JP3871908B2 - 電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明はCSP(Chip Size Package)、BGA(Ball Grid Array)など電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する方法であって、幅方向の変形である反り変形および長手方向の変形であるカール状変形のいずれもが低減された電子部品実装用フィルムキャリアテープを効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
CSP、BGAなど電子部品実装用フィルムキャリアテープは、一般に、可撓性を有する絶縁性樹脂からなる絶縁フィルムの少なくとも一方の面に、銅あるいはアルミニウム等の金属からなる導電性金属層を形成し、この導電性金属層を例えば露光して所望のパターンに現像されたフォトレジスト等をマスキング材としてエッチングして導電性金属からなる所望の配線パターンを形成することにより形成されている。そして、こうして形成された配線パターンの端子部分は、半導体チップなどと接続されるために露出させることが必要であるが、その他の配線パターン部分は、ソルダーレジストを塗布して保護することが多い。また、配線パターンを形成する際に絶縁フィルム表面に銅箔あるいはアルミニウム箔などの導電性金属箔を配置してこの導電性金属箔をエッチングすることにより所望の配線パターンを形成するが、このような導電性金属箔は、熱硬化性の接着剤を用いて絶縁フィルムに貼着される。
【0003】
このような電子部品実装用フィルムキャリアテープにおいては、ソルダーレジストおよび熱硬化性接着剤は、硬化に伴って収縮するという性質を有している。したがって、絶縁フィルムの一方の面にこのような熱硬化性接着剤およびソルダーレジストを塗布した電子部品実装用フィルムキャリアテープには、これらが塗布された面(通常は配線パターンが形成された面)を内側にして幅方向に湾曲した反り変形を生ずる。
【0004】
こうした電子部品実装用フィルムキャリアテープの幅方向に生ずる反り変形は、例えば、ソルダーレジストを塗布して硬化させた後、加熱下に幅方向に逆反りをかけながら矯正するなど、種々の方法により是正可能であることが知られている。なお、このような幅方向の反り変形は、電子機器の小型軽量化に伴って絶縁フィルムが薄くなり、また形成される配線パターンのファインピッチ化が進むにしたがってより大きくなる傾向にある。
【0005】
ところで、上記のような電子部品実装用フィルムキャリアテープに半導体チップ(IC)などを実装する際には半導体チップ5個〜10個程度分を一連に切断してフィルムキャリアテープを短冊状にして半導体チップの実装装置に供給することが多い。このように短冊状に切断したフィルムキャリアテープでは、幅方向の反り変形を上述のように逆反りをかけて是正すると、その応力が方向を変えて短冊状に切断されたフィルムキャリアテープの長手方向におけるカール状変形として発現することがある。このように短冊状のフィルムキャリアテープが長手方向にカール状変形すると、搬送時、作業性に悪影響を及ぼすだけでなく、実装時においても半導体チップ等の位置合わせの不具合やダメージ等を引き起こす可能性がある。
【0006】
【発明の目的】
本発明は短冊状に切断されて使用される電子部品実装用フィルムキャリアテープにおいて、幅方向における反り変形、長手方向におけるカール状変形のいずれもが是正された電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する方法を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法は、絶縁フィルムの少なくとも一方の面に導電性金属からなる配線パターンを形成する工程、および、該配線パターンの端子部分を残してソルダーレジストを塗布・硬化させる工程を有する電子部品実装用
フィルムキャリアテープの製造方法において、
該電子部品実装用フィルムキャリアテープのソルダーレジストから露出した端子部分に電子部品を実装する前に、該フィルムキャリアテープの幅方向に該テープが湾曲して生じた反り変形を是正した後、該フィルムキャリアテープの長手方向に湾曲して生ずるカール状変形を是正するために、電子部品実装用フィルムキャリアテープを配線パターンが形成された面が外側に位置するように巻き取りリールにフラットスペーサーと共に巻回して80〜150℃の範囲内の温度に10時間以上加熱保持することを特徴としている。
