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JP3860138B2 - 土石流警戒区域生成装置及びそのプログラム - Google Patents
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JP3860138B2 - 土石流警戒区域生成装置及びそのプログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地形情報から、土石流特別警戒区域及び土石流警戒区域を推定し推定した各区域を地形図に図示する方法、装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、土石流の警戒区域、特別警戒区域を推定するには、土石流の発生しそうな渓流及び、渓流の出口において、ある一定量の土砂流出があったとし、等高線表記のある地図、地形図、航空写真等を用いて、谷の断面積を計算し、渓流に対して、土石流がどれくらいの高さになるか計算していた。さらに、渓流の出口以降の下流域においては、土石流の進む方向、広がる範囲を等高線などから標高を得て、推測していた。
【0003】
又、渓流の傾斜による、流出土砂の速度、破壊力なども、地図などから、渓流の幅、傾斜を計算し、流速を計算することで、推定していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、土石流が発生すると考えられる渓流、渓流の出口において、土石流が及ぶと仮定される警戒区域、人的、経済的被害が及ぶと考えられる特別警戒区域を設置して、土地利用の注意、住民への大雨時の注意喚起などを行ってきた。警戒区域の設定にあたっては、谷の形状、流域面積、渓流の斜度等から、一般的に危険渓流とされる判断基準があり、その下流域、谷の出口などにおいて、過去の災害情報、経験に基づいて警戒域の設定を行っていた。土石流の流れる経路、範囲については傾斜、標高などを考慮に入れ、複数の調査地点を設置し、地図から得れる情報を元に推定していた。
【0005】
特別警戒区域の設定にあたっては、渓流の流域面積から、流出すると仮定される土砂量を推定し、推定した土砂量に対して、地形、地形断面、傾斜などを考慮し、土石流の流れる流線を推定し、流線に沿って、土石流の高さ、流れる方向、広がる範囲を推定していた。推定にあたっては、例えば、流線上に複数の調査ポイントを設け、調査ポイントごとに、地図から、地形断面積、傾斜などを計算し、流出土砂量を元に、土石流の高さ、流体力などを計算していた。
【0006】
しかし、いずれの区域を推定する場合も、調査地点毎に地図から計算を行うことは、多大な時間と労力を要していた。さらに、経験を積んだ担当者が必要であった。
【0007】
また、土石流が流れると推定される流線についても、地図を見て流線を設定するため、流線を設定する担当者の経験に頼ることとなり、客観的な情報を元にした設定ではなかった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、誰にでも簡単にすばやく警戒区域の設定ができるようにすることである。
【0009】
なお、上述したある1つの発明が、上記した全ての目的を同時に達成するものと解されるべきではなく、個々の発明が、それぞれの目的を達成するものと解されるべきである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明による土石流警戒区域生成装置は、地理情報を記憶した地理情報記憶手段と、
表示装置と、
前記表示装置に前記地理情報を地形図を含む地図として表示する地理情報表示手段と、 入力装置と、
前記入力装置によって、前記地理情報表示手段により前記表示装置に表示された前記地図に対して位置情報を入力する位置情報入力手段と、
前記表示装置に前記地理情報表示手段により表示された前記地図に対する前記入力装置による動作に応じて、前記位置情報入力手段により指定された地点を氾濫開始点とする氾濫開始点指定手段と、
前記入力装置の動作に応じて前記氾濫開始点における流出土砂量を設定する流出土砂量設定手段と、
前記表示装置に前記地理情報表示手段により表示された前記地図において、前記入力装置による動作に応じて、前記位置情報入力手段により指定された複数の位置により流線を設定する流線設定手段と、
前記表示装置に前記地理情報表示手段により表示された前記地図における前記流線設定手段により設定された流線上において、前記入力装置による動作に応じて、前記位置情報入力手段により指定された複数の位置を調査実施点として指定する調査実施点指定手段と、
前記調査実施点指定手段により指定された前記調査実施点において、前記地理情報記憶手段に記憶されている前記地理情報から前記流線設定手段により設定された流線の傾斜角を求め、その傾斜角と前記流出土砂量設定手段により設定された前記氾濫開始点における前記流出土砂量とに基づいて、各調査実施点における流下土石量を演算する流下土石量演算手段と、
前記地理情報記憶手段に記憶されている前記地理情報を読出し、その地理情報から、前記調査実施点指定手段により設定された前記調査実施点における前記流線に垂直な方向の横断測線に沿った地形断面図を求める地形断面図演算手段と、
前記各調査実施点において、前記地形断面図演算手段により演算された前記地形断面図から、前記流下土石量演算手段により演算されたその各調査実施点における前記流下土石量に対応する断面積が得られる水準標高hを演算する水準標高演算手段と、
前記各調査実施点において、前記地形断面図演算手段により演算された前記地形断面図における最低標高と、前記水準標高演算手段により演算された前記各水準標高hとから、前記前記各調査実施点における土石流水深Hを演算する水深演算手段と、
前記水深演算手段により演算された前記土石流水深Hから、前記各調査実施点における土石流の流体力Fd を演算する流体力演算手段と、
前記水深演算手段により演算された前記土石流水深Hから、前記各調査実施点における建築物の耐久力p2 を演算する耐久力演算手段と、
前記流体力演算手段により演算された前記各調査実施点における前記流体力Fd と、前記耐久力演算手段により演算された前記各調査実施点における前記耐久力p2 との関係が、 d >p 2 を満たす調査実施点を求める調査手段と、
前記調査手段により求められたFd >p2 を満たす前記調査実施点における前記地形断面図演算手段により演算された前記地形断面図と、その調査実施点における前記水深演算手段により演算された前記土石流水深Hに対応する横断側線との交点を、前記土石流の境界点として、左右岸それぞれ演算する境界点演算手段と、
前記境界点演算手段により演算された、これらの境界点を土石流特別警戒区域境界点として決定する土石流特別警戒区域境界点手段と、
