JP3855444B2 - 内燃機関の還元剤供給装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関から排出される酸素過剰状態下の排気ガス中のNOxを浄化するための還元剤供給装置であって、さらには、この還元剤供給装置の詰まりを検出する異常検出に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸素過剰状態下の排気ガス中に含まれる酸化窒素(以下、NOx)を浄化するNOx触媒を機関排気通路内に備えた内燃機関の排気ガス浄化装置が知られている。NOx触媒は予め定められた温度範囲で高いNOx浄化率を示す。従って、NOx触媒は、その温度が上記予め定められた温度範囲にある時に、排気ガス中の還元剤(一般的には炭化水素即ちHCが用いられており、以下HCとする)によりNOxを窒素へ還元してNOxを浄化する。即ち、高いNOx浄化率を確保するには、排気ガス中のHC濃度をNOx量及び排気ガス温度に応じた最適な濃度にすることが好ましい。例えば、特開平05−113116号公報には、排気ガス中のNOx濃度、触媒温度に応じて最適なHC濃度となるようにHC供給装置によってHCを排気ガス中に添加するHC供給装置およびHC供給制御が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、HCを供給し続けると、排気ガスの熱によりHC供給装置内の供給通路上に一部のHCが固体化(即ち、デポジットが堆積する)してHC添加壁面に付着し、しいてはHC供給装置内の通路を詰まらせるという問題があった。そこで、HC供給装置内の通路の何れかで詰まりが発生したかを検出するため、実際に排気管中に所望のHCが噴射されたか否かを検出することが望まれていた。しかし、この供給されたHCは排気管内で排気ガスと混合されており、HC量を正確に検出することができなかった。
従って、本発明の目的は、HCが液体から気体になったときに生じる吸熱作用を利用して添加されたHC量を推定することで、HC添加装置の詰まりを検出する異常検出装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1によれば、内燃機関の排気管に酸素過剰雰囲気の還元剤存在下でNOxを還元するリーンNOx触媒及び該触媒に流入する排気ガスに還元剤を供給する還元剤供給装置を備え、該還元剤供給装置は液体状の還元剤を供給する供給通路と該通路から供給された液体状の還元剤を排気管内に噴射する噴射手段からなる内燃機関の還元剤供給装置において、前記噴射手段下流側の排気管内に温度センサを設け、該温度センサから検出された温度に応じて還元剤供給装置の詰まり度合いを検出する。
上記発明により、還元剤供給装置内の液体状の還元剤が排気ガス中に添加される時、この液体から気体になる時に生じる吸熱作用で生じた排気ガス温度変化を検出し、この変化量から還元剤供給装置内の詰まり度合いを検出する。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、1は機関本体、2はピストン、3は燃焼室、4は点火栓、5は吸気弁、6は吸気ポート、7は排気弁、8は排気ポートを夫々示す。吸気ポート6は対応するインテークマニホルド9を介してサージタンク10に連結され、各インテークマニホルド9には夫々吸気ポート6内に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁11が取り付けられる。サージタンク10は吸気ダクト12を介してエアクリーナ13に連結され、吸気ダクト12内にはスロットル弁14が配置される。一方、排気ポート8はエキゾーストマニホルド15及び排気管16を介してリーンNOx触媒17を内蔵したケーシング18に接続される。ここで、リーンNOx触媒17とは、遷移金属あるいは貴金属を担持せしめたゼオライトからなり、酸化雰囲気中、HCの存在下で排気ガス中のNOxを還元する選択還元型NOx触媒、又はアルミナ担体上にアルカリ金属、アルカリ土類、希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金のような貴金属とが担持され、酸素過剰下でNOxを吸収し、酸素低下時吸収されたNOxを放出して排気ガス中のHCと還元させる吸蔵還元型NOx触媒等が考えられる。このリーンNOx触媒17の上流側の排気管16には還元剤供給装置であるHC供給弁19が設けられている。