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JP3871309B2 - 位相シフト縞解析方法およびこれを用いた装置 - Google Patents
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JP3871309B2 - 位相シフト縞解析方法およびこれを用いた装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、位相シフト法を用いて縞画像を解析する際にフーリエ変換を用いた位相シフト縞解析方法およびこれを用いた装置に関し、特に、PZT(ピエゾ素子)等の位相シフト素子を用いて位相をシフトさせながら干渉縞等の画像情報を得、得られた干渉縞等の縞パターンを有する複数の画像データを解析して高精度な被観察体の位相情報を得る位相シフト縞解析方法およびこれを用いた装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、物体表面の精密測定に関する重要な手段として、例えば光波干渉法が知られているが、近年1/10波長以上の面精度や波面収差を計測することの必要性から1干渉縞(1フリンジ)以下の情報を読み取る干渉計測法(サブフリンジ干渉計測法)の開発が急務である。
【0003】
このようなサブフリンジ干渉計測法として、代表的な技術であり広く実用されているものに、例えば、「PROGRESS IN OPTICS」VOL XXVI(1988年)第349頁〜第393頁の「PHASE-MEASUREMENT INTERFEROMETRY TECHNIQUES」に記載されている位相シフト縞解析法(縞走査法あるいは位相走査法とも称される)がある。
【0004】
位相シフト法においては、例えばPZT(ピエゾ)素子の如き位相シフト素子を用いて、被観察体と基準との相対関係を位相シフトさせて、所定のステップ量をシフトする毎に干渉縞画像データを取り込んで被観察面の各点の干渉縞強度を測定し、この測定結果を用いて被観察面の各点の位相を求める。
例えば、4ステップの位相シフト法を行う場合、各位相シフトステップにおける干渉縞強度I、I、I、Iは、以下のように表わされる。
【0005】
【数2】
Figure 0003871309
【0006】
これらの式から位相φ(x,y)を求めると、
【数3】
Figure 0003871309
と表わすことができる。
【0007】
位相シフト法は、所定ステップ量を正確にシフトできれば、非常に精度の高い測定が可能であるが、ステップ量の誤差に伴う測定誤差問題や複数の干渉縞画像データを必要とするため計測中の外乱に影響されやすいという問題がある。
【0008】
位相シフト法以外のサブフリンジ干渉計側法として、例えば、「光学」第13巻第1号(1984年2月)第55頁〜第65頁の「サブフリンジ干渉計測基礎論」に記載されている如くフーリエ変換法を用いた技術が注目されている。
【0009】
フーリエ変換縞解析法はキャリア周波数(被観察体表面と基準面との間の相対的傾斜による)を導入することにより、1枚の縞画像から高精度に被観察体の位相を求めることを可能とする手法である。キャリア周波数を導入し、物体の初期位相を考えないと、干渉縞強度i(x,y)は次式(4)で表される。
【数4】
Figure 0003871309
【0010】
上式(4)は下式(5)のように変形できる。
【数5】
Figure 0003871309
【0011】
なお、c(x,y)は下式(6)のように表される。
【数6】
Figure 0003871309
【0012】
上式(5)をフーリエ変換すると、下式(7)が得られる。
【数7】
Figure 0003871309
【0013】
次に、フィルタリングによってC(η−fx,ζ−fy)を取り出し、座標(fx ,fy)に位置するスペクトルのピークを周波数座標系(フーリエ・スペクトル座標系とも称する;図8参照)の原点に移し、キャリア周波数を除去する。次に、逆フーリエ変換しc(x,y)を求め、下式(7)によってラッピングされた位相φ(x,y)を得る。
【0014】
【数8】
Figure 0003871309
最後に、アンラッピング処理を行ない、被測定物の位相Φ(x,y)を求める。
【0015】
以上に説明したフーリエ変換縞解析法においては、上述したようにキャリア周波数により変調された縞画像データに対してフーリエ変換が施されることになる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
