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JP3899125B2 - 固体過酸の製造方法 - Google Patents
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JP3899125B2 - 固体過酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体過酸の製造方法に関するものであり、より詳しくは、酸性反応媒質からの分離と摂取とが可能な粒状過酸の製造に関する。また、本発明は改変および/または改良された性質およびまたは形態を有する過酸生成物に関する。
過酸(ペルオキシ酸と呼ばれることもある)は、種類全体として潜在的に有用な種類の物質であり、強力な酸化体であるため、工業的条件下でも、家庭環境下でも、有効な広範スペクトル性の殺生剤であり、また有効な汚れ漂白剤である。いくつかの配合物においては、ペルオキシ酸は前述のような固体粒状形態での使用のために用いられる。したがって、分離可能な粒状固体を生じる、過酸の製造方法を工夫するのが望ましい。本質的に有益なのは、固体過酸の反応媒質の容易または迅速な採取をすることができる方法、および/または過酸固体の粒径と粒度分布とを制御しうる方法を工夫することである。やはり望ましいのは、固体状態において、改変および/または改良された物理的性質および/または新しい形態を有する過酸を得ることである。
一つの過酸製造方法においては、強酸たとえば鉱酸たとえば硫酸、または対応する有機酸たとえばメタンスルホン酸の存在下で、有機カルボン酸基質を過酸化水素と反応性接触させる。多くのカルボン酸基質は便利な作業温度(しばしば、5〜45℃の範囲で選択され制御される)において固体であり、水性媒質への溶解度が小さい。同様に、生成される過酸の多くも、水性媒質への溶解度が小さい。最近の文献においては、カルボン酸、過酸化水素、および強酸を互いに接触させる方法に関して、いくつかの変形が述べられている。これらの変形の多くにおいては、液相における反応を促進する手段がとられる。たとえば、基質を少なくとも強酸の一部に溶解させてから過酸化水素に接触させることにより、反応が促進される。別の変形においては、過酸化水素を少なくとも強酸の一部と予備混合する。反応物質を混合する方法がどのようなものであれ、少なくとも米国特許第2813896号(Krimm)以来認識されているように、一つの重要なパラメータは、強酸のカルボン酸に対する比率であり、強酸のカルボン酸に対する比率が大きいことが過カルボン酸への大きな転換率を生じるのに有利である。これは大きなモル比または重量比として表現することができ、たとえば、Y L Zherebinらの論文(Zorka,Vol.8,p.41〜44(1972))においては、ジカルボン酸に対して20倍モル過剰の硫酸が好ましいとしている。あるいは、これは、大きな割合の強酸たとえば硫酸、しばしば60wt%よりも大きく、多くの場合約80wt%以下の割合の強酸を含む反応混合物として表現することができる。強酸と水との総重量に対しての強酸の割合いは、ときには別に、“A”値と称する。これに関して本明細書において使用される“強酸”と言う用語は硫酸又はメタンスルホン酸を示す。
大きなA値を有する反応混合物は、小さなA値を有する反応混合物に比して、カルボン酸基質を迅速に溶解させ、かつ/または生成される過酸生成物を大量に溶解させうる傾向を有する。したがって、過酸生成物の一部、また多くの場合、生成物のかなりの部分が反応終了時に溶液中に残留する。
高濃度の酸溶液からの固体過酸の採取率を高める一つの方法は、水または氷の導入(しばしば、クエンチングと呼ばれる作業)によって反応混合物のA値を低下させることである。中性pHの領域において水性媒質にわずかしか溶解しない過酸特に二過酸の製造の実験実施過程において見出したところによると、クエンチングの方法が、生成される固体生成物の性質に有意な程度の影響を与えうる。これらの性質のうちには生成される固体の物理的性質が含まれることがあり、この物理的性質は、通常の分離法たとえばろ過によって固体を上澄み液から分離しうる速度、および固体に保持される液体の割合に影響する。本質的に望ましいのは、容易にろ過できる生成物が製造される析出方法を工夫することである。なぜならば、ろ過しにくい生成物は生成物採取時間を著しく増大させることがあり、かつ/または非常に大きなろ過装置を必要とすることがあり、これらのことはどちらも製造コストを著しく増大させうるものだからである。固体中に液体が過度に保持される場合には、乾燥コストの増大の可能性があるばかりでなく、洗浄/精製のための時間したがってそのコスト、または生成物に残留する不安定化作用のある酸性不純物量が増大する。一方、生成される過酸の化学的性質(たとえば、カルボン酸基質、または二過酸の場合の半カルボン酸半過酸への逆戻りまたは一部逆戻りの程度)もかなりの実際的重要性を有する。なぜならば、これらの化学的性質は、前駆物質のペルオキシ酸への正味転換率の大きさとペルオキシ酸有効酸素(avox)の単位量あたりの生成物の有効基剤(base)コストを決定するからである。
一連の条件下での同一のペルオキシ酸の希釈/採取の観察過程における一般的な傾向として見出されたところによると、硫酸を含む反応混合物をかなりの体積たとえば反応混合物の2倍の体積の氷/水希釈剤に滴下する通常行われる方法では、所望程度に希釈されるが、極端に細かくてフィルターを目詰まりさせ脱水を遅らせうる粒状生成物が生成される傾向がある。この効果は初期ろ過において観察されることがあるばかりでなく、特にまた、好ましくない酸不純物除去のための後続洗浄中にも観察されることがある。一方、やはり観察されたところでは、同体積の希釈剤による混合物の漸進的低速希釈の場合、生成物の形態が変化し、また生成物の化学純度が損なわれる傾向がある。後者の効果はおそらく生成物の酸触媒加水分解(再平衡化)の結果であると考えられる。
本発明の目的は、高A値の反応混合物中のペルオキシ酸溶液から固体の前記ペルオキシ酸を製造する方法であって、過度に低速のろ過および過度に損なわれる過酸純度という一対の問題が回避および/または改善される方法を工夫することである。
本発明の第1の側面によれば、粒状の低水溶性ペルオキシ酸の製造方法であって、ペルオキシ酸が、少なくとも0.6のA値を有する強酸水溶液中に存在し、該水溶液が、ペルオキシ酸が該水溶液からの析出するのに十分な量の水性希釈剤との混合物とされる方法において、水または強酸および/もしくは過酸化水素の希薄水溶液から選択される水性希釈剤との接触が、有効量の少なくとも一つの界面活性剤の存在下で実施されることを特徴とする方法が提供される。
反応混合物中のペルオキシ酸溶液の希釈工程中に有効量の界面活性剤を導入することにより、生成される粒状ペルオキシ酸固体の性質たとえば粒径、形状、および粒度分布、ならびに残留過酸有効酸素(avox)含有率のバランスを改善することができる。ペルオキシ酸が二過酸である場合、このバランスには、分離可能な生成物中の二過酸、一過酸、およびジカルボン酸種の比率が含まれる。
希釈前のペルオキシ酸溶液は、通常、ペルオキシ酸前駆物質を、強酸反応媒質中で高濃度過酸化水素水と反応させることによって得られる反応混合物からなる。このペルオキシ酸前駆物質は、通常、対応するカルボン酸からなるが、あるいは対応する無水物からなることもでき、またはさらに少ない場合には、エステルからなることもできる。反応媒質は、入手の容易さと高い酸強度の点から、鉱酸たとえば特に硫酸とするのが好都合であるが、あるいは必要であれば、有機誘導体たとえばメタンスルホン酸からなるものとすることができる。反応条件の選択は、どのペルオキシ酸を製造するのかを考慮した上で、ペルオキシ酸製造者の裁量で行われる。そのような条件は、反応混合物中の強酸と水との総重量比である、“A”値としてしばしば称される反応混合物の酸強度を特に包含する。これに関して本明細書において使用される“強酸”と言う用語は硫酸又はメタンスルホン酸を示す。反応混合物のA値は通常少なくとも0.6で、しばしば0.9以下である。前駆物質カルボン酸の固有溶解度に対して好ましいA値についての逆の関係が、たとえば国際公開(International Publication)第WO 90/14336号明細書に開示されている。一般に、作業安全性と反応性とに関する一対の拘束条件を調和させるために0.7〜0.8のA値の使用が好ましい。