【0008】
上記のようにフィルムキャリアテープの幅方向に生ずる反り変形を解消することにより、その幅方向の反り変形を生じさせていた応力は、フィルムキャリアテープの長手方向における端部が配線パターン形成側にカールするカール状変形を生じさせる。特にCSP、BGAでは、フィルムキャリアテープを短冊状に切断して電子部品を実装することが多く、こうした場合、フィルムキャリアテープの長手方向の端部近傍にカール状変形が生ずると、電子部品を正確に実装することができにくくなる。
【0009】
そこで、本発明では、フィルムキャリアテープの幅方向に生じた反り変形を逆反りを付与することにより除去した後、このフィルムやリアテープの長手方向に生じたカール状変形を除去している。
【0010】
【発明の具体的な説明】
次に本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法について具体的に説明する。
本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法では、可撓性を有する絶縁フィルムの一方の面に配線パターンを形成する。
【0011】
本発明で使用することができる絶縁フィルムは、エッチングする際に酸などと接触することから、こうした薬品に侵されない耐薬品性、およびボンディングする際の加熱によっても変質しないような耐熱性を有している。この絶縁フィルムを形成する素材の例としては、ポリエステル、ポリアミドおよびポリイミドなどを挙げることができる。特に本発明では、ポリイミドからなるフィルムを用いることが好ましい。このようなポリイミドは、他の樹脂と比較して、卓越した耐熱性を有するとともに、耐薬品性にも優れており、これらの点に関しては他の樹脂とは比較できないほど優れた特性を有している。しかしながら、このポリイミド樹脂は3重量%以下の量で水分を吸収するとの特性を有しており、こうした吸水により寸法変化するという特性がある。
【0012】
このポリイミド樹脂の例としては、ピロメリット酸2無水物と芳香族ジアミンとから合成される全芳香族ポリイミド、ビフェニルテトラカルボン酸2無水物と芳香族ジアミンとから合成されるビフェニル骨格を有する全芳香族ポリイミドを挙げることができる。特に本発明ではビフェニル骨格を有する全芳香族ポリイミド(例;商品名:ユーピレックスS、宇部興産(株)製)が好ましく使用される。ビフェニル骨格を有する全芳香族ポリイミドは、他の全芳香族ポリイミドよりも吸水率が低い。本発明で使用可能な絶縁フィルムの厚さは、通常は25〜125μm、好ましくは25〜75μmの範囲内にある。特に本発明では、絶縁フィルムの厚さが薄くなるに従って幅方向の反り変形が大きくなり、この反り変形を是正するためにフィルムキャリアテープの幅方向に逆反りをかけると、この幅方向に反り変形を形成していた応力が方向を変えて長手方向のカール状の変形となる。こうした傾向は、絶縁フィルムの厚さが薄くなるに従って顕著に現れるようになり、絶縁フィルムの厚さが50μm以下の場合に特に顕著に現れる傾向がある。従って、本発明の方法は25〜50μmのように薄いポリイミドフィルムを絶縁フィルムとして用いた場合に特にその有用性が高い。
【0013】
本発明の方法に従って電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する際には、まず上記のような絶縁フィルムの両縁部に、スプロケットホール(パーフォレーション)を打抜き形成し、これと同時に必要により、スリット、ハンダボール孔、位置決め孔などを打抜き形成することができる。
本発明では上記のようにして必要な打抜き孔が形成された絶縁フィルムの少なくとも一方の面に導電性金属を貼着する。ここで使用する導電性金属の例としては、アルミニウム箔および銅箔を挙げることができる。このような導電性金属箔としては、通常は3〜35μm、好ましくは9〜25μmの範囲内にある金属箔を使用することができる。特に導電性金属箔の厚さが、例えば25μm以下、特に最近では18μm以下の導電性金属箔を使用することが多くなってきており、導電性金属箔の厚さが上記のように薄くなるに従って、反り変形およびカール状変形が大きくなる傾向がある。
【0014】
