JP3898977B2 - エンジン装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン室とポンプ室とを隔離する構造のエンジン装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2に示されるように、建設機械(油圧ショベル)は、下部走行体1上に設けられた上部旋回体2の、前部にキャブ3および作業装置4が搭載され、後部にカウンタウエイト5と共にエンジン装置6が搭載されている。
【0003】
図3は、図2のIII-III線断面を示し、エンジン室11およびその周辺の配置構造において、通常、エンジン室11内に収容されたエンジン12に対し、作業装置4の油圧アクチュエータを駆動する油圧回路の動力源となる油圧ポンプ13と、エンジン冷却用の冷却水および油圧回路の作動油などを冷却するための冷却装置(すなわちラジエータおよびオイルクーラ)14とが配置され、近年、機械の低騒音化が進む中、その配慮の1つとして、エンジン室11の周りにエンクロージャと呼ばれる隔壁体15を設け、騒音発生源であるエンジン12をこの隔壁体15により囲うことで、エンジン12から発生する騒音を閉じ込め、機械の騒音を低減させる構造となっている。
【0004】
この構造を採用した場合、エンジン12の騒音をシャットアウトできる上に、油圧ポンプ13を収容したポンプ室16と、エンジン室11とを仕切ることができるため、万一、ポンプ室16内で油漏れなどが発生しても、その油が、エンジン室11内に収容されたマフラ17などの高温部にかかる事態を避けることができる。
【0005】
しかし、一方、エンジン12という発熱体が囲いの中に納められているため、エンジン室11内の温度上昇が著しくなる。
【0006】
このため、エンジン12に付属される部品の耐候性の向上が要求され、コストがかかる問題と、エンジン室上部カバー20とともにポンプ室16上の開閉可能のエンジン室周辺カバー18も熱くなり、このエンジン室周辺カバー18の一部を作業者が開けて作業する際などに不都合が生ずる。
【0007】
これを回避するため、エンジン室11の換気が必須となってくるので、図3に示されるように、マフラ17から排気される排気ガス流の勢いを利用したエジェクタ19を搭載している。
【0008】
このエジェクタ19は、マフラ17から引出されたマフラ煙突部19aと、エンジン室上部カバー20の上方に突出された排気パイプ19bとが、隙間19cを介して同心状に嵌合されたもので、マフラ煙突部19aから排気パイプ19b内に噴出されたマフラ排気ガス流の周囲に発生する負圧を利用して、エンジン室11内の空気を吸引して換気する換気システムであり、このようなエンジン室換気を考慮した設計が必要となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、エンジン騒音が外部に漏れることを防止するために、エンジン室11の換気が充分行なわれなかった場合は、エンジン12という発熱体が囲いの中に納められているため、エンジン室11内の温度上昇が著しくなり、エンジン室11内に配置されたコンポーネントの耐久性に悪影響を及ぼしたり、あるいは、エンジン室上部カバー20とともにエンジン室周辺カバー18も熱くなり、このエンジン室周辺カバー18の一部を作業者が開けて作業する際などに不都合が生ずる。
【0010】
また、エンジン室11内の空気は、エジェクタ19の換気効果によって強制的に外部へ排出されるが、エンジン騒音が外部に漏れることを防止するためにエンジン室11内への空気の吸込み側の開口総面積は狭くしてあり、エンジン室カバー類の僅かな隙間からエンジン室11内に外気が吸込まれるに過ぎないので、エンジン室11内が負圧ぎみになる。
【0011】
この現象により、ポンプ室16内において何かの要因で油漏れが発生した場合に、エンジン室11・ポンプ室16間の隔壁体15の僅かな隙間からエンジン室11に向けて油分を含んだ空気が流れ、マフラ17などの高温部にこの油分が接触するおそれがある。