最終的にペルオキシ酸を含む反応混合物を生成させるために、ペルオキシ酸前駆物質と過酸化水素反応物とを一緒にする方法にはいくつかのバリエーションがある。これらはすべて、本発明による方法によって粒状ペルオキシ酸生成物が採取できるペルオキシ酸溶液の生成のために、製造者の裁量で使用することができ、これらのバリエーションの多くは公表文献に記載されている。
そのようなバリエーションとしては、強酸(たとえば硫酸)の全部または一部へのペルオキシ酸前駆物質の溶解と得られる溶液への高濃度過酸化水素の低速添加がある。別のバリエーションにおいては、硫酸の一部を過酸化水素水と予備混合し、次にこの混合液を、たとえば制御されたやり方たとえば前述の第WO 90/14336号明細書(たとえば例8)に述べられているやり方、または場合によっては連続法によって、硫酸中で前駆物質溶液と混合する。別のバリエーションにおいては、ペルオキシ酸前駆物質が粒状固体の形で使用され、この粒状固体が硫酸と過酸化水素の予備混合物に少しずつ導入される。
粒状カルボン酸前駆物質を使用するさらに別のバリエーション(これは同時出願中のPCT出願における課題である)においては、反応媒質が二段階で製造され、第1の段階においては、低A値の反応混合物が製造され、粒状カルボン酸の存在下または粒状カルボン酸との接触直前に、前記反応混合物のA値が上昇させられる。
前記反応において、通常、反応温度は約5〜約50℃、多くの場合、約15〜約35℃の範囲に制御される。通常、過酸化水素は、化学量論量よりも過剰に、すなわち、カルボン酸(または、対応する無水物またはエステル)前駆物質の1当量モル(equivalent mole)に対して1モルよりも多く、しばしば1当量モルあたり約2〜5モル使用される。反応媒質の液相における過酸化水素の濃度は、ある程度、過酸化水素/硫酸/水の合計重量とペルオキシ酸前駆物質の比率に応じて、最初約3〜20wt%とすることが多い。通常、この比は少なくとも約4:1で、通常、約30:1以下である。この比の選択はペルオキシ酸製造者の裁量で行われるが、本明細書で述べる、埋込まれた(embedded)フェニレン基を含む特に好ましい脂肪族ジペルオキシ酸の製造の場合、好ましい範囲は約5:1〜約9:1であり、カルボン酸前駆物質を粒状で使用する場合には特にこの範囲が好ましい。
公知の方法によれば、反応混合物は、必要ならば、過酸化水素および/またはペルオキシ酸に対する公知の安定剤たとえばピコリン酸、ジピコリン酸、および/またはオルガノポリホスホネートを、小さな割合たとえば0.1〜5gplで含むことができる。
過酸化工程の結果として、ペルオキシ酸を溶液の形で含む反応混合物が生じる。本発明の方法は、ペルオキシ酸であれ、ペルオキシ酸前駆物質であれ、クエンチング前に固体を含まない反応混合物に対して特に適している。
使用する反応物のモル比に応じて、過酸化水素とジカルボン酸との反応から得られる生成物は、二過酸とともにある比率の一過酸を含むことがあり、一過酸の比率は、過酸化水素とジカルボン酸とのモル比の変化と逆の変化をする。本発明は、相当の比率の一過酸を含む生成物の採取にも適用することができる。
好ましくは、本発明の方法によって製造される粒状のペルオキシ酸は、次の式1、HO3C-R’-(NR)a-CO-(NR)b-R”-(NR)c-CO-(NR)d-R”’-CO3Hを有するジペルオキシ酸であり、この式において、Rは水素、アルキル、アリール、または12個以下の炭素原子を含むアルキルアリールもしくはアリールアルキルであり、a+b=1、c+d=1で、R’とR”’はそれぞれ1〜10炭素原子のメチレンまたはポリメチレン基であって、随意にアリールで置換され、R”は10個以下の炭素原子を含むアリレンもしくはポリメチレン基、または隣接窒素を伴う芳香族複素環基(heterocyclic group)である。本発明の方法は、前記式1の二過酸に対応し、ペルオキシ酸基の一つがカルボン酸であるモノペルオキシ酸にも適している。本明細書において使用する“アリール”と言う用語及び“アリレン”と言う用語には芳香族複素環を包含しない。
式1の化合物における炭素の数はしばしば12〜30の範囲で選択され、いくつかの特に好ましい化合物においては18〜22特に20である。特に好ましいRは水素で、特に好ましいaおよびdはそれぞれ1、すなわちbおよびcが0であり、R’’がアリレンである場合には特にそうである。式1に従う化合物において、アリール基R、R’、もしくはR’’’、またはアリレン基R’’は、必要であれば、ハロ、アルキル基、または他のアリール基、すなわち、ペルオキシ酸が生成される反応工程中にそれ自身は酸化または除去されない基の例によって置換することができ、いくつかの化合物においてはそれぞれフェニルおよびフェニレンが好ましい。これらアリール基及びアリレン基は芳香族複素環を含まない。R’およびR’’’は、好ましくはそれぞれ、トリメチレンからヘキサメチレンまでのグループから選択され、特に好都合な例はペンタメチレンである。特に好ましいR’’はメタまたはパラフェニレンである。
いくつかの特に好都合な実施態様において、過酸は式1に従う二過酸であり、Rは水素、aおよびdはそれぞれ1で、R’およびR’’’はそれぞれペンタメチレン、R’’はメタまたはパラフェニレンである。また、他の実施態様においては、過酸は対応する一過酸である。
本発明に従う固体の製造のために考えられる他のペルオキシ酸は、米国特許第4686063号(Burns)の極性アミド含有モノペルオキシ酸(該モノペルオキシ酸が生成および採取されるのに十分な安定性を有する程度に極性アミドを含む)、および米国特許第5098598号(Sankeyら)のアミドモノペルオキシ酸からなる。
ペルオキシ酸含有反応混合物の希釈工程はしばしば約0〜約30℃の温度で実施される。
有効量の界面活性剤という言葉は、他の点では同じであるが、界面活性剤を含まない希釈工程に比して、当該希釈工程において検出しうる改善が生じる量の界面活性剤を意味する。本発明で考えられる界面活性剤の量は通常少なくとも0.01%である。本明細書においては、特に明記しないかぎり、界面活性剤の%表示は希釈された反応混合物の重量に対する重量%である。本発明の方法の実施態様の多くにおいて、界面活性剤の量は少なくとも0.02%であり、いくつかの好都合な実施態様においては、0.03〜0.5%の範囲で選択される。一般に界面活性剤の量は通常5%よりも小さく、多くの場合約1%以下である。この方法における改良の程度は、界面活性剤の濃度の増大とともに、直線的ではないが、増大する傾向がある。
界面活性剤を含まない方法に対する界面活性剤を含むこの方法の改良の程度は、選択する特定希釈法によっても影響される。割合に低い界面活性剤濃度の少なくともいくつかの方法バリエーションにおいて達成されうる利点の相当の部分に関する実際的な結論として、界面活性剤を可能な濃度のうち大きい側では使用しないのが好ましい。これは、界面活性剤濃度の増大によって得られる付加的利点を考慮し、また高濃度の界面活性剤を含む希釈剤溶液が再循環される場合の、生成物中の劣化生成物の増大の可能性を考慮したものである。
界面活性剤の導入によって生じる希釈工程の改善はいくつかの形で現れうる。
界面活性剤の導入により、ろ過または類似の方法による固体生成物の所望比率の採取に要する時間が短縮され、かつ/またはその生成物を所望純度レベルまで洗浄するのに要する時間が短縮されうる。あるいは、(または、さらに、)この改良には、基準レベル(しばしば、流出液のpHで示される)の達成に必要な洗浄液の相対体積の減少が含まれうる。あるいは、(または、さらに、)与えられた規模の過酸製造プラントからの所望のスルフェート不純物レベルでの過酸採取に対して、より小さな規模のプラントが使用できる。少なくともいくつかの場合に観察されたもう一つの利点は、同一の装置で得られる生成ケークが、界面活性剤を含まない希釈工程で生成されるケークに比して、大きな固体含有率したがって小さな残留液体含有率を有しうる、ということである。これにより、液体のより大きな部分を再循環させることができ、かつ/または乾燥粉末製品のために必要な乾燥の程度が減少する。これらのことは、工程における操業的または資本的節約となる。さらにもう一つの利点として、本発明によって析出させられたペルオキシ酸の水性懸濁液は、界面活性剤なしで析出させられた同重量比の過酸の懸濁液に比して、低い粘性率を示しうる、ということである。以上の利点は、前記の式1に従うペルオキシ酸の場合に特にはっきり認められる。
