子壁は、重合前駆体として少なくとも1種類の本発明の重合性化合物を含む単量体から形成される。
【0127】
本発明に用いられる液晶材料は、常温付近で液晶伏態を示す有機物混合体であれば特に制限されないが、好ましい液晶材料としてネマティック液晶(2周波駆動用液晶、△ε<0の液晶を含む)、コレステリック液晶(特に、可視光に選択反射特性を有する液晶)、もしくはスメクティック液晶、ディスコティック液晶などを挙げることができる。これらの中では、特に、ネマティック液晶またはコレステリック液晶、あるいはカイラル剤の添加されたネマティック液晶が特性上好ましい。カイラル剤の添加されたネマティック液晶においては、ヒステリシス、均一性、d△n(位相差)による着色の問題などから10μm以上の螺旋ピッチを有するようにカイラル剤を添加することが好ましい。さらに、加工時に光重合反応を伴うため耐化学反応性に優れた液晶が好ましい。このような液晶は、化合物中にフッ素原子などの官能基を有する液晶であり、具体的には、ZLI-4801-000、ZLI-4801-001、ZLI-4792、MLC-6419(メルク社製)などを挙げることができる。これらの液晶材料は、単独で、または混合して用いられ得る。
【0128】
液晶材料と少なくとも本発明の重合性化合物を含む単量体との混合比は、液晶材料と単量体との重量比(液晶材料:重合性化合物)が、60:40〜98:2が好ましい。60:40より単量体が多くなると、液晶素子において電極に印加する電圧に対して変化する液晶領域が減少するため、コントラストが不十分である場合が多い。一方、98:2より単量体が少なくなると、高分子壁が十分に形成できなくなり、液晶表示素子の強度(例えば、耐圧性、耐衝撃性)が不十分となり実用上問題が多い。
【0129】
本発明の液晶表示素子は、例えば、以下の手順で作製され得る:まず、ITO(酸化インジュウムおよび酸化スズ複合物、膜厚50nm)を透明電極とする液晶セルを作製し、その上に所定のホトマスクを配置する。セル中に少なくとも本発明の重合性化合物を含む単量体および液晶材料の均一混合物を毛管注入し、液晶セルを作製する。その後、透明電極間に電圧を印加しながらホトマスク側から平行光線を得られる高圧水銀ランプで紫外線を照射して単量体を硬化させて、液晶領域を包囲する高分子(壁)を有する液晶セルを作製する。この液晶セルの基板の両側に、互いの光軸が所定の角度を有するように偏光板を配置して液晶表示素子を作製する。
【0130】
本発明の重合性化合物を用いて得られる液晶素子は、(1)飽和電圧印加時に液晶分子が基板に対してほぼ直立(△ε>0の場合)しているために、偏光板が視角特性を有しており、そして(2)液晶層がリタデーションd・△nを有しているために偏光板の偏光軸から45°方向に視角特性が十分ではない領域が存在し得る。(2)の原因としては、軸方向から入射した光は、液晶層の屈折率楕円体を横切る際には常光もしくは異常光のみの成分しか有さないが、偏光板の偏光軸から45°方向から光が入射した場合、液晶層の屈折率楕円体を横切る際に常光と異常光との両成分を有するために(見かけ上、互いに直交した偏光板の偏光軸が互いに開いた状態に対応している)、楕円偏光となり光の漏れが顕著になるためである。従って、液晶層のリタデーションは、なるべく小さくし、楕円偏光を生じにくくすることが好ましい。しかし、電圧印加しない時の透過率T0が、液晶層のリタデーションに影響されるため、リタデーションは300nm〜650nmであることが、視角特性の全方位性とセルの明るさを確保する観点から好ましい。(300nm以下では、電圧OFF時の明るさが確保できず暗い表示となる。)ツイスト角は、45〜150°が好ましく、特に、ファーストミニマム条件を満たす90°付近が最も明るく好ましい。
【0131】
本発明の重合性化合物を用いて液晶表示素子を作製すると、液晶分子の配向性が良好になるが、種々の配向法を用いて液晶分子の配向を制御することも可能である。本発明で使用し得る配向法としては、液晶セルを作製するために用いられる基板にポリイミドなどの高分子材料や無機材料を塗布後、布で擦るラビング法;表面張力の低い化合物を塗布する垂直配向法;SiO2などの斜め蒸着による斜め配向法;ラビング処理を行わない水平配向膜を用いる方法;無処理基板(基板に透明電極を設置した基板)を用いる方法などが挙げられる。
【0132】
本発明の液晶表示素子で使用できる基板としては、透明基板、非透明基板のいずれもが使用され得る。透明基板としては、ガラス基板、高分子フィルムなどのプラスティック基板などが挙げられる。非透明基板としては、金属薄膜が形成された基板、Si基板などが挙げられる。反射型の液晶表示素子として使用する場合には、金属薄膜が形成された基板が有効である。また、プラスティック基板としては、可視光に吸収領域を持たない材料で形成することが好ましく、例えば、PET、アクリル系ポリマー、ポリカーボネートなどが挙げられる。プラスティック基板を使用する場合には、基板自身に偏光能が付与され得る。さらに、これらの異種の基板を2種組み合わせた積層基板を使用することも可能であり、同種異種を問わず厚みの異なった基板を2枚組み合わせた積層基板を使用することもできる。
【0133】
上記形成方法によって形成される液晶セルに、さらに従来のラビング、Si O2斜方蒸着などの液晶配向技術を適用した場合、この液晶セルを2枚の偏光板で挟むことにより、ハイコントラストで低駆動電圧、電圧−透過率特性の急峻な従来の配向制御型液晶表示モード(TN、STN、ECB、強誘電性液晶)の液晶をポリマー中に疑似固体化した液晶表示素子を作製し得る。
【0134】
このようにして作製された液晶表示素子の液晶領域における液晶分子は、あらゆる配向状態をとり得る。配向状態の代表例としては、軸対称状、放射状または同心円状配向、渦巻状配向、およびランダム配向が挙げられる。
【0135】
本発明の液晶表示素子は、特に限定されないが、単純マトリックス駆動、a−SiTFT、p−SiTFT、MIMのようなアクティブ素子を用いてアクティブ駆動法で駆動し得る。
【0136】
以下、作用について説明する。
【0137】
液晶材料と光硬化性樹脂などの重合性樹脂材料との混合物から、基板上の配向規制力を制御した表示モードの液晶表示素子を作製する場合、通常、配向膜と液晶領域間に高分子と液晶が混在した高分子層が形成される。この高分子層は、一般に、配向膜の液晶分子に対する配向規制力を弱める傾向にある。これに対して、高分子層に本発明の重合性化合物を含む単量体から形成された高分子を含有させると、この高分子中の本発明の重合性化合物に由来する部分が液晶材料に類似した骨格を有するので、高分子層に液晶領域内の液晶分子に対して配向規制効果を及ぼす能力が出現する。その結果として、液晶の配向状態が安定化する。
【0138】
液晶領域内の液晶分子が軸(基板面に対して垂直方向の軸)対称状に配向した液晶表示素子においては、多くの場合、電圧印加時の液晶領域外周部にリバースティルト(図29参照)によるディスクリネーションラインが発生する。しかし、本発明の重合性化合物を用いることにより、黒表示レベルを悪化させていた電圧印加時のディスクリネーションラインの発生が抑制される。しかも、本発明の重合性化合物は、液晶類似骨格を有し、かつ、分岐した重合性活性基を有する多官能性化合物であるので、3次元網目構造を形成しやすく、かつ、反応性に優れる。従って、本発明の多官能性化合物は、従来の単官能性の“液晶類似骨格を有する重合性化合物”としての性質を保ちつつ、同時に、未反応の化合物による液晶表示素子の特性の低下を低減し、高分子のガラス転移温度(Tg)を向上させるといった多官能性化合物の特徴を同時に実現し得る。従って、本発明の重合性化合物は、液晶表示素子の表示特性および強度(例えば、耐圧力性、耐熱性)の観点からきわめて有効である。加えて、本発明の重合性化合物は、従来問題となっていた重合性化合物の添加による応答速度の劣化、電圧−透過率特性の閾値特性または急峻性の劣化などの問題に対しても有効な解決手段となり得る。以上のように、本発明の重合性化合物を用いることにより、液晶表示素子の表示特性(例えば、視野角特性、コントラスト、応答速度、閾値特性、急峻性)、強度(例えば、耐圧力性、耐衝撃性)および耐熱性が、飛躍的に向上し得る。
【0139】
本発明者らは、上述したような重合性化合物の検討と併せて、これらの重合性化合物と液晶材料とを組み合わせることにより、高分子に囲まれた液晶滴(液晶領域)の大きさを画素とほぼ同じ大きさにし、1画素に対してほぼ1つの液晶滴が規則的に配置される手法について検討した結果、以下の2つの方法が極めて有効であることを見いだした。
【0140】
▲1▼加工時に規則的で、かつ、画素の大きさとほぼ同等の液晶滴径に近いUV照度むらをもつUV光を、画素の大部分に当たる領域を遮光してUV光が当たらないように照射することで高分子壁に囲まれた液晶領域を有する液晶層を備えた液晶表示素子を作製する方法、および
▲2▼液晶相と等方相とに対する界面自由エネルギーの異なる材料を予め基板上にパターニングして形成しておき、この表面パターンに基づいて液晶相を配置するなどの自由エネルギーをパターン化して制御することで高分子壁に囲まれた液晶領域を有する液晶表示素子を作製する方法。
【0141】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例に記載の略記号は、下記のことを意味する。
【0142】
GC:ガスクロマトグラフィー
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
TLC:薄層クロマトグラフィー
IR:赤外線吸収スペクトル
Mass:質量スペクトル
b.p:沸点
m.p:融点
Y:収率
(実施例1)
下記化5で表される重合性化合物を合成した。
【0143】
【化5】
【0144】
以下に合成手順を示す。
【0145】
(a) 下記化6で表される化合物の合成:
【0146】
【化6】
【0147】
1リットルフラスコに、4-ブロモフェノール34.6g、2,3-ジフルオロフェニルボロン酸37.9g、ジメトキシエタン380ml、水380ml、炭酸セシウム97.8g、およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム7gを仕込み、還流下で20時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=9/1)により精製し、へキサンより再結晶して2,3-ジフルオロ-4'-ヒドロキシビフェニル30.9g(Y:75%)を得た。得られた化合物の純度はGCで99.8%であり、m.pは132〜134.4℃であった。
【0148】
(b) 下記化7で表される化合物の合成:
【0149】
【化7】
【0150】