さらに、HC供給弁19へ液状のHCを供給する通路30、31及び三方弁33が設けられ、液状のHCはHC供給弁19内のノズルによって気化されて排気管16の排気ガス中へ噴射添加される。尚、HCは図示しない燃料タンクからポンプによって通路30へ供給され、三方弁33によって必要な量のみ通路31へ供給し残りは通路32によって燃料タンクへリターンされる。ここで、このシステムでの還元剤即ちHCはディーゼルエンジンの場合軽油、ガソリンエンジン場合ガソリンとなるが、これに限られるものではなく、予めHCタンクを備えたシステムであってもよい。本明細書において『上流』および『下流』という用語は排気管16内を流れる排気ガスの流れに対するものであり、また本発明は、主にディーゼルエンジンまたはリーンバーンエンジンのような酸素を過剰に含む排気ガスを排出する内燃機関に適用される。
【0006】
電子制御ユニット40はデジタルコンピュータからなり双方向性バス41を介して相互に接続されたROM(リードオンメモリ)42、RAM(ランダムアクセスメモリ)43、CPU(マイクロプロセッサ)44、入力ポート45および出力ポート46を具備する。サージタンク10内にはサージタンク10内の絶対圧PMに比例した出力電圧を発生する圧力センサ28が取り付けられ、この圧力センサ28の出力電圧がAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。また、入力ポート45には機関本体1のクランクシャフトが例えば30度回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ30が接続される。CPU44ではこの出力パルスに基づいて機関本体1の機関回転数が算出される。更に、HC供給弁19の上流側には排気ガス温度に比例した出力電圧を発生する上流側温度センサ32が取り付けられ、この上流側温度センサ32の出力電圧はAD変換器48を介して入力ポート45に入力される。HC供給弁19の下流側にもHC供給弁19から噴射されたばかりのHC温度を加味した排気ガス温度に比例した出力電圧を発生する下流側温度センサ34が取り付けられ、この下流側温度センサ34の出力電圧はAD変換器49を介して入力ポート45に入力される。尚、下流側温度センサ34の位置は、HC供給弁19から噴射されたばかりのHC温度を加味した排気ガス温度を検出するためHC供給弁19の近傍且つHC噴射方向に設けている。一方、出力ポート46は駆動回路50を介してHC供給弁19から噴射されるHC量を制御するため、三方弁33の開度量を制御している。
【0007】
リーンNOx触媒17は予め定められた温度範囲内において予め定められた高いNOx浄化率を示す。触媒温度とNOx浄化率との関係を示した図2にあるように本実施形態における予め定められた温度範囲Wは、NOx浄化率が約35%以上となる下限温度値T1と上限温度値T2との間の範囲である。従って、本実施形態では予め定められた高いNOx浄化率を示す温度範囲Wとは約35%以上のNOx浄化率を示す温度範囲と定義される。しかしながら、これは本発明を限定するものではない。尚、図2において、最大NOx浄化率を示す触媒温度をTmとする。
【0008】
本実施形態では、リーンNOx触媒17の温度Tが予め定められた温度範囲Wの下限温度値T1と上限温度値T2との間の範囲内であるとき、HC供給弁19を開弁してHCを噴射するように三方弁33を制御する。このHC供給弁19の開弁時間は排気ガス中のNOx量が多い程大きくなるように設定される。排気ガス中のNOx量は、例えば、以下のようにして推定する。機関回転数Nが高くなる程機関から単位時間当たり排出される排気ガス量が増大するので機関回転数Nが高くなるにつれて機関から単位時間当たり排出されるNOx量を増大する。また、機関負荷が高くなる程、即ちサージタンク10内の絶対圧PMが高くなるほど各燃焼室3から排出される排気ガス量が増大し、しかも燃焼温度が高くなるので機関負荷が高くなるほど、即ちサージタンク10内の絶対圧PMが高くなるほど機関から単位時間当たり排出されるNOx量が増大する。図3は実験により求められた単位時間当たりに機関から排出されるNOx量と、サージタンク10内の絶対圧PM、機関回転数Nとの関係を示しており、図3において各曲線は同一NOx量を示している。図3に示されるように単位時間当たり機関から排出されるNOx量はサージタンク10内の絶対圧PMが高くなるほど多くなり、機関回転数Nが高くなるほど多くなる。尚、図3に示したNOx量は図4に示すようなマップの形で予めROM42内に記憶されている。
