JP3890907B2 - 電動機の駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機の駆動制御装置に関し、特にディジタルサーボ制御を用いて直流電源から可変周波数、可変電圧の交流を出力して複数の交流電動機を駆動する駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルサーボ制御を用いて直流電源から可変周波数、可変電圧の交流を出力して交流電動機を駆動する駆動制御装置は、一般的に電流フィードバック演算手段にマイクロコンピュータ等を用いて離散系の演算処理を行っている。従来の駆動制御装置では電動機を高速回転領域まで制御性よく駆動するため、例えば特開平9−47065号公報に記載されるように、一般的に離散系演算処理の演算周期として100μsec程度の高速な演算処理を適用するとともに、離散化演算による制御無駄時間の影響を補償するなどして遅れ時間を極力小さくしている。更に、複数の電動機を高速回転領域まで制御性よく独立に駆動制御するためには、上記の理由により各々の電動機に対して独立に100μsec程度の高速な電流フィードバック演算を行うことが必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の技術によって複数の電動機を電流フィードバック制御する電流サーボ装置においては、例えば、100μsec程度の演算周期毎に、複数の電動機各々に対する次期指令電圧演算や角度補正演算を行う電流制御演算時間が必要なので演算負荷が極めて重くなる。そのため相応の処理能力を有するマイクロコンピュータ等のディジタル演算器を、複数の電動機各々に対して少なくとも1以上配置する必要があった。一例として複数の3相同期電動機をベクトル電流フィードバックで制御した場合、32bitRISCマイクロコンピュータを用いて演算すると、アセンブラ使用時で約7割程度の演算負荷を占有するため、少なくとも2以上の複数の電動機を1つのマイクロコンピュータで駆動制御すると、当該マイクロコンピュータの電流フィードバック演算が一制御周期内に納まらず、演算が破綻してしまう。そのため、各々の電動機に対してそれぞれ専用のマイクロコンピュータを配する必要があるのでコンピュータ数が増大するという問題があった。このように従来技術による複数の電動機を駆動する駆動制御装置においては、一般的な電動機の駆動用マイクロコンピュータを用いた場合には、駆動装置の小型化や低価格化の阻害要因となっていた。
【0004】
また、複数の電動機の駆動制御装置に対して現有する高速モータ制御マイクロコンピュータを適用し、高々2個の電動機の駆動制御をさせた場合でも、高速回転域まで対応する為に100μsecの演算周期を設定すると、該周期内に電流フィードバック演算の演算時間が間に合わず、演算が破綻してしまうという問題があった。たとえば高性能の32bitRISCマイクロコンピュータを用いた場合でも、1つの電動機あたりの演算負荷が約5割程度あり、2つの電動機を駆動制御した場合には100μsecに納まらなくなり制御不能であった。
【0005】
また、高速回転域での性能及び電流応答特性を制約し、演算周期を延長した上で1つのマイクロコンピュータで複数m個の電動機を駆動制御する場合においても電流取り込み時間の同時性を確保するため、m個の電動機のうちのk番めの電動機に流れる3相電流iu(k)、iv(k)、iw(k)のうちの任意の2相分の電流を同時に取り込む必要がある。そのため制御周期毎のアナログ/ディジタル(以下、A/Dと略記)取り込みタイミングが規定されるとA/D変換器は2×m個の入力を必要とし、A/D入力ポートが不足するという問題があった。
【0006】
本発明は上記ごとき問題を解決するためになされたものであり、本発明の一つの目的は演算負荷を軽減して処理能力の低い演算装置でも複数の電動機を制御できる電動機の駆動制御装置を提供することであり、本発明の他の目的は多くのA/D入力ポートを必要としない電動機の駆動制御装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明においては特許請求の範囲に記載するように構成している。すなわち、請求項1においては、1つのディジタル演算手段(例えばマイクロコンピュータ)を用いて複数m個の電動機の電流フィードバック制御を共通に行う電動機の駆動制御装置において、前記各電動機に流れる電流をフィードバック制御する電流フィードバック制御演算を各電動機毎に異なるタイミングで所定周期で行い、前記電流フィードバック制御演算の演算結果を出力するディジタル出力を各電動機毎に所定周期で行い、前記電流フィードバック制御の演算周期を前記ディジタル出力の出力周期の整数n倍とし、かつ、各電動機についての電流フィードバック制御演算周期と同一時間内に出力されるn個のディジタル出力の各々について、各電動機における現在角の読み込みタイミングから各ディジタル出力までの遅れ時間に相当する補正を行う角度補正演算を、各電動機の電流フィードバック演算周期内にまとめて行うように構成している。