200mlフラスコに、2,3-ジフルオロ-4'-ヒドロキシビフェニル5.0g、11-ブロモ-1-ウンデカノール7.3g、炭酸カリウム6.7g、およびメチルエチルケトン150mlを仕込み、還流下で20時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をトルエンで抽出した。トルエン層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去し、残留分をアセトンより再結晶して2,3-ジフルオロ-4'-(11-ヒドロキシウンデシル)オキシビフェニル8g(Y:88%)を得た。得られた化合物の純度はGCで98.8%であった。
【0151】
(c) 下記化8で表される化合物の合成:
【0152】
【化8】
【0153】
200mlフラスコに、2,3-ジフルオロ-4'-(11-ヒドロキシウンデシル)オキシビフェニル8g、および四塩化炭素100mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、三臭化リン2.3gを四塩化炭素50mlに溶解した溶液を滴下し、室温で3時間、還流下で2時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン=1/9)により精製し、さらに、ヘキサンより再結晶して2,3-ジフルオロ-4'-(11-ブロモウンデシル)オキシビフェニル4.5g(Y:47.8%)を得た。得られた化合物の純度はGCで95.3%であった。
【0154】
(d) 下記化9で表される化合物の合成:
【0155】
【化9】
【0156】
内部をアルゴン置換した100mlフラスコに、ナトリウムエトキシド0.62g、マロン酸ジエチル1.5g、および無水エタノール50mlを仕込んだ。この反応系に、2,3-ジフルオロ-4'-(11-ブロモウンデシル)オキシビフェニル4gを溶解したテトラヒドロフラン溶液20mlを滴下し、還流下で8時間撹拌した。反応液を希塩酸に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)により精製して2,3-ジフルオロ-4'-[12,12-ビス(エトキシカルボニル)ドデシル]オキシビフェニル4g(Y:84.7%)を得た。得られた化合物の純度はGCで99.8%であった。
【0157】
(e) 下記化10で表される化合物の合成:
【0158】
【化10】
【0159】
100mlフラスコに、水素化ホウ素リチウム1.7g、およびテトラヒドロフラン20mlを仕込んだ。この反応系に、2,3-ジフルオロ-4'-[12,12-ビス(エトキシカルボニル)ドデシル]オキシビフェニル4gを溶解したテトラヒドロフラン溶液60mlを滴下し、還流下で18時間撹拌した。反応液に冷希塩酸を加え、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/トルエン=8/2)により精製し、アセトンより再結晶して2,3-ジフルオロ-4'-[12,12-ビス(ヒドロキシメチル)ドデシル]オキシビフェニル2.4g(Y:71.6%)を得た。得られた化合物の純度はHPLCで99.6%であった。
【0160】
(f) 下記化11で表される化合物の合成:
【0161】
【化11】
【0162】
200mlフラスコに、2,3-ジフルオロ-4'-[12,12-ビス(ヒドロキシメチル)ドデシル]オキシビフェニル2.4g、トリエチルアミン1.3g、およびテトラヒドロフラン100mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、アクリル酸クロライド1.1gを溶解したテトラヒドロフラン溶液15mlを滴下し、室温に戻して3時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を希塩酸で、次いで水で洗浄し、芒硝で乾燥させ、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=20/1)により精製し、さらに、へキサンより再結晶して2,3-ジフルオロ-4'-[12,12-ビス(アクリロイルオキシメチル)ドデシル]オキシビフェニル1.7g(Y:57%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで99.6%、HPLCで100%、そしてTLCで1スポットであり、得られた化合物のm.pは33.4℃〜34.4℃であった。
【0163】
IR測定の結果により、およびMass分析で542に分子イオンピークが認められたことにより、ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化5で表される化合物であることを確認した。
【0164】
(実施例2)
下記化12で表される重合性化合物を合成した。
【0165】
【化12】
【0166】
以下に合成手順を示す。
【0167】
(a) 下記化13で表される化合物の合成:
【0168】
【化13】
【0169】
300mlフラスコに、60%水素化ナトリウム2.4g、および無水テトラヒドロフラン100mlを仕込んだ。この反応系に、ベンジルブロマイド11.3gを溶解したテトラヒドロフラン溶液15ml、6-ブロモヘキサノール10.9gを溶解したテトラヒドロフラン溶液15ml、およびテトラブチルアンモニウムヨーダイド0.1gを加え、還流下で3時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をトルエンで抽出した。トルエン層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲル力ラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン=1/3)により精製し、減圧蒸留を行って1-ブロモ-6-ベンジルオキシヘキサン8.6g(Y:52.8%)を得た。得られた化合物の純度はGCで97.9%であり、b.pは115〜127℃/0.4mmHgであった。
【0170】
(b) 下記化14で表される化合物の合成:
【0171】
【化14】
【0172】
200mlフラスコに、ナトリウムエトキシド2.7g、および無水エタノール100mlを仕込んだ。この反応系に、マロン酸ジエチル7gのエタノール溶液20mlを60℃で滴下し、2時間撹拌した。次に、1-ブロモ-6-ベンジルオキシヘキサン9gのエタノール溶液20mlを滴下し、還流下で3時間撹拌し、反応液を希塩酸に注加した。有機層をエーテルで抽出し、エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=9/1)により精製してジエチル 2-(6-ベンジルオキシヘキシル)マロナート11.5g(Y:98%)を得た。得られた化合物の純度はGCで86.3%であった。
【0173】
(c) 下記化15で表される化合物の合成:
【0174】
【化15】
【0175】
200mlフラスコに、60%水素化ナトリウム1.5g、および無水ジメチルホルムアミド30mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、ジエチル 2-(6-ベンジルオキシヘキシル)マロナート11.5gのジメチルホルムアミド溶液30mlを滴下し、室温で1時間、130℃で30分間撹拌した。次に、1-ブロモ-6-ベンジルオキシヘキサン10gのジメチルホルムアミド溶液30mlを滴下し、3時間撹拌した後、反応液を希塩酸に注加した。有機層をエーテルで抽出し、エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:へキサン/酢酸エチル=9/1)により精製してジエチル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)マロナート14.8g(Y:91.5%)を得た。得られた化合物の純度はGCで94.7%であった。
【0176】
(d) 下記化16で表される化合物の合成:
【0177】
【化16】
【0178】
100mlフラスコに、ジエチル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)マロナート14.8g、水0.5g、塩化リチウム2.3g、およびジメチルスルホキシド50mlを仕込み、180℃で12時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=9/1)により精製してエチル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート9.4g(Y:72.9%)を得た。得られた化合物の純度はGCで97.9%であった。
【0179】
(e) 下記化17で表される化合物の合成:
【0180】
【化17】
【0181】
500mlフラスコに、エチル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート12g、メタノール250ml、および85%水酸化カリウム16.8gの水溶液100mlを仕込み、還流下で2時間撹拌した。反応液を希塩酸に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をヘキサン/アセトンの混合溶媒より再結晶して2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)酢酸6.2g(Y:55%)を得た。
【0182】
(f) 下記化18で表される化合物の合成:
【0183】
【化18】
【0184】
100mlフラスコに、6-ブロモ-1-ヘキサノール5g、2,3-ジフルオロ-4'-ヒドロキシビフェニル5.7g、炭酸カリウム7.6g、およびメチルエチルケトン70mlを仕込み、還流下で20時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をトルエンで抽出した。トルエン層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去し、残留分をアセトンより再結晶して2,3-ジフルオロ-4'-(6-ヒドロキシヘキシル)オキシビフェニル5.4g(Y:63.5%)を得た。得られた化合物の純度はGCで99.9%であった。
【0185】
(g) 下記化19で表される化合物の合成:
【0186】
【化19】
【0187】
100mlフラスコに、2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)酢酸2.47g、2,3-ジフルオロ-4'-[6-ヒドロキシヘキシル]オキシビフェニル1.85g、トリフェニルホスフィン1.6g、およびテトラヒドロフラン50mlを仕込んだ。この反応系に、アゾジカルボン酸ジエチル1.1gを5℃で滴下した後、室温に戻して8時間撹拌した。反応液を濃縮し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1/4)により精製して6-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシへキシル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート4g(Y:97.8%)を得た。得られた化合物の純度はHPLCで99%であった。