前記各調査地点での前記土石流特別警戒区域境界点を連結することにより得られる多角形の区域を土石流特別警戒区域とする特別警戒区域生成手段と、
前記特別警戒区域生成手段により生成された前記土石流特別警戒区域を前記地図上に重畳表示する特別警戒区域出力手段と
有することを特徴とする土石流警戒区域生成装置である。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、地理情報を記憶した地理情報記憶手段と、表示装置と、演算処理を実行する中央処理装置とを有するコンピュータシステムの中央処理装置に各処理を実行させるためのプログラムであって、
前記表示装置に前記地理情報を地形図を含む地図として表示する地理情報表示手順と、 前記入力装置によって、前記地理情報表示手順により前記表示装置に表示された前記地図に対して位置情報を入力する位置情報入力手順と、
前記表示装置に前記地理情報表示手順により表示された前記地図に対する前記入力装置による動作に応じて、前記位置情報入力手順により指定された地点を氾濫開始点とする氾濫開始点指定手順と、
前記入力装置の動作に応じて前記氾濫開始点における流出土砂量を設定する流出土砂量設定手順と、
前記表示装置に前記地理情報表示手順により表示された前記地図において、前記入力装置による動作に応じて、前記位置情報入力手順により指定された複数の位置により流線を設定する流線設定手順と、
前記表示装置に前記地理情報表示手順により表示された前記地図における前記流線設定手順により設定された流線上において、前記入力装置による動作に応じて、前記位置情報入力手順により指定された複数の位置を調査実施点として指定する調査実施点指定手順と、
前記調査実施点指定手順により指定された前記調査実施点において、前記地理情報記憶手段に記憶されている前記地理情報から前記流線設定手順により設定された流線の傾斜角を求め、その傾斜角と前記流出土砂量設定手順により設定された前記氾濫開始点における前記流出土砂量とに基づいて、各調査実施点における流下土石量を演算する流下土石量演算手順と、
前記地理情報記憶手段に記憶されている前記地理情報を読出し、その地理情報から、前記調査実施点指定手順により設定された前記調査実施点における前記流線に垂直な方向の横断測線に沿った地形断面図を求める地形断面図演算手順と、
前記各調査実施点において、前記地形断面図演算手順により演算された前記地形断面図から、前記流下土石量演算手順により演算されたその各調査実施点における前記流下土石量に対応する断面積が得られる水準標高hを演算する水準標高演算手順と、
前記各調査実施点において、前記地形断面図演算手順により演算された前記地形断面図における最低標高と、前記水準標高演算手順により演算された前記各水準標高hとから、前記前記各調査実施点における土石流水深Hを演算する水深演算手順と、
前記水深演算手順により演算された前記土石流水深Hから、前記各調査実施点における土石流の流体力Fd を演算する流体力演算手順と、
前記水深演算手順により演算された前記土石流水深Hから、前記各調査実施点における建築物の耐久力p2 を演算する耐久力演算手順と、
前記流体力演算手順により演算された前記各調査実施点における前記流体力Fd と、前記耐久力演算手順により演算された前記各調査実施点における前記耐久力p2 との関係が、 d >p 2 を満たす調査実施点を求める調査手順と、
前記調査手順により求められたFd >p2 を満たす前記調査実施点における前記地形断面図演算手順により演算された前記地形断面図と、その調査実施点における前記水深演算手順により演算された前記土石流水深Hに対応する横断側線との交点を、前記土石流の境界点として、左右岸それぞれ演算する境界点演算手順と、
前記境界点演算手順により演算された、これらの境界点を土石流特別警戒区域境界点として決定する土石流特別警戒区域境界点手順と、
前記各調査地点での前記土石流特別警戒区域境界点を連結することにより得られる多角形の区域を土石流特別警戒区域とする特別警戒区域生成手順と、
前記特別警戒区域生成手順により生成された前記土石流特別警戒区域を前記地図上に重畳表示する特別警戒区域出力手順と
を前記中央処理装置に実行させるプログラムである。
【0012】
本欄では、各請求項に記載の発明に関して、主としてその作用及び効果を記載する。発明の理解を容易にするために、例示的に具体化して説明しているが、請求項の構成を限定するものではない。そして、例示的に具体化して説明した部分は、発明の実施の形態の説明でもある。
【0013】
請求項1の発明によれば、地図に対して指定した地点を氾濫開始点とし、流出土砂量を与え、土石流が流下すると仮定される流線上に設定した複数の調査実施点において、氾濫開始点に近い調査地点から順に地理情報を用いて地形断面積と潤辺から得られる流量とが釣り合う土石流の水準標高hを求める。求めた土石流の水準標高hを用いて、土石流の水深Hを求める。この、土石流水深Hを用いて土石流の流体力Fd 及び、建築物の耐久力p2 を求め、Fd <p2 となる調査地点まで順に調査し、Fd >p2 である調査地点での土石流水深Hから求められる地形断面と土石流との境界点を左右岸それぞれ求め、それらの境界点を土石流特別警戒区域境界点とすることにより、土石流が発生した場合、建築物に被害が及ぶと考えられる範囲を土石流特別警戒区域とすることができるようになる。
【0014】
さらに、各調査地点での土石流特別警戒区域境界点を連結することにより得られる多角形の区域を土石流特別警戒区域とすることができるようになる。このように、流出土砂量、実際の谷の形状を用いて、土石流の高さを推定する。推定した土石流の高さを用いて土石流の流体力を求めるようにしたため、実際に土石流が発生した時に近い特別警戒区域を設定することが可能となる。また、初期値として与える流出土砂量については、例えば、流域面積、時間当たりの降雨量、積算降雨量などを元に、複数の場合について初期値を与えることにより、簡単に様々な状況を想定することが可能となる。
【0015】
さらに、生成された土石流特別警戒区域を地図上に出力することが可能となるので、地図上にて確認することが可能となる。
【0016】
このように土石流警戒区域生成装置を構成することにより、多大な時間と労力と経験とを必要とすることなく、誰にでも、特別警戒区域の生成を行うことが可能となる。従って、費用、時間などの面から、これまで、特別警戒区域の設定を行うことができなかった地域においても、特別警戒区域の調査を行うことが可能となり、降雨量などにより、より適確に、建設禁止区域や避難情報などを提供できるようになる。
【0017】
