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JP3856875B2 - ノルボルネン系樹脂組成物およびその用途 - Google Patents
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JP3856875B2 - ノルボルネン系樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

ノルボルネン系樹脂組成物およびその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、耐衝撃強度および透明性に優れたノルボルネン系樹脂組成物およびその成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
ポリエチレンなどのポリオレフィンの剛性、耐熱性を改善するものとして、エチレンと嵩高な環状オレフィンとのランダム共重合体などの環状オレフィン系樹脂が特開昭60−168708号公報などに提案されている。
【0003】
この環状オレフィン系樹脂は、剛性、耐熱性、耐熱老化性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性などに優れるとともに透明性に優れ、高屈折率を有し光学特性にも優れているが、脆くて耐衝撃強度に劣り、射出成形、押出成形などにより形成されるフィルム、シート、容器などの成形品には耐衝撃強度の向上が望まれている。
【0004】
本出願人は先に、このような環状オレフィン系樹脂の耐衝撃強度を、スチレン系エラストマーの配合により改善することを特開平1−256548号公報において提案した。
【0005】
このような環状オレフィン系樹脂とスチレン系エラストマーとの組成物では、耐衝撃強度を向上させると透明性が低下する傾向にあり、このため環状オレフィン系樹脂の透明性を損なうことなく耐衝撃強度も改善された環状オレフィン系樹脂組成物の出現が望まれていた。
【0006】
ところで本発明者等はこれまでの検討の結果、以下の考えに至った。すなわちスチレン系エラストマーは、スチレンと共役ジエン類とのブロック共重合体であって、スチレン成分(ハードセグメント)とエラストマー成分とからなるが、スチレン成分含量が多いほどスチレン系エラストマーの屈折率は大きくなる傾向にある。
【0007】
したがって環状オレフィン系樹脂とスチレン系エラストマーとから組成物を調製する際には、環状オレフィン系樹脂の屈折率と同等の高屈折率となるようなスチレン成分含量の多いスチレン系エラストマーを選択すれば、環状オレフィン系樹脂の透明性を損なわずに耐衝撃強度の改善された組成物を得ることができるはずである。
【0008】
しかしながらスチレン成分(ハードセグメント)が多いスチレン系エラストマーは硬度が高く、耐衝撃強度の改善効果は小さい。そこで本発明者は、上記のような知見を基に鋭意研究を続けたところ、特に環状オレフィン系樹脂としてノルボルネン系樹脂を選択し、該ノルボルネン系樹脂に特定の芳香族ビニル・共役ジエンエラストマーを組合わせることによって、環状オレフィン系樹脂の有する優れた透明性を損なうことなく、しかも耐衝撃強度に優れたノルボルネン系樹脂組成物が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、剛性、耐熱性、耐熱老化性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性などに優れるとともに特に耐衝撃強度に優れ、透明性にも優れたノルボルネン系樹脂組成物およびその成形体を提供することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】
本発明に係るノルボルネン系樹脂組成物は、
[A][A-1]エチレンと下記式[I]で示されるノルボルネン類とを共重合させて得られるエチレン・ノルボルネンランダム共重合体であり、ガラス転移点Tg(℃)が110〜135℃であるノルボルネン系樹脂;60〜99重量部と、
[B]上記ノルボルネン系樹脂[A]との、ASTM D542に準拠して測定され、アッベの屈折率計(D線 589nm)を用いて温度23℃で測定した屈折率の差ΔnD(=nD(B)−nD(A))が0.002〜0.006である芳香族ビニル・共役ジエン系エラストマー;40〜1重量部と
からなり、
[A]ノルボルネン系樹脂と、[B]芳香族ビニル・共役ジエン系エラストマーとの含有比が、[A]/[B]重量比で99/1〜70/30である
ことを特徴としている。
【0011】
【化2】
Figure 0003856875
【0012】
(式[I]中、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R5〜R8は互いに結合して単環を形成していてもよく、かつ該単環が二重結合を有していてもよく、またR5とR6とで、またはR7とR8とでアルキリデン基を形成していてもよい)。
