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JP3852933B2 - 磁気駆動撹拌装置 - Google Patents
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JP3852933B2 - 磁気駆動撹拌装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器の外側において同容器の底壁に近接して回転する外部駆動磁石の磁力に応動して同容器内で自転軸線周りに回転する撹拌翼により当該容器内の熱媒体としての流体を撹拌するようにした磁気駆動撹拌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
容器内の熱媒体としての流体の温度を所望の温度に保って、あるいはプログラムに従った温度変化をさせながら、同容器内で種々の実験や試験等を行う場合には、容器内の熱媒体としての流体の温度分布にばらつきが生じないように同流体を撹拌しなければならないが、そのための撹拌装置として、従来、容器の底壁の下面側において回転する外部駆動磁石の磁力線に応動して同容器内で鉛直な自転軸線周りに回転する撹拌子により、同容器内の熱媒体としての流体を撹拌するようにした撹拌装置が知られていた。
【0003】
上記容器内の熱媒体である流体としては、通常、熱伝導性、流動性や安全性等を考慮して例えばシリコンオイルが用いられるが、シリコンオイルに限られることはなく熱伝導性や流動性等が良く安全に使用することができる流体であれば、例えば水や、その他の適当な油性液体等の流体も使用することができる。
【0004】
以下、従来の撹拌装置の一例について図面により説明する。図17は従来の撹拌機上に容器を載置した状態の一例を示す側面図、図18は図17に示した容器の拡大斜視図である。
【0005】
図17及び図18において、例えば4本の支持脚3を有して実験台あるいは実験机等の載置面上に置かれた基台1は、磁力線の透過を妨げない非磁性材料製の水平な支持板2を有し、この支持板2の中央部の下面側には、縦軸モーター4が固定されている。モーター4の上向きの出力軸には、支持板2の中央部の上下方向の回転軸線の周りに回転する外部駆動磁石支持腕5aが固定され、この外部駆動磁石支持腕5aの両端部には、一対の外部駆動磁石5が装着されている。
【0006】
図17において、支持板2の外周縁部からは同外周縁部の全周にわたって例えばステンレス、強化ガラスや強化プラスチック等の耐破壊強度を有する材料製の外囲保護壁6が立設されている。このような外囲保護壁6は、実験や試験の際の安全及び保温を確保するためのもので、図17のように支持板2の外周縁部に予め固着されていても良いし、また支持板2の外周縁部に対して着脱自在で、使用時には支持板2の外周縁部に仮固定することができるように構成されていても良い。実験や試験等を行うときには、図17のように、外囲保護壁6の内側の支持板2上に容器7が載置される。容器7としては、普通、ステンレス製の容器や耐熱ガラス製の容器が用いられるが、耐熱ガラス製の容器のように透明材料製の容器である場合には、実験中の容器の内部の様子が上方からのみならず側方からも容器壁を通して観察することができるので都合が良い。
【0007】
図17及び図18において、容器7内には、熱媒体である流体として例えばシリコンオイルが適度の液面レベルまで満たされるとともに、更に、先端部がリング状に形成されたヒーター9のリング状先端部が、容器7内のシリコンオイル中に没入される。ヒーター9は、例えば電熱抵抗線ヒーターで、測温抵抗体を用いた測温センサ10とともに、ヒーターユニット8により支持されている。ヒーターユニット8は、外囲保護壁6の上縁補強部6aにねじ止め固定具等の固定具を用いて固定することができる。支持板2と外囲保護壁6の上縁補強部6aとに跨がって固着された支持枠6bにより支持された支柱6cは、例えばフラスコ等の実験用容器を容器7内の所定位置に所定の姿勢で保持するための支柱である。ヒーター9は、ヒーターユニット8を介して、図示していない温度制御機器及び電源に通じるコード11に接続されている。
【0008】