【0012】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、低騒音化構造のエンジン室における十分な換気を確保して、換気不足の場合に生ずる問題を解消するとともに、エンジン室がポンプ室での油漏れの影響を受けないようにしたエンジン装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジンを収容するエンジン室と、エンジン室を囲む隔壁体と、エンジン室の一側に隔壁体を介して配置されエンジンにより駆動される油圧ポンプを収容したポンプ室と、エンジン室の他側に隔壁体を介して配置されエンジンの冷却媒体および油圧ポンプの作動油を冷却する冷却ファンを有する冷却装置を収容した冷却装置室と、エンジン室と冷却装置室との間の隔壁体の一部であって冷却装置の冷却ファンと対向する位置に開口され冷却装置の冷却ファンから送風された冷却風をエンジン室内に取込む冷却風取込穴と、冷却風取込穴からエンジン室内の下部にわたって折曲形状に設けられエンジン室内の下部に先端が開口されたエンジン騒音減衰用のダクトと、エンジン室の上部に設けられエンジンから排気された排気ガスの流れを利用してエンジン室内空気を強制的に換気するエジェクタとを具備したエンジン装置であり、冷却装置の冷却ファンから送風された冷却風を冷却風取込穴よりエンジン室内に取込むことで、低騒音化構造のエンジン室においても十分な換気によりエンジン室内の温度を下げ、換気不足の場合に生ずるエンジン室内の温度上昇に伴なう問題を解消するとともに、冷却ファンからの冷却風を強制的にエンジン室内に取込むことで、エンジン室内が負圧ぎみになることを防止して、ポンプ室で油漏れが生じてもエンジン室がその油分を含む空気を吸込まないようにしたエンジン装置を提供できる。冷却装置の冷却ファンと対向する位置に冷却風取込穴を設けることで、エンジン室から冷却風取込穴を通って外部へ漏れようとする音を、対向する冷却装置の冷却ファンがかき消すように作用するので、隔壁体による騒音低減効果を維持できる。冷却風取込穴からエ ンジン室内の下部にわたって折曲形状に設けられたダクトの内部では、エンジン騒音の減衰効果があるので、このダクトによりエンジン室からの騒音漏洩を低減しつつ、充分な冷却風量を供給できる冷却風取込穴の開口面積を確保できる。冷却装置から送風された冷却風をエンジン室に取込み活用することで、エンジン室内空気を強制的に換気するエジェクタの効果を高め、換気性能を向上できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1を参照しながら説明する。
【0015】
図1に示されるように、エンジン21を収容するエンジン室22は、遮音性を有する隔壁体(エンクロージャ)23により囲まれている。
【0016】
中央のエンジン室22に対し、一側の隔壁体23aを介して、エンジン21により駆動される油圧ポンプ24を収容したポンプ室25が配置されている。このポンプ室25の上部に設けられたエンジン室周辺カバー26は、その一部が作業者により開閉可能に設けられている。
【0017】
また、中央のエンジン室22に対し、他側の隔壁体23bを介して、冷却装置27を収容した冷却装置室28が配置されている。なお、隔壁体23a,23bは、エンジン室22の周囲を囲む一連の隔壁体23の一部である。
【0018】
冷却装置27は、エンジン21を冷却する冷却媒体である冷却水を冷却するためのラジエータ、油圧ポンプ24から供給された油圧回路の作動油を冷却するためのオイルクーラなどの熱交換器が一体化され、これらの熱交換器よりエンジン室22側に冷却ファン29を有するものである。
【0019】
この冷却ファン29の駆動手段30は、油圧式モータでも良いが、油圧駆動の場合は、油漏れなどが発生した際にエンジン室22内に悪影響が及ぶおそれもあるので、電動式モータで駆動することが望ましい。
【0020】
エンジン室22には、エンジン21とともに、このエンジン21の稼働状態を制御するためのエンジンコントローラ31が設置されている。エンジン21の上部には、エンジン21から発生する排気音を消音処理するマフラ32が配置されている。
【0021】
さらに、エンジン室22の上部には、マフラ32から排気される排気ガス流の勢いを利用したエンジン室換気用のエジェクタ33が搭載されている。このエジェクタ33は、マフラ32から引出された小径円筒形のマフラ煙突部34と、エンジン室上部カバー40の上方に突出された大径円筒形の排気パイプ35とを、隙間36を介して同心状に嵌合したものである。
【0022】
