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JP3856513B2 - ガラス研磨用研磨材組成物 - Google Patents
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JP3856513B2 - ガラス研磨用研磨材組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス研磨用研磨材組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、高い研磨速度を長期にわたって初期のまま維持することができ、被加工物にピット、キズなどの表面欠陥がなく、被加工物や研磨機の洗浄性などの作業性に優れ、特に結晶化ガラス製ハードディスク基板及びガラス製ハードディスク基板の仕上げ研磨に好適に使用することができる、研磨品質に優れたガラス研磨用研磨材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガラス材料は様々な用途に広く利用されており、光学レンズ用ガラス基板や光学レンズなどにおいても鏡面となる表面精度が要求されているが、特に光ディスクや磁気ディスク用ガラス基板、薄膜トランジスタ(TFT)型LCDやねじれネマティック(TN)型LCDなどの液晶用ガラス基板、液晶TV用カラーフィルター、LSIフォトマスク用ガラス基板などにおいては、高精度な平坦度や表面粗さ及び無欠陥を要求されるため、より高精度な表面研磨が求められている。
特に、液晶用ガラス基板においては、後工程の熱処理温度が高いために高い耐熱性が求められており、また軽量化のため薄型化が進んでいる。磁気ディスク用ガラス基板においても、軽量化に伴う薄型化や高回転時のディスクのうねりに耐えうる機械特性、特に剛性が高いことなどの要求が年々厳しくなっている。
これらの薄型化や機械特性を満足するために、ガラスの化学組成や製法が改良され、ガラス基板としてアルミノシリケートを主成分とするものが液晶用や磁気ディスク用として用いられるようになってきた。また、特に磁気ディスク用ガラス基板としては、リチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス基板が開発され、実用化されようとしている。
これらのアルミノシリケートを主成分とするガラス基板やリチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス基板は、機械的強度、耐薬品性を満足させるために、従来の液晶用あるいは磁気ディスク用ガラス基板よりも硬質のものとなっている。
従来、ガラス基板の表面研磨に用いられている研磨材としては、酸化鉄や酸化ジルコニウム、あるいは二酸化ケイ素などに比べて研磨速度が数倍優れているという理由から、希土類酸化物、特に酸化セリウムを主成分とする研磨材が用いられており、砥粒を水などの液体に分散させて使用するのが一般的である。しかし、従来の酸化セリウム系研磨材は、上記のような硬質のガラス基板に対しては次のような問題がある。
すなわち、第一の問題は、加工速度が遅いことである。酸化セリウム研磨材の研磨機構については充分解明されているわけではないが、酸化セリウムの有するガラスに対するケミカルな効果と、酸化セリウム粒子そのものの硬さに起因するメカニカルな効果の複合効果により研磨加工が進行することは、現象論的ではあるが確認されている事実である。しかし、アルミノシリケートを主成分とするガラス基板やリチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス基板は、耐薬品性に優れているため研磨材の有するケミカルな効果が充分に発揮されがたい。また、被加工物が硬質であるために研磨材粒子の破砕が容易に起こり、ガラスに対するメカニカルな効果を長期に維持することができず、加工速度が短時間のうちに低下してしまう。
メカニカルな効果を長期にわたって維持するために、研磨材組成物中にアルミナやジルコニアなどの被加工物以上の硬度を有する粉末粒子を添加することも試みられているが、酸化セリウム粒子の濃度が相対的に低下するために、そのケミカルな効果が不足してしまうことと、被加工物表面にピットやキズなどの欠陥が発生しやすいので実用的ではない。
第二の問題は、研磨によって発生するガラス成分が循環使用している研磨材スラリー中で増加するため、このガラス成分が研磨の終了時にガラス表面に砥粒と共に残って再付着し、ガラス表面の洗浄性を悪化させることである。さらに、砥粒の沈殿が研磨機や配管内へ付着することによって、これらの洗浄性も低下し、砥粒交換やマシン洗浄などの作業性も著しく悪くなる。また、研磨パッドの目詰まりも引き起こし、研磨対象物の表面にキズを生じさせる原因となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い研磨速度を長期にわたって維持することができ、被加工物にピットやキズなどの表面欠陥を生ずるおそれがなく、被加工物や研磨機の洗浄性などの作業性に優れ、研磨品質に優れたガラス研磨用研磨材組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、酸化セリウムを含む希土類酸化物混合物を主成分とする研摩材に、アミノ酸及びアミンを配合することにより、被加工物の良好な表面状態を維持したまま研磨速度を高めることができ、しかも研磨材スラリーのpHが安定することを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)酸化セリウムを含む希土類酸化物混合物を主成分とする研磨材、アルギニン及びメラミンを含有することを特徴とするガラス研磨用研磨材組成物、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