【0188】
(h) 下記化20で表される化合物の合成:
【0189】
【化20】
【0190】
300mlオートクレーブに、6-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシヘキシル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート4g、10%Pd-C 1.3g、およびテトラヒドロフラン150mlを仕込み、水素圧を10kg/cm2に設定して室温で二日間撹拌した。触媒を濾別し、濾液を濃縮した後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=2/3)により精製して6-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシヘキシル 2,2-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)アセテート2.6g(Y:90%)を得た。得られた化合物の純度はHPLCで99.3%であった。
【0191】
(i) 下記化21で表される化合物の合成:
【0192】
【化21】
【0193】
200mlフラスコに、6-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシヘキシル 2,2-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)アセテート2.6g、トリエチルアミン1.2g、およびテトラヒドロフラン100mlを仕込み、これに、氷水冷下、アクリル酸クロライド1.1gを少量のテトラヒドロフランに溶かして滴下し、室温に戻して3時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を希塩酸で、次いで水で洗浄し、芒硝で乾燥させ、溶媒を留去した後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/トルエン=1/9)で精製して6-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシヘキシル 2,2-ビス(6-アクリロイルオキシヘキシル)アセテート0.9g(Y:28%)を得た。得られた化合物は、室温で液体であった。得られた化合物の純度は、HPLCで99%、TLCで1スポットであった。
【0194】
IR測定の結果により、およびMass分析で656に分子イオンピークが認められたことにより、ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化12で表される化合物であることを確認した。
【0195】
(実施例3)
下記化22で表される重合性化合物を合成した。
【0196】
【化22】
【0197】
以下に合成手順を示す。
【0198】
(a) 下記化23で表される化合物の合成:
【0199】
【化23】
【0200】
100mlフラスコに、2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)酢酸3.0g、2,3-ジフルオロ-4'-[11-ヒドロキシウンデシル]オキシビフェニル2.8g、トリフェニルホスフィン2.2g、およびテトラヒドロフラン50mlを仕込み、5℃でアゾジカルボン酸ジエチル1.4gを滴下した後、室温に戻して8時間撹拌した。反応液を濃縮し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/へキサン=1/9)により精製して11-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシウンデシル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート5g(Y:92.6%)を得た。得られた化合物の純度はHPLCで98%であった。
【0201】
(b) 下記化24で表される化合物の合成:
【0202】
【化24】
【0203】
300mlオートクレーブに、11-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシウンデシル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート4.9g、10%Pd-C 1.5g、およびテトラヒドロフラン100mlを仕込み、水素圧を10kg/cm2に設定して室温で二日間撹拌した。触媒を濾別し、濾液を濃縮した後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=7/3)により精製して11-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシウンデシル 2,2-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)アセテート3.7g(Y:97.5%)を得た。得られた化合物の純度はHPLCで98%であった。
【0204】
(c) 下記化25で表される化合物の合成:
【0205】
【化25】
【0206】
100mlフラスコに、11-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシウンデシル 2,2-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)アセテート3.66g、トリエチルアミン1.3g、およびベンゼン30mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、アクリル酸クロライド1.2gを少量のベンゼンに溶かして滴下し、室温に戻して3時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を希塩酸で、次いで水で洗浄し、芒硝で乾燥させ、溶媒を留去した後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/トルエン=1/20)で精製して11-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシウンデシル 2,2-ビス(6-アクリロイルオキシヘキシル)アセテート1.36g(Y:32%)を得た。得られた化合物は室温で液体であった。得られた化合物の純度は、HPLCで99%、TLCで1スポットであった。
【0207】
IR測定の結果により、およびMass分析で726に分子イオンピークが認められたことにより、ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化22で表される化合物であることを確認した。
【0208】
(実施例4)
下記化26で表される重合性化合物を合成した。
【0209】
【化26】
【0210】
以下に合成手順を示す。
【0211】
(a) 下記化27で表される化合物の合成:
【0212】
【化27】
【0213】
1リットルフラスコに、1,16-へキサデカンジオール10g、48%臭化水素酸26g、およびトルエン400mlを仕込み、系内の水を除去しながら、還流温度で48時間撹拌した。反応液を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=9/1)により精製し、へキサンより再結晶して16-ブロモ-1-へキサドデカノール5.7g(Y:46%)を得た。得られた化合物の純度はGCで95%であった。
【0214】
(b) 下記化28で表される化合物の合成:
【0215】
【化28】
【0216】
100mlフラスコに、16-ブロモ-1-へキサドデカノール3g、2,3-ジフルオロ-4'-ヒドロキシビフェニル1.9g、炭酸カリウム2.6g、およびメチルエチルケトン50mlを仕込み、還流下で32時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後溶媒を留去し、残留分をアセトンより再結晶して2,3-ジフルオロ-4'-(16-ヒドロキシヘキサデシル)オキシビフェニル3.5g(Y:84%)を得た。得られた化合物の純度はGCで97.4%であった。
【0217】
(c) 下記化29で表される化合物の合成:
【0218】
【化29】
【0219】
100mlフラスコに、2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)酢酸3.4g、2,3-ジフルオロ-4'-[16-ヒドロキシヘキサデシル]オキシビフェニル3.3g、トリフェニルホスフィン2.3g、およびテトラヒドロフラン50mlを仕込み、アゾジカルボン酸ジエチル1.5gを5℃で滴下した後、室温に戻して8時間撹拌した。反応液を濃縮し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/へキサン=1/9)により精製して16-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシヘキサデシル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート5.9g(Y:92.1%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで98.3%であった。
【0220】
(d) 下記化30で表される化合物の合成:
【0221】
【化30】
【0222】
300mlオートクレーブに、16-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシヘキサデシル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート5.8g、10%Pd-C 1.8g、およびテトラヒドロフラン100mlを仕込み、水素圧を10kg/cm2に設定して室温で二日間撹拌した。触媒を濾別し、濾液を濃縮した後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=7/3)により精製して16-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシヘキサデシル 2,2-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)アセテート3.9g(Y:85.5%)を得た。得られた化合物の純度はHPLCで99.2%であり、m.pは45.2〜48.8℃であった。
