JP3894482B2 - 乗員保護装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の衝突時や転倒時等において、乗員を保護する乗員保護装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両が側面衝突や転倒(ロールオーバ)した際に乗員を保護する装置として、例えば車両の車室内の側面にエアバッグを展開させることにより乗員の頭部を保護する乗員保護装置が挙げられる。この乗員保護装置は、通常時にはエアバッグが折り畳まれた状態として車両のドア開口部の上方に収装されており、車両の衝突時等には、インフレータからのガスの供給によりエアバッグが下方に向けて膨張展開する。
【0003】
この種の乗員保護装置は、折り畳まれたエアバッグがドア開口部に沿って長尺状となるように配設されるため、車体に取り付ける際にはエアバッグの捩れに留意する必要がある。この捩れの問題に関し、エアバッグに巻きつけたテープ材にマーキングを施したり、或いはエアバッグ自体を色分けし、作業者がこれらマーキングや色を目安とすることで、エアバッグの取り付け作業を容易とする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第3113977号公報(第5頁及び第6頁、図8)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
折り畳まれて長尺状となっているエアバッグは、細長く且つ撓みやすい形状であることから、特に車体に取り付ける前の品質管理が困難となりやすい。この問題に対して、エアバッグをその長手方向に関して間隔的に保護用の布状部材で覆うことが考えられ、特に車体への取り付け用のブラケットと接触する部位にはエアバッグの摺れの問題からも、この布状部材で覆うことが好ましい。しかしながら、エアバッグをこの布状部材で覆った場合、エアバッグ側に施してある前記マーキング等がその部位だけ隠れてしまい、その分、エアバッグの取り付け作業の効率が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は以上のような問題を解決するために創作されたものであり、エアバッグをその長手方向に布状部材などで局所的に覆った場合において、エアバッグの捩れを防止でき、且つ容易な取り付けが可能となる乗員保護装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、車両のドア開口部の上方においてエアバッグが折り畳まれた状態で配設され、ガス流入時に前記エアバッグを下方に向けて膨張展開させて乗員を保護する乗員保護装置であって、エアバッグが折り畳まれた状態として形成されるエアバッグ本体モジュールに、エアバッグの捩れを判別可能とするマーキングを設け、且つ、前記エアバッグ本体モジュールを長手方向に関して局所的に覆う覆い部材に、エアバッグの捩れを判別可能とするマーキングを設ける構成とした。当該構成のように、エアバッグ本体モジュールと共に覆い部材にもエアバッグの捩れを判別可能となるマーキングを設けることで、長尺のエアバッグ本体モジュール全体における捩れ状態の目視性が低下することなく、車体に対する良好なエアバッグの取り付けが可能となる。
【0008】
また、前記覆い部材として、前記エアバッグ本体モジュールを保護する布状のプロテクタクロスから構成すれば、エアバッグ本体モジュールと、取り付け用のブラケットや車体との直接的な接触が無くなるため、両者同士の摺れの問題も解消され、エアバッグ本体モジュールの保護が図れる。
【0009】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は乗員保護装置の取り付け状態を示すレイアウト図、図2はピラーにおける車体の断面図、図3は車体に取り付ける前の状態を示す乗員保護装置の構成図である。なお、図2は便宜のためフロントピラー、センターピラー、リアピラーにおけるこれらピラーの断面及び各ピラーにおけるピラーガーニッシュの断面を一図で表したものである。
【0010】
図1及び図2において、車体1の側面におけるドア開口部2の上方にはルーフサイドレール3が区画形成され、ルーフサイドレール3内に乗員保護装置4が配置されている。図1に示した車両はいわゆる4ドアタイプの車両であり、ドア開口部2はセンターピラー7によって前後に区画された態様となる。
【0011】
前記ルーフサイドレール3は、図2に示すように、車体1のルーフ5の内面5aと、車体1のフロントピラー6、センターピラー7、リアピラー8の内側に配置されている各インナーパネル9,10,11の内面9a、10a、11aと、フロントピラー6、センターピラー7、リアピラー8の各内側に配置されているフロントピラーガーニッシュ12,センターピラーガーニッシュ13,リアピラーガーニッシュ14の外面12a,13a,14aと、ルーフガーニッシュ15の外面15aとにより区画された空間として形成され、図1に示すように、車体1の前後方向に沿ってフロントピラー6からリヤーピラー8に跨って延設されている。車体1のルーフ5と車体下部の車体フレーム16とは、センターピラー7及びインナーパネル10(図2)を介して互いに連結されていて、これによりルーフ5は、フロントピラー6、センターピラー7、リアピラー8、及びインナーパネル9,10,11(図2)に支持される。
