JP3858617B2 - 半導体レーザ素子および光送信モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体光変調器に関し、特に電界吸収型光変調器と、上記変調器を集積した半導体レーザ素子、上記素子を用いた光送信モジュール、上記モジュールを用いた光通信システム装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の波長の光信号を同一の光伝送線路で伝える波長多重光通信は、通信技術のさらなる高性能化、低コスト化に向けて重要である。この観点から、複数チャンネル用の光源の波長管理および光の高速変調に対応する光変調手段の提供が重要な課題である。
【0003】
波長多重通信システムにおける複数チャンネル用の光源の波長管理は、最重要技術の1つである。現在、国際標準化(ITU)により、使用する各チャンネルの波長または周波数は、50GHzまたは100GHz間隔(0.4nmまたは0.8nm)に決められている。
【0004】
一方、こうした波長が管理された波長多重光通信用の光源として、波長可変機構を有する半導体レーザ装置を用いて複数のチャンネルをカバーできる波長可変方式の光源や、波長の異なる複数の半導体レーザを用いた波長選択方式の光源が検討されている。
【0005】
現在の幹線系と都市系ネットワークでは、伝送速度は2.5、10Gbit/sが主流である。高速変調のため、光の変調方式は直接変調方式ではなく、外部変調方式が用いられる。実際はレーザ素子に光変調器をモノリシックに集積した変調器集積光源の形態が必須となっている。この観点から、波長の異なる複数の半導体レーザ素子、光合波器、電界吸収型変調器をモノリシックに集積した波長可変光源が報告されている。しかし、この例は、素子全体の温度を変化させることによって発振波長を変化させるため、光変調器に導かれるレーザ光の波長が変化した場合、レーザ光の発振波長と電界吸収型光変調器の吸収端波長の距離が変化してしまうため、光変調器の特性が変化してしまう難点を有している。
【0006】
レーザ光の発振波長と電界吸収型光変調器の吸収端波長の差をΔHと置くと、ΔHを一定の値に保つことが、上記の波長可変光源において、チャーピング特性、高周波特性等の伝送特性を向上させる、しいては波長可変幅を増大させるのに必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
電界吸収型変調器を集積した分布帰還型(EA/DFB)半導体レーザにおいては、分布帰還型半導体レーザ素子部の発振光の波長と光変調器領域の吸収端波長の差(ΔH)を一定に保つことが伝送特性上重要である。分布帰還型半導体レーザ素子部の発振光の波長は、単位温度あたり約0.1nmの割合で変化する。光変調器領域のバンドギャップの波長は、単位温度あたり約1nmの割合で変化する。したがって、EA/DFBレーザ素子全体の温度を変化させて分布帰還型半導体レーザ素子部の発振光の波長を変化させる波長可変レーザ素子では、温度を上昇させると上記ΔHが0.9nm/℃の割合で小さくなり、一定に保つことはできない。
【0008】
そこで、電界吸収型光変調器の吸収端波長をレーザ光の発振波長に合わせて変化させる機能が必要になる。たとえば、電界吸収型光変調器近傍にヒータ等の発熱体を配置し、光変調器の温度を制御することで吸収端波長を変化させることができる。ここでは、電界吸収型変調器とレーザが独立に温度制御できることが前提になる。このため、電界吸収型光変調器の吸収端波長を制御するには、フィードバック機構、つまり吸収端波長を測定し温度制御系に帰還する手段が必要になる。
【0009】
ヒータなどの発熱体をレーザ素子部のみに装荷する、またヒータなどの発熱体を電界吸収型変調器のみに装荷するなどの方法で、分布帰還型半導体レーザ素子部と光変調器領域を独立に温度制御する場合、分布帰還型半導体レーザ素子部の温度は、発振光の波長をレーザ素子後部から射出される光をフォトダイオード(PD)でモニタし、薄膜ヒータもしくはペルチェ素子にフィードバックすることで制御することができる。しかし、光変調器領域は温度を変化させる手段を有していても、上記変調器の吸収端波長をモニタし、温度調節機構に帰還する手段を有しない。