【0008】
また、請求項2においては、請求項1において、前記m個の電動機の各々に対する電流読み込み、次期(次の演算周期)電圧指令演算、ディジタル出力の一連の処理を、互いにずらして実行するように構成している。
【0010】
【発明の効果】
請求項1においては、電流フィードバック演算手段において負荷の重い電流フィードバック演算をPWM等のディジタル出力周期のn倍の長い演算周期で行うことによって演算負荷を大幅に軽減した上で、互いに異なるタイミングで演算させることにより、演算負荷の時間的な分散が可能となる。これにより、より低級な処理能力を有するマイクロコンピュータを用いても、演算が破綻することなく実行可能となるため、マイクロコンピュータの低価格化が可能になる、という効果がある。
さらに、各電動機についての電流フィードバック制御演算周期と同一時間内に出力されるn個のPWM等のディジタル出力の各々について、各電動機における現在角の読み込みタイミングから各ディジタル出力までの遅れ時間に相当する補正を行う角度補正演算を、各々の電動機の電流フィードバック演算周期内にまとめて行うことにより、あたかもPWM等のディジタル出力の出力周期毎に電流フィードバック演算を行っているかの如く滑らかなPWM等ディジタル出力が可能になる、という効果がある。
【0011】
また、請求項2においては、m個の電動機に対する電流取り込み時間を互いにずらして実行することにより、同時に取り込みを行う電流は、k番めの電動機を流れる3相電流iu(k)、iv(k)、iw(k)のうちの任意の2相分の電流のみとなり、同時取り込み可能な2チャネルのA/D入力ポートにより処理が可能となる。これにより、マイクロコンピュータは多チャネルの同時アナログポートを必要とせず、通常のモータ制御マイクロコンピュータが有する2チャネルのみの同時アナログポートのみで処理が可能になる、という効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例の構成を示すブロック図であり、2台の電動機AとBを制御する場合を示す。
図1において、電動機A101は例えば同期電動機であり、PWM化電力変換部A104(例えばインバータ回路)の出力によって駆動される。回転角検出器A102(例えばレゾルバやエンコーダ等)は電動機A101の回転角度を検出し、その結果を現在角θre演算ブロックA111へ送る。電流センサA103はPWM化電力変換部A104から電動機A101のu、v、wの各相に流れる電流を検出する。同様に、電動機B121側においても、回転角検出器B122、電流センサB123、PWM化電力変換部B124、現在角θre演算ブロックB125が、上記と同様に、電動機B121についての検出と各演算を行う。
【0014】
電流制御演算ブロック105は外部から与えられた電流指令値iq*A、id*Aおよびiq*B、id*B(例えばアクセルペダルの開度と回転速度に応じて決定される値)と実際の動作から求められた2相電流iqA、idAおよびiqB、idBとの偏差に基づいて電圧指令値vd’*A、vq’*Aおよびvd’*B、vq’*Bを算出する。非干渉演算ブロック106は干渉項の補正を行って2相電圧指令値vd*A、vq*Aおよびvd*B、vq*Bを算出する。2相→3相変換ブロック107(図では2相→3相を2φ→3φと略記している)は軸変換を行って3相電圧指令値vu*A、vv*A、vw*Aおよびvu*B、vv*B、vw*Bを出力する。その出力でPWM化電力変換部A104およびPWM化電力変換部B124を駆動する。PWM化電力変換部A104およびPWM化電力変換部B124は例えばPWM信号発生部とインバータ回路とからなり、三角波と3相電圧指令値とを比較することによってPWM信号を作成し、それによってインバータ回路を駆動して電動機A101および電動機B121へ必要な電流を供給する。
【0015】
