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JP3853151B2 - 高炉出銑口用閉塞材 - Google Patents
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JP3853151B2 - 高炉出銑口用閉塞材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉出銑口用閉塞材に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉出銑口用閉塞材(マッド材とも云う)に求められる特性は種々あるが、特に重要な特性として、
▲1▼マッドガンによる出銑口への充填を容易に行うことができる押し出し性を有し、且つ出銑口開孔時の被掘削性が良いこと;
▲2▼充填後、マッド材が短時間で焼結し、使用時の溶銑及びスラグの摩耗損傷に耐えること;
▲3▼使用時の溶銑及びスラグによる化学的侵食に耐え、出銑口径の拡大がなく、安定した出銑を長時間にわたり行うことができる耐食性を有すること
が挙げられる。
【0003】
これらの特性を改善したマッド材に関して種々の開示がある。例えば特開昭51−119015号公報には、石油系重質炭化水素油を600〜1000℃で熱分解して得られる軟化点80〜250℃、炭素水素原子比(C/H)1.3〜1.8、ベンゼン不溶分30〜60重量%(質量%)、キノリン不溶分25重量%(質量%)以下、アスファルテン分+ベンゼン不溶分85重量%(質量%)以上なるピッチ状物に沸点200℃以上の液状炭化水素油を70重量%(質量%)以下カットバックしたものを結合材として含有させたことを特徴とする含炭素不定形耐火物組成物が開示されており、該含炭素不定形耐火物組成物は高炉出銑口閉塞材として使用できることも記載されている。
【0004】
また、特開昭54−21410号公報には、コークス40重量%(質量%)以下、炭化珪素5〜40重量%(質量%)、ロー石10〜50重量%(質量%)、および金属珪素分を75%以上含有する珪素合金2〜10重量%(質量%)を混合して無機組成物とし、該組成物にフェノール樹脂の有機溶液10〜35重量%(質量%)を添加し、混練したことを特徴とする高炉出銑口閉塞用マッド材が開示されている。
【0005】
更に、特開昭60−208406号公報には、フェノール樹脂とピッチとを含有するバインダーにフェニルジオキサン油類を配合したことを特徴とする高炉用マッド材のバインダーが開示されている。
【0006】
また、特開平2−285014号公報には、アルミナ含有量80%以上のアルミナ原料を主原料として使用し、粒径44μm以下の黒鉛を0.5〜4重量部(質量部)と粒径44μm以下の窒化珪素鉄15〜30重量部(質量部)とカオリン粘土5〜15重量部(質量部)と残部の耐火材に残炭素有機化合物を加えて混練したことを特徴とする高炉出銑孔用マッド材が開示されている。
【0007】
更に、特公昭60−9984号公報には、粒度調整した耐火物骨材に対し1ミクロン以下のアルミナ、珪酸および炭化珪素から選ばれた少なくとも1種の超微粉を2〜30重量%(質量%)含有させ、有機系バインダーを添加して混練することを特徴とする高炉出銑口のマッド材が開示されている。
【0008】
また、特開平11−29366号公報には、アルミナ質原料30〜50重量%(質量%)、シリカ質原料を2〜5重量%(質量%)、炭化珪素を15〜30重量%(質量%)、炭素質原料を5〜10重量%(質量%)、窒化物を15〜30重量%(質量%)、金属粉末を5〜15重量%(質量%)で構成された耐火骨材100%に対し、結合材の液状タールを外掛けで10〜17重量%(質量%)添加した高炉出銑口閉塞用マッド材が開示されている。この高炉出銑口閉塞用マッド材は、特定の粒度構成を有する耐火骨材を使用することにより開孔性を損なうことなく溶銑やスラグに対する耐摩耗性、耐食性を向上させたものである。
【0009】
更に、特開平7−33539号公報には、残留金属シリコンを0.3〜4重量%(質量%)含有する炭化珪素原料35〜85重量%(質量%)、炭素原料2〜16重量%(質量%)及び可塑性粘土粉末5〜20重量%(質量%)とを含有してなる粉体部100重量部(質量部)に対して、炭素を含有する結合剤を外掛けで10〜25重量部(質量部)混練してなることを特徴とする高炉出銑口閉塞材が開示されている。この高炉出銑口閉塞材は、残留金属シリコンを含有する炭化珪素原料を多量に配合することにより、焼結性を損なうことなく溶銑やスラグに対する耐食性、耐摩耗性を向上させるものである。