本発明の方法の使用により、また界面活性剤とその濃度との選択により、生成され採取される固体過酸生成物の平均粒径と粒度分布とを制御することが可能であり、式1に従う過酸に関しては特にそうである、ということがわかった。過酸含有反応混合物の水による急速希釈により、非常に小さな粒径の生成物が生成される場合(たとえば、式1の過酸の場合、2μよりも小さな粒径を有しうる)、界面活性剤の存在により、過酸析出物の平均粒径の著しい増大および/または狭い粒度分布がもたらされうる。界面活性剤、その導入量、およびクエンチング法の選択により、5μを越える、たとえば5〜40μの範囲の平均粒径を有する式1の過酸の生成が観察された。理論に束縛されることなく言えば、観察される粒径の増大および/または粒度分布の狭さは、本発明の方法によって得られる生成物で観察される他の物理的利点たとえばろ過または洗浄速度の向上と関係づけることができる、と考えられる。
界面活性剤は、イオンおよび非イオン界面活性剤たとえば陰イオンまたは陽イオン界面活性剤から選択できて好都合である。特に、界面活性剤は、洗浄組成物たとえば洗濯用のものに導入されているものまたは導入が提案されている種類の活面活性剤の中から選択することができる。陰イオン界面活性剤は、これらに限定されるものではないが、天然および合成陰イオン洗剤から選択することができ、通常、疎水成分とカルボン酸、スルフェートもしくはスルホン酸、またはホスフェート成分とを含む化合物の水溶性または分散性のアルカリ塩特にアルカリ金属塩しばしばナトリウム塩からなる。合成洗剤としては、特にアルキルアリールスルホネート、たとえば、約14〜26個の炭素特に約17〜約20個の炭素の合計炭素含有量を有するアルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンスルホネートがある。アルキルアリールスルホネートのアルキル置換基は、しばしば、8〜18個の線状炭素を含み、多くの場合主としてC10〜C14の混合物で、平均として約12個の線状炭素を含む(すなわち、ドデシル)混合物である。
他の適当な合成洗剤としては、アルキルスルフェートおよびスルホネート、グリセリドまたはエステルまたはアルキルスクシネートの硫酸化誘導体、ホスフェートエステル界面活性剤、スクロースエステル、カルボン酸セッケン、ならびに前記の陰イオン界面活性剤下位分類のフッ素化類似物があり、多くの場合、アルキル成分しばしば非枝分かれで約8〜約22個の炭素を有するアルキル成分を含む。いくつかの適当な例においては、前記の陰イオン界面活性剤に含まれるアルキル成分は、獣脂(tallow)もしくはココナツ脂肪酸または同程度の分子量のオレフィンから誘導される。アルキルスルフェートは随意にエトキシレート成分を、しばしば、1モルの脂肪アルコールあたり1〜6モル含むことができる。さらに別の適当な陰イオン界面活性剤はオレフィンスルフェートおよびスルホネート、しばしばオレフィンから誘導され、12〜18個の炭素を含むものを含む。天然陰イオン洗剤に属する種類では、周知の適当な種類が脂肪カルボン酸、特に10〜22個の炭素を含むものたとえば獣脂またはココナツ脂肪酸のアルカリ金属特にナトリウムおよび/またはカリウム塩からなる。
本発明での使用に適した非イオン界面活性剤は、多くの場合、脂肪酸、または脂肪アルコール、または脂肪酸アミドもしくはアルキルフェノールと、ポリアルキレンオキシド特にポリエチレンオキシドとの縮合物(それぞれ、エステル、エーテル、またはアミドを形成する)から選択することができる。そのような化合物においては、通常、脂肪成分は約8〜約24個の炭素を含み、また通常、アルキルフェノール成分は約12〜約24個の炭素(これらのうち、アルキル置換基が6〜18個しばしば平均9個を与える)を含む。ポリアルキレンオキシド成分はしばしば平均として少なくとも4から約20単位を含み、多くの場合、平均として約8〜約15単位を含む。グリコールを末端基とする界面活性剤の使用から生じる発泡を少なくするために、これらの界面活性剤は低分子量エステルたとえばメトキシエチレンまたはエトキシエチレングリコールを末端につける(tipped)ことができ、またはブチレンオキシドと縮合させることができる。あるいは、これらの界面活性剤の親水性成分は、少なくとも一部、たとえばアルドースから誘導される天然ポリオールたとえばグリキトールによって与えることができる。そのような物質の例としては、マンニトールおよびソルビトールがある。グリキトールは脂肪成分との反応前にグリコールと予備反応させることができる。
もう一つの種類の非イオン界面活性剤は、ポリプロピレングリコールとポリエチレンオキシドとのブロック縮合物からなり、しばしば約800〜1200の範囲の分子量を有する。本発明の方法での使用が考えられるもう一つの種類の非イオン界面活性剤は、脂肪アミンオキシドを基剤とするが、発泡制御の必要により調質したものである。
界面活性剤は、疎水アルキルまたはアルアルキル成分、しばしば8〜22個の炭素原子と第4アンモニウムまたはピリジニウム基とを含むもの、を含む陽イオン界面活性剤から選択することもできる。その他の第4置換基はしばしばメチル、エチル、またはプロピル基である。陽イオン基を含む界面活性剤は対イオンを含む。ペルオキシ化合物(peroxygen compound)の現場分解に対する安定性を向上させるために、対イオンはハロゲン化物を含まないかまたは少なくともハロゲン化物が少ないようにするのが好ましい。
本発明での使用が考えられるもう一つの種類の界面活性剤は、双性イオン/両性界面活性剤からなる。そのような化合物はしばしばカルボキシレートまたはスルホネート置換基と縮合させたアルキル(C8〜C20)置換イミダゾリンを基剤とするが、大きな発泡発生能力ではなく小さな発泡発生能力の両性界面活性剤を選択するのが好ましい。
本発明の方法で使用する界面活性剤の少なくとも一部は、発泡をおさえるかまたは割合に発泡を起こさない種類の界面活性剤たとえば大部分の非イオン界面活性剤および脂肪カルボン酸の塩から選択するのが好ましく、特に、攪拌および/または大きなポンプ輸送速度が関与する大きな規模での実施を意図する場合にはそうである。あるいは、(または、さらに、)抑泡剤たとえばシリコーンを基剤とするものの使用が可能である。
生成物採取工程での改善をもたらす機構に関して、理論に束縛されることなく言えば、固体生成物の性質または構造が界面活性剤の存在によって変化し、そのため、反応混合物から析出し、反応混合物中で成長する固体の外形、寸法、および分布が変化するのであると考えられる。したがってまた、固体生成物のろ過および洗浄特性の変化がもたらされる。
一般に、界面活性剤と希釈剤の過酸含有反応混合物への導入は、いろいろな方法によって実施することができる。たとえば、界面活性剤混合物は、たとえば、界面活性剤を希釈水に導入することにより、または界面活性剤と希釈水溶液を別々に反応混合物に導入することにより、または反応混合物を界面活性剤含有溶液に導入することにより、反応混合物に導入することができる。界面活性剤の導入および希釈の方法が、得られる分離固体生成物の性質、たとえばろ過性および/または洗浄速度に関する性質に影響しうる、ということがわかっている。
希釈された反応混合物中の界面活性剤濃度が割合に高い場合、たとえば約1%よりも大きい場合、分離固体生成物には、少なくとも、非常に低い濃度で固体生成物の性質に検出可能な改良を示しうる界面活性剤の場合、界面活性剤導入の方法による差はほとんど見られない、ということがわかった。しかし、より適当またはもっとも適当な界面活性剤導入法の選択の重要性は、希釈反応混合物中の界面活性剤濃度の低下につれて、増大する。特に、非常に低い濃度たとえば0.1%以下の場合、界面活性剤混合物を反応混合物に添加するのが有利である。しかし、容易にわかるように、界面活性剤と反応混合物とを接触させるのにどのバリエーションを使用するかにかかわらず、界面活性剤は希釈工程における析出時に存在し、したがってまた過酸結晶の後続成長時にも存在する。
