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JP3858724B2 - インクジェット記録用水性インクセット - Google Patents
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JP3858724B2 - インクジェット記録用水性インクセット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用水性インクセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式のプリンター技術とは、急激に加熱し発生した気泡により微小径ノズルからインクを吐出させるバブル方式、電圧印加により変形する圧電素子を用いて微小径ノズルからインクを吐出させるピエゾ方式等により、基本色となる数色のインクを、数ピコリットル〜数十ピコリットルという微小液滴として選択的に紙面上に着弾させることにより画像を形成する印字技術である。
【0003】
このインクジェット記録方式の長所は、微小液滴の吐出を高精度で制御することにより、フルカラーに近い色再現を持ち、かつ、粒状感のない画像形成が可能となり、高印字品質、高印画品質が得られることである。また、着色剤として顔料を用いることで、レーザープリンターに匹敵するシャープなエッジを再現することも可能である。
【0004】
インクジェット記録用水性インクでは、文字及び罫線等の印字に際しシャープなエッジを再現するために、黒インクの着色剤として黒顔料を用いることが有用とされており、写真等の色鮮やかな画像を形成するために、カラーインクの着色剤として染料を用いることが有用とされている。しかしながら、着色剤として黒顔料を用いた黒インクと、着色剤として染料を用いたカラーインクとを組み合わせて使用すると、黒インクとカラーインクとの接触により黒インク中に分散している黒顔料の分散状態が不安定となり、凝集を生じることがある。インクジェット記録方式では、微小径ノズルから高精度にインクを吐出する機構のため、ノズル付近で凝集が生じると、ノズルが目詰まりし、インクの吐出不良や吐出曲がり等の印字品質における重大な劣化を生じるという問題があった。また、メンテナンス用吸引ポンプ内で凝集が生じるとそのポンプが動作不良になるという問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、黒インクとカラーインクとを組み合わせて使用したときに、黒インクとカラーインクとの接触により黒インク中に分散している黒顔料が凝集することなく、インクジェットプリンターでの使用の際に、吐出不良や吐出曲がり等の印字品質における重大な劣化を生じない高い信頼性を有するインクジェット記録用水性インクセットを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、黒インクとカラーインクとからなるインクジェット記録用水性インクセットであって、前記黒インクは、少なくとも、黒顔料、水及び水溶性有機溶媒を含有するものであり、前記カラーインクは、少なくとも、染料、水、水溶性有機溶媒、及び、下記式(1)で表される化合物(1)、下記式(2)で表される化合物(2)及び下記式(3)で表される化合物(3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有するものであるインクジェット記録用水性インクセットである。
【0007】
【化4】
Figure 0003858724
【0008】
式(1)中、Rは炭素数16〜22の直鎖状アルキル基を表し、x=20〜30である。
【0009】
【化5】
Figure 0003858724
【0010】
式(2)中、l+m+n+o+p+q=20〜100である。
【0011】
【化6】
Figure 0003858724
【0012】
式(3)中、Rは炭素数16〜22の直鎖状アルキル基を表し、y=100〜300である。以下に本発明を詳述する。
【0013】
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、黒インクとカラーインクとからなるものである。上記黒インクは、少なくとも、黒顔料、水及び水溶性有機溶媒を含有するものである。
【0014】
上記黒顔料は、上記黒インク中に着色剤として分散されるものである。上記黒顔料としては特に限定されず、市販されている公知のものを使用することができる。なかでも、表面改質処理が施され、顔料粒子の表面にカルボン酸塩、スルホン酸塩等の親水性アニオン官能基が付与された自己分散型黒顔料が好適に用いられる。
【0015】
上記黒顔料の上記黒インクにおける配合量は、固形分として、インク全量に対して0.1〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜15重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%である。
【0016】
上記水としては、脱イオン水(純水)が好ましい。上記水の上記黒インクにおける配合量は、上記黒インク全量に対して40重量%以上であることが好ましい。40重量%未満であると、黒インクの通常時の粘度を正常に噴射可能な低粘度に保つことができないことがある。
【0017】