【0012】
図1や図3に示すように、乗員保護装置4は、エアバッグ17と、膨張用のガスをエアバッグ17に供給するインフレータ18とを備えた構成からなる。インフレータ18は、ガス貯蔵型、火薬型等の公知のガス発生手段を有しており、パイプ19及びアダプタ20を介してエアバッグ17に連結される。
【0013】
図1及び図2に示すように、エアバッグ17は、折り畳まれた状態として前端から後端まで、長尺の筒袋状を呈した不織布製のカバー21によって被覆されている。このカバー21により折り畳まれた状態で形成されるエアバッグ17をエアバッグ本体モジュールAMというものとすると(この場合、カバー21もエアバッグ本体モジュールAMに含まれる)、図3に示すように、エアバッグ本体モジュールAMにはその長手方向に関し、間隔的に複数のブラケット22〜26が取り付けられている。
【0014】
各ブラケット22〜26は、それぞれインナーバネル9,10,11(図2)の被取付け部の形状に対応して形成されている。ブラケット22〜26に対するエアバッグ本体モジュールAMの固定態様について、ブラケット24を例にして図2を参照して説明すると、ブラケット24は、断面略ハット形に形成されており、センターピラー7の上部において、車幅方向内側のインナーパネル10とルーフガーニッシュ15との間に位置してインナーパネル10に取り付けられる。
【0015】
ブラケット24はインナーパネル10に取り付けられた際、その上方部において、断面略コ字形状に屈曲形成されて車両室内側に向けて開口した収納空間部24aを構成し、エアバッグ本体モジュールAMはこの収納空間部24aに収納される態様となっている。また、ブラケット24の上端には上方に向けてエアバッグ固定部24bが延設されている。エアバッグ本体モジュールAMは収納空間部24aに収納された部位において、そのカバー21の上部に切れ込み21aが形成されており、エアバッグ17においてリップ状に形成された被取り付け部17aがこの切れ込み21aから上方に引き出され、前記エアバッグ固定部24bに、リベット30等により固定される。
【0016】
なお、他のブラケット22,23,25,26に関する説明は省略するが、いずれの場合も、前記したリップ状に形成された被取り付け部17aが、カバー21の切れ込み21aから上方に引き出されて各ブラケット22,23,25,26にリベット30等により固定される構成は同一である。
【0017】
エアバッグ本体モジュールAMは、図3に示すように、以上のブラケット22〜26やインフレータ18、リテーナ31等が取り付けられたユニットとして車体側に取り付けられる。具体的には、各ブラケット22〜26にはボルト取り付け用孔35が形成されており、エアバッグ本体モジュールAMは、ブラケット22〜26を介し、ボルト29(図2)により各インナーパネル9,10,11に締結固定される。また、図1に示すように、インフレータ18はリテーナ31を介してリアピラー8に固定される。このように、エアバッグ本体モジュールAM(エアバッグ17)の取り付けに関し、ブラケット22〜26を介して車体側に取り付ける構成とすることで、エアバッグ17の取り付け作業が容易に且つ迅速に行えることとなる。
【0018】
そして、図2に示すように、ルーフガーニッシュ15の下端に形成した係合縁15bを、フロントピラーガーニッシュ12,センターピラーガーニッシュ13,リアピラーガーニッシュ14の各上端に形成した係合溝12b,13b,14bに嵌め込むことで、エアバッグ本体モジュールAM(乗員保護装置4)は室内側から隠れた状態となる。
【0019】
車両の側面衝突時や転倒時等には、図1に示すインフレータ18に着火電流が流れ、インフレータ18内のガス発生材等が着火してガスが発生し、折り畳まれたエアバッグ17内に供給される。図2において、エアバッグ17は脆弱部(図示せず)を有するカバー21を破断して膨張し、ルーフガーニッシュ15の側面部を押圧することで、係合縁15bが各係合溝12b,13b,14bから外れ、仮想線で示すように、エアバッグ17が室内側の下方に向けて膨張展開する。
【0020】
図4はエアバッグ17が展開した状態を示す側面説明図であり、エアバッグ17の展開完了時には、フロントピラー6からリアピラー8に至るまで、側部ドアのウインドガラスに沿って膨張展開する。なお、図に示したエアバッグ17は、展開に必要なガス量の低減及び展開完了時間の短縮化のために、ガスが供給されて膨らむ膨張部17bと、ガスが供給されずに膨らまない非膨張部17cとを有した構成であるが、エアバッグ17の全体が膨張する態様にしても良い。
【0021】
さて本発明は、図3に示すように、前記エアバッグ本体モジュールAMに、エアバッグ17の捩れを判別可能とするマーキング27を設け、且つ、エアバッグ本体モジュールAMを長手方向に関して局所的に覆う覆い部材32にも、エアバッグ17の捩れを判別可能とするマーキング28を設けることを主な特徴とする。
【0022】