本発明で使用される導電性金属箔としては銅箔を使用することが好ましく、ここで使用可能な銅箔には、電解銅箔と圧延銅箔とがあるが、エッチング特性、操作性などを考慮すると電解銅箔を使用することが好ましい。
なお、配線パターンを形成する導電性金属箔は、通常は絶縁フィルムの一方の面に積層されるが、この導電性金属箔は接着層を介して絶縁フィルムの表面に積層することもできるし、こうした接着層を介することなく積層することもできる。
【0015】
また、上記は絶縁フィルムの表面に接着剤層が形成されている態様が示されているが、接着剤層は、導電性金属箔の一方の面に形成されていてもよい。
こうして絶縁フィルムの一方の面に導電性金属箔を積層し、次いでこの導電性金属箔表面にフォトレジストを塗布し、このフォトレジストに形成しようとする配線パターンと同一のパターンを露光現像することにより形成し、このフォトレジストにより形成されたパターンをマスキング材として導電性金属箔をエッチングして所望の配線パターンを形成する。
【0016】
こうして配線パターンを形成した後、電子部品と電気的に接続するリード部を残してソルダーレジストを塗布し、加熱することによりこのソルダーレジストを硬化させる。このソルダーレジストは、加熱硬化する際に硬化収縮する傾向がある。
このようにソルダーレジストを塗布し硬化させた後、ソルダーレジストから露出している配線パターンをメッキ処理する。このメッキ処理は、金メッキ、ニッケル金メッキ、スズメッキなどの処理を採用することができるが、BGA、CSPにおいては、電子部品と金線を用いて電気的に接続することが多いことから、金メッキまたはニッケル金メッキをすることが好ましい。このようなメッキの厚さは通常は0.02〜12μm、好ましくは0.02〜3μmである。
【0017】
こうして電子部品実装用フィルムキャリアテープ1にソルダーレジスト16を塗布した後硬化させると、図1に示すように、電子部品実装用フィルムキャリアテープ1は、電子部品を実装する配線パターン14が形成された面が凹状になるように変形する。このように電子部品実装用フィルムキャリアテープ1に生じた幅方向の反り変形は、凹に変形した面(配線パターン14が形成されソルダーレジスト層16が形成された面)が凸状になるように、発生した反りとは逆の方向に反り変形が生ずるようにフィルムキャリアテープ1に変形を与えることにより、幅方向に生じた反り変形を是正することができる。なお、図1において、10は絶縁フィルム、12は接着剤層、18はスプロケットホールである。さらに具体的に説明すると、このような電子部品実装用フィルムキャリアテープ1には、例えば図8に示すように、ビアホール17などの透孔が形成された絶縁フィルム10の表面に、接着剤層12を介して貼着された導電性金属箔をエッチングすることにより形成された配線パターン14が形成されている。この配線パターン14と電子部品(チップ)35とは、チップ35に形成されたバンプ電極と配線パターン14の端部(リード)とを、金線などの導電体金属線36で接続することにより、電子部品35を実装することができる。リードはソルダーレジスト16の外側に延設された配線パターン14であり、その表面は、導電性金属線36との適切なボンディング性の確保や導電性金属箔表面の保護のためなどの目的でメッキ層37が形成されている。また、ビアホール17内に露出する配線パターン14の表面にもメッキ層37が形成されている。上記のようにして電子部品35を実装する際の電子部品35とリード(配線パターン14の端部)とを導電性金属線36で電気的に接続することにより、電子部品35を実装することができる。このような電子部品を正確に実装する際には、治具への載置性や搬送性が非常に重要になってくる。従って、電子部品実装用フィルムキャリアテープ1の変形は、電子部品の実装前にできるだけ是正する必要がある。
【0018】
このように電子部品実装用フィルムキャリアテープ1の幅方向に生じた反り変形は、例えば、生じた反り変形に対して逆方向にフィルムキャリアテープを反らせて(逆反りを与えて)加熱することにより解消することができる。さらにフィルムキャリアテープ1に、樽状のローラーを用いて逆反りを与えることによっても解消することができる。また、上記のように逆反りをかけずに、上下に配置された複数のローラー間を加熱しながらフィルムキャリアテープを上下に蛇行させながら通過させることによってもフィルムキャリアテープの幅方向に生じた反り変形を解消することができる。またさらに、幅方向に反り変形したフィルムキャリアテープを所定の温度に加熱した直後に、逆反りをかけて室温近傍まで急冷することによっても、このフィルムキャリアテープの幅方向に生ずる反り変形を解消することが可能である。