界面活性剤の存在により粒状ペルオキシ酸析出物の形態が変化する。やはり容易にわかるように、本発明のクエンチ工程後に得られる平均寸法5μを越える大きな粒子は、特に、使用する界面活性剤の選択に関する条件に応じて、棒状または板状の形で採取することができる。アルキルポリグリコールエーテルカルボン酸は板の生成を促進し、一方第4アンモニウムメチルスルフェートは棒の生成を促進する。これら二つの形状は同じ平均粒径の場合に懸濁液の粘性率と安定性とが異なる傾向があり、板は粘性の小さな溶液を生成し、高速の沈降を起こす傾向がある。界面活性剤クエンチを用いることによって生じる生成物形状は、走査電顕の使用により容易に観察することができる。平均粒径の大きなそのような生成物は、やはり、13C NMRで示されるように、界面活性剤存在の利点なしで生成される小さな粒子の結晶構造を示しうる。しかし、界面活性剤濃度が大きくなると、少なくともいくつかの場合には、結晶構造そのものが変化し、したがって横長の粒子(ブロックまたは棒)が形成されてクラスターを形成する傾向を有する、ということがわかった。そのような形成の結果として、ろ過および/または洗浄速度が、同じ過酸から形成される粒子であるが、界面活性剤なしの一段のみの希釈工程で形成される粒子に比して、増大しうると考えられ、またペルオキシ酸粒子を含むスラリーの粘性率も変化すると考えられる。容易にわかるように、ペルオキシ酸生成物の一部は、界面活性剤の存在下で析出・成長する場合でも、界面活性剤を用いない製造方法で得られる結晶構造すなわち“標準”構造をとりうる。
前記の式1に従う式、HO3C-(CH2)5-NH-CO-C6H4-CO-NH-(CH2)5-CO3Hを有するテレフタロイルジアミドペルオキシカプロン酸(省略形でTOPCAPと呼ばれることがある)の場合、界面活性剤の存在下で得られる新しい結晶構造はすでに得られている“標準”生成物(たとえば国際公開第WO 90/14336号明細書の例8)とは異なるということが、NMRおよび赤外法で得られるスペクトルが異なることからわかる。界面活性剤の存在下で得られる新しい結晶生成物は、13C固体NMRにおける著しくかつ鋭い171.2および165.12ppmの化学シフトによって特徴づけられ、一方標準生成物は175.3〔9〕および167.8ppmに鋭い化学シフトを有する。TOPCAPの新しい結晶形の赤外スペクトルは、3400および3160cm-1に新たに加わった強いピークを示し、これは標準生成物に対して新しい形の生成物を特徴づけるものである。また、前記赤外スペクトルは1765cm-1のピークの強度変化を示し、このピークは標準生成物のスペクトルにおけるものよりも相当に強い。また、1735cm-1のピークの強度も変化し、このピークは標準生成物のスペクトルにおけるものよりも相当に弱い。標準生成物の場合と異なり、1100、1120、および1140cm-1に、非常に弱い他の赤外ピークを検出することができる。
式1のペルオキシ酸の場合、界面活性剤なしで得られる結晶ペルオキシ酸標準生成物に比較して、反応混合物からの固体の形での過酸の回収時に、界面活性剤の存在下で生成される新しい生成物は、約170〜180ppmの領域でCO3H中のCに起因する13C固体NMR化学シフトにおいて約4〜約6.5ppmの下方変位により特徴づけられ、そのような二過酸における変位が一般に約4〜4.5ppmであり、そのような一過剰酸における変位が一般に約6〜6.5ppmである。カルボン酸基及び過カルボン基を含む式1の一過酸の場合、界面活性剤なしで得られる結晶ペルオキシ酸標準生成物に比較して、界面活性剤の存在下で得られる新しい結晶生成物は、さらに約170〜180ppmの領域でCO2H中のCに起因する13C固体NMR化学シフトにおいて約5〜6ppmの下方変位によって特徴づけられる。
容易にわかるように、液体媒質中の過酸固体の懸濁液の物理的安定性は、それらの固体の粒径と逆の変化をする。本明細書での説明に従って界面活性剤とその濃度とを選択して、本発明の方法を使用することにより、少なくとも5μの粒径、場合によっては10〜40μの範囲の粒径を有する式1の二過酸または一過酸を得ることができる。改善されたろ過速度の利点を考慮した、水性媒質中での懸濁性を保持する好ましい生成物は、平均粒径10〜20μ特に10〜15μを有する式1の過酸からなる。
多くの場合、希釈の指標したがっていつ希釈をやめるかの指標として、混合物のA値(前の定義)を測定するのが便利である。通常、反応混合物は0.25〜0.6多くの場合0.3〜0.55のA値まで希釈される。正確なA値は、少なくとも一部は、過酸を溶液から固体の形で実質的に採取し終わるときの値に依存し、一部は使用者の粘性率要件に依存し、また一部は、過酸製造者が使用済み反応混合物をどの程度再循環させたいと思うかに依存する。好都合なことに、本発明における希釈工程中の界面活性剤の使用により、本方法の使用者に対して、範囲の大きい方の端のA値を有する(すなわち、約0.4〜約0.5の範囲のA値を選択)が、許容される粘性率を有する希釈組成物の生成というより大きな自由が与えられる。
希釈工程はしばしば回分法によって実施されるが、連続的に実施することもできる。希釈の完了に要する時間は、通常、選択した希釈法の種類によって決まる。反応混合物の流れが界面活性剤含有希釈剤溶液の流れと混合される(たとえば、反応器を通る流れまたは反応容器内において)連続工程または類似の回分工程の場合、希釈は事実上瞬間的に行われるが、実際には、希釈された混合物が選択希釈装置内に存在する平均滞留時間があり、この平均滞留時間は数秒たとえば5秒以上から約20分にわたりうる。別の実施態様特に回分処理の場合、希釈時間は、通常のポンプ輸送装置が液体を希釈容器に送りうる速度と工程段階数とによって決定される。小さな規模の場合、最小値はしばしば数秒で測られるが、トン数で数えるかまたはもっと大きい製造規模の場合、最小値はしばしば少なくとも1分であり、通常約40分以下である。
水性媒質による反応混合物の希釈はいくつかの異なる方法で実施することができる。一つのおそらくもっとも簡単な方法においては、通常、均質液体相の形成を促進するための混合または攪拌手段を用いて、所望程度の希釈が行われるまでの希釈期間の全体にわたり事実上同じ速度で、水性媒質を反応混合物中に導入する。これに代わる方法では、反応混合物をあらかじめ計算した量の希釈剤溶液に導入する。そのような単一段階希釈工程の場合、希釈速度は、液体を受入れ側の液体内にポンプ輸送して混合しうる速度に依存する。
いくつかの他の希釈法たとえば希釈剤を反応混合物に導入する方法では、希釈速度が希釈工程の進行中に変化させられる。たとえば、析出が開始する濃度に到達するまでは速い希釈速度を使用し、そのあとの結晶成長(消化)中には遅い速度とし、そのあと、希釈速度はゆっくりまたは好ましくは高速もしくは中程度とすることができる。この速度変化法の場合、希釈の第1段階では、混合物のA値変化で測定される希釈速度は、一般に、1分あたり少なくとも0.025A値単位であり、多くの場合、1分あたり0.05〜0.2A値単位である。第1段階の希釈時間はしばしば約5秒〜約2分であるが、化学工業的実施により大量の希釈剤を導入する場合には最小限時間を大きくすることができる。
希釈方法のこのバリエーションにおける後続の希釈は、少なくとももう一段階、いくつかの特に好ましい実施態様においては二段階で実施することができ、希釈速度は第2段階の方が第1段階よりも小さい。第2段階の低速希釈は、特に、ある程度の過酸の初期析出の時点から、析出しうる過酸の大部分特に事実上すべてが実際に析出した時点までの期間に適している。好ましくは、第2段階の低速希釈は少なくとも90%特に少なくとも95%の析出可能過酸が析出するまで続ける。低速の第2段階の開始点と終了点を定めるのに便利な方法は、混合物のA値を基準とするものであり、したがって低速段階は一つのA値から第2のA値まで希釈するのに要する時間にわたって継続される。そのようなA値の差は希釈全体におけるA値の変化に比してかなり小さいことが多いが、この期間中の希釈の制御時のA値は大きい。第2段階のA値の差はしばしば約0.03〜約0.06A値単位の範囲で選択される。容易にわかるように、第2段階の希釈速度は、必要であれば、組成物が意図した希釈程度に到達するまで一定に保つことができ、あるいは、析出可能な過酸の少なくとも90%好ましくは少なくとも95%が析出したときのA値に組成物が到達したあとでは異なる希釈速度を用いることができる。
