JP3885281B2 - 水晶振動子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータのクロック発生器、無線通信機器の局部発振器やフィルタ等に好適に用いられ、周囲温度が変動する場合においても安定した共振周波数やフィルタ周波数が得られる水晶振動子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一定周波数の電気信号を発生させる発振器の共振回路に用いられる振動子として、温度変化に対して安定した共振周波数が得られる水晶振動子がある。図16は、従来の水晶振動子を示す斜視図であり、図において、符号1は電気軸(X)を有し周波数の温度係数が0であるATカットの水晶基板、2,3は水晶基板1の両面に形成されたアルミニウム、金等からなる励振用の電極、4は電極2,3により挟まれた箱状の領域である励振部である。
この水晶振動子は、電極2,3間に共振周波数近傍の高周波電圧を印加することにより、1kHz〜100MHz程度の範囲内の固有の周波数の電気振動を発生させることができる。
【0003】
ところで、上述した水晶振動子の共振周波数は、周囲温度をパラメータとした場合に3次曲線で表される特性を有するので、温度変動の小さい場合には共振周波数の変動は問題にならないくらい小さいが、温度が大きく変動する環境下で用いる場合には、共振周波数の変動が大きくなり無視することができなくなる。
そこで、この特性を打ち消すような温度補償電圧を得ることのできる感温素子、例えば、温度特性が指数関数で表されるサーミスタを用いた温度補償回路と組み合せることにより、その共振周波数を周囲温度に対して略直線状に変化させた温度補償水晶発振器(TCXO)が提供されている。
【0004】
なお、一般に、電子デバイス用の結晶中に双晶が存在すると、デバイスの特性に悪影響を及ぼすため、該結晶中には双晶が形成されないことが肝要であるとされており、前記水晶振動子や水晶発振器においても、振動子として用いられる水晶基板中には双晶のないことが当然のこととされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した水晶発振器(TCXO)においては、温度補償回路を構成するために前記サーミスタの他にいくつかの電子部品が必要になり、用いる電子部品の点数が増加する分高価格になる、また、この水晶発振器の回路の調整が複雑になる等、様々な欠点があった。
一方、3次曲線で表される水晶基板の共振周波数−温度特性は、水晶基板固有の特性であるとされており、水晶基板自体には改善の余地がないものと考えられていた。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、周囲温度が変動する場合においても、比較的簡単な温度補償回路で安定した共振周波数やフィルタ周波数が得られ、さらに取り扱いが簡単で複雑な調整作業等もいらず、しかも低価格化が図れる水晶振動子の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
水晶は、573℃(Tc)でα・β相転移を起こすが、応力等により転移温度が低下し、Tcより低い温度で電気軸(X軸)が反転することが知られている。
本発明者等は、水晶基板の表面に金属電極を付着させて熱処理を施すことにより、この基板の切断方位および金属の種類によっては、Tcよりはるかに低い温度で水晶基板の電気軸が反転することを見いだし、水晶基板内に、励振部の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部を形成した水晶振動子の製造方法を提供する。
【0008】
すなわち、本発明に係わる水晶振動子は、水晶基板の両面に励振用の電極部をそれぞれ形成して該電極部に挟まれた領域を励振部とした水晶振動子において、前記水晶基板内の前記励振部と異なる位置に、該励振部の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部を形成したものである。
【0009】
この水晶振動子では、前記励振部の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部を形成したことにより、該励振部内に生じる振動エネルギーの一部を該軸反転部に漏洩させて該水晶振動子の温度補償を行う。例えば、ATカットの水晶基板は、室温においては、その共振周波数が負の温度特性を有するのに対し、前記軸反転部の共振周波数が正の温度特性を有するので、該軸反転部により励振部の温度特性が補償されることになる。これにより、周囲温度が変動する場合においても、比較的簡単な温度補償回路で安定した共振周波数を得ることが可能になる。
【0010】
この水晶振動子においては、前記軸反転部を、前記励振部の片側または両側に近接して形成してもよく、前記軸反転部を、前記励振部の周囲に形成してもよい。
これらの水晶振動子では、前記励振部に近接した位置またはその周囲に軸反転部を形成したことにより、該励振部からの振動エネルギーの一部を該軸反転部に漏洩させて励振部の温度補償をより確実に行う。