しかしながら、一回に供給するHCの量の上限はHCが還元作用をせずにリーンNOx触媒を通過してしまわない量に設定しておく。
【0009】
図5には本発明の実施形態に従ったHC供給制御のフローチャートを示している。ステップS10においては上記図3及び図4に基づいて現時点の排気ガス中のNOx量を推定している。次に、リーンNOx触媒17の温度Tsを検出し、ステップS12では上記温度範囲Wの上限温度値T2以下か否かを判断し、ステップS14では上記温度範囲Wの下限温度値T1以上か否かを判断する。この両判断ステップで上限温度値T2以下且つ下限温度値T1以上と判断した時にはステップS16に進み、この温度範囲以外ではHC供給制御を終了する。ステップS16に進んだ場合には、S10で推定されたNOx量を還元浄化させることができるHC量をHC供給弁19から排気管16内に噴射するようにHC供給弁を所定期間開弁させる。この開弁期間は三方弁33によって通路30と通路31とを連通する期間によって決定されるものであり、NOx量を還元浄化させることができるHC量を基に三方弁33は制御されている。そして、HC供給弁19からHCが噴射されている状態で別のルーチンAが作動される。尚、本実施形態ではHC供給弁19の上流側に備えられた上流側温度センサ32の温度値をリーンNOx触媒の温度Tsとしている。
【0010】
図6は本発明のポイントを示しており、第一の実施形態のHC供給弁19の異常検出のルーチンAを示している。まず、ステップS20において上流側温度センサ32によって排気ガス温度Tgを検出する。尚、温度センサを用いるのではなく内燃機関の運転状態から排気ガス温度を推定することもできる。次にステップS22に進んで、HC供給弁19の近傍且つHC噴射方向に設けられた下流側温度センサ34によってHC供給弁19から噴射されたばかりのHC温度を加味した排気ガス温度Thを検出する。そして、ステップS24では上記で検出したTgとThとの温度差(Tg−Th)が所定値B以上か否かを判断する。ここで、所定値Bは実験等によって予め定められた値であるが、さらにはHCの添加の量が多い程所定値Bを大きくするように変更してもよい。この判断ステップで温度差(Tg−Th)が所定値Bより大きな値であると判断されたときには、排気管16内にHCが正常に供給されたとして、この異常検出ルーチンAを終了する。なお、HCが正常に供給していると判断される理由は通路31及びHC供給弁19内では液状のHCであり、排気管16内にHCが噴射された瞬間にHCは液体から気体に変化し、この液体から気体になる時に周囲の熱を吸熱する気化熱によって周りの排気ガス温度が低下する。そして、HCの量が多い程排気ガス温度の低下量は多くなり、上記温度差を検出することによって排気管16内にHCが噴射された量を推定することができる。この判断ステップで温度差(Tg−Th)が所定値Bより小さな値であると判断されたときには、上記理由によって排気管16内に所望のHC量が供給されておらず、通路31及びHC供給弁19内で詰まり等が発生したと判断される。このときには、ステップS26に進んで三方弁33を制御してHCを通路31へ供給するのを停止するとともに、ステップS28によって運転手等にHC供給系の詰まり異常であることを表示する。
【0011】
図7は第二の実施形態として別のHC供給弁19の異常検出のルーチンAを示している。まず、ステップS30においてHC供給弁19の近傍且つHC噴射方向に設けられた下流側温度センサ34によってHC供給弁19から噴射していない時の排気ガス温度からHC供給弁19から噴射している時の排気ガス温度へ変化した変化量ΔThを検出する。ここで、下流側温度センサ34の位置は第一の実施形態と同様にHC供給弁19の近傍且つHC噴射方向に設けられている。次に、ステップS30で求められた変化量ΔTh(ここでΔThは絶対値)が所定値C以上か否かを判断している。ここで、所定値Cは実験等によって予め定められた値であるが、さらにはHCの添加の量が多い程所定値Cを大きくするように変更してもよい。この判断ステップで変化量ΔThが所定値Cより大きな値であると判断されたときには、排気管16内にHCが正常に供給されたとして、この異常検出ルーチンAを終了する。一方、所定値C以下であれば第一の実施形態と同様な理由によって排気管16内に所望のHC量が供給されておらず、通路31及びHC供給弁19内で詰まり等が発生したと判断される。このときには、ステップS34に進んで三方弁33を制御してHCを通路31へ供給するのを停止し、ステップS36へ進む。第二の実施形態では予めHC供給弁19内のノズル内又は通路31内に付着したデポジットを燃焼除去する加熱ヒータが埋め込まれており、ステップS36では所定期間加熱ヒータを作動させてデポジット等の詰まりを除去する。ステップS36で所定期間加熱した後、HC供給弁19を開弁するように三方弁33を制御する。そして、再度ステップS30に戻って異常判定を行う。
