JP3856592B2 - 電界放出陰極のエミッタ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電界放出陰極のエミッタ及びその製造方法に関し、特に、マイクロ真空管、マイクロウェーブ素子、超高速演算素子、放射線環境(宇宙、原子炉等)や高温環境での表示素子等に応用される微小冷陰極の一つである電界放出陰極に利用されるエミッタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電界放出陰極を用いた素子は、半導体素子と比較し、電子の移動度が大きく、高速、高温動作、放射損傷に強い。したがって今日、高輝度、低消費電力が要求される表示素子として利用されつつある。
【0003】
図11に、従来から用いられている電界放出陰極の一部分の構造の斜視図を示す。
電界放出陰極は、先端が尖ったエミッタティップ101と、エミッタティップに負電圧を与えるエミッタ電極102と、電子引出し用のゲート電極103とから構成される。図11に示すように、エミッタティップ101とゲート電極102との間に電圧を印加すると、エミッタティップの先端に大きな電界が加わり、電子放出が起こる。
【0004】
図12に、従来の電界放出陰極を用いた表示装置の概略構成図を示す。
陰極板109では、ガラス基板105上に、ストライプ状のエミッタ電極102が形成され、絶縁層104を介して、エミッタ電極102と直交する方向に、ゲート電極103が形成される。エミッタ電極102とゲート電極103の交差部分である画素106に、複数の電界放出陰極からなる微小陰極アレイ(FEA)が形成される。
上方の陽極基板107の表面に赤(R)、緑(G)、青(B)の3種の蛍光体108が形成され、電界放出陰極から出た放出電子が蛍光体108に当たることによって発光を生じる。
【0005】
このような電界放出陰極は、一般にスピントらが開発した製造方法が用いられる。図13に、スピントらが開発した電界放出陰極(陰極板)の製造工程図を示す。
まず、図13の1)において、ガラスなどの絶縁性基板116上に、エミッタ給電膜117を成膜し、2)において、パターニングしてエミッタ電極102を形成する。
この後、3)において、プラズマCVD等により、絶縁膜118とゲート給電膜119をこの順に成膜する。
4)において、円径のゲート開孔部レジストパターンを用いて、ゲート給電膜119と絶縁膜118をそれぞれエッチングして、口径が約1μmの円筒形のゲート開口部120を形成する。
【0006】
次に、5)において、アルミニウム等の犠牲層材料を、ゲート開口部120の中のエミッタ給電膜117には付着しないように、絶縁性基板116に対して斜め方向から蒸着し、犠牲層膜121を形成する。
さらに、6)において、モリブデンなどのエミッタ用金属材料122を絶縁性基板116に垂直に蒸着する。このとき、時間が経つにつれて、エミッタ用金属材料の堆積に伴い、ゲート開口部120は徐々に塞がり、完全に塞がった時には図の6)のようにゲート開口部120内には円錐状のエミッタティップ101が形成されている。
【0007】
次に、7)において、犠牲層膜121を燐酸水溶液などで選択的に溶解してエミッタティップ101以外のエミッタ用金属材料122を除去する。
最後に、図の8)のように、ゲート給電膜119を、所望の形状にパターニングすれば微小な電界放出陰極が完成する。
【0008】
しかし、大画面用の電界放出陰極を製造する場合には、前記工程のうち、工程4)の微細なゲート開口部120の形成と、工程6)のエミッタ用金属材料の蒸着において問題がある。
まず、ゲート開口部120は、口径が1μm程度という微細な円形パターンであるので、大画面用の陰極を形成する際には所定の位置精度を保持するように露光することが非常に困難である。
【0009】
また、エミッタ用金属材料は、基板に対してほぼ垂直に蒸着する必要があるが、大画面用の陰極を作る場合には、大きな蒸着装置が必要になる。一般に、この蒸着を基板全体にわたって精度よく行うためには、基板は10インチ程度のサイズまでが限界である。さらに、この蒸着工程があるので、大型のガラス基板から多面取りをすることができない。
【0010】
そこで、大画面用の電界放出陰極を形成するためには、より簡易な製造方法と形成が容易な陰極材料が要望されている。
