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JP3853025B2 - 窒化アルミニウム粉末及びその製造方法 - Google Patents
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JP3853025B2 - 窒化アルミニウム粉末及びその製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム粉末及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動性及び耐水性に優れ、イオン性成分の溶出性の低い窒化アルミニウム粉末及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化アルミニウム粉末は熱伝導性、機械的強度及び電気絶縁性に優れた特性を持った物質として知られており、構造用材料、機能用材料等多方面に使用されつつある。しかし、同時に窒化アルミニウム粉末は加水分解しやすいという性質も有しており、大気中の水分でさえも容易に分解し、下記(1)式に従って水酸化アルミニウムとアンモニアを生成し、窒化アルミニウム粉末の特性を失ってしまうという問題点がある。
【0003】
AlN+3HO→Al(OH)+NH ・・・・・ (1)
従って、高温用炉材等の構造用材料として使用する際、成形時に使用するバインダーが水系の場合、加水分解し窒化アルミニウム粉末の本来の特性を失うため、引火、発火性、かつ有害な有機溶剤を使用せざるを得ない。また、白板、メタライズ基板等の機能材料も加水分解による性能劣化が問題となる。また、半導体デバイス、IC等の半導体素子はパッケージで外部より保護されている。そのパッケージに、高分子材料が使用されており、高分子材料自身は熱伝導性が低いため、半導体素子を使用した回路から発生した熱を外部に放散・除去を行うため、熱伝導性に優れた無機微粒子(シリカ、窒化ほう素、窒化アルミニウム等)を樹脂用のフィラーとして使用している。近年、より高い熱伝導性を有する窒化アルミニウムがフィラーとして用いられるようになってきた。樹脂用のフィラーとして使用した場合も大気中の水分がフィルムを透過し、窒化アルミニウム粉末が加水分解を受けて、熱伝導性の低下や樹脂の劣化をもたらす。このように上記用途に窒化アルミニウム粉末を使用する際には、加水分解の進行を抑制する性質(以下、耐水性と記す)を付与する必要がある。
【0004】
そこで従来から窒化アルミニウム粉末に耐水性を付与する検討がなされている。例えば、窒化アルミニウム粉末の表面被覆剤に重合性モノマーを使用する方法(特開平1−179711号公報)、有機系珪素カップリング剤を使用し、シロキサン結合を有するもの(特開平7−33415号公報)、ヒドロキシル基、アミン基、カルボキシル基によるもの(特開平3−261665号公報、特開平6−345538号公報)、また窒化アルミニウム粉末を若干の酸素を含む雰囲気で焼成することによるα−アルミナを形成したもの(特開平4−175209号公報)等が開示されている。しかしながらこれらの方法では、充分な耐水性を得ることができない。
【0005】
本発明者らは水の存在下で窒化アルミニウム粉末を燐酸化合物で処理し、特定量の燐酸化合物を窒化アルミニウム表面に含有させることにより、優れた耐水性を有する窒化アルミニウム粉末を得ることができた(特願平8−11371号公報、特願平8−286780号公報)。しかし、多方面で更に高い耐水性を有する窒化アルミニウム粉末が求められると同時に、溶出するイオン性成分の低減の要望もある。
【0006】
また、特願平8−286780号公報記載の方法で優れた耐水性が得られるが、燐酸化合物による処理により表面状態が変化し、未処理のものと比べると流動性が著しく低下してしまう。そのため、耐水性窒化アルミニウムは流動性が悪いために、樹脂との混練時、窒化アルミニウム粉末が凝集体を形成し樹脂に均一に分散させることが困難である。