上記水溶性有機溶媒は、主としてインクジェットヘッドの先端部における上記黒インクの析出及び乾固を防止するために使用される。上記水溶性有機溶媒としては、揮発性が低く、上記黒顔料粒子の分散安定性を阻害しないものが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール類;グリセリン;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類を挙げることができる。これらの水溶性有機溶媒は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0018】
上記水溶性有機溶媒の上記黒インクにおける含有量は、上記黒インク全量に対して5〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは7〜40重量%、更に好ましくは10〜40重量%である。5重量%未満であると、湿潤作用が不充分となり、析出や乾固等の問題を生じることがある。40重量%を超えると、上記黒インクが必要以上に増粘し、吐出不能となったり、記録紙上での乾燥が極端に遅くなったりする等の問題を生じることがある。
【0019】
上記黒インクは、下述の下記式(1)で表される化合物(1)、下記式(2)で表される化合物(2)及び下記式(3)で表される化合物(3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有していてもよい。
【0020】
【化7】
Figure 0003858724
【0021】
上記式(1)中、Rは炭素数16〜22の直鎖状アルキル基を表し、x=20〜30である。
【0022】
【化8】
Figure 0003858724
【0023】
上記式(2)中、l+m+n+o+p+q=20〜100である。
【0024】
【化9】
Figure 0003858724
【0025】
上記式(3)中、Rは炭素数16〜22の直鎖状アルキル基を表し、y=100〜300である。
【0026】
上記カラーインクは、少なくとも、染料、水及び水溶性有機溶媒を含有するものである。上記染料は、上記カラーインクの着色剤として使用されるものである。上記染料としては特に限定されないが、例えば、塩基性染料、酸性染料、直接染料及び反応性染料等のカチオン性又はアニオン性の染料が好ましい。具体的には、カラーインデックスナンバーベーシックレッド1、1:1、2、12、13、14、18、22、27、28、29、34、38、39、46、46:1、67、69、70;カラーインデックスナンバーベーシックバイオレット1、2、3、4、5、7、8、10、11、11:1、20、33;カラーインデックスナンバーベーシックブルー3、6、7、9、11、12、16、17、24、26、41、47、66;カラーインデックスナンバーベーシックグリーン1、4、5;カラーインデックスナンバーベーシックイエロー1、11、19、21、24、25、28、29、36、45、51、67、73;カラーインデックスナンバーベーシックオレンジ14、21、22、32;カラーインデックスナンバーベーシックブラウン1、4;カラーインデックスナンバーダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154、168;カラーインデックスナンバーダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106、199;カラーインデックスナンバーダイレクトレッド1、4、17、28、83、227;カラーインデックスナンバーダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142;カラーインデックスナンバーダイレクトオレンジ34、39、44、46、60;カラーインデックスナンバーダイレクトバイオレット47、48;カラーインデックスナンバーダイレクトブラウン109;カラーインデックスナンバーダイレクトグリーン59;カラーインデックスナンバーアシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112、118;カラーインデックスナンバーアシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、113、117、120、167、229、234;カラーインデックスナンバーアシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、181、256、289、315、317;カラーインデックスナンバーアシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61、71;カラーインデックスナンバーアシッドオレンジ7、19;カラーインデックスナンバーアシッドバイオレット49;カラーインデックスナンバーフードブラック1、2;カラーインデックスナンバーリアクティブレッド180等を挙げることができる。これらの染料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0027】
上記染料の上記カラーインクにおける配合量は、上記カラーインク全量に対して0.1〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜15重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%である。
【0028】
上記カラーインクに使用される水としては、脱イオン水(純水)が好ましい。上記カラーインクに使用される水の上記カラーインクにおける配合量は、上記カラーインク全量に対して40重量%以上であることが好ましい。40重量%未満であると、カラーインクの通常時の粘度を正常に噴射可能な低粘度に保つことができないことがある。
【0029】