電流値A/D変換部109は電流センサA103および電流センサB123で検出したアナログ電流値をディジタル値に変換する。3相→2相変換ブロック110は軸変換を行って3相の電流値を2相電流iqA、idAおよびiqB、idBに変換し、電流制御演算ブロック105へ送る。現在角θre演算ブロックA111および現在角θre演算ブロックB125は、回転角検出器A102および回転角検出器B122の出力に基づいて上記の軸変換に必要な現在角θreAおよび現在角θreBを算出する。θre補正演算ブロックA112およびθre補正演算ブロックB126は現在角θreAおよび現在角θreBについて制御無駄時間分の進み角補正を行う。また、sin・cos参照ブロック113、114は現在角θreAおよび現在角θreBから軸変換に必要な数値を求め、2相→3相変換ブロック107、3相→2相変換ブロック110へ送る。
なお、上記の各演算、変換ブロックは図面では分けて記載しているが、実際には共通のコンピュータ等で構成できる。また、その演算内容については詳細を後述する。
【0016】
(実施例)
本発明の実施例として、同期電動機に代表される電動機を2台用い、図1の回転角検出器A102および回転角検出器B122としてレゾルバやエンコーダ等を用いて現在角度を読み込むシステム、または誘導電動機に代表される電動機を2台用い、上記と同様の回転角度センサを用いて現在角度を読み込むか若しくは演算手段によって現在角度を算出するシステムにおいて、上記のようにして現在の電動機の回転角度を検出し、電流センサ103および電流センサB123を用いて電動機の相電流値を読み込み、マイクロコンピュータやDSPに代表されるディジタル演算手段を用いて電流フィードバック制御演算処理を行い、得られた制御指令値によってPWM化電力変換部A104およびPWM化電力変換部B124を制御することにより、電動機に電力を供給する駆動制御装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0017】
図2〜図4は本発明の実施例における処理手順を示すフローチャート、図5は本発明の実施例の動作を説明するための波形図、図6は実施例の割り込みタイミング毎の処理内容を示す図表である。なお、図3と図4は▲1▼の部分で接続されている。
本実施例では、図5の320に示す10kHzのPWMタイマ(三角波発生)を2本動作させ、例えばタイマ波形の谷のタイミングで100μsec毎の割り込みが発生するものとする。
【0018】
k演算周期時間内における最初の割り込み(i=0区間内)で電動機A101を流れる3相電流のうちの任意の2相の電流値、例えばiuA、ivAを電流値A/D変換器に取り込み(図5の309)、同時にこの時点での現在角θreAを読み込む(図3のステップ201、202)。
【0019】
次に、該i=0の割り込み周期内に、上記k制御周期内に2回出力されるPWM出力の各々の出力タイミングまでの角度補正演算2回分をまとめて行い(図3のステップ203)、上記3相電流を上記現在角θreAを用いて軸変換を行うことにより2相電流値iqA、idAを算出し(図3のステップ204)、電流指令値iq*A、id*Aとの偏差を用いて電流制御演算(図3のステップ205)および非干渉演算(図3のステップ206)を実行し、得られた電圧指令値vq*A、vd*Aを先に演算しておいた2回の出力タイミングまでの補正後の角度を用いて軸変換したのちに得られた3相電圧指令値vu*A、vv*A、vw*Aを一旦ストアする(図3のステップ207:上記演算時間は図5の310)。
【0020】
なお、上記の非干渉制御とは、電動機を2次磁束に直交するq軸成分と平行するd軸成分とに分離して電流制御を行うベクトル電流制御において、流れる電流とq軸、d軸のインダクタンスおよび回転数の作用により、d軸電流がq軸電圧として、q軸電流がd軸電圧として相互に干渉が生じるものを、予め演算によって差し引いて打ち消す制御をいう。
【0021】
また、k制御周期時間内における第2回目の割り込み(i=1区間内)で電動機B121を流れる3相電流のうちの任意の2相の電流値、例えばiuB、ivBを電流値A/D変換器に取り込み(図5の312)、同時にこの時点での現在角θreBを読み込む(図3のステップ208、209)。
【0022】
次に、該i=0の割り込み周期内に、上記k制御周期内に2回出力されるPWM出力の各々の出力タイミングまでの角度補正演算2回分をまとめて行い(図3のステップ210)、上記3相電流を上記現在角θreBを用いて軸変換を行うことにより2相電流値iqB、idBを算出し(図3のステップ211)、電流指令値iq*B、id*Bとの偏差を用いて電流制御演算(図3のステップ212)および非干渉演算(図3のステップ213)を実行し、得られた電圧指令値vq*B、vd*Bを先に演算しておいた2回の出力タイミングまでの補正後の角度を用いて軸変換したのちに得られた3相電圧指令値vu*B、vv*B、vw*Bを一旦ストアする(図3のステップ214:上記演算時間は図5の313)。
