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JP3894875B2 - 補聴装置 - Google Patents
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JP3894875B2 - 補聴装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペクトラムサブトラクション処理のアルゴリズムと指向性処理のアルゴリズムを用いた補聴装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に聴覚障害者は健聴者よりもSN比の悪い環境下での聞き取りが悪いと言われている。また、聞こえを補償する補聴器を装用した場合でも、騒音と音声を区別せずにそのまま増幅してしまうため、騒音下ではさらに聞き取りが悪くなり快適に装用できないことが問題となっている。
そこで、補聴器の高音域の音響利得を上げることにより音声を増幅・強調すると共に、低音域の音響利得を下げることにより空調や自動車などの騒音をあまり増幅しないようにするなどして対応してきたが、補聴器装用者に十分な満足感を提供できていないのが実状である。
【0003】
それを解決する手段として、近年のDSP(digital signal processor)の発展に伴い、所望の音声と不要な騒音が混ざっている音から騒音成分を取り除くためのスペクトラムサブトラクション処理に代表されるノイズリダクションの手法や、正面以外からの音のレベルを低減させてSN比を向上させる指向性処理などが補聴器に用いられるようになってきた。
【0004】
例えば、スペクトラムサブトラクション処理は、音声と雑音が混入した信号から雑音のみのスペクトルを何らかの方法で算出し、その雑音スペクトルを入力信号から減算することによってSN比を改善し、補聴器装用者に快適性、明瞭性の面で寄与できる。また、この方法は雑音のスペクトルを減算することから、特に定常雑音の低減に効果的である(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
一方、指向性処理は、正面方向以外から到来した音のレベルを無条件に減衰させることによりSN比を改善させる方法で、指向性マイクロホン又は複数の無指向性マイクロホンを使用して行われている。
指向性マイクロホンを使用する方法は、マイクロホン自体に指向性を持たせたもので、正面方向のマイクロホン感度をそのままにして、正面方向以外の感度を低くくし、SN比を改善する手法である。複数のマイクロホンを使用する方法は、例えば2つのマイクロホンを用いた場合では、両マイクロホン間に入力された信号の時間のずれを補正して足し合わせることにより、正面方向に指向性を持たせ正面の音を強調する手法等が考えられている。
【0006】
これらの手法は正面以外の音のレベルを無条件に低減するため、スペクトラムサブトラクション処理で低減できないような突発音や変動の大きな騒音などのいわゆる非定常騒音でのSN比改善に効果が期待できる(例えば、非特許文献2参照)。
【0007】
【非特許文献1】
S.F. Bo : Suppression of acoustic noise in speech using spectral subtraction, IEEE Trans., ASSP, Vol.27, No.2, pp.113-120(1979)
【非特許文献2】
T. Richetts et al.: Making sense of Directional Microphone Hearing Aid, American Journal of Audiology, Vol.8, pp.117-127(1999)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
スペクトラムサブトラクション処理においては、定常雑音のスペクトルを検出するまでの時間(アタックタイム)が長い場合があり、突発音やレベル変動が大きい非定常騒音下での効果がなくなるという欠点がある。また、指向性処理においては、指向性処理を行うと死角ができるためにその方向からの音が極端に小さくなってしまい、例えばその方向から呼ばれたとしたら聞き取れない場合がある。