【0011】
また、この水晶振動子においては、前記軸反転部に励振用の電極部を形成して温度センサ部としてもよい。
この水晶振動子では、前記軸反転部が略直線状の温度係数を有する温度センサとなる。これにより、この振動子を従来の水晶発振器(TCXO)に応用すれば、水晶基板の温度情報を直接得ることが可能になり、高精度の温度補償が可能になる。
【0012】
ここで、このような水晶振動子の製造方法としては、水晶基板の両面に励振用の電極部をそれぞれ形成して該電極部に挟まれた領域を励振部とする水晶振動子の製造方法において、前記水晶基板の表面の前記電極部の片側または両側に、金属膜を形成し、次いで、この水晶基板を、水晶のα・β転移温度以下の温度で熱処理し、該水晶基板内に、前記励振部の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部を形成することが挙げられる。
【0013】
この製造方法では、金属膜が形成された水晶基板を水晶のα・β転移温度以下の温度で熱処理することにより、前記金属膜に起因する応力により水晶基板内の反転部を形成すべき位置の電気軸がα・β転移温度より低い温度で反転する。これにより、水晶基板内の前記励振部と異なる領域に、前記励振部の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部が形成され、したがって、該水晶基板内に該軸反転部と前記励振部とからなる双晶構造が形成される。
【0014】
以上により、水晶基板内の励振部と異なる位置に、該励振部の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部が形成されることとなり、周囲温度の変動に対して安定した共振周波数やフィルタ周波数が得られる水晶振動子を製造することが可能になる。
【0015】
この場合には、前記金属膜を、Cr膜、Ni膜またはNiCr膜のいずれかとしてもよい。
この製造方法では、Cr膜、Ni膜またはNiCr膜を用いることにより、540〜550℃程度の温度で電気軸の反転が起こる。これにより、水晶基板内部にα・β転移温度よりはるかに低い温度でα・β転移を起こさせることが可能になる。
【0016】
また、前記熱処理を、不活性雰囲気または真空のいずれかの雰囲気中で行ってもよい。 この製造方法では、金属膜の酸化を防止することにより、該金属膜の応力が低下するおそれがなくなり、水晶基板内部における軸反転部の形成がより確実になる。
【0017】
そして、本発明の水晶振動子の製造方法は、第一に、水晶基板の両面に励振用の電極部をそれぞれ形成して該電極部に挟まれた領域を励振部とする水晶振動子の製造方法において、前記水晶基板の表面に導電性を有する材料からなる薄膜を形成し、次いで、前記薄膜を形成した水晶基板を500〜520℃まで加熱した後、この加熱状態で前記薄膜に電流を流すことによって、前記水晶基板の薄膜下方にあたる部分に軸反転に必要な応力を付与し、前記励振部の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部を形成するものである。
また、本発明の水晶振動子の製造方法は、第二に、前記第一の製造方法と同様、薄膜を形成した水晶基板を500〜520℃まで加熱した後、この加熱状態で前記薄膜に電子線を照射することによって軸反転に必要な応力を付与し、軸反転部を形成するものである。
また、本発明の水晶振動子の製造方法は、第三に、前記第一、第二の製造方法と同様、薄膜を形成した水晶基板を500〜520℃まで加熱した後、この加熱状態で前記薄膜を通して前記水晶基板内に高電界を印加することによって軸反転に必要な応力を付与し、軸反転部を形成するものである。
【0018】
これら第一〜第三の本発明の水晶振動子の製造方法は、特に水晶基板における軸反転部の形成を確実にかつ生産性良く実行するための手段を提供するものである。そして、その特徴は、軸反転の誘因が水晶基板に形成した膜による応力であることに着目し、外部からの電気的な手段を用いて水晶基板のうちの膜形成部に対して効率良く応力を付与することにある。ここで言う電気的手段とは、具体的には、1.導電性薄膜に電流を流す、2.導電性薄膜に電子線を照射する、3.導電性薄膜を通して水晶基板内に高電界を印加する、の3通りである。
【0019】
ここで、これら第一〜第三の本発明のいずれかの水晶振動子の製造方法においては、前記薄膜を、Cr膜、Ni膜またはNiCr膜のいずれかとしてもよい。
この製造方法では、Cr膜、Ni膜またはNiCr膜を用いることにより、より低い温度で電気軸の反転が起こる。これにより、水晶基板内部にα・β転移温度よりはるかに低い温度でα・β転移を起こさせることが可能になる。
【0020】
さらに、本発明の水晶振動子の製造方法では、前記加熱を、不活性雰囲気または真空のいずれかの雰囲気中で行ってもよい。