【0010】
このように、従来のマッド材は、耐溶銑性と耐スラグ性を同時に改善することで出銑口の口径拡大を抑制し、長時間にわたる出銑を可能とするものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、溶銑に対してもスラグに対しても耐食性が高く、出銑中に出銑口の口径が拡大しない特性は、一方では、出銑滓速度がなかなか上がらないために炉内の貯銑滓レベルが上昇し易くなるという、安定操業上の問題を引き起こす。ここで、貯銑滓レベルの上昇は、以下のような理由で好ましくない:
▲1▼羽口より吹き込む熱風の風圧が上昇するため、風量を抑制しなければならず、生産性を低下させる;
▲2▼溶銑滓が長く滞留することになり、炉壁の損傷を促進する;
▲3▼最悪の場合、羽口からの漏銑事故に至る危険性がある;
▲4▼上記の問題を回避すべく、出銑中に金棒打ち込みにより開孔口径を拡大したり、ラップ出銑を行ったりするなど、作業負荷が増大する。
【0012】
貯銑滓レベルの上昇を防ぐために、出銑口の初期の開孔径を大きくして出銑滓速度を速めると、出銑時間は短くなり、貯銑滓レベルの上昇は抑制されるものの、期待したほどの耐用性向上効果が得られなくなる。このことから、長時間出銑と安定操業を両立させるには、開孔径を非常に厳密に選択する必要があるが、炉況は常に変化するため、適正な開孔径を予測することは困難である。このように、従来の高耐用性を有するマッド材は、長時間出銑と安定操業とを両立させることについて問題があった。
【0013】
従って、本発明の目的は、任意の状況において、長時間出銑の実現と高炉の安定操業とを両立することができる高炉出銑口用閉塞材を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記のような従来の技術の課題は、出銑時の貯銑滓状況に応じて出銑口の口径拡大速度を制御することにより解決できると考えた。即ち、炉内の貯銑滓の量が多いときには、出銑初期の口径拡大を促進して出銑滓速度を早め、貯銑滓レベルの上昇を防ぎ、一方、貯銑滓の量が少ない時には、口径拡大をできるだけ抑制し、出銑滓速度を維持すれば良い。これらの技術的思想に基づき本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明の高炉出銑口用閉塞材は、慣用の耐火材料と結合材とからなる配合物であって、粒径20μm以下の耐火材料が耐火材料の20〜60質量%の範囲内にあり、且つ粒径20μm以下の耐火材料の化学組成の内、SiCが5〜80質量%、Al23とSiO2の合計量が3〜35質量%の範囲内にあることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
高炉内には溶銑とスラグが滞留しており、それらの比重差により基本的にはスラグが溶銑よりも上にある。溶銑/スラグ境界面が出銑口よりも高いレベルにある場合、出銑口から排出される物質は溶銑のみ、あるいは溶銑を主体としたスラグとの混合物であり、出銑口の口径拡大は溶銑による侵食作用が主体となって起こると考えられる。一方、溶銑/スラグ境界面が出銑口レベル以下であれば、出銑口から排出される物質はスラグのみ、あるいはスラグを主体とした溶銑との混合物であり、この場合には、出銑口の口径拡大はスラグによる侵食作用が主体となって起こると考えられる。
【0017】
従って、高炉出銑口用閉塞材がほどほどの耐溶銑性を有し、且つ耐スラグ性に優れる性質を有することにより、炉内の貯銑滓の量が多いときには、出銑初期の出銑口の口径拡大が促進して出銑滓速度を早めて貯銑滓レベルの上昇を防ぎ、一方、貯銑滓の量が少ない時には、出銑口の口径拡大をできるだけ抑制し、出銑滓速度を維持することが可能となる。
【0018】
本発明者らは、上述のような観点から耐スラグ性を向上させつつ、耐溶銑性を適度に調整する手法について鋭意検討を進めた結果、(a)炭化珪素はスラグに対して非常に優れた抵抗性を有するが、本質的に溶銑に対する抵抗性が低い;(b)高炉出銑口用閉塞材においては、上記特徴は粒度の細かい炭化珪素を用いた時に顕著に現れ、耐スラグ性を高位に保ちつつ、耐溶銑性を大幅に変化させることが可能であることを見出し、本発明の高炉出銑口用閉塞材はこの現象を利用するものである。