例えば、そのため、窒化アルミニウム粉末を樹脂と混練する際、篩で分級しながら混練することが必要となり、工程が増えコストアップにつながっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は▲1▼更に優れた耐水性の付与▲2▼イオン性成分の溶出の抑制▲3▼優れた流動性の付与にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、窒化アルミニウム粉末の表面に特定量の燐酸化合物を有する窒化アルミニウムが優れた耐水性を有することを知見し、更に検討した結果、特定量の燐酸化合物を窒化アルミニウム粉末の表面に含有させ且つ、特定の流動性改良剤を含有させることにより、▲1▼更に優れた耐水性の付与▲2▼イオン性成分の溶出の抑制▲3▼優れた流動性の付与という目的を達成できることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は流動性改良剤を含有し、且つ燐酸化合物で処理された窒化アルミニウム粉末であって、該窒化アルミニウム粉末に対して該燐酸化合物がP換算で0.1〜10重量%含有することを特徴とする流動性及び耐水性に優れ、イオン性成分の溶出性の低い窒化アルミニウム粉末、及び水の存在下、窒化アルミニウム粉末を燐酸化合物で処理し、流動性改良剤を混合することを特徴とする窒化アルミニウム粉末の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる窒化アルミニウム粉末は、製法による差異は認められず、通常用いられる窒化アルミニウム粉末が使用できる。例えば、有機アルミニウム化合物とアンモニアを反応さた後、加熱する気相反応法、アルミナと炭素の混合物を窒素中で加熱するアルミナ還元法、アルミニウムと窒素で反応させる直接窒化法等で製造した窒化アルミニウム粉末がいずれも好適に使用可能である。その中でも樹脂との馴染みが良く、多量に樹脂に充填することが可能である気相反応法により得られる窒化アルミニウム粉末を使用するのが好ましい。
【0011】
本発明でいう燐酸化合物で処理された窒化アルミニウム粉末とは、窒化アルミニウム粉末表面に燐酸化合物を含有する窒化アルミニウム粉末であって、窒化アルミニウム粉末表面のアルミニウムの少なくとも一部が燐酸アルミニウム結合(Al−O−P)を形成している窒化アルミニウム粉末をいい、その周辺の結合状態が特定されるものではない。おそらくは、この燐酸アルミニウムの層が耐水性の層であると本発明者らは考えており、Al−O−P結合の多少により、高温耐水性、長時間耐水性等の性能を付与できることを実験的に確認している。
【0012】
また、本発明では窒化アルミニウム粉末の表面に存在する燐酸化合物(燐酸アルミニウム)のP換算で含有量を特定することによって、窒化アルミニウムに優れた耐水性を付与することができる。
【0013】
この耐水性窒化アルミニウム粉末は、燐酸化合物をP換算で0.1〜10重量%の範囲で含有する必要があり、好ましくは、0.3〜8重量%、更に好ましくは、0.5〜6重量の範囲が好適である。耐水性窒化アルミニウム粉末のP含有量が0.1重量%未満では、所望の耐水性を得ることができず、また、10重量%を超えると、所望の耐水性と流動性は得られるが、窒化アルミニウムの酸素含有量が高くなり窒化アルミニウム粉末本来の特性である熱伝導性を損なう。また、未反応の燐酸化合物が多くなるため、溶出性の燐酸化合物が増加し、溶出性のイオン性成分の増加につながるので好ましくない。
【0014】
本発明の窒化アルミニウム粉末の燐酸化合物での処理とは、燐酸化合物と窒化アルミニウム粉末を接触させる操作をいい、例えば窒化アルミニウム粉末を燐酸化合物溶液に分散させることや窒化アルミニウム粉末を燐酸化合物溶液に練り込みペースト状にすること等が挙げられる。燐酸化合物と窒化アルミニウムが接触する操作であれば、どのような方法でもよい。
【0015】
本発明でいう燐酸化合物とは、窒化アルミニウム粉末表面のアルミニウムと反応して燐酸アルミニウム結合(Al−O−P結合)を形成し、最終的には窒化アルミニウム粉末を燐酸アルミニウム層で被覆する能力を有する燐酸化合物を意味し、例えば、オルト燐酸、メタ燐酸、ピロ燐酸、ポリ燐酸、ホスホン酸等の無機燐酸化合物やメチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ラウリルアッシドホスフェート、パルミチルアッシドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート等の酸性燐酸エステル類、ジ−2−エチルヘキシルピロホスフェート等のピロ燐酸又はポリ燐酸のモノ若しくはジアルキル、アルケニル又はアリールエステル類、メチレンホスホン酸、アミノメチレンホスホン酸等のホスホン酸類及びそのエステル類等の有機燐酸化合物等がその例として挙げられる。また、二種類以上の燐酸化合物の混合物でもかまわない。