【0223】
(e) 下記化31で表される化合物の合成:
【0224】
【化31】
【0225】
100mlフラスコに、16-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシヘキサデシル 2,2-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)アセテート3.4g、トリフェニルホスフィン3g、アクリル酸0.9g、およびテトラヒドロフラン30mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、アゾジカルボン酸エチル2gを10mlのテトラヒドロフランに溶かして滴下し、室温に戻して3時間撹拌した。反応液を濃縮後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/トルエン=1/20)で精製し、へキサンより再結晶して16-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシヘキサデシル 2,2-ビス(6-アクリロイルオキシヘキシル)アセテート2.7g(Y:59.7%)を得た。得られた化合物の純度はHPLCで99%、TLCで1スポットであり、m.pは33.8〜35.5℃であった。
【0226】
IR測定の結果により、およびMass分析で796に分子イオンピークが認められたことにより、ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化26で表される化合物であることを確認した。
【0227】
(実施例5)
下記化32で表される重合性化合物を合成した。
【0228】
【化32】
【0229】
以下に合成手順を示す。
【0230】
(a) 下記化33で表される化合物の合成:
【0231】
【化33】
【0232】
アルゴン置換した300mlフラスコに、60%水素化ナトリウム2.4g、および無水テトラヒドロフラン100mlを仕込んだ。この反応系に、ベンジルブロマイド11.3gのテトラヒドロフラン溶液15ml、12-ブロモドデカノール15.9gのテトラヒドロフラン溶液15ml、テトラブチルアンモニウムヨーダイド0.1gを加え、還流下で2.5時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をトルエンで抽出した。トルエン層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/へキサン=1/3)により精製し、1-ブロモ-12-ベンジルオキシドデカン14.0g(Y:65.7%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで98.4%であった。
【0233】
(b) 下記化34で表される化合物の合成:
【0234】
【化34】
【0235】
アルゴン置換した200mlフラスコに、1-ブロモ-12-ベンジルオキシドデカン12.4g、ヨウ化ナトリウム6.3g、およびアセトン125mlを仕込み、還流下で5時間撹拌した。不溶物を濾別し、濾液を濃縮した後、残留分にエーテルを投入した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン=1/1)により精製し、1-ヨード-12-ベンジルオキシドデカン14.7g(Y:100%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで96.1%であった。
【0236】
(c) 下記化35で表される化合物の合成:
【0237】
【化35】
【0238】
アルゴン置換した500mlシュレンク管に、1,2-ジフルオロベンゼン18.3g、および無水テトラヒドロフラン150mlを仕込み、-60〜-70℃で1.6Mブチルリチウム−へキサン溶液102mlを滴下し、同温度で3時間撹拌した。これに、1,4-シクロヘキサンジオン・モノエチレンケタール25.0gのテトラヒドロフラン溶液80mlを滴下し、徐徐に室温まで昇温し、一夜撹拌した。
【0239】
反応液に、5%希塩酸を加えて酸性とした後、有機層をトルエンで抽出した。トルエン層を水洗し、芒硝で乾燥させ、溶媒を留去した。残留分に、p-トルエンスルホン酸・一水和物1g、トルエン300mlを加え、生成水を除去しながら9時間加熱撹拌した。反応液を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去して、粗製の4-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-シクロヘキセノンエチレンケタール39.4g(Y:71.8%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで73.6%であった。
【0240】
(d) 下記化36で表される化合物の合成:
【0241】
【化36】
【0242】
500mlオートクレーブに、4-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-シクロヘキセノンエチレンケタール39.4g、酢酸エチル150ml,10%Pd-C 1.0gを仕込み、水素圧を10kg/cm2に設定して、室温で43時間撹拌した。触媒を濾別後、濾液を濃縮し、残留分に1,4-ジオキサン225ml、水675ml、p-トルエンスルホン酸・一水和物1gを加え、還流下で2時間撹拌した。反応液をエーテルで抽出し、エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/へキサン=19:1)により精製し、さらに、減圧蒸留して4-(2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキサノン17.5g(Y:72%)を得た。得られた化合物の純度はGCで98.9%であり、b.pは125〜128℃/0.6mmHgであった。
【0243】
(e) 下記化37で表される化合物の合成:
【0244】
【化37】
【0245】
アルゴン置換した500mlフラスコに、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド27.4g、t-ブトキシカリウム9g、無水エーテル225mlを仕込み、氷水冷下、30分間撹拌した。この反応系に、4-(2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキサノン16.8gのエーテル溶液50mlを滴下し、氷水冷下で30分、室温で8時間撹拌した後、沈殿物を濾別し、濾液を水洗し、芒硝で乾燥させた。溶媒を留去した後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン=1/4)により精製して1-(2,3-ジフルオロフェニル)‐4-メトキシメチレンシクロヘキサン17.1g(Y:89.7%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで99.2%であった。
【0246】
(f) 下記化38で表される化合物の合成:
【0247】
【化38】
【0248】
200mlフラスコに、1-(2,3-ジフルオロフェニル)‐4-メトキシメチレンシクロヘキサン17.1g、3N塩酸19ml、テトラヒドロフラン80mlを仕込み、還流下で30分間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。
【0249】
一方、別のフラスコに、苛性カリ1g、メタノール170mlを仕込んだ。この反応系に、上記残留分をメタノール85mlに溶かして、0〜3℃で滴下した。同温度で1時間撹拌した後、反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去してトランス-4-(2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド14.3g(Y:88.9%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで95%であった。
【0250】
(g) 下記化39で表される化合物の合成:
【0251】
【化39】
【0252】
アルゴン置換した100mlフラスコに、(b)で得られた1-ヨード-12-ベンジルオキシドデカン14.7g、トリフェニルホスフィン9.2g、およびトルエン50mlを仕込み、還流下で30時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去し、フラスコ内部を再度アルゴン置換し、無水テトラヒドロフラン70mlを添加した。これに、氷水冷下、1.6Mブチルリチウム−ヘキサン溶液22.4mlを滴下し、室温に戻して40分間撹拌した後、再度、氷水冷下、トランス-4-(2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド7.85gのテトラヒドロフラン溶液35mlを滴下した。室温に戻して一昼夜撹拌した後、不溶物を濾別し、濾液を塩化メチレンで希釈した。塩化メチレン層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去して2,3-ジフルオロ-1-[トランス-4-{13-ベンジルオキシ-1-トリデセニル}シクロヘキシル]ベンゼン11.9g(Y:70.4%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで96%(E,Z体混合物)であった。
【0253】
(h) 下記化40で表される化合物の合成:
【0254】
【化40】
【0255】
500mlオートクレーブに、2,3-ジフルオロ-1-[トランス-4-{13-ベンジルオキシ-1-トリデセニル}シクロヘキシル]ベンゼン10.9g、10%Pd-C 1g、エタノール50ml、および酢酸エチル50mlを仕込み、水素圧を8kg/cm2に設定して、室温で5日間撹拌した。触媒を濾別し、濾液を濃縮した後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=4/1)により精製し、アセトンより再結晶して2,3-ジフルオロ-1-[トランス-4-(13-ヒドロキシトリデシル)シクロヘキシル]ベンゼン5.7g(Y:64%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで97.2%、HPLCで99.8%であった。
【0256】
(i) 下記化41で表される化合物の合成:
【0257】
【化41】
【0258】