【0014】
前記芳香族ビニル・共役ジエン系エラストマー[B]は、スチレン・エチレン/プロピレン・スチレントリブロック共重合体であり、
前記Δn D (=n D (B) −n D (A) )は0.004〜0.005である
ことが好ましい。
【0015】
本発明では、上記のようなノルボルネン系樹脂組成物から成形されるプレススルーパック、ブリスターパック、包装用シート、フィルムまたは包装体などが提供される。
【0016】
【発明の具体的説明】
本発明に係るノルボルネン系樹脂組成物は、
[A]ノルボルネン系樹脂と、
[B]特定の芳香族ビニル・共役ジエンエラストマーとから形成されている。
まず本発明で用いられる各成分について説明する。
【0017】
[A]ノルボルネン系樹脂
本発明で用いられるノルボルネン系樹脂[A]は、
[A-1]エチレンと下記式[I]で示されるノルボルネン類とを共重合させて得られるエチレン・ノルボルネンランダム共重合体、
[A-2]式[I]で示されるノルボルネン類の開環重合体または共重合体、
[A-3]上記[A-2]開環重合体または共重合体の水素化物、および
[A-4]上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物
から選ばれる。
【0018】
このようなノルボルネン系樹脂[A]を形成するノルボルネン類は、下記式[I]で示されるノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン)骨格を有する化合物である。
【0019】
【化3】
Figure 0003856875
【0020】
式[I]中、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R5〜R8は互いに結合して単環を形成していてもよく、かつ該単環が二重結合を有していてもよく、またR5とR6とで、またはR7とR8とでアルキリデン基を形成していてもよい。
【0021】
ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
また炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基などの炭素原子数1〜20のアルキル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基などの芳香族炭化水素基、ベンジル基、トリル基、エチルフェニル、イソプロピルフェニルなどが挙げられる。これらの炭化水素基はハロゲン置換基を有していてもよい。
【0022】
さらにR5〜R8が互いに結合して形成する単環の例を下記に示す。
【0023】
【化4】
Figure 0003856875
【0024】
なお上記例示において、1または2の番号を賦した炭素原子は、それぞれR5(R6)またはR7(R8)が結合しているノルボルネン環の炭素原子を示す。
またR5とR6とで、またはR7とR8とで形成してもよいアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基などが挙げられる。
【0025】
上記のような式[I]で示されるノルボルネン類としては、より具体的に、
【0026】
【化5】
Figure 0003856875
【0027】
【化6】
Figure 0003856875
【0028】
5-フェニル、5-メチル-5-フェニル、5-ベンジル、5-トリル、5-(エチルフェニル) 、5-(イソプロピルフェニル) 、5-(ビフェニル)、5-(β-ナフチル)、5-(α-ナフチル) 、5-(アントラセニル) 、5,6-ジフェニルなどの炭化水素基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(ノルボルネン)誘導体などが挙げられる。
これらのうちでも、ノルボルネンなどのビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン誘導体が好ましい。
【0029】
上記のような一般式[I]で示されるノルボルネン類は、シクロペンタジエンと対応する構造を有するオレフィン類とを、ディールス・アルダー反応させることによって製造することができる。
【0030】
本発明で用いられるノルボルネン系樹脂は、2種以上のノルボルネン類から導かれる単位を含有していてもよい。
本発明で用いられるノルボルネン系樹脂は、上記のような式[I]で示されるノルボルネン類を用いて、たとえば特開昭60-168708号、同61-120816号、同61-115912号、同61-115916号、同61-271308号、同61-272216号、同62-252406号および同62-252407号などの公報において本出願人が提案した方法に従い、適宜条件を選択することにより製造することができる。
【0031】
[A-1] エチレン・ノルボルネンランダム共重合体
