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JP3874686B2 - 磁気探傷方法および磁気探傷装置 - Google Patents
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JP3874686B2 - 磁気探傷方法および磁気探傷装置 - Google Patents

磁気探傷方法および磁気探傷装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁束密度に対応したパターンを形成する感磁体を封入したシート状で柔軟な磁気探傷シートを被検査対象に接触させ、この接触状態において磁気発生機構で発生させた磁気を被検査対象に作用させることで被検査対象から漏洩する磁束を磁気探傷シートの感磁体で捉え、この感磁体が作り出すパターンに基づいて被検査対象の探傷を行う磁気探傷方法および磁気探傷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のように構成された磁気探傷方法と類似する技術として特開昭56‐40752号公報や特開2001‐21539号公報に示されるものが存在する。
【0003】
これらの従来の技術のうち前者は、上面及び側面が透明で底部が非伝導性弾性薄膜で成る容器の内部に、水や灯油と磁粉との懸濁液を充満させて検査カセット(シート状でないが本発明の磁気探傷シートに対応する)を構成し、この検査カセットの底部(非伝導性弾性薄膜)を被検査対象に接触させた状態で、被検査対象に対して磁化装置(本発明の磁気発生機構)から磁力を作用させ、被検査構造物(本発明の被検査対象)から漏洩した磁束の状態をカセット内部の磁粉のパターンで捉え被検査構造物の欠陥部の状態を把握できるものにしている。又、検査カセットを被検査構造物に接触させる際には、下面の薄膜が被検査構造物の表面形状に沿うよう変形することにより、薄膜を被検査構造物の表面に密着するものとなっている。
【0004】
従来の技術のうち後者は、2枚の透明シートの間に多数の小室を有し、夫々の小室に対して磁粉を分散させた白色分散媒を封入して磁気シート(本発明の磁気探傷シート)を構成している。この磁気シートでは、消磁磁石から磁力を作用させることで小室内の磁粉をシートの一方の面の側に一様に移動させておき、この後に磁力が作用させた場合に小室内で磁粉が移動したことを磁粉模様から観察できるよう構成している。又、この従来の技術では、バッチ式磁粉探傷装置として磁気シートを被探傷体(本発明の被検査対象)に接触させた状態で、この磁気シートに対して多数のスプリングからのばね力を作用させることで、磁気シートと被探傷体とを密接させ得るように構成されている。尚、この磁気シートは被探傷体に接触させた面にパターンが現れるので、探傷時には磁気シートを捲り上げる形態でパターンを確認する作業を必要とする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術の前者(特開昭56‐40752号公報)に示される検査カセットと同様に容器内に磁粉を封入した磁気探傷シートを用いて検査(探傷)を行うことを考えると、この磁気探傷シートが磁気の作用を受けて機能するものであるので、水中での検査に限らず、地上において被検査対象(従来の技術の被検査構造物)の表面に対して磁気探傷シートを密接させて検査を行うことが検査精度を向上させる点で重要である。しかし、密着させるために作業者が手で押さえる等の形態の作業では、均一な密着を行えないばかりか、作業者の負担となる。
【0006】
そこで、従来の技術の後者(特開2001‐21539号公報)に示されるバッチ式磁粉探傷装置に示される技術を用いることも考えられる。この技術では、多数のスプリングからの押圧力を磁気シート(本発明の磁気探傷シート)に作用させることで磁気シートを被探傷体(本発明の被検査対象)に密接させるので、作業者の負担とならず比較的に容易な作業を実現する反面、多数のスプリングを使用するので部品数が増大して探傷用の機器が複雑化しやすく、又、多数のスプリングを用いているので、スプリングからの付勢力が直接作用する部位の近傍で圧力が高く、その周囲では圧力が低くなることから、均一な圧接を行い難い面で改善の余地がある。特に、この検査が溶接箇所の欠陥を検出するために多く採用されることから、溶接箇所における余盛り部分のように表面の凹凸のレベル差が大きい被探傷体や、パイプ類のように大きく湾曲した被探傷体に対してはスプリングでは対応し難い面がある。