ところで、近年、陰極材料として注目されているものに、ダイヤモンドやカーボンナノチューブのような炭素系材料がある。炭素系材料は、主要原料が炭素で構成されることから低コストで形成でき、また表面にガスが付着しにくいという特徴がある。
【0011】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、等方性カーボンの炭素を主体とした陰極材料を用いたエミッタを提供すること、及び大画面化に対応可能で、従来よりも容易なエミッタの製造方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、基板と、その基板上の所定の位置に固着された炭素を主体とした導電性の陰極材料とから構成され、前記陰極材料が、粒子径が1μmから150μmの範囲にある等方性カーボンの微小粉であることを特徴とする電界放出陰極のエミッタを提供するものである。
また、基板と、その基板上の所定の位置に固着された炭素を主体とした導電性の陰極材料とから構成され、前記陰極材料が、等方性カーボンの微小粉単体で構成されていることを特徴とする電界放出陰極のエミッタを提供するものである。
さらに、基板と、その基板上の所定の位置に固着された炭素を主体とした導電性の陰極材料とから構成され、前記陰極材料が、粒子径が1μmから150μmの範囲にある等方性カーボンの微小粉単体で構成されていることを特徴とする電界放出陰極のエミッタを提供するものである。
この発明は、基板と、その基板上の所定の位置に固着された炭素を主体とした陰極材料とから構成され、前記陰極材料が、等方性カーボンの微小粉であることを特徴とする電界放出陰極のエミッタを提供するものである。ここで、前記陰極材料は、接着層を介して基板に固着されるようにしてもよい。 これにより、大画面の表示装置にも利用可能で、製造の容易な電界放出陰極のエミッタを提供することができる。
【0013】
この発明において、基板は、ガラス,水晶等を用いることができる。陰極材料の元となる微小粉としては、等方性カーボンを用いることができる。
等方性カーボンについては、次の文献に記載されている。
(1)文献1:「ニューカーボン材料」、稲垣道夫他著、技報堂出版;p30,p85−p102(第4章等方性カーボン(特にp87),1994年2月25日発行。
(2)文献2:「HIP処理したガラス状炭素の化学構造」、西澤節、神戸製鋼技報;Vol.48,No.3,p51−p54,Dec.1998。
等方性カーボンとは、ハードカーボンやガラス状カーボンなどの難黒鉛化性カーボン、あるいは等方性高密度グラファイトのいずれかの微小粉をいう。また、陰極材料である微小粉は、良好な電子放出特性を得るために、微小な突起を有する形状、例えば、三角錐形状であることが好ましい。また、微小粉の1単位は1〜150μm程度の大きさである。接着層としては、ITOインク、レジスト、低融点ガラス等を用いることができる。
また、この発明は、基板上の所定の位置に、接着層を介して、炭素を主体とする微小粉からなる陰極材料を固着させたことを特徴とする電界放出陰極のエミッタの製造方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳述する。なお、これによってこの発明が限定されるものではない。
図1に、この発明において、電界放出陰極を構成する1単位であって電子を放出する1つのエミッタを形成する方法についての概略図を示す。
【0015】
図1において、符号1はガラス等で作製された陰極基板であり、符号3は陰極材料、すなわち電子を放出するエミッタとなる等方性カーボンの炭素を主体とした微小粉(以下、「微小粉」と呼ぶ)であり、符号2はITOインク等の接着剤である。
ここで微小粉3は、図1では球状で表わされているが、これに限るものではなく、電子を放出することのできる形状であればよく、三角錐等の種々の形状に形成できる。三角錐の形状に形成する場合については後述する。
【0016】
ところで、等方性カーボンはグラファイトと比較すると緻密であるのでガスを吸蔵しにくいという利点を有する。
しかし、このような特徴を持つ等方性カーボン材料は、陰極基板上へ成膜することが困難である。すなわち、等方性カーボン材料のひとつである難黒鉛化材料は、通常フェノール樹脂のような熱硬化性樹脂を焼成することで形成されるが、この樹脂を難黒鉛化するためには、基板を1000℃以上という高温にさらす必要がある。
