JP3854053B2 - 赤外リモコン用led - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガリウム砒素などの発光層材料を用いたLEDに関し、特に赤外リモコン用LEDに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リモコンで用いられている赤外LEDとして、特開昭56−24987号があり、その後、この技術による構造を改善して、発光表面に凹凸を形成して発光効率を高めたり(特開平10−200156号参照)、光取り出し面の形状を工夫して、発光効率を高める技術が提案されているが(特開平11−251639号参照)、いまだ満足し得る程度に発光効率を十分に上げることができず、応答速度が不十分である。
【0003】
従来のLEDの構成を図9にて説明する。同図において、11はガリウム砒素(GaAs)基板であり、このGaAs基板11の上に一導電型半導体層12と逆導電型半導体層13とを順次積層し、さらに逆導電型半導体層13の上に逆導電型半導体オーミック電極14を形成し、GaAs基板11の裏面に一導電型半導体オーミック電極15を形成する。
【0004】
一導電型半導体層12と逆導電型半導体層13は主にLPEによって成長させる。この成長方法によれば、GaAsの成膜に際しシリコン(Si)を不純物としてドーピングする場合、高温下でGa格子に入ってドナーとなり、低温下ではAs格子に入ってアクセプタとなる性質を利用したもので、非常に簡単に作製することができるが、その反面、発光層へのキャリアの閉じ込めという点で不十分であり、これによって発光効率を高めることができない。また、この場合の発光波長は940nm付近となる。
【0005】
そして、このようなLEDでは、逆導電型半導体オーミック電極14と一導電型半導体オーミック電極15との間に電圧を印加し、電流を流すことによって、発光ダイオードとして発光させる。
【0006】
かかるLEDを基本構成とするが、実際には1枚のGaAs基板にLED素子を単位として、それらを複数個設け、その際に各LED素子として逆導電型半導体オーミック電極14と一導電型半導体オーミック電極15とを形成する。その後にダイシング等の方法で切断し、これによって、各素子が分離される。そして、これら各LED素子に対しダイボンディング、ワイヤーボンディング、エポキシ樹脂のコートなどを行なって、LEDとする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、低消費電力型LED、特に低駆動電圧型LEDの需要が高まっており、それを用いて赤外リモコン用LEDとする場合には、電源の電圧を下げることで消費電力が小さくなるが、このような駆動電圧を低減するためには次の技術が提案されている。
【0008】
すなわち、発光ダイオードの駆動電圧は駆動させる電流値、素子抵抗ならびに発光ダイオードのしきい値によって決まるが、駆動させる電流値を小さくするためには、LEDの発光効率を上げればよく、これによって必要な出力を得るために要する電流を少なくすることができる。
【0009】
素子抵抗に関しては、主に素子が保有する抵抗と、電極とのオーミック抵抗とによって決定されるので、駆動電圧を小さくするために、それぞれの抵抗を小さくすればよい。しかし、近年一般的に使用されている材料においては顕著な差が生じるまでには至っていない。
【0010】
ダイオードのしきい値については、クラッド層を含めた発光層のバンドギャップでもって決められ、駆動電圧を小さくするために発光層は可能な限りバンドギャップを小さくした方がよい。そのために、赤外リモコン用LEDの場合には、GaAsを発光層に用いるよりもバンドギャップの小さいInGaAsといった材料を用いる方が有利である。
【0011】
しかしながら、InGaAsと、通常、クラッド層に用いるAlGaAsとの間には格子定数に差があるため、そのまま成長させた場合には、良好な結晶を得ることはできず、そのために、現在の赤外リモコン用LEDのすべてはGaAsを用いており、これによって940nm付近の波長の発光を用いている。
【0012】
本発明者は上記事情に鑑みて鋭意研究に努めた結果、一導電型半導体層と逆導電型半導体層との積層において、この逆導電型半導体層を成す発光層をInGaAs/GaAs歪超格子構造にして、このInGaAs/GaAs歪超格子層でもって発光波長を950〜1050nmに設定することで、発光効率が向上し、素子抵抗が低減し、ダイオードのしきい値が低減し、これによって駆動電圧が大幅に低減することを見出した。
【0013】