【0007】
尚、探傷を行う場合に、磁気探傷シートの下面が被検査対象の検査面から浮き上がった場合には、その浮き上がり量(リフトオフ量)が0.1mm程度であっても、検査不能に陥ることも多く、このような観点からも良好な密着性能を現出する技術が望まれているのである。
【0008】
本発明の目的は、被検査対象の表面に対して磁気探傷シートを密接させて磁気により検査を行える検査方法を合理的に構成する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る磁気探傷方法及び請求項6に係る磁気探傷装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
本発明の磁気探傷方法の特徴は、磁束密度に対応したパターンを形成する感磁体を封入したシート状で柔軟な磁気探傷シートを被検査対象に接触させ、この接触状態において磁気発生機構で発生させた磁気を被検査対象に作用させることで被検査対象から漏洩する磁束を磁気探傷シートの感磁体で捉え、この感磁体が作り出すパターンに基づいて被検査対象の探傷を行う磁気探傷方法において、前記磁気探傷シートを被検査対象に接触させた状態で、この被検査対象の反被検査対象側面に対して、透明なゲル状物質で構成された柔軟に変形し得る押圧部材を配置し、この押圧部材に対して透明な板状の圧着板で構成された圧力付与機構から圧力を作用させることにより磁気探傷シートを被検査対象に押し付ける状態で被検査対象の探傷を行う点にある。
本発明の磁気探傷装置の特徴は、被検査対象に接触させるものであり、磁束密度に対応したパターンを形成する感磁体を封入した柔軟な磁気探傷シートと、磁極を前記被検査対象に接触させた状態で、磁気を前記被検査対象に作用させる磁気発生機構と、前記磁気探傷シートを前記被検査対象に接触させた状態で、前記被検査対象の反被検査対象側面に対して配置されるものであり、透明なゲル状物質で構成された柔軟に変形し得る押圧部材と、前記押圧部材に対して圧力を作用させることにより、前記磁気探傷シートを前記被検査対象に押し付ける透明な板状の圧着板で構成された圧力付与機構とを備えた点にある。
【0010】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、探傷を行う場合には、被検査対象の表面にシート状となる磁気探傷シートを接触させ、この磁気探傷シートの反被検査対象側面に対して押圧部材を接触させた状態で圧力付与機構から圧力を作用させるので、この押圧部材が変形することにより磁気探傷シートの反被検査対象側面に対して広い面を介して密接した状態で、この広い面に対して均一の圧力を作用させるものとなり、この均一な圧力により磁気探傷シートを被検査対象の表面に沿う形状となるよう密着させることが可能となる。その結果、柔軟に変形し得る押圧部材を介在させて磁気探傷シートに圧力を作用させる手段を採用するだけで、磁気探傷シートを被検査対象から浮き上がらせること無く、夫々を広い面で密接させて精度高く探傷を行いうる方法及び装置が合理的に構成された。
【0012】
また、柔軟な樹脂フィルムで成る袋に対して、透明なゲル状物質で構成された柔軟に変形し得る材料自体で成る押圧部材は、柔軟に変形し得るものの良好に圧力伝える性能を具備したものとなり、圧力付与機構として圧着板を用いたものは大きく変形させること無く、押圧部材に対して圧力を作用させるものとなる。その結果、探傷を行う際には、被検査対象の上面に磁気探傷シートを載せ付け、この磁気探傷シートの上面に、押圧部材と圧着板とを載せ付けるだけで済み、極めて簡単な操作によって探傷を行えるものとなった。
【0014】
さらに、ゲル状物質で構成された柔軟に変形し得る押圧部材と板状の圧着板で構成された圧力付与機構とが透明であるので、被検査対象の表面に接触させた磁気探傷シートの磁粉の状態を押圧部材と圧力付与機構とを透過する光線により視覚的に捉え得る。その結果、磁気探傷シートを捲り上げて被検査対象側の面を露出させる如き操作を行わずとも探傷が可能となる。
【0015】