100mlフラスコに、2,3-ジフルオロ-1-[トランス‐4-(13-ヒドロキシトリデシル)シクロヘキシル]ベンゼン3g、2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)酢酸3g、トリフェニルホスフィン2.2g、およびテトラヒドロフラン30mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、アゾジカルボン酸エチル1.5gを滴下し、室温に戻して2時間撹拌した。反応液を濃縮し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=9/1)により精製して13-[トランス-4-(2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]トリデシル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート5.4g(Y:97%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで93.7%であった。
【0259】
(j) 下記化42で表される化合物の合成:
【0260】
【化42】
【0261】
300mlオートクレーブに、13-[トランス-4-(2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]トリデシル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート5.3g、10% Pd-C 1.7g、およびテトラヒドロフラン100mlを仕込み、水素圧を10kg/cm2に設定して室温で二日間撹拌した。触媒を濾別し、濾液を濃縮した後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=7/3)により精製して13-[トランス-4-(2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]トリデシル 2,2-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)アセテート 4.1g(Y:98%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで99%であった。
【0262】
(k) 下記化43で表される化合物の合成:
【0263】
【化43】
【0264】
100mlフラスコに、13-[トランス-4-(2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]トリデシル 2,2-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)アセテート2.8g、トリエチルアミン1g、およびベンゼン30mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、アクリル酸クロライド0.9gを少量のベンゼンに溶かして滴下し、室温に戻して3時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を希塩酸で、次いで水で洗浄し、芒硝で乾燥させ、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/トルエン=1/20)で精製して13-[トランス-4-(2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]トリデシル 2,2-ビス(6-アクリロイルオキシヘキシル)アセテート1.12g(Y:33%)を得た。得られた化合物は室温で液体であった。得られた化合物の純度は、HPLCで99.6%、TLCで1スポットであった。
【0265】
IR測定の結果により、およびMass分析で744に分子イオンピークが認められたことにより、ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化32で表される化合物であることを確認した。
【0266】
(実施例6)
下記化44で表される重合性化合物を合成した。
【0267】
【化44】
【0268】
以下に合成手順を示す。
【0269】
(a) 下記化45で表される化合物の合成:
【0270】
【化45】
【0271】
300mlフラスコに、マグネシウム2.6g、少量のヨウ素、テトラヒドロフラン70mlを仕込んだ。この反応系に、1-ブロモ-12-ベンジルオキシドデカン25.5gのテトラヒドロフラン溶液60mlを40〜50℃で滴下してグリニャール試薬を調製した。これを5℃まで冷却した後、ギ酸メチル2.1gのテトラヒドロフラン溶液20mlを滴下し、室温に戻して2時間、還流下で2時間撹拌した。
【0272】
反応液を希塩酸に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)により精製し、アセトンより再結晶してビス(12-ベンジルオキシドデシル)メタノール6.25g(Y:30.7%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで94.7%であった。
【0273】
(b) 下記化46で表される化合物の合成:
【0274】
【化46】
【0275】
100mlフラスコに、ビス(12-ベンジルオキシドデシル)メタノール3g、ピリジン20mlを仕込んだ。この反応系に、p-トルエンスルホニルクロライド1.15gを加え、室温で三日間撹拌した。反応液をエーテルで希釈し、この希釈液を、希塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した後、芒硝で乾燥させた。溶媒を留去後、残留分をアセトンより再結晶してビス(12-ベンジルオキシドデシル)メチル p-トルエンスルホネート1.6g(Y:42%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで98.5%であった。
【0276】
(c) 下記化47で表される化合物の合成:
【0277】
【化47】
【0278】
100mlフラスコに、60%水素化ナトリウム0.1g、ジメチルホルムアミド20mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、2,3-ジフルオロ-4'-ヒドロキシビフェニル0.42gのジメチルホルムアミド溶液5mlを滴下し、しばらく撹拌した。次に、ビス(12-ベンジルオキシドデシル)メチル p-トルエンスルホネート1.5gを加え、還流下で12時間撹拌した後、反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製して2,3-ジフルオロ-4'-ビス(12-ベンジルオキシドデシル)メトキシビフェニル0.45g(Y:29%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで98.7%であった。
【0279】
(d) 下記化48で表される化合物の合成:
【0280】
【化48】
【0281】
100mlオートクレーブに、2,3-ジフルオロ-4'-ビス(12-ベンジルオキシドデシル)メトキシビフェニル0.39g、10%Pd-C 0.5g、およびテトラヒドロフラン30mlを仕込み、水素圧を10kg/cm2に設定して室温で三日間撹拌した。触媒を濾別し、濾液を濃縮した後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=1/1)により精製して2,3-ジフルオロ-4'-ビス(12-ヒドロキシドデシル)メトキシビフェニル0.23g(Y:77%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで100%であった。
【0282】
(e) 下記化49で表される化合物の合成:
【0283】
【化49】
【0284】
50mlフラスコに、2,3-ジフルオロ-4'-ビス(12-ヒドロキシドデシル)メトキシビフェニル0.23g、アクリル酸0.06g、トリフェニルホスフィン0.26g、およびテトラヒドロフラン20mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、アゾジカルボン酸エチル0.17gを滴下し、室温に戻して2時間撹拌した。反応液を濃縮し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=20/1)により精製して2,3-ジフルオロ-4'-ビス(12-アクリロイルオキシドデシル)メトキシビフェニル0.14g(Y:51.4%)を得た。得られた化合物は室温で液体であった。得られた化合物の純度は、HPLCで99%、TLCで1スポットであった。
【0285】
IR測定の結果により、およびMass分析で696に分子イオンピークが認められたことにより、ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化44で表される化合物であることを確認した。
【0286】
(実施例7)
下記化50で表される重合性化合物を合成した。
【0287】
【化50】
【0288】
以下に合成手順を示す。
【0289】
(a) 下記化51で表される化合物の合成:
【0290】
【化51】
【0291】
100mlフラスコに、水素化リチウムアルミニウム0.44g、およびジエチルエーテル50mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、実施例2−(d)で得られたエチル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート5.4gを滴下し、室温に戻して1時間、そして還流下で1時間撹拌した。反応液を冷希塩酸に注加し、エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=4/1)により精製して、2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)エタノール4.7g(Y:96%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで97.1%であった。
【0292】
(b) 下記化52で表される化合物の合成:
【0293】
【化52】
【0294】
200mlフラスコに、2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)エタノール13.8g、トリフェニルホスフィン10.2g、および塩化メチレン50mlを仕込んだ。この反応系に、室温で、四臭化炭素16.1gの塩化メチレン溶液50mlを滴下し、1時間撹拌した。反応液を、炭酸水素ナトリウム水溶液および水の順で洗浄し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)により精製して2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)エチルブロマイド11g(Y:69%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで97.5%であった。
