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JP3862381B2 - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびその製法 - Google Patents
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JP3862381B2 - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびその製法 - Google Patents

半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびその製法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、得られる半導体装置の熱伝導性が良好で、かつボイドの発生の極めて少ない成形性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トランジスタ,IC,LSI等の半導体素子は、通常、セラミックパッケージもしくはプラスチックパッケージ等により封止され半導体装置化されている。上記セラミックパッケージは、構成材料そのものが耐熱性を有し、耐透湿性にも優れているため、温度,湿度に対して強く、信頼性の高い封止が可能である。しかしながら、構成材料が比較的高価なものであることと、量産性に劣るという欠点があるため、最近では上記プラスチックパッケージを用いた樹脂封止が主流になっている。この種のプラスチックパッケージ材料には、従来からエポキシ樹脂組成物が用いられている。このエポキシ樹脂組成物は、電気絶縁性,機械的特性,耐薬品性等に優れているため、信頼性が高く半導体装置の樹脂封止に広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、半導体装置の製造において、ボイドの発生の少ないエポキシ樹脂組成物の開発が望まれている。このような要望に応えて、本出願人は、エポキシ樹脂およびノボラック型硬化剤とともに、平均粒径,粒度分布および配合量を特定の範囲に設定したシリカ粉末を用い、かつその結果得られるエポキシ樹脂組成物の溶融粘度を特定範囲に設定した半導体封止用のエポキシ樹脂組成物を提案した(特開平6−216281号公報)。しかしながら、上記エポキシ樹脂組成物をもってしても、ボイドの発生が生じ易い厳しい条件下での成形工程では、未だ満足のいくものではなかった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、熱伝導性が良好で、ボイドの発生が抑制され封止作業性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびその製法を提供することをその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、本発明は、下記の(A)〜(E)成分を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記(B)成分と(D)成分と(E)成分とからなる三成分の予備混合物と、上記(A)成分および(C)成分を混合してなる半導体封止用エポキシ樹脂組成物を第1の要旨とする。
(A)エポキシ樹脂。
(B)フェノール樹脂。
(C)結晶性シリカ粉末。
(D)ブタジエン系ゴム粒子。
(E)下記の一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン。
【化3】
Figure 0003862381
【0006】
また、本発明は、上記(A)〜(E)成分を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製法であって、上記(B)成分と(D)成分と(E)成分を予備混合した後、この予備混合物に、上記(A)成分および(C)成分を含む残りの残余成分を配合する半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製法を第2の要旨とする。
【0007】
上記目的を達成するために、この発明者は、半導体装置の封止に用いられるエポキシ樹脂組成物の組成を中心に一連の研究を重ねた。その過程で、先に述べた提案技術をさらに改良すべく鋭意検討した結果、前記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン〔(E)成分〕を用いるとともにブタジエン系ゴム粒子〔(D)成分〕を用いたエポキシ樹脂組成物を用い、しかも上記オルガノポリシロキサン〔(E)成分〕とブタジエン系ゴム粒子〔(D)成分〕とフェノール樹脂〔(B)成分〕からなる予備混合物として用いると、低応力性を付与するとともにボイドの発生が生じ易い厳しい条件下での成形においても、ボイドの発生が抑制された半導体装置が得られることを見出し本発明に到達した。
【0008】
そして、本発明において、上記結晶性シリカ粉末〔(C)成分〕とともにアルミナ粉末を併用した場合、優れた熱伝導性が得られるとともに、低線膨張化が図れる。
【0009】