本発明の請求項2に係る磁気探傷方法の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1に記載の磁気探傷方法において、前記磁気探傷シートが、柔軟な上面側のシート材と柔軟な下面側のシート材とを重ね合わせ、この間に、前記感磁体として分散媒に分散した磁粉を封入したシート状に成形されている点にある。
【0016】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、柔軟な上下のシート材に挟まれる部位に磁粉が存在するので、磁気探傷シートの全体を薄くして探傷時の感度を高くできると同時に、磁気探傷シートの全体を柔軟に変形させ得るものとなり、探傷を行う際には被検査対象に磁気探傷シートを接触させ、押圧部材と圧着板とを重ね合わせるだけで、被検査対象の表面に磁気探傷シートを密着させ、かつ、この被検査対象からの磁束を磁粉で高感度で捉えるものとなる。その結果、磁気探傷シートを取り扱いやすくしながら、能率高く探傷を行えるものとなった。
【0017】
本発明の請求項3に係る磁気探傷方法の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1に記載の磁気探傷方法において、前記磁気探傷シートが、柔軟な上面側のシート材と柔軟な下面側のシート材との間に多数のカプセル部を形成し、夫々のカプセル部に対して分散媒に分散した磁粉を封入して構成されている点にある。
【0018】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、磁気探傷シートが、多数のカプセル部に分散媒に分散した磁粉を封入して構成されるので、探傷を行った場合には、夫々のカプセル部における磁粉の移動で形成されるパターンに基づいて探傷を行い得る。つまり、従来の技術の後者と同様に、磁気が作用した場合にはカプセル部に封入した磁粉によってパターンを形成するので、磁気探傷シート全体における磁粉の偏りを無くしながら、比較的簡単にコントラストを高めた状態となるパターンを形成し得るのである。その結果、視覚的に把握しやすいパターンを形成して探傷を行えるものとなった。
【0019】
本発明の請求項4に係る磁気探傷方法の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項2又は3に記載の磁気探傷方法において、前記上面側のシート材および前記下面側のシート材のうち、少なくとも1つが透明である点にある。
【0020】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、上面側のシート材、あるいは、下面側のシート材のうち透明であるものの側から磁気探傷シートにおける磁粉のパターン、あるいは、カプセル部に封入した磁粉のパターンを視覚的に把握できるばかりか、例えば、上面側と下面側とのシート材が透明である場合には、被検査対象の探傷面と磁気探傷シートとの位置決めを容易に行える。その結果、簡便な操作で確実な探傷を実現する。
【0021】
本発明の請求項5に係る磁気探傷方法の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気探傷方法において、前記圧力付与機構が、バネ材あるいはゴム材の弾性力、磁力による吸着力を用いた点にある。
【0022】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、バネ材やゴム材からの弾性力、あるいは、磁力による吸着力を作用させるので、例えば、被検査対象の表面(検査面)が斜め姿勢や、垂直の姿勢であっても、被検査対象の表面に磁気探傷シートを密接させて探傷を行うことも可能となる。その結果、被検査対象の表面の姿勢に拘わらず良好に探傷を行えるものとなった。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施の形態〕
図1及び図2に示すように、被検査対象1の表面に接触させる磁気探傷シートSと、この磁気探傷シートSを被検査対象1に圧着させる押圧手段Pと、被検査対象1に磁気を作用させる磁気発生機構Mとを備えて磁気探傷装置が構成されている。この磁気探傷装置は本発明の磁気探傷方法を実現するための代表的な構成であり、この磁気探傷方法では鉄を代表とする磁性体を被検査対象1とし、具体的には鉄板材の溶接箇所の余盛り部分1Aや、鉄製の配管の曲面部分の欠陥C(クラック等の傷)の検査を行うためのものである。尚、この余盛り部分1Aとして、幅10mm程度で、被検査対象1から1mm程度の盛り上がり高さを有した一般的な形態のものを想定している。