上記カラーインクに使用される水溶性有機溶剤は、主としてインクジェットヘッドの先端部における上記カラーインクの析出及び乾固を防止するために使用される。上記カラーインクに使用される水溶性有機溶媒としては、揮発性が低く、染料溶解性が高いものが好ましい。具体的には、例えば、上記黒インクに使用される水溶性有機溶媒と同様のものを挙げることができる。これらの水溶性有機溶媒は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
上記カラーインクに使用される水溶性有機溶剤の上記カラーインクにおける配合量は、上記カラーインク全量に対して5〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは7〜40重量%、更に好ましくは10〜40重量%である。5重量%未満であると、湿潤作用が不充分となり、析出や乾固等の問題を生じることがある。40重量%を超えると、上記カラーインクが必要以上に増粘し、吐出不能となったり、記録紙上での乾燥が極端に遅くなったりする等の問題を生じることがある。
【0031】
上記カラーインクは、上記染料、上記水及び上記水溶性有機溶媒の他に、下記式(1)で表される化合物(1)、下記式(2)で表される化合物(2)及び下記式(3)で表される化合物(3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する。
【0032】
【化10】
Figure 0003858724
【0033】
上記式(1)中、Rは炭素数16〜22の直鎖状アルキル基を表し、x=20〜30である。好ましくは、Rが炭素数18のオレイル基であり、かつ、x=23〜25である。Rが炭素数18のオレイル基であり、かつ、x=23〜25であると、上記黒顔料の凝集防止効果が高い。上記化合物(1)としては特に限定されないが、例えば、レベノールWX、ラテムルWX(以上、花王社製)等が好適に用いられる。
【0034】
【化11】
Figure 0003858724
【0035】
上記式(2)中、l+m+n+o+p+q=20〜100である。好ましくは、l+m+n+o+p+q=25〜80である。l+m+n+o+p+q=25〜80であると、上記黒顔料の凝集防止効果が高い。上記化合物(2)としては特に限定されないが、例えば、エマノーンCH−25、エマノーンCH−40、エマノーン60(K)、エマノーンCH−80(以上、花王社製)等が好適に用いられる。
【0036】
【化12】
Figure 0003858724
【0037】
上記式(3)中、Rは炭素数16〜22の直鎖状アルキル基を表し、y=100〜300である。好ましくは、Rが炭素数18のステアリル基であり、かつ、y=140〜250である。Rが炭素数18のステアリル基であり、かつ、y=140〜250であると、上記黒顔料の凝集防止効果が高い。上記化合物(3)としては特に限定されないが、例えば、エマノーン3199、エマノーン3299、エマノーン3299R(以上、花王社製)等が好適に用いられる。
【0038】
上記化合物(1)、(2)及び(3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の上記カラーインクにおける配合量は、上記カラーインク全量に対して0.001〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜3重量%、更に好ましくは0.05〜1重量%である。
【0039】
上記黒インク及び上記カラーインクには、更に必要に応じて、従来公知の浸透剤、樹脂バインダー、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、pH調整剤、染料溶解剤、防腐防カビ剤等を添加することができる。
【0040】
上記浸透剤は、記録紙へのインクの浸透速度を効果的に速めることにより、インクの紙面上での速乾性を向上させ、記録紙上での遅乾性に起因するブリーディング(異なる色の境界でのにじみ)を防止し、かつ、浸透に伴うフェザリング(紙の繊維に沿ったヒゲ状のにじみ)を防止するために使用される。上記浸透剤としては特に限定されず、例えば、多価アルコールモノアルキルエーテル、1価アルコール等を挙げることができる。なかでも、低臭気性で蒸気圧の低い多価アルコールモノアルキルエーテルエタノールが好適に用いられる。
【0041】
上記多価アルコールモノアルキルエーテルとしては特に限定されず、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。
【0042】
上記多価アルコールアルキルエーテルの黒インク又はカラーインクにおける含有量は、インク全量に対して3〜15重量%が好ましい。3重量%未満であると、インクの記録紙への浸透速度が遅く、乾燥時間、滲みの問題を生じることがある。15重量%を超えると、インクの記録紙への浸透が過剰となり、インクが記録紙の裏まで達してしまったり、滲みの問題を生じたりすることがある。
【0043】
上記1価アルコールとしては特に限定されず、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等を挙げることができる。
【0044】
本発明のインクジェット記録用水性インクセットを、熱エネルギーの作用によってインクを吐出させるインクジェット方式に適用する場合には、比熱、熱膨張係数、熱電導率等の熱的な物性値が調整されることもある。
【0045】
