JP3871199B2 - 長尺物の表面加工方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、断面形状が円形、概略円形、多角形、異形等を成す長尺物を表面加工する方法およびその装置に係り、より詳しくは前記長尺物を、表面荒らし、酸化スケール落とし、錆落とし、表面研磨、異物除去、バリ取り、丸み付けなどの表面加工を行うのに好適な方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述した長尺物の表面加工を、バイト、研削ホイ−ル、ブラシ、ベルトサンダ等を用いて行うと、特に長尺物が断面寸法の小さい線材などの場合には、その外周を連続的にして一様に切削することが極めて難しい。このため、従来、線材などの酸化スケールや錆を除去する場合には酸洗法、ピ−リング法あるいはダイスによる皮剥き法等が(例えば、2857279号公報参照)、また付着物を除去する場合には、アルカリ洗浄法、有機溶剤洗浄法等が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、酸洗法では、多量の水を使用するために廃水処理や環境対策費が高くなる上に設備が大規模なものとなり、しかも、細い線材などを処理するときには線材同士が接触して線材全体が酸洗液中に一様に浸漬することが難いため、処理にむらが生じ、さらに、長尺物が鉄系の場合には、使用する酸(薬品)によってはその機械的性質が低下するなどの問題があった。加えて、酸洗法では、上述のように設備が大規模であるため処理の操業中に稼動を一旦停止すると、長尺物が過剰に酸中に浸漬されてその表面が著しく劣化することになり、したがって、酸洗法による処理装置のインライン化は困難であった。
【0004】
また、複合の刃物またはダイス等の刃具間に長尺物を通過させて異物等を削り取る皮剥ぎ法では、長尺物に切削跡が残ったり、切削抵抗による張力がかかって細線材などの場合には切断してしまうなどの弊害が生じている。 また、アルカリ洗浄法や有機溶剤洗浄法では、酸洗法と同様に使用液が化学薬品であるため作業環境の保護の面で管理が大変厄介であり、しかも湿式法であるため装置が大型化するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたもので、その目的は、環境問題を引き起こすことがなく、しかも長尺物の機械的性質が低下することもないインライン化の可能な長尺物の表面加工方法およびその装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明における長尺物の表面加工方法は、長尺物を表面加工する方法であって、回転軸を相互に平行させ相対向して軸支されて対を成す弾性ローラを2対以上適宜の間隔をおいて並べて配設された前記2対以上の弾性ローラ間に長尺物を通過させる工程と、この長尺物を前記2対以上の弾性ローラによって所要の大きさの力で挟持する工程と、前記長尺物を移動させるとともに前記弾性ローラの周縁速度を前記長尺物の移動速度より速くまたは遅くなるようにして前記長尺物の移動方向と同一方向または反対方向へ前記弾性ローラを回転させる工程と、前記弾性ローラ間に粉粒体状の研削材を投入する工程と、前記研削材を前記弾性ローラの外周面に保持するための液体を前記弾性ローラの外周面から放出させる工程と、を含み、これにより、前記研削材を前記長尺物に対して相対的に移動させ長尺物を摩擦して前記長尺物の表面加工を行うことを特徴とする。
【0007】
ここで、本発明に用いる弾性ローラは、弾性を有していて研削材を長尺物との間で保持でき、かつ長尺物を通過させるときに発生する摩擦力に耐えることができる強度を備え、さらに、電動機によって回転可能なものであれば、大きさ、形状、材質は問わな。
【0008】
なお、本発明において2対以上の弾性ローラが長尺物を挟持する力の大きさは、長尺物を挟持する弾性ローラが研削材を介在させて長尺物に対して回転可能なものである。また、前記長尺物を移動させるとともに前記弾性ローラの周縁速度を前記長尺物の移動速度より速くまたは遅くなるようにして前記弾性ローラを回転させるこれにより、前記研削材を前記長尺物に対して相対的に移動させ長尺物を摩擦して前記長尺物を表面加工する。
【0009】
またなお、本発明において用いる軟質性の研削材は、籾殻、椋葉、木賊等の研削性を有する植物の単体またはこれらの混合物である。これらの研削材は長尺物の表面をいわゆる軽度な表面仕上げや付着物の除去をするのに適している。
【0010】
またなお、本発明において用いる硬質性の研削材は、アルミナ、セラミックス、ガラス粉、非鉄金属粉、金属粉等の単体またはこれらの混合物である。これらの研削材は、長尺物の酸化スケール落とし、錆落とし、異物除去、バリ取り、丸み付けなど強力な加工に適している。
【0011】
またなお、本発明において用いる軟質性のものと硬質性のものとの混合物は、籾殻、椋葉、木賊等の研削性を有する植物、アルミナ、セラミックス、ガラス粉、非鉄金属粉、金属粉等であって、これらの混合物である。これらの研削材は長尺物の表面を軽研削あるいは研磨するのに適している。