【0023】
一方、図2に示すように、カウンタiおよびjは2個の電動機の制御に対応させるため、それぞれ0から1の値をとりうる整数値で、互いに1周期ずれて1ずつカウントアップされるように設定する。
先のi=0の割り込み周期においては、電動機A101への3相電圧指令値vu*A(0)、vv*A(0)、vw*A(0)および電動機B121への3相電圧指令値vu*B(1)、vv*B(1)、vw*B(1)をロードすることにより(図4のステップ215)、k制御周期内のi=0割り込み周期内に演算された3相電圧指令値vu*A(0)、vv*A(0)、vw*A(0)とk−1制御周期内のi=1割り込み周期内に演算された3相電圧指令値vu*B(1)、vv*B(1)、vw*B(1)を取り込むことになる(図4のステップ216)。
この値をPWMコンペアレジスタなどに書き込む(図5の311)ことにより、次の割り込み周期i=1のタイミングで、PWMタイマと該PWMコンペアレジスタ値とを比較するなどの処理を行い、電動機A101へのPWM出力(図5の315)および電動機B121へのPWM出力(図5の317)を得ることができる。
【0024】
また、i=1の割り込み周期においては、電動機A101への3相電圧指令値vu*A(1)、vv*A(1)、vw*A(1)および電動機B121への3相電圧指令値vu*B(0)、vv*B(0)、vw*B(0)をロードすることにより、k制御周期内のi=0割り込み周期内に演算された3相電圧指令値vu*A(1)、vv*A(1)、vw*A(1)とk制御周期内のi=1割り込み周期内に演算された3相電圧指令値vu*B(0)、vv*B(0)、vw*B(0)を取り込むことになる。
この値をPWMコンペアレジスタなどに書き込む(図5の314)ことにより、次の割り込み周期i=1のタイミングでPWMタイマと該PWMコンベアレジスタ値とを比較するなどの処理を行い、電動機A101へのPWM出力(図5の316)および電動機B121へのPWM出力(図5の318)を得ることができる。
【0025】
上記のように2個の電動機を同時に制御するような場合は、電流演算周期をPWM割り込み周期の2倍に設定し、互いに1割り込み周期ずらせて演算させ、かつ、各々の割り込み周期に出力されるPWM出力タイミングまでの制御無駄時間補正をそれぞれの電動機の制御演算に対して行うことにより、図6に示すような順序の制御が可能となる。その結果、あたかも100μsecの割り込み周期毎にそれぞれの電動機に対して毎回独立に制御演算しているかのように、滑らか、かつ、安定な駆動制御が可能になるとともに、4入力の電流同時取り込みを2入力ずつ分散して取り込み可能となるので、A/D入力ポートが少なくて済み、さらに演算負荷を1/2以下に短縮可能となる。
【0026】
なお、本発明は、例えばシリーズハイブリッド電気自動車における走行用の電動機と発電用の電動機との制御に適用することが出来るが、これに限られるものではない。
また、実施例においては、2台の電動機を制御する場合を例示したが、3台以上の複数でもよい。その場合には、上記と同様に、電動機の数がm台であれば、電流フィードバック演算周期をディジタル出力の出力周期の整数n倍(n≧m)とし、かつ、各々の電動機に対して電流フィードバック演算を互いに重ならないタイミングで行うように構成すればよい。
【0027】
次に、2台の電動機A101とB121の各々における制御の詳細について説明する。
図7〜図10は、一方の電動機における処理手順を示すフローチャート、図11は動作を説明するための波形図である。なお、それぞれの電動機における制御はタイミングが相互にずれているだけで内容は同じであるから、一方についてのみ説明する。
まず、ディジタルサーボ手段の具体的な演算処理の実現手段として、概略の手順を図7および図8に示す。なお、図7と図8は▲1▼、▲2▼の部分で接続される。この際、説明のため一例として電流フィードバック制御の条件を、PWMキャリア周波数10kHz(周期=100μsec)、電流制御周期400μsecとする。なお、本発明においては、PWMキャリア周波数と電流制御周期は、互いに独立に任意に設定可能である。
【0028】