この製造方法では、金属膜の酸化を防止することにより、該金属膜の応力が低下するおそれがなくなり、水晶基板内部における軸反転部の形成がより確実になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の各実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態の水晶振動子を示す図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)のI−I線に沿う断面図である。図において、11,12は水晶基板1内かつ励振部4の両側の近傍に形成された、該励振部4の電気軸(X)と反対方向の電気軸(−X)を有する軸反転部である。
なお、図1中、Wは電極2,3の幅、Lは電極2,3の長さ、dは励振部4と軸反転部11,12との間隔、sは軸反転部11,12の長さ、tは水晶基板1の厚みであり、fは長さ方向の振動変位の振幅分布である。
【0022】
この水晶振動子では、電極2,3間に共振周波数近傍の高周波電圧を印加すると、図1(b)に示すような振動変位の振幅分布fが得られる。すなわち、電極2,3の質量付加効果に基づくエネルギー閉じ込め効果により、励振部4に振動エネルギーの大部分が集中するが、一部は漏洩し軸反転部11,12に達し、この結果、温度特性が改善される。
【0023】
ここで、図2に基づき本実施形態の水晶振動子の温度特性の改善効果について説明する。
図2中、Aは本実施形態の水晶振動子の最適な特性、Bは軸反転部のないATカット水晶振動子の特性、CはATカット水晶基板のX軸を反転処理した水晶振動子の特性、Dは本実施形態の水晶振動子の温度補償の原理を確認するために行った実験の結果である。
なお、上記実験(D)に用いた試料は、tが205μm、Wが5.0mm、Lが2.5mm、sが2.5mm及びdが2.0mmのもので、熱処理条件は、550℃で1時間30分とした。また、測定に用いた周波数frは8.0MHzとした。
【0024】
これより明かなように、ATカット水晶振動子(B)の共振周波数は3次曲線で表され、室温付近では負の温度係数を有する。一方、反転処理した水晶振動子(C)では、極めて大きな正の温度係数を有する。したがって、図1(b)に示すように、振動エネルギーの一部(振幅分布fの裾の部分)を軸反転部11,12に漏洩させることにより、正の温度係数と負の温度係数とが相殺され、最適な特性(A)が得られる。すなわち、その温度係数は、約0〜70℃の温度範囲でほぼ0となり、70℃を越えると温度上昇と共に僅かに増加する。
【0025】
このように、振動エネルギーの一部を軸反転部11,12に漏洩させて正の温度係数と負の温度係数とを相殺することにより、温度特性を補償することができる。これにより、周囲温度が変動する場合においても、温度補償回路等を用いることなく安定した共振周波数を得ることが可能になる。
【0026】
次に、図3に基づき水晶振動子の製造方法について説明する。
まず、ATカットの水晶基板1の表面の軸反転部11,12を形成すべき位置に、電子ビーム(EB)蒸着法等により、Cr,Ni等の遷移金属、またはこれらの合金であるNiCr等のいずれかの材料からなる金属薄膜21,22を形成する(図3(a))。
【0027】
この場合、水晶基板1内部に軸反転部11,12を効果的に形成するためには、金属薄膜21,22の厚み(t2)が水晶基板1の厚み(t1)に対して一定の比率(R=t2/t1)以上であることが必要である。
【0028】
例えば、図4に示すように、Cr膜の場合では、R=1.3×10−3付近に軸反転が可能となる臨界値があり、この臨界値を下回ると軸反転が不能になる。また、NiCr膜の場合では、R=0.4×10−3付近に軸反転が可能となる臨界値があり、この臨界値を下回ると軸反転が不能になる。したがって、例えば、NiCr膜の場合、水晶基板1の厚みt1を200μmとすると、安定した軸反転
を得るためにはNiCr膜の厚みを200nm以上(R≧1×10−3)とする必要がある。なお、この場合の膜形成温度は200℃である。
【0029】
次いで、金属薄膜21,22が形成された水晶基板1を、N2ガス等の不活性雰囲気または真空のいずれかの雰囲気中で、水晶のα・β転移温度(573℃)以下の温度、例えば金属薄膜21,22がNiCr膜の場合、550〜560℃で30分間熱処理する。
【0030】
熱処理時の金属薄膜21,22に起因する応力により、水晶基板1内の反転部11,12を形成すべき位置の電気軸がα・β転移温度より低い温度で反転する。これにより、水晶基板1内部に励振部4の電気軸(X)と反対方向の電気軸(−X)を有する軸反転部11,12が形成される(図3(b))。
【0031】
次いで、必要に応じて金属薄膜21,22を取り除き、水晶基板1の両面に電子ビーム(EB)蒸着法等により電極2,3を形成する(図3(c))。
以上により、図1(b)に示す振動変位の振幅分布fを有する水晶振動子を得ることができる。
【0032】
ここで、本実施形態の水晶振動子の熱処理前後の共振特性について説明する。
図5は、熱処理前後の共振特性を示す図であり、図中、(a)は水晶基板1の両面にCr膜を形成したものの熱処理前の共振特性、(b)は同熱処理後の共振特性、(c)は水晶基板1の両面にAl膜を形成したものの熱処理後の共振特性である。