土石流は、流下する速度が速いため、一旦発生してしまうと、避難することが難しく、過去においても、多数の人命、財産が失われてきた。このような災害に対しては、予め被害想定を行い早めの避難によってのみ対応が可能となる。また、被害が予想される地域においては、住宅の建設、公共施設の設置などを行わないようにすることも可能となる。このような土石流の警戒区域、特別警戒区域の予想が様々な地域で簡単に行うことが可能となる。
【0018】
請求項2のプログラムに関する発明は、請求項1の土石流警戒区域生成装置の発明に対応する。すなわち、請求項2に記載の手順をコンピュータに実行させるためのプログラムは、そのプログラムをコンピュータにおいて実行するとき、請求項1に記載の土石流警戒区域生成装置の動作及び効果を奏するものである。よって、発明の作用及び得られる効果は、請求項1の装置発明の作用及び効果と同一であるので、重複記載を省略する。
【発明の実施の形態】
【0019】
以下、本発明の土石流警戒区域生成装置について図面を参照して説明する。図1に本発明の土石流警戒区域生成装置の一実施例を示す。本発明の土石流警戒区域生成装置は、制御装置10、入力装置20、表示装置30により構成され、制御装置10は、CPU40、記憶手段61、GIS60により構成される。
【0020】
CPU40は、警戒区域を生成する警戒区域生成手段41、警戒区域を地図上に出力するようGIS制御部68に指令を出力する警戒区域出力手段51、特別警戒区域を生成する特別警戒区域生成手段42、特別警戒区域を地図上に出力するよう指令を出力する特別警戒区域出力手段52、所定の半径の円周上における最低標高点を探索する最低標高点探索手段46、中心となった格子点から、探索した最低標高点を結ぶ矢印表示を行うようGIS制御部68に指令を出す最低標高点矢印出力手段56、地図上の複数のポイントを指示することにより流線を設定する流線設定手段47、設定した流線を地図上に出力するよう指令する流線出力手段57、流線断面図表示手段67により表示されている流線断面図の表示に対して、流線断面図位置入力手段65により流線上の任意の地点を指示することにより、地図上の対応する流線上の位置を設定する流線断面図指示位置設定手段48及び、指示された位置を地図上の位置として出力するよう指令する流線断面図指示位置連動表示出力手段58からなり、記憶手段61は、ハードディスク装置、CD、DVD、フラッシュメモリ、RAM,ROMなどの1種又はそれらの組み合わせからなり、必要な情報、プログラム等が予め記憶され、必要な情報を一時的に記憶する。なお、CPU40が上記の各手段を構成しているように説明したが、各手段は、ハードウエアとしてはCPU40で構成され、ソフトウエアとしてはCPU40の実行する処理ステップによっても構成されている。また、請求項のプログラムに関する発明を記述した手順は、これらの各手段において実行されるCPU40の処理手順を意味する。
【0021】
GIS60は、位置情報入力手段63により、入力された位置情報と、記憶手段61の地理情報記憶手段62に記憶されたデータベースを用いて、GIS制御部68により、文字や数字、画像などを地図と結びつけて、位置や場所から標高、傾斜などの情報を分かりやすく地理情報表示手段66により、地図表現するものである。位置情報入力手段63は、表示された地理情報に対し、入力装置20であるマウスなどのポインティングデバイスにより、位置を入力すると、内部的な位置情報として認識するものである。地理情報表示手段66は、GIS制御部68の指令により地理情報記憶手段62から読み出された地理情報を画像に変換し表示装置30へ送るものである。GIS制御部68は、上述した以外に、CPU40からの指令を受けて、位置情報入力手段63からの入力情報をCPU40へ与えたり、地理情報表示手段66を介して、表示装置30への必要な表示を行う制御を行う。なお、土石流警戒区域生成装置は、図示した以外に、ROM、RAM、システムバス、外部バス、外部記憶メモリ、及びROM内のプログラムから構成されるコンピュータ装置により構成される。地理情報システム60に付いては、GISエンジンなどが用いられる。
【0022】
さらに、地理情報の一部として、例えば、Tin(Triangulated Irregular Network: 不規則三角網)を模した形式の3次元ポリゴンデータを使用することにより、任意点の地形傾斜および任意区間の平均傾斜、あるいは流線上の計測地点における支配勾配をGIS制御部68に指令することにより、得ることができるようになる。任意区間の平均傾斜とは、2点間の直線上平均傾斜角のみでなく、複雑に屈曲した任意線上での、任意区間平均傾斜も求めることが可能となる。
【0023】
さらに、このようなデータを利用することで、任意地点の傾斜を連続的に取得できるので、要求される傾斜角のために、何らかの関数が介在する変則的な角度の決定にも対応できるようになる。このようなGISのデータの形、利用方法に付いては良く知られているので、ここでは、詳しく説明しない。
【0024】
次に、本発明による、土石流警戒区域の生成の方法と、土石流警戒区域生成装置の動作及び、処理手順について図を用いて詳細に説明する。先ず、図2、図3、図4を用いて土石流警戒区域の設定について説明し、合わせて、図9、図10、図11のフローチャートを用いて処理の手順について説明する。
【0025】
先ず、表示装置30に、土石流が発生すると考えられる地域をGISのデータベースである地理情報を用いて、表示させる。次に、表示させた地図に対してマウスなどを用いて、位置情報入力手段63により範囲を指定する。指定した範囲において、土石流が発生した場合土石流が流下すると仮定される流線に沿った土石流警戒区域の探索を行うために流線をまたぐ左右各岸の初期基準点となる基準点L0、R0 、2点を位置情報入力手段63により与える(ステップ100)。ここで用いる流線は、あとで詳述する流線設定手段47により設定されたものである。
【0026】
次に、警戒区域生成手段41において、地理情報記憶手段62に記憶された地理情報を用いて、左右各岸の各々の基準点Li(0 ≦i≦m) ,Rj(0≦j≦n) から左右岸それぞれ個別に探査行う(ステップ102、ステップ104)。先ず、図2を用いて説明する。図中においては、L0 、L1 、と、左岸を例にとって図示している。左岸においては、先ず、初期基準点L0 を中心に、例えば半径30mの円を考える。この時、円周が、流線に掛かる場合は、流線を越えない領域で考えることとする。次に、円周上で、標高の最も低い地点を探索する。この標高の低い地点の探索は、GIS60において、GIS制御部68に対して警戒区域生成手段41から指令を出すことにより、各点の標高データが得られる。上記領域内で且つ円上において、標高の最も低い地点を、A0 とする(ステップ120)。
【0027】