【0012】
またなお、本発明に用いる研削材の大きさは、長尺物の断面寸法などとの相関関係により決まるものであるが、粒径が0.02〜2.50mmである場合には、弾性ローラへの供給が容易であり、しかも、長尺物表面の異物除去に優れている。
【0013】
またなお、本発明における長尺物とは、断面形状が円形、概略円形、多角形、異形等を成すものをいい、その材質は問わない。
【0014】
またなお、弾性ローラの外周面から放出する液体は、研削材を弾性ローラの外周面に保持できるものであって、水または揮発性のもの例えばアルコールがあり、その成分は問わない。
【0015】
またなお、弾性ローラの回転数をそれぞれ変えることにより、弾性ローラから放出の液体によってダマになった研削材を砕く効果がある。しかも弾性ローラの回転数により研削量が変化するため、研削量の微妙な調整もできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、発明を適用した長尺物の表面加工装置の一実施例について図1〜図3に基づき詳細に説明する。本表面加工装置は、図1に示すように、前後方向へ延びる回転軸1・1・2・2を相互に平行させ相対向して軸支されて対を成しそれぞれの対が上下方向へ適宜の間隔をおいて配置されて長尺物を挟持可能でありかつ長尺物の移動方向または反対方向へ回転可能な2対の弾性ローラ3・3・4・4と、対を成す弾性ローラ3・3・4・4を相互に接近・離隔する4組の接近離隔手段と5・5、前記弾性ローラ3・3・4・4を回転させる回転手段6・6(図3参照)と、対を成す前記弾性ローラ3・3または4・4間に粉粒体状の研削材を投入する研削材投入手段(図示せず)と、前記弾性ローラ3・3・4・4を加湿する加湿手段7・7(図2参照)と、で構成してある。
【0017】
そして、前記接近離隔手段5・5のそれぞれは、図2に示すように、前記回転軸1・1・2・2にそれぞれ環装された軸受部材8・8・9・9と、軸受部材8・8・9・9にリンク機構10・10・11・11を介して連結された横向きのシリンダ12・12・13・13と、で構成してあり、シリンダ12・12・13・13の各後部は箱体状の支持フレーム14の左右外側面に装着されたブラケット15・15の上下両端に上下動自在にピン支持してあり、前記支持フレーム14は固定配設してある。さらに、前記軸受部材8・8・9・9は上下のもの同士がリンク機構16・16を介して連結してある。
【0018】
また、図3に示すように、前記回転軸1・1・2・2の後部には前記回転手段6・6の一部を構成するギヤユニットが装着してあり、ギヤユニットは前記回転軸1・1・2・2にそれぞれ嵌着されたギヤ17・17・18・18と、ギヤ17・18・17・18間にそれざれは位置されたピニオン19・19と、出力軸に一方のピニオン19が嵌着された電動機(図示せず)とで構成してあり(図示せず)、ピニオン19・19は噛み合っていて、電動機の駆動により前記弾性ローラ3・3・4・4は所定方向へ回転するようになっている。
【0019】
また、図3に示すように、前記回転軸1・1・2・2の後端には前記支持フレーム14に装着された前記加湿手段7・7が連結してあり、各加湿手段7は前記弾性ローラ3・3・4・4にそれぞれ透設された多数の細孔と前記回転軸1・1・2・2に形成されて一端が前記細孔に連通し他端が導管20を介して液体供給源21に接続する貫通孔(図示せず)とで構成してある。
【0020】
次に、このように構成された装置によって長尺物としての線材Wを表面加工する手順について説明する。線材Wを二対の弾性ローラ3・3・4・4間に順次に通過させるとともに、シリンダ12・12・13・13を伸長作動して4個の弾性ローラ3・3・4・4を相互に接近させて、弾性ローラ3・3・4・4により線材Wを所要の大きさの力で挟持する。次いで、回転手段6・6の減速機付き電動機を駆動して弾性ローラ3・3・4・4の周縁速度を線材Wの移動速度より速くまたは遅くなるようにして、弾性ローラ3・3・4・4をピニオン19・19およびギヤ17・17・18・18を介して回転させ、かつ、弾性ローラ3・3および4・4間に研削材投入手段(図示せず)から粉粒体状の研削材を吹き込む。
【0021】
すると、弾性ローラ3・3・4・4は、周縁のうち相互に接触する部分が変形して線材Wの形状に順応し、これに伴い、弾性ローラ3・3・4・4が線材Wに対して比較的長く覆い被さる状態になり、しかも、加湿手段7・7による弾性ローラ3・3・4・4の加湿によって研掃材の弾性ローラ3・3・4・4への付着が確実に行われ、この結果、弾性ローラ3・3・4・4によって研削材は線材Wに対して相対的に移動され線材Wを摩擦し、表面加工することとなる。
【0022】