【0019】
上記効果が得られる理由について、以下に詳述する。
▲1▼炭化珪素が溶銑に弱い理由:
溶銑に接した炭化珪素は以下の反応により容易に分解する。
SiC−−Si+C
この反応によりSiは溶銑に溶解するが、出銑口における溶銑は、炭素(C)がほぼ飽和状態にあるため、炭素は溶銑にはほとんど溶解せず固層として析出する。また、Siが溶解することにより富化されたFeは粘性が高くなるため、貯銑式樋などの比較的静的な条件下では、析出した炭素と共に稼働面に一種の保護層を形成することにより、その後のSiCの分解はある程度抑制されると考えられる。しかしながら、出銑口において、溶銑の流れは激しいため、該保護層は充分に形成されず、従って、SiCの分解は継続的に起こると考えられる。即ち、高炉出銑口用閉塞材中の炭化珪素は比較的容易に溶銑により損傷する。
【0020】
▲2▼高炉出銑口用閉塞材中の炭化珪素が少量である場合、あるいは粗〜中粒を用いても溶銑に対する抵抗性があまり低下しない理由:
しかしながら、炭化珪素が高炉出銑口用閉塞材中に不連続に存在する場合、即ち、添加量が比較的少ない場合には、炭化珪素が溶銑により溶損されて消失すると、アルミナやシリカ等の他の成分で構成された表面が現れ、且つ現れた表面自体は溶銑に濡れ難く、耐溶銑性に比較的優れた組成であるため、溶銑にはほとんど侵食されない。結果的に稼働表面の炭化珪素が溶損されるのみで、それ以上の溶損はあまり進行しない。
また、炭化珪素の添加量が多くても、炭化珪素の粒径がそれほど小さくない場合には、炭化珪素が溶銑により溶損されて消失しても、アルミナやシリカ等の他の成分で構成されたマトリックスの骨格が残存し、それ自体耐溶銑性に比較的優れた組成であるため、溶銑にはほとんど侵食されず、結果的に稼働面付近の炭化珪素が溶損されるのみで、それ以上の溶損はあまり進行しない。
【0021】
▲3▼炭化珪素を微粉で用いると耐溶銑性が低下する理由:
逆に、炭化珪素が高炉出銑口用閉塞材のマトリックス中に連続的に存在する場合、即ち、充分に粒径の小さい炭化珪素が比較的多量に添加されている場合、炭化珪素の溶損によりマトリックスが骨格を維持できなくなり崩壊してしまう。また、これによりマトリックスは粗粒を拘束する力を失い、粗粒はその耐溶銑性の優劣に拘りなく流失してしまう。従って、侵食が容易に進行することになる。
【0022】
このように、高炉出銑口用閉塞材の耐溶銑性は、含まれる炭化珪素の量だけではなく、むしろ粒径に強く支配されており、この点を考慮して初めて炭化珪素の耐溶銑性が低い特徴を高炉出銑口用閉塞材として活かすことが可能となる。
【0023】
▲4▼マトリックス中のアルミナやシリカが多いと耐溶銑性が低下しない理由:
一方、高炉出銑口用閉塞材のマトリックスを構成するその他の組成としては、アルミナやシリカ、カーボン、窒化珪素等が一般的である。このうち、アルミナやシリカは、高炉出銑口用閉塞材の耐溶銑性を高める作用がある。アルミナやシリカ等の酸化物はそれ自体溶銑に対して安定であり、更に、カーボンや窒化珪素等と異なり高い焼結性を有しているため、マトリックス中に連続して接触する程度に多量に含まれている場合、加熱により焼結が起こり、互いに強固に結合する。従って、マトリックス中に炭化珪素が存在し、それが溶銑により消失したとしても、アルミナやシリカの骨格が残存して溶銑の侵入を阻害するため、結果的に高炉出銑口用閉塞材としてはそれ程侵食されなくなる。このため、炭化珪素の耐溶銑性が低い特徴を活かすには、マトリックス中のアルミナやシリカ成分を過剰な焼結を起こさない量にとどめる必要がある。
【0024】
以上の理由により、本発明の高炉出銑口用閉塞材は、慣用の耐火材料と結合材とからなる配合物であって、粒径20μm以下の耐火材料が耐火材料全体の20〜60質量%の範囲内にあり、且つ粒径20μm以下の耐火材料の化学組成の内、SiCが5〜80質量%、Al23とSiO2の合計量が3〜35質量%の範囲内にあることを特徴を有する。
【0025】