図11の1204に示す10kHzのPWMタイマ(三角波発生)を動作させ、例えばタイマ波形の谷のタイミングで100μsec毎の割り込みが発生するとする。本実施例ではk演算周期の割り込み1205の発生により、まず、現在角θre(k)(図11の1228)を用いて電動機の相電流読み込み値iu(k)、iv(k)をid(k)、iq(k)に軸変換し(図7のステップ1106)、算出された現在の2相電流値と電流指令値をもとに電流制御演算を行い(図7のステップ1107)、必要に応じて非干渉制御(図7のステップ1108)を行った上で、k制御周期目のPWM出力指令値を演算する(図8のステップ1109)。そしてk制御周期目に出力すべき4個のPWMパルスの出力指令値演算を開始する。すなわち、k制御周期目の最初の割り込み1205直後を制御周期カウンタi=0としてiu(k)およびiv(k)を取り込み、A/D変換を行う(図7のステップ1101)。また現在角θre(k)を読み込み(図7のステップ1102)、次にk制御周期に出力する4個のPWMのそれぞれの出力タイミングにおける補正角θ’re(k、j)を一度に演算する(図7のステップ1103)。
【0029】
以下、図7のステップ1103における補正角演算手順(ステップ1104、1105)を、図9に基づいて詳細に説明する。先ず現在角θreを取り込む(図9のステップ1121)。そしてk番目の電流フィードバック演算周期とk番目の演算による4個のPWM出力周期とは、1PWM周期(10kHz時には100μsec)だけ遅れることから、PWM周期のカウンタjは制御周期のカウンタiに1を足してj=i+1とする。これはすなわちk周期目の出力指令値演算は、必ずk周期目の出力が始まる1PWM周期前に演算が完了していることを示す。
【0030】
また、4個各々のPWM出力時間を算出するため、4個のPWM出力タイミングの時間平均値PWMout(k)(図11の1222)から、各PWMパルスの出力タイミングPWMout(k、j)までの遅れ(進み)時間DELTA(k、j)(図11の△τd1〜△τd4に相当)を下記(数1)式で演算する(図9の1122)。
DELTA(k、j)=(10−6/2)(2×j−n−1)×(dθre/dt)…(数1)
さらに上記時間平均値(1222)からの遅れ時間DELTA(k、j)をそれぞれ足しあわせ、かつ演算にかかる1PWM周期100μsecを加えることにより、現在角θreを読み込むタイミングから、k制御周期目の4個のPWM出力それぞれまでの遅れ時間△τd1〜△τd4を求め、この遅れ時間にk制御周期中の平均角速度dθre/dtを掛け合わせ、現在角θreに足しあわせることで、各々のPWM出力時間における補正後の角度θ’re(k、1)(図11の1234)〜θ’re(k、4)(図11の1238)を算出する(図9のステップ1123)。
【0031】
この際、PWM出力タイミングの時間平均値PWMout(k)(図11の1222)から各PWMパルス出力時間までの遅れ(進み)時間は、遅れ方向(正符号)と進み方向(負符号)とが1対となることから、DELTA(k、j)の演算(図9の1122)はどちらか一方のみを行い、対となる時間は角度補正演算(図9のステップ1123)の演算式の符号反転により行い、得られたθ’をもとにsin(θ’)、cos(θ’)をマップ参照により得ることができる(図9のステップ1124)。
上記演算処理により、角度補正演算をj=1〜nまで行うことなく、j=1〜n/2までで完了することができる(図9の1125)。
【0032】
なお、上記の非干渉制御とは、電動機を2次磁束に直交するq軸成分と平行するd軸成分とに分離して電流制御を行うベクトル電流制御において、流れる電流とq軸、d軸のインダクタンスおよび回転数の作用により、d軸電流がq軸電圧として、q軸電流がd軸電圧として相互に干渉が生じるものを、予め演算によって差し引いて打ち消す制御をいう。
【0033】
以下、図8のステップ1109におけるPWM出力指令値の演算について図10に基づいて説明する。
まず、j=1〜4までの4個のPWMパルスそれぞれに、先に演算した補正角θ’を用いて軸変換を行い(図10のステップ1131)、得られたu、v、w各相電圧指令をストアする(図10のステップ1132)。
【0034】
k番目の制御周期における最初の100μsec割り込みjobで、上記のようなk制御周期に出力するPWMパルスの指令電圧値をまとめて演算しておき、それ以降は定期割り込みが発生する度にPWMコンペアレジスタに当該ストアされた指令電圧値を順番に書き込む(図10のステップ1133)。PWMコンペアレジスタに書き込まれた値(図11のrcu(k,1)等)と三角波1204とを比較することにより、PWM信号(図11の1216等)を発生することができる。これにより、400μsec毎に電流フィードバック演算を行っているにも関わらず、あたかも100μsec毎に演算しているかのごとく正確かつ高分解能の出力を得ることができる。
【0035】