したがって、本発明は上記知見により完成されたものであり、その目的は低消費電力化を達成し、さらに応答性を高め、従来のリモコンより情報伝達力を高めた赤外リモコン用LEDを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の赤外リモコン用LEDは、基板上に一導電型半導体層と発光層を含む逆導電型半導体層と逆導電型半導体オーミック電極とを順次成膜し、前記一導電型半導体層の一部およびその上の前記逆導電型半導体層をエッチング除去して段差部を設けるとともに、この段差部の露出面に一導電型半導体オーミック電極を形成し、前記一導電型半導体層内の前記露出面より下側にAlGaAs/GaAsブラッグ反射層を挿入し、前記逆導電型半導体層の前記発光層をInGaAs層およびGaAs層の膜厚がそれぞれ50Å〜300Åであり、InxGa1−xAsのInの組成x=0.15〜0.3であり、層数がそれぞれ5〜15層であるInGaAs/GaAs歪超格子構造にして、発光波長を950〜1050nmに設定せしめたことを特徴とする。
【0019】
以下、本発明の赤外リモコン用LEDを図6により説明し、また、赤外リモコン用LEDの参考図として図1、図2、図4および図5を示した。なお、これら図1、図2、図4、図5、図6はいずれも赤外リモコン用LEDの断面図である。
【0020】
(例1)
図1に示す赤外リモコン用LED(A)において、1は基板であり、この基板1の上に一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3とを順次積層し、逆導電型半導体層3の上に逆導電型半導体オーミック電極4を形成している。また、基板1の裏面に一導電型半導体オーミック電極5を形成している。
【0021】
本発明においては、さらに逆導電型半導体層3を成す発光層をInGaAs/GaAs歪超格子構造6にする。
【0022】
基板1はガリウム砒素(GaAs)、シリコン(Si)などの単結晶絶縁基板もしくは単結晶半導体基板から成る。単結晶半導体基板の場合、(100)面を<011>方向に2〜7°オフさせた基板などが用いられる。
【0023】
一導電型半導体層2はバッファ層2aと電子注入層2cとを順次積層した構成である。
【0024】
バッファ層2aはガリウム砒素などで形成され、電子注入層2cはアルミニウムガリウム砒素などで形成される。
【0025】
バッファ層2aの厚みは約0.5〜4μm程度に、電子注入層2cの厚みは約0.2〜1μm程度にすればよい。
【0026】
バッファ層2aおよび電子注入層2cはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1018atoms/cm3程度含有する。また、電子注入層2bのAlの組成はAlxGa1−xAsにてx=0.1〜0.5程度に形成する。
【0027】
逆導電型半導体層3は、発光層3a、クラッド層3bおよびオーミックコンタクト層3cを順次形成することで構成される。
【0028】
発光層3aはInGaAs/GaAs歪超格子構造6である。この歪超格子は膜厚がそれぞれ50Å〜300Åであり、インジウムガリウム砒素のInの組成はx=0.15〜0.3、層数はそれぞれが5〜15層である。また、発光効率を向上させるためにGaAs層にAlAsを混晶させてもよい。発光波長はInGaAsの膜厚とInGaAsのIn組成で決まり、発光波長950〜1050nmとするようにする。
【0029】
たとえば、x=0.3、InGaAsの膜厚:30Å、超格子GaAsの膜厚:100Åに設定することで、波長918nmが得られる。
【0030】
また、x=0.3、InGaAsの膜厚:40Å、超格子GaAsの膜厚:100Åに設定することで、波長945nmが得られる。
【0031】
さらにまた、x=0.3、InGaAsの膜厚:50Å、超格子GaAsの膜厚:100Åに設定することで、波長976nmが得られる。
【0032】
このように発光波長を950〜1050nmの範囲に規定するのは、下記の理由による。
【0033】
発光ダイオードのしきい値を下げるために発光波長は、できるだけ長くした方がよいが、その反面、長くなるとシリコンフォトダイオードの受光感度が小さくなる。ダイオードのしきい値については、クラッド層を含めた発光層のバンドギャップでもって決められ、駆動電圧を小さくするために発光層は可能な限りバンドギャップが小さくした方がよい。そのために、赤外リモコン用LEDの場合には、受光素子の効率が低下しない範囲内で、発光波長を長くした方がよく、本発明においては、発光波長として950〜1050nmが最適であることを繰り返し行なった実験により確認した。
【0034】
クラッド層3bは、電子の閉じ込め効果と光の取り出し効果とを考慮してアルミニウム砒素(AlAs)とガリウム砒素(GaAs)との混晶とされる。
【0035】
発光層3aとクラッド層3bとは亜鉛(Zn)などの逆導電型半導体不純物を1×1016〜1018atoms/cm3程度含有し、オーミックコンタクト層3cは亜鉛などの逆導電型半導体不純物を1×1019〜1020atoms/cm3程度含有する。
【0036】
オーミックコンタクト層3cはガリウム砒素などから成る。