【0024】
前記磁気探傷シートSは、図3に示すように、柔軟で透明な樹脂フィルムで成る上面側の表面材10と、柔軟な樹脂フィルムで成る下面側の裏面材11とを重ね合わせ、夫々の素材同士の間に複数のスペーサ12を介在させることで20〜30μm程度の隙間dを形成した柔軟なシート状に成形した容器を使用し、この容器に対して磁性体で0.1μm程度以上で、前記隙間の値(20〜30μm程度)より充分に小さい粒径となる粒子状の磁粉13(感磁体の一例)と、気体あるいは流動性を有する流動物質14(分散媒の一例)とを封入して構成されている。又、磁気探傷シートSの容器は、表面材10と裏面材11との外周部を熱溶着の技術や接着剤を用いて接合することで密封構造を有して成り、前記磁粉13には蛍光物質がコーティングしたものを用いても良い。
【0025】
具体的に説明すると、表面材10と裏面材11とのフィルム厚が0.02〜0.5mm程度のものが使用されており、容器の表面材10は透明であることが必須であるが、多少の着色したものを使用しても良く、裏面材11は透明である必要は無く、着色した樹脂を用いることも可能である。この表面材10と裏面材11としてポリエチレンやポリビニルやPET(polyethylene terephthalate)樹脂の使用が可能であり、又、裏面材11として樹脂フィルムに代えて軟磁性のオーステイトステンレス鋼の箔を使用することも可能である。
【0026】
前記スペーサ12は、20〜30μm程度の部材を表面材10あるいは裏面材11に固設することや、前記流動物質14に対して20〜30μm程度の粒子を混入して用いることが可能であり、このようにスペーサ12を用いることで、表面材10と裏面材11との間に20〜30μm程度の隙間を形成して磁粉13の流動を許容するものにしている。又、この磁粉13の材料として、鉄やニッケルばかりで無く、マグネタイト、ガンマ・ヘクタイトの使用が可能である。そして、この磁気探傷シートSは、被検査対象1から漏洩した磁束によって磁粉13が作り出すパターンを認識できるよう構成している。又、前記流動物質14として、水や灯油等の液体が使用されている。
【0027】
本発明では、前記磁気探傷シートSに代えて図4に示すよう構成した磁気探傷シートSを使用することも可能である。この磁気探傷シートSは、柔軟で透明な樹脂フィルムで成る上面側の表面材10と、柔軟な樹脂フィルムで成る下面側の裏面材11との間に、多数のカプセル部16を配置し、夫々のカプセル部16に対して着色した水や灯油等の液体の分散媒17に分散した磁粉13(感磁体の一例)を封入している。この磁気探傷シートSは、従来の技術の後者として示したものと同様に、分散媒17を磁粉13と異なる色相に着色することで、視覚によっても磁粉13の位置を明瞭に把握できるものにしており、磁気が作用した場合には夫々のカプセル部16の内部において磁粉13が移動することにより、磁気が作用した部位と作用しない部位との状態を良好に把握できるものにしている。
【0028】
又、この構造の磁気探傷シートSを使用する場合には、消磁磁石等を用いてカプセル部16の内部の磁粉13を、反被検査対象側面の側に予め移動させておき、この状態で探傷を行うことで、被検査対象1から漏洩した磁束によって対応する部位のカプセル部16の内部の磁粉13が移動する現象を、被検査対象1に接触した側の面に現れるパターンから明瞭に把握できるものとなっている。
【0029】
本発明では、磁気探傷シートSとして、図3に示したもののように上面側を透明にして(被検査対象1の表面に接する側と反対側の面)から磁粉13のパターンを捉え得るものや、図4に示すもののように、下面側を透明にして下面側に現れるパターンを把握するよう構成したものの何れの構造のものでも使用可能である。
【0030】