アルギニンの含有量が0.3〜3.0重量%であり、メラミンの含有量が0.3〜3.0重量%である第(1)項記載のガラス研磨用研磨材組成物、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のガラス研磨用研磨材組成物に含有される酸化セリウムを含む希土類酸化物混合物を主成分とする研磨材としては、例えば、酸化セリウム含量が50重量%程度であるバストネサイト系、塩化希土系の低セリウム研磨材、酸化セリウム含量が70〜90重量%である合成系の高セリウム研磨材、酸化セリウム含量が99重量%以上の高純度酸化セリウムなどを挙げることができる。
バストネサイト系研磨材は、希土類元素のフッ化炭酸塩鉱物であるバストネス石を粉砕し、化学処理、乾燥、焙焼、粉砕、分級、仕上げの各工程を経て得られるものであり、酸化セリウムを約50重量%含むほかに、他の希土類元素がLaOF、NdOF、PrOFなどの塩基性フッ化物として共存する。塩化希土系研磨材は、塩化希土を水酸化物ケーキとし、乾燥したのち部分硫酸塩として焙焼し、粉砕、分級、仕上げにより得られるものであり、酸化セリウムを約50重量%含むほかに、他の希土類元素がLa23・SO3、Nd23・SO3、Pr511・SO3などの塩基性無水硫酸塩として共存する。
【0006】
合成系の高セリウム研磨材は、バストネス石などの原料を焙焼したのち硝酸を用いて溶解し、希アンモニア水でpHを調整しながら加熱してCe4+を加水分解して水酸化物とし、これをろ別、乾燥、焙焼、粉砕、分級、仕上げの各工程を経て製造するもので、酸化セリウム70〜90重量%を含有する。高純度の酸化セリウムは、例えば、リン酸塩による塩基性分別沈殿法、リン酸トリブチルによる溶媒抽出法などにより得ることができる。溶媒抽出法による高純度の酸化セリウムは、酸化希土を硝酸に溶解し、水溶液中に存在するCe4+をリン酸トリブチル−ベンゼンで抽出して有機相に移行させ、さらに亜硝酸ナトリウムのような還元剤を含む水相により逆抽出してシュウ酸セリウムとしたのち、焙焼することにより得られるもので、酸化セリウムの純度は通常99.9重量%以上に達する。
酸化セリウムは、その硬度がガラスの硬度と同等又は少し高めの5.5〜6.5であり、かつ微調節が可能であるので、ガラスの研磨材として好適に使用することができる。低セリウム研磨材も高セリウム研磨材も優れた研磨力を有するが、高セリウム研磨材には特に寿命が長いという特徴がある。
本発明の研磨材組成物に用いる酸化セリウムを含む希土類酸化物混合物を主成分とする研磨材の粒子径には特に制限はないが、一般にはJIS R 6002 6.電気抵抗試験方法によって測定した体積分布の累積値50%に相当する粒子径が0.5〜3.0μmの研磨材を好適に使用することができる。酸化セリウムの結晶系は、立方晶系であることが好ましい。
【0007】
本発明の研磨材組成物は、アミノ酸を含有する。含有するアミノ酸には特に制限はなく、例えば、酸性アミノ酸、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸、これらの金属塩、アミノ酸のアミノ基の水素原子の一部が、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシル基などにより置換された化合物などを使用することができる。ただし、研磨材スラリーが酸性になると、酸化セリウム自身が有するガラス研磨に対するケミカルな効果が低下して加工速度が低くなるため、酸性アミノ酸を使用する場合には、塩基性アミノ酸と併用することが好ましい。また、アミノ酸は、天然品、合成品のいずれも使用することができ、さらに、光学異性体を有するアミノ酸にあっては、D型、L型のいずれをも使用することができる。
本発明の研磨材組成物に使用することができるアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ジヨードチロシン、チロキシン、ヒドロキシリジン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸などを挙げることができる。これらの中で、グリシン及びアルギニンを特に好適に使用することができる。アミノ酸は、1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0008】