このエジェクタ33は、エンジン21からマフラ32を経てマフラ煙突部34より排気パイプ35内に噴出されたマフラ排気ガス流の周囲には、大気より低圧の負圧が発生するので、この負圧発生現象を利用して、エンジン室22内の空気を、隙間36から負圧発生部に吸引することで、エンジン室22内を強制的に換気する。
【0023】
前記冷却装置室28にて前記隔壁体23bとは反対側の蔽い板には、外気を吸込むための吸込口37が設けられ、冷却ファン29の斜め上方には、冷却ファン29から送風された冷却風を外部へ排出するための排風口38が設けられている。
【0024】
エンジン室22と冷却装置室28との間の隔壁体23bは、その中央部より上側にてエンジン室22側に折曲された斜面板部39を有し、この斜面板部39により冷却ファン29から排風口38への空気流れが円滑になるように形成されている。
【0025】
一方、エンジン室22と冷却装置室28との間の隔壁体23bにて中央部よりやや下側の一部に、冷却装置27の冷却ファン29から送風された冷却風の一部をエンジン室22内に取込むための冷却風取込穴41が開口されている。
【0026】
この冷却風取込穴41は、冷却装置27の冷却ファン29と対向する隔壁体位置、すなわち冷却ファン29から直接冷却風の送風を受ける範囲内に設けられている。
【0027】
さらに、この冷却風取込穴41からエンジン室22側に折曲形状のダクト42が設けられている。
【0028】
すなわち、このダクト42は、冷却風取込穴41の周縁部に水平管部43が接続され、この水平管部43に対し斜め下方へ鈍角に折曲された傾斜管部44が連続的に設けられ、この傾斜管部44の下端部に対し鈍角に折曲された水平管部45が連続的に設けられている。
【0029】
冷却風取込穴41は、エンジン21から発生する機体騒音が外部になるべく漏れないように開口面積を制限する必要があるが、ダクト42を設けることで、エンジン21から発生する騒音を減衰させることができ、特に、鈍角の折曲げを付けた折曲形状のダクト42を冷却風取込穴41に設けることで、騒音を減衰させる効果が大きく、言い換えれば、冷却風取込穴41に充分な開口面積を確保できる。
【0030】
また、ダクト42の水平管部45の先端開口46と前記エジェクタ33との間に位置する、先端開口46の斜め上方には、前記エンジンコントローラ31が配置されている。
【0031】
機体の一側部および他側部には、作業者の足場となるステップ47が設けられているので、作業者は、このステップ47上で、エンジン室周辺カバー26などを開けて、ポンプ室25内などのメンテナンス作業をする。
【0032】
次に、図1に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0033】
冷却装置27の冷却ファン29が回転すると、この冷却ファン29により吸込口37から吸込まれた外部空気により冷却装置27のラジエータおよびオイルクーラなどにおける熱交換が促進され、エンジン冷却水および油圧回路の作動油などが冷却される。
【0034】
高温のエンジン冷却水および作動油と熱交換して温度上昇した空気の多くは、上部の排風口38から外部へ排出される。
【0035】
一方、冷却ファン29から送風された冷却風の一部は、エジェクタ33による吸込作用も手伝って、冷却風取込穴41からダクト42を経てエンジン室22内に取込まれ、高温のエンジン21およびマフラ32などに対し冷却風として機能し、エンジン21、エンジンコントローラ31およびマフラ32などを冷却しながら、エジェクタ33により外部へ排出される。
【0036】
このように、冷却装置27の冷却ファン29から送風された冷却風を、隔壁体23bの冷却風取込穴41よりダクト42を経て高温のエンジン室22内に取込み、換気に活用するので、隔壁体23による低騒音化構造のエンジン室22においても十分な換気量を確保でき、エンジン室22内の温度を効率良く下げることができ、換気不足の場合に生ずるエンジン室22内の温度上昇に伴なうエンジン室内機器の信頼性低下を防止でき、エンジンコントローラ31などの信頼性の向上を図ることができるとともに、エンジン室上部カバー40およびエンジン室周辺カバー26の温度上昇を抑制でき、エンジン室周辺カバー26の一部を開けてポンプ室25内に手を入れて作業する作業者にとって、作業しやすい。
【0037】