【0017】
そのため、ガラス等の基板上にあらかじめフェノール樹脂の状態でエミッタを成膜した後、高温にしても1000℃以上という温度にすることは無理なため、材料は難黒鉛化せず、陰極として所定の特性を得ることが困難となる。また、熱硬化性樹脂自身で基板を形成する場合も難黒鉛化のための焼成過程のときに、1000℃以上という高温になるために基板が変形し、フラットパネル化の点で問題がある。以下に示すこの発明のエミッタ形成方法は、このような問題点を解決したものである。
【0018】
基本的には、エミッタは、まず陰極基板1上のエミッタを形成すべき位置に接着剤2を塗布し(図1(1):接着剤の塗布工程)、その後、微小粉3を接着剤2の上に塗布し接着させる(図1(2))という2つの工程によって容易に形成できる。形成の容易化や、微小粉の基板に対する密着力の増強等のために、後述する実施例に示すような形成方法を用いる。
【0019】
図2に、図1に示したエミッタを用いた電界放出型の電子源の製造工程図を示す。
まず、図1に示した方法と同様の方法によって、ガラス基板1上に、接着剤2を介して等方性カーボンの炭素を主体とした微小粉3を接着させる(図2(1):エミッタの形成)。
このとき、ガラス基板1上にマトリクス状に形成される画素となるべき領域内に、微小粉3が複数個集中して形成される。
【0020】
次に、上記構造の上に、SiO2 等の絶縁膜4をプラズマCVDあるいはSOG等のスピンコート法により形成する(図2(2):絶縁膜の形成)。絶縁膜4は、微小粉3をおおうように、基板表面全体にわたって形成すればよい。
さらに、上記構造の上にゲート電極膜5を蒸着等の方法により、成膜する(図2(3):ゲート電極の形成)。ここで、ゲート電極膜5は、たとえば、銅,ニッケル等の材料を用いる。
【0021】
次に、CMPあるいはレジストを用いたエッチバックによって、微小粉3の上方のゲート電極膜5の先端部分を除去し絶縁膜4を一部露出させる(図2(4):ゲート電極膜先端部の除去)。露出した絶縁膜4の一部を、RIEあるいはフッ酸エッチング等の方法により除去し、微小粉3の先端部分を図2(5)のように一部露出させる(図2(5):絶縁膜の除去)。
【0022】
以上のように、一部露出させられた微小粉の先端部分が、従来の図10に示すエミッタティップ101と同様に電子を放出するエミッタとなり、3極管構造の電界放出型の電子源を製造することができる。
【0023】
次に、等方性カーボンの炭素を主体とする微小粉をガラス基板上に接着する方法の詳細な実施例を示す。
図3に、この接着方法の第1実施例の工程図を示す。
まず、ガラス基板1上の全面に、導電性を有する接着層2を500nm程度の膜厚で形成する(図3(1))。
たとえば、接着層2となるITOインクを印刷あるいはスピンコート等の方法により、ガラス基板1上に形成し、その後チッ素雰囲気中(90℃、4分間)で、乾燥させる。
【0024】
次に、等方性カーボンの炭素を主体とする微小粉3をアセトン等の有機溶剤に混合した溶液4を、スピンコート法等により、接着層2の上の全面に塗布する(図3(2))。
その後、乾燥して、チッ素雰囲気中、400℃程度の温度で焼成し、接着層2の樹脂成分を飛ばし、微小粉3を接着層2の表面に固着させる(図3(3))。
次に、画素となる領域の接着層2とこれに固着された微小粉3を残すように、レジストを用いてパターニングし、さらに接着層2であるITO膜を臭化水素酸などでエッチングする(図3(4))。
以上により、電子を放出するためのエミッタを形成することができる。
【0025】
図4に、この発明の微小粉の接着方法の第2実施例の工程図を示す。
まず、炭素を主体とした微小粉3を、ITOインク等の導電性を有する接着剤2に混合し、ペーストを作成する。そして、このペーストをガラス基板1上に印刷あるいはスピンコートなどの方法によって塗布する(図4(1))。
【0026】
次に上記構造を乾燥させた後、チッ素雰囲気中、400℃程度の温度で焼成し、ITOインクに含まれる樹脂成分を飛ばし、さらに、ITO膜を臭化水素酸などでエッチバックする(図4(2))。このエッチバックにより、微小粉3の先端部は、接着層2の表面から露出する。
【0027】