ガラス表面仕上げ研磨においては、研磨材スラリーは通常循環使用されるが、使用時間が長くなるにしたがって、被加工物であるガラス成分が削り取られ、循環使用している研磨材スラリー中のガラス成分が増加し、ガラス成分に起因するアルカリなどにより研磨材スラリーのpHが変化する。また、ガラス成分が研磨材粒子表面を覆うと、研磨材の沈殿が非常に硬いものとなるばかりでなく、被加工物であるガラス表面との親和性が高いため、再付着して被加工物であるガラスの洗浄性を悪化させる。また、研磨材スラリーのpHが変化することによって、研磨材粒子の分散媒中での分散性が変化し、研磨機各部などへ沈殿が付着しやすく、しかも沈殿が硬くなりやすい。本発明においては、ガラス研磨用研磨材組成物にアミノ酸を含有せしめることにより、研磨によって発生するガラス成分の反応性が低下し、研磨材粒子の表面がガラス成分で覆われることを防ぐことができる。また、アミノ酸には自己緩衝作用があり、研磨材スラリーのpHを長期にわたって一定に保つことができるため、研磨材の分散媒中での分散性の変化を防ぐことができる。その結果、硬い沈殿の生成による研磨機各部への付着を防止し、ひいては洗浄性の悪化を防止することができる。
本発明の研磨材組成物において、アミノ酸の含有量は0.3〜3.0重量%であることが好ましい。アミノ酸の含有量が0.3重量%未満であると、ガラス成分の反応性を抑制する効果と研磨材スラリーのpHを調整する効果が乏しくなるおそれがある。アミノ酸の含有量が3.0重量%を超えると、研磨速度が低下するおそれがある。
【0009】
本発明の研磨材組成物は、アミンを含有する。含有するアミンには特に制限はなく、例えば、メラミン、ヒドラジン及びその塩、エチレンジアミン類、エタノールアミン、アニリン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,2,3−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼンなどを挙げることができる。ヒドラジン及びその塩としては、例えば、ヒドラジン、その水化物、炭酸塩、酢酸塩、塩酸塩、硫酸塩などを挙げることができる。エチレンジアミン類としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどを挙げることができる。これらの中で、メラミンを特に好適に使用することができる。本発明組成物において、アミンは1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の研磨材組成物は、アミンを含有せしめることにより、研磨速度を向上することができる。アミンが有するアミノ基がアルカリとしてはたらき、ガラス表面に対してエッチャントとして作用することと、研磨材粒子の研磨パッドへの保持力を高めることによって、研磨材粒子が有効に研磨に寄与し、ガラスに対する研磨促進効果が発揮されるものと推定される。
本発明の研磨材組成物において、アミンの含有量は0.3〜3.0重量%であることが好ましい。アミンの含有量が0.3重量%未満であると、その研磨促進効果が充分に発揮されないおそれがある。アミンの含有量が3.0重量%を超えると、アミンの含有量の増大に見合った研磨速度の促進効果は得られないおそれがある。
【0010】
本発明の研磨材組成物の使用方法に特に制限はないが、従来の酸化セリウム系研磨材と同様に、一般に、水などの分散媒に分散させて濃度5〜30重量%程度のスラリー状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水又は水溶性有機溶媒と水の混合液を使用することができる。水溶性有機溶媒としては、例えば、一価アルコール、多価アルコール、アセトン、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。通常は、水を単独で分散媒として使用することが好ましい。さらに、本発明の研磨材組成物には、従来の酸化セリウム系研磨材に常用される助剤を添加することができる。
【0011】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
酸化セリウムを約50重量%含有するバストネサイト系研磨材[東北金属化学(株)、ROX H−1、体積分布の累積値50%に相当する粒子径1.8μm]に、アミノ酸としてL−アルギニン及びアミンとしてメラミンを添加し、L−アルギニン1.0重量%及びメラミン1.0重量%を含有するガラス研磨用研磨材組成物を調製した。
このガラス研磨用研磨材組成物を水に分散して、濃度20重量%のスラリー状研磨液を得た。このスラリー状研磨液を用い、リチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス及びアルミノシリケートを主成分とする平面パネル用ガラス各10枚を被加工物として、以下の条件で両面研磨を行った。
研磨機;4ウェイタイプ両面研磨機「スピードファム(株)、9B型」
被加工物;面積130cm3
研磨パッド;発泡ポリウレタンパッド[ローデス社、LP−77]
下定盤回転数;60rpm
スラリー供給量;100ml/分
加工圧力;200g/cm2
研磨時間;45分