前述した如く、位相シフト法は、干渉計の物体光と参照(基準)光の間に一般には2πを整数分の一に分割した位相角ずつ位相差を与えながら画像の明るさを取り込み解析するものであり、理論的には高精度な位相解析を実現可能である。
【0017】
しかしながら、高精度な位相解析を確保するためには被検体と基準との相対関係を所定位相量(極めて微小な距離)ずつ高精度に変位させることが必要であり、位相シフト法を位相シフト素子、例えば、PZT(ピエゾ素子)を用いて参照(基準)面等を物理的に移動させることにより実行する場合には、このPZT(ピエゾ素子)の変位量を高精度に制御する必要がある。しかしながら、位相シフト素子の変位誤差、あるいは参照面もしくは被観察面の傾斜誤差を完全に除去することは難しく、位相シフト量あるいは傾斜量を高精度に制御することは、実際には困難な作業である。
【0018】
このような観点から、本出願人は、位相シフト素子に起因する上記誤差を検出し、縞画像解析を行う際に前記検出値に基づき補正する手法を既に提案している(特願平2000−277444号明細書)。この技術においては、位相シフト法を用いて得られた縞画像データに対してフーリエ変換を施し、被観察体と基準の両者からの波面のずれに伴って発生するキャリア周波数と複素振幅を求め、該キャリア周波数と該複素振幅に基づき、位相シフトの変位量および傾斜量を検出し、位相シフト法により求められる結果を補正することで、位相シフト素子の傾斜量/変位量の誤差による影響を排除するようにしている。
【0019】
しかしながら、本出願人が提案した上記手法は、位相シフト素子として高価なものを用いなくとも位相シフト素子による誤差の影響を簡易に軽減可能という点において極めて有効な手法ではあるが、規定値としての所定ステップ量(例えば4バケット(ステップ)法であれば90度)との間の誤差量を補正するための計算が必要となることから縞解析に要する時間が長くなり、また位相シフト素子にシフト誤差がなければ理論的には3バケット法で充分なものが、精度的にどうしても4バケット法あるいは5バケット法を用いる必要が生じ、これによっても縞解析に要する時間短縮が妨げられおそれがあった。
【0020】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、位相シフト法を用いて得られた縞画像データを解析する場合に、位相シフトの変位量および/または該被観察体と該基準との相対的な傾斜量の誤差による影響を、装置構成を複雑かつ高価にすることなく除去し、縞解析を迅速かつ良好に行い得る位相シフト縞画像解析方法およびこれを用いた装置を提供することを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の、請求項1に係る位相シフト縞像解析方法は、位相シフト素子を用いて、被観察体と基準とを相対的に位相シフトせしめ、複数の位相シフト位置における縞画像データを求め、求められた該複数の縞画像データを解析して被観察体の位相を求める方法において、
前記複数の位相シフト位置は互いに任意の位相間隔とされた少なくとも3つの位相位置であり、
該少なくとも3つの位相位置の位置データをフーリエ変換縞解析法により特定し、これらの位相位置におけるキャリア縞を重畳させた前記縞画像データの全体または一部に所定の演算を施して位相解析を行い、被観察体の位相を求めることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の、請求項に係る位相シフト縞解析方法は、前記少なくとも3つの位相位置における、被観察体と基準との相対的な傾きに関するデータを考慮して前記所定の演算を行うことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の、請求項に係る位相シフト縞解析方法は、前記被観察体と基準との相対的な傾きに関するデータは、前記キャリア縞の周波数の差から求めることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明の、請求項に係る位相シフト縞解析方法は、前記被観察体と基準との相対的な傾きに関するデータは、前記被観察体の位相の差から求めることを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明の、請求項に係る位相シフト縞解析方法は、前記縞画像データを求める位相シフト位置の数が3であり、被観察体の位相が下記条件式(1)で表されることを特徴とするものである。
【0027】
【数9】
Figure 0003871309
【0028】
また、本発明の、請求項に係る位相シフト縞解析方法は、前記フーリエ変換縞解析法により縞画像の複素振幅を求め、該求められた複素振幅に基づいて前記少なくとも3つの位相位置を求めることを特徴とするものである。