【0019】
ここで、電子部品実装用フィルムキャリアテープの幅方向に生じた反り変形を解消するには、このフィルムキャリアテープを通常は80〜200℃、好ましくは150〜200℃程度に加熱しながら、比較的短時間(通常は5分以内、好ましくは2分以内の短時間)、フィルムキャリアテープに逆反りをかけるなどの、発生している幅方向の反り変形に抗しうる応力をかける必要がある。このように加熱下に幅方向に反り変形を生じさせた応力に抗する応力をかけることにより、幅方向の反り変形応力が表現化する方向が変化して、幅方向の反り変形はほぼ解消される。このようなフィルムキャリアテープの幅方向に生じた変形の矯正は、主として、反り取りの際にポリイミドなどの絶縁フィルムに電解銅箔を貼着するのに使用されている接着剤を軟化させ、逆反りをかけた状態で固化することによるものであると考えられる。
【0020】
ところが、このように幅方向の反り変形を解消すると、この反り変形を形成していた応力がその方向を変えて、フィルムキャリアテープの長手方向に作用して、図3に示すように、フィルムキャリアテープ1の長手方向の端部近傍がフィルム状キャリア15の配線パターン14の形成された側を内側にしてカールするように変形する。このようなフィルムキャリアテープ1の長手方向の端部近傍に生ずる変形をカール状変形という。このようなカール状変形は絶縁フィルムが薄くなるに従って大きくなる傾向がある。特に、CSP、BGAなどではフィルムキャリアテープを例えば200mm程度(本発明の実施例では190mmに切断した例が示されている)の短冊状に切断して電子部品を実装することがあり、こうした場合に、短冊状に切断したフィルムキャリアテープの長手方向の端部近傍にカール状変形が生ずると、この短冊状のフィルムキャリアテープを電子部品を実装するための治具に載置することが困難なったり、搬送上の不具合を生じ、電子部品の実装に支障をきたす。
【0021】
そこで、本発明では、ソルダーレジストを塗布硬化させ、メッキ層を形成した後、配線パターンが形成された面が凹状に反り変形したフィルムキャリアテープに、たとえば逆反りをかけてこの幅方向の反り変形を解消した後、フィルムキャリアテープに生ずる長手方向の端部近傍に発生するカール状変形を是正する。
このフィルムキャリアテープの長手方向の端部近傍に発生するカール状変形は、フィルムキャリアテープを短冊状に切断して電子部品を実装するCSP、BGAなどにおける電子部品の実装の際に特に問題になる。
【0022】
すなわち、上記のように短冊状に切断されたフィルムキャリアテープは、電子部品を実装するために治具に固定し、こうして固定されたフィルムキャリアテープに電子部品を、電子部品に形成されたバンプ電極とフィルムキャリアテープとが所定の位置にくるように配置して両者を電気的に接続するが、(1)フィルムキャリアテープの反りあるいはカール変形が生じていると、短冊状に切断されたフィルムキャリアテープの搬送に支障をきたす、(2)短冊状に切断されたフィルムキャリアテープの長手方向にカール状に変形すると短冊状のテープの端部で正確な位置合わせをすることができにくくなる、(3)電子部品が実装したテープをボンディング用の治具から取り外した際に、電子部品が実装されたフィルムキャリアテープが反り変形あるいはカール変形していると電子部品を実装している金属線などが曲がったりダメージを受けることがあるなどの不具合が生ずる。
【0023】
そこで、本発明では、フィルムキャリアテープの幅方向に生じた反り変形を是正することにより、フィルムキャリアテープに内在する長手方向のカール状変形を、例えば幅方向に生じた反り変形を是正した後、例えば図2に示すようにこのフィルムキャリアテープ1をリール22に巻回して、所定時間加熱し、フィルムキャリアテープ1をリール22に巻き締めることにより解消することができる。この際、フィルム状キャリア15の配線パターン14が形成されている面が外側に位置するようにフィルムキャリアテープを配置してリール22に巻回する。また、このフィルムキャリアテープ1は、フラットスペーサー20を介してリール22に巻回することが望ましい。このようにフラットスペーサー20を介してフィルムキャリアテープ1を巻回することにより、絶縁フィルム10の表面に形成されたフィルムキャリア15の配線パターン14、より正確にいうとソルダーレジスト16が重ね巻回される次の周回の絶縁フィルム10の裏面と直接接触しないので、加熱収縮による絶縁フィルム10の位置ずれがソルダーレジスト16に直接影響を与えることがなく、また、ソルダーレジスト16中に残存する未硬化樹脂によってソルダーレジスト16と次の周回の絶縁フィルム10とが接着するのを防止することができる。