本発明で用いられるエチレン・ノルボルネンランダム共重合体[A-1] は、エチレンから導かれる単位を、10〜90モル%好ましくは30〜80モル%の量で、上記のようなノルボルネン類から導かれる単位を、10〜90モル%好ましくは20〜70モル%の量で含有していることが望ましい。なおエチレンおよびノルボルネン類の組成比は、13C−NMRによって測定することができる。
【0032】
本発明で用いられるエチレン・ノルボルネンランダム共重合体[A-1] では、上記のようなエチレンから導かれる単位とノルボルネン類から導かれる単位とが、ランダムに配列して結合し、実質的に線状構造を有している。この共重合体が実質的に線状であって、実質的にゲル状架橋構造を有していないことは、この共重合体が有機溶媒に溶解した際に、この溶液に不溶分が含まれていないことにより確認することができる。
【0033】
本発明で用いられる[A-1]エチレン・ノルボルネンランダム共重合体において、上記式[I]で示されるノルボルネン類の少なくとも一部は、下記式で示される繰り返し単位を構成していると考えられる。
【0034】
【化7】
Figure 0003856875
【0035】
式中、R1〜R8は式[I]と同じである。
また本発明で用いられる[A-1]エチレン・ノルボルネンランダム共重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて他の共重合可能なモノマーから導かれる単位を通常20モル%以下、好ましくは10モル%以下の量で有していてもよい。
【0036】
このような他のモノマーとしては、具体的には、
プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセンなどの炭素数3〜20のα-オレフィン、
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセンおよびシクロオクテン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンなどのシクロオレフィン、
1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエンおよび5-ビニル-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン類を挙げることができる。
【0037】
2種以上の他のモノマーから導かれる単位を含有していてもよい。
本発明で用いられる[A-1]エチレン・ノルボルネンランダム共重合体は、エチレンと式[I]で示されるノルボルネン類とを用いて上記公報に開示された製造方法により製造することができる。これらのうちでも、この共重合を炭化水素溶媒中で行ない、触媒として該炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用いて[A-1]エチレン・ノルボルネンランダム共重合体を製造することができる。
【0038】
またこの共重合反応では固体状IVB族メタロセン系触媒を用いることもできる。ここで固体状IVB族メタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物と、必要により配合される有機アルミニウム化合物とからなる触媒である。ここでIVB族の遷移金属としては、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、これらの遷移金属は少なくとも1個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有している。ここで、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子の例としてはアルキル基が置換していてもよく、シクロペンタジエニル基またはインデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレニル基を挙げることができる。これらの基は、アルキレン基など他の基を介して結合していてもよい。また、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等である。
【0039】
さらに有機アルミニウムオキシ化合物および有機アルミニウム化合物は、通常オレフィン系樹脂の製造に使用されるものを用いることができる。このような固体状IVB族メタロセン系触媒については、例えば特開昭61-221206号、同64-106号および特開平2-173112号公報等に記載されている。
【0040】
[A-2] ノルボルネンの開環重合体または共重合体
ノルボルネンの開環重合体または開環共重合体において、上記式[I]で示されるノルボルネンの少なくとも一部は、下記式で示される繰り返し単位を構成していると考えられる。
【0041】
【化8】
Figure 0003856875
【0042】
式中、R1〜R8は式[I]と同じである。