従来の補聴器においては、SN比を改善するためにスペクトラムサブトラクション処理と指向性処理が、その時々の周囲の音環境には無関係に、常時それぞれ独立または同時に行われているため、音環境によってはその効果が低減したり、かえって聞き難くなってしまう場合があった。
【0009】
本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用環境(音環境)に応じてスペクトラムサブトラクション処理のアルゴリズムと指向性処理のアルゴリズムを切り替えるまたは同時に行うことが可能な補聴装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく請求項1に係る発明は、複数のマイクロホンを備えて外部音に応じた電気信号を出力する外部音検出手段と、この外部音検出手段の出力信号から前記外部音が含む騒音に起因する出現頻度数分布の尖度を算出し、この尖度と予め設定した閾値を比較し、その大小関係に基づいて補聴処理のアルゴリズムとしてスペクトラムサブトラクション処理又は指向性処理を決定する環境騒音分析手段と、この環境騒音分析手段で決定された補聴処理のアルゴリズムに基づいて前記外部音検出手段の出力信号を処理する信号処理手段と、この信号処理手段の出力信号を音響信号に変換する音響出力手段を備え、前記尖度が前記閾値と比較して高い場合には、補聴処理のアルゴリズムとして前記スペクトラムサブトラクション処理を選択し、前記尖度が前記閾値と比較して低い場合には、補聴処理のアルゴリズムとして前記指向性処理を選択するものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、複数のマイクロホンを備えて外部音に応じた電気信号を出力する外部音検出手段と、この外部音検出手段の出力信号から前記外部音が含む騒音に起因する出現頻度数分布の尖度を算出すると共に前記出現頻度数分布の最頻度を算出し、前記尖度と予め設定した第1の閾値を比較しその大小関係、及び前記最頻度と予め設定した第2の閾値を比較しその大小関係に基づいて、補聴処理のアルゴリズムとしてスペクトラムサブトラクション処理及び指向性処理を決定する環境騒音分析手段と、この環境騒音分析手段で決定された補聴処理のアルゴリズムに基づいて前記外部音検出手段の出力信号を処理する信号処理手段と、この信号処理手段の出力信号を音響信号に変換する音響出力手段を備え、前記尖度が第1の閾値と比較して高く、前記最頻度が第2の閾値と比較して高い場合には、補聴処理のアルゴリズムとして前記指向性処理を選択してSN比を多少改善させた後に前記スペクトラムサブトラクション処理を選択するものである
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る補聴装置のブロック構成図、図2はフレーム分割処理に関する説明図、図3は本発明に係る補聴装置の動作を示すフローチャート、図4乃至図6は補聴装置の動作の説明に供する度数分布図、図7は補聴装置の他の実施の形態の説明に供する度数分布図である。
【0018】
本発明に係る補聴装置は、図1に示すように、外部音を取り込んで外部音に基づくデジタルデータを出力する外部音検出手段1と、外部音検出手段1が出力するデジタルデータから補聴処理のアルゴリズムを決定する環境騒音分析手段2と、環境騒音分析手段2で決定された補聴処理のアルゴリズム(スペクトラムサブトラクション処理及び/又は指向性処理)を選択して外部音検出手段1が出力するデジタルデータを処理する信号処理手段3と、信号処理手段3が出力するデジタルデータを所望なレベルのアナログ音響信号に変換する音響出力手段4からなる。
【0019】
外部音検出手段1は、外部音を検出して電気信号に変換する2つのマイクロホン1a,1bと、これらのマイクロホン1a,1bの出力電圧をデジタル信号に変換するA/D変換器1c,1dと、A/D変換器1c,1d出力するデジタルデータを順次記憶するフレームメモリ1e,1fからなる。ここで、一方のマイクロホン1aは無指向性マイクロホンであり、他方のマイクロホン1bは無指向性マイクロホン又は指向性マイクロホンである。
【0020】
