JP3868163B2 - シーディング剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シーディング剤の製造方法に関し、し尿処理、下水処理、合併処理浄化槽等における膜分離活性汚泥法に使用するシーディング剤に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機性廃水を処理する方法として、古くから活性汚泥法が用いられてきた。この方法は、図3に示すように、活性汚泥槽1へ特定排水として、ある特定の地域において発生したし尿や下水、またはある特定の施設で発生する排水を導き、槽内の活性汚泥に汚水中の汚濁物質を捕食させた後に、沈殿槽2において活性汚泥と処理水とを分離し、分離された活性汚泥は再び活性汚泥槽1へ返送して汚水処理に供していた。
【0003】
この活性汚泥は微生物群の総称であり、排水中に含まれる汚濁成分とその量によって生育する微生物の種類とその割合が限定される。このため、活性汚泥槽1の環境(温度、pH、空気量等)の変化や流入水質の変化があると、槽内の微生物相の変化が起こり、これまで沈殿槽2において沈殿していた活性汚泥が突然沈降しなくなるバルキング現象が起こることがある。
【0004】
この現象が起きると、汚水処理の主役である微生物群が処理水と一緒に系外へ流出してしまうために、処理水の水質が悪くなるだけでなく、活性汚泥槽1における活性汚泥濃度が低下し、活性汚泥による汚水処理自体がますます悪化し、回復するのに数ヶ月を要することがある。このため、バルキング対策用のシーディング剤が数多く販売されているが、千差万別で効果のわりには高価な物が多い。
【0005】
一方、図4に示すように、膜分離活性汚泥法では、活性汚泥槽3に浸漬した浸漬型膜分離装置4によって槽内の活性汚泥を固液分離しており、例えバルキングが発生しても微生物群が槽外へ流出することはないので、安定した活性汚泥処理が可能である。
また、活性汚泥と処理水を沈殿分離法で分離する場合には活性汚泥濃度を高濃度にすると固液分離できなくなるが、膜分離活性汚泥法では槽内の微生物群を高濃度に維持できるため、槽容積の減少等によって処理設備をコンパクトに出来るなどの長所があり、近年合併処理浄化槽や産業排水処理などに使用されるようになってきた。
【0006】
しかし、膜分離活性汚泥法においても、微生物の種類によっては濾過膜の膜面にファウリング(汚染)を起こすものがあり、濾過膜を洗浄しても処理水が取り出せない、所謂糞詰まり現象が起きることがある。この現象は沈殿分離法におけるバルキングと同様に厄介な現象で運転管理者泣かせの問題となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示すように、従来のシーディング剤は工場生産型である。即ち、実際の廃水中の汚濁物質でなく意図的に作った特定の成分の栄養源(餌)と、種菌とを培養槽5へ投入して特定の種類の微生物を純粋培養する。この培養した微生物群を固液分離で取り出し、腐敗しないように脱水工程6および乾燥工程7で処理して運搬・保管に便利な粒子状にし、袋詰め工程8を経て倉庫保管9を行なっている。
【0008】
しかし、活性汚泥は前述したように、系内へ流入する汚水中の種々の汚濁成分に応じてそれを好んで捕食する複数種の微生物が繁殖した微生物群であり、純粋培養によって育成した特定の微生物の集まりとは根本的に異なる。
即ち、純粋培養によって製造したシーディング剤を、バルキングを起こした活性汚泥槽に投入しても、槽内の環境および栄養源が製造時のものと異なるために、シーディング剤に含まれた全ての微生物が生存することは適わず、場合によってはそのシーディング剤の微生物自体が活性汚泥中の微生物群に瞬く間に捕食されてしまい、バルキングを解消する効果を全く発揮しないことも起きうる。
【0009】
このためメーカー毎に経験工学的に種々のシーディング剤を投入して試行錯誤しているのが実状である。
本発明は上記した課題を解決するものであり、沈殿分離法におけるバルキング対策用のシーディング剤に匹敵するような、膜分離活性汚泥法用のシーディング剤を製造する方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のシーディング剤の製造方法は、膜分離活性汚泥法を行なう複数の排水処理系において、特定排水が流入する各活性汚泥槽の混合液を、槽内に浸漬した各浸漬型膜分離装置で活性汚泥と処理水とに固液分離し、各活性汚泥槽から引き抜いた各排水処理系の余剰汚泥を混合し、この混合汚泥を脱水・乾燥することにより、異なる排水処理系に共通して使用可能なシーディング剤を製造するものである。