本発明のインクジェット記録用水性インクセットにおいて、上記化合物(1)、(2)及び(3)は、上記黒インク中の上記黒顔料の分散状態を安定化させる効果を有し、上記カラーインク中に添加されることにより、上記黒インクと上記カラーインクとが接触した際にも、上記黒インク中の上記黒顔料の分散が不安定にならないので、凝集を防止することができる。これにより、本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、上記黒インクと上記カラーインクとが組み合わせてインクジェットプリンターに適用されたときでも、ノズルの目詰まりの発生等を防止することができるので、吐出不良や吐出曲がり等の印字品質における重大な劣化を防止し、高い信頼性を得ることができる。また、メンテナンス用吸引ポンプの動作を安定化させることができる。
【0046】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)上記化合物(1)としてレベノールWX(花王社製)をマゼンタインク、及び、シアンインクに添加し、上記化合物(2)としてエマノーンCH−25(花王社製)をイエローインクに添加して、表1に示した組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
【0048】
【表1】
Figure 0003858724
【0049】
(実施例2)上記化合物(2)としてエマノーンCH−60(K)(花王社製)をイエローインク、マゼンタインク、及び、シアンインクに添加して、表2に示した組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
【0050】
【表2】
Figure 0003858724
【0051】
(実施例3)上記化合物(3)としてエマノーン3199(花王社製)をイエローインク、マゼンタインク、及び、シアンインクに添加して、表3に示した組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
【0052】
【表3】
Figure 0003858724
【0053】
(実施例4)上記化合物(2)としてエマノーンCH−80(花王社製)をブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、及び、シアンインクに添加して、表4に示した組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
【0054】
【表4】
Figure 0003858724
【0055】
(実施例5)上記化合物(1)としてレベノールWX(花王社製)をイエローインク、マゼンタインク、及び、シアンインクに添加して、表5に示した組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
【0056】
【表5】
Figure 0003858724
【0057】
(実施例6)上記化合物(1)としてラテムルWX(花王社製)をシアンインクに添加し、上記化合物(2)としてエマノーンCH−40(花王社製)をイエローインク、及び、マゼンタインクに添加して、表6に示した組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
【0058】
【表6】
Figure 0003858724
【0059】
(実施例7)上記化合物(3)としてエマノーン3299(花王社製)をイエローインク、マゼンタインク、及び、シアンインクに添加して、表7に示した組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
【0060】
【表7】
Figure 0003858724
【0061】
(実施例8)上記化合物(1)としてラテムルWX(花王社製)をブラックインク、マゼンタインク、及び、シアンインクに添加し、上記化合物(2)としてエマノーンCH−40(花王社製)をイエローインクに添加して、表8に示した組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
【0062】
【表8】
Figure 0003858724
【0063】
(比較例1〜8)カラーインクに上記化合物(1)、(2)及び(3)を添加しない代りに、添加しなかった上記化合物(1)、(2)及び(3)と同量だけ純水の添加量を増やしたこと以外は、実施例1、2、3、4、5、6、7及び8と同様にして比較例1、2、3、4、5、6、7、及び8のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
【0064】
(比較例9)上記化合物(1)、(2)及び(3)のいずれでもない添加剤としてエマルゲン409P(花王社製)をイエローインク、マゼンタインク、及び、シアンインクに添加して、表9に示した組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
【0065】
【表9】
Figure 0003858724
【0066】
(比較例10)上記化合物(1)、(2)及び(3)のいずれでもない添加剤としてエマノーン1112(花王社製)をブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、及び、シアンインクに添加して、表10に示した組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
【0067】
【表10】
Figure 0003858724
【0068】
(比較例11)上記化合物(1)、(2)及び(3)のいずれでもない添加剤としてデモールN(花王社製)をブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、及び、シアンインクに添加して、表11に示した組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