フレームメモリ1e,1fは、図2に示すように、最初の時間フレームF0に属するデジタルデータ列の記憶が完了し終わると、最初の時間フレームF0のデジタルデータ列を、次の時間フレームF1に属するデジタルデータ列に順次書き換え、以後これを繰り返す。
【0021】
環境騒音分析手段2は、平均実効レベル算出部2aと、平均実効レベルメモリ2bと、出現頻度数分布図算出部2cと、ピーク位置検出部2dと、定常度算出部2eと、アルゴリズム決定部2fからなる。
【0022】
平均実効レベル算出部2aは、フレームメモリ1eが出力する単位時間フレームに属するデジタルデータ列の記憶が完了した時点で、単位時間フレームに属するデジタルデータ列からこの単位時間フレームの平均実効レベルを算出する。平均実効レベルメモリ2bは、平均実効レベル算出部2aが出力する単位時間フレームの平均実効レベルpをその都度記憶する。
【0023】
出現頻度数分布図算出部2cは、平均実効レベル算出部2aが順次算出する時間フレームの平均実効レベルpに対応する時間フレームの数(度数)を表す度数分布図を作成する。ピーク位置検出部2dは、出現頻度数分布図算出部2cが作成した度数分布図において、平均実効レベルの小さい領域に現れる分布の最頻値LL(ノイズの音圧レベルLL)を検出する。
【0024】
定常度算出部2eは、ピーク位置検出部2dで検出された最頻値を中心として所定範囲内の度数分布の尖度Kw(定常度)を算出する。ここで、尖度Kwとは分布のとがり具合を表す。アルゴリズム決定部2fは、ピーク位置検出部2dが出力する最頻値LLと、定常度算出部2eが出力する定常度、即ち尖度Kwから使用する補聴処理のアルゴリズムを決定する。
【0025】
信号処理手段3は、アルゴリズム選択部3aと、非線形信号処理部3bと、予め用意した入出力特性テーブル3cからなる。
アルゴリズム選択部3aは、環境騒音分析手段2によって決定された補聴処理のアルゴリズム(指向性処理及び/又はスペクトラムサブトラクション処理)を選択し、選択したアルゴリズムに基づいて外部音検出手段1で検出された外部音のデジタルデータを処理する。
【0026】
非線形信号処理部3bは、平均実効レベルメモリ2bから得られる単位時間フレームの平均実効レベルpから、入出力特性テーブル3cを参照して、単位時間フレームの利得f(p)を算出し、アルゴリズム選択部3aで指向性処理及び/又はスペクトラムサブトラクション処理を行った後のデジタルデータに利得f(p)を乗じて、音響出力手段4に出力する。
【0027】
音響出力手段4は、D/A変換器4aと、D/A変換器4aの出力信号を所定の利得で増幅する増幅器4bと、増幅器4bの出力信号を電気音響変換するイヤホン4cからなり、処理された外部音を音響信号として出力する。
【0028】
以上のように構成した本発明に係る補聴装置の動作について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
先ず、ステップSP1において、平均実効レベルメモリ2bとフレームメモリ1e,1fの初期設定を行う。
【0029】
次いで、ステップSP2において、出現頻度数分布図を作成するのに必要な予め定めた総時間フレーム数(総度数=Z)をカウンタ(Z)にセットし、平均実効レベルpを算出するのに必要な予め定めた単位時間フレーム内のサンプル数(総数Zf)をカウンタ(Zf)にセットする。
【0030】
ステップSP3では、出現頻度数分布図を作成する時間フレーム数を計数するためのカウンタ(a)をリセット(a=0)する。更に、ステップSP4では、単位時間フレーム内のサンプル数を計数するためのカウンタ(b)をリセット(b=0)する。
【0031】
次いで、ステップSP5において、マイクロホン1aからのマイクロホン信号をA/D変換器1cによって所定のサンプリング周波数にてA/D変換してデジタルデータX'bを得る。
【0032】
ステップSP6では、ステップSP5において得られたデジタルデータX’bをXb=X’bとしてフレームメモリ1eに格納する。そして、ステップSP7では、補聴処理のアルゴリズムフラグを参照し、アルゴリズムフラグが「1」以上(「1」または「2」)であるかどうかを判断する。なお、アルゴリズムフラグの初期値は「0」、「1」または「2」でも良い。また、初期値が決まるまでは出力を出さないようにしてもよい。
【0033】