【0016】
本発明では燐酸化合物を溶液として用いる。その際、上記の燐酸化合物を水または水と有機溶剤に溶解したものを用いる。用いる水としては、純水でも市水でもよい。また、有機溶剤としては、燐酸化合物が溶解するものなら何でもよいが、水の存在が必要なことから水溶性であることが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロキシフラン(THF)等が挙げられる。このような水溶性の有機溶剤に溶けない燐酸化合物の場合、水溶性の有機溶剤と共にヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の非水溶性の有機溶剤を併用してもよい。
ここで用いる燐酸化合物の濃度は、特に限定されるものではないが、濃度が0.01重量%以下では、所望の耐水性が得られないので好ましくない。
【0017】
窒化アルミニウム粉末に対する燐酸化合物の使用量は、窒化アルミニウム粉末100重量部に対して0.03〜200重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは0.3〜100重量部、最も好ましくは0.3〜60重量部が好適である。窒化アルミニウム粉末100重量部に対して0.03重量部未満では、所望の耐水性を得ることができず、また、200重量部を超えると、所望の耐水性及び流動性は得られるが、窒化アルミニウムの酸素含有量が高くなり窒化アルミニウム本来の特性である熱伝導性を損なうので好ましくない。また、未反応の燐酸化合物が多くなるため、溶出性の燐酸化合物が増加し、溶出性のイオン性成分の増加につながるので好ましくない。
【0018】
窒化アルミニウム粉末を燐酸化合物で処理する際に水が存在することが、本発明では重要なポイントとなる。というのは、水が存在することにより窒化アルミニウム粉末の表面を強制的に加水分解し、燐酸化合物と反応する活性点である水酸化アルミニウムを発生させる。この活性点の増加により燐酸アルミニウム結合(燐酸アルミニウムの層)の形成を促進するので、高い耐水性が得られる。このことについては、発明者らは実験的に確認している。水の使用量は窒化アルミニウム粉末100重量部に対して1重量部以上必要である。窒化アルミニウム粉末100重量部に対して1重量部未満では活性点が増加しないため耐水性の層の形成を促進されず、高い耐水性は得られないので好ましくない。また、耐水性の層の形成は、非常に速いので水による加水分解が進行し、窒化アルミニウム粉末本来の特性を損なうことはない。
【0019】
窒化アルミニウム粉末を燐酸化合物で処理する温度は、燐酸化合物や水の使用量等の条件により一概にはいえないが、0〜100℃の範囲が好ましく、更に好ましくは18〜50℃が好適である。処理する温度が0℃未満では、窒化アルミニウム表面が加水分解しにくいので、燐酸化合物との反応する活性点が増加しないため、燐酸化合物との反応が進行しないので、所望の耐水性が得らない、また、処理する温度が100℃を超えると、耐水性は得られるが、窒化アルミニウム粉末と燐酸化合物の反応が進行し過ぎて窒化アルミニウム粉末本来の特性を損なってしまうので好ましくない。
【0020】
窒化アルミニウム粉末と燐酸化合物を処理する時間は、燐酸化合物の濃度、使用量、温度等により一概にはいえないが1〜120分が好ましく、更に好ましくは、5〜60分が好適である。
【0021】
上記の燐酸化合物の処理に加えて、更に流動性改良剤の混合を行うことで、窒化アルミニウム粉末への▲1▼更に優れた耐水性の付与▲2▼イオン性成分の溶出の抑制▲3▼優れた流動性の付与という目的を達成することができる。著しい性能向上の理由としては、燐酸アルミニウムの層を有する窒化アルミニウム粉末の表面に流動性改良剤の粒子が存在するためと推測している。おそらく、燐酸化合物を有する窒化アルミニウム粉末表面に流動性改良剤の粒子が存在することより、未反応の燐酸化合物の溶出が抑制されることによって、燐酸化合物の溶出による耐水性の低下が抑えられ、結果として、耐水性の向上とイオン性成分の溶出の抑制をもたらすと考えてよい。