ここでは、図6に示すように、ATカットの水晶基板1の両面の互いに対向する位置に、Cr膜(金属膜)25,25及びAl膜(金属膜)26,26をそれぞれ形成したものを試料とした。
【0033】
(a)と(b)により、Cr膜25,25では熱処理前後の共振周波数が大きく変化しており、熱処理前後の周波数比は、水晶基板1(+35゜15´RY−cut)と軸反転部11,12(−35゜15´RY−cut)との周波数定数比にほぼ一致しており、軸反転が生じていることが明かである。一方、Al膜26,26では熱処理前後において共振周波数の明瞭な変化がみられず、軸反転が生じているとは認め難い。
【0034】
以上説明した様に、本実施形態の水晶振動子によれば、水晶基板1内かつ励振部4の両側の近傍に、該励振部4の電気軸(X)と反対方向の電気軸(−X)を有する軸反転部11,12を形成したので、該軸反転部11,12により励振部4の温度特性を補償することができ、したがって、周囲温度が変動する場合においても、比較的簡単な温度補償回路で安定した共振周波数を得ることができる。
【0035】
また、本実施形態の水晶振動子の製造方法によれば、水晶基板1の励振部4と異なる領域の表面に、金属薄膜21,22を形成し、次いで、この金属薄膜21,22付き水晶基板1を、水晶のα・β転移温度以下の温度で熱処理するので、水晶基板1内に励振部4の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部11,12が形成され、周囲温度の変動に対して安定した共振周波数やフィルタ周波数が得られる水晶振動子を製造することができる。
【0036】
なお、励振部4及び軸反転部11,12の形状は、上述した互いに平行なものの他、例えば、励振部4と軸反転部11,12の互いに対向する各面の水平断面が櫛型となる形状、励振部4と軸反転部11,12の互いに対向する各上端部の水平断面が櫛型かつ各下端部の水平断面が平行となる形状等、様々な形状のものが可能である。
【0037】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態の水晶振動子を示す図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)のII−II線に沿う断面図である。
この実施形態の水晶振動子が上述した第1の実施形態の水晶振動子と異なる点は、水晶基板1内かつ励振部4の片側の近傍に、励振部4の電気軸(X)と反対方向の電気軸(−X)を有する軸反転部12を形成した点である。
【0038】
この水晶振動子では、電極2,3間に共振周波数近傍の高周波電圧を印加すると、図7(b)に示すような振動変位の振幅分布fが得られる。電極2,3の質量付加効果に基づくエネルギー閉じ込め効果により、励振部4に振動エネルギーの大部分が集中するが、一部は漏洩し軸反転部12に達し、この結果、温度特性が改善される。
【0039】
この水晶振動子は、上述した第1の実施形態の水晶振動子と同様の製造方法により製造することができる。
例えば、200μmの厚みのATカットの水晶基板1の表面の軸反転部12を形成すべき位置に、200nm以上の厚みのNiCr膜等からなる金属薄膜22を形成し、その後、N2ガス等の不活性雰囲気または真空のいずれかの雰囲気中で、水晶のα・β転移温度(573℃)以下の温度、例えば550〜560℃で30分間熱処理すれば、水晶基板1内部に励振部4の電気軸(X)と反対方向の電気軸(−X)を有する軸反転部12が形成され、図7(b)に示す振動変位の振幅分布fを有する水晶振動子を得ることができる。
【0040】
本実施形態の水晶振動子においても、上述した第1の実施形態の水晶振動子と全く同様に、該軸反転部12により励振部4の温度特性を補償することができ、したがって、周囲温度が変動する場合においても、比較的簡単な温度補償回路で安定した共振周波数を得ることができる。
【0041】
(第3の実施形態)
図8は本発明の第3の実施形態の水晶振動子を示す図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)のIII−III線に沿う断面図である。
この実施形態の水晶振動子が上述した第1及び第2の実施形態の水晶振動子と異なる点は、水晶基板1の両面に半径rの励振用の電極31,32を形成してこれら電極31,32により挟まれた円板状の領域を励振部33とし、この励振部33の周囲の半径Rの外側の位置に、励振部33の電気軸(X)と反対方向の電気軸(−X)を有する軸反転部34を形成した点である。
【0042】
本実施形態の水晶振動子においても、上述した第1及び第2の実施形態の水晶振動子と全く同様に、該軸反転部34により励振部33の温度特性を補償することができ、したがって、周囲温度が変動する場合においても、比較的簡単な温度補償回路で安定した共振周波数を得ることができる。
【0043】
(第4の実施形態)
図9は本発明の第4の実施形態の温度センサ付き水晶振動子を示す斜視図であり、図において、41は水晶基板1内かつ励振部4の片側の近傍に形成された、該励振部4の電気軸(X)と反対方向の電気軸(−X)を有する軸反転部、42,43は軸反転部41に形成された励振用の電極である。