【0037】
クラッド層3bは0.2〜2μm程度の厚みに形成し、オーミックコンタクト層3cは0.01〜0.1μm程度の厚みに形成するとよい。
【0038】
逆導電型半導体オーミック電極4と一導電型半導体オーミック電極5は金、金ゲルマニウム合金などから成り、厚み1μm程度に形成される。
【0039】
かくして本発明の赤外リモコン用LED(A)によれば、逆導電型半導体層3の発光層3aをInGaAs/GaAs歪超格子構造6にしたことで、発光波長950〜1050nmとしている。これにより、InGaAs/GaAs歪超格子構造6の発光層を用いることで、有効なキャリアが井戸層であるInGaAs層に閉じ込められ、発光効率が増し、そして、発光強度が上がり、さらに発光波長を950〜1050nmにすることで、発光層のバンドギャップを小さくすることができ、ダイオードのしきい値を低減させることができた。よって、発光効率が向上し、発光強度が上がり、さらに素子抵抗が低減し、しかも、ダイオードのしきい値が低減し、その結果、駆動電圧が低減した赤外リモコン用LEDとなる。
【0040】
本発明者が行なった実験によれば、従来の赤外リモコンLEDにおいては、500mA程度のパルス電流で駆動させており、駆動電圧としては2V以上になっているが、これに対する本例の赤外リモコンLEDにおいては、発光効率が向上したことで、100mA駆動で同等程度の出力を得られ、これによって1.5V以下で駆動させることができた。
【0041】
(例2)
本例の赤外リモコン用LED(B)においては、(例1)の赤外リモコン用LED(A)に対し、バッファ層2aと電子注入層2cとの間に、AlGaAs/GaAsブラッグ反射層7を介在させている。その他の構成は赤外リモコン用LED(A)と同じである。
【0042】
このAlGaAs/GaAsブラッグ反射層7は屈折率の異なるAlGaAsとGaAsを1/4波長の光学的厚さでもって交互に積み重ね、反射鏡として用いるものであり、発光層3aから基板1側へ放射される光を、光取出し側に反射する役目を担っている。
【0043】
このAlGaAs/GaAsブラッグ反射層7は、層数がそれぞれ3〜15層であり、AlGaAsのAlの組成はAlxGa1−xAsにてx=0.5〜0.9程度、望ましくは0.5〜0.7程度に形成するとよい。このようにAl組成を下げることによって、反射層7の抵抗が非常に小さくなる。
【0044】
かくして本発明の赤外リモコン用LED(B)によれば、一導電型半導体層2の内部にAlGaAs/GaAsブラッグ反射層7を設けたことで、裏面に向かった光を反射させ、これによって発光効率がさらに向上し、発光強度が上がったことで駆動電圧を一段と下げることができ、そして、駆動電圧をさらに低減させることができた。
【0045】
本発明者は前述した赤外リモコン用LED(A)と赤外リモコン用LED(B)とを対比したところ、図3に示すような結果が得られた。ブラッグ反射層7の有無における駆動電流−発光強度の関係を示す。
【0046】
この結果から明らかなとおり、ブラッグ反射層7を設けることで発光強度が1.7倍になった。反射層7を入れることによる抵抗増による駆動電圧の増加以上に、このように発光強度で1.7倍になったことによる駆動電圧の低減の効果が大きくなり、駆動電圧を低減することができた。
【0047】
(例3)
本例の赤外リモコン用LED(C)においては、(例2)の赤外リモコン用LED(B)に対し、一導電型半導体層2の一部を露出するようにエッチング除去し(このエッチング処理を行なうと、その上の逆導電型半導体層3もエッチングすることになる)、これによって段差部を設けるとともに、この段差部の露出面に一導電型半導体オーミック電極5を形成している。
【0048】
また、この場合には一導電型半導体層2とオーミックな接合状態を取らないといけないので、一導電型半導体層2中にオーミックコンタクト層2bを入れてこの層を露出するようにエッチングを行ない、この段差部の露出面に一導電型半導体オーミック電極5を形成する。よって、赤外リモコン用LED(C)においては、一導電型半導体層2は、バッファ層2a、オーミックコンタクト層2b、電子注入層2cを順次積層した構成である。
【0049】
なお、図2に示す赤外リモコン用LED(B)と同一箇所には同一符号を付す。
【0050】
オーミックコンタクト層2bはガリウム砒素などからなり、0.5〜4μm程度の厚みである。
【0051】
また、バッファ層2a、電子注入層2cはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1018atoms/cm3程度含有するのに対し、オーミックコンタクト層2bはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1019atoms/cm3程度含有させるとよい。
【0052】