【0010】
また、光変調器近傍に設置した薄膜抵抗ヒータやペルチェ素子などの駆動電流を帰還機構を用いずに制御する方法では、温度もしくは吸収端波長を正確に制御することは困難である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吸収端波長を正確に制御できないという従来技術の課題を解決するために、電界吸収型光変調器の吸収端波長をモニタし、温度制御機構に帰還する手段を提供する。
【0012】
本発明の光送信モジュールは、光源となる半導体レーザ素子部と、半導体レーザ素子の出力光を変調する機能を備えた電界吸収型光変調器領域と、上記半導体レーザ素子部から放射された光を上記光変調器に光学的に導く手段から構成され、これらが同一基板上に集積された光通信用モジュールにおいて、光変調器の近傍にその吸収端波長を制御することができる手段を配置することを特徴とする。
【0013】
図1に電界吸収型変調器に順バイアスを印加したときの電流−電圧特性を示す。この電流と電圧の関係は、半導体のバンドギャップによって決まるため温度によって変化し、電流値を決めると電圧値は一意的に決まる。したがって、駆動電流を一定に保ったとき、電圧値は温度によって1つの値に定まる。また、駆動電圧を一定に保ったとき、電流値は温度によって1つの値に定まる。以下では、上記の物理現象を利用して吸収端波長を設定波長に対し、±1nm以内の精度で正確に制御する方法を提案する。
【0014】
電界吸収型光変調器近傍に、変調器とは別の導波路のストライプパタンと、これに付随した電極を設ける。このストライプパタンは電界吸収型変調器のストライプパタンに近いほどよいが、電界吸収型変調器の動作や、光導波路に影響を与えない程度に離れていることが必要である。このパタンに、十分に小さな一定電流(たとえば5mA)を通電する。この時の電圧値を測定すると、その電圧値は温度によって一意に決まるり、この電圧値から半導体のバンドギャップを計算できる。このバンドギャップは、電界吸収型光変調器の吸収端波長λEAそのものである。したがって、モニタした電圧をヒータ等の温度調節手段に帰還し、変調器の温度を変えることによって、レーザ光の発振波長に合わせてλEAを最適値に設定することができる。
【0015】
このλEAを制御する流れを図2に示す。これは一例として、電界吸収型変調器の温度制御を薄膜抵抗ヒータによって行う場合である。まず、温度モニタ用のパタンに一定電流Iが流れるようにしておく。このときの電圧値Vを読みとり、この値に応じて薄膜抵抗ヒータの電流を変化させるような温度制御系を考える。あるとき、レーザの発振波長がλ1になったとする。このとき、変調器の吸収端波長λEAがλ1−ΔHになるように変調器の温度をT1に変化させるために、制御回路を用いて変調器の電圧値がV1になるようにヒータの駆動電流を設定すればよい。
【0016】
また、変調器の温度調節器がペルチェ素子である場合、同様にしてペルチェ素子の駆動電流を設定すればよい。他の温度調節機構を用いる場合も、同様にして制御することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図3は本発明の一実施例の、レーザ部にヒータを装荷した電界吸収型変調器集積分布帰還型(EA/DFB)レーザ素子を示す斜視図である。図において、領域11は分布帰還型レーザ部、領域12は電界吸収型光変調器部、領域13は上記レーザ部の光を光変調器部に導く導波路構造を有する両者のアイソレーション部である。また、21はレーザ電極、22は変調器電極、23は薄膜抵抗ヒータ、24はヒータ電極、25はモニタ用電極、26はモニタ用ストライプパタンである。
【0018】