基準点L0 から半径30mの円周上における流線を超えない領域で円周上の最低標高の地点A0 との間の傾斜角度が、所定の基準値、例えば、2度以下になると、これ以降の探索を行わないので、先ず、傾斜角度を調べる(ステップ122)。ステップ124にて、傾斜角度を調べ、判断する。2度以上の場合は、探索を続けるので、A0 から、下流方向で、山側に、例えば30度の地点をB0 とする(ステップ126)。A0から、B0の円弧上で、基準点の標高に対して所定値だけ低く(等しい又は高い)なる、流線に最も近い点を探索するために、探索地点をCkとして初期位置として、地点Akの位置をセットする(ステップ128) 。
【0028】
次に、探索する地点を山側に1STEP、例えば、1度山側に移動させ、この地点をCkとする(ステップ130) 。次に、地点Ckが、地点Bkの位置を越えていないかチェックする(ステップ132) 。これにより、探索範囲が、基準点から所定の角度以上となるのを防ぐ。超えていない場合は、地点Ckの標高と基準点Dkの標高差が所定のdZを超えていないか判断する。超えていなければ、ステップ130に戻り、もう1STEP山側の地点をセットし、ステップ134までを繰り返し、探索を続ける。ステップ132において、地点Bkの位置を超えた場合と、ステップ134において、(地点Ckの標高−基準点Dkの標高)が標高差dZを超えた場合は、ステップ136に進み、K=k+1 とし、ステップ138において、現在の探索地点Ckを次の基準点Dkとする。ステップ120へ戻り、次の基準点の探索を続ける。
【0029】
基準点Li から所定の半径Rの円周上における流線を超えない領域で円周上の最低標高の地点Ai との間の傾斜角度が、所定の基準値例えば、2度になるまで、警戒区域探査条件により得られる点を次の基準点Li+1 とし探査を続ける(ステップ124) 。傾斜が、2度以下になった場合、次の基準点Li+1 の探査を終了し基準点Li を最終基準点Lm として左岸の基準点の探索を終える。(図3参照。)
【0030】
図2における具体的な探索結果で説明すると、次のようになる。地点A0から地点B0に向けて地点C0の探索を開始するが、地点B0までの間に、基準点標高に対する標高差が所定値以上となる地点が存在しないので、地点B0が、次の基準点L1とされる。また、地点L1を中心とする円周上では、A1とB1の間で、基準点標高に対する標高差が所定値(実施例では0、一般的には負値を採用)以上となる地点が存在するので、この地点C1が、次の基準点L2とされる。このように探索することにより、円弧AkBk上で、次の基準点Lk+1 が探索できるようになる。なお、所定値に正値を採用すると、基準点よりも所定値だけ高い標高を次の基準点とすることになり、特別な場合を除いては、山側に警戒区域が拡大するので、望ましくない。
【0031】
ここで、半径30m、所定の角度を30度としているのは、経験的に、この数値を用いることにより、最も、土石流の警戒区域として適正な区域が得られるためである。しかし、警戒区域を設定する地域の傾斜、地質、形状、その他要因によっては、その数値を、増減させても良い。標高差dZ、傾斜角度についても、同様に、最も適切な値が、dZ=0m 、傾斜角度=2度であるが、これも、警戒区域を設定する地域の傾斜、形状、地質、その他要因により変化させても良い。尚、傾斜角度2度は、従来、土石流危険渓流を設定する時に使用されてきた渓床の傾斜である。
【0032】
右岸においても同様に、基準点Ri から所定の半径R例えば、30m の円周上における流線を超えない領域で円周上の最低標高の地点との間の傾斜角度が、2度になるまで、警戒区域探査条件により得られる点を次の基準点Ri+1 とし探査を続け、所定の基準値以下になった場合、次の基準点Ri+1 の探査を終了し基準点Ri を最終基準点Rn として探索を終了する。図4には、左右岸同数の基準点を探索しているが、もちろん左右岸異なる数の基準点が、探索されることもある。
【0033】
次に、初期基準点L0 、R0 を結ぶ辺を含む各基準点Li(0 ≦i≦m) ,Rj (0≦j≦n) を順次連結し、さらに最終基準点Lm 、Rn を結ぶことにより得られる多角形を土石流警戒区域とする(ステップ106)。(図4参照。)
【0034】
次に、警戒区域生成手段41において、生成された警戒区域を地図上に出力する指令をGIS制御部68に対して、警戒区域出力手段51が行い、地図上に警戒区域が表示されるよう、表示装置30に表示される(ステップ108)。
【0035】
上記の実施例では、傾斜角が2度より小さい場合に探索を終了し、その時の基準点を最終基準点Lm 、Rn とした。しかし、傾斜角が2度より小さくなった場合に、円上の探索を行って上記の所定条件を満たす次の基準点Li+1 、Rj+1 を求めた後に、探索を終了するようにしても良い。よって、この場合には、基準点Li+1 、Rj+1 が最終基準点Lm 、Rn となる。
【0036】
次に、特別警戒区域の生成の方法と、土石流警戒区域生成装置の動作及び、処理手順にについて図を用いて詳細に説明する。図5、図16、図17を用いて土石流警戒区域の設定について説明し、合わせて、図12、図13、図14、図15のフローチャートを用いて処理の手順について説明する。
【0037】
先ず、土石流特別警戒区域を設定しようとする区域を表示装置30へ表示させる。次に、予め設定されている流線上に位置情報入力手段により氾濫開始点K0 を設定する(ステップ200)。この氾濫開始点は、例えば、後で詳しく説明する流線断面図表示手段により、流線の傾斜を確認し、さらに流線断面図指示地点連動表示出力手段により、流線の傾斜の変化する所と、地図上の対応する地点が、地形的にも氾濫開始点として適当か判断し設定する。
【0038】
次に、調査実施点を設定するために、流線上に、ポイントを入力又は、調査実施点の間隔等を入力し、調査実施点(K1 ,K2 )を設定する。次に、調査実施点で、流線に直交する地形の横断測線の幅(l)を入力し、横断測線( D0 、D1 、D2 )を設定する。このとき、規定値を用いる場合は、特に入力を必要としない(ステップ200)。
【0039】
次に、次の初期値の設定を行う(ステップ201)。
砂礫密度 σ(t/ m3 ) =2.6
泥水密度 ρ(t/m3 ) =1.2
内部摩擦角 φ(度) =35
粗度係数n N* =0.1
容積濃度C C* =0.6 上限値=0.9
流域面積係数 α =7.3
流域幅算定係数 β =0.5
【0040】
次に、初期値の算出を行う(ステップ202)。
先ず、地理情報記憶手段62に記憶された地理情報により、氾濫開始点を基準点として、その基準点実傾斜角θr 、基準点傾斜角θを取得する。傾斜角は、現地点と、現地点からから所定の距離だけ上流側にさかのぼった地点間の平均傾斜である。ここでの実傾斜角θr とは、流線に沿って、上流方向にとった一定区間の平均勾配であり、演算値をそのまま用い、傾斜角θは、下流方向に対する傾斜が上り勾配となったとき、直前の下り勾配を使用することで、上り勾配を無視して、計算に用いる傾斜角のことである。