【0024】
ここで使用されるフラットスペーサー20としては、この長手方向に生じ得るカール状変形を是正するための加熱によって熱変形しない程度の耐熱性を有する素材から形成されていることが好ましく、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)などのポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリアミドのようなプラスチック(樹脂)から形成される可撓性フィルムのほか、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔を挙げることができる。このようなフラットスペーサー20を用いる場合、このフラットスペーサーの厚さに特に制限はないが、25〜125μm、好ましくは75〜125μmの厚さのフラットスペーサーを使用することにより、安定した作業性が確保される。
【0025】
上記例は、電子部品実装用フィルムキャリアテープ1をそのままの形態でリール22に、好適にはフラットスペーサーを介して巻回する方法により、短冊状に切断したときにこの短冊状のテープの長手方向の端部近傍に生ずるカール状変形を、フィルムキャリアテープ1を短冊状に切断する前に是正しようとするものであるが、本発明は、このように複数個のフィルム状キャリア15を一連にして電子部品実装用フィルムキャリアテープ1を切断して得られる短冊状のフィルムキャリアテープを、所定の曲率を有する治具で挟持し、この治具と共に短冊状フィルムキャリアテープを加熱下に加圧して短冊状フィルムキャリアテープのカール状変形を是正することもできる。この方法で使用される治具の一例を図4に示す。図4に示す治具30は所定の曲率半径Rを有する下型33と、これと同一の曲率半径を有する上型34とを有している。下型33には、スプロケットホールに対応する位置に位置決めピン32が多数植設されている。この治具30の曲率半径Rは、通常は3〜10cm、好ましくは3〜6cmであり、このような曲率半径を有する治具に短冊状に切断されたフィルムキャリアテープを挟持させ、上型34と下型33とを締結具(図示なし)で締めつけてカール状変形とは逆の方向にフィルムキャリアテープを反らせた状態に維持して所定温度に一定時間固定することにより、フィルムキャリアテープに発生したカール状変形を是正することができる。
【0026】
なお、この治具30を用いてカール状変形を解消する場合、フィルム状キャリア15の配線パターン14が形成された面を凸面側になるように配置することは勿論である。また、この治具30を使用してカール状変形を解消する場合に、治具30には複数枚の短冊状フィルムキャリアテープを挟持してカール状変形を解消することができる。このように複数枚のフィルムキャリアテープを重ね合わせる場合、フィルムキャリアテープの間に、上記リールを用いた場合のカール状変形を解消する際に使用したフラットスペーサーを介してフィルムキャリアテープを重ねあわせることもできる。
【0027】
また、本発明で使用されるフラットスペーサーは、少なくとも配線パターンが形成されている幅だけあればよく、従って、絶縁フィルムと同一の幅にして必要によりスプロケットホールを形成することもできるし、導電性金属箔の幅と略同一の幅として、スプロケットホールを形成しないで使用することもできる。
上記のようにしてカール状変形を是正するためには、上記のようにリールに好適にはフラットスペーサーと共に巻回した電子部品実装用フィルムキャリアテープ、または、治具に挟持された短冊状のフィルムキャリアテープを、通常は60〜150℃、好ましくは80〜150℃の温度に加熱する。すなわち、このように加熱すると主としてソルダーレジストをある程度軟化し、カール状変形を矯正し、この状態で、再びソルダーレジストを固化させることにより、カール状変形が矯正されると考えられる。さらに、本発明の方法で、カール状変形を矯正するための好ましくは80〜150℃、特に好ましくは80〜120℃の温度に1〜20時間、好ましくは10〜20時間保持する。