【0022】
本発明でいう流動性改質剤としてはシリカ、アルミナ、チタニア、窒化ほう素及び表面に親油性基を有する無機粉末等が挙げられる。また、2種類以上の流動性改質剤の混合物でもかまわない。これらの流動性改質剤の粒径は1μm以下が好ましい。
【0023】
本発明の表面に親油性基を有する無機粉末とは、無機粉末の表面を樹脂、シリコンオイル、シリコーンやフッ素化合物等で被覆して、無機粉末の表面を親油性基で覆われた無機粉末のことを意味する。例えば、表面に親油性基を有するシリカ(以下、撥水性シリカと記す)等が挙げられる。
【0024】
特に、流動性改質剤として表面に親油性基を有する無機粉末を用いた場合、窒化アルミニウムの耐水性、流動性が著しく改善され、更にイオン性成分の溶出を抑制する効果も大きい。その上、窒化アルミニウムと表面に親油性基を有する無機粉末が混合することで、樹脂との馴染みも他のものより向上するので、樹脂への分散性も著しく向上する。
【0025】
流動性改良剤として表面に親油性基を有する無機粉末を用いる場合、混合の際に分散剤として有機溶剤を用いると、他の方法と比較すると耐水性の向上及びイオン性成分の溶出抑制の効果が非常に大きい。分散剤を用いて表面に親油性基を有する無機粉末を混合する方法が他の方法に類を見ない程に耐水性の向上及びイオン性成分の溶出抑制の効果をもたらす理由としては、おそらく有機溶剤により無機粉末表面の親油性の被覆剤が溶出し、この親油性の被覆剤が窒化アルミニウム表面を覆うため窒化アルミニウム表面をすきまなく被覆することとなり、流動性改良剤の粒子が窒化アルミニウム表面に存在するだけのものよりも耐水性の向上とイオン性成分の溶出の効果が大きくなる、と推測している。無機粉末表面にどのような親油性の被覆剤を含有するものでも同様の効果が得られるが、特に、無機粉末の表面をシリコンオイルで被覆した無機粉末が有用である。ここで用いる分散剤としての有機溶媒は水溶性のものならば、何でもよく、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロキシフラン(THF)等が挙げられる。また、ヘプタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム等の非水溶性の有機溶剤を併用してもよい。
【0026】
分散剤を用いた表面に親油性基を有する無機粉末の混合は、燐酸化合物処理の後でも燐酸化合物処理の際のいつでもよく、均一に混合することができればいつ行ってもよい。
燐酸化合物で処理の後に混合する方法としては、窒化アルミニウム粉末又は表面に親油性基を有する無機粉末をスラリーとして、ミキサーやボールミル等を用いて均一に混合する方法等がある。
【0027】
燐酸化合物で処理の際に混合する方法としては、予め分散剤で表面に親油性基を有する無機粉末をスラリー又はペースト状にして混合する方法と分散剤が含まれている燐酸化合物溶液中の表面に親油性基を有する無機粉末をそのまま添加し、混合する方法等がある。前者の方が分散剤の使用量が少量でよく、低コストで製造できる。特に、オルト燐酸等の無機燐酸の水溶液で窒化アルミニウム粉末を処理し、流動性改良剤として表面に親油性基を有する無機粉末を用いる場合、均一に混合するために分散剤として有機溶媒を用いて流動性改良剤をスラリー又はペースト状にする必要がある。
【0028】
分散剤を使用しない場合、流動性改良剤の混合は、燐酸化合物処理の後でも、燐酸化合物処理の際に行ってもよく、流動性改良剤が均一に窒化アルミニウム粉末と混合できればよい。
燐酸化合物処理の後、流動性改良剤を混合する方法としては、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー等を用いて、粉体同士を混合する方法とボールミルを用いて、粉砕混合する方法がある。後者の方法の方が性能の向上の効果が大きい。
【0029】
燐酸化合物処理の際に流動性改良剤を混合する方法としては、窒化アルミニウム粉末を燐酸化合物溶液に分散させてスラリーに流動性改良剤を分散させる方法、窒化アルミニウム粉末を燐酸化合物溶液に練り込みペースト状に流動性改良剤を練り込む方法や、前もって流動性改良剤を燐酸化合物溶液に分散させた後、窒化アルミニウム粉末を燐酸化合物で処理する方法等がある。また、流動性改良剤を溶媒でスラリー又はペースト状にしてから混合してもかまわない。