【0044】
この温度センサ付き水晶振動子は、ATカットの水晶基板1を部分的に軸反転処理し、非反転部と反転部それぞれに振動子を形成している。非反転部の振動子44は通常のATカット水晶振動子となり、反転部の振動子45は−35゜15´RY−cutの振動子で、+29ppm/degの温度係数を有する温度センサとなる。
【0045】
図10は、本実施形態の温度センサ付き水晶振動子の共振周波数−温度特性を示す図であり、図中、Eは非反転部の特性、Fは反転部の特性である。
これより明かなように、非反転部(E)の共振周波数は3次曲線で表され、室温付近では負の温度係数を有する。一方、反転部(F)では、+29ppm/degの温度係数を有する。したがって、反転部(F)を温度センサとして用いれば、水晶基板1の温度情報を直接得ることができる。
この温度センサ付き水晶振動子は、従来の水晶発振器(TCXO)等への応用が可能である。
特に、水晶発振器(TCXO)に応用した場合、水晶基板1の温度情報を直接得ることができ、高精度の温度補償を行うことができる。
【0046】
(第5の実施形態)
上記第1の実施形態では図3を用いて水晶振動子の製造方法を説明したが、以下の実施形態では他の製造方法、特に、軸反転部の形成方法に関する3つの方法について説明する。
すなわち、軸反転部を形成するために、第1の実施形態では、水晶基板上に金属薄膜を形成した後、この水晶基板全体を熱処理していたのに対し、本実施形態の方法は、水晶基板上に金属薄膜を形成した後、金属薄膜に電流を流すことによってその下の水晶基板に応力を付与するという方法である。
【0047】
図11は本実施形態における軸反転部の形成方法を示す図であり、図中符号1は水晶基板、51は金属薄膜(導電性薄膜)、52は基板ホルダー、53a,53bはリード線、54は加熱用ヒーター、55は真空容器、56は電源、57はスイッチ、である。以下、この図を用いて軸反転部の形成工程を説明する。
【0048】
まず、図11に示すように、水晶基板1の表面に、電子ビーム蒸着法等の周知の方法を用いてCr,Ni等の遷移金属、またはこれらの合金であるNiCr等のいずれかの材料からなる金属薄膜51を形成する。
【0049】
次に、上記金属薄膜51を形成した水晶基板1を基板ホルダー52上に固定し、金属薄膜51の両端部にリード線53a,53b、スイッチ57を介して電源56を接続する。そして、水晶基板1を収容する真空容器55の内部を排気して真空雰囲気とした後、加熱用ヒーター54を用いて水晶基板1を500〜520℃程度まで加熱する。この状態では、水晶基板1の温度がα・β転移温度(573℃)に到達していないので、電気軸(X)の反転は起こらない。なお、真空容器55の内部を真空雰囲気とする代わりに、不活性雰囲気としてもよい。
【0050】
次に、水晶基板1を上記の温度に保った状態でスイッチ57を閉じる。すると、薄膜51は金属であるために電流が流れ、膜抵抗によって電流導通と同時に薄膜51が加熱されて膨張し、軸反転に必要な応力が水晶基板1に付与されると同時に薄膜51下の水晶の温度が局所的に上昇するため、電気軸の反転が起こる。一方、薄膜51の下以外の部分には膜による応力が加わらず温度上昇も小さいため、軸反転が生じる条件にまでは達せず、電気軸の方向は元の状態を保ったままとなる。
【0051】
ここで、本実施形態の方法に基づく実験例を示す。
本実験の試料は、水晶基板として幅8.5mm、長さ9.2mm、厚さ0.16mmのATカット板を用いた。そして、金属薄膜として幅1.0mm、長さ8.0mm、厚さ250nmのクロム膜を水晶基板上に形成した。また、実験条件として、真空容器内雰囲気は5×10-5Torr(0.005Pa)、電流導通時の基板温度は520℃、印加電力は2V×0.05A=100mW(12.5mW/mm2)、印加時間は約1秒、とした。
【0052】
X軸反転が起こると同時にY軸も反転し、結晶板の切断方位と結晶軸との関係は図12のようになる。すなわち、ATカット板はその面方線がY軸からZ軸に向かって35°15’傾いた、いわゆる35°15’回転Yカットであるのに対し、X軸反転部分は−35°15’回転Yカットとなる。ATカット板の圧電共振に対する周波数定数は、よく知られているように約1650Hz・mであり、一方、−35°15’回転Yカット板の周波数定数は約2520Hz・mと算出される。すなわち、ATカット板においてX軸方向が反転すると、共振周波数が約1.47倍に上昇することになる。
【0053】
実験では試料を真空中で520℃に加熱し、その加熱状態で水晶基板上の薄膜に電流を流した。そして、X軸反転の様子を見るため、共振特性をネットワークアナライザにより観測した。図13は実験中の各時点での共振周波数の変化の様子を示したものであり、それぞれ(a)は室温時の初期状態、(b)は520℃に加熱した状態、(c)は520℃で電流を印加し、遮断した直後の状態、(d)は温度を再度室温に戻した時の状態、を示している。
【0054】