前記押圧手段Pは、図2に示すように、柔軟で透明な樹脂フィルムとして0.1〜0.5mm程度のフィルム厚のポリエチレンフィルムやポリビニルフィルムを袋状に成型したバッグ20Aに対して、ポリビニルアルコールと硼砂とを混合して成るゲル状(スライム状)物質20B(水でも良い)を充填したもの、又はゲル状物質(例えば、ポリエチレンとスチレンを共重合させた網状物質を油でゲル化したもの)て柔軟に変形し得る性質となる押圧部材20と、透明なガラス板、あるいは、良好な透明性を得やすいアクリル樹脂等の素材の樹脂板を平坦に成型して成る圧着板21とで構成されている。
【0031】
前記磁気発生機構Mは、被検査対象1に接触する一対の磁極30P、30Pを有する鉄心30に銅合金等の良導体のコイル31を巻回して成る電磁石と、この電磁石のコイル31に電力を供給する電源32とで構成されている。
【0032】
この磁気探傷装置で、被検査対象1として、ガスを貯留するガスホルダや、石油等を貯留するタンク類を構成する鋼板の溶接箇所、あるいは、橋梁等を構成する鋼板の溶接箇所の探傷を行う際の方法は以下のようになる。図1及び図2に示す被検査対象1では、溶接箇所の余盛り1Aの部位に欠陥Cが存在するものと想定しており、この被検査対象1の探傷を行う場合には、同図に示すように、探傷を行うべき部位に磁気探傷シートSを載置し、この上面に対して押圧部材20と、圧着板21とを重ねて載置する。このように載置した状態では、同図に示すように溶接部分において余盛り1Aが存在しても、その余盛り1Aの部分に沿う形状に変形して磁気探傷シートSの下面の全面が被検査対象1の上面に密着し、この磁気探傷シートSの上面の形状に沿う形状に押圧部材20の下面が変形して均一の圧力を作用させ、この結果、押圧部材20の上面が圧着板21の下面に沿って平坦化する。
【0033】
このようにセッティングした後に、磁気探傷シートSを跨ぐ位置に磁極30P、30Pを配置する状態で電磁石の姿勢を決めて、その磁極30P、30Pを被検査対象に接触させ、コイル31に対して電源32から電力を供給して電磁石からの磁界を被検査対象1に作用させることで、鉄心30からの磁束が被検査対象1の内部に導かれて、鉄心30と被検査対象1との間に磁気回路が形成され、この磁気回路中に欠陥Cが存在すると、その欠陥Cの部分での磁束の漏洩量が増大して磁気探傷シートSの磁粉13に作用する結果、この漏洩した磁束の方向に沿って磁粉13が列を成すパターンを作り出し、このパターンと磁束の漏洩量の少ない部分のパターンとを比較することにより、欠陥Cの有無を視覚的に、あるいは、カメラで撮影した場合には映像的に把握できるものとなる。
【0034】
このように第1実施の形態では、柔軟なシート状に形成された磁気探傷シートSと、柔軟に変形自在であるが圧力を伝え得るよう構成された押圧部材20と、殆ど変形しない圧着板21とを組み合わせ、磁気探傷シートSを被検査対象1の表面に隙間を生ずること無く密着させることを可能にするものとなっている。又、磁気探傷シートSとして図3に示す構造のものを使用し、例えば、押圧部材20だけを用いた場合には、凹凸を有する表面を介して磁粉13のパターンを観察するので光線に屈折によりパターンに歪みを発生させやすいものであるが、本発明では平坦な面を有する圧着板21を使用するので、磁粉13のパターンを歪みの少ない状態で観察でき、検査の精度を向上させるものとなっている。
【0035】
〔第2実施の形態〕
この第2の実施の形態では前記第1実施の形態と同じ機能を有するものには前記第1実施の形態と共通する番号、符号を付している。
【0036】
図5及び図6に示すように、被検査対象1の表面に接触させる磁気探傷シートSと、この磁気探傷シートSを被検査対象1に圧着させる押圧手段Pと、被検査対象1に磁気を作用させる磁気発生機構Mとを備えて磁気探傷装置が構成されている。この磁気探傷装置は本発明の磁気探傷方法を実現する構成であり、この磁粉対象方法では鉄を代表とする磁性体を被検査対象1とし、具体的には鉄板材の溶接箇所の余盛り部分1Aや、鉄製の配管の屈曲部分の欠陥C(クラック等の傷)の検査を行う。
【0037】
この磁気探傷装置では、磁気探傷シートSの構造が第1実施の形態において図3に示す構造のものを想定しており、押圧手段Pにおいて第1実施の形態の構成に加えて圧着板21を被検査対象1の側に押し付ける付勢機構PAを付加した点において第1実施例と異なっている。
【0038】