【0029】
また、本発明の、請求項に係る位相シフト縞解析方法は、前記少なくとも3つの位相シフト位置における縞画像データの中から互いに対応する少なくとも3つの局部縞画像データを複数組選択し、これら各組の縞画像データに基づいて各組についての前記少なくとも3つの位相位置の位置データを求め、これら組の数に応じた点数の位相位置の位置データを平均演算して最終的な前記少なくとも3つの位相位置の位置データを決定することを特徴とするものである。
【0030】
また、本発明の、請求項に係る位相シフト縞解析方法は、前記縞画像が干渉縞画像であることを特徴とするものである。
【0031】
また、本発明の、請求項に係る位相シフト縞解析装置は、位相シフト素子を用いて、被観察体と基準とを相対的に位相シフトせしめ、複数の位相シフト位置における縞画像データを求め、求められた該複数の縞画像データを解析して被観察体の位相を求める位相シフト縞解析装置において、
前記複数の位相シフト位置は互いに任意の位相間隔とされた少なくとも3つの位相位置であり、
該少なくとも3つの位相位置の位置データをフーリエ変換縞解析法により得るデータ取得手段と、これらの位相位置におけるキャリア縞を重畳させた前記縞画像データの全体または一部に所定の演算を施して位相解析を行う位相解析手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る位相シフト縞解析方法を図面を用いて説明する。
【0033】
この方法は、位相シフト素子を用いて、被観察体と基準とを相対的に位相シフトせしめ、複数の位相シフト位置における縞画像データを求め、求められた該複数の縞画像データを解析して被観察体の位相を求める方法であって、上記複数の位相シフト位置は互いに任意の位相間隔とされた少なくとも3つの位相位置であり、上記少なくとも3つの位相位置の位置データを特定し、これらの位相位置におけるキャリア縞を重畳させた上記縞画像データに所定の演算を施して位相解析を行い、被観察体の位相を求めるものである。なお、本実施形態においては、縞画像解析の代表例である干渉縞解析に適用した場合について説明する。
【0034】
ところで、本位相シフト縞解析方法においては、位相位置を特定の値とすることは必要とされないが、縞画像データを得た後、この縞画像データが得られた各位相位置の位置データを特定することが必要である。
【0035】
すなわち、従来の位相シフト縞解析方法においては、図4に示すように、互いに等間隔(ここではα=90゜間隔)とされた、予め定められた位相シフト位置(ここでは0゜、90゜、180゜、270゜、360゜)における縞強度の値をプロットし、それぞれの点(a、b、c、d、e)の近傍を通過する正弦波関数f(x)を求めるようにしている。しかしながら、このような従来技術によれば、上記位相シフト位置を予め定められた位置に高精度で設定する必要があることから、実際にはこれら予め定められた位置における値に補正する処理等が必要となる。
【0036】
これに対して、本実施形態の位相シフト縞解析方法においては、図3に示すように、任意の位相間隔(α、α)とされた少なくとも3つの位相シフト位置における縞強度の値をプロットし、それぞれの点(p、q、r)の近傍を通過する正弦波関数f(x)を後述する演算式を用いて求めるようにしている。ここで、
f(x)=Acos(x+φ)+B
とおいたとき、未知数はA、φ、Bの3つであるから、少なくとも3つの位相シフト位置における位置データとそれに対応する縞強度がわかればこの関数f(x)を特定できることになる。
【0037】
次に、本実施形態の概略について図1のフローチャートを用いて説明し、その後、本実施形態を、各位相位置の位置データの特定と、この特定された位置データを用いた被観察体の位相の算出とに分けて説明する。
【0038】
本実施形態は、図1に示すように、まず、参照(基準)面と被観察体表面との間に相対的な規定の傾きを付与することにより空間キャリア縞が重畳された、被観察体の形状情報を担持してなる干渉縞画像を、位相シフト素子を駆動しつつ、複数の位相シフト位置においてCCD撮像カメラにより得る(S1)。次に、得られた各干渉縞画像データに対してフーリエ変換を施し(S2)、空間キャリア周波数(fx,fy)を探し、C(η−fx ,ζ−fy) を求める(S3)。なお、このときの空間キャリア周波数(fx,fy)は、参照(基準)面と被観察体表面との間に予め与えた規定の傾きと、位相シフト素子が駆動した際に生じた位相シフト素子の傾き誤差分とを合わせた傾きに対応している。
【0039】