このような開環重合体または開環共重合体は、前記公報に開示された製造方法により製造することができ、たとえば式[I]で示されるノルボルネン類を開環重合触媒の存在下に重合または共重合させることにより製造することができる。
【0043】
このような開環重合触媒としては、
ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、インジウムまたは白金などから選ばれる金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒、あるいは、
チタン、パラジウム、ジルコニウムまたはモリブテンなどから選ばれる金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
【0044】
[A-3] 開環重合体または共重合体の水素化物
本発明で用いられる[A-3]開環重合体または共重合体の水素化物は、上記のようにして得られる開環重合体または共重合体[A-2]を、従来公知の水素添加触媒の存在下に水素化して得られる。
【0045】
この[A-3]開環重合体または共重合体の水素化物において、式[I]で示されるノルボルネン類のうち少なくとも一部は、下記式で示される繰り返し単位を有していると考えられる。
【0046】
【化9】
Figure 0003856875
【0047】
[A-4] グラフト変性物
ノルボルネン系樹脂のグラフト変性物は、上記[A-1]エチレン・ノルボルネンランダム共重合体、[A-2]ノルボルネンの開環重合体または共重合体、または[A-3]開環重合体または共重合体の水素化物のグラフト変性物である。
【0048】
この変性剤としては、通常不飽和カルボン酸類が用いられ、具体的に、
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1] ヘプト-5- エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)などの不飽和カルボン酸、さらにこれら不飽和カルボン酸の誘導体たとえば不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミド、不飽和カルボン酸のエステル化合物などが挙げられる。
【0049】
不飽和カルボン酸の誘導体としては、より具体的に、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化マレニル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどが挙げられる。
【0050】
これらの変性剤うちでも、α,β−不飽和ジカルボン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸無水物たとえばマレイン酸、ナジック酸およびこれら酸の無水物が好ましく用いられる。これらの変性剤は、2種以上組合わせて用いることもできる。
【0051】
本発明で用いられるノルボルネン系樹脂のグラフト変性物における変性率は、通常10モル%以下であることが望ましい。
このようなノルボルネン系樹脂のグラフト変性物は、所望の変性率になるようにノルボルネン系樹脂に変性剤を配合してグラフト重合させ製造することもできるし、予め高変性率の変性物を調製し、次いでこの変性物と未変性のノルボルネン系樹脂とを混合することにより製造することもできる。
【0052】
ノルボルネン系樹脂と変性剤とからノルボルネン系樹脂のグラフト変性物を得るには、従来公知のポリマーの変性方法を広く適用することができる。たとえば溶融状態にあるノルボルネン系樹脂に変性剤を添加してグラフト重合(反応)させる方法、あるいはノルボルネン系樹脂の溶媒溶液に変性剤を添加してグラフト反応させる方法などによりグラフト変性物を得ることができる。
【0053】
このようなグラフト反応は、通常60〜350℃の温度で行われる。
またグラフト反応は、有機過酸化物およびアゾ化合物などのラジカル開始剤の共存下に行うことができる。
【0054】
また上記のような変性率の変性物は、ノルボルネン系樹脂と変性剤とのグラフト反応によって直接得ることができ、またノルボルネン系樹脂と変性剤とのグラフト反応によって予め高変性率の変性物を得た後、この変性物を未変性のノルボルネン系樹脂で所望の変性率となるように希釈することによって得ることもできる。
【0055】
本発明では、ノルボルネン系樹脂[A]として、上記のような[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]のいずれかを単独で用いることができ、またこれらを組み合わせて用いることもできる。
これらのうちでもエチレン・ノルボルネンランダム共重合体[A-1]が好ましく用いられる。
【0056】
本発明で用いられるノルボルネン系樹脂[A]の屈折率nD(B)(ASTMD542、温度23℃で測定)は、1.540以下好ましくは1.536以下であることが望ましい。
ノルボルネン系樹脂[A]のガラス転移点Tg(DSC測定)は、60〜200℃好ましくは70〜160℃であることが望ましい。