図17及び図18に示すように、容器7内において、容器7の底壁の中央部には、撹拌子12が置かれている。撹拌子12は磁石棒であって、支持板2及び容器7の底壁を透過して回転する外部駆動磁石5の磁力に応動して、撹拌子12の中央部を上下方向に横断する自転軸線の周りに水平面内で自転することにより、容器7内の熱媒体である流体を撹拌する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の撹拌子12は、中央部がやや膨らんだ形状の棒状体であり、容器7の底壁面の中央部に置かれるだけであったため、撹拌子12の自転中心線が外部駆動磁石5の自転中心線と一致した状態から逸脱することが指摘されていた。例えば、撹拌の回転スピードを急に上げたり、熱媒体としての流体の粘度に対して撹拌子12の回転スピードが大きすぎたりした場合には、撹拌子12がスピンアウトをして、外部駆動磁石5の磁力の影響外に飛ばされてしまう、という不都合があった。一度撹拌子12の自転軸線が外部駆動磁石5の自転軸線上からずれると、撹拌子12は、たちまち容器7内で上記のようにスピンアウトをし、容器7の側壁へ向けて振り回され、外部駆動磁石5の磁力の影響外に飛ばされることにより、それ以後は全く回転しなくなってしまい、その結果、容器7内の熱媒体としての流体をそれ以上撹拌しなくなってしまう。
【0010】
また、従来の撹拌子12は、上述のように棒状体であったため、自転軸線周りに自転しても撹拌機能が十分でなく、特に大きな容量の容器の場合には、容器内の熱媒体としての流体を所望の通りに撹拌することができなかった。さらに、撹拌子12の自転により、容器内の流体が上下方向の流れの成分が殆どない単純な旋回渦を生成して、流体の表面が定常的な漏斗状の流体面となり、その結果、容器の中心部の流体の表面の高さが極度に低くなって空気を渦流中に吸い込み、温度調節の精度に好ましくない影響を与えることとなるとともに、容器内の温度分布にむらができ、所期の実験効果を上げることができなくなってしまうおそれもある。
【0011】
従来、撹拌装置における撹拌手段として、駆動回転軸と一体的に回転する撹拌羽根を使用したもの(特開平9−131525号公報、特開2003−33635号公報)、流体の表面の定常的な漏斗状の流体面の位置を仕切り板を設けることによって調節するようにしたもの(実開昭59ー193525号公報)等が提案されているが、いずれも、容器の外側で容器の底壁に近接して回転する外部駆動磁石の磁力に応動して容器内で自転軸線周りに回転することにより容器内の流体を撹拌する撹拌翼における上記問題点を解決するものではない。
【0012】
そこで、本発明は、従来の撹拌子に代えて撹拌性能に優れた撹拌翼を使用することにより、容器内の流体を効率良く撹拌して容器内の熱媒体としての流体の温度分布にばらつきが生じないようにし、また、撹拌翼の自転中心線を外部駆動磁石の自転中心線に確実に一致した状態に保持することができるようにして、撹拌翼が容器内で偏芯回転をすることがなく、容器内の熱媒体としての流体を円滑に撹拌することができるようにし、さらに、撹拌翼の自転により容器内の流体が旋回渦を生成しても、流体に上下方向の流れの成分を十分に与えることにより撹拌性能を向上させて、従来の装置のように単純で定常的な漏斗状の流体面を形成することがないようにし、そうすることによって、容器の中心部の流体の表面のレベルが極度に低くなって、空気を渦流中に吸い込むことにより、温度調節の精度に好ましくない影響を与える、といったことを防止するとともに、容器内の温度分布にむらができることを防止して、容器内の熱媒体としての流体の温度分布のばらつきを確実に防止し、所期の実験効果を十分に上げることができるようにした、磁気駆動撹拌装置を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明の磁気駆動撹拌装置は、容器内の熱媒体としての流体を撹拌するための磁気駆動撹拌装置であって、当該容器の外側において同容器の底壁に近接して回転する外部駆動磁石の磁力に応動して前記容器内で自転軸線周りに回転することにより同容器内の流体を撹拌する撹拌翼と、同撹拌翼を、前記容器内において前記外部駆動磁石の回転中心線に芯合わせした位置で自転自在に支持する撹拌翼支持装置とを備えている。前記撹拌翼は、前記自転軸線を中心として周方向に相互に等間隔を置いて半径方向外方へ延びる複数の腕部と、前記撹拌翼が前記容器内で前記自転軸線の周りに水平面内で回転したとき同容器内の流体をすくい上げ半径方向外方へ押しやりつつ同流体に斜め上向きの螺旋渦巻き旋回をさせるように、前記各腕部の正回転方向に見て同各腕部の前部の下縁から立ち上がり、斜め後方の所定の高さの位置まで、半径方向外方にやや外向きとなるようにして前記各腕部と一体に形成されたすくい上げ斜面部と、前記自転軸線に関し線対称に前記撹拌翼に装着された従動磁石とを有している。