【0015】
上記した構成において、生活系排水を処理する生活排水処理施設では、どこでも流入基質がほぼ同様である。このため、各生活排水処理施設から収集した余剰汚泥を混合してシーディング剤の原料とすることにより、シーディング剤が各生活排水処理施設において使用可能な汎用性を備えたものとなる。
請求項2に係る本発明のシーディング剤の製造方法は、膜分離活性汚泥法を行なう複数の排水処理系において、特定排水が流入する各活性汚泥槽の混合液を、槽内に浸漬した各浸漬型膜分離装置で活性汚泥と処理水とに固液分離し、各活性汚泥槽から引き抜いた余剰汚泥を各々別途に脱水・乾燥することにより、複数種類のシーディング剤を形成し、各シーディング剤を適宜に混合することによって適用対象の排水処理系における汚水の基質に応じたシーディング剤を製造するものである。
【0016】
上記した構成において、産業排水を処理する廃水処理施設では、業種毎に工場排水の基質が異なる。このために、各廃水処理施設から収集した業種毎の余剰汚泥を原料としてシーディング剤を形成し、出荷時に複数種類のシーディング剤を、適用対象の工場排水に適合するように、その混合比率を適宜に調整して製品シーディング剤を製造する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、各余剰汚泥a、b、cは、膜分離活性汚泥法を行なう異なる排水処理系、例えば合併処理浄化槽等の生活排水処理施設において発生するものである。各排水処理系では、それぞれの特定の排水を活性汚泥槽に導いて処理し、活性汚泥槽の混合液を槽内に浸漬した浸漬型膜分離装置で活性汚泥と処理水とに固液分離する。浸漬型膜分離装置における濾過膜は精密濾過膜を使用し、その孔径が0.2〜0.4マイクロメーターであり、大腸菌も通過させない。余剰汚泥の引抜は、汚泥貯留槽から抜くよりも膜分離活性汚泥槽から直接引き抜く方が、汚泥が新鮮でシーディング剤の原料としては好ましい。
【0018】
各排水処理系における各活性汚泥槽から引き抜いた余剰汚泥a、b、cは、貯留槽11において混合し、この混合汚泥を脱水工程12、乾燥工程13を経る間に脱水・乾燥することにより、異なる排水処理系に共通して使用可能なシーディング剤を製造する。製造したシーディング剤は袋詰め工程14において所定量ずつ袋詰めして出荷する。
【0019】
このように、実際に膜分離活性汚泥法で処理している各排水処理系の活性汚泥を原料とすることで、製造したシーディング剤は、投入対象の排水処理系内における実際の汚濁成分を栄養源とする微生物群を有することになり、実際の環境の変遷の各場において優位に生育した微生物種を含み、この微生物種の存在によって活性汚泥槽における環境の変化に対して優れた順応性を発揮する。
【0020】
このため、排水処理系のバルキング時にシーディング剤を投入すると、槽内の環境および栄養源がシーディング剤の製造時の環境および栄養源とが同じであることから、シーディング剤に含まれたこの排水処理系に特有の微生物群が速やかに増殖し、バルキングを起こした現状の微生物群に捕食されることなく、現状の微生物群とシーディング剤の微生物群とが一体となって新しい微生物相を形成してバルキングを解消するので、その効果に即効性がある。
【0021】
しかも、シーディング剤は、活性汚泥槽における環境の変遷の各場での優位種を含んでいるので、純粋培養のシーディング剤と違って、環境の変化(水温、pH、流入負荷変動など)に強く、環境変化に対して優れた順応性を発揮し、安定した処理が可能である。
特に、生活系排水を処理する生活排水処理施設では、どこでも流入基質がほぼ同様であるので、各生活排水処理施設から収集した余剰汚泥を混合してシーディング剤の原料とすることにより、シーディング剤が各生活排水処理施設において使用可能な汎用性を備えたものとなり、量販品の大量生産が可能となる。
【0022】
また、これまで余剰汚泥は産業廃棄物扱いになっていたが、シーディング剤として再利用することで、廃棄物の減量化に貢献できる。膜分離活性汚泥法の弱点でもあった活性汚泥の変調時の対応が迅速にできるため、顧客が安心して膜分離活性汚泥法を採用することができる。
上述した実施の形態においては、複数の余剰汚泥a、b、cを混合して汎用性のあるシーディング剤を製造する方法を示したが、特定の排水処理系用に特化したシーディング剤を製造する場合には、当該排水処理系の余剰汚泥のみを原料としてシーディング剤を製造する。
【0023】