【0028】
図5(1)は各種の電子部品実装用フィルムキャリアテープにおける幅方向に生じた反り変形を逆反りをかけて反取りを行い、次いで長手方向に発生するカール取りを行った際の反り量の変化を示す。一方,図5(2)には、上記のようにして反り取りを行った後、カール取りを行った際のカール量の変化を示す。
これら図5の(1)および(2)から明らかなように幅方向の反り変形が発生しているフィルムキャリアテープでは、カール状変形はほとんど発生していない。しかしながら、反り取りを行うと、そのフィルムキャリアテープのカール量は急激に大きくなる。そこで、このカール状変形を是正するためにカール取りを行うとカール状変形はほとんどなくなると共に、このカール取りによっては、幅方向の反り変形量はほとんど変化しないことがわかる。すなわち、電子部品実装用フィルムキャリアテープにおいて、幅方向の反り変形を解消するために反り取りを行うと、長手方向のカール状変形が増大するが、このカール状変形を解消するための操作を行っても、是正された反り変形は、ほとんどそのままの状態に維持される。
【0029】
また、図6に変形を是正する際の温度と反り量との関係を示す。図6に示すように、カール状変形の是正には100〜120℃において特に優れた効果があり、ここに示す例では、110℃において反り変形およびカール状変形が最もよく解消された。
また、図7には、カール状変形を是正する際の100℃における加熱時間とカール状変形の解消状態を示すグラフが示されている。本発明の方法では、カール状変形の是正を100℃で行った場合、10時間以上放置することによってその効果が発現し始め15時間でそのカール状変形の除去効率が急激に向上し、そののち20時間、25時間、30時間と処理時間を延ばしてもカール状変形の解消効果は、ほとんど変わらない。従って、本発明の方法において、電子部品実装用フィルムキャリアテープの長手方向の端部近傍に発生するカール状変形の是正に要する時間は、通常は10時間以上、好ましくは15時間以上である。例えば電子部品実装用フィルムキャリアテープを上述したようにリールにフラットスペーサーと共に巻回した状態で、または、フィルムキャリアテープを短冊状に切断した後、治具に挟持した状態で、加熱下に上記時間保持することにより、フィルムキャリアテープの長手方向の端部近傍に生じたカール状の変形を効率よく解消することができる。
【0030】
電子部品実装用フィルムキャリアテープには、その幅方向に反り変形が生じ、この幅方向における反り変形を解消しようとすると、この幅方向における反り変形を発生していた応力が、その方向を変えて、フィルムキャリアテープの長手方向の端部近傍にカール状の変形を生じさせるという特性を有する。本発明では、テープの幅方向に発生した反り変形を是正した後、テープの長手方向の端部近傍に発生するカール状変形を、リールにフィルムキャリアテープを巻回して加熱下に所定時間放置して巻き締めるか、あるいは、フィルムキャリアテープを所定長さに裁断して短冊状とし、この短冊状のテープを特定の曲率半径を有する治具に挟持して締結し、加熱下に所定時間放置することにより、是正された幅方向の反り変形をそのままにして、長手方向の端部近傍に発現したカール状変形を選択的に是正している。
【0031】
このようにして幅方向の反り変形、および、長手方向の縁部に発生するカール状の変形が、本発明の方法により解消された電子部品実装用フィルムキャリアテープでは、搬送時の問題が発生せず、また、実装時においても半導体チップ等の位置合わせの不具合やダメージ等を引き起こすことがなく、電子部品をフィルムキャリアに確実に実装することができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法によれば、フィルムキャリアテープの幅方向における反り変形、および、長手方向の端部近傍に発生するカール状変形の両者を解消することができる。従って、例えばCSP、BGAなどのように短冊状に切断して電子部品を実装する場合において、このように短冊状に切断されたフィルムキャリアテープを、問題なく搬送できると共に、電子部品を実装する際に使用する治具に容易に装着することができ、電子部品の実装を
良好に行うことができる。
【0033】
【実施例】