また、上記結晶性シリカ粉末〔(C)成分〕として、特に結晶性摩砕シリカ粉末を用いた場合、その形状因子から、耐金型摩耗特性に優れるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明について詳しく説明する。
【0011】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A成分)と、フェノール樹脂(B成分)と、結晶性シリカ粉末(C成分)と、ブタジエン系ゴム粒子(D成分)と、特定のオルガノポリシロキサン(E成分)とを用いて得られるものであり、通常、粉末状もしくはこれを打錠したタブレット状になっている。
【0012】
上記エポキシ樹脂(A成分)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものを用いることが好ましく、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂,フェノールノボラック型エポキシ樹脂,ビスフェノールA型エポキシ樹脂,ビフェニル型エポキシ樹脂があげられる。これらは、単独であるいは2種類以上併せて使用される。これらのなかでも、エポキシ当量が100〜300,軟化点が50〜130℃のものが特に好適に用いられる。さらに、本発明に用いられるエポキシ樹脂(A成分)としては、上記条件に加え、耐湿信頼性という観点から、イオン性不純物および加水分解性イオンの含有量が少ないものほど特に好ましく用いられる。具体的には、遊離のナトリウムイオン濃度および塩素イオン濃度がそれぞれ5ppm以下であり、かつ加水分解性の塩素イオン濃度が600ppm以下のエポキシ樹脂である。
【0013】
上記エポキシ樹脂(A成分)とともに用いられるフェノール樹脂(B成分)は上記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであって、特に限定するものではなく各種フェノール樹脂が用いられる。例えば、フェノールノボラック樹脂があげられ、なかでも、このフェノールノボラック樹脂として、水酸基当量が70〜150、軟化点が50〜110℃のものを用いることが好ましい。
【0014】
上記エポキシ樹脂(A成分)とフェノール樹脂(B成分)との配合割合は、上記エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5〜2.0当量となるように設定することが好ましい。より好ましくは、0.8〜1.2当量の範囲である。
【0015】
上記A成分およびB成分とともに用いられる結晶性シリカ粉末(C成分)は、いわゆる充填剤として用いられるものである。そして、上記結晶性シリカ粉末としては、結晶性破砕シリカ粉末や結晶性摩砕シリカ粉末があげられ、特に結晶性摩砕シリカ粉末が耐金型摩耗性という点から好ましく用いられる。上記結晶性摩砕シリカ粉末は、例えば、特公平6−2569号公報に記載されているように、破砕状シリカに外部から押圧力を加えながら、水系媒体存在下で粒子同士を摩砕することにより得ることができる。上記結晶性シリカ粉末に関して、流動性および成形性を考慮した場合、平均粒径1.5〜70μmの範囲のものを用いることが好ましく、特に好ましくは平均粒径2〜50μmの範囲である。
【0016】
そして、本発明においては、上記結晶性シリカ粉末(C成分)のみで無機質充填剤成分を構成してもよいし、上記結晶性シリカ粉末とともにアルミナ粉末を併用してもよい。このように、結晶性シリカ粉末とともにアルミナ粉末を併用することにより、低線膨張化および高熱伝導性という効果が得られる。上記アルミナ粉末としては、例えば、耐金型摩耗性および高流動性という点から球状アルミナ粉末が好ましく用いられる。また、上記アルミナ粉末の平均粒径は、流動性を考慮した場合、0.2〜60μmの範囲のものを用いることが好ましく、特に好ましくは平均粒径2〜50μmの範囲である。
【0017】
上記結晶性シリカ粉末(C成分)の配合量は、エポキシ樹脂組成物全体に対して50〜90重量%の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは70〜85重量%である。すなわち、結晶性シリカ粉末(C成分)の含有量が少な過ぎると、ボイドの発生が顕著になり、逆に多過ぎると、未充填を起こす傾向がみられるからである。また、結晶性シリカ粉末ととにアルミナ粉末を併用する場合も、併用した場合の合計量が上記結晶性シリカ粉末の配合量とみなし上記と同様の配合量の設定となる。
【0018】
また、上記結晶性シリカ粉末(C成分)とともにアルミナ粉末を併用する場合において、結晶性シリカ粉末とアルミナ粉末を併用する場合の両者の混合割合は、重量基準で、〔結晶性シリカ粉末重量/(結晶性シリカ粉末重量+アルミナ粉末重量)〕×100=10〜50重量%の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは20〜40重量%である。すなわち、両者の混合割合を上記範囲に設定することにより、良好な熱伝導性が得られるという効果が得られるようになる。
【0019】