【0014】
また、本発明の磁気駆動撹拌装置において、前記撹拌翼の少なくとも前記各腕部と、前記各すくい上げ斜面部とが、一枚の板体により形成されていることを特徴としている。
【0015】
さらに、本発明の磁気駆動撹拌装置において、前記撹拌翼支持装置が、前記容器の内底面から所定の高さの位置に水平な状態で着脱自在に装入することができるとともに多数の貫通空隙部を通して流体の自由な流通を許容する多隙性棚板に装着され、当該多隙性棚板の下面側において前記撹拌翼を支持していることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の磁気駆動撹拌装置において、前記撹拌翼支持装置が、前記容器の内底壁に装着されていることを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る撹拌装置の撹拌翼の平面図、図2は図1のA−A線に沿って見た撹拌翼の正面図、図3は図1の撹拌翼の下面図、図4は図1のB−B線に沿って見た撹拌翼の側面図、図5は図1の撹拌翼を支持するための撹拌翼支持用ボール受け板の一例を示す平面図、図6は図5のC−C線に沿って見たボール受け板の縦断面図、図7は図1の撹拌翼の上面側に図5のボール受け板を係合させた状態を示す平面図、図8は図1の撹拌翼の下面側に図5のボール受け板を係合させた状態を示す下面図である。
【0018】
図9は図1の撹拌翼を下面側に支持する多隙性棚板を装入した状態を示す容器の斜視図、図10は図9に図示した多隙性棚板のみを取り出して示す斜視図、図11は図10の多隙性棚板の側面図、図12は図10及び図11の多隙性棚板の下面図、図13は図10ないし図12に図示した多隙性棚板の撹拌翼支持部を示す図14のE−E線に沿って見た一部断面要部拡大平面図、図14は図10ないし図12に図示した多隙性棚板の撹拌翼支持部を示す図13のD−D線に沿って見た縦断側面図、図15は図14の撹拌翼支持部とは異なった撹拌翼支持構造を有する撹拌翼支持部の縦断側面図、図16は図10ないし図12の多隙性棚板を装入した容器を、図17の撹拌機の基台の天板上の所定位置に載置したときの一例を示す側面図である。
【0019】
まず図1ないし図4において、撹拌装置における撹拌翼支持装置によって支持される撹拌翼13は、上下方向の自転軸線を中心として相互に周方向に等間隔を置いて半径方向外方へ延びる複数の腕部、すなわち下板部14によって形成された2本の水平な平板状の腕部14a,14bを有する。撹拌翼13は、容器の底壁の外側において回転する例えば図16に示した外部駆動磁石5のような駆動磁石の磁力線の動きに応動して容器内で回転するときは、図1において右周りすなわち時計方向を正回転の向きあるいは正回転方向として回転するように構成されている。
【0020】
図1ないし図4に示すように、平板状の各腕部14a,14bの正回転方向に見たときの前縁からは、それぞれ斜め後方へ向けて所定の高さまで斜面を形成するようにしてすくい上げ斜板部15a,15bが立ち上がっている。これら各すくい上げ斜板部15a,15bは、撹拌翼13が容器内で自転軸線の周りに水平面内で回転したとき、容器内の熱媒体としての流体をすくい上げ、上向きに且つ容器の側壁面に向けて半径方向外方へ押しやりつつ、同流体に斜め上向きの強制縦循環流成分を伴った螺旋渦巻き旋回をさせるように、各腕部14a,14bの正回転方向に見て前下縁から斜め後方の所定の高さの位置まで延在し、しかも、半径方向にやや外向きとなるようにして、各腕部14a,14bと一体に形成されている。
【0021】
図示の撹拌翼13は、図1において右周り、すなわち時計方向の回転を正回転の向きあるいは正回転方向として回転するように構成されているが、これとは逆に、撹拌翼が、図1において左周り、すなわち反時計方向の回転を正回転の向きあるいは正回転方向として回転するように構成することも可能である。