次に、求められたC(η−fx ,ζ−fy)に対して、座標(fx ,fy)に位置するスペクトルのピークを周波数座標系(図8参照)の原点に移し、キャリア周波数(位相シフト素子の傾き誤差分を含む)を除去した後、逆フーリエ変換を施し(S4)、複素振幅c(x,y)を求めて参照(基準)面と被観察体表面との相対変位量を求める(S5)。この相対変位量には、位相シフト素子の傾き誤差により生じる変位量は含まれていない。すなわち、この相対変位量は、位相シフト素子の光軸方向への純粋な変位量を表している。
【0040】
次に、上記C(η−fx ,ζ−fy)に対して、座標(fx ,fy)に位置するスペクトルのピークを周波数座標系の原点に移す処理を行わず、キャリア周波数(位相シフト素子の傾き誤差分を含む)を除去しない状態で、逆フーリエ変換を施し、参照(基準)面と被観察体表面との相対傾き量を求める(S6)。この求められた相対傾き量には、位相シフト素子に空間キャリア周波数を導入するために予め与えた規定の傾きと、位相シフト素子が駆動した際に生じた位相シフト素子の傾き誤差分とが含まれている。
【0041】
上記の如く求められた、参照(基準)面と被観察体表面との相対変位量および相対傾き量により、位相シフト素子の傾き誤差分に関わる位相変位量を含んだ、位相シフト素子の各位相シフト位置(位相シフト量)を求めることができる(S7)。次に、このようにして求められた複数個(少なくとも3個)の位相シフト位置(位相シフト量)を後述する所定の演算式に代入して被観察体のラップされた位相を求める(S8)。次に、周知のアンラップ処理によりアンラップされた被観察体の位相を求める(S9)。
【0042】
<各位相位置の位置データを特定するステップ>
本ステップは、図1のフローチャートにおいてS1〜S5の処理に対応するものである。
【0043】
一般的に、フーリエ変換縞解析法はキャリア周波数(被観察体表面と参照面との相対的な傾斜)を導入することにより、一枚の縞画像のみで位相を求めることができる。キャリア周波数を導入すると干渉縞強度は次の式(9)で表される。
【0044】
【数10】
Figure 0003871309
【0045】
ξは前述したように、λを光の波長、zを位相シフト素子の変位量(位相シフト素子の傾きに関わる変位量は含まない)としたとき、ξ=2πz/λで表わせるから上式(9)は下式(10)のように変形できる。
【0046】
【数11】
Figure 0003871309
【0047】
【数12】
Figure 0003871309
【0048】
上式(10)をフーリエ変換すると、下式(12)を得ることができる。
【数2】
Figure 0003871309
【0049】
一般的なフーリエ変換法で行われる手順と同様にして、フィルタリングによって、C(η−fx ,ζ−fy)を求め、C(η−fx ,ζ−fy)に対して、座標(fx ,fy)に位置するスペクトルのピークを周波数座標系の原点に移しキャリア周波数(位相シフト素子の傾き誤差分を含む)を除去した後、逆フーリエ変換を施し(S4)、逆フーリエ変換してc(x,y)を得る。ここで、位相シフト素子の初期位相をξ、移動後の位相をξとすると、開始位置における干渉縞画像データから下式(13)が得られる。
【0050】
【数14】
Figure 0003871309
【0051】
次に、位相シフト素子移動後における干渉縞画像データから下式(14)が得られる。
【数15】
Figure 0003871309
【0052】
これにより、下式(15)が得られる。
【数16】
Figure 0003871309
【0053】
したがって、位相シフト素子移動前後の位相差は下式(16)で表わされる。
【数17】
Figure 0003871309
【0054】
したがって、位相シフト素子の変位量は下式(17)で表わされる。
【数18】
Figure 0003871309
【0055】
また、所定の位相シフトにより得られた各干渉縞画像毎に求めた変位量の平均を求めることにより高精度の変位検出を行うことができる。なお、フーリエ変換縞解析法により被観察体の変位を検出する際には、必ずしも縞画像データ全体を用いる必要はなく、一部の縞画像データによっても充分に精度の高い変位検出を行うことが可能である。
【0056】
<被観察体の位相を算出するステップ>
以下、上述したようにして求められた位相シフト素子の各位相位置データに基づき、被観察体の位相を求める手法について説明する。
【0057】