【0069】
【表11】
Figure 0003858724
【0070】
(評価)実施例1、2、3、4、5、6、7、8及び比較例1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11のインクジェット記録用水性インクセットについて、各インクジェット記録用水性インクをそれぞれ充分に混合攪拌した後、0.8μmのメンブランフィルタで濾過し、以下の評価に使用した。
【0071】
評価試験1:凝集評価
ガラスプレパラート上で黒インクとカラーインクとの接触試験を行い、接触界面を顕微鏡で観察し、以下の基準に従って評価した。
○・・・凝集は見られなかった。
△・・・黒顔料が凝集したが、流動性はあった。
×・・・黒顔料が凝集して固化し、流動性がなくなった。
【0072】
評価試験2:ノズルの目詰まり評価
室温における連続5000回のヘッドノズル面のワイピング試験を実施し、以下の基準に従って評価した。なお、上記ヘッドノズル面のワイピング試験では、黒インク及びカラーインクのそれぞれを吐出するノズル列を、横方向に同時にワイピングするため、黒インクとカラーインクとが接触する環境にある。
○・・・不吐出及び曲がりは全くなかった。
△・・・不吐出又は曲がりが僅かにあったが、5回以内のパージにより回復した。
×・・・不吐出又は曲がりが多数あり、短時間のパージでは回復しなかった。
【0073】
評価試験3:パージ用吸引ポンプ耐久評価
室温における10000回の連続吸引パージ試験を実施し、以下の基準に従って評価した。下記評価において◎及び○の結果を得たものが合格基準を満たしているものとする。
◎・・・10000回の連続吸引パージにおいて1回あたりの吸引量が規定量以上。
○・・・5000回の連続吸引パージにおいて1回あたりの吸引量が規定量以上。
△・・・3000回の連続吸引パージにおいて1回あたりの吸引量が規定量以上。
×・・・3000回の連続吸引パージにおいて1回あたりの吸引量が規定量以下。
【0074】
評価試験1、2及び3の結果を表12に示した。
【0075】
【表12】
Figure 0003858724
【0076】
表12によれば、実施例で調製されたインクジェット記録用水性インクセットは、黒インクとカラーインクとの接触によって、黒インク中に分散している黒顔料が凝集することなく、ノズルの目詰まり、パージ用吸引ポンプの動作不良による問題は生じなかった。一方、比較例で調製されたインクジェット記録用水性インクセットは、評価試験1、2及び3いずれかの結果において問題があった。
【0077】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、黒インクとカラーインクとを組み合わせて使用したときに、黒インクとカラーインクとの接触により黒インク中に分散している黒顔料が凝集することなく、ノズルの目詰まり試験及びパージ用吸引ポンプの耐久試験において充分に高い耐久度を示すものである。本発明のインクジェット記録用水性インクセットをインクジェットプリンターに適用すると、黒顔料の凝集により、吐出不良や吐出曲がり等の印字品質における重大な劣化を引き起こすことはなく、インクジェット機構として長期にわたる安定した性能を保証することができる。

Claims (6)

  1. 黒インクとカラーインクとからなるインクジェット記録用水性インクセットであって、前記黒インクは、少なくとも、黒顔料、水及び水溶性有機溶媒を含有するものであり、前記カラーインクは、少なくとも、染料、水、水溶性有機溶媒、及び、下記式(1)で表される化合物(1)、下記式(2)で表される化合物(2)及び下記式(3)で表される化合物(3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有するものであることを特徴とするインクジェット記録用水性インクセット。
    Figure 0003858724
    式(1)中、Rは炭素数16〜22の直鎖状アルキル基を表し、x=20〜30である。
    Figure 0003858724
    式(2)中、l+m+n+o+p+q=20〜100である。
    Figure 0003858724
    式(3)中、Rは炭素数16〜22の直鎖状アルキル基を表し、y=100〜300である。
  2. 黒顔料は、表面に親水化処理が施された自己分散型黒顔料であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  3. 化合物(1)は、Rが炭素数18のオレイル基であり、かつ、x=23〜25であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  4. 化合物(2)は、l+m+n+o+p+q=25〜80であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  5. 化合物(3)は、Rが炭素数18のステアリル基であり、かつ、y=140〜250であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  6. 化合物(1)、(2)及び(3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物のカラーインクにおける配合量が、カラーインク全量に対して0.001〜5重量%であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のインクジェット記録用水性インクセット。
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