かくして赤外リモコン用LED(C)によれば、上記構成のように一導電型半導体層2の一部をエッチング除去して段差部を設けるとともに、この段差部の露出面に一導電型半導体オーミック電極5を形成したことで、基板1と一導電型半導体層2との界面付近を電流が流れなくなり、オーミックコンタクト層とバッファ層を流れる。これによって素子抵抗が低下し、その結果、駆動電圧を低減させることができた。
【0053】
本発明者は、従来の赤外リモコン用LEDで2.8Ω(300μm□)あったものが、赤外リモコン用LED(C)では2.5Ωにまで抵抗を減らすことができた。
【0054】
(例4)
本例の赤外リモコン用LED(D)においては、一導電型半導体層2は、バッファ層2a、オーミックコンタクト層2b、AlGaAs/GaAsブラッグ反射層7、電子注入層2cを順次積層した構成である。
【0055】
オーミックコンタクト層2bはガリウム砒素などからなり、0.5〜4μm程度の厚みである。
【0056】
また、バッファ層2a、AlGaAs/GaAsブラッグ反射層7、電子注入層2cはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1018atoms/cm3程度含有するのに対し、オーミックコンタクト層2bはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1019atoms/cm3程度含有させるとよい。
【0057】
この例では、オーミックコンタクト層2bと電子注入層2cとの間にAlGaAs/GaAsブラッグ反射層7を配置している。
【0058】
かくして赤外リモコン用LED(D)によれば、上記構成のように、一導電型半導体層2の一部をエッチング除去して段差部を設けるとともに、この段差部の露出面に一導電型半導体オーミック電極5を形成したことで、基板1と一導電型半導体層2との界面付近を電流が流れなくなり、これによって素子抵抗が低下し、その結果、駆動電圧を低減させることができた。しかも、反射層7を導入したことによって、発光強度が増加し、さらに駆動電圧を下げることができた。
【0059】
本発明者は、例2による作用効果と同様の結果が得られ、発光強度の増加により、さらに駆動電圧を減らすことができた。
【0060】
(例5)
上記の赤外リモコン用LED(D)においては、一導電型半導体層2は、バッファ層2a、オーミックコンタクト層2b、AlGaAs/GaAsブラッグ反射層7、電子注入層2cを順次積層した構成であるが、本例の赤外リモコン用LED(E)においては、そのような積層順序に代えて、一導電型半導体層2は、バッファ層2a、AlGaAs/GaAsブラッグ反射層7、オーミックコンタクト層2b、電子注入層2cを順次積層し、これによって、段差部の露出面より下側にAlGaAs/GaAs反射層7を配した構成とする。
【0061】
このような赤外リモコン用LED(E)によれば、電流はオーミックコンタクト層2bだけを流れて、電子注入層2cに到達することになり、これによって逆導電型半導体オーミック電極4と一導電型半導体オーミック電極5との間にて電流の経路を大きくしたことでもって発光させたことで、素子抵抗を顕著に低下させ、駆動電圧を低減させることができた。
【0062】
本発明者が行なった実験によれば、発光強度で(例4)と同程度にまで向上した上に、素子抵抗で例3の素子抵抗と同程度まで抵抗を減らすことができた。
【0063】
また、本発明者は、従来の赤外リモコン用LEDと本発明の赤外リモコン用LED(E)とについて、発光強度および電流−電圧曲線を測定したところ、図7と図8に示すような結果が得られた。
【0064】
図7は電流と発光強度との関係を示す。図8は電流−電圧曲線を示す。図7に示す結果から明らかなとおり、本発明の赤外リモコン用LED(E)においては、従来の赤外リモコン用LEDに比べ、超格子構造および反射層によって発光強度が高められている。これは、超格子構造により発光強度が約1.5倍になり、反射層によって発光強度が約1.7倍になったためである。
【0065】
また、図8に示す電流−電圧曲線に関しては、超格子構造を用いて、発光波長を950nmより長くすることにより、しきい値を小さくし、一導電型半導体層2の一部を露出するようにエッチング除去し、この露出部に一導電型半導体オーミック電極5を接続するようにしたことで、駆動電圧で約0.1V(100mAで比較)低下させることができた。
【0066】
[赤外リモコン用LED(C)、(D)および(E)の作製方法]
大きな基板1の上に一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3から成る島状半導体層を複数形成し、各逆導電型半導体層3の一部をエッチングし、これによって一導電型半導体層2の一部をエッチング除去して段差部を設けるとともに、この段差部の露出面に一導電型半導体オーミック電極5を接続形成し、さらに各逆導電型半導体層3の上に逆導電型半導体オーミック電極4に接続形成する。