【0041】
基準点土石流濃度Cd0を求める。土石流濃度Cd0は全体に対する土砂/(土砂+水)の体積比である。
傾斜角θ(指定距離間の平均傾斜角) とした時、
基準点土石流濃度Cd0は、式(1)で求められる。
【数1】
Cd0 =ρ・Tanθ/(σ−ρ)/(Tanφ−Tanθ) …(1)
但し、基準点土石流濃度の上限値は、Cd0≦C* ・0.9 とする。(1)式の意味するところは、Cd0 は傾斜角θの関数であり、0度からある値までは増加し、その後減少する特性を示す。すなわち、傾斜角が大きいほど、水成分が下流に流出するので、全土石流に対する土砂成分が大きくなることを意味している。
【0042】
次に、流水量Wを求め、基準点ピーク流量Q0 を求める。流水量Wは土石流のうちの水成分の流量をいい、ピーク流量は時間軸上で見た最大流量を意味する。
ピーク流量は、流量が逓減する場合と、逓減しない場合がある。
先ず、流量が逓減する場合は、流水量Wは、流出土砂量をVとすると、式(2)で与えられる。流出土砂量は氾濫開始点において、その点付近における地形や地質を評価して見積もられた値であり、以下の演算モデルにおいて、氾濫開始点において流出土砂量Vの土石流が沸き出したとするものである。
【数2】
W=0.6・V・(1−Cd0 )/Cd0 …(2)
(2)式の意味するところは、流水量Wは土石流濃度Cd0が大きくなるほど小さくなるという特性を示している。すなわち、全土石流に対する土砂成分が大きいほど水成分が少ないので、その土石流からの流水量Wは小さくなるという当然のモデルを表している。
逓減土砂量dVは、
【数3】
dV=W・Cd0/(1−Cd0) …(3)
流量が逓減する場合の基準点ピーク流量Q0 は、式(4)により求めることができる。逓減土砂量dVは、土石流が下流に向かうにしたがって土砂を堆積していくというモデルである。
【数4】
0=0.01・C*・dV/Cd0 …(4)
【0043】
一方、流量が逓減しない場合の基準点ピーク流量Q0 は、式(5)により求めることができる。
【数5】
0=0.01・C*・V/Cd0 …(5)
ここで、流出土砂量Vは、経験的に、川の流域面積、降水量等から求められる数値である。また、降雨量、流出土砂量を変化させることで、被害の想定を行うことも可能である。
【0044】
次に、ステップ204において、調査実施点における土石流の水深Hを求める。図14、図15のフローチャートを用いて説明する。
先ず、ステップ250において、地理情報から、土石流の水深Hを求める調査地点での地形実傾斜角θr 、傾斜角θ、土石流の水準標高hを求めるために先ず、仮定標高hを取得する。土石流の仮定標高hは、調査地点の横断測線断面上の最低標高と、最大標高の中間標高である。つまり、谷の半分の深さの標高を初期値とする。この時の最大標高は、谷の高さが右岸と左岸で異なる場合は、低い方の標高を用いることとする。土石流の仮定標高hは、式(6)により与えられる。
【数6】
h=(断面最低標高+最大標高)/2 …(6)
【0045】
調査地点nでの、土石流濃度Cdn を式(7)により求める。
【数7】
Cdn =ρ・Tanθ/(σ−ρ)/(Tanφ−Tanθ) …(7)
但し、土石流濃度Cd ≦C*・0.9。これは、基準点での土石流濃度と同一意味である。
【0046】
次に、流量が逓減する場合のピーク流量Qn を求めるために、逓減土砂量dVを式(8)により求める。
【数8】
dV=W・Cdn/(1−Cdn) …(8)
流水量Wは、直前の横断測線位置で求められたピーク流量Qn-1 、又は、基準点(氾濫開始点)でのピーク流量Q0 を用いる。すなわち、流水量として、一つ前の調査地点でのピーク流量を用いる。
【数9】
W=Qn-1 …(9)
(n−1の横断測線位置での計算済みのものを使用。基準地点ピーク流量Q0
【0047】
流量が逓減する場合のピーク流量Qn を式(10)により求める。
【数10】
n =0.01・(W+dV) …(10)
【0077】
流量が逓減しない場合のピーク流量Qn を式(11)により求める。
【数11】
n =Qn-1・(C*−Cd0)/(C*−Cd) …(11)
ここでの、土石流濃度についても、基準点の土石流濃度Cd0を用いたが、比較断面となる直前の横断測線位置での計算値Cdn-1 を用いても良い。
【0048】
次に、流下土石量Vn を式(12)により求める。流下土石量Vn は第n調査地点における流出土石流量を意味し、初期値は氾濫開始点における流出土砂量Vである。
基準地点ピーク流量 Q0
基準地点土石流濃度 Cd0
土石流濃度 Cd n
【数12】
n =Q0・Cdn・(C*−Cd0)/0.01/C* /(C*−Cdn ) …(12)
【0049】
すなわち、流下土石量Vn はその第n調査地点におけるCdnの関数、したがって、その地点における傾斜角θの関数で与えられる。
ここでは、比較元のピーク流量として、基準点ピーク流量Q0 を用いたが、直前の調査地点の横断測線でのピーク流量Qn-1 を比較地点ピーク流量として用いても良い。土石流濃度についても同様に、基準点土石流濃度Cd0を用いたが、直前の調査地点の横断測線での土石流濃度Cdn-1 を用いても良い。
【0050】
次に、レジューム流域推定幅Bを式(13)により求める。
【数13】
B=α・(Qn**β) …(13)
ただし、「**」の記号は巾乗を意味する。すなわち、Qn**βは、Qnのβ乗を意味する。以下、同一定義とする。
地形的な制限により、地形幅を求められない場合に用いる。また、レジューム幅は、増加しないものとする。
【0051】
これで各調査地点における傾斜角θに依存した各変数の初期値が求められる。次に、土石流の水深を求めるために、土石流の仮定標高をhとして、地理情報を用いて、調査地点の仮定標高hまでの断面積、及び潤辺長を求める(ステップ252)。潤辺とは、横断測線断面図において土石流と接触している地形部分の辺(v字形状の曲線辺)をいい、潤辺長とはその長さを意味する。すなわち、上記の各変数の初期値は、横断測線断面図における地形が考慮されていないので、以下の手順は、横断測線断面図における地形を考慮して、土石流の水深Hを求めている。
【0052】
次に、仮定標高hの時の地形から、求められるピーク流量Qh を式(14)により求める(ステップ254)。
【数14】
Qh=(1/N*)・((断面積/潤辺長)**(2/3))・(sinθ)**(1/2)・断面積 …(14)
すなわち、Qh は横断測線断面図における地形を考慮して求められるピーク流量となる。
【0053】
次に、ステップ256において、先に求めた第n調査点での初期値であるピーク流量Qn と、地形から求められるピーク流量Qh を比較し、Qh のほうが小さい場合、仮定標高hを増加させる(ステップ258)。Qh のほうが大きいか、一致する場合、ステップ260に進む。ステップ260において、再び、ピーク流量Qn と比較し、Qhが大きい場合は、仮定標高hを低くする(ステップ262)。