アルゴリズムフラグが「1」以上(「1」または「2」)であるならば、ステップSP8にて、デジタルデータX’bに対して指向性処理のアルゴリズムを実行し、Xcを得る。一方、アルゴリズムフラグが「1」以上ではない(「0」)ならば、更にステップSP9にて、アルゴリズムフラグが「1」以下(「0」または「1」)であるかどうかを判断する。
【0034】
アルゴリズムフラグが「1」以下(「0」または「1」)であるならば、ステップSP10にて、デジタルデータX’bに対してスペクトラムサブトラクション処理のアルゴリズムを実行し、Xcを得る。一方、アルゴリズムフラグが「1」以下(「0」または「1」)でないならば、ステップSP11へ進む。
【0035】
従って、アルゴリズムフラグが「0」の場合には、スペクトラムサブトラクション処理のアルゴリズムのみを実行し、アルゴリズムフラグが「2」の場合には、指向性処理のアルゴリズムのみを実行し、アルゴリズムフラグが「1」の場合には、指向性処理のアルゴリズムとスペクトラムサブトラクション処理のアルゴリズムの両方を実行することになる。
【0036】
指向性処理のアルゴリズムを実行する場合には、マイクロホン1bが指向性マイクロホンであれば、マイクロホン1bの出力信号だけで信号処理を行うが、マイクロホン1bが無指向性マイクロホンであれば、マイクロホン1bの出力信号と無指向性マイクロホンであるマイクロホン1aの出力信号を用いて信号処理を行う。一方、スペクトラムサブトラクション処理のアルゴリズムを実行する場合には、無指向性マイクロホンであるマイクロホン1aの出力信号だけで信号処理を行う。
【0037】
次いで、ステップSP11において、平均実効レベルメモリ2bに格納されている平均実効レベルpを読み出し、ステップSP12において、入出力特性テーブル3cから利得f(p)を参照する。
【0038】
そして、ステップSP13において、非線形信号処理部3bは指向性処理及び/又はスペクトラムサブトラクション処理のアルゴリズムを実行したデジタルデータXcに利得f(p)を乗じて、出力値R=Xc×f(p)を生成する。
【0039】
ステップSP14では、非線形信号処理部3bは生成した出力値Rを音響出力手段4のD/A変換器4aに出力する。D/A変換器4aの出力は、増幅器4bで増幅された後にイヤホン4cによって電気音響変換され補聴器装用者の外耳道内に音響信号として出力される。
次いで、ステップSP15において、フレーム長内のサンプル数を計数するためのカウンタ(b)をインクリメント(+1)する。
【0040】
ステップSP16では、カウンタ(b)の値とカウンタ(Zf)の値を比較し、b≧Zfになったか否かの判定を行う。b<Zfの場合には、未だ、単位時間フレーム当たりのデジタルデータ列に達していないので、ステップSP5に戻り、デジタルデータを蓄積する。一方、b≧Zfの場合には、単位フレーム当たりのデジタルデータ列がすべて(x0,x1,x2,……,xZf-1)得られたので、ステップSP17に進む。
【0041】
ステップSP17では、平均実効レベル算出部2aが単位時間フレームに属するデジタルデータ列(x0,x1,x2,……,xZf-1)からこの単位時間フレームの平均実効レベルpを算出する。平均実効レベルpの算出は、次式で行われる。次式において、nは、単位フレームに属するデジタルデータ列の数である。
【0042】
p={(x0 2+x1 2+x2 2……xZf-1 2)/n}1/2
【0043】
次いで、ステップSP18に進み、ステップSP17で得られた単位時間フレームの平均実効レベルpを平均実効レベルメモリ2bに記憶する。
ステップSP19では、横軸に平均実効レベルp、縦軸に平均実効レベルpを有する時間フレームの頻度数とする度数分布図を作成するために、ステップSP17で算出された平均実効レベルpに対応するカウンタを設けて、平均実効レベルpが算出される毎に対応するカウンタをインクリメントし、平均実効レベルpを有する時間フレームの数を計数する。
【0044】
次いで、ステップSP20において、カウンタ(a)をインクリメント(+1)する。そして、ステップSP21において、カウンタ(a)の値と予め定めた総度数Zの値を比較し、a≧Zになったか否かを判定する。a≧Zの場合には、予め定めた総度数分(Z個)の度数分布図が得られたので、ステップSP22に進む。一方、a<Zの場合には、完全な度数分布図が得られていないので、ステップSP4に戻り、カウンタ(b)をb=0とした後、所定のループを繰り返す。