その概要は、図1のフローチャートで示されるように、上記C(η−fx ,ζ−fy)に対して、キャリア周波数(位相シフト素子の傾き誤差分を含む)を除去しない状態で、逆フーリエ変換を施し、参照(基準)面と被観察体表面との相対傾き量(位相シフト素子の傾き誤差分を含む)を求め(S6)、この相対傾き量と上記の如く求めた位相シフト素子の変位量とにより、位相シフト素子の傾きに関わる位相変位量を含んだ、位相シフト素子の各位相シフト位置(位相シフト量)を求め(S7)、さらに、ラップした被観察体の位相を後述する所定の演算式により求め(S8)、アンラップ処理によりアンラップされた被観察体の位相を求める(S9)というものである。
【0058】
本実施形態における位相を求める手法は、任意数のバケット(3,4,5,7,11,Nバケットなど)に対応することが可能であるが、ここでは説明の便宜上、3バケット法、4バケット法および5バケット法のみについて説明する。
【0059】
まず、任意シフト量による3バケット位相シフト法においては、キャリア周波数を導入した第m回目のシフト位置における干渉縞強度は下式(18)で表される。
【0060】
【数19】
Figure 0003871309
ここで、λは光の波長、θxmとθymは第m回目の位相シフトがなされた後における参照(基準)面と被観察体表面とのX,Y方向の相対傾き量(位相シフト素子の傾き誤差分を含む)、zmは位相シフト素子の第m回目のシフト位置における変位量(位相シフト素子の傾きに関わる変位量は含まない)である。
【0061】
上式(18)における位相シフト素子の位相シフト量δmは、位相シフト素子の光軸方向への純粋な変位に関わる位相変位量と、位相シフト素子の傾きに関わる位相変位量とを含めた、参照(基準)面と被観察体表面との相対位相差を表しており、以下の手順により求められる。
【0062】
まず、上記C(η−fx ,ζ−fy)に対して、キャリア周波数(位相シフト素子の傾き誤差分を含む)を除去しない状態で、逆フーリエ変換を施し(S6)、参照(基準)面と被観察体表面との相対傾き量(位相シフト素子の傾き誤差分を含む)が重畳された状態での、被観察体表面の形状を求める。次に、最小二乗法を用いて上記表面形状にフィッティングする平面を求め、この最小二乗平面の微係数に基づき上記相対傾き量θxmとθymを求める。
【0063】
次に、この相対傾き量θxmとθymを上式(18)のただし書きに示した式に代入して、キャリア周波数(fxm,fym)(位相シフト素子の傾き誤差分を含む)を求め、また、先に示した手順により求められる位相シフト素子の変位量zmを上式(18)のただし書きに示した別の式に代入して、位相シフト素子の位相ξ(位相シフト素子の傾きに関わる分は含まない)を求める。さらに、この求めたキャリア周波数(fxm,fym)と位相シフト素子の位相ξとを上式(18a)に代入して、位相シフト素子の位相シフト量δmを求める。
【0064】
次に、被観察体位相φ(x,y)を求めるために下式(19)の考察を行う。
【数20】
Figure 0003871309
【0065】
これより、下式(20)が得られる。
【数21】
Figure 0003871309
【0066】
上記した手順により、参照(基準)面と被観察体表面との相対位相差を表している、位相シフト素子の位相シフト量δmを求めることができる。したがって、上式(20)を用いて、被観察体形状のラップした位相φを求めることができる。さらに、周知のアンラップ処理方法を用いて連続的な被観察体位相Φを求めることができる。
【0067】
なお、任意シフト量4バケット位相シフト法においては、上式(19)、(20)に代えて、下式(21)、(22)を用いる。
【0068】
【数22】
Figure 0003871309
【0069】
【数23】
Figure 0003871309
【0070】
また、任意シフト量5バケット位相シフト法においては、上式(19)、(20)に代えて、下式(23)、(24)を用いる。
【0071】
【数24】
Figure 0003871309
【0072】
【数25】
Figure 0003871309
【0073】
次に、上述した方法を実施するための装置について、図2を用いて説明する。
【0074】
この装置は、上記実施形態方法を実施するためのもので、図2に示すように、マイケルソン型干渉計1において、被観察体表面2と参照(基準)面3からの両反射光束によって形成される干渉縞は、撮像カメラ4のCCD5の撮像面において形成され、画像入力基板6を介して、CPUおよび画像処理用のメモリを搭載したコンピュータ7に入力され、入力された干渉縞画像データに対して種々の演算処理が施され、その処理結果はモニタ画面7A上に表示される。なお、撮像カメラ4から出力される干渉縞画像データはCPUの処理により一旦メモリ内に格納されるようになっている。また、コンピュータ7から出力されたピエゾ駆動信号は、D/A基板8を介してピエゾ駆動部9に入力され、これに応じてPZT(ピエゾ素子)アクチュエータ10が駆動されるようになっている。