【0054】
ここで、hの増減の方法についてのべる。初期値が、谷の深さの1/2 であったので、増加させる場合は、谷の深さの(1/2)**2の高さを仮定標高h へ増加させる。低くする場合も、同様に谷の深さの(1/2)**2の高さを仮定標高h から減少させる。
つまり、繰り返し回数をjとすると、j回目の仮定標高hは、式(15)により得られる。
【0055】
【数15】
h=(断面最低標高+最大標高)/2
±(最大標高−断面最低標高)・(1/2)**2
±(最大標高−断面最低標高)・(1/2)**3
±(最大標高−断面最低標高)・(1/2)**4
± ……
±(最大標高−断面最低標高)・(1/2)**(j+1) …(15)
となる。また、ここでは、分かりやすくするために、一致した場合のみ、ステップ264に進むが、実際は、一定の許容範囲内にQh が入った時点で、計算を終了させる。
【0056】
仮定標高hを増減させた場合は、ステップ252に戻り、再び、同様の計算をし、許容範囲内に入るまで、仮定標高hを増減させ、ピーク流量Qn と一致する仮定標高hを求める。すなわち、地形から求められるピーク流量Qhが傾斜角から求められた初期値としてのピーク流量Qn と一致する標高hを決定することになる。
【0057】
仮定標高hによる横断測線断面図の地形を考慮したピーク流量Qh が、それを考慮しない傾斜角だけ考慮したピーク流量Qn と一致すると、ステップ264へ進む。この時点において決定された仮定標高hは土石流の水準標高hとなる。
【0058】
ここで、図16により具体的な地形において水準標高hを求める場合について説明する。図16は、横断測線による地形断面図の説明図である。図16(a) は、谷の断面において、最高標高と、最低標高の中間の標高に仮定標高hを設定した例である。この例の場合、谷の右側の標高が、左側の標高より低いので、左側の標高により谷の断面の最高標高とする。仮定標高hまで、土石流の高さが有ったとした場合、斜線を付した部分が、土石流の断面積となり、土石流が谷の地形に接している部分(谷の輪郭の太線の部分) が、潤辺である。仮定標高h と地形線との交点から土石流の幅が得られる。このとき土石流の水深は、仮定標高h と、断面最低標高の差である。仮定標高h から、潤辺長と、断面積をGISから得る。得られた潤辺長と断面積を用いて、上述した方法により、ピーク流量Qh を求める。求めた地形によるピーク流量Qh が流出土砂量による流量Qn より少ない場合は、仮定標高hを谷の深さの((1/ 2)**2) 高くする。
【0059】
高くした例が、(b)図である。土石流が仮定標高hまで有るとして、再び、断面積、潤辺長を仮定標高hと、GISにより得る。同様の手順により、地形によるピーク流量Qh を得、流出土砂量による流量Qn と比較する。次に、地形によるピーク流量Qh のほうが多い場合については、仮定標高hの高さを谷の深さの((1/2)**3)低くする。(b)の仮定標高hより、谷の深さの((1/2)**3)低くした例が、(c)である。(c)の場合も同様に、地形によるピーク流量Qh を演算し、流出土砂量による流量Qn と比較する。一致した場合は、仮定標高hと、地形断面との交点座標(KLi ,KRi)と、土石流幅を得る。また、土石流水深Hを仮定標高hと断面最低標高から得る。
【0060】
ステップ264において、水準標高hから、地理情報により、横断測線断面図におけるV字形状の地形輪郭線との交点を求める。このとき、地形により、土石流幅を規定できない場合は、レジューム理論により、推定幅Bを用いて、座標値(KLi,KRi)を得る。地形により、土石流幅を規定できない場合とは、谷の片側が、土石流の高さより低い場合などである。
【0061】
次に、土石流水深H(換算値)を水準標高hと、地理情報から得られる横断測線断面図におけるV字形状の地形の最低標高との差により得る。しかし、地形による制約のためレジューム理論を適用する場合は、式(18 )により求める。この土石流水深Hは土石流体力、建築物耐力を求めるために使用される換算深さである。
【数16】
0 =0.01・N*・C*・V・(σ−ρ)・(Tanφ−Tanθ)…(16)
【数17】
1 =ρ・B・Sqr(Sinθr)・Tanθ …(17)
【数18】
H=(v0/v10.6 … …(18)
但し、Sqr(A) は、Aの平方根を求める関数である。
【0062】
ここで、図17における具体的な地形におけるレジューム理論の適用例で説明する。図17は、横断測線による地形断面図である。この地形の場合、谷の右側の標高が低く土石流の高さより、低くなる。この場合、谷の断面積を得ることが不可能となるため、レジューム理論を用いて、式 (13) により土石流の幅Bを推定する。この推定した幅Bを用いて土石流の水深を式(18) により得る。式の意味としては、谷の傾斜、泥水密度等を反映した流量を土石流の推定幅Bと傾斜から得られる値により除することで高さを得ると言う意味である。また、推定幅Bを用いて、地形との交点の座標(KLi,KRi)を得る。
【0063】
ステップ206において、土石流水深Hを用いて、建築物の耐力p2 を式(19)により求める。
【数19】
p2 =35.5/(H・(5.6−H)) …(19)
但し、高さの上限は2.8 mとする。建築物の耐力p2 は土石流水深Hが大きくなるほど、耐力が減少する特性を示している。
【0064】
次に、ステップ208において、土石流の流体力Fd を求める。
先ず、土石流密度ρd を式(20)により求める。
【数20】
ρd =ρ・Tanφ/(Tanφ−Tanθ) …(20)
【0065】
次に、土石流の流速Uを式(21)により求める。
【数21】
U=(H**( 2/3))・Sqr(Sinθr)/N* …(21)
【0066】
土石流体力Fd を土石流密度ρd と、流速Uを用いて、式(22)により求める。
【数22】
Fd =ρd・U2 …(22)
すなわち、土石流体力Fd は、土石流密度の増加及び流速の増加に応じて増加する特性であり、その土石流密度は傾斜角の増加に応じて増加し、流速は土石流水深Hの増加に応じて増加する。よって、土石流体力Fd は傾斜角の増加と土石流水深の増加に応じて増加する特性を示している。
【0067】
ステップ218において、土石流流体力Fd と、建築物耐力p2 を比較して、土石流流体力が、p2 を上回る地点では、建物に被害が及ぶと考えられるので、特別警戒区域とし、次の断面を設定するステップ222へ進む。下回ると、特別警戒区域の境界点のを得るための次の調査地点の設定を止め、ステップ224に進み、各調査地点の横断測線に沿った地形断面で求めた、境界点((KL0,KR0)、(KL1,KR1)、(KL2,KR2)) 、を上流から順に結合して、特別警戒区域多角形を生成する。