【0030】
燐酸化合物での処理及び流動性改良剤の混合を行った窒化アルミニウムのスラリーを濾過し、過剰の燐酸化合物を取り除くため、水または有機溶媒で洗浄を行った後、乾燥、粉砕する。この濾過〜乾燥を繰り返すことにより、より高純度の流動性及び耐水性に優れ、イオン性成分の溶出性の低い窒化アルミニウム粉末が得られる。また、燐酸化合物で処理及び流動性改良剤の混合を行った窒化アルミニウム粉末のスラリーをそのままスプレードライを用いて乾燥する方法、また上記したように濾過してそのケーキを乾燥する方法等いずれの方法でも構わない。
窒化アルミニウムスラリーの濾過は、ヌッチェ、遠心濾過機等を使用する。また、濾過を行わずそのまま乾燥を行ってもよい。
【0031】
所定量の燐酸化合物及び流動性改良剤を用いて窒化アルミニウム粉末をペースト状にして処理を行った場合は、そのまま乾燥し、粉砕することで所望の流動性及び耐水性に優れ、イオン性成分の溶出性の低い窒化アルミニウム粉末を得ることができる。この方法により流動性及び耐水性に優れ、イオン性成分の溶出性の低い窒化アルミニウム粉末を低コストで多量に製造することができる。
【0032】
乾燥方法としては、濾過したケーキ、スラリーやペーストを80〜300℃で3〜24時間乾燥させる。用いる乾燥機には、熱風乾燥機、蒸気乾燥機等を用いるのが好ましい。
【0033】
粉砕には、ジェットミル、サンプルミル、ボールミル等を用いる。また、ここでいう粉砕は、二次粒子を一次粒子にすることであり、被覆表面を破壊するものではない。
【0034】
以上のような方法で得た流動性及び耐水性に優れ、イオン性成分の溶出性の低い窒化アルミニウム粉末に対し、以下の方法で更にイオン性成分の溶出を抑制することができる。つまり、イオン性成分の溶出を抑制する方法としては、150〜600℃で加熱処理することにより燐酸アルミニウム結合(Al−O−P)の生成を促進させる方法や洗浄により溶出性のイオン性成分の除去をする方法等がある。また、加熱処理と洗浄を組み合わせることにより効果的にイオン性成分の溶出を抑制することができる。これらのイオン性成分の溶出を抑制する方法を用いることにより、更に高純度の流動性及び耐水性に優れ、イオン性成分の溶出性の低い窒化アルミニウム粉末が得られる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例をもって説明する。%及び部は特記しないかぎり重量基準で表す。
実施例1
2.4%オルト燐酸水溶液56.8部(オルト燐酸1.4部、水55.4部)に予め、窒化アルミニウム粉末に対して2%の撥水性シリカをメタノールでスラリーにして加え、オルト燐酸水溶液中に分散させた。次に前記のオルト燐酸水溶液に窒化アルミニウム粉末(平均粒径1μm)100部を加え、5Lのニーダーで練り込みペースト状とし、30℃で30分間処理を行った。この混合物を120℃、8時間乾燥し、乾燥後、ジェットミルで粉砕し、窒化アルミニウム粉末を得た。
【0036】
得られた窒化アルミニウム粉末の評価試験は下記の方法で行った。
・窒化アルミニウム粉末の表面の燐含有量
窒化アルミニウム粉末1.5gを水酸化ナトリウム水溶液中で、加熱溶解し、中和後、比色分析を行い、耐水性窒化アルミニウム粉末表面の燐含有量を測定した。
・窒化アルミニウム粉末の耐水性試験
純水100gを100℃まで加熱し、100℃に達した純水中に窒化アルミニウム粉末1gを分散させ、分散後の分散液のpH変化を経時的に測定した。
・電気伝導率の測定
耐水性試験を行った分散液を濾過し、その濾液の電気伝導率を測定することで、溶出イオン性成分の評価を行った。
・また、安息角を測定することで、流動性の評価を行った。
・窒化アルミニウム粉末の溶出性テスト
テフロンコーティングをしたステンレス製容器に純水100gと窒化アルミニウム粉末12.5gを入れて容器を密閉した。これを120℃で24時間加熱し、冷却後濾過し、その濾液のpH及び電気伝導率を測定した。
これらの評価結果を表1に示す。
【0037】
実施例2〜3
撥水性シリカの添加量を5%、10%に変更した以外は実施例1と同様の方法で窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0038】
実施例4
