JP3882102B2 - 制動片の摩耗検知プローブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動片の摩耗検知プローブに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−2363号公報には、自動車のブレーキパッドの摩耗程度が使用限界に達したことを検知する摩耗検知プローブが開示されている。その摩耗検知プローブは、U字状に折り返された電線と、その電線の折り返し部を先端面に露出させた状態で保持する保持部材とを備えて構成されている。そして、この摩耗検知プローブは折り返し部をディスクロータに向けた姿勢でブレーキパッド内に埋め込まれる。これにより、ブレーキパッドの摩耗が進むといずれ摩耗検知プローブがパッド面に露出し、さらに摩耗が進むとブレーキパッドと同時に電線の折り返し部も摩耗し始め、ブレーキパッドの摩耗が使用限界位置まで達すると電線は断線する。そして、断線検出回路によってそのことが検知され、ブレーキパッドの摩耗程度が使用限界に達したことを知らせる警告ランプが点灯する。
【0003】
この摩耗検知プローブでは、検知用電線を保持部材に取り付ける手段として、保持部材に前後方向に直線状に貫通する2本の貫通孔を形成し、この両貫通孔に2つ折りにした検知用電線を前方から挿通させて保持部の後方へ突出させ、その突出部分が摩耗検知回路に接続される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
走行中、ディスクロータは高速で回転し、このディスクロータが検知用電線の折り返し部に接触すると、折り返し部には急激に強い摩擦抵抗が作用し、その結果折り返し部が前方へ強く引っ張られることになる。もし、検知用電線が前方へ変位すると、検知用電線がホルダの前方へ延びて垂れ下がったり、ホルダの後方で検知用電線が断線したりするおそれがあり、このようになると正常な摩耗検知機能が失われてしまうことになる。したがって、折り返し部に前方への強い引張り力が作用したときに検知用電線が前方へ移動することを防止するための手段が要望されている。
【0005】
本願発明は上記事情に鑑みて創案されたものであって、検知用電線の位置ずれを防止することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ホルダに対し、その前端で折り返して2本の挿通孔に通して後方へ延出させるように検知用電線を組み付けて構成されるとともに、ロータとの接触を可能とされた制動片に対し、前記検知用電線の折り返し部を前記ロータに対向させるように設けられ、その制動片の摩耗程度が使用限界に達したか否かを前記検知用電線の前記折り返し部における断線の有無によって検出するものであって、前記検知用電線のうち一方の前記挿通孔に挿通されている部分を前方からの引張りに抗する引っ掛かりを生じるように曲げた状態で保持する保持部材を備えており、前記ホルダには、前記保持部材を前方移動規制状態に取付け可能な嵌合部が形成され、前記保持部材が前記嵌合部に取り付けられた状態では、前記検知用電線が前記保持部材と前記ホルダとの間で挟み付けられるようになっているとともに、前記嵌合部に前記保持部材を取り付けることで、前記検知用電線における前記保持部材への保持部分の前記ホルダに対する前方への変位が規制され、前記検知用電線の折返部において前記保持部材側の挿通孔から反対側の挿通孔に向かう方向が、車両が前進する際の前記ロータの回転方向と同じ向きとなっている構成とした。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記保持部材には、前記検知用電線を巻き付けさせることによりその検知用電線を保持する巻き付け部が形成されている構成とした。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記検知用電線が挟み付けられる領域における前記保持部材と前記ホルダのうちの少なくとも一方には、前記検知用電線の外周に食い込んでその変位を規制する規制部が形成されている構成とした。
【0009】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