希釈の第2段階中、希釈速度は第1段階におけるものよりも小さく、しばしば少なくとも1/5とするが、これには限定されない。いくつかの好ましい実施態様においては、A値の低下速度を0.02A値単位/分以下とし、多くの場合、この速度は約0.005〜約0.015A値単位/分の範囲で選択される。実際には、一つまたは複数の第2希釈段階における希釈剤は、しばしば、水、希薄過酸化水素、または約0.3以下のA値を有する希薄溶液である。低速希釈を行っているとき、特に好ましくは、反応混合物が約15℃特に約10℃を越えないようにする。
希釈工程の好ましい実施方法において、第2段階の低希釈速度は過酸の主要析出期間中にのみ継続し、後続の希釈は任意の便利な速度で行う。後者の速度は、必要であれば、第1希釈段階の速度と同様のものとすることができるが、あるいは二つの先行段階の中間の速度とすることができる。このバリエーションの場合、二段階法の利点を保存する一方で希釈のあとの部分を加速することができ、したがってプラント利用率を高め、操業コストを改善することができる。理論に束縛されることなく言えば、A値の変化によるペルオキシ酸溶解度の変化率は、希釈による析出が顕著になるA値よりも下の狭い領域で非常に顕著になり、したがって大部分の過酸はA値の小さな変化範囲内で析出するが、小さなA値たとえば約0.5よりも小さなA値におけるA値の変化では溶解度の変化率はずっと小さくなる傾向がある、と考えられる。本発明をもたらしたプログラムにおける実験に基づいて推論するならば、不純物生成傾向は、溶液中に存在する過酸すなわち高A値に特に敏感で、過酸が溶液から析出し、低A値の溶液となるにつれて、この傾向は小さくなっていく。
過酸析出の開始時のA値から事実上の終了に到るまでの経過における第2段階の希釈速度は、しばしば、第2段階の期間が5〜20分の範囲に選択されるように制御される。
好ましくは、第3段階における希釈速度は、第1段階の希釈速度の少なくとも半分から第1段階の希釈速度までとする。第3段階の希釈速度が第2段階のそれよりも大きい場合には、希釈速度を徐々に増大させることによって第3段階の希釈速度を実現することができ、あるいは段階的変化によって実現することができる。多くの場合、第3段階の持続時間は1〜20分の範囲で選択される。
いくつかの実施態様の場合、特に式1の好ましいジペルオキシ酸を使用する場合、第1段階希釈混合物のA値は0.55〜0.65の範囲で選択される。
容易にわかるように、本発明の代替実施法は、希釈速度を過酸析出期間中に相当に遅くする高速全体希釈の概念を含む。
いくつかの別のバリエーションにおいては、希釈工程が、まず反応混合物を希釈剤溶液全体の一部に導入して第1の希釈を行い(すなわち、希釈剤溶液のA値を中間A値まで上昇させる)、そのあと、残りの希釈剤溶液を一部希釈反応混合物に導入して希釈してA値を低下させることによって実施される。一つの段階から次の段階へ移るのに便利な時点は、析出が開始する混合物A値である。このA値は、テレフタロイルジアミドペルオキシカプロン酸のような化合物の場合、約0.6である。そのような工程段階の組合わせにより、酸性度の高い溶液を酸性度の低い溶液内に導入することによって初期希釈を実施することが可能になるばかりでなく、析出の結晶成長段階中の反応混合物のA値の後続低下速度(すなわち、A値が約0.6から約0.55まで低下する領域におけるもの)を制御することができる。一方、容易にわかるように、この後者の組合わせにおける各段階の速度は使用者の裁量の範囲にあるが、第1段階を非常に高速で実施するのが特に好ましい。
希釈工程は、必要であれば、外部冷却と組合わせて実施することができる。外部冷却は、通常の手段、たとえば、希釈が行われる容器のまわりの冷却ジャケットまたは混合物中への冷却コイル浸漬、によって実施することができる。あるいは、(または、さらに、)希釈物質および/または反応混合物を、希釈工程開始前に冷却することができる。多くの場合、希釈工程は、約0〜30℃の範囲内またはこれに到達する混合物温度、いくつかの実施態様においては約5℃〜周囲温度(約22℃)の混合物温度で実施される。
別のバリエーションにおいては、希釈工程は、必要であれば、添加過酸化水素を含む少なくとも一つの希釈剤を用いて、硫酸の存在下または非存在下で実施することができる。過酸化水素はいずれかまたはすべての希釈段階において添加することができる。そのようにすることにより、溶液中に残留しているペルオキシ酸種の再平衡化をある程度防ぐことができ、したがって有用なペルオキシ酸の採取率を高めることができる。一つまたは複数の希釈剤中の過酸化水素の濃度は、好ましくは、回収された希釈反応物質の再循環時の反応混合物で使用される濃度以下とする。いくつかの実施態様においては、過酸化水素は0.5〜5wt%の濃度で添加される。そのような希釈反応物質の再循環は有効であり、過酸化水素が希釈段階で添加された場合には特にそうである。なぜならば、そのようにすることにより、反応物/反応媒質の不経済な費用のかかる廃棄の必要が少なくなるからである。添加過酸化水素が存在する場合、反応媒質が再循環前に濃縮される(すなわち、水除去によって)ときには、高い操業温度を避けるのが好ましい。
粒状過酸を析出させるために水または水性希釈剤により高酸性度の反応混合物を希釈することにより、過酸純度がある程度損なわれ、希釈の方法が生成物粒子の特性に影響を与える。しかし、本発明の方法において制御希釈を使用することにより、また特に、この希釈は界面活性剤の存在下での析出と同時に行われるので、有効酸素含有率および二過酸と一過酸との比率(ジペルオキシ酸生成物の場合)によって測定した純度の低下の程度を制御することが可能であり、一方かなり高速でろ過・洗浄できる粒子形状の生成物が生成される。さらに、制御された一段階法または複数段階法により、狭い粒度分布を有するペルオキシ酸生成物の生成を促進することができ、この分布は生成物の分散速度の制御に有効でありうる。
容易にわかるように、固体過酸生成物から分離された使用ずみ反応混合物は、少なくとも一部、新鮮な硫酸による適当な調節によってさらなる過酸製造に使用できるようにすることにより、再循環させることができ、再循環は、割合に高いA値を有し、再循環前に水除去の必要の小さい使用ずみ混合物によって容易になる。後続の再循環での使用量の決定にあたってすべての残留界面活性剤のことを考えるであろうが、再循環界面活性剤を無視するのがしばしば便利であり、特に非常に低濃度の界面活性剤を用いる場合にはそうである。
以上、本発明を一般的な言葉で説明したが、以下、本発明の特定実施態様をより詳細に述べる。これらの実施態様は単なる例である。
比較例AおよびB
本発明によらないこれらの比較例においては、HO3C-(CH2)5-NH-CO-C6H4-CO-NH-(CH2)5-CO3H(テレフタロイルジアミドペルオキシカプロン酸−TOPCAP)を含む反応混合物を、対応するジカルボン酸(20g)の98%硫酸(40g)溶液を硫酸(36g)中に過酸化水素(85wt%、20.4g)と氷(23.6g)とを含む溶液に30分かけて導入することによって得た。この反応混合物を、水ジャケット/浴によって周囲温度(約23〜25℃)に保ち、0.725のA値を有する反応混合物を生成させた。
次に、このようにして得られたペルオキシ酸含有反応混合物を二等分し、それぞれに異なる希釈および洗浄工程を施した。比較例Aにおいては、攪拌フラスコ内の生成物溶液(110g)を氷(75g)の数秒以内の添加によってクエンチし、0.294のA値を有する希薄混合物を生成させた。固体析出物が観察され、この析出物を、ワットマン541 ろ紙をとりつけた直径約9cmのろ過用漏斗を用いて、標準的な水ポンプによる吸引下でろ過することにより、とり出した。ろ過には4.5分を要した。10gの固体サンプルを、同じ装置により、800mlの実験室脱イオン水で洗浄した。この洗浄には23.8分かけて、pH1.9が得られた。次に、この固体をさらに800mlの水を用いて再び洗浄した。この洗浄には45分をかけ、pH4が得られた。得られた2回洗浄生成物を乾燥し、分析したところ、純度は89%であり、測定された有効酸素含有率は6.68%で、100%純粋なTOPCAPの理論有効酸素含有率7.55%の89%であった。