【0068】
ステップ222において、次の調査地点の横断測線に沿った地形断面を設定する。ステップ204へ戻り、ステップ218において、土石流流体力Fd <建築物耐力p2 となるまで、特別警戒区域の生成を繰り返す。ステップ226において、特別警戒区域出力手段52により、生成された特別警戒区域を地図上に表示するようにGIS制御部68に指令を出力する。このようにして生成された土石流特別警戒区域の中で、土石流の高さが、例えば、1mを超す区域を横断測線毎に調査し、調査座標を連結することにより、1m超区域としても良い。さらに、流体力においても、所定の流体力、例えば、50kN/m2 を超える区域を調査し、 50kN/m2 超区域としても良い。
【0069】
次に、最低標高点方向矢印表示について説明する。矢印表示の例を図6に示す。この最低標高点方向矢印表示は、地理情報表示手段に表示された地図に対して位置情報入力手段により指定した範囲内で、離散的にとられた格子点から最低標高点の方向への矢印を表示するものである。最低標高点探索手段において、格子点を中心に、例えば、20mの半径の円を想定し、円周上において、最低標高点を地理情報から得る。次に、最低標高点方向矢印出力手段により、地図上に、各格子点を始点とし、最低標高点を終点とする20mの矢印を表示する。一般的に、水は、標高の高い地点から、標高の低い地点に流れるので、この最低標高点方向矢印表示により、水が流下する方向を知ることができるようになる。半径を、例えば、20m、40m等、複数の設定で、矢印の色を変えて、重ねて表示させることにより、水の集まる方向を知ることが可能となる。また、格子点の間隔は、等間隔であっても、それ以外の間隔でも良い。さらに、格子点の間隔として、ある標高を指定して、同一標高で、離散的に格子点を取り、矢印表示をさせ、次に、矢印の終点を格子点とし、繰り返し回数を指定して、矢印表示をさせるようにしてもよい。
【0070】
このようにして、最低標高点方向矢印が表示された地図上において、矢印表示を参照して、流線を設定する。図7(a)において、例えば、矢印表示の集まった所を流線としたい谷線として想定する。次に、流線ポイント入力手段により、複数の地点を上流から順次指定する。図7(b)のように、流線設定手段は、指定された点を上流から順次連結し得られる連続した線を流線とする。流線出力手段は、このようにして、設定された流線を流線として地図上に出力する指令をGIS制御部68に出力する。このようにすることにより、水の流下する方向を矢印表示により、推定しながら、流線を設定することができるようになる。このようにして設定された流線を用いて、警戒区域の生成、特別警戒区域の生成を行う。
【0071】
さらに、流線断面図表示手段により、設定された流線に沿った地形断面図(図8(a))を表示する。この流線断面図表示において、流線断面図位置入力手段により、流線断面図上の任意の地点を指定すると、流線断面図指示位置設定手段により、入力された流線断面図位置を地図上の対応する位置に設定する。流線断面図指示地点連動表示出力手段により、地理情報表示手段に表示された地図に設定された地図上の位置を出力する。このようにすることにより、流線断面図において、例えば、カーソルで、断面図上の位置を指示することで、地図上の位置を連動させて表示させることができるようになる。土石流は、急傾斜の渓流の谷の出口、渓流の傾斜が変化する所で発生しやすいことが知られているため、流線断面図表示により谷の連続した傾斜を、視覚的に捉えることができるようになる。その中で、傾斜が変わり、地図上では、谷の出口と一致するような地点を探すことが容易となる。このことは、氾濫開始点としてよりふさわしい地点をより簡単に設定することができるようになることである。従って、より正確な土石流特別警戒区域の生成が可能となる。
【0072】
上述した実施形態は、本発明の一例であって、これに限定されるものではなく、発明の本質に照らして、様々な変形例が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の土石流警戒区域生成装置の接続ブロック図。
【図2】土石流警戒区域の生成の為の基準点探索の説明図。
【図3】土石流警戒区域の生成の説明図。
【図4】土石流警戒区域の生成例の説明図。
【図5】特別警戒区域の生成例の説明図。
【図6】最低標高点方向矢印表示例。
【図7】流線の設定の説明図。
【図8】流線断面図指示位置連動表示例。
【図9】警戒区域の生成のフローチャート(その1) 。
【図10】警戒区域の生成のフローチャート(その2) 。
【図11】警戒区域の生成のフローチャート(その3) 。
【図12】土石流特別警戒区域生成フローチャート(その1) 。
【図13】土石流特別警戒区域生成フローチャート(その2) 。
【図14】土石流水深算出フローチャート(その1) 。
【図15】土石流水深算出フローチャート(その2) 。
【図16】横断測線位置における地形断面図を用いた水準標高hを求める説明図。
【図17】横断測線位置における地形断面図を用いたレジューム時の説明図。
【符号の説明】
1…土石流警戒区域生成装置
10…制御装置
20…入力装置
30…表示装置
40…CPU
41…警戒区域生成手段
42…特別警戒区域生成手段
46…最低標高点探索手段
47…流線設定手段
48…流線断面図指示位置設定手段
51…警戒区域出力手段
52…特別警戒区域出力手段
56…最低標高点矢印出力手段
57…流線出力手段
58…流線断面図指示位置連動表示出力手段
60…地理情報システム
61…記憶手段
62…地理情報記憶手段
63…位置情報入力手段
64…流線ポイント入力手段
65…流線断面図位置入力手段
66…地理情報表示手段
67…流線断面図表示手段

Claims (2)

  1. 地理情報を記憶した地理情報記憶手段と、
    表示装置と、
    前記表示装置に前記地理情報を地形図を含む地図として表示する地理情報表示手段と、 入力装置と、
    前記入力装置によって、前記地理情報表示手段により前記表示装置に表示された前記地図に対して位置情報を入力する位置情報入力手段と、
    前記表示装置に前記地理情報表示手段により表示された前記地図に対する前記入力装置による動作に応じて、前記位置情報入力手段により指定された地点を氾濫開始点とする氾濫開始点指定手段と、
    前記入力装置の動作に応じて前記氾濫開始点における流出土砂量を設定する流出土砂量設定手段と、
    前記表示装置に前記地理情報表示手段により表示された前記地図において、前記入力装置による動作に応じて、前記位置情報入力手段により指定された複数の位置により流線を設定する流線設定手段と、