【0022】
図1ないし図4において、各すくい上げ斜板部15a,15bの上縁からは、各腕部14a,14bの各正回転方向、すなわち第1図における時計針の回転方向とは反対向きに、各腕部14a,14bと平行に上板部16a,16bが形成されている。したがって、各すくい上げ斜板部15a,15bの表面の上縁には各上板部16a,16bの上表面よりなる上面部の前縁が連続し、これら各上板部16a,16bの上面部が、各すくい上げ斜面部の上縁をそのまま前縁として正回転方向すなわち時計針の回転方向とは反対の向きに後方へ延在することとなる。
【0023】
図2及び図4に示すように、下方にある各腕部14a,14bと各腕部14a及び14bにそれぞれ対応して上方にある各上板部16a,16bとの間には、それぞれ従動磁石17a,17bを装着することができる。このようにして従動磁石17a,17bを装着した場合には、容器内の撹拌子と、さらに同容器内に保持したフラスコ等の実験用容器内に入れた撹拌子とに強い磁力を伝達して、フラスコ等の実験用容器内の撹拌子の回転を確実なものにすることができる。対となって配置された従動磁石17a,17bは、撹拌翼13上で、撹拌翼13の回転バランスを考えて、撹拌翼13の自転軸線に関し対称な位置に固定される。下板部14の中心部には、撹拌翼13を軸支するための、撹拌翼13の自転軸線と同芯の中心孔18が形成されている。
【0024】
撹拌翼13の下板部14には、上記中心孔18を挟んで、後述の撹拌翼支持用ボール受け板19a(図5)の一対の係合爪20a及び20bを係合させるための一対の係合穴18a,18b、並びに他の撹拌翼支持用ボール受け板19bの一対の係合爪20c及び20dを係合させるための一対の係合穴18c,18dが形成されている。下板部14の強度を保つため、一対の係合穴18a,18bは、中心孔18を挟んで中心孔18の直径方向に対向しているのに対し、他の一対の係合穴18c,18dは、中心孔18を挟んで、上記一対の係合穴18a,18bを結ぶ線の方向に直交している。
【0025】
図1ないし図4に示した撹拌翼13においては、下板部14と、すくい上げ斜板部15a,15bと、上板部16a,16bとが一枚の板体により互いに連続して一体的に形成されているが、撹拌翼13を板体以外の軽量材料により成形することもできる。
【0026】
図5及び図6において、撹拌翼支持用ボール受け板19(19a,19b)は円板状の平板部20と、平板部20の周縁に沿って環状に形成されたボール案内溝21と、平板部20の中心部に形成された中心孔22と、中心孔22を挟んで中心孔22の直径方向に互いに対向して、打ち抜き加工により立ち上がり形成された係合爪20a,20bとを有している。
【0027】
撹拌翼支持用ボール受け板19(19a,19b)を撹拌翼13の下板部14に係合させるときには、図8に示すように、一枚目すなわち第1の撹拌翼支持用ボール受け板19aを下板部14の下面側に配置して撹拌翼支持用ボール受け板19aの係合爪20a,20bを下板部14の係合穴18a,18bに挿入して係合させ、他方、図7に示すように、二枚目すなわち第2の撹拌翼支持用ボール受け板19bを下板部14の上面側に配置して撹拌翼支持用ボール受け板19bの係合爪20c,20dを下板部14の係合穴18c,18dに挿入して係合させるようにして組み立てることができる。
【0028】
図9ないし図14に示すように、撹拌翼13は、例えば容器7内に着脱自在に装入することのできる多隙性棚板23の下面側に軸支することができる。多隙性棚板23は、特に図10に示すように、容器7の内周面に緩く嵌まり合うことのできる環状の外周縁23aを有する。この多隙性棚板23の外周縁23aの一部には、多隙性棚板23を容器7内に装入する際に多隙性棚板23がヒーター9や測温センサ10と干渉しないように、切欠部24が形成されている。ただし、ヒーター9や測温センサ10が、多隙性棚板23の上面側に保持される場合には、この切欠部24は不要となるので、その場合には切欠部24を形成しなくても良い。
【0029】