従来の高炉出銑口用閉塞材において、炭化珪素の溶銑に対する抵抗性が本質的に低いという欠点を逆に利用したものはない。また、炭化珪素は従来の高炉出銑口用閉塞材において最もよく用いられている耐火材料の一つであるが、適用粒度については厳密に検討された例は少なく、粒径が数mm〜数10μmのものが一般的に用いられている。このような粒度域で炭化珪素を用いると耐スラグ性を向上させる効果はあるが、耐溶銑性を低下させ得る特性を有効に利用することはできず、ひいては高炉出銑口用閉塞材全体として耐溶銑性を調整することより出銑滓速度をコントロールすることはできない。
【0026】
また、上述の特公昭60−9984号公報のように、炭化珪素を超微粉として用いる例も幾つかあるが、耐火材料の微粉部の化学組成が充分検討されていないため、本発明で達せられるような効果は得られていない。
【0027】
以下、本発明の高炉出銑口用閉塞材について更に詳細に説明する。
本発明の高炉出銑口用閉塞材は、耐スラグ性に優れ、かつ耐溶銑性が低いことを特徴とするものである。まず、本発明の高炉出銑口用閉塞材においては、粒径20μm以下の耐火材料のSiC、Al23及びSiO2の割合が重要である。これらの成分の割合を規定する範囲を粒径20μm以下とした理由は、粒径が20μmより大きいSiCを用いても耐溶銑性に対して影響が小さく、含有率を変化させても効果的に耐溶銑性を制御できないためである。図1にアルミナ(30質量%)、シリカ(10質量%)、カーボン(15質量%)及び窒化珪素(20質量%)に平均粒径の異なる炭化珪素原料をそれぞれ25質量%加えて混練し、成形、仮焼した高炉出銑口用閉塞材試料を、高周波誘導炉を用い、溶銑及びスラグに浸漬する方法で行った耐溶銑性及び耐スラグ性の評価結果の1例を示す。図1からは、添加するSiCの平均粒径がおよそ20μm以下の場合に、溶銑による侵食量が大幅に増大することが判る。また、粒径の小さい炭化珪素ほど耐スラグ性が向上することが判る。
【0028】
本発明の高炉出銑口用閉塞材において、粒径が20μm以下の耐火材料中のSiCの割合は5〜80質量%、好ましくは15〜80質量%、更に好ましくは15〜50質量%の範囲内である。SiCは耐溶銑性を低下させると共に、耐スラグ性を向上させる効果を有する。粒径20μm以下の耐火材料中のSiCの割合が5質量%以上であれば必要な効果が得られ、より充分な効果を得るためには15重量%以上であることが好ましい。粒径20μm以下の耐火材料中のSiCの割合が5質量%より少ないと耐溶銑性を低下させる効果が満足に得られず、また、必要な耐スラグ性が得られないために好ましくない。また、粒径20μm以下の耐火材料中のSiCの割合が80質量%を超えると、極端に耐溶銑性が低下し、高貯銑滓レベル時に口径拡大が進んでしまうため、出銑時間が維持できなくなり好ましくない。
【0029】
また、本発明の高炉出銑口用閉塞材において、粒径が20μm以下の耐火材料中のAl23とSiO2の合計量は3〜35質量%、より好ましくは5〜30質量%の範囲内である。粒径が20μm以下の耐火材料中のAl23とSiO2の合計量が35質量%を超えると、過剰な焼結がSiCによる耐溶銑性の低下を防止して高炉出銑口用閉塞材としての耐溶銑性を所望の程度にまで低下させることができず、貯銑滓レベルが高い場合には口径拡大が進まず、貯銑滓レベルを充分に低下させることができなくなるために好ましくない。また、Al23やSiO2はSiCと比べ耐スラグ性に劣るため、それらの比率が増大すると耐スラグ性が低下してしまい、貯銑滓レベルが低い時には口径拡大を抑制できなくなるために好ましくない。一方、粒径が20μm以下の耐火材料中のAl23やSiO2の合計量が3質量%未満の場合には、極端に耐溶銑性が低下して貯銑滓レベルが高い時に過剰に口径が拡大してしまうために好ましくない。
【0030】
本発明の高炉出銑口用閉塞材において、粒径20μm以下の耐火材料が耐火材料全体に占める割合は20〜60質量%、好ましくは25〜50質量%の範囲内である。粒径20μm以下の耐火材料が20質量%未満では、耐溶銑性及び耐スラグ性を制御するのに必要な粒径20μm以下のSiC、Al23及びSiO2の絶対量が不足し、効果的に耐溶銑性及び耐スラグ性を抑制することができなくなる。更に極端に少ないと、可塑性が不足し、満足できる押出充填性が得られなくなるために好ましくない。一方、粒径20μm以下の耐火材料が60質量%を超えると、結合材の添加・配合量が多くなり、結合材が揮発して形成される気孔が増加し、耐溶銑性、耐スラグ性が共に低下するために好ましくない。更に、SiCとAl23、SiO2の溶銑及びスラグに対するそれぞれの性質を有効に利用するためにも、粒径が20μm以下の耐火材料が耐火材料全体に占める割合は20〜60質量%の範囲内にあることが好ましい。