比較例Bでは、同重量の生成物溶液(110g)を、攪拌フラスコ内の生成物溶液に比較例Aで使用したのと同じ重量の氷水をゆっくりと導入することによりクエンチした。このとき、蠕動(peristaltic)ポンプと60分の導入時間とを使用した。希釈剤添加の20分後、固体の析出が観察された。比較例Aにおけるものと同じ装置を用いて、固体を採取し、そのあと、10gのサンプルを比較例Aのものと同じ装置により800mlの水で2回洗浄した。最初のろ過には2.5分を要し、後続の洗浄にはそれぞれ14.2分および32分を要した。これらの時間はどれも比較例Aにおけるものよりも相当に短く、比較例Bの希釈法により、より容易にろ過および洗浄される生成物が生成されたことを示す。乾燥生成物の分析によれば、純度はわずか81%(有効酸素含有率6.11%)であり、純度の温度かつ望ましくない低下が示された。
以下の例においては、酸性反応混合物中のTOPCAP溶液を、以下に概説する準備法P1、P2、またはP3のうち一つによって製造した。
準備法P1
この方法では、カロ酸(Caro’s acid)溶液を、20℃において、H2SO4溶液(98wt%、15.4g)と氷(1.56g)とから製造し、H22溶液(35wt%、21.9g)を、反応混合物の温度が25℃よりも低く保たれるように冷却しながら、約20分の時間にわたってゆっくりと導入した。TOCAP(10g)を濃硫酸溶液(98wt%、30g)に溶解し、生成される溶液(40g)を、20〜30分の時間にわたってカロ酸(Caro’s acid)溶液に、定速攪拌を加えながら、滴下により導入した。このとき、反応温度を約25℃に保った。次に、反応混合物を約5分間かけて約5℃まで冷却した。
準備法P2
この方法では、カロ酸(Caro’s acid)溶液を、20℃において、H2SO4溶液(98wt%、15.4g)と氷(1.6g)とから製造し、H22溶液(35wt%、21.9g)を、反応混合物の温度が25℃よりも低く保たれるように冷却しながら、約20分の時間にわたってゆっくりと導入した。標準350μふるい上に残留した粒状TOCAP(10g)を、攪拌を加えながら、約5分間かけてカロ酸(Caro’s acid)溶液に少しずつ導入し、次に、濃硫酸溶液(98wt%、30g)を約20〜30分間にわたってゆっくりと導入した。どちらの添加中にも、温度を約25℃に保った。次に、反応混合物を、約5分間かけて約5℃まで冷却した。
準備法P3
この方法では、カロ酸(Caro’s acid)溶液を、20℃において、H2SO4溶液(98wt%、10.85g)と氷(10.85g)とから製造し、H22溶液(70wt%、9.91g)を、反応混合物の温度が25℃よりも低く保たれるように冷却しながら、約10分の時間にわたってゆっくりと導入した。標準350μふるいを通過した粒状TOPCAPを、攪拌を加えながら、約5分間かけてカロ酸(Caro’s acid)溶液に少しずつ導入し、次に、濃硫酸溶液(98wt%、28.4g)を約25分間にわたってゆっくりと導入した。どちらの添加中にも、温度を約25℃に保った。次に、反応混合物を、約5分間かけて約5℃まで冷却した。
準備法P4
この方法では、カロ酸(Caro’s acid)溶液を、20℃において、H2SO4溶液(98wt%、8.6g)と氷(12.2g)とから製造し、H2SO2溶液(85wt%、9.2g)を、反応混合物の温度が25℃よりも低く保たれるように冷却しながら、約20分の時間にわたってゆっくりと導入した。TOCAP(10.0g)を、濃硫酸溶液(98wt%、30.0g)に溶解し、生成される溶液(40.0g)を、20〜30分の時間にわたってカロ酸(Caro’s acid)溶液に、定速攪拌を加えながら、滴下により導入した。このとき反応温度を約25℃に保った。次に、反応混合物を約5分間かけて約5℃まで冷却した。
反応混合物の希釈と固体生成物の析出
次に、P1、P2、P3、またはP4によって製造した反応混合物を、下記の方法QA、QB、QC、またはQDのうち一つによって希釈した。
希釈法QA
この方法では、水中に計算濃度だけ含まれる特定界面活性剤の十分に混合された溶液を、反応混合物を所望の最終A値と特定界面活性剤濃度まで希釈するのに十分であるとあらかじめ計算した量だけ製造し、約10秒〜約2分の持続時間にわたって攪拌しながら、反応混合物に流れによって導入した。
希釈法QB
この方法では、水中に計算濃度だけ含まれる特定界面活性剤の十分に混合された溶液を、反応混合物を所望の最終A値と特定界面活性剤濃度まで希釈するのに十分であるとあらかじめ計算した量だけ製造した。次に、この溶液を、攪拌を加えながら、反応混合物に三段階で導入した。数秒程度続く第1の段階では、あらかじめ計算した量の希釈剤を導入して、A値を析出がちょうど開始する約0.6まで減少させた。約1分後に開始する第2段階では、希釈剤の第2の部分を、約2分間にわたってもっとゆっくりと導入し、A値を約0.55まで減少させ、そのあとの第3段階では、残りの希釈剤を、第2段階の2倍よりも大きな速度で導入し、混合物の最終A値が達成されるまで混合物の温度が30℃を越えないように制御した。
希釈法QC
この方法では、水中に計算濃度だけ含まれる特定界面活性剤の十分に混合された溶液を、反応混合物を所望の最終A値と特定界面活性剤濃度まで希釈するのに十分な量だけ製造し、反応混合物を、約1分間にわたって界面活性剤溶液に導入した。
希釈法QD
この方法では、水中に計算濃度だけ含まれる特定界面活性剤の十分に混合された溶液を、反応混合物を所望の最終A値と特定界面活性剤濃度まで希釈するのに十分な量だけ製造し、5℃よりも低い温度に冷却して、二つの部分に分けた。第1の部分は過酸析出が開始する約0.6のA値まで反応混合物を希釈するのに十分な溶液からなり、第2の部分は残りからなる。反応混合物を、攪拌と冷却を加えながら、約1分間にわたって界面活性剤溶液の第1の部分に導入した。次に、界面活性剤溶液の第2の部分を、約2〜3分間にわたって部分希釈反応混合物に流れによって添加した。
希釈法QE
この方法では、反応混合物と、水中に計算濃度だけ含まれる特定界面活性剤の十分に混合された溶液とを、同時に、最初は空の水冷ジャケットを備えた容器(攪拌器付き)に、約35分間にわたって事実上一定の速度で導入した。反応混合物と界面活性剤との相対量は所定のA値を有する希釈混合物が生じるように計算し、容器内の混合物を大体周囲温度に保った。
希釈剤溶液の界面活性剤濃度は、希釈混合物の特定A値通常0.4または0.5を生じるのに必要な、反応混合物(初期A値は通常0.72)と希釈剤との相対重量を考慮して計算した。計算された希釈剤中の界面活性剤濃度は、A値が約0.4の希釈混合物中の濃度の約2.5倍で、A値が約0.5の希釈混合物中の濃度の約4倍である。
方法QA〜QEによる希釈の完了後、ワットマン541 ろ紙をとりつけたろ過用漏斗を用いて、標準水ポンプによる吸引下でろ過することにより、固体を反応混合物から採取した。明記しないかぎり、各実験系列において、同じ直径のろ過用漏斗を使用し、実験の公平な比較ができるようにした。次に、残留固体を、ろ過用漏斗上の残留固体に水を通すことによって洗浄して不純物を除去した。この洗浄は、時々pH試験紙で比較することにより、ろ液のpHがpH3となるまで続けた。特に、高速洗浄が数分以内に完了する場合には、ときどきある程度の行き過ぎが観察され、流出液のpHが3になったことが測定によって確認されないうちに、流出液のpHが3〜4に達することがあった。洗浄生成物の純度も測定した。
例で使用した界面活性剤は下記のものである。
非イオン
S1−ノニルフェノールエトキシレート。
商品名“ETHYLAN”TUで市販されているもの。
S2−ラウリン(lauric)ジエタノールアミド。
商品名“CRILLON”LDEで市販されているもの。
S3−ココナツ脂肪酸モノエタノールアミド。
商品名“EUMULGIN”C4で市販されているもの。
陰イオン
S4−線状アルキルベンゼンスルホネート(平均として、ドデシル)。