切欠部24の縁部には、多隙性棚板23の容器7内への装入や、容器7内からの取り外し等の操作を安全かつ確実に行うことができるように、把手杆26の基部が固定されている。把手杆26は、多隙性棚板23が容器7内に装入された状態で把手杆26の上端の摘まみ部が容器7の開口部よりも上方に突き出る程度の長さを有している。多隙性棚板23の外周縁23aに切欠部24を形成しない場合には、多隙性棚板23の外周縁23aに、把手杆26の基部を嵌合するのに必要なだけの窪み部を形成し、その窪み部内に把手杆26の基部を嵌合させて溶接等の固着手段により固着することができる。
【0030】
図10及び図12に示すように、多隙性棚板23には、多数の小孔25が、一面に網面を形成するようにして縦横に穿設されている。また図11及び図12に示すように、多隙性棚板23の下面側には、多隙性棚板23の中心部に軸支した撹拌翼13の回転に支障のないようにして、支持脚27a,27b,27c及び27dが固定されている。多隙性棚板23が支持脚27a,27b,27c及び27dを有していることにより、多隙性棚板23を容器7内に装入した際に、多隙性棚板23は容器7の底面から常に一定の高さの位置に安定して保持される。
【0031】
図10及び図12において、多隙性棚板23は、多数の小孔25を通して、容器7内の熱媒体としての流体を、多隙性棚板23の下面側から上面側へ、また逆に、多隙性棚板23の上面側から下面側へ自由に流通させる。そして多隙性棚板23は、同多隙性棚板23の下面側に軸支した撹拌翼13によって生成した熱媒体としての流体の斜め上向き螺旋旋回流に、適度の乱流効果を生じさせる。かくして、多隙性棚板23を使用しない従来の装置の場合のように、流体の旋回流が極度に大きな漏斗状の表面を形成して、容器7の中央部の流体の表面が異常に低くなり、流体の表面近くの空気を渦流中に吸い込み、温度調節の精度に好ましくない影響を与えたり、容器内の温度分布に斑ができたりして、所期の実験効果を上げることができなくなってしまう、等の不都合な現象を未然に防止することができる。すなわち、多隙性棚板23を使用することにより、容器7内の多隙性棚板23上に置かれたビーカー等の実験用容器を、実験中、熱媒体としての流体中に十分に浸した状態に置くことができ、温度調節の精度を高め、容器内の温度分布にむらができることを防止し、所期の実験効果を上げることができる。
【0032】
多隙性棚板23は、流体が或る程度自由に流過することができるように多数の隙間を有していれば良いので、多隙性棚板23を構成するに当たって、図10及び図12に例示したように、多数の小孔25を一面に網面を形成するようにして縦横に穿設することにより多隙性棚板23を構成することの外に、棚板に多数の円弧状あるいは直線状細長スリット等の隙間を種々の態様で形成することによって多隙性棚板23を構成するができるとともに、粗目に編組した網体を用いて多隙性棚板23を構成することもできる。
【0033】
図13及び図14において、多隙性棚板23の中心部の下面側には撹拌翼13の支持軸28の上端がビスあるいはカシメ等の固着手段により固着されている。支持軸28は多隙性棚板23に対して垂直に下方へ向けて垂下している。支持軸28の下端には第1の撹拌翼支持用ボール受け板19aのボール案内溝21内に多数個配列された転動ボール21aを上向きのボール案内溝によって下面側から支えた状態で、これら転動ボール21aを介して第1の撹拌翼支持用ボール受け板19aを支持軸28の周りに回転自在に支持する第3の撹拌翼支持用ボール受け板19cの中心部が、ビスあるいはねじ等の固着手段により固着されている。明らかなように、第3の撹拌翼支持用ボール受け板19cの中心孔の直径は、第1の撹拌翼支持用ボール受け板19aの中心孔の直径よりも小さい。
【0034】
同じく図13及び図14において、支持軸28には、第2の撹拌翼支持用ボール受け板19bのボール案内溝21内に多数個配列された転動ボール21aを下向きのボール案内溝によって上面側から支えた状態で、これら転動ボール21aを介して第2の撹拌翼支持用ボール受け板19bを支持軸28の周りに回転自在に支持する第4の撹拌翼支持用ボール受け板19dの中心孔が嵌合している。第4の撹拌翼支持用ボール受け板19dの中心孔の直径は、支持軸28に嵌合できる程度の大きさであれば良い。これに対し、撹拌翼13の下板部14に係合して撹拌翼13と一体的に回転する第1の撹拌翼支持用ボール受け板19a及び第2の撹拌翼支持用ボール受け板19bの中心孔の直径は、下板部14の中心孔18の直径と同様に、支持軸28の外径よりも大きい。図13及び図14において、第4の撹拌翼支持用ボール受け板19dと多隙性棚板23との間の支持軸28の外周部には、スペーサとしてのカラー29が遊嵌されている。