【0295】
(c) 下記化53で表される化合物の合成:
【0296】
【化53】
【0297】
300mlフラスコに、2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)エチルブロマイド6g、ヨウ化ナトリウム2.19g、および2-ブタノン150mlを仕込み、還流下で16時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗した後、芒硝で乾燥させた。溶媒を留去後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)により精製して2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)エチルヨージド6g(Y:91.2%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで95.3%であった。
【0298】
(d) 下記化54で表される化合物の合成:
【0299】
【化54】
【0300】
200mlフラスコに、クロロクロム酸ピリジニウム6.4g、酢酸ナトリウム0.48g、および塩化メチレン10mlを仕込んだ。この反応系に、室温で、実施例2−(f)で得られた2,3-ジフルオロ-4'-(6-ヒドロキシヘキシル)オキシビフェニル6gの塩化メチレン溶液50mlを滴下し、18時間撹拌した。反応液を濃縮し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)により精製し、ヘキサン/アセトン混合溶媒より再結晶して2,3-ジフルオロ-4'-(5-ホルミルペンチル)オキシビフェニル2.56g(Y:42.9%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで95.1%であった。
【0301】
(e) 下記化55で表される化合物の合成:
【0302】
【化55】
【0303】
100mlフラスコに、2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)エチルヨージド4.3g、トリフェニルホスフィン2.1g、およびトルエン50mlを仕込み、還流下で36時間撹拌した後、トルエンを留去してホスホニウム塩を得た。次いで、テトラヒドロフラン30mlを加えてホスホニウム塩を溶解させた後、氷水冷下、2,3-ジフルオロ-4'-(5-ホルミルペンチル)オキシビフェニル1.93gのテトラヒドロフラン溶液20ml、続いて、ターシャリ−ブトキシカリウム1gを添加し、同温度で4時間、室温に戻して24時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/へキサン=9/1)により精製して2,3-ジフルオロ-4'-[8,8-ビス(6-べンジルオキシヘキシル)-6-オクテン-1-イル]オキシビフェニル3.3g(Y:74.5%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで98.9%であった。
【0304】
(f) 下記化56で表される化合物の合成:
【0305】
【化56】
【0306】
200mlオートクレーブに、2,3-ジフルオロ-4'-[8、8-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)-6-オクテン-1-イル]オキシビフェニル3.3g、10%Pd-C 1g、およびテトラヒドロフラン100mlを仕込み、水素圧を10kg/cm2に設定して、室温で二日間撹拌した。触媒を濾別し、濾液を濃縮した後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=3/2)により精製して2,3-ジフルオロ-4'-[8,8-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)オクチル]オキシビフェニル2.3g(Y:93.6%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで98.8%であった。
【0307】
(g) 下記化57で表される化合物の合成:
【0308】
【化57】
【0309】
100mlフラスコに、2,3-ジフルオロ-4'-[8,8-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)オクチル]オキシビフェニル2.3g、アクリル酸0.8g、トリフェニルホスフィン2.9g、およびテトラヒドロフラン50mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、アゾジカルボン酸エチル1.93gを滴下した後、室温に戻して2時間撹拌した。反応液を濃縮し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ベンゼン)にて精製して2,3-ジフルオロ-4'-[8,8-ビス(6-アクリロイルオキシヘキシル)オクチル]オキシビフェニル1.31g(Y:47.1%)を得た。得られた化合物は室温で液体であった。得られた化合物の純度は、HPLCで99.5%、TLCで1スポットであった。
【0310】
IR測定の結果により、およびMass分析で627(CI法)に分子イオンピークが認められたことにより、ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化50で表される化合物であることを確認した。
【0311】
(実施例8)
本発明の重合性化合物を用いた液晶表示素子を、マスクパターン露光により作製した。以下、その作製方法を説明する。
【0312】
まず、ITO(酸化インジュウムおよび酸化スズの混合物、厚み50nm)を透明電極として有する、厚さ1.1mmのガラス基板2枚を対向させ、平均粒径5μmのスペーサーを挟持させることにより、セル厚が保たれたセルを作製した。作製したセルの片面上に、図21に示すような遮光部31および透光部32を有するホトマスク3を配置した。この遮光部31は、画素に対応するように設けた。
【0313】
次いで、このセル中に、高分子(壁)を構成するための樹脂組成物として、イソボルニルアクリレート0.65g、1,4-ブタンジオールジアクリレート0.25g、p-フェニルスチレン0.15g、下記表2に示す重合性化合物D0.15gと、液晶組成物MLC−6419(メルク社製;△n=+0.0977、no=1.4802、カイラル剤S−811をd/p=0.25となるよう添加したもの)12.0gと、光重合開始剤Irgacure651 0.04gとの混合物を均一に混合した後、毛管注入して液晶セルとした。
【0314】
【表2】
【0315】
その後、透明電極間に±3Vの電圧を印加しながら、ホトマスクを介して平行光線を得られる高圧水銀ランプ下8mW/cm2のところで、80℃で8分間照射した。(なお、この状態で、紫外線は、液晶セルに対して空間的に規則性を有したパターンとして照射されている。)
次いで、電圧はそのまま印加した状態で、10℃/hrの冷却速度で、25℃(液晶はネマティック状態となる)まで液晶セルを徐々に冷却し、さらに3分間連続で紫外線を照射することにより樹脂組成物を硬化させた。
【0316】
樹脂組成物硬化後の液晶セルを偏光顕微鏡で観察したところ、図22に示すように、ほぼホトマスクの遮光部の形状を反映した液晶領域20が形成され、かつ、液晶分子が液晶領域20の中央を中心軸とした軸対称状の配向状態になっていることが観察された。
【0317】
この液晶セルの各基板の外側に、偏光板を互いに光軸が直交するように貼り合わせて、液晶表示素子を作製した。
【0318】
液晶表示素子の電気光学特性の評価は、液晶特性評価システムLCD−5000(大塚電子社製)を用いて、上記ガラス基板を2枚貼り合わせた空セルの両側に偏光板を平行ニコルに配置して作製したセルをリファレンスとして、電圧−透過率特性および液晶セルの応答速度を測定した。ここで、応答速度は、電圧10V印加による光線透過率変化が初期透過率から90%変化するのに要した時間を、立ち上がりの応答速度τr(ms)とし、印加電圧遮断による光線透過率変化が黒状態透過率から90%変化するのに要した時間を、立ち下がりの応答速度τd(ms)としたとき、それらの和τr+τd(ms)として評価した。また、駆動特性の急峻性については全透過率変化幅の10%および90%の透過率変化をおこす電圧V10とV90の比(V90/V10)の絶対値αとして評価した。
【0319】
電気光学特性の測定結果を、後述の実施例9、12〜15、比較例1〜4の結果と併せて表3に示す。
【0320】
さらに、重合性化合物の特性を、ガラス転移温度および液晶表示素子の加熱保存試験により評価した。評価結果を表3に示す。なお、測定の具体的な手順は、以下の通りである:引っ張りモード(テンションモジュール)の粘弾性スペクトロメータ(セイコー電子工業社製;DMS210)を用いて、測定周波数1HzでのE’(貯蔵弾性率)とE”(損失弾性率)との比tanδ(=E"/E';損失正接)の最大値を与える温度として高分子フィルムのTgを規定した。さらに、液晶表示素子の100時間での加熱保存試験により配向不良が発生する下限温度を調べ、Tgとの関係を考察した。
【0321】
【表3】
【0322】
さらに、ディスクリネーションラインについて調べたところ、ディスクリネーションラインは全く認められなかった。
【0323】
(実施例9)
重合性化合物Dとして上記表2に示す化合物を用いたこと以外は、実施例8と同様にして液晶表示素子を作製し、電気光学特性を評価した。結果を表3に示す。さらに、ディスクリネーションラインについて調べたところ、ディスクリネーションラインは全く認められなかった。
【0324】
(実施例10)
重合性化合物Dとして上記表2に示す化合物を用いたこと以外は、実施例8と同様にして液晶表示素子を作製し、ディスクリネーションラインについて調べたところ、ディスクリネーションラインは全く認められなかった。
【0325】
(実施例11)
重合性化合物Dとして上記表2に示す化合物を用いたこと以外は、実施例8と同様にして液晶表示素子を作製し、ディスクリネーションラインについて調べたところ、ディスクリネーションラインは全く認められなかった。
【0326】
(実施例12)
本発明の重合性化合物を用いた液晶表示素子を、絶縁体パターン露光により作製した。以下、その作製方法を説明する。
【0327】