商品名“CAFLON”NAS30で市販されているもの。
S5−カリウムペルフルオロアルキルスルホネート。
商品名“FLUORAD”FC98で市販されているもの。
陽イオン
S6−ココベンジルジメチルアンモニウムクロリド。
商品名“ARQUAD”B50で市販されているもの。
その他の非イオン
S7−線状アルコキシレート。
商品名“ETHYLAN CD964”で市販されているもの。
S8−アルキルフェノールポリグリコールエーテル。
商品名“SANDOXYLATE PN−7”で市販されているもの。
比較例Cおよび例1〜3
これらの例と比較例においては、準備法P4と希釈法QBとにより、反応混合物を最終A値0.4まで希釈した。直径9cmのろ紙を使用した。比較例においては界面活性剤を使用せず、例1〜3においては、界面活性剤はそれぞれS6、S1、およびS4で、希釈反応混合物中の最終濃度が0.40wt%となるようにした。
結果を下記の表1にまとめる。
Figure 0003899125
表1からわかるように、それぞれの界面活性剤の使用の効果により、ろ過時間と、流出液が所望pHとなるまで洗浄するのに必要な洗浄水体積とが相当に減少し、しかも分離された固体過酸生成物の純度に有意の低下は見られない。
得られた生成物を、固体13C NMRと、標準および新しい形のペルオキシ酸生成物の約170〜180ppm領域における、CO3H中のCに帰されるピークの測定および比較とによって調べ、生成物中の標準結晶形と新しい結晶形との重量比を決定した。例1と2の場合、新しい結晶形の比率はそれぞれ82および66%であった。比較例Cにおいては、C結晶形は検出されなかった。
比較例Cの40倍のスケールでの繰返しにおいて、得られる生成物は平均粒径1.75μを有していた。
例4〜8
これらの例においては、標準法と希釈法はそれぞれP1およびQAであり、最終A値0.5を有する希釈反応混合物が得られるようにした。使用した界面活性剤は下記の表2に示す最終濃度のS1である。表2には、結果のまとめをも示す。
Figure 0003899125
表2からわかるように、過酸析出時の界面活性剤濃度が非常に低い場合でも、大きなろ過速度を実現することができる。
例4および6〜8で得られた生成物を、例1のやり方で固体13C NMRによって調べたところ、生成物中の新しい結晶形の比率は界面活性剤濃度の増大につれて増大し、例8、7、6、および4において、それぞれ10%、23%、43%、および74%であった。ここで示す結果における粒度分析は、“Malvern Mastersizer”レーザー粒度アナライザーによって実施した。例6の生成物の平均粒径は約4.5μで相対幅(span)(90パーセント点最大直径から10パーセント点直径を引いたものと、50パーセント点直径との比)は約2.4で、割合に狭い分布を示した。比較例Cの繰返しとの比較によれば、本発明の方法により、平均粒径のかなりの増大が起こる。
例9および10
これらの例においては、標準法P1と希釈法QAとにより、表3に示す濃度の界面活性剤S3を使用して、最終A値0.5の反応混合物が得られるようにした。
Figure 0003899125
表3からわかるように、この界面活性剤も、生成物ろ過に要する時間の短縮に有効である。
例9で得られた生成物を、例1のやり方で固体13C NMRによって調べたところ、この生成物中の新しい結晶形の比率は67%で、粒度分析からは、平均粒径30.6μと相対幅1.8が得られた。
例11および12
これらの例においては、準備法P3と希釈法QAとにより、希釈反応媒質中の濃度が0.066%となる界面活性剤S1またはS2をそれぞれ使用して、最終A値0.55の反応混合物が得られるようにした。
Figure 0003899125
表4からわかるように、希釈溶液中の低濃度の第3の種類の非イオン界面活性剤も、ろ過時間の短縮の達成を可能にする。
例13〜16
これらの例においては、準備法をP2とし、そのあと、下記のいろいろな希釈法を使用した。希釈は、界面活性剤S2の溶液を使用して、A値0.4となるまで実施した。直径7cmのろ紙を使用して得られた結果を、下記の表5にまとめて示す。
Figure 0003899125
表5からわかるように、低濃度または非常の低濃度の界面活性剤を使用して、いろいろな希釈法により高速ろ過を達成することが可能である。
例17
この例では、準備法はP1で、クエンチ法はQEである。希釈された溶液中の界面活性剤S2の濃度は0.4%である。希釈された混合物のA値は0.5である。ろ過時間は10分で、固体の純度は86.1%であった。
例18
この例では、250gのTOCAPを750gの硫酸(98wt%)に溶解させ、またカルボン酸溶液をあらかじめ作っておいた過酸化物溶液(peroxidic solution)に導入した。この過酸化物溶液は、氷/水(39g)、硫酸(385g、98%)、および過酸化水素(847g、35wt%)からなり、温度を15℃よりも低温まで下げた。カルボン酸溶液は、攪拌しながら、30分かけて導入し、混合物の温度は冷却により全体にわたって20℃よりも低温に保った。QAを用いるバリエーションにおいては、次に、混合物を5℃まで急速に冷却し、あらかじめ作っておいた、界面活性剤S2(4g)の脱イオン水(694.5g)溶液を約30秒間にわたって攪拌しながら導入することにより、クエンチした。得られた生成物は高速ろ過と洗浄が可能であり、平均粒径15.6μと相対幅1.9を有していた。
例19
この例では、TOCAP(14kg)を硫酸(42kg、98wt%)に溶解させることにより、カルボン酸溶液を得た。また、硫酸(21.6kg、98%)、過酸化水素(30.7kg、35wt%)、および脱イオン水(2.2kg)を混合することにより、温度16℃の過酸化物溶液を得た。カルボン酸溶液を、攪拌しながら、約30分かけて過酸化物溶液に導入した。この間に温度は約27℃まで上昇した。反応混合物を約5℃まで冷却し、界面活性剤S1(820g)の脱イオン水(52.7kg)溶液(温度10℃を有する)を約1分間かけて導入することにより希釈した、得られた生成物は非常の良いろ過および洗浄特性を示し、平均粒径20.6μを有していた。13C NMRによる解析によれば、過酸の94wt%が新しい結晶形を有していた。
例20
この例では、TOCAP(100g)を硫酸(300g、98wt%)に溶解させることによって、カルボン酸溶液を得た。また、硫酸(154g、98%)、過酸化水素(219g、35wt%)、および脱イオン水(15.6g)を混合することにより、過酸化物溶液を得た。カルボン酸溶液を、攪拌しながら、約30分間かけて過酸化物溶液に導入し、この時間中、温度を周囲実験室温度に保った。反応混合物を約5℃まで冷却し、次に界面活性剤S7(2.49g)の脱イオン水(499g)溶液を約30秒かけて導入することにより希釈した。得られた生成物は、13C NMR解析によれば、過酸の76%が新しい結晶形を有し、また平均粒径約4.4μを有していた。
例21
この例では、例20の手順を1/10の規模で繰返したが、クエンチ液として、界面活性剤S8(0.58g)を脱イオン水(37.7g)中に分散させた分散液を使用した。得られた生成物は平均粒径17.9μを有し、また高速ろ過が観察された。赤外分光法測定によれば、過酸の約60%が新しい結晶構造を有していた。
例22
この例では、例21の手順を繰返したが、界面活性剤S1を使用した。得られた生成物は、平均粒径12μを有し、約50%が新しい結晶構造を有しており、またろ過性が良好であった。
例23
この例では、二過酸に対して過剰の一過酸を含む過酸を製造した。まず、氷(14.94g)、硫酸(98%、13.74g)、および過酸化水素(85%、2.02g)を混合することにより、過酸化物溶液を得た。次に、攪拌しながら、粒状TOCAP(10g)を導入した。室温で、30分にわたって、さらなる硫酸(98%、30g)を導入した。周囲温度で、反応をさらに2時間継続させてから、約5℃まで冷却した。界面活性剤S2(0.38g)の脱イオン水(26.6g)溶液を導入することにより、反応混合物をクエンチした。得られた生成物は、有効酸素量とNMR測定とによれば、43wt%の一過酸、3%のTOPCAP、および54%の未反応出発原料を含んでいた。この生成物は容易にろ過され、またpH3まで洗浄するのに10分かからなかった。固体13C NMRによれば、新しい結晶生成物中には、CO3H中のCに帰される171.1の化学シフトで特徴づけられる一過酸が存在している。これに対して、界面活性剤なしでクエンチした標準結晶過酸生成物中の同じ炭素の化学シフトは177.5にある。同様に、新しい結晶構造の場合、CO2H中のCに帰される13C化学シフトは174.3にあり、これに対して標準構造の場合、179.9にある。13%の一過酸が新しい結晶構造を有すると決定された。
