JP3887066B2 - エネルギー分散型半導体x線検出器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、電子顕微鏡と組合せ、電子ビームにより励起されて試料から放出される特性X線を測定するX線マイクロアナライザや、X線励起による蛍光X線分析装置などエネルギー分散型元素分析装置に用いられるエネルギー分散型半導体X線検出器(以下、EDS検出器という)に関し、特に、コントローラによって制御される小型ガス循環式冷凍機によってX線検出素子を冷却するようにしたEDS検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高分解能を必要とするエネルギー分散型元素分析装置に用いられるEDS検出器には、リチウムドリフト型シリコン半導体X線検出器(Si(Li)検出器)が広く使用されてきているが、このSi(Li)検出器においては、Si内部にドリフトされたLiイオンが熱拡散により移動すると、X線検出素子の特性が劣化してしまうため、液体窒素を用いて常時冷却する必要があり、液体窒素を補給しなければならず、日常のメンテナンスとしては煩わしいといった問題がある。
【0003】
これに対して、前記液体窒素に代わるものとして、ジュール・トムソン方式やパルスチューブ方式などの小型ガス循環式冷凍機が開発されている。この小型ガス循環式冷凍機は、十分な冷凍能力を備えるとともに、低温発生部に機械的駆動部を持たず、構造が単純であるところから、きわめて低振動であり、長時間運転に対する高い信頼性を備えており、保守が容易であるといった特長がある。
【0004】
そして、上記小型ガス循環式冷凍機によってX線検出素子を冷却するようにしたEDS検出器においては、EDS検出器とは別に設けられたコントローラによって小型ガス循環式冷凍機の電源をオンにすることによりX線検出素子が冷却されるが、この場合、小型ガス循環式冷凍機によって冷却されるEDS検出器の冷却特性は、EDS検出器の形状により多少異なるところがあるものの、例えば、図4に示すように表され、EDS検出器は、電源投入後約90分で使用(測定)可能状態となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のEDS検出器においては、前記コントローラに設けられた電源スイッチをオンすると、コントローラの前面パネルに設けた電源オンのランプが点灯し、X線検出素子が所定の測定可能温度になったときに測定可能状態を表すランプが点灯するだけであったため、電源オン以降のEDS検出器のX線検出素子の温度状態の下降変化を外部からは把握することができなかった。
【0006】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、電源オン以降のEDS検出器の状態を外部から一目で把握することができるEDS検出器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明では、コントローラによって制御される小型ガス循環式冷凍機によってX線検出素子を冷却するようにしたEDS検出器において、前記コントローラの前面に、前記小型ガス循環式冷凍機の電源スイッチをオン/オフするための冷凍機電源スイッチをオンしたときに点灯するランプと前記X線検出素子の温度の下降状態を表示する複数のランプが設けられ、これら複数のランプは、前記X線検出素子の温度が時間の経過に伴って下降する状態に合わせて上のランプから順次下方向にランプが点灯するように配置され、かつ、前記X線検出素子が所定の温度にまで冷却されたとき点灯して該X線検出素子が所定の測定可能温度状態になったことを表示するランプが前記複数のランプの最下位置に設けられていることを特徴としている。
【0008】
前記X線検出素子の温度の下降状態を表示する複数のランプを、例えば図1に示すように、右下がり状態に配置しているので、X線検出素子16(図3参照)の温度が時間の経過に伴って低下していくにつれて、左上のランプ31aから順次右下方向にランプが点灯し、X線検出素子16の冷却状態に合わせてランプが点灯される。つまり、X線検出素子16の温度が時間の経過とともに下がっていく様子を外部から一目で把握することができる。そして、所定の温度まで冷却されると、「READY」のランプ32が点灯し、X線検出素子16が所定の測定可能温度状態になったことが表示される。この状態以後は、任意に測定を行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1〜図3は、この発明の一つの実施の形態を示している。まず、図2は、この発明のEDS検出器を組み込んだエネルギー分散型元素分析装置の一例を示すもので、この図において、1は例えば走査型の電子顕微鏡で、電源部などを収容した保持ベース2の上面に載置されている。3は電子顕微鏡1の所定の位置にスライド自在に取り付けられるEDS検出器である。