ガラス基板(1.1mm厚)上にITO(50nm)を透明電極として有する第1および第2の基板を使用した。第1の基板には、所定のレジスト材料(OMR83:東京応化社製)を用いて、図24で示すような絶縁性物質のパターニング膜40を形成した。パターニング膜40は、具体的には、レジスト材料塗布、焼成、図21のホトマスク3を用いた露光、現像、リンスおよび焼成の各工程により形成した。パターニング膜40は、非画素部に対応するように形成した。一方、第2の基板には、ポリイミド絶縁膜AL4552(日本合成ゴム社製)を塗布、形成した(ラビングは未処埋)。作製した上記第1および第2の基板を対向させ、この2枚の基板間に5μmのスペーサーを挟持させることにより、セル厚が保たれたセルを作製した。次いで、このセル中に、高分子(壁)を構成するための光重合性樹脂材料としてイソボルニルアクリレート0.6g、ネオペンチルジアクリレート0.3g、p-メチルスチレン0.15g、および下記表4に示される重合性化合物E0.15gと、液晶組成物MLC−6419(メルク社製:△n=+0.0977、no=1.4802、カイラル剤S−811をd/p=0.25となるように添加したもの)12.0gと、光重合開始剤Irgacure651 0.04gとを混合した均一混合物を、減圧下から真空注入し、液晶セルを作製した。
【0328】
【表4】
【0329】
その後、液晶セルの温度を90℃に保って、かつ、透明電極間に実効電圧2.5V:60Hzの電圧を印加しながら、第1の基板側から高圧水銀ランプ下6mW/cm2のところで8分間紫外線を照射することにより、樹脂組成物を硬化させた。
【0330】
次いで、電圧を印加した状態で、液晶セルを、5時間かけて40℃まで冷却した後、室温(25℃)に戻してから同じ紫外線照射装置で紫外線照射をして硬化を促進させた。
【0331】
樹脂組成物硬化後の液晶セルを偏光顕微鏡で観察した結果を、模式的に図25に示す。図25から明らかなように、レジストのパターニング膜が形成された部分(すなわち、非画素部)に高分子が、ITOの領域に一区面ごとに、液晶領域20が、モノドメイン状態で、かつ液晶分子が軸対称状に配向して形成されていた。このことは、互いに直交する2枚の偏光板を固定して得られた液晶セルを回転させたところ、液晶領域20のシュリーレン模様(消光模様)の位置が一定で、周りの高分子壁だけが回転しているように観察されたことからわかる。
【0332】
この液晶セルの各基板の外側に、偏光板を互いに光軸が直交するように貼り合わせて、高分子壁に囲まれた液晶領域を有する液晶表示素子を作製した。
【0333】
本実施例の液晶表示素子では、本発明の重合性化合物を用いないTNモード液晶表示素子(後述の比較例1)で見られるような反転現象は見られず、電圧飽和時の広視角方向での透過率の増加も見られない。さらに、中間調表示状態においても、ざらつきは観察されなかった。
【0334】
(実施例13)
重合性化合物Eとして上記表4に示す化合物を用いたこと以外は、実施例12と同様にして液晶表示素子を作製し、電気光学特性を評価した。結果を表3に示す。
【0335】
得られた液晶表示素子の電圧−透過率特性を図23に示す。この特性は、他の実施例で得られた液晶表示素子についてもほぼ同様であった。
【0336】
さらに、本実施例の液晶表示素子では、本発明の重合性化合物を用いないTNモード液晶表示素子(後述の比較例1)で見られるような反転現象は見られず、電圧飽和時の広視角方向での透過率の増加も見られない。さらに、中間調表示状態においても、ざらつきは観察されなかった。
【0337】
(実施例14)
重合性化合物Eとして上記表4に示す化合物を用いたこと以外は、実施例12と同様にして液晶表示素子を作製し、電気光学特性を評価した。結果を表3に示す。
【0338】
本実施例の液晶表示素子では、本発明の重合性化合物を用いないTNモード液晶表示素子(後述の比較例1)で見られるような反転現象は見られず、電圧飽和時の広視角方向での透過率の増加も見られない。さらに、中間調表示状態においても、ざらつきは観察されなかった。
【0339】
(実施例15)
重合性化合物Eとして上記表4に示す化合物を用いたこと以外は、実施例12と同様にして液晶表示素子を作製し、電気光学特性を評価した。結果を表3に示す。
【0340】
本実施例の液晶表示素子では、本発明の重合性化合物を用いないTNモード液晶表示素子(後述の比較例1)で見られるような反転現象は見られず、電圧飽和時の広視角方向での透過率の増加も見られない。さらに、中間調表示状態においても、ざらつきは観察されなかった。
【0341】
(実施例16)
本発明の重合性化合物を用いて、TNモードの液晶表示素子を作製した。以下、その作製方法を説明する。
【0342】
ITO(50nm)を透明電極として有するガラス基板(1.1mm厚)上に、ポリイミド配向膜(AL4552:日本合成ゴム社製)をスピンコート法により塗布した後、ナイロン布により所定のラビング処理を行った。このような基板を2枚作製した。作製した2枚の基板を互いにラビング方向が直交するように、平均粒径5μmのLCDスペーサーを介して貼り合わせた。
【0343】
このようにして貼り合わされた基板に、図21に示すホトマスクを配置し、さらに基板間に、実施例13と同様の樹脂組成物と液晶材料ZLI−4792(メルク社製:△n=0.094)と光重合開始剤Irgacure651とを実施例13と同様の比率で混合した混合物を、毛管注入により注入した。以下の手順は実施例8と同様にして、高分子に囲まれた液晶領域を有する液晶セルを作製した。
【0344】
この液晶セルに、偏光軸がラビング方向と一致するように偏光板を貼り合わせてTNモードの液晶表示素子を得た。
【0345】
本実施例で作製した液晶表示素子は、均一な配向状態を有するTN配向であった。この液晶表示素子は、表示面上をペンなどで押しても表示特性に変化が認められなかった。すなわち、この液晶表示素子は、液晶領域が高分子によって囲まれているため、従来のTNモード液晶表示素子(後述の比較例1)に比べて、素子の耐圧力性が飛躍的に向上することが確かめられた。
【0346】
(実施例17)
本発明の重合性化合物を用いて、STNモードの液晶表示素子を作製した。以下、その作製方法を説明する。
【0347】
ITO(50nm)を透明電極として有するガラス基板(1.1mm厚)上に、ポリイミド配向膜(サンエバー:日産化学社製)をスピンコート法により塗布した後、ナイロン布により所定のラビング処理を行った。このような基板を2枚作製した。作製した2枚の基板を互いにラビング方向が240゜になるように、平均粒径9μmのLCDスペーサーを介して貼り合わせた。
【0348】
このようにして貼り合わされた基板に、図21に示すホトマスクを配置し、さらに基板間に、実施例13と同様の樹脂組成物と液晶材料ZLI−4427(メルク社製)と光重合開始剤Irgacure651とを実施例13と同様の比率で混合した混合物を、毛管注入により注入した。以下の手順は実施例8と同様にして、高分子に囲まれた液晶領域を有する液晶セルを作製した。
【0349】
この液晶セルに、偏光軸がラビング方向から45°かつ、互いに105°となるように偏光板を貼り合わせてSTNモードの液晶表示素子を得た。
【0350】
本実施例で作製した液晶表示素子は、均一な配向状態を有するSTN配向であった。この液晶表示素子は、表示面上をペンなどで押しても表示特性に変化が認められなかった。すなわち、この液晶表示素子は、液晶領域が高分子によって囲まれているため、従来のSTNモード液晶表示素子に比べて、素子の耐圧力性が飛躍的に向上することが確かめられた。
【0351】
(実施例18)
本発明の重合性化合物を用いて、SSFLCモードの液晶表示素子を作製した。以下、その作製方法を説明する。
【0352】
ITO(50nm)を透明電極として有するガラス基板(1.1mm厚)上に、ポリイミド配向膜(サンエバー:日産化学社製)をスピンコート法により塗布した後、ナイロン布により所定のラビング処理を行った。このような基板を2枚作製した。作製した2枚の基板を互いにラビング方向が直交するように、平均粒径2μmのLCDスペーサーを介して貼り合わせた。
【0353】
このようにして貼り合わされた基板に、図21に示すホトマスクを配置し、さらに基板間に、樹脂組成物としてポリエチレングリコールジアクリレート(NKエステルA−200、新中村化学工業社製)0.005g、ラウリルアクリレート 0.13g、スチレン 0.01g、および実施例13の化合物E0.05gと、液晶材料としてZLI−4003(メルク社製)0.80gと、光重合開始剤Irgacure651 0.005gとの混合物を、均一に混合した後、加熱状態で減圧下から真空注入した。以下の手順は実施例8と同様にして、高分子に囲まれた液晶領域を有する液晶セルを作製した。
【0354】
この液晶セルに、偏光軸が互いに90゜になるように偏光板を貼り合わせてFLCモード(SSF型の配向)の液晶表示素子を得た。
【0355】
本実施例で作製した液晶表示素子は、均一な配向状態を有するSSFLC配向であった。この液晶表示素子は、表示面上をペンなどで押しても表示特性に変化が認められなかった。さらに、通常のFLCモードの液晶表示素子で認められて問題となる外力による配向乱れについても確認されなかった。すなわち、この液晶表示素子は、液晶領域が高分子によって囲まれているため、従来のFLCモード液晶表示素子に比べて、素子の耐圧力性が飛躍的に向上することが確かめられた。
【0356】
(比較例および参考例)
以下、本発明の実施例の効果を検証するために有効な比較例及び参考例を説明する。
【0357】
(比較例1)
従来のTNモードの液晶表示素子を作製した。
【0358】
実施例8と同様にして、透明電極が形成された2枚の基板を貼り合わせた。この基板間に、実施例8と同様の液晶材料MLC−6419(メルク社製、カイラル剤S−811をd/p=0.25となるように添加したもの)を注入し、液晶セルを作製した。この液晶セルの各基板の外側に、偏光板を互いに光軸が直交するように貼り合わせて、従来のTNモードの液晶表示素子を作製した。
【0359】
実施例8と同様にして、得られた液晶表示素子の電気光学特性を評価した。評価結果を表3に示す。さらに、この液晶表示素子の視角特性を図26に示す。
【0360】
(比較例2)
実施例8と同様にして、透明電極が形成された2枚の基板を貼り合わせ、セルを作製した。作製したセルの片面上に、図21に示すような遮光部31および透光部32を有するホトマスク3を配置した。この遮光部31は、画素に対応するように設けた。このセル中に、ステアリルアクリレート 0.65g、1,4-ブタンジオールジアクリレート 0.25g、p-フェニルスチレン 0.10g、および液晶材料MLC−6419(メルク社製、カイラル剤S−811をd/p=0.25となるように添加したもの)10gと、光重合開始剤Irgacure651 0.03gとの均一な混合物を毛管注入し、液晶セルを作製した。以下の手順は実施例12と同様にして、高分子に囲まれた液晶領域を有する液晶セルを作製した。