なお、上記の実施例では、弾性ローラ3・3・4・4は2対設けてあるが、3対以上設けてもよい。またなお、上記の実施例では、弾性ローラ3・3・4・4を縦方向へ並べてあるが、横方向へ並べても同様の作用効果が得られる。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、長尺物を表面加工する方法であって、回転軸を相互に平行させ相対向して軸支されて対を成す弾性ローラを2対以上適宜の間隔をおいて並べて配設された前記2対以上の弾性ローラ間に長尺物を通過させる工程と、この長尺物を前記2対以上の弾性ローラによって所要の大きさの力で挟持する工程と、前記長尺物を移動させるとともに前記弾性ローラの周縁速度を前記長尺物の移動速度より速くまたは遅くなるようにして前記長尺物の移動方向と同一方向または反対方向へ前記弾性ローラを回転させる工程と、前記弾性ローラ間に粉粒体状の研削材を投入する工程と、前記研削材を前記弾性ローラの外周面に保持するための液体を前記弾性ローラの外周面から放出させる工程と、を含み、これにより、前記研削材を前記長尺物に対して相対的に移動させ長尺物を摩擦して前記長尺物の表面加工を行うから、環境問題を引き起こすことがなく、しかも、長尺物の機械的性質を低下させることもなく、長尺物を適確に表面加工することができるなどの優れた実用的効果を奏する。
【0024】
加えて、長尺物の材質、表面硬度、断面形状、処理目的により、研削材の材質
、形状、粒度等を選択し、かつ、長尺物を挟持する力の大きさと弾性ローラの回転数等を適確に選定することにより、長尺物の表面の研削量を可変させ、さらに加工条痕を付けることが可能であるため、
後工程で引抜加工あるいは圧延加工する場合、酸洗処理と比較して、湿式あるいは乾式の潤滑剤を効率良く加工工具部に誘導することができる。その上、本発明によって生じた加工条痕は、化成皮膜や塗料の下地処理としても好適であり、しかも、酸洗法あるいは他の湿式洗浄法と比較して
、装置を著しく小型にすることができるため、表面加工装置をインラインすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す一部分面正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の背面図である。
【符号の説明】
1;2 回転軸
3;4 弾性ローラ
5 接近離隔手段
6 回転手段
7 加湿手段
Claims (9)
- 長尺物を表面加工する方法であって、
回転軸を相互に平行させ相対向して軸支されて対を成す弾性ローラを2対以上適宜の間隔をおいて並べて配設された前記2対以上の弾性ローラ間に長尺物を通過させる工程と、
この長尺物を前記2対以上の弾性ローラによって所要の大きさの力で挟持する工程と、
前記長尺物を移動させるとともに前記弾性ローラの周縁速度を前記長尺物の移動速度より速くまたは遅くなるようにして前記長尺物の移動方向と同一方向または反対方向へ前記弾性ローラを回転させる工程と、
前記弾性ローラ間に粉粒体状の研削材を投入する工程と、
前記研削材を前記弾性ローラの外周面に保持するための液体を前記弾性ローラの外周面から放出させる工程と、
を含み、
これにより、前記研削材を前記長尺物に対して相対的に移動させ長尺物を摩擦して前記長尺物の表面加工を行うことを特徴とする長尺物の表面加工方法。 - 請求項1に記載の長尺物の表面加工方法において、
前記弾性ローラの回転数を変化させることを特徴とする長尺物の表面加工方法。 - 請求項1に記載の長尺物の表面加工方法において、
前記長尺物が搬入される最前の弾性ローラの回転数と、この最前の弾性ローラを除く弾性ローラの回転数とを相異させることを特徴とする長尺物の表面加工方法。 - 請求項1〜3のうち1項に記載の長尺物の表面加工方法において、
前記研削材は軟質性のものであることを特徴とする長尺物の表面加工方法。 - 請求項1〜3のうち1項に記載の長尺物の表面加工方法において、
前記研削材は硬質性のものであることを特徴とする長尺物の表面加工方法。 - 請求項1〜3のうち1項に記載の長尺物の表面加工方法において、
前記研削材は軟質性のものと硬質性のものとの混合物であることを特徴とする長尺物の表面加工方法。 - 請求項1〜6のうち1項に記載の長尺物の表面加工方法において、
前記研削材は粒径が0.02〜2.50mmであることを特徴とする長尺物の表面加工方法。 - 請求項1〜7のうち1項に記載の長尺物の表面加工方法において、
前記弾性ローラの外周面から放出する液体は、水または揮発性のものであることを特徴とする長尺物の表面加工方法。 - 長尺物を表面加工する装置であって、
回転軸を相互に平行させ相対向して軸支されて対を成しそれぞれの対が適宜の間隔をおいて配置されて前記長尺物を挟持可能でありかつ長尺物の移動方向または反対方向へ回転可能な2対以上の弾性ローラと、
対を成す弾性ローラを相互に接近・離隔する接近離隔手段と、
前記弾性ローラを回転させる回転手段と、
対を成す前記弾性ローラ間に粉粒体状の研削材を投入する研削材投入手段と、
前記弾性ローラを加湿する加湿手段と、
を具備し、
前記加湿手段は、前記弾性ローラに透設された多数の細孔と前記弾性ローラの回転軸に形成されて一端が前記細孔に連通し他端が液体供給源に接続する貫通孔とで構成したことを特徴とする長尺物の表面加工装置。
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