本実施形態では、覆い部材32として、エアバッグ本体モジュールAMを保護する布状のプロテクタクロス33から構成している。プロテクタクロス33は、各ブラケット22〜26に取り付けられたエアバッグ本体モジュールAMの周囲部を保護するべく設けられ、図2に示すようにブラケット24の場合には、収納空間部24a内において、カバー21を被覆するように配設され、その上端部は、前記したリベット30により、エアバッグ17の被取り付け部17aと共にエアバッグ固定部24bに固定される。
【0023】
このプロテクタクロス33の介在により、破断しやすい材質からなるカバー21(エアバッグ本体モジュールAM)と各ブラケット22〜26(図3等)との直接的な接触が無くなるので、各ブラケット22〜26に対する摺れの問題も解消され、エアバッグ本体モジュールAMの保護が図れる。なお、エアバッグ本体モジュールAMは、プロテクタクロス33によって覆われた後、図3に示すように、テープ材34により各ブラケット22〜26に支持される。勿論、このテープ材34は、エアバッグ17の膨張時に容易に破断する材質或いは形状から構成される。また、プロテクタクロス33はエアバッグ17の膨張に伴って開くようにエアバッグ本体モジュールAMを覆っており、エアバッグ17の膨張動作を妨げるものではない。
【0024】
図5に示すように、エアバッグ本体モジュールAM側において、前記したマーキング27がカバー21の長手方向に沿って一条のラインL1(例えば、カバー21の色が白である場合、このラインL1を別色の黒として構成する)として形成されている場合、作業者はこのラインL1が室内側に対向するように、エアバッグ本体モジュールAMの位置を微調整しつつ、各ブラケット22〜26(図3)を車体に取り付ける。
【0025】
このとき前記プロテクタクロス33が介在する箇所はラインL1が隠れてしまうため作業者は直接目視できず、スムースな取り付け作業が行えないおそれがある。つまり、テープ材34と異なり、プロテクタクロス33はエアバッグ本体モジュールAMの長手方向に関する幅寸法が大きいため、このプロテクタクロス33に隠れたラインL1が正常な状態で直線状に延びているのか、或いは捩れた状態であるのか、作業者が判別しづらいことになる。
【0026】
そこで、図5や図7に示すように、プロテクタクロス33においてもマーキング28を設けておくことで、作業者は前記マーキング27(ラインL1)と共にこのマーキング28を目安としてエアバッグ本体モジュールAMの捩れ状態を容易に判別でき、ブラケット22〜26(図3)を介してエアバッグ本体モジュールAMをスムースに取り付けることができる。マーキング28としては、ラインL1と同一線状となるようにラインL2を形成する構成の他、図6に示すように、ラインL1の延長線上にドットDとして構成しても良い。
【0027】
以上の態様の他にも、エアバッグ本体モジュールAM側のマーキング27と、覆い部材32側のマーキング28は、共にエアバッグ17の捩れを判別できるものであれば、色分けした構成やスリットなどを設ける構成とすることも可能である。
【0028】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、各構成要素のレイアウトや形状、個数等は、図面に記載したものに限定されず、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、エアバッグ本体モジュールを長手方向に関して局所的に覆う覆い部材を設けた場合、エアバッグ本体モジュールと共に覆い部材にもエアバッグの捩れを判別可能とするマーキングを設けることにより、エアバッグ本体モジュールの全長にわたる捩れ状態の目視性が低下することなく、良好なエアバッグの取り付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗員保護装置の取り付け状態を示すレイアウト図である。
【図2】ピラーにおける車体の断面図である。
【図3】車体に取り付ける前の状態を示す乗員保護装置の構成図である。
【図4】エアバッグが展開した状態を示す側面説明図である。
【図5】エアバッグ本体モジュール及び覆い部材の各マーキングを示す側面説明図である。
【図6】エアバッグ本体モジュール及び覆い部材の各マーキングに関する他の実施例を示す側面説明図である。
【図7】エアバッグ本体モジュール及び覆い部材の各マーキングを示す部分斜視図である。
【符号の説明】
AM エアバッグ本体モジュール
1 車体
2 ドア開口部
3 アーム部材
4 乗員保護装置
17 エアバッグ
21 カバー
27 マーキング(エアバッグ本体モジュール側)
28 マーキング(覆い部材側)
32 覆い部材
33 プロテクタクロス
Claims (2)
- 車両のドア開口部の上方においてエアバッグが折り畳まれた状態で配設され、ガス流入時に前記エアバッグを下方に向けて膨張展開させて乗員を保護する乗員保護装置であって、
エアバッグが折り畳まれた状態として形成されるエアバッグ本体モジュールに、エアバッグの捩れを判別可能とするマーキングを設け、
且つ、前記エアバッグ本体モジュールを長手方向に関して局所的に覆う覆い部材に、エアバッグの捩れを判別可能とするマーキングを設けることを特徴とする乗員保護装置。 - 前記覆い部材は、前記エアバッグ本体モジュールを保護する布状のプロテクタクロスからなる請求項1に記載の乗員保護装置。
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