尚、本実施形態のHC供給制御は第一の実施形態と同様である。
【0012】
上記異常判定により、この液体から気体になる時に吸熱する気化熱を検出することで排気管16内の排気ガスに添加されたHC量を推定でき、HC供給弁19及び通路31の詰まり度合いを精度良く且つ容易に検出することができる。さらに、第二の実施形態では詰まりを検出したら加熱除去手段を備えているので、最小限の加熱エネルギで長期間HC添加を作動させることができる。
【0013】
【発明の効果】
本発明では、還元剤が液体から気体になる時に吸熱する気化熱を検出することで排気ガスに添加された還元剤量を推定でき、還元剤添加装置内のの詰まり度合いを精度良く且つ容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の排気ガス浄化装置を備えた内燃機関を示す図である。
【図2】触媒温度とHCおよびNOxの浄化率との関係を示した図である。
【図3】機関本体から排出されるNOx量を示す図である。
【図4】機関本体から排出されるNOx量を推定するためのマップを示す図である。
【図5】HC供給制御を示すフローチャートである。
【図6】第一実施形態のHC供給異常検出を示すフローチャートである。
【図7】第二実施形態のHC供給異常検出を示すフローチャートである。
【符号の説明】
17…NOx触媒
19…HC供給弁
32…上流側温度センサ
34…下流側温度センサ
30、31…通路
32…リターン通路
33…三方弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関から排出される酸素過剰状態下の排気ガス中のNOxを浄化するための還元剤供給装置であって、さらには、この還元剤供給装置の詰まりを検出する異常検出に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸素過剰状態下の排気ガス中に含まれる酸化窒素(以下、NOx)を浄化するNOx触媒を機関排気通路内に備えた内燃機関の排気ガス浄化装置が知られている。NOx触媒は予め定められた温度範囲で高いNOx浄化率を示す。従って、NOx触媒は、その温度が上記予め定められた温度範囲にある時に、排気ガス中の還元剤(一般的には炭化水素即ちHCが用いられており、以下HCとする)によりNOxを窒素へ還元してNOxを浄化する。即ち、高いNOx浄化率を確保するには、排気ガス中のHC濃度をNOx量及び排気ガス温度に応じた最適な濃度にすることが好ましい。例えば、特開平05−113116号公報には、排気ガス中のNOx濃度、触媒温度に応じて最適なHC濃度となるようにHC供給装置によってHCを排気ガス中に添加するHC供給装置およびHC供給制御が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、HCを供給し続けると、排気ガスの熱によりHC供給装置内の供給通路上に一部のHCが固体化(即ち、デポジットが堆積する)してHC添加壁面に付着し、しいてはHC供給装置内の通路を詰まらせるという問題があった。そこで、HC供給装置内の通路の何れかで詰まりが発生したかを検出するため、実際に排気管中に所望のHCが噴射されたか否かを検出することが望まれていた。しかし、この供給されたHCは排気管内で排気ガスと混合されており、HC量を正確に検出することができなかった。
従って、本発明の目的は、HCが液体から気体になったときに生じる吸熱作用を利用して添加されたHC量を推定することで、HC添加装置の詰まりを検出する異常検出装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1によれば、内燃機関の排気管に酸素過剰雰囲気の還元剤存在下でNOxを還元するリーンNOx触媒及び該触媒に流入する排気ガスに還元剤を供給する還元剤供給装置を備え、該還元剤供給装置は液体状の還元剤を供給する供給通路と該通路から供給された液体状の還元剤を排気管内に噴射する噴射手段からなる内燃機関の還元剤供給装置において、前記噴射手段下流側の排気管内に温度センサを設け、該温度センサから検出された温度に応じて還元剤供給装置の詰まり度合いを検出する。