上記ブタジエン系ゴム粒子(D成分)は、その配合により半導体パッケージに対して低応力化作用および耐熱衝撃性を付与するようになる。そして、ブタジエン系ゴム粒子(D成分)としては、通常、メタクリル酸アルキル,アクリル酸アルキル,ブタジエン,スチレン等の共重合反応によって得られるものが用いられる。好適には、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体が用いられ、特にブタジエンの組成比率が70重量%以下、メタクリル酸メチルの組成比率が15重量%以上のものが好ましい。さらに、上記ブタジエン系ゴム粒子としては、アクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸メチル−ブタジエン−ビニルトルエン共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−ビニルトルエン共重合体、ブタジエン−ビニルトルエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等をあげることができる。
【0020】
さらに、上記ブタジエン系ゴム粒子として、コア−シェル構造を有するものが好ましく用いられる。このコア−シェル構造を有するブタジエン系ゴム粒子は、核となるコア部分がブタジエン系ゴム類からなる粒子で形成され、この核を被覆するよう核の外表面に、重合体樹脂からなるシェル部分(外層)が形成されたゴム粒子である。上記核の形成材料であるブタジエン系ゴム類としては、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス等があげられる。また、上記核を被覆する外層の形成材料となる重合体樹脂としては、例えば、ガラス転移温度が70℃以上となる重合体樹脂があげられ、この重合体樹脂は不飽和二重結合を有する不飽和単量体の重合によって得られる。上記不飽和単量体としては、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等があげられる。このようなコア−シェル構造を有するブタジエン系ゴム粒子は、例えば、水媒体重合法によって得られる。詳しく述べると、上記核の形成材料であるブタジエン系ゴム類と水を配合し重合させて核となるブタジエン系ゴム粒子を調製する。ついで、この水媒体中に、外層の形成材料となる不飽和単量体を添加して上記核であるブタジエン系ゴム類の表面に不飽和単量体をグラフト共重合させ、重合体樹脂を上記核の外周面上に積層形成することによってコア−シェル構造を有するブタジエン系ゴム粒子が得られる。このようなコア−シェル構造を有するブタジエン系ゴム粒子としては、コア(核)部分がスチレン−ブタジエン共重合体からなり、シェル部分がメタクリル酸メチルあるいはメタクリル酸メチルとスチレンからなるものが特に好ましく、その組成比は、前述のように、ブタジエンの組成比率が70重量%以下、メタクリル酸メチルの組成比率が15重量%以上のものが好ましい。
【0021】
上記ブタジエン系ゴム粒子(D成分)の配合量は、エポキシ樹脂組成物全体に対して0.1〜5重量%の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.5〜2重量%である。すなわち、ブタジエン系ゴム粒子(D成分)の含有量が少な過ぎると充分な低応力化が得られ難く、逆に多過ぎると粘度が上昇して成形作業性が低下する傾向がみられるからである。
【0022】
上記特定の分子構造を有するオルガノポリシロキサン(E成分)は、ボイドの発生を効率良く抑制するために用いられるものである。このようなオルガノポリシロキサン(E成分)は、下記の一般式(1)で示され、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を含有する有機基および少なくとも1個のポリオキシアルキレン基を有するものである。
【0023】
【化4】
Figure 0003862381
【0024】
上記式(1)において、Rは一価の炭化水素基であり、例えばメチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ビニル基,フェニル基,ベンジル基があげられ、それぞれ互いに異なっていても同一であってもよい。また、上記式(1)中のDは、エポキシ基を含有する一価の有機基であり、例えば下記の一般式(3)または一般式(4)で表されるものである。
【0025】
【化5】
Figure 0003862381
【0026】
【化6】
Figure 0003862381
【0027】
上記一般式(3)および一般式(4)において、R3 およびR4 は、二価の有機残基であり、このようなものとしては、メチレン基,エチレン基,フェニレン基,
−CH2 CH2 CH2 −,
−CH2 OCH2 CH2 CH2 −,
−CH2 CH2 OCH2 CH2 −,
−CH2 OCH2 CH2 OCH2 CH2 −,
等があげられる。
【0028】
そして、上記式(1)において、Gは、下記の一般式(2)で表されるエーテル結合を有するものである。
【0029】
【化7】
Figure 0003862381
【0030】