図13(a)に示すように、室温時の初期状態では10MHz付近に共振が見られるが、図13(b)に示すように、試料を520℃まで加熱してもそれだけでは共振周波数は11MHz程度と初期状態とほとんど変わらない。つまり、図13(a)と図13(b)の共振周波数差は温度特性によるものであり、これらの共振はともにATカットに対応する。これに対して、図13(c)に示すように、加熱状態で薄膜に電流を流すと共振周波数は14.3MHz程度にまで上昇し、図13(d)に示すように、その後温度を室温に戻すと14.7MHz程度となった。このように、本実験によって電流印加後の共振周波数は初期状態の約1.47倍になることが確認され、電流印加による本方法がX軸の反転処理に有効であることが実証された。
【0055】
(第6の実施形態)
次に、他の軸反転部の形成方法を説明する。
本実施形態の方法は、水晶基板上の金属薄膜に電子線を照射することによってその下の水晶基板に応力を付与する方法である。
【0056】
図14は本実施形態における軸反転部の形成方法を示す図であり、図中符号1は水晶基板、51は金属薄膜(導電性薄膜)、52は基板ホルダー、53a,53bはリード線、54は加熱用ヒーター、55は真空容器、61はカソード、62はカソード加熱用ヒーター、63は直流電圧源、64はスイッチ、である。この図に示すように、水晶基板1上に形成した金属薄膜51はスイッチ64を通して直流電圧源63に接続され、カソード61に対して負電圧が印加される構成となっている。本実施形態における軸反転部の形成工程は以下の通りである。
【0057】
第5の実施形態と同様に水晶基板1上に金属薄膜51を形成した後、真空容器55内を真空または不活性雰囲気とするとともに、加熱用ヒーター54を用いて水晶基板1を500〜520℃程度まで加熱する。次に、基板1を上記温度に保った状態でカソード加熱用ヒーター62に通電してカソード61を加熱し、熱電子放出の状態とする。そして、スイッチ64を閉じると、水晶基板1上の金属薄膜51はカソード61に対して正電位となるため電流が流れ、薄膜51部分は急激に加熱されて膨張し、第5の実施形態に記載したのと同様なメカニズムによりX軸反転が起こる。一方、薄膜51下以外の部分には薄膜による応力が加わらないため、軸反転が生じる条件に達せず、電気軸方向は元の状態を保ったままとなる。
【0058】
ここで、本実施形態の方法における具体的な条件の一例を挙げると、水晶基板として幅8.5mm、長さ9.2mm、厚さ0.16mmのATカット板、金属薄膜として幅1.0mm、長さ8.0mm、厚さ250nmのクロム膜を用いる(第5の実施形態と同一)こととし、真空容器内雰囲気は5×10-5Torr(0.005Pa)、電子線照射時の基板温度は520℃、電力は195V(加速電圧)×0.1mA=19.5mW(2.4mW/mm2 )、電子線照射時間は約5秒、である。
【0059】
(第7の実施形態)
次に、さらに他の軸反転部の形成方法を説明する。
本実施形態の方法は、水晶基板上の金属薄膜に高電圧を印加することによってその下の水晶基板に応力を付与する方法である。
【0060】
図15は本実施形態における軸反転部の形成方法を示す図であり、図中符号1は水晶基板、51は金属薄膜(導電性薄膜)、52は基板ホルダー、53a,53bはリード線、54は加熱用ヒーター、55は真空容器、71は電圧印加用の電極、72は高電圧電源、73はスイッチ、である。なお、電極71は、基板ホルダー52の表面に設けてもよいし、水晶基板1の裏面に設けてもよい。
【0061】
この図に示すように、本実施形態では、スイッチ73を閉じると水晶基板1に高電圧が印加される構成となっている。第5、第6の実施形態と同様の基板1を準備し、500〜520℃程度まで加熱する。次に、基板1を上記温度に保った状態でスイッチ73を閉じると、金属薄膜51と電極71の間に介在する水晶基板1に高電圧が印加され、強い電界がかかるため、基板1の圧電性によって応力が加わる。そして、この応力の大きさが軸反転に必要な応力値を越えると電気軸の反転が起こる。一方、水晶基板1のうち薄膜51下以外の部分には高電界による応力が加わらないため、軸反転が生じる条件に達せず、電気軸方向は元の状態を保ったままとなる。なお、軸反転に要する応力105〜106N/m2 を得るためにはATカット板で5000〜10000V/cm程度の電界を要するので、200μm厚の基板で数100Vの電源を用いればよい。
【0062】
本実施形態の場合、金属薄膜51の直下部分にのみ高電界が加わるので、任意の膜形状に適用でき、膜形状に対応した軸反転部を形成することができる。
【0063】