保持部材を嵌合部に取り付けると、保持部材はホルダに対して前方への変位を規制され、この保持部材に対し検知用電線はその曲げ部分における引っ掛かり作用により前方への変位を規制される。これにより、検知用電線の折り返し部にロータが接触して強い引張力が作用しても、検知用電線の前方への位置ずれが確実に防止される。
また、保持部材を嵌合部に取り付けると、検知用電線が保持部材とホルダとの間で挟み付けられることにより、検知用電線の前方への変位規制機能が高められる。
【0010】
[請求項2の発明]
検知用電線は保持部材の巻き付け部に巻き付けられているので、検知用電線には前方へ折り返される部分と後方へ折り返される部分とが形成され、この両折返部分により、前方への引張りに抗する有効な引っ掛かり作用が機能し、もって検知用電線を確実に変位規制することができる。
【0011】
[請求項3の発明]
検知用電線の外周に規制部が食い込むことによって検知用電線が変位規制されるので、検知用電線の前方への変位防止機能がさらに向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図4を参照して説明する。
【0013】
本実施形態の摩耗検知プローブPは、車輪と一体回転する円盤状のロータRを一対のブレーキライニング材B(本発明の構成要件である制動片)で挟み付けることによってブレーキングを行う周知の車両用ディスクブレーキ装置に適用されるものであり、ホルダ10と検知用電線20と保持部材30とからなる。ホルダ10にはその前後両端面の間を貫通する2本の挿通孔11が形成され、ホルダ10の前端面でU字形に折り返された検知用電線20が挿通され、そのホルダ10の後端面から引き出された部分は図示しない断線検出回路に接続されている。
【0014】
かかる摩耗検知プローブPは、ブレーキライニング材Bが固定されている支持部材Sの取付孔Hに固定され、ホルダ10の前端面における検知用電線20の折り返し部21は、ロータRと対向する状態でブレーキライニング材Bの窓孔W内に位置している。通常のブレーキングでは摩耗検知プローブPはロータRと接触しないが、ブレーキライニング材Bの摩耗が進んでその厚さが所定の寸法まで薄くなると、検知用電線20の折り返し部21が摩滅し、やがて断線することになる。検知用電線20の断線が断線検出回路で検知されると、ブレーキライニング材Bの摩耗が使用限界に達したことを知らせる警告ランプ(図示せず)が点灯するようになっている。
【0015】
次に、ホルダ10に対する検知用電線20の位置ずれを防止する手段について説明する。ホルダ10の後部には、その後端面に方形状に開口するように凹ませた嵌合部12が形成されている。この嵌合部12の一方(図3及び図4における右側)の内壁面には、挿通孔11に連なる半円弧形断面の第1電線押さえ溝13Aと、この第1電線押さえ溝13Aに隣接する第2電線押さえ溝13Bとが形成されているとともに、この両電線押さえ溝13A,13Bと対向する内側面(図3及び図4における左側の内壁面)には挿通孔11に連なる第3電線押さえ溝13Cが形成されている。また、嵌合部12の奥端面のうち第1及び第2の電線押さえ溝13A,13Bと隣り合う領域は受け面14とされているとともに、第3電線押さえ溝13Cと隣り合う領域は、受け面14に対して段差状に奥行きを浅くしたストッパ面15とされている。受け面14は、保持部材30に取り付けられた検知用電線20の一部を当接させるようにしたものであって、この受け面14には、その検知用電線20の当接部分の樹脂被覆に食い込み可能な鋸歯状をなす規制部14Aが形成されている。この規制部14Aが検知用電線20の食い込むことにより、その検知用電線20の軸線方向(図3及び図4における左右方向)への変位が規制されるようになっている。
【0016】