次に本発明について実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0034】
【実施例1】
長さ100m、幅35mm、厚さ50μmのポリイミドフィルムの幅方向の両縁部にスプロケットホールを形成し、このスプロケットホールの間に厚さ18μmの電解銅箔を接着剤を用いて貼着した。
この貼着された電解銅箔上に感光性樹脂を塗布し、この感光性樹脂を露光現像して所定のパターンを形成した。次いで、この感光性樹脂からなるパターンをマスキング材として、電解銅箔をエッチングして電解銅箔からなる配線パターンを形成した。
【0035】
次いで、この配線パターンの表面に、端子部を除いて、ソルダーレジストを塗布し、縁部にエンボス加工が施されたエンボススペーサーと共にリールに巻回して、硬化させた。
こうしてソルダーレジスト層を形成した後、ソルダーレジスト層から露出している配線パターンの表面に厚さ1μmのニッケル金メッキ層を形成した。
【0036】
こうして形成された電子部品実装用フィルムキャリアテープには、テープの幅方向に、配線パターンが形成された面が凹部になるように幅方向に反り湾曲していた。このときの反り量は、12.7mmであった。なお、この段階で、電子部品実装用フィルムキャリアテープを190mmの長さに切り出してみたが、このようにして切り出された短冊状の電子部品実装用フィルムキャリアテープの端部近傍におけるカール状変形は、ほぼ0mmであり、全体の長さからしてほとんどカール状の変形は発生していない。
【0037】
上記のようにして製造された電子部品実装用フィルムキャリアテープを、190〜200℃に加熱された加熱炉内に配線パターンが形成された面が凸状に湾曲するようにテープの縁部が挿入されるガイドが設けられた長さ3mの加熱炉を用いて、巻きだしロールに巻回された電子部品実装用フィルムキャリアテープを、上記加熱炉に送り込み、加熱下に逆反りをかけながら、この加熱炉を通過させて、反り取りを行い、巻き取りロールに巻き取った。このように反り取りを行うことにより、テープの幅方向の反り量は5.8mmに低減されていた。
【0038】
こうした幅方向の反り取りを行った後、上記と同様に電子部品実装用フィルムキャリアテープを190mmに切り出してみたところ、この短冊状のフィルムキャリアテープにはその両端部近傍にカール状変形が発生しており、このカール状変形量は24.0mmであった。
次いで、この電子部品実装用フィルムキャリアテープを、厚さ75μmのポリイミドからなるフラットスペーサーと共にアルミニウムリールに巻きなおした。このアルミニウムリールには、電子部品実装用フィルムキャリアテープの配線パターンが形成された面が外側に向くようにしてフラットスペーサーと共に巻回した。
【0039】
このアルミニウムリールに巻き直された電子部品実装用フィルムキャリアテープを、内部温度が120℃に調整されたオーブンに入れ、20時間放置した。
20時間加熱した後、室温にもどしてから、この電子部品実装用フィルムキャリアテープを190mmに短冊状に裁断して、幅方向における反り量およびこの短冊状のフィルムキャリアテープの長手方向の縁部近傍におけるカール状変形量を測定したところ、幅方向における反り量は6.3mm、カール状変形量は6.1mmであった。
【0040】
上記結果より明らかなように、幅方向の反り量を低減するために、反り取りを行うと、長手方向の端部近傍におけるカール状変形量が増大するが、本発明の方法に従って、増大したカール状変化を是正するように処理することで、このカール状の変形量は著しく低下する。そして、このようにカール状変形を低下させるための処理によっては、一旦低下した幅方向の反り量が増大することはない。
【0041】
【実施例2】
実施例1において、カール変形を是正するための加熱温度を120℃から100℃に変えた以外は、同様にして電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造した。
このフィルムキャリアテープの幅方向の反り量は9mmであり、実施例1と同様にこの反り取りを行った後の幅方向の反り量は2mmであったが、カール状変化量は10mmと増加した。次いで、このフィルムキュアリアテープを実施例1と同様に生じたカール状の変形を是正した。
【0042】
得られたフィルムキャリアテープについて、短冊状に切断し、幅方向の反り量及びカール状変化量を測定したところ、幅方向の反り量は1.8mm、長手方向のカール状の変化量は1.3mmであった。