【0045】
a≧Zの条件下で得られる度数分布図は、例えば図4と図5に示すものである。ここで、図4は定常度が低い騒音の中に会話音声が含まれる場合の度数分布図の例であり、図5は定常度が高い騒音の中に会話音声が含まれる場合の度数分布の例である。図4と図5はいずれも、平均実効レベルの低い領域に環境騒音に起因する分布Aが現れ、平均実効レベルの高い領域に音声に起因する分布Bが現れている。
【0046】
一般に、騒音中において、会話者は、会話音が騒音でマスキングされるのを回避するために、騒音レベルより高いレベルで会話するから、平均実効レベルの低い領域に環境騒音に起因する分布Aが現れ、平均実効レベルの高い領域に音声に起因する分布Bが現れる。
【0047】
図6は騒音の分布と会話音声の分布が接近し、騒音の分布と会話音声の分布との境界が不鮮明な場合の度数分布を示している。騒音の分布の右側(平均実効レベルの高い領域の部分)に会話音声の分布の一部が含まれるため、正しい定常度の算出が困難になる。これを回避するために、図6に示す度数分布図において、騒音の分布の最頻値から見て、平均実効レベルの低い領域の部分の分布図形状を高い領域に向けて折り返し、図7に示す左右対称となる分布図形を作成し直してから、ステップSP19を実行してもよい。
【0048】
また、図5における騒音に起因する分布Aの方が、図4における騒音に起因する分布Aに比べて、分布が鋭い。これは、発明が解決する課題の欄で説明したように、図4における騒音の方が、図5における騒音に比べて、種々雑多な音響成分を含んでいることによる。
【0049】
次いで、ステップSP22において、ピーク位置検出部2dが出現頻度数分布図算出部2cによって得られた度数分布から平均実効レベルの最も低い領域に現れる度数分布、すなわち、騒音に起因する度数分布の最頻値(図4、図5におけるLL)を検出する。最頻値LLは、値が大きいほどノイズレベルが高く、値が小さいほどノイズレベルが低い。
【0050】
ステップSP23では、定常度算出部2eがピーク位置検出部2dで検出された図4に示す分布Aの最頻値を中心とした所定の範囲内のデータに基づいて尖度Kwを算出する。尖度Kwは以下の式で定義される。但し、nは所定の範囲内での総度数、Zi(i=1,2,……,n)は各時間フレームの平均実効レベル、ZaveはZiの平均値、Vは分散である。
【0051】
Kw=Σ(Zi−Zave)4/(nV2)−3
【0052】
この式から求められる尖度Kwの値を定常度を表わす尺度とする。また、尖度Kwの値が大きいほど定常度が高く、尖度Kwの値が小さいほど定常度が低い。
【0053】
次いで、ステップSP24において、アルゴリズム決定部2fがピーク位置検出部2dで検出された最頻値LLと、定常度算出部2eから出力された環境騒音の定常度とある閾値と比較し、ノイズレベルが低く定常度が高い場合はスペクトラムサブトラクション処理のアルゴリズム、ノイズレベルと定常度が低い場合は指向性処理のアルゴリズム、定常度に関係なくノイズレベルが高い場合は両方のアルゴリズムとする決定を行う。
【0054】
ステップSP25では、アルゴリズムが指向性処理ならばアルゴリズムフラグを「2」とし、アルゴリズムがスペクトラムサブトラクション処理ならばアルゴリズムフラグを「0」とし、アルゴリズムが指向性処理とスペクトラムサブトラクション処理の両方であればアルゴリズムフラグを「1」にする。
【0055】
次いで、ステップSP26において、度数分布図をクリアしてステップSP3に戻る。ステップSP3において、前述と同様にカウンタ(a)はa=0にセットされる。更に、ステップSP4から、前述と同様の処理を実行する。
【0056】
以上説明したように、本発明に係る補聴装置においては、定常度とノイズレベルに応じて補聴処理のアルゴリズムを切り替えるものである。周囲環境に応じて、スペクトラムサブトラクション処理又は指向性処理に切り替えることにより、さまざまな騒音中での語音を明瞭に聴き取ることができる。
【0057】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形の実施形態が考えられる。