【0010】
前記EDS検出器3の概略構成を図3をも参照しながら説明すると、4はクライオスタットで、L字状の本体部4aとこれに連なる水平な筒状部4bとからなり、その内部が外気と遮断されるとともに真空に保持されている。5はクライオスタット4の本体部4aの内部上端部に設けられる小型ガス循環式冷凍機の一種であるパルスチューブ冷凍機で、その冷凍部本体5aから冷熱部5bがクライオスタット4内部に延設されている。
【0011】
前記パルスチューブ冷凍機5は、図2に示すように、コンプレッサ6で作られた高圧と低圧のヘリウムガスを高圧ヘリウム配管7および低圧配管8を介して圧力変換バルブ9に供給することにより、圧力波を生じさせ、これを防振スタンド10に沿うようにして固定された連結管11および可撓管12を介して冷凍部本体5aに送って冷却を行うもので、十分な冷凍能力を備えるとともに、低温発生部に機械的駆動部を持たず、構造が単純であるところから、きわめて低振動であり、長時間運転に対する高い信頼性を備えており、保守が容易であるといった特長を有するものである。なお、13は可撓管12に着脱自在に取り付けられる防振用の錘である。
【0012】
14はクライオスタット4の本体部4aおよびこれに連設された水平筒状部4bにわたる空間に設けられるコールドフィンガーで、銅など熱伝導性の優れた素材よりなり、例えばL字状に形成されており、その一端側はパルスチューブ冷凍機5の冷熱部5bと熱的に結合されている。
【0013】
15はコールドフィンガー14の先端側にこれと熱的に結合された状態で設けられるX線検出素子部である。16はこのX線検出素子部15の主たる構成部材であるX線検出素子で、その前面には、X線17を透過させるためのX線窓18が形成されている。また、19はX線検出素子16の温度を検出する温度センサである。
【0014】
前記X線検出素子16は、例えば厚さが2〜5mmで、比抵抗が30kΩ・cmといった高純度のn型Siウェハから構成される。このように高純度のSiウェハを用いることにより、Liのドリフトを行わなくても、十分な厚さの真性領域を有する検出素子が得られる。そして、高純度のSiウェハからなるX線検出素子16は、万一、停電などによってパルスチューブ冷凍機5が作動しなくなってこれによる冷却が得られなくなり真空中で高温になっても、特性劣化が生ずることがないから、バッテリなど予備電源を設ける必要がない。
【0015】
なお、上記X線検出素子部15の詳細な構成については、この出願の出願人に係る平成9年3月7日付けの特許出願「エネルギー分散型半導体X線検出器」に詳しく説明されている。
【0016】
そして、前記EDS検出器3は、電子顕微鏡1内の試料ステージ(図示してない)に対して、前記検出素子部15を近づけたり、遠ざかるように、その全体が図3において矢印F(前進方向)またはR(後退方向)で示す方向にスライドするように構成されている。すなわち、図2において、20は電子顕微鏡1方向に延設されたガイドベースで、その内部には、図3に示すように、ガイドロッド21が設けられており、このガイドロッド21にクライオスタット4の底部の被ガイド部22がガイドされるように設けられている。23はクライオスタット4の水平筒状部4bを挿通しこれをガイドするガイド部である。24は駆動用のステッピングモータなどよりなるリニアアクチュエータである。
【0017】
そして、図2において、25はEDS検出器3(X線検出素子16)の冷却およびその前方または後方への移動を制御するコントローラで、保持ベース2の上面に載置されている。図1は、このコントローラ25の前面パネル25aにおける構成を示すもので、26はパワーランプで、コントローラ25の例えば背面パネルに設けられた電源スイッチ(図示してない)をオンすると点灯する。27はパルスチューブ冷凍機5の電源をオン/オフするための冷凍機電源スイッチである。28は冷凍機電源スイッチ27をオンしたとき点灯するランプである。
【0018】
29はチェックランプで、コンプレッサ6のヘリウムガスの圧力が設定値より外れたときに点滅する。30は室温ランプで、X線検出素子16の温度が室温のとき点灯する。31はX線検出素子16の温度の下降状態を表示するランプで、複数のランプ31a〜31dを、X線検出素子16の温度が下降する状態に合わせて点灯するように、右下がり状態に配置してなるもので、これらのランプ31a〜31dの中央を順次結んで得られる曲線は、図4に示した冷却特性カーブを横軸を基準にして折り返したものとほぼ一致している。そして、32は「READY」ランプで、X線検出素子16の温度が低下して、測定可能な温度になったとき点灯するものである。
【0019】
そして、33,34はそれぞれEDS検出器3を前進、後退させるためのスイッチで、これらのスイッチ33または34を押下している間、リニアアクチュエータ24が動作して、EDS検出器3が前進または後退し、その移動状況がランプ35または36に表示される。したがって、前記スイッチ33または34を操作することにより、試料ステージに対する検出素子部15の位置を最適になるように調整することができる。