上記発明により、還元剤供給装置内の液体状の還元剤が排気ガス中に添加される時、この液体から気体になる時に生じる吸熱作用で生じた排気ガス温度変化を検出し、この変化量から還元剤供給装置内の詰まり度合いを検出する。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、1は機関本体、2はピストン、3は燃焼室、4は点火栓、5は吸気弁、6は吸気ポート、7は排気弁、8は排気ポートを夫々示す。吸気ポート6は対応するインテークマニホルド9を介してサージタンク10に連結され、各インテークマニホルド9には夫々吸気ポート6内に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁11が取り付けられる。サージタンク10は吸気ダクト12を介してエアクリーナ13に連結され、吸気ダクト12内にはスロットル弁14が配置される。一方、排気ポート8はエキゾーストマニホルド15及び排気管16を介してリーンNOx触媒17を内蔵したケーシング18に接続される。ここで、リーンNOx触媒17とは、遷移金属あるいは貴金属を担持せしめたゼオライトからなり、酸化雰囲気中、HCの存在下で排気ガス中のNOxを還元する選択還元型NOx触媒、又はアルミナ担体上にアルカリ金属、アルカリ土類、希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金のような貴金属とが担持され、酸素過剰下でNOxを吸収し、酸素低下時吸収されたNOxを放出して排気ガス中のHCと還元させる吸蔵還元型NOx触媒等が考えられる。このリーンNOx触媒17の上流側の排気管16には還元剤供給装置であるHC供給弁19が設けられている。さらに、HC供給弁19へ液状のHCを供給する通路30、31及び三方弁33が設けられ、液状のHCはHC供給弁19内のノズルによって気化されて排気管16の排気ガス中へ噴射添加される。尚、HCは図示しない燃料タンクからポンプによって通路30へ供給され、三方弁33によって必要な量のみ通路31へ供給し残りは通路32によって燃料タンクへリターンされる。ここで、このシステムでの還元剤即ちHCはディーゼルエンジンの場合軽油、ガソリンエンジン場合ガソリンとなるが、これに限られるものではなく、予めHCタンクを備えたシステムであってもよい。本明細書において『上流』および『下流』という用語は排気管16内を流れる排気ガスの流れに対するものであり、また本発明は、主にディーゼルエンジンまたはリーンバーンエンジンのような酸素を過剰に含む排気ガスを排出する内燃機関に適用される。
【0006】
電子制御ユニット40はデジタルコンピュータからなり双方向性バス41を介して相互に接続されたROM(リードオンメモリ)42、RAM(ランダムアクセスメモリ)43、CPU(マイクロプロセッサ)44、入力ポート45および出力ポート46を具備する。サージタンク10内にはサージタンク10内の絶対圧PMに比例した出力電圧を発生する圧力センサ28が取り付けられ、この圧力センサ28の出力電圧がAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。また、入力ポート45には機関本体1のクランクシャフトが例えば30度回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ30が接続される。CPU44ではこの出力パルスに基づいて機関本体1の機関回転数が算出される。更に、HC供給弁19の上流側には排気ガス温度に比例した出力電圧を発生する上流側温度センサ32が取り付けられ、この上流側温度センサ32の出力電圧はAD変換器48を介して入力ポート45に入力される。HC供給弁19の下流側にもHC供給弁19から噴射されたばかりのHC温度を加味した排気ガス温度に比例した出力電圧を発生する下流側温度センサ34が取り付けられ、この下流側温度センサ34の出力電圧はAD変換器49を介して入力ポート45に入力される。尚、下流側温度センサ34の位置は、HC供給弁19から噴射されたばかりのHC温度を加味した排気ガス温度を検出するためHC供給弁19の近傍且つHC噴射方向に設けている。一方、出力ポート46は駆動回路50を介してHC供給弁19から噴射されるHC量を制御するため、三方弁33の開度量を制御している。
【0007】