上述の実施の形態においては、スペクトラムサブトラクション処理だけの場合、指向性処理だけの場合、またはスペクトラムサブトラクション処理と指向性処理の場合の3つを切り替えることした。しかし、騒音中で明瞭に語音を聴き取ることができればよいのであるから、その他のアルゴリズムに置き換えてもよい。
【0058】
本発明の実施の形態においては、尖度Kwの値を、定常度を表わす尺度としたが、定常度が算出できればよいのであるから、分布の標準偏差を算出し、この値を定常度としてもよい。この場合は、標準偏差の値が大きいほど定常度が低く、標準偏差の値が小さいほど定常度が高いということになる。
また、出現頻度数分布図の最頻度数を定常度としてもよい。この場合は、最頻度数が大きいほど定常度が高く、最頻度数が小さいほど定常度は低くなる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、使用環境に応じてスペクトラムサブトラクション処理のアルゴリズム及び/又は指向性処理のアルゴリズムを選択することができるので、環境騒音の質のいかんに拘わらず聴き取り対象となる音声を明瞭に聴き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る補聴装置のブロック構成図
【図2】フレーム分割処理に関する説明図
【図3】本発明に係る補聴装置の動作を示すフローチャート
【図4】補聴装置の動作の説明に供する度数分布図で変動性の騒音を含む出現頻度数分布図
【図5】補聴装置の動作の説明に供する度数分布図で定常性の騒音を含む出現頻度数分布図
【図6】補聴装置の動作の説明に供する度数分布図でSN比が悪い場合の出現頻度数分布図
【図7】他の実施の形態の説明に供する度数分布図で騒音のピークを中心として左右対称な分布図形
【符号の説明】
1…外部音検出手段、1a,1b…マイクロホン、1c,1d…A/D変換器、1e,1f…フレームメモリ、2…環境騒音分析手段、2a…平均実効レベル算出部、2b…平均実効レベルメモリ、2c…出現頻度数分布図算出部、2d…ピーク位置検出部、2e…定常度算出部、2f…アルゴリズム決定部、3…信号処理手段、3a…アルゴリズム選択部、3b…非線形信号処理部、3c…入出力特性テーブル、4…音響出力手段、4a…D/A変換器、4b…増幅器、4c…イヤホン。

Claims (2)

  1. 複数のマイクロホンを備えて外部音に応じた電気信号を出力する外部音検出手段と、この外部音検出手段の出力信号から前記外部音が含む騒音に起因する出現頻度数分布の尖度を算出し、この尖度と予め設定した閾値を比較し、その大小関係に基づいて補聴処理のアルゴリズムとしてスペクトラムサブトラクション処理又は指向性処理を決定する環境騒音分析手段と、この環境騒音分析手段で決定された補聴処理のアルゴリズムに基づいて前記外部音検出手段の出力信号を処理する信号処理手段と、この信号処理手段の出力信号を音響信号に変換する音響出力手段を備え、前記尖度が前記閾値と比較して高い場合には、補聴処理のアルゴリズムとして前記スペクトラムサブトラクション処理を選択し、前記尖度が前記閾値と比較して低い場合には、補聴処理のアルゴリズムとして前記指向性処理を選択することを特徴とする補聴装置。
  2. 複数のマイクロホンを備えて外部音に応じた電気信号を出力する外部音検出手段と、この外部音検出手段の出力信号から前記外部音が含む騒音に起因する出現頻度数分布の尖度を算出すると共に前記出現頻度数分布の最頻度を算出し、前記尖度と予め設定した第1の閾値を比較しその大小関係、及び前記最頻度と予め設定した第2の閾値を比較しその大小関係に基づいて、補聴処理のアルゴリズムとしてスペクトラムサブトラクション処理及び指向性処理を決定する環境騒音分析手段と、この環境騒音分析手段で決定された補聴処理のアルゴリズムに基づいて前記外部音検出手段の出力信号を処理する信号処理手段と、この信号処理手段の出力信号を音響信号に変換する音響出力手段を備え、前記尖度が第1の閾値と比較して高く、前記最頻度が第2の閾値と比較して高い場合には、補聴処理のアルゴリズムとして前記指向性処理を選択してSN比を多少改善させた後に前記スペクトラムサブトラクション処理を選択することを特徴とする補聴装置。
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