この後、レジストを用いて、画素となる領域の微小粉3を残すようにパターニングし、ITO膜をエッチングする(図4(3))。これにより、図3(4)と同様な構造のエミッタを形成することができる。
この第2実施例によれば、あらかじめ微小粉を混合したペーストを作成する必要があるが、ガラス基板1上への塗布工程が一回で済み、工程の合理化が可能である。
【0028】
図5に、この発明の微小粉の接着方法の第3実施例の工程図を示す。
まず、ガラス基板1上に、Cu等の金属を蒸着などにより所定形状に形成し、エミッタ電極ラインを作る(図5(1))。
次に、炭素を主体とした微小粉3を、アセトンなどの揮発性の有機溶剤に混合した溶液を、スピンコート法等によりエミッタ電極ライン6及びガラス基板1上の全面に塗布する(図5(2))。
さらに、上記構造の上に、接着剤2をスピンコート法等により塗布し、乾燥させる(図5(3))。
【0029】
さらに、ウェットエッチングあるいはドライエッチングによって、微小粉3の先端部分が露出する程度まで、接着剤2をエッチバックする(図5(4))。
その後、前記第1実施例と同様にパターニング及びエッチング工程を経れば、所定形状のエミッタを形成することができる(図5(5))。
この第3実施例によれば、等方性カーボンの炭素を主体とする微小粉3を直接エミッタ電極ライン6とガラス基板1上に接着してから接着層2を形成するので、接着剤2は必ずしも導電性を有さなくてもよく、ITOインクよりコストの低いレジスト等を接着剤として用いることができる。
【0030】
図6に、この発明の微小粉の接着方法の第4実施例の工程図を示す。
まず、ガラス基板1上に、給電用のエミッタ電極ライン6を形成するべく、Cu等の金属を蒸着などの方法により所定形状に形成する(図6(1))。
次に、等方性カーボンの炭素を主体とする微小粉3をアセトンなどの揮発性の有機溶剤に混合した溶液を、スピンコート法等により、上記エミッタ電極ライン6を含む基板全面上に塗布する(図6(2))。
さらに、上記構造の上全体に、感光性の接着剤7をスピンコート法等により塗布し、乾燥させる(図6(3))。感光性の接着剤7としては、たとえばレジストを用いる。
【0031】
次に、ガラス基板1の背面、すなわち図6(4)に示すように紙面の下方から露光する(図6(4))。この後、現像処理をすると、光のあたった部分の接着剤7が除去されエミッタ電極ライン6の部分の構造のみが残る(図6(5))。この現像処理のとき、基板1上に直接塗布された微小粉3も除去される。
次に、ウェットエッチングあるいはドライエッチングによって、接着剤7の表面をエッチバックし、微小粉3の先端部分を露出させる(図6(6))。
【0032】
以上により、エミッタ電極ラインと共に、その上に接着された微小粉3からなるエミッタが形成できる。
この第4実施例によれば、製造工程の最終段階(図6(6))で、微小粉3が露出するので、電子を放出する部分の表面の汚染が最小限に抑えられ、より安定した電子放出特性を実現できる。
【0033】
図7に、この発明の微小粉の接着方法の第5実施例の工程図を示す。
まず、ガラス基板1上全面に、ガラス基板より十分低い600℃以下の融点を有するガラス層8を形成する(図7(1))。
次に、等方性カーボンの炭素を主体とする微小粉3をアセトンなどの揮発性の有機溶剤に混合した溶液を、スピンコート法等により塗布する(図7(2))。
上記構造の基板を600℃で焼成し、低融点ガラス層8を溶融させ、微小粉3を固着させる(図7(3))。
さらに、導電性を得るために、上記構造の上全面に、エミッタ電極ラインとなる導電層9を、金属(Cu等)を蒸着することによって形成する(図7(4))。
【0034】
次に、ウェットエッチングあるいはドライエッチングによって、導電層9の表面をエッチバックし、微小粉3の先端部分を露出させる(図7(5))。
その後、所定形状の電極パターンが残るように、レジストを用いてパターニングを行えば、所定形状のエミッタを形成できる(図7(6))。
この第5実施例によれば、他の実施例のような接着剤を用いるのではなく、ガラスを固着層として用いているので、微小粉3の基板への密着強度が上がり、より安定した電子放出特性が得られる。
【0035】
図8に、この発明の微小粉の接着方法の第6実施例の工程図を示す。