上記式(2)において、R1 は二価の有機残基であり、炭素数が1〜5のアルキレン基等があげられる。また、R2 は、−Hまたは一価の有機基であり、例えばアルキル基,シクロアルキル基,アリール基,アシル基,アラルキル基,アルバミル基があげられる。そして、上記aは0または1であり、bおよびcはそれぞれ0〜50の整数、好ましくは10〜50の整数である。ただし、bおよびcは、b+c=1〜100の条件を満たすものである。
【0031】
そして、上記式(1)のAは、上記R,D,Gのなかから選択されるものであり、それぞれ異なっていても同一であってもよい。また、繰り返し単位pは1〜1000の整数であり、mおよびnは1〜100の整数である。上記pは、10〜500の範囲、mおよびnは1〜50の範囲が好ましい。そして、p,m,nの繰り返し単位は、ブロック,ランダム,交互等の態様のいずれであってもよい(以下同じ)。
【0032】
このオルガノポリシロキサン(E成分)としては、具体的には下記の一般式(5)および一般式(6)で表されるものがあげられる。
【0033】
【化8】
Figure 0003862381
【0034】
【化9】
Figure 0003862381
【0035】
このようなオルガノポリシロキサン(E成分)は、例えば、水あるいはトルエン等の有機溶媒中でオルガノハイドロジェンポリシロキサンにアリルグリシジルエーテルとポリオキシアルキレンアリルエーテルを白金触媒の存在下で付加反応させることにより製造することができる。
【0036】
また、オルガノポリシロキサン(E成分)の配合割合は、エポキシ樹脂組成物全体に対して、0.1〜5.0重量%の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.2〜3.0重量%の範囲である。すなわち、オルガノポリシロキサン(E成分)の配合割合が少な過ぎるとボイドの発生を抑制する効果が充分に得られず、逆に多過ぎると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下するとともに、得られる半導体装置の耐湿信頼性が低下する傾向がみられるからである。
【0037】
前記のように、特定の分子構造を有するオルガノポリシロキサン(E成分)をエポキシ樹脂組成物の構成成分とすることにより、ボイドの発生を効果的に抑制することができるようになる。これは、上記オルガノポリシロキサン(E成分)が界面活性剤的な作用を奏し、樹脂封止の成形時にエポキシ樹脂組成物中からボイドの原因となるエアーが抜かれるためであると推察される。
【0038】
さらに、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物には、上記A〜E成分に加えて、必要に応じて、シランカップリング剤,硬化促進剤,離型剤,難燃剤,難燃助剤,カーボンブラック等の着色剤等の各種添加剤が適宜配合される。
【0039】
上記シランカップリング剤は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等があげられる。
【0040】
上記硬化促進剤は、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類,三級アミン類,有機リン化合物等があげられる。
【0041】
上記離型剤は、ステアリン酸,パルミチン酸等の長鎖カルボン酸、ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウム等の長鎖カルボン酸の金属塩、カルナバワックス,モンタンワックス等のワックス類、ポリエチレン系のワックス類等があげられる。
【0042】
上記難燃剤は、ノボラック型ブロム化エポキシ樹脂,ビスフェノールA型ブロム化エポキシ樹脂等があげられる。
【0043】
上記難燃助剤は、三酸化アンチモン,五酸化アンチモン等があげられる。
【0044】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物には、上記添加剤の他に、さらに、耐湿信頼性テストにおける信頼性向上を目的として、ハイドロタルサイト類等のイオントラップ剤等を配合してもよい。
【0045】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、例えば、つぎのような予備混合を経て加熱等により溶融混練した後、製造することできる。すなわち、まず、ブタジエン系ゴム粒子(D成分)と、特定のオルガノポリシロキサン(E成分)と、フェノール樹脂(B成分)とを予め予備混合する。ついで、この予備混合物に、残りの残余成分を配合し、加熱等により溶融混練する。ついで、これを室温に冷却した後、公知の手段によって粉砕し、必要に応じて打錠するという一連の工程により製造することができる。
【0046】
上記予備混合を経由する製造工程では、ブタジエン系ゴム粒子(D成分)の全部と、特定のオルガノポリシロキサン(E成分)の全部と、フェノール樹脂(B成分)の全使用量の100重量%とを予め予備混合するという工程を経由する。
【0047】