上記第5〜第7の実施形態による軸反転部形成方法を用いた場合、薄膜を形成した基板全体を単に加熱する第1の実施形態の方法と異なり、水晶基板のうち、薄膜直下の極めて局所的な領域に対して薄膜から熱が加えられる作用と薄膜の膨張による応力が付与される作用の双方によって、より低い温度で軸反転を生じさせることができる。例えば、水晶のα・β転移温度が573℃であるのに対して第1の実施形態では基板温度を550〜560℃としたが、これら実施形態の方法では500〜520℃というように加熱温度を低下させることが可能となる。また、これらの方法を用いた場合、薄膜直下に局所的に熱や応力が加えられる作用があるために、軸反転部を形成したい位置に薄膜を形成しさえすれば、軸反転部を形成する位置や形状をより確実にコントロールすることができる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明に係わる水晶振動子によれば、水晶基板の両面に励振用の電極部をそれぞれ形成して該電極部に挟まれた領域を励振部とした水晶振動子において、前記水晶基板内の前記励振部と異なる位置に、該励振部の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部を形成したので、前記励振部からの振動エネルギーの一部を該軸反転部に漏洩させて励振部の温度補償を行うことができ、周囲温度が変動する場合においても、比較的簡単な温度補償回路で安定した共振周波数やフィルタ周波数を得ることができる。
【0065】
したがって、従来の水晶発振器(TCXO)等において必要とされた、温度補償回路を構成する電子部品や水晶発振器の回路の調整が不要となり、取り扱いが簡単で安価な水晶発振器やフィルタを得ることができる。
また、この水晶振動子を携帯型無線通信機に用いれば、使用部品が少ないために実装容積が小さくなり、また、電池消費量が減少することにより長時間使用が可能になる等の優れた効果を奏することができる。
【0066】
また、前記軸反転部を、前記励振部の片側または両側に近接して形成することにより、該励振部からの振動エネルギーの一部を該軸反転部に漏洩させて励振部の温度補償をより確実に行うことができる。
【0067】
さらに、前記軸反転部を、前記励振部の周囲に形成することにより、該励振部からの振動エネルギーの一部を該軸反転部に漏洩させて励振部の温度補償をより確実に行うことができる。
【0068】
さらにまた、前記軸反転部に励振用の電極部を形成して温度センサ部とすることにより、前記軸反転部が略直線状の温度係数を有する温度センサとなり、したがって、この振動子を従来の水晶発振器(TCXO)に応用すれば、水晶基板の温度情報を直接得ることができ、高精度の温度補償を行うことができる。
【0069】
ここで、水晶基板の両面に励振用の電極部をそれぞれ形成して該電極部に挟まれた領域を励振部とする水晶振動子の製造方法において、前記水晶基板の表面の前記電極部の片側または両側に、金属膜を形成し、次いで、この水晶基板を、水晶のα・β転移温度以下の温度で熱処理し、該水晶基板内に、前記励振部の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部を形成した場合には、周囲温度の変動に対して安定した共振周波数やフィルタ周波数が得られる水晶振動子を製造することができる。
【0070】
また、前記金属膜をCr膜、Ni膜またはNiCr膜のいずれかとすることにより、水晶基板内部にα・β転移温度よりはるかに低い温度(540〜550℃)で電気軸の反転を起こすことができる。
【0071】
さらに、前記熱処理を、不活性雰囲気または真空のいずれかの雰囲気中で行うことにより、金属膜の酸化を防止することができ、したがって、該金属膜の応力が低下するおそれがなくなり、水晶基板内部における軸反転部の形成をより確実に行うことができる。
【0072】
そして、本発明の水晶振動子の製造方法によれば、外部からの電気的な手段を用いて水晶基板の内の膜形成部に対して応力を付与することができるため、軸反転部を効率良く形成することができ、軸反転部を形成する位置や形状をより確実にコントロールすることができる。
【0073】
また、本発明の水晶振動子の製造方法によれば、前記薄膜をCr膜、Ni膜またはNiCr膜のいずれかとすることにより、水晶基板内部にα・β転移温度よりはるかに低い温度(500〜520℃)で電気軸の反転を起こすことができる。
【0074】
さらに、本発明の水晶振動子の製造方法によれば、前記加熱を、不活性雰囲気または真空のいずれかの雰囲気中で行うことにより、金属膜の酸化を防止することができ、したがって、該金属膜の応力が低下するおそれがなくなり、水晶基板内部における軸反転部の形成をより確実に行うことができる。
【0075】
以上により、周囲温度が変動する場合においても、比較的簡単な温度補償回路で安定した共振周波数やフィルタ周波数が得られ、さらに取り扱いが簡単で複雑な調整作業等もいらず、しかも低価格化が図れる水晶振動子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の水晶振動子を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のI−I線に沿う断面図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態の水晶振動子の共振周波数−温度特性を示す図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態の水晶振動子の製造方法を示す過程図である。