【0361】
次いで、作製した液晶セルに偏光板を直交ニコルに配置して貼り合わせ、液晶表示素子を作製した。実施例8と同様にして、得られた液晶表示素子の電気光学特性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0362】
本比較例の液晶表示素子では、液晶と高分子との相分離が不十分であり、液晶領域中に樹脂材料の混在が認められた。さらに、電圧印加時にディスクリネーションラインの発生が観察されて表示特性の点で満足できるものではなかった。10V電圧印加時の透過率は2.0%であった。この値は、実施例8〜16の液晶表示素子の値よりも大きく、ディスクリネーションラインの発生が大きな原因であると思われる。
【0363】
(参考例1)
樹脂組成物としてイソボルニルアクリレート0.6g、ネオペンチルジアクリレート0.3g、p-メチルスチレン 0.15g、下記表5に示す重合性化合物Z0.15gと、液晶組成物としてMLC−6419(メルク社製、カイラル剤S−811をd/p=0.25となるように添加したもの)12gと、光重合開始剤Irgacure651 0.04gとの均一混合物を用いたこと以外は、実施例12と同様にして液晶表示素子を作製した。実施例8と同様にして、得られた液晶表示素子の電気光学特性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0364】
【表5】
【0365】
(参考例2)
重合性化合物Zとして上記表5に示す化合物を用いたこと以外は、参考例1と同様にして液晶表示素子を作製した。実施例8と同様にして、得られた液晶表示素子の電気光学特性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0366】
参考例1および2で作製した液晶表示素子の偏光顕微鏡観察によれば、液晶類似骨格を分子中に有する重合性化合物の添加により、電圧印加時のディスクリネーションラインの発生が抑制されていることが観察された。そのため、10V電圧印加時の透過率は0.7%程度と比較的良好な黒状態表示となっていた。
【0367】
このように、参考例の液晶表示素子は比較的良好な特性を示すものの、本発明の実施例の液晶表示素子と参考例の液晶表示素子とを比較すると、本発明の液晶表示素子が、より優れた特性を有することが確認された。以下に説明する。
【0368】
第一に、本発明の多官能性重合化合物の液晶配向の耐熱上限温度は、参考例の直鎖状単官能性化合物よりも15〜20℃程度高く、分岐した重合性活性基を導入した重合性化合物を用いることにより、本発明の液晶表示素子の耐熱性が飛躍的に向上することがわかる。(なお、表3から明らかなように、ガラス転移温度(Tg)と、液晶表示素子の100時間での加熱保存試験により配向不良が発生する下限温度との関係を調べると、上記結合基部分の原子数が少ないほど、Tgが大きくなり、かつ、耐熱温度が高くなる傾向が認められる。)
さらに、液晶表示素子の液晶領域の転移温度を偏光顕微鏡により評価すると、例えば、実施例12では83℃であり、参考例1では68℃であった。すなわち、本発明の多官能性化合物を用いる方が、液晶材料単独の転移温度(87℃)にきわめて近いことが確認された。このことは、本発明の多官能性化合物の方が、参考例の直鎖状単官能性化合物よりも反応性に優れ、従って、液晶表示素子の表示特性の観点から、より優れていることを示している。
【0369】
さらに、本発明の多官能性化合物を用いた液晶表示素子と参考例の直鎖状単官能性化合物を用いた液晶表示素子とは、電気光学特性および表示特性においてほぼ同等であった。
【0370】
以上のように、本発明の重合性化合物を用いる液晶表示素子は、ディスクリネーションラインを発生させず、応答速度および電圧−透過率特性の劣化が少なく、電圧無印加時にも明るく、高いコントラストを有し、しかも強度および耐熱性に優れることが確認された。
【0371】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の重合性化合物は、液晶類似骨格を有し、かつ、分岐した重合性活性基を有する多官能性化合物である。本発明の多官能性化合物は、3次元網目構造を形成しやすく、かつ、反応性に優れる。従って、本発明の多官能性化合物は、従来の単官能性の“液晶類似骨格を有する重合性化合物”としての性質を保ちつつ、同時に、未反応の化合物による液晶表示素子の特性の低下を低減し、高分子のガラス転移温度(Tg)を向上させるといった多官能性化合物の特徴を同時に実現し得る。従って、液晶表示素子の表示特性、強度(例えば、耐圧力性、耐衝撃性)および耐熱性の観点からきわめて有効である。特に、液晶−高分子複合体を用いて構成される液晶表示素子においては、素子の保存耐熱温度および動作温度領域などが飛躍的に向上するので、本発明の重合性化合物は、液晶表示素子の耐熱信頼性の観点からきわめて有効である。さらに、本発明の重合性化合物を液晶表示素子に用いると、電圧印加時のディスクリネーションラインの発生が抑制される。従って、液晶表示素子において、高コントラストの表示が実現できる。
【0372】
本発明の重合性化合物はまた、液晶表示素子作製時に液晶と樹脂材料との分離性を向上させて液晶材料中への樹脂材料の混入を抑制し、かつ、高分子と液晶分子との表面でのアンカリングを低下させる効果を有しており、液晶分子の配向の安定化にも有効である。
【0373】
さらに、これらの重合性化合物を液晶表示素子に使用することにより、従来問題となっていた応答速度の劣化、あるいは電圧−透過率特性の閾値特性または急峻性の劣化などが、大きく改善される。すなわち、本発明の重合性化合物を用いることにより、液晶表示素子の表示特性が向上する。このような液晶表示素子は、以下の特徴を有している:(1)軸対称状の配向状態をしているために、視角特性が良好で、かつ、高分子壁をセル中に有するために、耐衝撃性に優れている。特に、大画面表示体やペン入力型の液晶表示素子等に広く応用することができる。(2)基板上の配向規制力を液晶領域内に生かせる液晶表示素子において、配向状態が均一化し、かつ、ペン入力などの外圧に対して耐圧性が向上する。
【0374】
以上のように、本発明の液晶表示素子は、液晶分子の配向規制力を向上せしめる効果を有する重合性化合物が構成体として具備されていることにより、液晶領域内の液晶分子の軸対称状配向状態が従来よりも優れたものとなる。従って、本発明の液晶表示素子は、視角特性が改善され、表示品位の高い表示素子である。しかも、この液晶表示素子は、耐熱性に非常に優れている。このような液晶表示素子は、広視野角特性を生かしたディスプレイ(例えば、パソコン、ワープロ、液晶テレビ、カーナビゲーション用表示パネル)などに好適に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の重合性化合物の合成経路1を示す図である。
【図2】 本発明の重合性化合物の合成経路1を示す図である。
【図3】 本発明の重合性化合物の合成経路2を示す図である。
【図4】 本発明の重合性化合物の合成経路2を示す図である。
【図5】 本発明の重合性化合物の合成経路3を示す図である。
【図6】 本発明の重合性化合物の合成経路4を示す図である。
【図7】 本発明の重合性化合物の合成経路5を示す図である。
【図8】 本発明の重合性化合物の合成経路6を示す図である。
【図9】 本発明の重合性化合物の合成経路7を示す図である。
【図10】 本発明の重合性化合物の合成経路8を示す図である。
【図11】 本発明の重合性化合物の合成経路9を示す図である。
【図12】 本発明の重合性化合物の合成経路9を示す図である。
【図13】 本発明の重合性化合物の合成経路10を示す図である。
【図14】 本発明の重合性化合物の合成経路10を示す図である。
【図15】 本発明の重合性化合物の合成経路11を示す図である。
【図16】 本発明の重合性化合物の合成経路12を示す図である。
【図17】 本発明の重合性化合物の合成経路13を示す図である。
【図18】 本発明の重合性化合物の合成経路14を示す図である。
【図19】 本発明の重合性化合物の合成経路15を示す図である。
【図20】 本発明の重合性化合物の合成経路16を示す図である。
【図21】本発明の実施例で使用したホトマスクの概念図である。
【図22】本発明の液晶表示素子の液晶セルの偏光顕微鏡による観察結果を示す概略図である。
【図23】本発明の液晶表示素子の電気光学特性および視角特性を説明するグラフおよび概略図である。
【図24】本発明の液晶表示素子におけるパターニング膜が形成された基板の概略図である。(a)は上面図、(b)は(a)のB−B’断面図である。
【図25】本発明の液晶表示素子における液晶領域の配向状態を示す概略図である。
【図26】比較例1のTNモードの液晶表示素子の電気光学特性および視角特性を説明するグラフおよび概略図である。
【図27】従来のTNモードの液晶表示素子の視角によるコントラスト変化を説明する概略図である。
【図28】従来の広視角モードの液晶表示素子の視角によるコントラスト変化を説明する概略図である。
【図29】従来の液晶表示素子における電圧印加時のディスクリネーションラインの発生状況を説明する概略図である。
【符号の説明】
1 基板
3 ホトマスク
10 液晶層
20 液晶領域
21 高分子壁
22 ディスクリネーションライン
30 画素部(ホトマスクのパタ−ン)
31 ホトマスクの遮光部
32 ホトマスクの透光部
40 レジストのパターニング膜
Claims (8)
- 前記式(I)において、n+p≦18である、請求項1に記載の重合性化合物。
- 前記式(I)において、n+p≦18であり、かつ、s=0である、請求項1に記載の重合性化合物。
- 前記式(I)において、n+p≦18であり、かつ、s=1である、請求項1に記載の重合性化合物。
- 一対の基板間に、高分子と該高分子で囲まれた液晶領域とを有する液晶層が挟持されている液晶表示素子であって、
該高分子が、請求項1から4のいずれかに記載の重合性化合物を少なくとも含有する重合前駆体から形成される、液晶表示素子。 - 前記液晶領域内の液晶分子の配向状態が、軸対称状、放射状または同心円状配向、渦巻状配向、あるいはランダム配向である、請求項5に記載の液晶表示素子。
- 前記基板上に液晶分子の配向状態を規制する絶縁膜を具備する、請求項5または6に記載の液晶表示素子。
- 前記基板上に、前記液晶領域に対応して、一軸性の一様な液晶分子の配向状態を実現するための絶縁配向膜をさらに具備し、
該液晶領域の配向状態および該素子の全体構成が、TN、STN、ECB、およびSSFLCモードに適した配置とされる、請求項5または7に記載の液晶表示素子。
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