まず、転写用材料10の表面に、微小粉3をアセトンなどの揮発性の有機溶剤に混合した溶液を、スピンコート法等により塗布し乾燥させる(図8(1))。
転写用材料10としては、シリコンゴム等を用いることができる。
次に、上記構造の上の全面に、微小粉3をおおう程度にレジスト11を塗布する(図8(2))。
さらに、ウェットエッチングあるいはドライエッチングを用いて、微小粉3の先端部分が露出するまでエッチバックを行う(図8(3))。
【0036】
次に、上記構造の上の全面に、ITOインクなどの導電性接着剤2を塗布する(図8(4))。
さらに、導電性接着剤2の上の全面と、ガラス基板1とを貼り合わせ、転写用材料10を剥離する。すなわち、レジスト11,微小粉3,導電性接着剤2からなる構造を、ガラス基板1に転写する(図8(5))。
このとき、各微小粉3の大きさが異なっていたとしても図8(5)のレジスト11の表面において、転写用材料10の平坦性の程度に微小粉3の高さにそろう。
【0037】
その後、上記構造の基板を乾燥させて、微小粉3を固着後、ウェットエッチングあるいはドライエッチングを用いて、微小粉3の先端部分が露出するようにレジスト11をエッチバックする。
以上のようにして、レジスト11表面上に露出した微小粉3の高さが一定したエミッタを形成することができる。
この第6実施例によれば、微小粉3を塗布した後、転写工程を経ているので、各微小粉3の大きさ,形状が異なる場合でも、微小粉3のレジスト11表面から露出した部分の高さを揃えることができ、より均一な電子放出特性を持つエミッタが得られる。
【0038】
図9に、この発明の等方性カーボン材料における難黒鉛化性カーボンの微小粉の形成についての一実施例の工程図を示す。
上記した実施例の図1から図8では、等方性カーボンの炭素を主体とする微小粉の形状は便宜的に球状として説明してきたが、ここでは、三角錐形状の微小粉を形成する工程について説明する。
4つの頂点からなる三角錐形状の微小粉は、各頂点が鋭利であるため、従来のエミッタティップ形状と同様に、エミッタ電極ラインに印加する電圧を低電圧化することができより安定的にその頂点から電子を放出できる。
【0039】
三角錐形状の微小粉は、次のようにして形成することができる。
まず、所定の大きさの三角錐形状の凹部を有する金属金型母型21を用意する(図9(1))。この母型21表面の凹部に満たされるように、フェノール樹脂22を充填する(図9(2))。
次に、スキージにより、三角錐形状の凹部にのみ樹脂22を残し、硬化させる(図9(3))。この硬化した三角錐形状の樹脂22を母型21から剥離する(図9(4))。
【0040】
さらに、1000〜3000℃程度の温度で、三角錐形状の樹脂22を焼成すると難黒鉛化された炭素を主体とした微小粉23が形成される(図9(5))。
この焼成により樹脂成分がなくなると、図10に示すように、三角錐形状の微小粉23の各頂点はより先鋭化される。
このようにして、三角錐形状の微小粉23が形成されるが、上記した図3から図8に記載したいずれかの方法で、ガラス基板1上にこの三角錐形状の微小粉23を塗布すればこの発明のエミッタが形成できる。
【0041】
【発明の効果】
この発明によれば、等方性カーボンの炭素を主体とする微小粉を用いて、微小な電界放出陰極のエミッタを形成しているので、従来よりも容易に電界放出陰極のエミッタを作成することができる。
また、この発明では、微小な開口部を形成する工程や、エミッタ材料を蒸着させる工程が不要であるので、大画面の表示装置に利用可能な電界放出陰極を容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のエミッタを形成する方法の概略図である。
【図2】この発明のエミッタを用いた電子放出型の電子源の製造工程図である。
【図3】この発明の微小粉の接着方法の第1実施例の工程図である。
【図4】この発明の微小粉の接着方法の第2実施例の工程図である。
【図5】この発明の微小粉の接着方法の第3実施例の工程図である。
【図6】この発明の微小粉の接着方法の第4実施例の工程図である。
【図7】この発明の微小粉の接着方法の第5実施例の工程図である。
【図8】この発明の微小粉の接着方法の第6実施例の工程図である。
【図9】この発明の等方性カーボンの炭素を主体とした微小粉の一実施例の製造工程図である。
【図10】この発明の三角錐形状の微小粉の頂点の先鋭化の説明図である。