【図4】 軸反転の膜厚依存性を示す図である。
【図5】 金属薄膜付き水晶基板の熱処理前後の共振特性を示す図である。
【図6】 金属薄膜付き水晶基板の形状を示す断面図である。
【図7】 本発明の第2の実施形態の水晶振動子を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のII−II線に沿う断面図である。
【図8】 本発明の第3の実施形態の水晶振動子を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のIII−III線に沿う断面図である。
【図9】 本発明の第4の実施形態の温度センサ付き水晶振動子を示す斜視図である。
【図10】 本発明の第4の実施形態の温度センサ付き水晶振動子の共振周波数−温度特性を示す図である。
【図11】 本発明の第5の実施形態における軸反転部の形成方法を説明するための図である。
【図12】 結晶板の切断方位と結晶軸との関係を示し、(a)通常のATカット板、(b)X軸反転部分、をそれぞれ示す図である。
【図13】 同、実施形態に基づく実験中の各時点での共振周波数の変化の様子を示すものであり、(a)は室温時、(b)は520℃加熱時、(c)は電流遮断直後、(d)は室温に戻した時、を示す図である。
【図14】 本発明の第6の実施形態における軸反転部の形成方法を説明するための図である。
【図15】 本発明の第7の実施形態における軸反転部の形成方法を説明するための図である。
【図16】 従来の水晶振動子を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ATカットの水晶基板
2,3 励振用の電極
4 励振部
11,12 軸反転部
21,22 金属薄膜
25 Cr膜(金属膜)
26 Al膜(金属膜)
31,32 励振用の電極
33 励振部
34 軸反転部
41 軸反転部
42,43 励振用の電極
44 非反転部の振動子
45 反転部の振動子
51 金属薄膜(導電性薄膜)
52 基板ホルダー
53a,53b リード線
54 加熱用ヒーター
55 真空容器
56 電源
57,64,73 スイッチ
61 カソード
62 カソード加熱用ヒーター
63 直流電圧源
71 電圧印加用の電極
72 高電圧電源
W 電極の幅
L 電極の長さ
d 励振部と軸反転部との間隔
s 軸反転部の長さ
f 長さ方向の振動変位の振幅分布
A 水晶振動子の最適な特性
B ATカット水晶振動子の特性
C 反転処理した水晶振動子の特性
D 温度補償の原理確認実験結果
E 非反転部の特性
F 反転部の特性
X 電気軸
−X 反対方向の電気軸
Claims (5)
- 水晶基板の両面に励振用の電極部をそれぞれ形成して該電極部に挟まれた領域を励振部とする水晶振動子の製造方法において、前記水晶基板の表面に導電性を有する材料からなる薄膜を形成し、次いで、前記薄膜を形成した水晶基板を500〜520℃まで加熱した後、この加熱状態で前記薄膜に電流を流すことによって、前記水晶基板の薄膜下方にあたる部分に軸反転に必要な応力を付与し、前記励振部の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部を形成することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
- 水晶基板の両面に励振用の電極部をそれぞれ形成して該電極部に挟まれた領域を励振部とする水晶振動子の製造方法において、前記水晶基板の表面に導電性を有する材料からなる薄膜を形成し、次いで、前記薄膜を形成した水晶基板を500〜520℃まで加熱した後、この加熱状態で前記薄膜に電子線を照射することによって、前記水晶基板の薄膜下方にあたる部分に軸反転に必要な応力を付与し、前記励振部の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部を形成することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
- 水晶基板の両面に励振用の電極部をそれぞれ形成して該電極部に挟まれた領域を励振部とする水晶振動子の製造方法において、前記水晶基板の表面に導電性を有する材料からなる薄膜を形成し、次いで、前記薄膜を形成した水晶基板を500〜520℃まで加熱した後、この加熱状態で前記薄膜を通して前記水晶基板内に高電界を印加することによって、前記水晶基板の薄膜下方にあたる部分に軸反転に必要な応力を付与し、前記励振部の電気軸と反対方向の電気軸を有する軸反転部を形成することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
- 前記薄膜は、Cr膜、Ni膜またはNiCr膜のいずれかであることを特徴とする請求項1,2または3記載の水晶振動子の製造方法。
- 前記加熱は、不活性雰囲気あるいは真空のいずれかの雰囲気中で行うことを特徴とする請求項1,2,3または4記載の水晶振動子の製造方法。
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