2.4%オルト燐酸水溶液を6.8%オルト燐酸水溶液60.5部(オルト燐酸4.1部、水56.4部)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0039】
実施例5
2.4%オルト燐酸水溶液を15.8%オルト燐酸水溶液69.7部(オルト燐酸11部、水58.7部)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で窒化アルミニウム粉末のを得た。
得られた窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0040】
実施例6〜7
流動性改良剤をアルミナ、窒化ほう素に変更した以外は、実施例1と同様の方法で窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0041】
実施例8
容量5Lのガラス製容器に13%ピロ燐酸水溶液230部(ピロ燐酸30部、水200部)を入れ、このピロ燐酸水溶液に窒化アルミニウム粉末(平均粒径1μm)100部を加えて水溶液中に分散させ、処理温度80℃で15分間処理を行い窒化アルミニウム粉末のスラリーを得た。更に、窒化アルミニウム粉末に対して2%の撥水性シリカをメタノールでスラリーにし、窒化アルミニウム粉末のスラリーに分散させた。このスラリーを濾過し、過剰のピロ燐酸水溶液を取り除くため200部の水で洗浄を行った後、120℃、3時間、乾燥し、乾燥後、ジェットミルで粉砕し窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0042】
実施例9
容量5Lのガラス製容器にイソプロパノール/純水=9/1(重量比)の割合のものを250部とエチルアシッドホスフェート30部を混合し、この混合液に窒化アルミニウム粉末(平均粒径1μm)100部を加え分散させ、処理温度50℃で30分間処理を行った(窒化アルミニウム粉末/エチルアシッドホスフェート/水=100部/30部/25部)。更に、窒化アルミニウム粉末に対して2%の撥水性シリカを分散させた。このスラリーを濾過し、過剰のエチルアシッドホスフェートを取り除くため、1000部のイソプロパノールで洗浄した。これを80℃、5時間乾燥した後、ジェットミルで粉砕し、窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0043】
実施例10
5Lのニーダーで2.4%オルト燐酸水溶液56.8部(オルト燐酸1.4部、水55.4部)に窒化アルミニウム粉末(平均粒径1μm)100部を加え、練り込みペースト状とし、30℃で30分間処理を行った。この混合物を120℃、8時間乾燥し、乾燥後、ジェットミルで粉砕し、耐水性窒化アルミニウム粉末を得た。更に、この耐水性窒化アルミニウム粉末に対して撥水性シリカを2%添加し、アルミナ製のボールを容量1Lの磁製ポットに入れ、120回転で1時間混合粉砕を行い、窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0044】
実施例11
2.4%オルト燐酸水溶液56.8部(オルト燐酸1.4部、水55.4部)に予め、窒化アルミニウム粉末に対して2%の撥水性シリカをメタノールでスラリーにして加え、オルト燐酸水溶液中に分散させた。次に前記のオルト燐酸水溶液に窒化アルミニウム粉末(平均粒径1μm)100部を加え、5Lのニーダーで練り込みペースト状とし、30℃で30分間処理を行った。この混合物を120℃、8時間乾燥し、更に300℃で5時間加熱処理をした後、ジェットミルで粉砕し、窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0045】
実施例12〜13
撥水性シリカの添加量を3%、4%に変更した以外は実施例11と同様の方法で窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0046】
実施例14〜16
実施例11〜13で得た窒化アルミニウム粉末を100℃の純水で洗浄し、濾過乾燥後、ジェットミルで粉砕し、窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0047】
比較例1
実施例1の撥水性シリカを除いた他は実施例1と同様に行った。
【0048】