上記のように、エポキシ樹脂組成物の製造工程において、ブタジエン系ゴム粒子と特定のオルガノポリシロキサンとフェノール脂とを予備混合し、ついで残余成分を配合する工程を経由すると、ブタジエン系ゴム粒子の二次凝集物が生成され易いという傾向が抑制され、上記ブタジエン系ゴム粒子を均一に分散させることができる。
【0048】
上記のように、エポキシ樹脂組成物の製造工程において、ブタジエン系ゴム粒子と特定のオルガノポリシロキサンとフェノール脂とを予備混合し、ついで残余成分を配合する工程を経由すると、このオルガノポリシロキサンが均一に分散し、その界面活性効果を有効に発揮できるようになる。
【0049】
上記予備混合を経由する製造工程において、予備混合した後、この予備混合物に残余成分を配合するとあるが、この残余成分とは、予備混合工程で用いなかった成分、C成分および他の添加剤はもちろん、エポキシ樹脂を含む。
【0050】
上記製造方法により得られるエポキシ樹脂組成物を用いての半導体素子の封止方法は、特に制限されるものではなく、通常のトランスファー成形等の公知のモールド法により行うことができる。これにより、封止樹脂内部や、その表面等にボイドの発生の抑制された信頼性に優れた半導体装置が得られる。
【0051】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0052】
まず、エポキシ樹脂組成物の調製に先立って、下記の表1に示す、下記の成分を準備した。
【0053】
〔エポキシ樹脂〕
o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量195、軟化点70℃)
【0054】
〔フェノール樹脂〕
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量105、軟化点83℃)
【0055】
〔硬化促進剤〕
テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート
【0056】
〔無機質充填剤〕
下記の表1に示す無機質充填剤a〜cを準備した。
【0057】
【表1】
Figure 0003862381
【0058】
〔シランカップリング剤〕
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
【0059】
〔ブタジエン系ゴム粒子〕
メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(平均粒径0.2μm)
【0060】
〔オルガノポリシロキサン〕
オルガノポリシロキサンa〔下記の式(5)で表されるオルガノポリシロキサン〕
【0061】
【化10】
Figure 0003862381
【0062】
オルガノポリシロキサンb〔下記の式(6)で表されるオルガノポリシロキサン〕
【0063】
【化11】
Figure 0003862381
【0064】
〔離型剤〕
カルナバワックス/ポリエチレン系ワックスの混合(混合重量比カルナバワックス/ポリエチレン系ワックス=80/20)
【0065】
〔難燃剤〕
ノボラック型ブロム化エポキシ樹脂(エポキシ当量275、軟化点84℃)
【0066】
〔難燃助剤〕
三酸化アンチモン
【0067】
〔溶融混合物〕
下記の表2に示す各成分を同表に示す割合で用い、つぎのようにして予備混練を行った。すなわち、下記の表2に示す各成分のうち、樹脂成分(フェノール樹脂)全部をミキシングロール機(温度150℃)で溶融し、これに残りの成分を順次添加し、30分間溶融混合した。つぎに、これを冷却した後、粉砕することにより溶融混合物を得た。
【0068】
【表2】
Figure 0003862381
【0069】
【実施例1〜7、比較例1〜3】
下記の表3〜表4に示す原料を同表に示す割合で配合し、ミキシングロール機を用いて100℃で3分間混練してシート状組成物を得た。そして、このシート状組成物を粉砕し、目的とする粉末状エポキシ樹脂組成物を得た。
【0070】
【表3】
Figure 0003862381
【0071】
【表4】
Figure 0003862381
【0072】
上記各エポキシ樹脂組成物を用いて、スパイラルフロー値および弾性率を下記の方法に従って測定した。その結果を後記の表5〜表7に示す。
【0073】
〔スパイラルフロー値〕
EMMI規格に準じた金型を使用し、175℃×70kg/cm2 の条件で測定した。
【0074】
〔弾性率〕
JIS K−6911に準じた曲げ試験片を、成形温度175℃×成形時間120秒の成形条件で成形し、ついで175℃×5時間のポストキュアを行った。そして、この曲げ試験片を、島津製作所社製のオートグラフを用いて曲げ試験を行い、その傾きから弾性率を求めた。
【0075】
上記各エポキシ樹脂組成物を用いて、トランスファー成形により半導体素子を封止して目的とする半導体装置を得た。なお、上記トランスファー成形は、TO−220型成形金型を用いて行った。
【0076】
このようにして得られた、実施例品および比較例品の半導体装置について、ボイド発生を調べた。その結果を下記の表〜表に併せて示す。なお、ボイドの発生は、1ショット当たり(TO−220型、半導体パッケージ20個)直径0.2mm以上のボイドの個数を数え、発生の程度を調べた。
【0077】