【0057】
上記のようなノルボルネン系樹脂[A]は、
メルトフローレート(MFR;ASTM D1238、260℃、2.16kg荷重下)は、0.1〜100g/10分好ましくは1〜50g/10分であることが望ましく、
軟化温度(TMA;サーマル・メカニカルアナライザーで測定)は60℃以上好ましくは70℃以上であることが望ましく、
X線回折法によって測定される結晶化度は、0〜20%好ましくは0〜2%であることが望ましい。
【0058】
[B]芳香族ビニル・共役ジエンエラストマー
本発明では、芳香族ビニル・共役ジエンエラストマー[B]として、芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体およびその水素添加物が用いられる。
【0059】
この芳香族ビニル・共役ジエンエラストマーを形成する芳香族ビニルは、具体的に、スチレン、α−メチルスチレン、p-メチルスチレンなどであり、共役ジエンは、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエンなどである。
【0060】
本発明で用いられる芳香族ビニル・共役ジエンエラストマー[B]は、芳香族ビニルブロック単位と共役ジエンゴムブロック単位(あるいはその水素添加ゴムブロック単位)とからなる熱可塑性エラストマーである。このようなブロック共重合体エラストマーでは、ハードセグメントである芳香族ビニルブロック単位がソフトセグメントであるゴムブロック単位の橋かけ点として存在して物理架橋(ドメイン)を形成している。
【0061】
このような芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体およびその水素添加物としては、具体的には、
スチレン・ブタジエンブロック共重合体(SB)およびその水素添加物(SEB)、
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)およびその水素添加物(SEBS;スチレン・エチレン/ブチレン・スチレンブロック共重合体)、
スチレン・イソプレンブロック共重合体(SI)およびその水素添加物(SEP)、
スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)およびその水素添加物(SEPS;スチレン・エチレン/プロピレン・スチレンブロック共重合体)などが挙げられる。
【0062】
このような芳香族ビニル・共役ジエンエラストマーとして、より具体的には、「クレイトン(Kraton)」(シェル化学(株)製)、「キャリフレックスTR」(シェル化学(株)製)、「ソルプレン」(フィリップスペトロリファム社製)、「ユーロプレンSOLT」(アニッチ社製)、「タフプレン」(旭化成(株)製)、「ソルプレン−T」(日本エラストマー社製)、「JSRTR」(日本合成ゴム社製)、「電化STR」(電気化学社製)、「クインタック」(日本ゼオン社製)、「クレイトンG」(シェル化学(株)製)、「タフテック」(旭化成(株)製)(商品名)などが挙げられる。
これらのうちSEBS(水添SBS)、SEPS(水添SIS)が特に好ましく用いられる。
【0063】
本発明では、特に芳香族ビニル・共役ジエンエラストマー[B]として、上記ノルボルネン系樹脂[A]との常温(23℃)で測定した屈折率の差ΔnDが0.03以内であり、好ましくは0.02以内である芳香族ビニル・共役ジエンエラストマーが用いられる。
なお各成分([A]、[B])の屈折率は、ASTM D542に準拠して測定され、具体的にアッベの屈折率計(D線 589nm)を用いて温度23℃で測定される。
【0064】
ノルボルネン系樹脂組成物およびその成形体
本発明に係るノルボルネン系樹脂組成物は、上記のような
[A]ノルボルネン系樹脂60〜99重量部好ましくは70〜45重量部と、
[B]芳香族ビニル・共役ジエンエラストマー1〜40重量部好ましくは5〜30重量部とからなる。
【0065】
特に本発明では、上記ノルボルネン系樹脂[A]のガラス転移点Tgが70℃以上110℃未満である場合には、
芳香族ビニル・共役ジエンエラストマー[B]として、上記屈折率差ΔnDが0.01以内である芳香族ビニル・共役ジエンエラストマーを選択することが望ましい。このようなノルボルネン系樹脂組成物では、[A]ノルボルネン系樹脂と、[B]芳香族ビニル・共役ジエン系エラストマーとの含有比は、[A]/[B]重量比で99/1〜70/30であることが望ましい。
【0066】
またノルボルネン系樹脂[A]のガラス転移点Tgが110〜135℃である場合には、
芳香族ビニル・共役ジエンエラストマー[B]として、上記屈折率差ΔnDが0.01以内である芳香族ビニル・共役ジエンエラストマーを選択することが望ましい。このようなノルボルネン系樹脂組成物では、[A]ノルボルネン系樹脂と、[B]芳香族ビニル・共役ジエン系エラストマーとの含有比は、[A]/[B]重量比で99/1〜70/30であることが望ましい。
【0067】