保持部材30は、検知用電線20を前方変位を規制するように保持するためのものであり、全体として略サイコロ状をなし、上記嵌合部12に圧入されるようになっている。保持部材30の一方の外壁面には、上記第1電線押さえ溝13A及び第2電線押さえ溝13Bと対応する半円弧形断面の第1電線保持溝31Aと第2電線保持溝31Bが形成されているとともに、他方の外壁面には第3電線押さえ溝13Cと対応する第3電線保持溝31Cが形成されている。保持部材30が嵌合部12に圧入されると、電線保持溝31A,31B,31Cと電線押さえ溝13A,13B,13Cとの間で検知用電線20が挟み込まれて遊動不能に保持される。即ち、電線保持溝31A,31B,31Cと電線押さえ溝13A,13B,13Cによって形成される孔の内径は検知用電線20の外径よりも少し小さく設定されている。さらに、保持部材30にはその前後両端面間に貫通する電線保持孔32が形成されている。また、保持部材30において電線保持孔32と第1及び第2電線保持溝31A,31Bとの間の部分は、検知用電線20を巻き付けるための巻き付け部33とされている。また、保持部材30をストッパ面15に突き当てた状態では、保持部材30の巻き付け部33の前端面33Aと上記受け面14との間隔は、検知用電線20の外径よりも少し小さい寸法に設定されている。
【0017】
次に、本実施形態の作用を説明する。
摩耗検知プローブPの組付けに際しては、まず、検知用電線20を保持部材30の電線保持孔32に貫通させて第1と第2の電線保持溝31A,31Bに嵌めつつ巻き付け部33に一回巻き付け、検知用電線20の第1電線保持溝31Aから延長した部分をホルダ10の一方の挿通孔11に後方から挿通する(図2を参照)。
この後、ホルダ10の前方で検知用電線20を折り返し、空いている挿通孔11に通すとともに、第3電線押さえ溝13Cに嵌めてホルダ10の後端へ延出させ、その延出部分を後方へ引っ張りつつ保持部材30を嵌合部12に圧入する。このとき、検知用電線20の第1電線保持溝31A、第2電線保持溝31B、第3電線押さえ溝13Cに嵌められている部分は、夫々、第1電線押さえ溝13A、第2電線押さえ溝13B、第3電線保持溝31Cに嵌めるようにする。また、両挿通孔11、ホルダ10の前端及び保持部材30において検知用電線20が弛まないようにする。保持部材30をストッパ面15に突き当たるまで圧入すれば、ホルダ10に対する検知用電線20と保持部材30の組付けが完了する。
【0018】
この状態では、保持部材30に巻き付けた検知用電線20の一部が保持部材30の巻き付け部33の前端面33Aと嵌合部12の受け面14との間で押し潰された状態で挟み付けられるとともに、その挟み付けられた部分の樹脂被覆に規制部14Aが食い込む。これにより、検知用電線20の軸方向への変位が規制される。また、第1〜第3の電線保持溝31A,31B,31Cと第1〜第3の電線押さえ溝13A,13B,13Cとの間でも検知用電線20が挟み付けられた状態となるため、摩擦により検知用電線20の軸方向の変位が規制されている。
【0019】
組み付けられた摩耗検知プローブPは支持部材Sの取付孔Hに固定されるが、このときに、検知用電線20の折り返し部21において保持部材30側の挿通孔11から反対側の挿通孔11に向かう方向が、車両が前進する際のロータRの回転方向(図1に下向きの矢線で示す)と同じ向きとなるようにする。
ブレーキライニング材Bの摩耗が進んで検知用電線20の折り返し部21がロータRに接触するようになると、前進走行中に接触した時に検知用電線20とロータRとの間で瞬間的に大きな摩擦抵抗が発生し、そのために検知用電線20には前方(ロータR側)からの引張力が作用する。このときに、検知用電線20が前方へ変位すると、検知用電線20がホルダ10の前方へ延びて垂れ下がったり、ホルダ10の後方で検知用電線20が断線したりするおそれがあり、このようになると正常な摩耗検知機能が失われてしまうことになる。
【0020】
ところが、本実施形態では、ホルダ10の嵌合部12に保持部材30を前方変位を規制した状態に嵌合し、その保持部材30に検知用電線20を巻き付けて保持している。したがって、検知用電線20に前方への引張力が作用しても、検知用電線20はその保持部材30の巻き付け部33の後端と前端においてU字形に折り返されている部分で引っ掛かりを生じ、これにより、検知用電線20の保持部材30に対する前方への位置ずれ、ひいてはホルダ10に対する前方への変位が防止されている。
【0021】
しかも、検知用電線20には、その樹脂被覆に鋸歯状の規制部14Aが食い込むことによって強い引っ掛かり作用が働くとともに、電線保持溝31A,31B,31Cと電線押さえ溝13A,13B,13Cとの間で挟み付けられることによる保持力も働くので、検知用電線20の軸方向、ひいては前方向への変位規制機能がより高められている。