【0031】
本発明の高炉出銑口用閉塞材において、粒径20μm以下の耐火材料を構成する原料としては、SiC源として通常の炭化珪素原料が、Al23及びSiO2源としては電融・焼結・仮焼アルミナ等のアルミナ原料、溶融シリカ、珪石、珪砂、シリカフラワー等のシリカ原料のほか、ばん土頁岩、ボーキサイト、シャモット、ムライト、カイヤナイト、アンダリュサイト、粘土、ロー石、スピネル、ジルコン等のアルミナ、シリカ含有原料が使用可能である。
【0032】
本発明の高炉出銑口用閉塞材において、粒径が20μm以下の耐火材料中のAl23、SiO2、SiC以外の構成成分としては、カーボンと窒化珪素を主体とすることが望ましい。これは、カーボン、窒化珪素の耐溶銑性がAl23、SiO2とSiCの中間程度であるため、多量に使用しても高炉出銑口用閉塞材の耐溶銑性が極端に高くなったり、低くなったりすることがなく、Al23、SiO2とSiCの調整による耐溶銑性のコントロールを妨げることがないためであり、また、耐スラグ性に優れているため貯溶銑レベルが低いときの出銑口の口径拡大を抑制するのに効果があるからである。粒径が20μm以下の耐火材料中の窒化珪素とカーボンにAl23、SiO2、SiCを加えた合計量は、70質量%以上であることが好ましく、更に好ましくは80質量%以上である。該合計量が70質量%未満であると、その他の構成成分の影響が大きくなり、本発明の意図した特性が充分に発揮されなくなる恐れがあるために好ましくない。なお、Al23、SiO2、窒化珪素、カーボン以外の残部を構成する成分としては、シリコン、アルミニウム、鉄及びそれらの合金等の金属類や、各耐火材料の少量成分(例えばTiO2、CaO、Na2O、K2O等)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
また、本発明の高炉出銑口用閉塞材は、慣用の耐火材料、即ち、ロー石、シャモット、アルミナ、スピネル、マグネシア、ジルコニア、耐火粘土等の酸化物系耐火材料と、炭素質原料、炭化珪素、窒化珪素系原料等の非酸化物系耐火材料が使用できる。耐火材料は、粒度10mm以下、好ましくは5mm以下に調整して使用される。これらの耐火材料の配合割合は、粒径20μm以下の耐火材料の割合や化学組成が上記範囲内となれば特に限定されるものではなく、充填性や開孔性等を考慮して任意に決定できる。また、金属(例えばシリコン、アルミニウム等)やファイバー(例えば有機繊維等)等の補助的な添加材も使用可能である。
【0034】
本発明の高炉出銑口用閉塞材に用いる結合材は、従来から一般的に使用されているいずれの結合材を用いても、本発明の効果には何ら影響はない。即ち、コールタールをはじめ、石油系タール、例えばフェノール樹脂のような液状樹脂等が良好に使用できる。また、結合助剤として、ピッチや固形樹脂等の利用も可能である。なお、結合材の添加・配合量は、耐火材料に対して外掛で10〜25質量%、好ましくは10〜20質量%の範囲内である。結合材の添加・配合量が外掛で10質量%未満であると、良好な作業性が確保できず、本発明の高炉出銑口用閉塞材をマッドガンから出銑口に充填することができなくなるために好ましくなく、また、25質量%を超えると、揮発成分が多くなり、組織劣化により耐食性が低下するために好ましくない。
【0035】
本発明の高炉出銑口用閉塞材は、高炉出銑口の開孔口径を適切に選択することにより、上記の特徴がより良好に発揮できる。即ち、炉容積2500m3未満の小型高炉では開孔口径を例えば30〜55mm、好ましくは35〜50mm、2500〜4000m3の中型高炉では例えば35〜65mm、好ましくは40〜60mm、4000m3を超える大型高炉では例えば50〜80mm、好ましくは55〜75mmとするのが好ましい。なお、上記開孔口径の例示はあくまでも目安であり、これら例示に限定されるものではないことを理解されたい。なお、高炉出銑口の開孔口径が過小であれば、炉内の貯銑滓レベルが極端に上昇し易く、開孔口径が過大であれば、最初から出銑滓速度が速く、口径拡大を抑制しても出銑時間が短くなってしまうために好ましくない。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明の高炉出銑口用閉塞材を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことを理解されたい。