このような芳香族ビニル・共役ジエンエラストマー[B]とノルボルネン系樹脂[A]とからは、特に耐衝撃強度および透明性のいずれにも優れたノルボルネン系樹脂組成物を形成することができる。
【0068】
本発明に係るノルボルネン系樹脂組成物は、成分[A]および[B]を、押出機、バンバリーミキサーなどの公知の混練装置で溶融混練する方法、成分[A]および[B]を、共通の溶媒に溶解した後溶媒を蒸発させる方法、あるいは貧溶媒中に[A]および[B]の溶液を加えて析出させるなどの方法により得ることができる。
【0069】
本発明に係るノルボルネン系樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、各種添加剤たとえば染料、顔料、安定剤、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、充填剤などを必要に応じて含有していてもよい。
【0070】
本発明に係るノルボルネン系樹脂組成物は、透明性、剛性、耐熱性、耐熱老化性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性などに優れるとともに耐衝撃強度にも優れており、薬品、食品用の包装材として充分な性能を発現する。
【0071】
本発明では、上記ノルボルネン系樹脂組成物は、種々の方法により成形して利用することができ、特にプレススルーパック(PTP)、ブリスターパック、包装用シート、フィルムなどの包装材料として好適に利用することができる。
【0072】
ノルボルネン系樹脂組成物から得られるシートまたはフィルムの厚さは特に制限されないが、通常150μm以上、特に250μm以上であることが好ましく、この程度の厚さを有していれば、特に防湿性が要求される薬剤のPTPまたはブリスターパック包装体においても充分な防湿性が得られる。
【0073】
シートまたはフィルムは、たとえばTダイ法、インフレーション法などの一般的なシートまたはフィルム(以下両者をあわせてフィルムと称する)成形法を採用して成形することができる。
【0074】
またノルボルネン系樹脂組成物は、他の材料と複合積層フィルムまたはシートを形成することもでき、たとえば塩化ビニリデン上にコートして積層フィルムを形成することができ、またポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンなどと多層積層フィルムを形成することができる。
【0075】
ノルボルネン系樹脂組成物からなるフィルムは、透明性および防湿性優れ、真空または圧空成形性にも優れていることから、PTPまたはブリスターパック包装用フィルムとして充分な性能を発揮する。
【0076】
このようなフィルムは、真空成形、圧空成形などにより、被包装物に合わせた形状のブリスターを形成し、PTP包装またはブリスターパック包装する。
ブリスター形成のための真空成形、圧空成形は従来のフィルムと同様の条件で行なわれ、通常フィルム表面温度は30〜300℃好ましくは50〜150℃程度、成形圧力0.2〜20kg/cm2G、好ましくは0.2〜10kg/cm2G程度で行なわれる。
【0077】
上記のようなノルボルネン系樹脂組成物からなるフィルムは、真空成形性または圧空成形性に優れているため、ブリスターとフランジ部のエッジがシャープなブリスターを形成することができる。このためブリスター間のピッチ(間隔)を小さくすることができ、1枚あたりのフィルムで成形できるブリスターの数を多くすることができる。
【0078】
また本発明では、ノルボルネン系樹脂組成物を包装材料とする包装体も提供する。
本発明に係る包装体には、薬剤、食品、日用品、雑貨など任意の被包装物が包装されていてよいが、包装材が透明性、耐衝撃強度に優れていることから、特に錠剤、カプセル剤、粉剤、液剤などの固体状、液体状の薬剤、米菓、スナック、クッキーなどの食品、タバコ、ティーバッグなどを被包装物とする包装体として好適に用いることができる。
【0079】
包装形態としては、バッグ、パック、PTP、ブリスターパック、手ひねり、ラッピング、シュリンク、イージーピールなどのフィルム、テトラパック、牛乳パックなどのシート状の成形体より組み立てられる容器、薬ビン、バイアルビン、輸液ボトル、プレフィルドシリンジなどの注射器ダイアライザーなどの医療容器、シャーレ、試験管、分析セルなどの理化学機器、化粧ビンなどを挙げることができる。
【0080】
【発明の効果】
本発明に係るノルボルネン系樹脂組成物は、特に耐衝撃強度に優れるとともに透明性にも優れており、各種成形体として広く利用することができる。
【0081】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0082】
なお、本発明における各種物性値の測定方法および評価方法を次に示す。
(1)ガラス転移点(Tg)
セイコー電子社製、DSC−220Cを用いてN2雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した。