電流フィードバック演算周期における電動機の速度変化は一般的には小さいと考えられるので、電流フィードバック演算の1周期と同時間に出力されるn個のディジタル出力のそれぞれの補正量の演算を1電流フィードバック演算周期内でまとめて行うことにより、電流フィードバック演算周期Aとディジタル出力の出力周期Bとを異ならせることができる。それにより高速回転にした場合の制御性を悪化させることなくディジタル演算手段の負荷を低減できる。
【0036】
各々の電動機において上記のごとき制御を行い、前記図2〜図6で説明したように、各々の電動機に対する電流フィードバック演算が互いに重ならないタイミングで行うようにすればよい。すなわち、コンピュータ等のディジタル演算手段における電流フィードバックの演算周期がディジタル出力の出力周期の整数n倍であり、かつ、前記電流フィードバック演算の1演算周期の時間内に出力されるn個のディジタル出力のそれぞれの補正量の演算を、前記電流フィードバック演算の1演算周期内で行なうように構成し、さらに、各々の電動機の電流フィードバック演算周期と同一時間内に出力されるn個のディジタル出力の各々の位相角補正演算を、各々の電動機の電流フィードバック演算周期内にまとめて行うように構成すればよい。
【0037】
本実施例において、例えばn=4、PWMキャリア周波数を10kHz(周期=100μsec)とすると、制御周期が400μsecの電流フィードバック演算を行っているにも関わらず、100μsec毎にPWM波形を指令値に追従させて変化することが可能であり、sin波に近い3相電圧指令値を出力することが可能となる。本性能は、高速回転領域でより顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例における処理手順を示すフローチャートの一部。
【図3】本発明の実施例における処理手順を示すフローチャートの他の一部。
【図4】本発明の実施例における処理手順を示すフローチャートの他の一部。
【図5】本発明の実施例の動作を説明するための波形図。
【図6】実施例の割り込みタイミング毎の処理内容を示す図表。
【図7】各々の電動機における処理手順を示すフローチャートの一部。
【図8】各々の電動機における処理手順を示すフローチャートの他の一部。
【図9】図7のステップ1103における補正角演算内容の詳細を示すフローチャート。
【図10】図8のステップ1109におけるPWM出力指令値の演算内容の詳細を示すフローチャート。
【図11】図7〜図10における動作を説明するための波形図。
【符号の説明】
101…電動機A 102…回転角検出器A
103…電流センサA 104…PWM化電力変換部A
105…電流制御演算ブロック 106…非干渉演算ブロック
107…2相→3相変換ブロック 109…電流値A/D変換部
110…3相→2相変換ブロック 111…現在角θre演算ブロックA
112…θre補正演算ブロックA
113、114…sin・cos参照ブロック
121…電動機B 122…回転角検出器B
123…電流センサB 124…PWM化電力変換部B
125…現在角θre演算ブロックB 126…θre補正演算ブロックB
iq*A、id*A、iq*B、id*B…電流指令値
vd’*A、vq’*A、vd’*B、vq’*B…電圧指令値
vd*A、vq*A、vd*B、vq*B…2相電圧指令値
vu*A、vv*A、vw*A…A側の3相電圧指令値
vu*B、vv*B、vw*B…B側の3相電圧指令値
iqA、idA、iqB、idB…2相電流
θreA、θreB…現在角
Claims (2)
- 1つのディジタル演算手段を用いて複数m個の電動機の電流フィードバック制御を共通に行う電動機の駆動制御装置において、
前記各電動機に流れる電流をフィードバック制御する電流フィードバック制御演算を各電動機毎に異なるタイミングで所定周期で行い、
前記電流フィードバック制御演算の演算結果を出力するディジタル出力を各電動機毎に所定周期で行い、
前記電流フィードバック制御の演算周期を前記ディジタル出力の出力周期の整数n倍とし、
かつ、各電動機についての電流フィードバック制御演算周期と同一時間内に出力されるn個のディジタル出力の各々について、各電動機における現在角の読み込みタイミングから各ディジタル出力までの遅れ時間に相当する補正を行う角度補正演算を、各電動機の電流フィードバック演算周期内にまとめて行うように構成したことを特徴とする電動機の駆動制御装置。 - m個の電動機の各々に対する電流読み込み、次期電圧指令演算、ディジタル出力の一連の処理を、互いにずらして実行するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の電動機の駆動制御装置。
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