【0075】
コンピュータ7は、得られた干渉縞画像データに対してフーリエ変換を施して位相シフト素子の(被観察面と基準面との相対的な)位相シフト量を求めるとともに、その位相シフト量を代入した演算式の演算処理を行って、被観察面の位相を算出する。
【0076】
また、図5は、上記PZT(ピエゾ素子)アクチュエータ10の2つの態様を示すものである。
【0077】
すなわち、第1の態様は、図5(A)に示すように、参照面(参照ミラー)3の裏面を支持する3つのピエゾ素子121、122、123を備え、支点部材としても機能するピエゾ素子121と各ピエゾ素子122、123とを結ぶ参照面3を有する参照ミラー上の、2本の直線Lx、Lyが互いに直交するように構成されたものである。3本のピエゾ素子121、122、123が同量だけ伸縮することにより位相シフトが行なわれ、さらにピエゾ素子122のみの伸縮により参照ミラーの参照面3がy軸を中心として回転するようにx軸方向に傾き、ピエゾ素子123のみの伸縮により参照ミラーの参照面3がx軸を中心として回転するようにy軸方向に傾くことになる。一方、第2の態様は、図5(B)に示すように、参照面(参照ミラー)3の裏面中央部を円柱状のピエゾチューブ124によって支持するように構成されたものである。このピエゾチューブ124の偏奇しない伸縮により位相シフトが行なわれ、一方、偏奇した伸縮により参照ミラーの参照面3がx軸方向およびy軸方向に自在に傾けられることになる。
【0078】
次に、上記実施形態方法の精度を検証するために、理想平面を観察した場合に得られる図6に示すような干渉縞(256階調)において、初期位相を各々0°、76°、123°とされた3枚の縞画像を用いて、上述した3バケット法で位相解析を行った。求められた位相シフト量はそれぞれ75.9986°、122.9973°である。位相解析の結果と上記理想平面との誤差は図7に示される。最大誤差は約±0.01rad(7.9×10-4λ)で、無視できる程度である。したがって、3バケット法によっても、高精度で位相解析できることが確認された。
【0079】
なお、本発明の方法としては上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。例えば、上記実施形態方法においては、被観察体の傾きを検出する際に、被観察体からの位相情報を担持した縞画像データを取得し、次に、前記各々の縞画像データの全体または一部にフーリエ変換を施して、該縞画像データ中の被観察体の位相情報を求め、求めた位相情報に基づき、前記被観察体の傾きを検出するようにしているが、該縞画像データ中の被観察体の位相情報に代えて該縞画像データ中のキャリア縞の周波数を求めるようにし、この求めたキャリア縞の周波数に基づき、前記被観察体の傾きを検出するようにしてもよい。このように縞画像データ中のキャリア縞の周波数を求めることにより被観察体の傾きを検出する手法は、本出願人が先に出願している特願2000-397246号の明細書に詳細に開示されている。
【0080】
また、位相シフト素子としては、上記PZTに限られるものではなく、参照面または被観察面を物理的に移動させたり、AO素子、EO素子を用いること等によって光路長を変化させて位相シフト法を達成できるもの、あるいは、参照光路および/または観察光路中に挿入し、屈折率等を変化させ光路長を所定量変化させ得る透過型素子であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態においては、3つのPZT素子を配設する態様としてこれら3つの部材が丁度直角三角形の各頂点に位置するようにしているが、これら3つの部材は参照ミラー上で任意の三角形の頂点を形成するような配置とすれば所期の効果を得ることができる。
【0082】
また、上述した実施形態では、キャリア周波数として空間キャリア周波数を用いて説明しているが、本発明のキャリア周波数として、時間キャリア周波数あるいは時空間キャリア周波数を用いることが可能である。
【0083】
また、上記実施形態のものにおいては、干渉縞画像データをマイケルソン型干渉計を用いて撮像しているが、フィゾー型等のその他の干渉計を用いて得られた干渉縞画像データに対しても同様に適用できることは勿論である。
【0084】
さらに、本発明は、干渉縞のみならずモアレ縞やスペックル縞、その他の種々の縞画像に対しても同様に適用可能である。
【0085】
【発明の効果】