【0035】
図13及び図14において、撹拌翼13に作用する負荷の大きさ及び同撹拌翼13の使用態様によっては、第2の撹拌翼支持用ボール受け板19b及び第4の撹拌翼支持用ボール受け板19dの使用を省略して、撹拌翼13の下板部14の上面側を支持軸28に嵌合した環状の摩擦係合部材によって相対滑り自在に軽く押さえる程度にしておくこともできる。
【0036】
図9において、多隙性棚板23を容器7内に装入すると、多隙性棚板23の切欠部24を除く他の部分の周縁が容器7の内壁面に接することによって多隙性棚板23が容器7の中心位置に芯合わせされる。その結果、多隙性棚板23を装入した容器7を、既述の図17に示したような撹拌機の基台1の支持板2上の所定位置に載置したときには、図16に示すように、多隙性棚板23によって支持された撹拌翼13の自転軸線が、撹拌機の基台1に装着された外部駆動磁石5の回転軸線に芯合わせされることとなる。
【0037】
図15に示したように、撹拌翼13を多隙性棚板23によって支持することに代えて、撹拌翼13を容器7の底板7aの中心部に立設した支持軸30によって支持することもできる。容器7が例えばステンレス製等の金属あるいは合金製である場合には、支持軸30の下端部を容器7の底板7aの中心部にビスあるいはカシメ等の固着手段により容易に固着することができる。
【0038】
図15に示すように、支持軸30の上端には、第1の撹拌翼支持用ボール受け板19aのボール案内溝内に多数個配列された転動ボール21aを下向きのボール案内溝によって上面側から蔽った状態で、これら転動ボール21aを介して第1の撹拌翼支持用ボール受け板19aを支持軸30の周りに回転自在に支持する第3の撹拌翼支持用ボール受け板19cの中心部が、ビスあるいはねじ等の固着手段により固着されている。当然、第3の撹拌翼支持用ボール受け板19cの中心孔の直径は、第1の撹拌翼支持用ボール受け板19aの中心孔の直径よりも小さい。
【0039】
図15において、支持軸30には、第2の撹拌翼支持用ボール受け板19bのボール案内溝21内に多数個配列された転動ボール21aを上向きのボール案内溝によって下面側から支えた状態で、これら転動ボール21aを介して第2の撹拌翼支持用ボール受け板19bを支持軸30の周りに回転自在に支持する第4の撹拌翼支持用ボール受け板19dの中心孔が嵌合している。第4の撹拌翼支持用ボール受け板19dの中心孔の直径は、支持軸30に嵌合できる程度の大きさであれば良い。撹拌翼13の下板部14に係合して撹拌翼13と一体的に回転する第1の撹拌翼支持用ボール受け板19a、及び第2の撹拌翼支持用ボール受け板19bの中心孔の直径は、下板部14の中心孔18の直径と同様に、支持軸30の外径よりも大きい。図15において、第4の撹拌翼支持用ボール受け板19dと容器7の底板7aとの間の支持軸30の外周部には、スペーサとしてのカラー31が遊嵌されている。
【0040】
図15において、撹拌翼13に作用する負荷の大きさ及び同撹拌翼13の使用態様によっては、第1の撹拌翼支持用ボール受け板19a及び第3の撹拌翼支持用ボール受け板19cの使用を省略して、撹拌翼13の下板部14の上面側を支持軸30に嵌合した環状の摩擦係合部材によって相対滑り自在に軽く押さえる程度にしておくこともできる。
【0041】
図1ないし図16に示した撹拌装置は、本発明の好適な実施の形態を例示したものにすぎず、本発明は、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で種々の実施の形態に従って実施をすることができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の磁気駆動撹拌装置によれば、以下のような効果が得られる。