【図11】電界放出陰極の一部分の構造の斜視図である。
【図12】従来の電界放出陰極を用いた表示装置の構成図である。
【図13】従来から用いられている電界放出陰極の製造工程図である。
【符号の説明】
1 陰極基板
2 接着剤(接着層)
3 炭素を主体とした微小粉
4 絶縁膜
5 ゲート電極膜
6 エミッタ電極ライン
7 接着剤
8 低融点ガラス層
9 導電層
10 転写用材料
11 レジスト
21 母型
22 フェノール樹脂
23 炭素を主体とした微小粉
Claims (11)
- 基板と、その基板上の所定の位置に固着された炭素を主体とした導電性の陰極材料とから構成され、前記陰極材料が、粒子径が1μmから150μmの範囲にある等方性カーボンの微小粉であることを特徴とする電界放出陰極のエミッタ。
- 基板と、その基板上の所定の位置に固着された炭素を主体とした導電性の陰極材料とから構成され、前記陰極材料が、等方性カーボンの微小粉単体で構成されていることを特徴とする電界放出陰極のエミッタ。
- 基板と、その基板上の所定の位置に固着された炭素を主体とした導電性の陰極材料とから構成され、前記陰極材料が、粒子径が1μmから150μmの範囲にある等方性カーボンの微小粉単体で構成されていることを特徴とする電界放出陰極のエミッタ。
- 前記陰極材料が、熱硬化製樹脂を予め所定の形状に形成し、かつ焼成することによって難黒鉛化された微小粉であることを特徴とする請求項1記載の電界放出陰極のエミッタ。
- 前記陰極材料が、接着層を介して基板に固着されることを特徴とする請求項1記載の電界放出陰極のエミッタ。
- 前記微小粉が三角錐形状であることを特徴とする請求項5記載の電界放出陰極のエミッタ。
- 基板上に接着層を形成し、この接着層の上に、等方性カーボンの微小粉からなる陰極材料を塗布し、所定の温度で焼成した後、接着層及び陰極材料を所定形状にパターニングすることを特徴とする電界放出陰極のエミッタの製造方法。
- 基板上に、等方性カーボンの微小粉からなる陰極材料を含みかつ導電性及び接着性を有する混合溶剤を塗布し、前記混合溶剤を乾燥及び焼成した後に、エッチングにより前記微小粉の表面の一部を露出させかつ画素となる領域の微小粉を残すようにパターニングすることを特徴とする電界放出陰極のエミッタの製造方法。
- 基板上に、等方性カーボンの微小粉からなる陰極材料を含んだ揮発性の有機溶剤を塗布し、さらに基板の全面に接着層を形成した後、エッチングにより前記微小粉の表面の一部を露出させ、かつ前記接着層を所定形状にパターニングすることを特徴とする電界放出陰極のエミッタの製造方法。
- 基板上に低融点ガラス層を形成し、等方性カーボンの微小粉からなる陰極材料を含んだ揮発性の有機溶剤を前記低融点ガラス層の全面に塗布し、焼成により前記低融点ガラス層を溶融すると共に前記微小粉を固着させ、しかる後これの全体を覆うように導電層を形成し、エッチングにより前記微小粉の表面の一部を露出させ、かつ前記導電層を所定形状にパターニングすることを特徴とする電界放出陰極のエミッタの製造方法。
- 転写用母型に等方性カーボンの微小粉と揮発性を有する有機溶剤とを混合した溶液を塗布し乾燥させ、上記構造の全面にレジストを塗布し、微小粉の先端部分が露出するまでレジストのエッチバックを行い、その上に導電性を有する接着剤を塗布することで、上記構造の全面に導電性を有する接着層を形成した後、基板に貼り合わせ、転写用母型のみを剥離することで、基板に微小粉を有するエミッタを形成することを特徴とする電界放出陰極のエミッタの製造方法。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP12446199A JP3856592B2 (ja) | 1999-04-30 | 1999-04-30 | 電界放出陰極のエミッタ及びその製造方法 |
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| JP12446199A JP3856592B2 (ja) | 1999-04-30 | 1999-04-30 | 電界放出陰極のエミッタ及びその製造方法 |
Publications (2)
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