【0043】
【実施例3】
実施例1において、カール状変形を是正するための温度を100〜120℃の範囲内で変化させた以外は同様にして電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造した。ただし、カール状変形是正の加熱は、長さ190mmに切断した短冊状のフィルムキャリアテープを治具に挟持して是正した。カール状変形を是正する温度は100℃〜120℃において、特に有効であることがわかった。
【0044】
【実施例4】
実施例1において、カール取り温度を100℃に設定し、10時間から5時間刻みに放置時間を変えて、カール状変形量を測定した。
その結果、10時間を超えるとカール状変形量が著しく是正され、15時間を超えて30時間を超えてもカール状変形量の低下がほとんど変わらない。従って、カール状変形を是正するためには、このカール状変形取りに要する時間は10時間以上、好ましくは15時間以上であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法で製造される電子部品実装用フィルムキャリアテープの断面の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、カール状変形をとるためにリールに巻回された電子部品実装用フィルムキャリアテープの例を示す図である。
【図3】図3は、短冊状に切断され、カール状変形が発生した電子部品実装用フィルムキャリアテープの例を示す図である。
【図4】図4は、短冊状の電子部品実装用フィルムキャリアテープに発生したカール状変形をとるための治具の一例を示す図である。
【図5】図5は電子部品実装用フィルムキャリアテープの反り取り・カール状変形取りにおける反り変化(1)、および、カール変化(2)を示すグラフである。
【図6】図6は、電子部品実装用フィルムキャリアテープにおける変形を是正する際の温度と変化量との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、電子部品実装用フィルムキャリアテープにおける加熱時間と変化量との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、電子部品実装用フィルムキャリアテープに電子部品を実装する例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・電子部品実装用フィルムキャリアテープ
10・・・絶縁フィルム
12・・・接着剤層
14・・・配線パターン
15・・・フィルム状キャリア
16・・・ソルダーレジスト(層)
17・・・ビアホール
18・・・スプロケットホール
20・・・フラットスペーサー
22・・・リール
30・・・治具
32・・・位置決めピン
33・・・下型
34・・・上型
35・・・電子部品
36・・・導電性金属線
37・・・メッキ層
Claims (2)
- 絶縁フィルムの少なくとも一方の面に導電性金属からなる配線パターンを形成する工程、および、該配線パターンの端子部分を残してソルダーレジストを塗布・硬化させる工程を有する電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法において、
該電子部品実装用フィルムキャリアテープのソルダーレジストから露出した端子部分に電子部品を実装する前に、該フィルムキャリアテープの幅方向に該テープが湾曲して生じた反り変形を是正した後、該フィルムキャリアテープの長手方向に湾曲して生ずるカール状変形を是正するために、電子部品実装用フィルムキャリアテープを配線パターンが形成された面が外側に位置するように巻き取りリールにフラットスペーサーと共に巻回して80〜150℃の範囲内の温度に10時間以上加熱保持することを特徴とする電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。 - 上記テープの幅方向に生ずる反り変形を、該反り変形とは逆方向に該テープを反らせながら加熱して是正することを特徴とする請求項第1項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
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