さらに、保持部材30がストッパ面15との間に隙間を残した状態で嵌合されていたとしても、検知用電線20に前方からの引張力が作用したときに、その引張力により保持部材30が前方へ移動して巻き付け部33の前端面33Aが検知用電線20を受け面14側へ押し付けるようになるので、検知用電線20に対する保持力が低下するおそれはない。
【0022】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では保持部材に電線保持孔を設け、検知用電線をこの電線保持孔に通して巻き付けるようにしたが、本発明によれば、電線保持孔を設けずに、単に保持部材の外周に粗って検知用電線を巻き付けるようにしてもよい。
【0023】
(2)上記実施形態では検知用電線を保持部材にまきつけるようにして保持したが、本発明によれば、保持部材の外面に葛折状やU字形などの屈曲した溝を形成してここに検知用電線を嵌め込んで保持するようにしてよい。
(3)上記実施形態では保持部材を嵌合部に収容したときに検知用電線が保持部材と嵌合部の内面との間で挟み付けられるようにしたが、本発明によれば、保持部材と嵌合部との間での挟み付け構造を採用せず、単に保持部材と検知用電線との引っ掛かり作用だけで変位規制を行うようにしてもよい。
【0024】
(4)上記実施形態では検知用電線の外周に食い込む規制部を嵌合部の受け面のみに設けたが、本発明によれば、規制部を保持部材のみに設けてもよく、嵌合部と保持部材の双方に設けてもよく、あるいは、このような規制部を設けない構成としてもよい。
(5)上記実施形態では嵌合部をキャビティ状にしてそこに保持部材を収容するようにしたが、本発明によれば、保持部材がホルダの外面に露出する形態で取り付けられるようにしてもよい。
【0025】
(6)上記実施形態ではディスクブレーキ用の摩耗検知プローブに適用した場合について説明したが、本発明は、ドラムブレーキ用の摩耗検知プローブにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の断面図
【図2】組付け前の状態を示す断面図
【図3】保持部材の取付部分の部分拡大断面図
【図4】背面図
【符号の説明】
R…ロータ
B…ブレーキライニング材(制動片)
P…摩耗検知プローブ
10…ホルダ
12…嵌合部
14…受け面
14A…規制部
20…検知用電線
21…折り返し部
30…保持部材
33…巻き付け部
Claims (3)
- ホルダに対し、その前端で折り返して2本の挿通孔に通して後方へ延出させるように検知用電線を組み付けて構成されるとともに、
ロータとの接触を可能とされた制動片に対し、前記検知用電線の折り返し部を前記ロータに対向させるように設けられ、
その制動片の摩耗程度が使用限界に達したか否かを前記検知用電線の前記折り返し部における断線の有無によって検出するものであって、
前記検知用電線のうち一方の前記挿通孔に挿通されている部分を前方からの引張りに抗する引っ掛かりを生じるように曲げた状態で保持する保持部材を備えており、
前記ホルダには、前記保持部材を前方移動規制状態に取付け可能な嵌合部が形成され、
前記保持部材が前記嵌合部に取り付けられた状態では、前記検知用電線が前記保持部材と前記ホルダとの間で挟み付けられるようになっているとともに、
前記嵌合部に前記保持部材を取り付けることで、前記検知用電線における前記保持部材への保持部分の前記ホルダに対する前方への変位が規制され、
前記検知用電線の折返部において前記保持部材側の挿通孔から反対側の挿通孔に向かう方向が、車両が前進する際の前記ロータの回転方向と同じ向きとなっていることを特徴とする制動片の摩耗検知プローブ。 - 請求項1記載のものにおいて、
前記保持部材には、前記検知用電線を巻き付けさせることによりその検知用電線を保持する巻き付け部が形成されていることを特徴とする制動片の摩耗検知プローブ。 - 請求項1又は請求項2記載のものにおいて、
前記検知用電線が挟み付けられる領域における前記保持部材と前記ホルダのうちの少なくとも一方には、前記検知用電線の外周に食い込んでその変位を規制する規制部が形成されていることを特徴とする制動片の摩耗検知プローブ。
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