図2は本発明の他の実施の形態を示すものである。図1において、各余剰汚泥a、b、cは、膜分離活性汚泥法を行なう異なる排水処理系、例えば産業排水を処理する廃水処理施設において発生するものである。各排水処理系では、それぞれの特定の排水を活性汚泥槽に導いて処理し、活性汚泥槽の混合液を槽内に浸漬した浸漬型膜分離装置で活性汚泥と処理水とに固液分離する。
【0024】
各排水処理系における各活性汚泥槽から引き抜いた余剰汚泥a、b、cは、各々別途に脱水工程12、乾燥工程13において脱水・乾燥させ、複数種類のシーディング剤を形成する。各シーディング剤はそれそれ別途に貯留ホッパ15に貯留して保管し、出荷時に適宜に混合することによって適用対象の排水処理系における汚水の基質に応じたシーディング剤を製造し、製造したシーディング剤は袋詰め工程14において所定量ずつ袋詰めして出荷する。
【0025】
このように、産業排水を処理する廃水処理施設では、業種毎に工場排水の基質が異なるので、各廃水処理施設から収集した業種毎の余剰汚泥を原料としてシーディング剤を予め形成しておき、出荷時に適用対象の工場排水に適合するように、その混合比率を適宜に調整することで、特定業種の排水処理に特化したシーディング剤を製造することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、実際の排水処理系の活性汚泥を原料として製造したシーディング剤は、純粋培養に由来するシーディング剤と違って、当該排水処理系に流入する実際の汚濁成分を栄養源とする微生物群を有するので、当該排水処理系のバルキングを活性汚泥槽において、速やかに増殖してバルキングを解消する効果を発揮することができる。しかも、シーディング剤は、実際の活性汚泥槽における環境の変遷の各場において優位に生育した微生物種を含むので、純粋培養のような固定的な環境下で馴致した微生物群と異なり、環境変化に対して優れた順応性を発揮することができる。
【0027】
また、これまで排水処理施設から発生する余剰汚泥は、廃棄物として取り扱われることが多く、その処理にあたってはバキューム車で収集し、産業廃棄物として廃棄したり、脱水した後に産業廃棄物場で埋立処分したり、焼却炉で焼却処分したり、その処分に手間と費用が掛かっていたが、余剰汚泥を原料として特定排水を活性汚泥法で処理する際のシーディング剤を製造し、バルキングの発生時にその解消のための特効薬として利用するすることによって、膜分離活性汚泥処理場が余剰汚泥を生み出す施設でなくなり、バイオテクノロジーで特定排水の処理に特化した微生物群を作り出す工場と位置づけることができる。
【0028】
また、活性汚泥施設の初期運転開始時には活性汚泥が存在してないために、他の処理施設から余剰汚泥を種汚泥としてバキューム車などで運搬して投入しているが、バキューム車では液体を運ぶので量が多くなり、費用の関係で種汚泥の量が不足することがあり、運転初期には放流水質が水質基準を達成できないことがある。しかし、本発明のシーディング剤は脱水・乾燥によって軽量化、減容化しており、十分なシーディング剤を容易にかつ安価に投入でき、運転開始時から良好な処理水が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるシーディング剤の製造方法を示すフローシートである。
【図2】本発明の他の実施の形態におけるシーディング剤の製造方法を示すフローシートである。
【図3】従来の活性汚泥法による排水処理を示すフローシートである。
【図4】従来の膜分離活性汚泥法による排水処理を示すフローシートである。
【図5】従来のシーディング剤の製造方法を示すフローシートである。
【符号の説明】
11 貯留槽
12 脱水工程
13 乾燥工程
14 袋詰め工程
Claims (2)
- 膜分離活性汚泥法を行なう複数の排水処理系において、特定排水が流入する各活性汚泥槽の混合液を、槽内に浸漬した各浸漬型膜分離装置で活性汚泥と処理水とに固液分離し、各活性汚泥槽から引き抜いた各排水処理系の余剰汚泥を混合し、この混合汚泥を脱水・乾燥することにより、異なる排水処理系に共通して使用可能なシーディング剤を製造することを特徴とするシーディング剤の製造方法。
- 膜分離活性汚泥法を行なう複数の排水処理系において、特定排水が流入する各活性汚泥槽の混合液を、槽内に浸漬した各浸漬型膜分離装置で活性汚泥と処理水とに固液分離し、各活性汚泥槽から引き抜いた余剰汚泥を各々別途に脱水・乾燥することにより、複数種類のシーディング剤を形成し、各シーディング剤を適宜に混合することによって適用対象の排水処理系における汚水の基質に応じたシーディング剤を製造することを特徴とするシーディング剤の製造方法。
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