例23からわかるように、新しい結晶構造は、式1の二過酸の場合ばかりでなく、同じジカルボン酸基質から得られる一過酸/モノカルボン酸生成物の場合にも得ることができる。
例24
この例では、a)界面活性剤を用いる本発明によるクエンチ法(前記例で述べたような)によって固体で採取されたTOPCAPの平均粒径の変化と、b)懸濁液の粘性率との関係を示す。12wt%の固体TOPCAPを水に懸濁させ、粘性率をB型粘度計で測定した。平均粒径7.5μの試料は粘性率3100cpを有し、11μのものは1100cp、20μのものは135cpを有していた。この結果は、工程条件を、平均粒径が特に約10〜約15μの範囲にある生成物が得られるように選択・制御すれば、本発明の方法の使用により、10wt%よりも多くの固体TOPCAPを含む、流動させることができるがかなり沈降しにくい懸濁液を得ることが可能である、ということを示す。
例25
この例では、例16の工程を繰返したが、クエンチ液として、界面活性剤S5(0.197g)と氷(19.7g)との混合物を使用した。得られた生成物は、純度88.2%を有し、容易にろ過・洗浄され、pH3までの洗浄には7分かからなかった。走査電顕像によれば、この生成物は主として棒状析出物からなる。

Claims (17)

  1. ペルオキシ酸が式1.HO3C−R’−(NR)a−CO−(NR)b−R”−(NR)c−CO−(NR)d−R”’−CO3Hを有する粒状ジペルオキシ酸であるか又は対応するHO2C−R’−(NR)a−CO−(NR)b−R”−(NR)c−CO−(NR)d−R”’−CO3H(但し、式中、Rは、水素、アルキル、アリール,又は12個以下の炭素原子を有するアルキルアリールもしくはアリールアルキルであり、a+b=1であり、c+d=1であり、R’及びR”’がそれぞれ1〜10個の炭素原子のメチレン又はポリメチレン基であって、随意にアリール基で置換されており、R”が10個以下の原子を有するアリレンもしくはポリメチレン基であるか、又は隣接窒素原子を伴う芳香族複素環基である)である、粒状の低水溶性ペルオキシ酸の製造方法であって、該ペルオキシ酸が少なくとも0.6のA値を有する強酸水溶液中で存在し、該水溶液は、該ペルオキシ酸が該水溶液から析出するのに十分な量の水性希釈剤との混合物とされる、粒状の低水溶性ペルオキシ酸の製造方法において、水、あるいは強酸及び/又は過酸化水素の希薄水溶液から選択される水性希釈剤との接触が少なくとも1種の界面活性剤の有効量の存在下に行われることを特徴とする、前記方法。
  2. 式1のペルオキシ酸において、a及びdがそれぞれ1であり、b及びcがそれぞれ0であり、R’及びR”’がそれぞれペンタメチレン基を示し、R”がフェニレン基を示すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 完全希釈後の溶液が0.3〜0.55の範囲において選択されるA値を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 界面活性剤の量が、希釈済み反応媒質に基づいて0.01〜1重量%の範囲において選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 界面活性剤が、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤又は陽イオン界面活性剤であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 界面活性剤が、アルキルベンゼンスルホネート塩、フッ素化アルキルスルホネート塩、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、アルカノールアミド、アミドエトキシレート、及びアルキルアンモニウム塩から選ばれることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 希釈が一段階で行われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 界面活性剤溶液が反応混合物に導入されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 希釈が複数の段階で行われ、第1段階においては、固体粒状析出物を観察することができるまで希釈を高速で行い、そのあと第2段階においては、希釈をよりゆっくりと行う一方で、溶液からさらなる過酸を析出させ、また析出粒子を成長させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記第1の段階は、析出が開始するA値を実現させるために反応混合物を界面活性剤溶液の一部分に高速で導入することによって行われ、そのあと、界面活性剤溶液の残りを部分希釈された反応混合物に導入することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 固体13C NMR分光方法における165.12及び171.2ppmでの有意義な化学シフト、及び赤外分光方法における3400及び3160cm-1の新しい強いピークを特徴とする、少なくとも1部分が結晶形にある、式HO3C−(CH25−NH−CO−C64−CO−NH−(CH25−CO3Hの粒状ジペルオキシ酸。
  12. 固体13C NMR分光法においてCO3Hに起因する171.1ppmにおける有意義な化学シフト、及びCO2Hに起因する174.3ppmにおける有意義な化学シフトを特徴とする、少なくとも1部分が結晶形にある、式HO2C−(CH25−NH−CO−C64−CO−NH−(CH25−CO3Hの粒状ペルオキシ酸。
  13. 式1.HO3C−R’−(NR)a−CO−(NR)b−R”−(NR)c−CO−(NR)d−R”’−CO3H(但し式中、Rが水素、アルキル、アリール又は12個以下の炭素原子を有するアルキルアリールもしくはアリールアルキルであり、a+b=1であり、c+d=1であり、R’及びR”’がそれぞれ1〜10個の炭素原子のメチレン又はポリメチレン基であって、随意にアリール基で置換されており、R”が10個以下の炭素原子を有するアリレンもしくはポリメチレン基、又は隣接窒素原子を伴う芳香族複素環式基である)の、少なくとも1部分が結晶形にある粒状ジペルオキシ酸又は対応する一過酸において、界面活性剤の存在なしで得られた結晶性ペルオキシ酸生成物におけるCO3HにおけるCにについて観察することができるシフトと比較して、170〜180ppmの領域におけるCO3HにおけるCに起因する13C固体状態NMR化学シフトにおいて4〜6.5ppmの下方変位により特徴づけられる、少なくとも1部分が結晶形にある、上記粒状ジペルオキシ酸又は対応する一過酸。
  14. 10〜40μの平均粒径を有することを特徴とする、請求項13に記載の、少なくとも1部分が結晶形にある粒状ジペルオキシ酸又は対応する一過酸。
  15. 10〜15μの平均粒経を有することを特徴とする、請求項14に記載の、少なくとも1部分が結晶形にある粒状ジペルオキシ酸又は対応する一過酸。
  16. 粒子が板状の形を有することを特徴とする、請求項14又は15に記載の、少なくとも1部分が結晶形にある粒状ジペルオキシ酸又は対応する一過酸。
  17. ペルオキシ酸が、式HO3C−(CH25−NH−CO−C64−CO−NH−(CH25−CO3Hを有することを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項に記載の、少なくとも1部分が結晶形にある粒状ジペルオキシ酸又は対応する一過酸。
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