リチウムシリケート系結晶化ガラス基板及びアルミノシリケート系ガラス基板各10枚のすべての加工物について、1枚当たり4点ずつ研磨前後の厚みをマイクロメーターを用いて測定し、それらの測定値を平均して研磨速度(μm/分)を測定した。また、加工物表面の欠陥の状態をピット、スクラッチについて微分干渉顕微鏡を用いて観察し、○:良好、△:普通、×:不良の3段階で評価した。○、△、×の順に欠陥が多くなることを示す。さらに、研磨前後のスラリー状研磨液のpHを測定した。
リチウムシリケート系結晶化ガラス基板について、研磨速度は2.0μm/分であり、表面状態は良好であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前後ともに10.5であり、変化はなかった。
アルミノシリケート系ガラス基板について、研磨速度は2.4μm/分であり、表面状態は良好であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前後ともに10.5であり、変化はなかった。
実施例2
L−アルギニンの含有量を0.5重量%、メラミンの含有量を1.0重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス研磨用研磨材組成物を調製した。
このガラス研磨用研磨材組成物を水に分散して、濃度20重量%のスラリー状研磨液とし、実施例1と同様にして、リチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス及びアルミノシリケートを主成分とする平面パネル用ガラスの両面研磨を行った。
リチウムシリケート系結晶化ガラス基板について、研磨速度は1.9μm/分であり、表面状態は良好であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前は10.3であり、研磨後は10.4であった。
アルミノシリケート系ガラス基板について、研磨速度は2.3μm/分であり、表面状態は良好であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前は10.3であり、研磨後は10.5であった。
実施例3
L−アルギニンの含有量を1.0重量%、メラミンの含有量を0.5重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス研磨用研磨材組成物を調製した。
このガラス研磨用研磨材組成物を水に分散して、濃度20重量%のスラリー状研磨液とし、実施例1と同様にして、リチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス及びアルミノシリケートを主成分とする平面パネル用ガラスの両面研磨を行った。
リチウムシリケート系結晶化ガラス基板について、研磨速度は1.8μm/分であり、表面状態は良好であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前後とも10.4であり、変化はなかった。
アルミノシリケート系ガラス基板について、研磨速度は2.1μm/分であり、表面状態は良好であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前後とも10.4であり、変化はなかった。
比較例1
アミノ酸及びアミンを添加することなく、酸化セリウムを約50重量%含有するバストネサイト系研磨材[東北金属化学(株)、ROX H−1]のみを水に分散して、濃度20重量%のスラリー状研磨液を得た。このスラリー状研磨液を用い、実施例1と同様にして、リチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス及びアルミノシリケートを主成分とする平面パネル用ガラスの両面研磨を行った。リチウムシリケート系結晶化ガラス基板について、研磨速度は1.2μm/分であり、表面状態は不良であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前は8.5であったが、研磨後は9.5に上昇していた。
アルミノシリケート系ガラス基板について、研磨速度は1.8μm/分であり、表面状態は不良であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前は8.5であったが、研磨後は9.8に上昇していた。
比較例2
メラミンの含有量を1.0重量%とし、L−アルギニンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてガラス研磨用研磨材組成物を調製した。
このガラス研磨用研磨材組成物を水に分散して、濃度20重量%のスラリー状研磨液とし、実施例1と同様にして、リチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス及びアルミノシリケートを主成分とする平面パネル用ガラスの両面研磨を行った。
リチウムシリケート系結晶化ガラス基板について、研磨速度は1.8μm/分であり、表面状態は普通であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前は9.0であったが、研磨後は9.5に上昇していた。