リーンNOx触媒17は予め定められた温度範囲内において予め定められた高いNOx浄化率を示す。触媒温度とNOx浄化率との関係を示した図2にあるように本実施形態における予め定められた温度範囲Wは、NOx浄化率が約35%以上となる下限温度値T1と上限温度値T2との間の範囲である。従って、本実施形態では予め定められた高いNOx浄化率を示す温度範囲Wとは約35%以上のNOx浄化率を示す温度範囲と定義される。しかしながら、これは本発明を限定するものではない。尚、図2において、最大NOx浄化率を示す触媒温度をTmとする。
【0008】
本実施形態では、リーンNOx触媒17の温度Tが予め定められた温度範囲Wの下限温度値T1と上限温度値T2との間の範囲内であるとき、HC供給弁19を開弁してHCを噴射するように三方弁33を制御する。このHC供給弁19の開弁時間は排気ガス中のNOx量が多い程大きくなるように設定される。排気ガス中のNOx量は、例えば、以下のようにして推定する。機関回転数Nが高くなる程機関から単位時間当たり排出される排気ガス量が増大するので機関回転数Nが高くなるにつれて機関から単位時間当たり排出されるNOx量を増大する。また、機関負荷が高くなる程、即ちサージタンク10内の絶対圧PMが高くなるほど各燃焼室3から排出される排気ガス量が増大し、しかも燃焼温度が高くなるので機関負荷が高くなるほど、即ちサージタンク10内の絶対圧PMが高くなるほど機関から単位時間当たり排出されるNOx量が増大する。図3は実験により求められた単位時間当たりに機関から排出されるNOx量と、サージタンク10内の絶対圧PM、機関回転数Nとの関係を示しており、図3において各曲線は同一NOx量を示している。図3に示されるように単位時間当たり機関から排出されるNOx量はサージタンク10内の絶対圧PMが高くなるほど多くなり、機関回転数Nが高くなるほど多くなる。尚、図3に示したNOx量は図4に示すようなマップの形で予めROM42内に記憶されている。
しかしながら、一回に供給するHCの量の上限はHCが還元作用をせずにリーンNOx触媒を通過してしまわない量に設定しておく。
【0009】
図5には本発明の実施形態に従ったHC供給制御のフローチャートを示している。ステップS10においては上記図3及び図4に基づいて現時点の排気ガス中のNOx量を推定している。次に、リーンNOx触媒17の温度Tsを検出し、ステップS12では上記温度範囲Wの上限温度値T2以下か否かを判断し、ステップS14では上記温度範囲Wの下限温度値T1以上か否かを判断する。この両判断ステップで上限温度値T2以下且つ下限温度値T1以上と判断した時にはステップS16に進み、この温度範囲以外ではHC供給制御を終了する。ステップS16に進んだ場合には、S10で推定されたNOx量を還元浄化させることができるHC量をHC供給弁19から排気管16内に噴射するようにHC供給弁を所定期間開弁させる。この開弁期間は三方弁33によって通路30と通路31とを連通する期間によって決定されるものであり、NOx量を還元浄化させることができるHC量を基に三方弁33は制御されている。そして、HC供給弁19からHCが噴射されている状態で別のルーチンAが作動される。尚、本実施形態ではHC供給弁19の上流側に備えられた上流側温度センサ32の温度値をリーンNOx触媒の温度Tsとしている。
【0010】
図6は本発明のポイントを示しており、第一の実施形態のHC供給弁19の異常検出のルーチンAを示している。まず、ステップS20において上流側温度センサ32によって排気ガス温度Tgを検出する。尚、温度センサを用いるのではなく内燃機関の運転状態から排気ガス温度を推定することもできる。次にステップS22に進んで、HC供給弁19の近傍且つHC噴射方向に設けられた下流側温度センサ34によってHC供給弁19から噴射されたばかりのHC温度を加味した排気ガス温度Thを検出する。そして、ステップS24では上記で検出したTgとThとの温度差(Tg−Th)が所定値B以上か否かを判断する。ここで、所定値Bは実験等によって予め定められた値であるが、さらにはHCの添加の量が多い程所定値Bを大きくするように変更してもよい。この判断ステップで温度差(Tg−Th)が所定値Bより大きな値であると判断されたときには、排気管16内にHCが正常に供給されたとして、この異常検出ルーチンAを終了する。なお、HCが正常に供給していると判断される理由は通路31及びHC供給弁19内では液状のHCであり、排気管16内にHCが噴射された瞬間にHCは液体から気体に変化し、この液体から気体になる時に周囲の熱を吸熱する気化熱によって周りの排気ガス温度が低下する。そして、HCの量が多い程排気ガス温度の低下量は多くなり、上記温度差を検出することによって排気管16内にHCが噴射された量を推定することができる。この判断ステップで温度差(Tg−Th)が所定値Bより小さな値であると判断されたときには、上記理由によって排気管16内に所望のHC量が供給されておらず、通路31及びHC供給弁19内で詰まり等が発生したと判断される。このときには、ステップS26に進んで三方弁33を制御してHCを通路31へ供給するのを停止するとともに、ステップS28によって運転手等にHC供給系の詰まり異常であることを表示する。