本発明の位相シフト縞解析方法およびこれを用いた装置によれば、位相シフト素子を用いて、被観察体と基準とを相対的に位相シフトせしめ、互いに任意の位相間隔とされた少なくとも3つの位相位置における縞画像データを求め、求められた該複数の縞画像データを解析して被観察体の位相を求める際に、該少なくとも3つの位相位置の位置データを特定し、これらの位相位置におけるキャリア縞を重畳させた前記縞画像データの全体または一部に所定の演算を施して位相解析を行い、被観察体の位相を求めるようにしている。
【0086】
これにより、規定値としての所定のシフト位置を定めていた先行技術と比べ、所定のシフト位置との間の誤差量を補正するための計算に要する時間が不要となり、また高価な位相シフト手段を用いなくとも、少ない数のバケット法により、測定精度の向上を図れるから、縞解析に要する時間短縮を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態方法を説明するためのフローチャート
【図2】図1に示す実施形態方法を実施するための装置のブロック図
【図3】本発明方法の要点を説明するためのグラフ
【図4】従来技術における図3に対応するグラフ
【図5】図2の一部を具体的に示す図
【図6】図1に示す実施形態方法を検証するために用いられる縞画像を示す図
【図7】図1に示す実施形態方法を検証した結果を示す図
【図8】図1に示す実施形態方法において用いられる周波数座標系を示す図
【符号の説明】
1 マイケルソン型干渉計
2 被観察体表面
3 参照面
4 撮像カメラ
5 CCD
7 コンピュータ
7A モニタ画面
9 ピエゾ駆動部
10 PZTアクチュエータ

Claims (9)

  1. 位相シフト素子を用いて、被観察体と基準とを相対的に位相シフトせしめ、複数の位相シフト位置における縞画像データを求め、求められた該複数の縞画像データを解析して被観察体の位相を求める方法において、
    前記複数の位相シフト位置は互いに任意の位相間隔とされた少なくとも3つの位相位置であり、
    該少なくとも3つの位相位置の位置データをフーリエ変換縞解析法により特定し、これらの位相位置におけるキャリア縞を重畳させた前記縞画像データの全体または一部に所定の演算を施して位相解析を行い、被観察体の位相を求めることを特徴とする位相シフト縞解析方法。
  2. 前記少なくとも3つの位相位置における、被観察体と基準との相対的な傾きに関するデータを考慮して前記所定の演算を行うことを特徴とする請求項記載の位相シフト縞解析方法。
  3. 前記被観察体と基準との相対的な傾きに関するデータは、前記キャリア縞の周波数の差から求めることを特徴とする請求項記載の位相シフト縞解析方法。
  4. 前記被観察体と基準との相対的な傾きに関するデータは、前記被観察体の位相の差から求めることを特徴とする請求項記載の位相シフト縞解析方法。
  5. 前記縞画像データを求める位相シフト位置の数が3であり、被観察体の位相が下記条件式(1)で表されることを特徴とする請求項1からのうちいずれか1項記載の位相シフト縞解析方法。
    Figure 0003871309
  6. 前記フーリエ変換縞解析法により縞画像の複素振幅を求め、該求められた複素振幅に基づいて前記少なくとも3つの位相位置を求めることを特徴とする請求項1からのうちいずれか1項記載の位相シフト縞解析方法。
  7. 前記少なくとも3つの位相シフト位置における縞画像データの中から互いに対応する少なくとも3つの局部縞画像データを複数組選択し、これら各組の局部縞画像データに基づいて各組についての前記少なくとも3つの位相位置の位置データを求め、これら組の数に応じた点数の位相位置の位置データを平均演算して最終的な前記少なくとも3つの位相位置の位置データを決定することを特徴とする請求項1からのうちいずれか1項記載の位相シフト縞解析方法。
  8. 前記縞画像が干渉縞画像であることを特徴とする請求項1〜のうちいずれか1項記載の位相シフト縞解析方法。
  9. 位相シフト素子を用いて、被観察体と基準とを相対的に位相シフトせしめ、複数の位相シフト位置における縞画像データを求め、求められた該複数の縞画像データを解析して被観察体の位相を求める位相シフト縞解析装置において、
    前記複数の位相シフト位置は互いに任意の位相間隔とされた少なくとも3つの位相位置であり、
    該少なくとも3つの位相位置の位置データをフーリエ変換縞解析法により得るデータ取得手段と、これらの位相位置におけるキャリア縞を重畳させた前記縞画像データの全体または一部に所定の演算を施して位相解析を行う位相解析手段とを備えたことを特徴とする位相シフト縞解析装置。
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