(2)透明性評価(ヘイズ)
ASTM D−1003−52に準じ、ヘイズ計により2mm厚射出成形プレートについて評価した。
(3)アイゾット衝撃強度
ASTM D256(ノッチ無)に準拠して測定した。
【0083】
以下の実施例、参考例および比較例では、下記のような各成分を用いた。
[A]エチレン・ノルボルネンランダム共重合体(E・NB);いずれもイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドを用いて製造した。[B]スチレン・エチレン/プロピレン・スチレントリブロック共重合体(SEPS);スチレン単位含量65重量%のSEPSと、スチレン単位含量30重量%のSEPSとを、表1に示すスチレン単位含量となるように配合して、押出機で溶融混練し、表1に示すような屈折率を有するように調製した。
【0084】
参考例1
メタロセン系触媒を用いて得られた[A-1] のエチレン・ノルボルネンランダム共重合体(E・NB(1))(ノルボルネン単位含量:35モル%、MFR:30g/10分、Tg:80℃)80重量部に対し、表1に示すスチレン含量となるように上記で調製されたSEPS20重量部を配合して溶融混練し、ペレット(組成物)とした。
【0085】
得られたペレットをプレス成形し、2mm厚のプレートおよびアイゾット衝撃強度(ノッチ無)試験片を作製した。プレートのヘイズ測定結果と、アイゾット衝撃強度の測定結果を表1に示す。
【0086】
【比較例1】
参考例1において、E・NB(1)に代えて、可溶性バナジウム系触媒を用いて得られたエチレン・テトラシクロドデセンランダム共重合体(E・TCD(1))(テトラシクロドデセン単位含量:25モル%、MFR:30g/10分、Tg:80℃)を用いた以外は、参考例1と同様にしてペレットを得た。結果を表1に示す。
【0087】
実施例1
参考例1のE・NB(1)に代えて、メタロセン系触媒を用いて得られたノルボルネン単位含量の異なる[A-1] のエチレン・ノルボルネンランダム共重合体(E・NB(2))(ノルボルネン単位含量:48モル%、MFR:15g/10分、Tg:125℃)を用いた以外は、参考例1と同様にしてペレットを得た。結果を表1に示す。
【0088】
【比較例2】
実施例1のE・NB(2)に代えて、可溶性バナジウム系触媒を用いて得られたE・TCD(2)(テトラシクロドデセン単位含量:25モル%、MFR:15g/10分、Tg:125℃)を用いた以外は、実施例1と同様にしてペレットを得た。
【0089】
結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
Figure 0003856875

Claims (4)

  1. [A][A-1]エチレンと下記式[I]で示されるノルボルネン類とを共重合させて得られるエチレン・ノルボルネンランダム共重合体であり、ガラス転移点Tg(℃)が110〜135℃であるノルボルネン系樹脂;60〜99重量部と、
    [B]上記ノルボルネン系樹脂[A]との、ASTM D542に準拠して測定され、アッベの屈折率計(D線 589nm)を用いて温度23℃で測定した屈折率の差ΔnD(=nD(B)−nD(A))が0.002〜0.006である芳香族ビニル・共役ジエン系エラストマー;40〜1重量部と
    からなり、
    [A]ノルボルネン系樹脂と、[B]芳香族ビニル・共役ジエン系エラストマーとの含有比が、[A]/[B]重量比で99/1〜70/30である
    ことを特徴とするノルボルネン系樹脂組成物;
    Figure 0003856875
    (式[I]中、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R5〜R8は互いに結合して単環を形成していてもよく、かつ該単環が二重結合を有していてもよく、またR5とR6とで、またはR7とR8とでアルキリデン基を形成していてもよい)。
  2. 前記エチレン・ノルボルネンランダム共重合体[ A-1 ]が、固体状 IV B族メタロセン系触媒を用いて製造された共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のノルボルネン系樹脂組成物。
  3. 前記芳香族ビニル・共役ジエン系エラストマー[B]が、スチレン・エチレン/プロピレン・スチレントリブロック共重合体であり、
    前記ΔnD(=nD(B)−nD(A))が0.004〜0.005である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のノルボルネン系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のノルボルネン系樹脂組成物から得られるプレススルーパック、ブリスターパック、包装用シート、フィルムまたは包装体。
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