(1)請求項1に記載の磁気駆動撹拌装置は、容器内の熱媒体としての流体を撹拌するための磁気駆動撹拌装置であって、当該容器の外側において同容器の底壁に近接して回転する外部駆動磁石の磁力に応動して前記容器内で自転軸線周りに回転することにより同容器内の流体を撹拌する撹拌翼と、同撹拌翼を、前記容器内において前記外部駆動磁石の回転中心線に芯合わせした位置で自転自在に支持する撹拌翼支持装置とを備え、前記撹拌翼が、前記自転軸線を中心として周方向に相互に等間隔を置いて半径方向外方へ延びる複数の腕部と、前記撹拌翼が前記容器内で前記自転軸線の周りに水平面内で回転したとき同容器内の流体をすくい上げ半径方向外方へ押しやりつつ同流体に斜め上向きの螺旋渦巻き旋回をさせるように、前記各腕部の正回転方向に見て同各腕部の前部の下縁から立ち上がり、斜め後方の所定の高さの位置まで、半径方向外方にやや外向きとなるようにして前記各腕部と一体に形成されたすくい上げ斜面部と、前記自転軸線に関し線対称に前記撹拌翼に装着された従動磁石と、を有しているので、容器内の流体を効率良く撹拌して同容器内の熱媒体としての流体の温度分布にばらつきが生じないようにすることができ、また、撹拌翼の自転中心線を外部駆動磁石の自転中心線に確実に一致した状態に保持することができて、撹拌翼が容器内で偏芯回転をすることがなく、容器内の熱媒体としての流体を円滑に撹拌することができ、さらに、撹拌翼の自転により容器内の流体が旋回渦を生成しても、流体に上下方向の流れの成分を十分に与えることにより撹拌機能を向上させることができ、そうすることによって、容器の中心部の流体の表面の高さが極度に低くなり、空気を渦流中に吸い込んで、温度調節の精度に好ましくない影響を与えることを未然に防止することができるとともに、容器内の温度分布に斑ができることを未然に防止して、容器内の熱媒体としての流体の温度分布のばらつきを確実に防止し、所期の実験効果を十分に上げることができる。
(2)請求項2に記載の磁気駆動撹拌装置は、請求項1に記載の磁気駆動撹拌装置において、前記撹拌翼の少なくとも前記各腕部と、前記各すくい上げ斜面部とが、一枚の板体により形成されているので、請求項1に記載の磁気駆動撹拌装置の作用効果に加えて、製作が容易で軽量かつ小型の撹拌翼を得ることができ、小型でありながら撹拌性能に優れ、容器内の熱媒体としての流体を効率良く撹拌することができ、撹拌翼の自転中心線を常に一定の位置に置くことができることにより、撹拌翼の自転中心線を駆動磁石の自転中心線に確実に一致した状態に保持することができる。
(3)請求項3に記載の磁気駆動撹拌装置は、上記請求項1又は2に記載の磁気駆動撹拌装置において、前記撹拌翼支持装置が、前記容器の内底面から所定の高さの位置に水平な状態で着脱自在に装入することができるとともに多数の貫通空隙部を通して流体の自由な流通を許容する多隙性棚板に装着され、当該多隙性棚板の下面側において前記撹拌翼を支持しているので、請求項1又は請求項2に記載の撹拌装置の作用効果に加えて、撹拌翼の自転中心線を常に一定の位置に置くことができることにより駆動磁石の自転中心線に確実に一致した状態に保持することができ、容器内の多隙性棚板上に置かれたビーカー等の実験用容器を、実験中、熱媒体としての流体中に十分に浸した状態に置くことができ、温度調節の精度を高め、容器内の温度分布に斑ができることを防止することができて、所期の実験効果を上げることができ、多隙性棚板の取り外しが自在であることによって容器の清掃が容易である(請求項3)。
(4)請求項4に記載の磁気駆動撹拌装置は、請求項1又は2に記載の磁気駆動撹拌装置において、前記撹拌翼支持装置が、前記容器の内底壁に装着されているので、請求項1又は請求項2に記載の撹拌装置の作用効果に加えて、撹拌翼の自転中心線を常に一定の位置に置くことができることにより駆動磁石の自転中心線に確実に一致した状態に保持することができ、撹拌翼の回転が安定して静かな撹拌をすることができ、温度調節の精度を高め、容器内の温度分布に斑ができることを防止することができ、所期の実験効果を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る撹拌装置の撹拌翼の平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿って見た撹拌翼の正面図である。
【図3】 図1の撹拌翼の下面図である。