実施例
以下の表1に、本発明品及び比較品の原料配合、粒径20μm以下の耐火材料の割合、組成、並びに得られた高炉出銑口用閉塞材の諸特性、実炉使用結果を記載する。
【0037】
【表1】
Figure 0003853151
【0038】
上記表1に示す特性値のうち、溶銑侵食指数は、高周波誘導加熱炉に銑鉄20kgを収容し、溶解後、高炉出銑口用閉塞材の供試体を1500〜1550℃で2時間浸漬させた時の侵食量を、比較品1を100として指数化したものである。溶銑侵食指数が大きい程溶銑に対する耐溶損性が低いことを示す。
なお、供試体は、表1に示す原料配合を有する配合物を混練して得られた混練物を4.9MPaで加圧成形した後、得られた成形体を1500℃で3時間還元焼成することにより得られたものである。
また、スラグ溶損指数は、侵食剤として高炉スラグを用い、1500〜1550℃−3時間の条件で行った回転ドラム侵食試験における侵食量を、比較品1を100として指数化したものである。スラグ溶損指数は、小さい程耐スラグ性が優れていることを示す。
【0039】
上記表1に示す結果から明らかなように、本発明品はいずれの例も耐溶銑性が低く、且つ耐スラグ性に優れた特性を示しており、本発明の目的に対して良好に使用できる。
一方、比較品1は、粒径20μm以下の耐火材料中のAl23及びSiO2の含有量が多く、SiCが少な過ぎるため、本発明品の高炉出銑口用閉塞材と比べ耐溶銑性が高くなっており、また、満足できる耐スラグ性も得られていない。
また、比較品2は、粒径20μm以下の耐火材料中のAl23及びSiO2の含有量が少ないため、加熱後の強度が低く、また、粒径20μm以下の耐火材料の割合が多いため、結合材であるタールの添加量が増加して気孔率が大きくなっており、耐溶銑性、耐スラグ性共に低下して満足できる特性が得られていない。
【0040】
次に、従来の高炉出銑口用閉塞材である比較品1と本発明の高炉出銑口用閉塞材である本発明品3を同じ高炉で使用して比較したところ、比較品1では貯銑滓レベルの上昇に伴う出銑滓促進のための金棒打ち込み作業の比率が21.5%もあり、大きな作業負荷となっていたのに対し、本発明品3では同じ開孔口径でありながら、金棒打ち込み作業比率が3.3%にまで大幅に低減しており、且つ出銑時間は従来のものと同等以上となった。この結果は本発明の高炉出銑口用閉塞材の長時間出銑と安定操業の両立という特徴を端的に示すものである。
また、本発明品1及び本発明品2をそれぞれ大型、中型高炉で使用したところ、従来の高炉出銑口用閉塞材と同等以上の出銑時間が得られ、且つ貯銑滓レベルの上昇に伴うラップ出銑や減風頻度を大幅に減らすことができた。
【0041】
【発明の効果】
本発明の高炉出銑口用閉塞材を用いることにより、出銑時の炉内の貯銑滓状況に応じて出銑口の口径拡大速度を制御することが可能となる。即ち、炉内の貯銑滓の量が多い時には、出銑口の口径拡大を促進して出銑滓速度を早め、貯銑滓レベルの上昇を防いで安定操業を維持することが可能となる。これにより、従来の高炉出銑口用閉塞材では達成することができなかった長時間出銑と安定操業の両立が可能となり、長時間出銑による原単位低減効果に加え、安全且つ安定した操業を維持することにより作業負荷の軽減、生産性の大幅な向上を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭化珪素の平均粒径と高炉出銑口用閉塞材の耐溶銑性及び耐スラグ性を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 慣用の耐火材料と結合材とからなる配合物であって、粒径20μm以下の耐火材料が耐火材料の20〜60質量%の範囲内にあり、且つ粒径20μm以下の耐火材料の化学組成の内、SiCが5〜80質量%、Al23とSiO2の合計量が3〜35質量%の範囲内にあることを特徴とする高炉出銑口用閉塞材。
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