つまり、押圧手段Pは、柔軟で透明な樹脂フィルムとして0.1〜0.5mm程度の膜圧のポリエチレンフィルムやポリビニルフィルムを袋状に成型したバッグ20Aに対して、ポリビニルアルコールと硼砂とを混合して成るゲル状(スライム状)物質20B(水でも良い)を充填して柔軟に変形し得る性質となる押圧部材20と、透明なガラス板、あるいは、良好な透明性を得やすいアクリル樹脂等の素材の樹脂板を平坦に成型して成る圧着板21と、この圧着板21を被検査対象の側に押し付けるように、圧力付与機構としての一対のゴムベルト25を有した付勢機構PAとで構成されている。
【0039】
前記付勢機構PAは、夫々のゴムベルト25が、その一方の端部が圧着板21の一方の端部に連結し、他方の端部が圧着板21の他方の端部の係脱部21Aに分離自在に連結するノブ26を備えている。又、ノブ26を人為的に操作することで、このノブ26を係脱部21Aの開放する部位から容易に分離できるものにしており、探傷を行う場合に、磁気探傷シートSと押圧手段Pとを移動させる際に、簡単な操作で付勢力を解除でき、この解除の後には、簡単な操作で再度付勢力を作用させ得るものにしている。
【0040】
この磁気探傷装置では、被検査対象1としての大径のパイプ類の溶接箇所の探傷を行う場合の使用形態を示しており、この被検査対象1の探傷を行う場合には、検査すべき表面に磁気探傷シートSを配置し、この磁気探傷シートSの外面側に押圧部材20と、圧着板21とを配置した状態で、ゴムベルト25をパイプ(被検査対象)に巻き掛けて、このゴムベルト25からの付勢力を圧着板21に作用させることで、この圧着板21をパイプの外面側に引き寄せ、結果として、この圧着板21からの圧力を押圧部材20を介して磁気探傷シートSに作用させて、この磁気探傷シートSをパイプの外面に密着させるものとなっている。
【0041】
このようにセッティングした後に、磁気探傷シートSを跨ぐ位置に磁極30P、30Pを配置する状態で電磁石の姿勢を決め、その磁極30P、30Pを被検査対象に接触させ、コイル31に対して電源32から電力を供給して電磁石からの磁界を被検査対象1に作用させることで、鉄心30からの磁束が被検査対象1の内部に導かれて、鉄心30と被検査対象1との間に磁気回路が形成され、この磁気回路中に欠陥Cが存在すると、その欠陥Cの部分での磁束の漏洩量が増大して磁気探傷シートSの磁粉13に作用する結果、この漏洩した磁束の方向に沿って磁粉13が列を成すパターンを作り出し、このパターンと磁束の漏洩量の少ない部分のパターンとを比較することにより、欠陥Cの有無を視覚的に、あるいは、カメラで撮影した場合には映像的に把握できるものとなる。
【0042】
このように第2実施の形態では、柔軟なシート状に形成された磁気探傷シートSと、柔軟に変形自在であるが圧力を伝え得るよう構成された押圧部材20と、殆ど変形しない圧着板21とを組み合わせ、付勢機構PAから付勢力を作用させることで、被検査対象1の表面の姿勢や表面形状に拘わらず、磁気探傷シートSを被検査対象1の表面に隙間を生ずること無く密着させることを可能にするものとなっている。又、本第2実施の形態でも第1実施の形態と同様に、例えば、押圧部材20だけを用いた場合には、凹凸を有する表面を介して磁粉13のパターンを観察するので光線に屈折によりパターンに歪みを発生させやすいものであるが、本発明では平坦な面を有する押圧板を使用するので、磁粉13のパターンを歪みの少ない状態で観察でき検査の精度を向上させるものとなっている。尚、この第2実施の形態においても図4に示す構造の磁気探傷シートSを使用することも可能である。
【0043】
〔別実施の形態〕
本発明は上記実施の形態以外に、以下のように構成して実施することも可能である。
【0044】
(イ)第1、第2実施の形態に対応して、押圧部材と、圧着板とを接触部位において予め接着剤等で接着して一体化しておき、これを探傷に使用することや、第1実施の形態に対応して圧着板に対して重量物を取り付けることで、圧着時に重量物の重量を利用する形態で探傷に使用する。
【0045】
(ロ)磁気探傷シートSとして、柔軟な樹脂フィルムで成る上面材と、下面側に柔軟で透明な樹脂フィルムで成る裏面材との間に、分散媒に分散した磁粉を封入したものを使用することも可能である。この場合、探傷時には磁気発生機構で発生させた磁気を作用させた後に、この磁気探傷シートSを捲り上げ、被検査対象と接する面に現れる磁粉のパターンを確認する作業が必要となる。
【0046】