【0067】
上記のエッチングは硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウェットエッチングやCCl2F2ガスを用いたドライエッチングなどがある。
【0068】
また、上記の一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3から成る島状半導体層は、MOCVD法にて順次積層して形成するとよい。
【0069】
図9に示す従来の赤外リモコン用LEDについては、ほとんどがLPC法にて作製されているが、この成膜方法により得られた赤外LEDはキャリアの拡散距離が長くなり、そのために応答性に劣っていた。
【0070】
これに対し、本発明においては、MOCVD法にて成膜形成することで、キャリアの拡散距離が短くなり、これによって応答性に優れ、赤外LEDに適している。本例では、MOCVD法にて作製している。
【0071】
以下、MOCVD法を詳述する。
【0072】
これら一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3を形成するには、基板温度を400〜500℃に設定し、アモルファス状のガリウム砒素膜を200〜2000Åの厚みにて形成し、その後、基板温度を600〜900℃にまで上げることで得られる。
【0073】
このMOCVD法を使用するには、原料ガスとしてはTMG((CH3)3Ga)、TEG((C2H5)3Ga)、アルシン(AsH3)、TMA((CH3)3Al)、TEA((C2H5)3Al)などが用いられる。
【0074】
導電型を制御するためのガスとしては、シラン(SiH4)、セレン化水素(H2Se)、TMZ((CH3)3Zn)などが用いられ、キャリアガスとしては、H2などがある。
【0075】
また、一導電型半導体オーミック電極5と逆導電型半導体オーミック電極4は、Au、AuGeなどを蒸着法やスパッタリング法で形成してパターニングする。
【0076】
その後、各LED素子ごとにダイシング等の方法にて切断し、分離する。そして、各LED素子に対しダイボンディング、ワイヤーボンディング、エポエシ樹脂のコートを行なうことで、赤外リモコン用LEDとなる。
【0077】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の赤外リモコン用LEDによれば、基板上に一導電型半導体層と発光層を含む逆導電型半導体層を形成し、この逆導電型半導体層を成す発光層をInGaAs層およびGaAs層の膜厚がそれぞれ50Å〜300Åであり、InxGa1−xAsのInの組成x=0.15〜0.3であり、層数がそれぞれ5〜15層であるInGaAs/GaAs歪超格子構造にして、発光波長を950〜1050nmに設定せしめたことで、発光効率が向上し、素子抵抗が低減し、ダイオードのしきい値が低減し、これによって駆動電圧が大幅に低減し、さらに応答性を高め、その結果、情報伝達力を高めた高性能な赤外リモコン用LEDが提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 赤外リモコン用LEDの断面図である。
【図2】 他の赤外リモコン用LEDの断面図である。
【図3】 電流値と発光強度との関係を示す線図である。
【図4】 さらに他の赤外リモコン用LEDの断面図である。
【図5】 他の赤外リモコン用LEDの断面図である。
【図6】 本発明の赤外リモコン用LEDの断面図である。
【図7】 電流値と発光強度との関係を示す線図である。
【図8】 電流―電圧との関係を示す線図である。
【図9】 従来の赤外リモコン用LEDの断面図である。
【符号の説明】
1・・・基板、2・・・一導電型半導体層、3・・・逆導電型半導体層、4・・・逆導電型半導体オーミック電極、5・・・一導電型半導体オーミック電極、6・・・InGaAs/GaAs歪超格子、7・・・AlGaAs/GaAsブラッグ反射層
Claims (1)
- 基板上に一導電型半導体層と発光層を含む逆導電型半導体層と逆導電型半導体オーミック電極とを順次成膜し、前記一導電型半導体層の一部およびその上の前記逆導電型半導体層をエッチング除去して段差部を設けるとともに、この段差部の露出面に一導電型半導体オーミック電極を形成し、前記一導電型半導体層内の前記露出面より下側にAlGaAs/GaAsブラッグ反射層を挿入し、前記逆導電型半導体層の前記発光層をInGaAs層およびGaAs層の膜厚がそれぞれ50Å〜300Åであり、InxGa1−xAsのInの組成x=0.15〜0.3であり、層数がそれぞれ5〜15層であるInGaAs/GaAs歪超格子構造にして、発光波長を950〜1050nmに設定せしめたことを特徴とする赤外リモコン用LED。
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