    前記表示装置に前記地理情報表示手段により表示された前記地図における前記流線設定手段により設定された流線上において、前記入力装置による動作に応じて、前記位置情報入力手段により指定された複数の位置を調査実施点として指定する調査実施点指定手段と、
    前記調査実施点指定手段により指定された前記調査実施点において、前記地理情報記憶手段に記憶されている前記地理情報から前記流線設定手段により設定された流線の傾斜角を求め、その傾斜角と前記流出土砂量設定手段により設定された前記氾濫開始点における前記流出土砂量とに基づいて、各調査実施点における流下土石量を演算する流下土石量演算手段と、
    前記地理情報記憶手段に記憶されている前記地理情報を読出し、その地理情報から、前記調査実施点指定手段により設定された前記調査実施点における前記流線に垂直な方向の横断測線に沿った地形断面図を求める地形断面図演算手段と、
    前記各調査実施点において、前記地形断面図演算手段により演算された前記地形断面図から、前記流下土石量演算手段により演算されたその各調査実施点における前記流下土石量に対応する断面積が得られる水準標高hを演算する水準標高演算手段と、
    前記各調査実施点において、前記地形断面図演算手段により演算された前記地形断面図における最低標高と、前記水準標高演算手段により演算された前記各水準標高hとから、前記前記各調査実施点における土石流水深Hを演算する水深演算手段と、
    前記水深演算手段により演算された前記土石流水深Hから、前記各調査実施点における土石流の流体力Fd を演算する流体力演算手段と、
    前記水深演算手段により演算された前記土石流水深Hから、前記各調査実施点における建築物の耐久力p2 を演算する耐久力演算手段と、
    前記流体力演算手段により演算された前記各調査実施点における前記流体力Fd と、前記耐久力演算手段により演算された前記各調査実施点における前記耐久力p2 との関係が、 d >p 2 を満たす調査実施点を求める調査手段と、
    前記調査手段により求められたFd >p2 を満たす前記調査実施点における前記地形断面図演算手段により演算された前記地形断面図と、その調査実施点における前記水深演算手段により演算された前記土石流水深Hに対応する横断側線との交点を、前記土石流の境界点として、左右岸それぞれ演算する境界点演算手段と、
    前記境界点演算手段により演算された、これらの境界点を土石流特別警戒区域境界点として決定する土石流特別警戒区域境界点手段と、
    前記各調査地点での前記土石流特別警戒区域境界点を連結することにより得られる多角形の区域を土石流特別警戒区域とする特別警戒区域生成手段と、
    前記特別警戒区域生成手段により生成された前記土石流特別警戒区域を前記地図上に重畳表示する特別警戒区域出力手段と
    有することを特徴とする土石流警戒区域生成装置。
  2. 地理情報を記憶した地理情報記憶手段と、表示装置と、演算処理を実行する中央処理装置とを有するコンピュータシステムの中央処理装置に各処理を実行させるためのプログラムであって、
    前記表示装置に前記地理情報を地形図を含む地図として表示する地理情報表示手順と、 前記入力装置によって、前記地理情報表示手順により前記表示装置に表示された前記地図に対して位置情報を入力する位置情報入力手順と、
    前記表示装置に前記地理情報表示手順により表示された前記地図に対する前記入力装置による動作に応じて、前記位置情報入力手順により指定された地点を氾濫開始点とする氾濫開始点指定手順と、
    前記入力装置の動作に応じて前記氾濫開始点における流出土砂量を設定する流出土砂量設定手順と、
    前記表示装置に前記地理情報表示手順により表示された前記地図において、前記入力装置による動作に応じて、前記位置情報入力手順により指定された複数の位置により流線を設定する流線設定手順と、
    前記表示装置に前記地理情報表示手順により表示された前記地図における前記流線設定手順により設定された流線上において、前記入力装置による動作に応じて、前記位置情報入力手順により指定された複数の位置を調査実施点として指定する調査実施点指定手順と、
    前記調査実施点指定手順により指定された前記調査実施点において、前記地理情報記憶手段に記憶されている前記地理情報から前記流線設定手順により設定された流線の傾斜角を求め、その傾斜角と前記流出土砂量設定手順により設定された前記氾濫開始点における前記流出土砂量とに基づいて、各調査実施点における流下土石量を演算する流下土石量演算手順と、
    前記地理情報記憶手段に記憶されている前記地理情報を読出し、その地理情報から、前記調査実施点指定手順により設定された前記調査実施点における前記流線に垂直な方向の横断測線に沿った地形断面図を求める地形断面図演算手順と、
    前記各調査実施点において、前記地形断面図演算手順により演算された前記地形断面図から、前記流下土石量演算手順により演算されたその各調査実施点における前記流下土石量に対応する断面積が得られる水準標高hを演算する水準標高演算手順と、
    前記各調査実施点において、前記地形断面図演算手順により演算された前記地形断面図における最低標高と、前記水準標高演算手順により演算された前記各水準標高hとから、前記前記各調査実施点における土石流水深Hを演算する水深演算手順と、
    前記水深演算手順により演算された前記土石流水深Hから、前記各調査実施点における土石流の流体力Fd を演算する流体力演算手順と、
    前記水深演算手順により演算された前記土石流水深Hから、前記各調査実施点における建築物の耐久力p2 を演算する耐久力演算手順と、
    前記流体力演算手順により演算された前記各調査実施点における前記流体力Fd と、前記耐久力演算手順により演算された前記各調査実施点における前記耐久力p2 との関係が、 d >p 2 を満たす調査実施点を求める調査手順と、
    前記調査手順により求められたFd >p2 を満たす前記調査実施点における前記地形断面図演算手順により演算された前記地形断面図と、その調査実施点における前記水深演算手順により演算された前記土石流水深Hに対応する横断側線との交点を、前記土石流の境界点として、左右岸それぞれ演算する境界点演算手順と、
    前記境界点演算手順により演算された、これらの境界点を土石流特別警戒区域境界点として決定する土石流特別警戒区域境界点手順と、
    前記各調査地点での前記土石流特別警戒区域境界点を連結することにより得られる多角形の区域を土石流特別警戒区域とする特別警戒区域生成手順と、
    前記特別警戒区域生成手順により生成された前記土石流特別警戒区域を前記地図上に重畳表示する特別警戒区域出力手順と
    を前記中央処理装置に実行させるプログラム。
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