(ハ)第2実施の形態に対応して、付勢機構としてバネを用いることが可能であり、第2実施の形態のように巻き付けてゴムベルトを使用できない被検査対象として比較的広い面において探傷を行う場合には、図7及び図8に示すように、被検査対象1の表面に粘着テープ27でゴムベルト25(圧力付与機構の一例)の端部を貼り付け、このゴムベルト25からの付勢力を圧着板21に作用させるよう、ゴムベルト25と圧着板21との位置関係をセットする。このように構成することにより、縦姿勢や傾斜姿勢で比較的広い面を有して成る被検査対象1のように、表面に対して重量を作用させて磁気探傷シートSを押し付けられないものであっても、その表面に対して磁気探傷シートSを浮き上がりを生ずること無く密接させて探傷を行えるのである。又、粘着テープ27の代わりに永久磁石、電磁石を使用しても良く、この際に圧着板21の上から直接加重を掛けても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態の磁気探傷装置の構成物の配置を示す全体斜視図
【図2】第1実施の形態の磁気探傷装置の構成物の配置を示す断面図
【図3】第1実施の形態の磁気探傷シートの断面図及び一部切欠き平面図
【図4】第1実施の形態の磁気探傷シートの断面図
【図5】第2実施の形態の磁気探傷装置の構成物の配置を示す全体斜視図
【図6】第2実施の形態の磁気探傷装置の構成物の配置を示す断面図
【図7】別実施の形態の磁気探傷装置の構成物の配置を示す断面図
【図8】別実施の形態の磁気探傷装置の構成物の配置を示す斜視図
【符号の説明】
1 被検査対象
20 押圧部材
21 圧着板
P 押圧手段
PA 付勢機構
M 磁気発生機構
S 磁気探傷シート

Claims (6)

  1. 磁束密度に対応したパターンを形成する感磁体を封入したシート状で柔軟な磁気探傷シートを被検査対象に接触させ、この接触状態において磁気発生機構で発生させた磁気を被検査対象に作用させることで被検査対象から漏洩する磁束を磁気探傷シートの感磁体で捉え、この感磁体が作り出すパターンに基づいて被検査対象の探傷を行う磁気探傷方法であって、
    前記磁気探傷シートを被検査対象に接触させた状態で、この被検査対象の反被検査対象側面に対して、透明なゲル状物質で構成された柔軟に変形し得る押圧部材を配置し、この押圧部材に対して透明な板状の圧着板で構成された圧力付与機構から圧力を作用させることにより磁気探傷シートを被検査対象に押し付ける状態で被検査対象の探傷を行う磁気探傷方法。
  2. 前記磁気探傷シートが、柔軟な上面側のシート材と柔軟な下面側のシート材とを重ね合わせ、この間に、前記感磁体として分散媒に分散した磁粉を封入したシート状に成形されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気探傷方法。
  3. 前記磁気探傷シートが、柔軟な上面側のシート材と柔軟な下面側のシート材との間に多数のカプセル部を形成し、夫々のカプセル部に対して分散媒に分散した磁粉を封入して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気探傷方法。
  4. 前記上面側のシート材および前記下面側のシート材のうち、少なくとも1つが透明であることを特徴とする請求項2又は3に記載の磁気探傷方法。
  5. 前記圧力付与機構が、バネ材あるいはゴム材の弾性力、磁力による吸着力を用いたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気探傷方法。
  6. 被検査対象に接触させるものであり、磁束密度に対応したパターンを形成する感磁体を封入した柔軟な磁気探傷シートと、
    磁極を前記被検査対象に接触させた状態で、磁気を前記被検査対象に作用させる磁気発生機構と、
    前記磁気探傷シートを前記被検査対象に接触させた状態で、前記被検査対象の反被検査対象側面に対して配置されるものであり、透明なゲル状物質で構成された柔軟に変形し得る押圧部材と、
    前記押圧部材に対して圧力を作用させることにより、前記磁気探傷シートを前記被検査対象に押し付ける透明な板状の圧着板で構成された圧力付与機構と、
    を備えた磁気探傷装置。
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