本実施例では、図示するように上記レーザ部11に温度調節用の薄膜抵抗ヒータ23が装荷されている。上記変調器の変調領域近傍には、モニタ用の導波路ストライプパタン26が形成され、このパタンに付随したモニタ用電極25が設置されている。この構造の場合、光変調器の温度調節は素子全体の温度調節と同時にペルチェ素子(図示略)で行う。したがって電界吸収型光変調器の温度を調節するために、モニタ用パタンで測定した電流値または電圧値をペルチェ素子駆動系(図示略)にフィードバックする。
(実施例2)
図4は電界吸収型光変調器12に薄膜抵抗ヒータ23が装荷されたEA/DFBレーザ素子の構造の斜視図である。本実施例では、レーザの温度調節は素子全体と同時にペルチェ素子で行う。電界吸収型光変調器の温度調節のためには、モニタ用パタン26で測定した電流値または電圧値をヒータの駆動系にフィードバックする。
(実施例3)
図5は発光部を分布帰還型レーザを並べてアレイ化した構造の一例の斜視図である。レーザ領域11と変調器領域12は、レーザ部の光を光変調器部に導く導波路構造を有する両者のアイソレーション領域13(この例では曲がり導波路29、多モード干渉合波器27から構成されている)、および半導体光増幅器14を介して光学的に結合されている。
【0019】
本実施例では、レーザの温度調節は素子全体と同時にペルチェ素子で行う。電界吸収型光変調器の温度調節のためには、モニタ用パタン26で測定した電流値または電圧値をヒータの駆動系にフィードバックする。
【0020】
以上述べたように、本発明によれば、電界吸収型光変調器の吸収端波長をモニタし、温度制御機構に帰還することができる。また、本発明の光送信モジュールを有する光送信手段と、この送信手段からの出力光を外部に導波するための導波手段と、この導波手段からの出力光を受信するための受信手段によって、高性能の光通信システム装置を構築することができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、レーザと光変調器をモノリシックに集積した光源を用いた光通信用送信モジュールにおいて、光変調器のバンドギャップをモニタすることで上記変調器の吸収端波長を精度よく制御することができ、レーザの発振波長と変調器の吸収端波長の差を一定にすることで、チャーピング特性、高周波特性等の伝送特性を改善することができる。その結果として、所定の伝送特性が得られる領域が広がり、光送信モジュールの波長可変幅を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸収端波長モニタ用パタンの電流−電圧特性を示すグラフ。
【図2】電界吸収型変調器の吸収端波長制御機構を示す模式図。
【図3】本発明の一実施例の波長可変EA/DFBレーザ素子を示す斜視図。
【図4】本発明の一実施例の波長可変EA/DFBレーザ素子を示す斜視図。
【図5】本発明の一実施例の波長可変EA/DFBレーザ素子を示す斜視図。
【符号の説明】
11…分布帰還型レーザ領域、12…電界吸収型光変調器領域、13…アイソレーション領域、14…光増幅器領域、21…レーザ電極、22…変調器電極、23…薄膜抵抗ヒータ、24…ヒータ電極、25…モニタ用電極、26…モニタ用ストライプパタン、27…多モード干渉合波器、28…光増幅器電極、29…曲がり導波路。
Claims (1)
- 光源となる半導体レーザ素子部と、半導体レーザ素子の出力光を変調する機能を備えた電界吸収型光変調器領域と、上記半導体レーザ素子部から放射された光を上記光変調器に光学的に導く手段から構成され、これらが同一基板上に集積された光通信用モジュールにおいて、
前記光変調器の近傍に前記光変調器とは別の導波路ストライプパターンおよび上記パターンに付随した電極が設けられ、
前記パターンに一定電流を通電し、一定電流を通電したときの前記パターン両端の電圧値をモニタし、
前記レーザ素子部の発振光の波長と前記光変調器領域の吸収端波長との差を一定に保つように、かつ、前記半導体レーザ素子の温度とは独立に、モニタした電圧値に基づき、前記変調器近くに設けたヒータにより変調器の温度を制御することを特徴とする光通信用モジュール。
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