アルミノシリケート系ガラス基板について、研磨速度は2.2μm/分であり、表面状態は普通であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前は9.0であったが、研磨後は9.6に上昇していた。
比較例3
L−アルギニンの含有量を1.0重量%とし、メラミンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてガラス研磨用研磨材組成物を調製した。
このガラス研磨用研磨材組成物を水に分散して、濃度20重量%のスラリー状研磨液とし、実施例1と同様にして、リチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス及びアルミノシリケートを主成分とする平面パネル用ガラスの両面研磨を行った。
リチウムシリケート系結晶化ガラス基板について、研磨速度は1.5μm/分であり、表面状態は普通であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前後ともに10.6であり、変化はなかった。
アルミノシリケート系ガラス基板について、研磨速度は1.9μm/分であり、表面状態は普通であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前後ともに10.6であり、変化はなかった。
比較例4
酸化セリウムを約50重量%含有するバストネサイト系研磨材[東北金属化学(株)、ROX H−1]に、アミノ酸及びアミンの代わりにフッ化セリウムを添加し、フッ化セリウム1.0重量%を含有するガラス研磨用研磨材組成物を調製した。
このガラス研磨用研磨材組成物を水に分散して、濃度20重量%のスラリー状研磨液とし、実施例1と同様にして、リチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス及びアルミノシリケートを主成分とする平面パネル用ガラスの両面研磨を行った。
リチウムシリケート系結晶化ガラス基板について、研磨速度は1.5μm/分であり、表面状態は普通であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前は9.0であったが、研磨後は8.5に低下していた。
アルミノシリケート系ガラス基板について、研磨速度は1.8μm/分であり、表面状態は普通であった。スラリー状研磨液のpHは、研磨前は9.0であったが、研磨後は8.6に低下していた。
リチウムシリケート系結晶化ガラス基板についての結果を第1表に、アルミノシリケート系ガラス基板についての結果を第2表に示す。
【0012】
【表1】
Figure 0003856513
【0013】
【表2】
Figure 0003856513
【0014】
第1表及び第2表の結果から分かるように、L−アルギニン及びメラミンを含有する本発明のガラス研磨用研磨材組成物から調製したスラリー状研磨液を用いて研磨した実施例1〜3においては、リチウムシリケート系結晶化ガラス基板及びアルミノシリケート系ガラス基板のいずれについても、研磨速度が大きく、研磨後のガラス基板の表面状態が良好であり、研磨の前後において研磨液のpHの変動が少なく安定している。
これに対して、L−アルギニンもメラミンも含有しない酸化セリウムを含む希土類酸化物混合物を主成分とする研磨材のみから調製した研磨液を用いて研磨した比較例1においては、研磨速度が小さく、研磨後のガラス基板の表面状態が不良であり、研磨中に研磨液のpHが上昇して不安定である。
メラミンを1.0重量%含有しているが、L−アルギニンを含有しない研磨材組成物から調製した研磨液を用いて研磨した比較例2においては、研磨速度は大きいが、研磨後のガラス基板の表面状態は特に良好とは言えず、また、研磨中に研磨液のpHが上昇して不安定である。
L−アルギニンを1.0重量%含有しているが、メラミンを含有しない研磨材組成物から調製した研磨液を用いて研磨した比較例3においては、研磨速度が小さく、研磨後のガラス基板の表面状態は特に良好とは言えない。ただし、研磨液のpHは、研磨の前後において変動することなく安定している。
L−アルギニン及びメラミンの代わりにフッ化セリウム1.0重量%を含有する研磨材組成物から調製した研磨液を用いた比較例4においては、研磨速度が小さく、研磨後のガラス基板の表面状態は特に良好とは言えず、研磨中に研磨液のpHが低下して不安定である。
【0015】
【発明の効果】
本発明のガラス研磨用研磨材組成物は、アルミノシリケートを主成分とするガラス基板やリチウムシリケートを主成分とする結晶化ガラス基板などの硬質のガラス基板に対して、高い研磨速度を有し、かつ被加工物にピット、キズなどの表面欠陥がなく、研磨の進行に伴ってスラリーのpHが変化しないので硬い沈殿を生成することがない。

Claims (1)

  1. 酸化セリウムを含む希土類酸化物混合物を主成分とする研磨材、アルギニン及びメラミンを含有することを特徴とするガラス研磨用研磨材組成物。
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