【0011】
図7は第二の実施形態として別のHC供給弁19の異常検出のルーチンAを示している。まず、ステップS30においてHC供給弁19の近傍且つHC噴射方向に設けられた下流側温度センサ34によってHC供給弁19から噴射していない時の排気ガス温度からHC供給弁19から噴射している時の排気ガス温度へ変化した変化量ΔThを検出する。ここで、下流側温度センサ34の位置は第一の実施形態と同様にHC供給弁19の近傍且つHC噴射方向に設けられている。次に、ステップS30で求められた変化量ΔTh(ここでΔThは絶対値)が所定値C以上か否かを判断している。ここで、所定値Cは実験等によって予め定められた値であるが、さらにはHCの添加の量が多い程所定値Cを大きくするように変更してもよい。この判断ステップで変化量ΔThが所定値Cより大きな値であると判断されたときには、排気管16内にHCが正常に供給されたとして、この異常検出ルーチンAを終了する。一方、所定値C以下であれば第一の実施形態と同様な理由によって排気管16内に所望のHC量が供給されておらず、通路31及びHC供給弁19内で詰まり等が発生したと判断される。このときには、ステップS34に進んで三方弁33を制御してHCを通路31へ供給するのを停止し、ステップS36へ進む。第二の実施形態では予めHC供給弁19内のノズル内又は通路31内に付着したデポジットを燃焼除去する加熱ヒータが埋め込まれており、ステップS36では所定期間加熱ヒータを作動させてデポジット等の詰まりを除去する。ステップS36で所定期間加熱した後、HC供給弁19を開弁するように三方弁33を制御する。そして、再度ステップS30に戻って異常判定を行う。
尚、本実施形態のHC供給制御は第一の実施形態と同様である。
【0012】
上記異常判定により、この液体から気体になる時に吸熱する気化熱を検出することで排気管16内の排気ガスに添加されたHC量を推定でき、HC供給弁19及び通路31の詰まり度合いを精度良く且つ容易に検出することができる。さらに、第二の実施形態では詰まりを検出したら加熱除去手段を備えているので、最小限の加熱エネルギで長期間HC添加を作動させることができる。
【0013】
【発明の効果】
本発明では、還元剤が液体から気体になる時に吸熱する気化熱を検出することで排気ガスに添加された還元剤量を推定でき、還元剤添加装置内のの詰まり度合いを精度良く且つ容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の排気ガス浄化装置を備えた内燃機関を示す図である。
【図2】触媒温度とHCおよびNOxの浄化率との関係を示した図である。
【図3】機関本体から排出されるNOx量を示す図である。
【図4】機関本体から排出されるNOx量を推定するためのマップを示す図である。
【図5】HC供給制御を示すフローチャートである。
【図6】第一実施形態のHC供給異常検出を示すフローチャートである。
【図7】第二実施形態のHC供給異常検出を示すフローチャートである。
【符号の説明】
17…NOx触媒
19…HC供給弁
32…上流側温度センサ
34…下流側温度センサ
30、31…通路
32…リターン通路
33…三方弁
Claims (1)
- 内燃機関の排気管に酸素過剰雰囲気の還元剤存在下でNOxを還元するリーンNOx触媒及び該触媒に流入する排気ガスに還元剤を供給する還元剤供給装置を備え、該還元剤供給装置は液体状の還元剤を供給する供給通路と該通路から供給された液体状の還元剤を排気管内に噴射する噴射手段からなる内燃機関の還元剤供給装置において、前記噴射手段下流側の排気管内に温度センサを設け、該温度センサから検出された温度に応じて還元剤供給装置の詰まり度合いを検出する詰まり検出手段を備えたことを特徴とする。
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