【図4】図1のB−B線に沿って見た撹拌翼の側面図である。
【図5】図1の撹拌翼を支持するための撹拌翼支持用ボール受け板の一例を示す平面図である。
【図6】図5のC−C線に沿って見たボール受け板の縦断面図である。
【図7】図1の撹拌翼の上面側に図5のボール受け板を係合させた状態を示す平面図である。
【図8】図1の撹拌翼の下面側に図5のボール受け板を係合させた状態を示す下面図である。
【図9】図1の撹拌翼を下面側に支持する多隙性棚板を装入した状態を示す容器の斜視図である。
【図10】図9に図示した多隙性棚板のみを取り出して示す斜視図である。
【図11】図10の多隙性棚板の側面図である。
【図12】図10及び図11の多隙性棚板の下面図である。
【図13】図10ないし図12に図示した多隙性棚板の撹拌翼支持部を示す図14のE−E線に沿って見た一部断面要部拡大平面図である。
【図14】図10ないし図12に図示した多隙性棚板の撹拌翼支持部を示す図13のD−D線に沿って見た縦断側面図である。
【図15】図14の撹拌翼支持部とは異なった撹拌翼支持構造を有する撹拌翼支持部の縦断側面図である。
【図16】図10ないし図12の多隙性棚板を装入した容器を、図17の撹拌機の基台の天板上の所定位置に載置したときの一例を示す側面図である。
【図17】従来の撹拌機上に容器を載置した状態の一例を示す側面図である。
【図18】図17に示した容器の拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 基台
2 支持板
3 支持脚
4 モーター
5 外部駆動磁石
5a 外部駆動磁石支持腕5a
6 外囲保護壁
7 容器
8 ヒーターユニット
9 ヒーター
10 測温プローブ
11 コード
12 撹拌子
13 撹拌翼
14 下板部
14a,14b 腕部
15a,15b すくい上げ斜板部
16a,16b 上板部
17a,17b 従動磁石
18 中心孔
18a,18b,18c,18d 係合穴
19,19a,19b,19c,19d 撹拌翼支持用ボール受け板
20 平板部
20a,20b 係合爪
21 ボール案内溝
22 中心孔
23 多隙性棚板
23a 外周縁
24 切欠部
25 小孔
26 把手杆
27a,27b,27c,27d 支持脚
28 支持軸
29 カラー
30 支持軸
31 カラー

Claims (4)

  1. 容器内の熱媒体としての流体を撹拌するための磁気駆動撹拌装置であって、当該容器の外側において同容器の底壁に近接して回転する外部駆動磁石の磁力に応動して前記容器内で自転軸線周りに回転することにより同容器内の流体を撹拌する撹拌翼と、同撹拌翼を、前記容器内において前記外部駆動磁石の回転中心線に芯合わせした位置で自転自在に支持する撹拌翼支持装置とを備え、前記撹拌翼が、前記自転軸線を中心として周方向に相互に等間隔を置いて半径方向外方へ延びる複数の腕部と、前記撹拌翼が前記容器内で前記自転軸線の周りに水平面内で回転したとき同容器内の流体をすくい上げ半径方向外方へ押しやりつつ同流体に斜め上向きの螺旋渦巻き旋回をさせるように、前記各腕部の正回転方向に見て同各腕部の前部の下縁から立ち上がり、斜め後方の所定の高さの位置まで、半径方向外方にやや外向きとなるようにして前記各腕部と一体に形成されたすくい上げ斜面部と、前記撹拌翼の自転軸線に関し線対称に同撹拌翼に装着された従動磁石と、を有することを特徴とする磁気駆動撹拌装置。
  2. 請求項1に記載の磁気駆動撹拌装置において、前記撹拌翼の少なくとも前記各腕部と、前記各すくい上げ斜面部とが、一枚の板体により形成されていることを特徴とする、磁気駆動撹拌装置。
  3. 請求項1又は2に記載の磁気駆動撹拌装置において、前記撹拌翼支持装置が、前記容器の内底面から所定の高さの位置に水平な状態で着脱自在に装入することができるとともに多数の貫通空隙部を通して流体の自由な流通を許容する多隙性棚板に装着され、当該多隙性棚板の下面側において前記撹拌翼を支持していることを特徴とする、磁気駆動撹拌装置。
  4. 請求項1又は2に記載の磁気駆動撹拌装置において、前記撹拌翼支持装置が、前記容器の内底壁に装着されていることを特徴とする、磁気駆動撹拌装置。
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