さらに、上記実施例品の熱伝導率を下記の方法に従って測定した。結果を、下記の表5〜表に併せて記載した。その結果、実施例品のなかでも、結晶性シリカ粉末とアルミナ粉末を併用した実施例2品は、他の実施例品よりもその値が大きく、また従来の高熱伝導材である結晶性シリカ粉末単独に比べて30%以上向上しており、このことから熱伝導性に優れていることがわかる。
【0078】
〔熱伝導率の測定方法〕
各エポキシ樹脂組成物を用い、大きさ:80×50×20mmの硬化成形物を作製した。そして、上記成形物の熱伝導率(λ)を熱伝導率測定装置(京都電子工業社製、QTM−D3)を用いて測定した。
【0079】
【表5】
Figure 0003862381
【0080】
【表6】
Figure 0003862381
【0081】
【表7】
Figure 0003862381
【0082】
上記表5〜表7より、実施例品は比較例品と比べてボイドの発生がはるかに少なかった。また、ボイドの発生が抑制されたにもかかわらず、スパイラルフロー値は比較例品と略同等程度であり、かつ低弾性率であった。これらのことから、実施例品はボイドの発生が抑制され、しかも流動性においても良好で封止作業性に優れ、かつ低応力性をも兼ね備えたものであることがわかる。これに対して、オルガノポリシロキサンを用いていない比較例1品は、低弾性率を有しているが、ボイドの発生数が多かった。また、ブタジエン系ゴム粒子を用いていない比較例2品は、ボイドの発生数は他の比較例品よりも少なかったが弾性率が高かった。さらに、オルガノポリシロキサンおよびブタジエン系ゴム粒子の双方が配合されていない比較例3品はボイドの発生数が著しく多く、しかも弾性率も高かった。
【0083】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、エポキシ樹脂(A成分),フェノール樹脂(B成分),結晶性シリカ粉末(C成分),ブタジエン系ゴム粒子(D成分)および前記特定の分子構造を有するオルガノポリシロキサン(E成分)を含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記B成分とD成分とE成分とからなる予備混合物と、上記A成分およびC成分を混合してなる半導体封止用エポキシ樹脂組成物である。このため、このエポキシ樹脂組成物を用いて得られる半導体装置の封止樹脂内部や表面において、ボイドの発生を抑制することができるようになる。そして、上記エポキシ樹脂組成物は適正な流動性を備えるようになるため、封止作業の作業性に優れ、半導体装置の製造効率が向上するようになる。また、上記ブタジエン系ゴム粒子(D成分)の配合により低応力化が実現し、信頼性に優れた半導体装置が得られる。
【0084】
そして、上記結晶性シリカ粉末(C成分)とともにアルミナ粉末を併用して無機質充填剤とした場合、優れた熱伝導性が得られるとともに低線膨張化が図れる。
【0085】
さらに、上記結晶性シリカ粉末(C成分)として、結晶性摩砕シリカ粉末を用いた場合、その形状因子から、優れた耐金型摩耗特性が得られる。

Claims (4)

  1. 下記の(A)〜(E)成分を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記(B)成分と(D)成分と(E)成分とからなる三成分の予備混合物と、上記(A)成分および(C)成分を混合してなる半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    (A)エポキシ樹脂。
    (B)フェノール樹脂。
    (C)結晶性シリカ粉末。
    (D)ブタジエン系ゴム粒子。
    (E)下記の一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン。
    Figure 0003862381
  2. 上記(C)成分である結晶性シリカ粉末とともにアルミナ粉末を併用してなる請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 上記結晶性シリカ粉末が、結晶性摩砕シリカ粉末である請求項1または2記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. 下記の(A)〜(E)成分を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製法であって、上記(B)成分と(D)成分と(E)成分を予備混合した後、この予備混合物に、上記(A)成分および(C)成分を含む残りの残余成分を配合することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製法。
    (A)エポキシ樹脂。
    (B)フェノール樹脂。
    (C)結晶性シリカ粉末。
    (D)ブタジエン系ゴム粒子。
    (E)下記の一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン。
    Figure 0003862381
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