得られた耐水性窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0049】
比較例2〜3
実施例4及び5の撥水性シリカを除いた他は実施例1と同様に行った。
得られた耐水性窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0050】
比較例4
2.4%オルト燐酸水溶液を21.5%オルト燐酸水溶液77.1部(オルト燐酸16.6部、水60.5部)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた耐水性窒化アルミニウム粉末の燐含有量、耐水性、溶出イオン性成分及び流動性の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示す。
【0051】
実施例17〜32
珪素樹脂100部に対し、アルミナ粒子とシリカ粒子をそれぞれ150部及び実施例1〜16の操作で得た窒化アルミニウム粉末100部を混合し、ニーダーで10分間混練して、窒化アルミニウム含有の珪素樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、150メッシュのストレーナーを通して押し出し成形したが、ストレーナーを通らない程の凝集物は認められなかった。
【0052】
比較例5〜7
比較例1〜3の操作で得た耐水性窒化アルミニウム粉末を用いた以外は実施例17と同様の方法で窒化アルミニウム含有の珪素樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、150メッシュのストレーナーを通して押し出し成形したが、ストレーナーを通らない凝集物が認められた。
【0053】
【表1】
Figure 0003853025
【0054】
【発明の効果】
本発明によって得られる窒化アルミニウム粉末は、非常に高い耐水性を有し、更に、イオン性成分の溶出も抑制できる。また、優れた流動性を付与でき、凝集体を形成することがないので、樹脂への混練の際樹脂中に均一に分散することができる。
また、放熱が要求される電子部品の封止材、電子部品の接着材料や積層基板の成形材料等の樹脂材料用のフィラーとして有用である。また、耐水性が非常に高く、イオン性成分の溶出が少ないので、高温耐湿下でも使用でき、従来技術より信頼性の高い製品を得ることができる。
さらに、高温用炉材等の構造用材料として使用する際、成形時にバインダーとして水系のものを使用しても、加水分解しないので、窒化アルミニウム粉末の本来の特性を失うことがない。すなわち、本発明の窒化アルミニウム粉末を用いれば、引火性、且つ有害な有機溶媒をバインダーとして用いる必要がなく、安価な水が使用できるので、環境面の改善と安価なコストで高温炉材等を製造できる。

Claims (6)

  1. 流動性改良剤として表面に親油性基を有するシリカを含有し、且つ燐酸化合物で処理された窒化アルミニウム粉末であって、該窒化アルミニウム粉末に対して該燐酸化合物がP換算で0.1〜10重量%含有することを特徴とする流動性及び耐水性に優れ、イオン性成分の溶出性の低い窒化アルミニウム粉末。
  2. 水の存在下、燐酸化合物で処理された窒化アルミニウム粉末と流動性改良剤からなる請求項1記載の窒化アルミニウム粉末。
  3. 流動性改良剤の添加量が窒化アルミニウム粉末又は耐水性窒化アルミニウム粉末に対して0.1〜10重量%である請求項1〜項のいづれか1項に記載の窒化アルミニウム粉末。
  4. 窒化アルミニウム粉末が有機アルミニウム化合物とアンモニアを反応することにより得られる請求項1〜項のいづれか1項に記載の窒化アルミニウム粉末。
  5. 水の存在下、窒化アルミニウム粉末を燐酸化合物で処理し、流動性改良剤として表面に親油性基を有するシリカを混合することを特徴とする流動性及び耐水性に優れ、イオン性成分の溶出性の低い窒化アルミニウム粉末の製造方法。
  6. 水の存在下、窒化アルミニウム粉末を燐酸化合物で処理し、分散剤を添加し、流動性改良剤として表面に親油性基を有するシリカを混合することを特徴とする流動性及び耐水性に優れ、イオン性成分の溶出性の低い窒化アルミニウム粉末の製造方法。
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