【0020】
上述のように構成されたEDS検出器3においては、コントローラ25における電源スイッチ(図示してない)をオンすると、パワーランプ26が点灯し、X線検出素子16の温度が室温であると、室温ランプ30が点灯する。そして、冷凍機電源スイッチ27を所定の時間(例えば3秒程度)押し続けると、コンプレッサ6のモータやバルブユニット7のモータがオンになって、コンプレッサ6およびバルブユニット7が所定の動作状態となる。これによって、パルスチューブ冷凍機5が冷却動作を開始し、コールドフィンガー14の先端側に設けられているX線検出部15の温度が下がり、X線検出素子16が冷却される。
【0021】
そして、このときのX線検出素子16の温度は、その近傍に設けられた温度センサ19によって検出され、この検出出力がコントローラ25において信号処理されて、まず、ランプ31aが例えば黄色に点灯し、以下、X線検出素子16の温度が低下するごとにランプ31b,31c,31dと順次黄色に点灯する。そして、X線検出素子16の温度が測定可能な所定の温度にまで冷却されると、「READY」ランプ32も点灯し、EDS検出器3が測定可能な温度状態になったことが表示される。この状態以後は、任意に測定を行うことができる。
【0022】
この場合、「READY」ランプ32を、前記ランプ31a〜31dと異なる色、例えば緑色に点灯するようにしておくと、X線検出素子16の温度が低下途中である状態と、所定の測定可能温度状態になった状態とを明確に区別して表示することができる。
【0023】
上述の説明から理解されるように、上記構成のEDS検出器3においては、X線検出素子16の温度を表示するためのランプ31a〜31d,32を、EDS検出器3を制御するコントローラ25の前面パネル25aにおいて右下がり状態で配置しているので、X線検出素子16の温度が時間の経過に伴って低下していくにつれて、左上のランプ31aから順次右下方向にランプ31b〜31dが点灯し、X線検出素子16の冷却状態に合わせてランプが点灯される。つまり、X線検出素子16の温度が時間の経過とともに下がっていく様子を一目で把握することができる。
【0024】
この発明は、上述の実施の形態に限られるものでなく、種々変形して実施することができる。
【0025】
例えば、パルスチューブ冷凍機5に代えて、ジュール・トムソン方式など他の方式の小型ガス循環式冷凍機を用いてもよい。
【0026】
また、X線検出素子16を従来のSi(Li)素子で構成してもよい。この場合、Si(Li)素子は、室温状態ではクライオスタット4の真空度が低下する(悪くなる)と性能劣化が生ずるので、イオンポンプにより常時排気を行ったり、電子顕微鏡1の排気ポンプ(図示してない)によって定期的に排気する必要がある。
【0027】
【発明の効果】
この発明のEDS検出器においては、コントローラの前面にX線検出素子の温度の下降状態を表示する複数のランプを、X線検出素子の温度が時間の経過に伴って下降する状態に合わせて上のランプから順次下方向にランプが点灯するように配置しているので、電源オン以降のX線検出素子の温度の下降状態の変化を一目で把握することができ、EDS検出器の状態を外部から一目で把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のEDS検出器のコントローラの前面パネルの構成の一例を示す正面図である。
【図2】 前記EDS検出器を組み込んだエネルギー分散型元素分析装置の一例を示す図である。
【図3】 前記EDS検出器の要部の構成を概略的に示す断面図である。
【図4】 EDS検出器の冷却特性を示す図である。
【符号の説明】
3…エネルギー分散型半導体X線検出器、5…小型ガス循環式冷凍機、16…X線検出素子、25…コントローラ、31a〜31d,32…温度状態表示ランプ。
Claims (1)
- コントローラによって制御される小型ガス循環式冷凍機によってX線検出素子を冷却するようにしたエネルギー分散型半導体X線検出器において、前記コントローラの前面に、前記小型ガス循環式冷凍機の電源スイッチをオン/オフするための冷凍機電源スイッチをオンしたときに点灯するランプと前記X線検出素子の温度の下降状態を表示する複数のランプが設けられ、これら複数のランプは、前記X線検出素子の温度が時間の経過に伴って下降する状態に合わせて上のランプから順次下方向にランプが点灯するように配置され、かつ、前記X線検出素子が所定の温度にまで冷却されたとき点灯して該X線検出素子が所定の測定可能温度状態になったことを表示するランプが前記複数のランプの最下位置に設けられていることを特徴とするエネルギー分散型半導体X線検出器。
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