さらに、冷却装置27の冷却ファン29から送風された冷却風を、隔壁体23bの冷却風取込穴41より高温のエンジン室22内に強制的に取込み活用することで、エンジン室内空気を強制的に換気するエジェクタ33の効果を高め、換気性能を上げることができるとともに、冷却ファン29の送風作用により冷却装置室28からエンジン室22内に送込まれた冷却風が、冷却風の送込まれない場合よりもエンジン室22内を昇圧するので、エンジン室22内が負圧ぎみになることを防止できる。
【0038】
これにより、ポンプ室25などで油圧ポンプ24から油漏れなどが発生した際に、負圧ぎみのエンジン室22が、ポンプ室25から隔壁体23aなどの隙間を経て、油分を含む空気を吸込み、高温のマフラ32などに油分が接触するおそれを防止できる。
【0039】
その上、冷却装置27の冷却ファン29と対向する位置で隔壁体23bに冷却風取込穴41を設けることにより、エンジン室22から冷却風取込穴41を通って外部へ漏れようとする音を、冷却装置27の冷却ファン29がかき消すように作用するので、隔壁体23bによる騒音低減効果を維持できる。
【0040】
また、ダクト42の内部ではエンジン騒音の減衰効果があり、特に、折曲形状のダクト42の内部では、エンジン騒音の減衰効果が著しいので、このダクト42によりエンジン室22からの騒音漏洩を低減しつつ、冷却風取込穴41に充分な大きさの開口面積を確保でき、冷却装置室28からエンジン室22内に充分な冷却風量を供給できる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、冷却ファンから送風された冷却風を隔壁体に開口された冷却風取込穴よりエンジン室内に取込むことで、隔壁体による低騒音化構造のエンジン室においても十分な換気によりエンジン室内の温度を下げ、換気不足の場合に生ずるエンジン室内の温度上昇に伴なう問題を解消できるとともに、冷却ファンからの冷却風を強制的にエンジン室内に取込むことで、エンジン室内が負圧ぎみになることを防止して、ポンプ室で油漏れが生じてもエンジン室がその油分を含む空気を吸込まないようにしたエンジン装置を提供できる。冷却装置の冷却ファンと対向する位置に冷却風取込穴を設けることで、エンジン室から冷却風取込穴を通って外部へ漏れようとする音を、対向する冷却装置の冷却ファンがかき消すように作用するので、隔壁体による騒音低減効果を維持できる。冷却風取込穴からエンジン室内の下部にわたって折曲形状に設けられたダクトの内部では、エンジン騒音の減衰効果があるので、このダクトによりエンジン室からの騒音漏洩を低減しつつ、充分な冷却風量を供給できる冷却風取込穴の開口面積を確保できる。冷却装置から送風された冷却風をエンジン室に取込み活用することで、エンジン室内空気を強制的に換気するエジェクタの効果を高め、換気性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るエンジン装置の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】 油圧ショベルの正面図である。
【図3】 図2のIII-III線断面を示す従来のエンジン装置の断面図である。
【符号の説明】
21 エンジン
22 エンジン室
23,23a,23b 隔壁体
24 油圧ポンプ
25 ポンプ室
27 冷却装置
28 冷却装置室
29 冷却ファン
33 エジェクタ
41 冷却風取込穴
42 ダクト
Claims (1)
- エンジンを収容するエンジン室と、
エンジン室を囲む隔壁体と、
エンジン室の一側に隔壁体を介して配置されエンジンにより駆動される油圧ポンプを収容したポンプ室と、
エンジン室の他側に隔壁体を介して配置されエンジンの冷却媒体および油圧ポンプの作動油を冷却する冷却ファンを有する冷却装置を収容した冷却装置室と、
エンジン室と冷却装置室との間の隔壁体の一部であって冷却装置の冷却ファンと対向する位置に開口され冷却装置の冷却ファンから送風された冷却風をエンジン室内に取込む冷却風取込穴と、
冷却風取込穴からエンジン室内の下部にわたって折曲形状に設けられエンジン室内の下部に先端が開口されたエンジン騒音減衰用のダクトと、
エンジン室の上部に設けられエンジンから排気された排気ガスの流れを利用してエンジン室内空気を強制的に換気するエジェクタと
を具備したことを特徴とするエンジン装置。
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