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JP3899720B2 - 可変バルブタイミング機構 - Google Patents
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JP3899720B2 - 可変バルブタイミング機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、内燃機関(以下、「内燃機関」をエンジンという)の吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを運転条件に応じて変更するための可変バルブタイミング機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンのクランクシャフトと同期回転するタイミングプーリやチェーンスプロケットを介してカムシャフトを駆動し、タイミングプーリやチェーンスプロケットとカムシャフトとの相対回動による位相差を与える可変バルブタイミング機構として、特開平8−121123号公報に示されているようなベーン式の可変バルブタイミング機構が知られている。
【0003】
ベーン式の可変バルブタイミング機構は、各ベーンの周方向両側に設けられた油圧室の圧力差によりベーンを回転させクランクシャフトとカムシャフトとを相対回動させる。
【0004】
従来のベーン式の可変バルブタイミング機構は、各油圧室への給油はカムシャフト内に設けられた油路から行われている。しかし、カムシャフト内に油路を配置することが困難である場合等、エンジン側の設計条件の都合から、カムシャフトとは反対側(フロント側)の端面から油圧を供給したい場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
フロント側の端面から油圧を供給するものとしては、特表平7−507120号公報に示されるようなヘリカル式の可変バルブタイミング機構が知られている。しかしながら、ヘリカル式のものは、部品点数が多い等の問題を有する。
【0006】
また、ベーン式の可変バルブタイミング機構の場合、ベーンロータがハウジング部材に対して相対回動するため、ベーンロータとハウジング部材との間にはクリアランスを設ける必要がある。このクリアランスから、油圧室内の圧油が洩れると、ハウジング部材に対するベーンロータの位相差を高精度に制御することが困難となる。そのため、ベーン式の可変バルブタイミング機構の場合、オイルの洩れを低減することが重要となる。
【0007】
本発明はかかる問題に鑑み、比較的構造が簡単であるベーン式の可変バルブタイミング機構において、オイルの供給をフロント側から行う構成の可変バルブタイミング機構を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、フロント側から圧油を供給する可変バルブタイミング機構において、油圧室や油路の圧油の洩れを低減することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の可変バルブタイミング機構においては、ハウジング部材と、ハウジング部材に収容され油圧により相対回動可能なベーンを有するベーンロータと、ハウジング部材の従動軸が接続されている側と逆側の端面側に接続され両油圧室への油路を提供する油分配器とを備えるという技術的手段を用いる。
【0010】
油圧室への油圧の供給を油分配器に設けられた油路を経て行うことにより、カムシャフト内部の油路を経ることなく、可変バルブタイミング機構を回転支持する側とは反対側から油圧を提供しうるベーン式の可変バルブタイミング機構を提供することができる。
【0011】
さらに、本発明の請求項に記載の可変バルブタイミング機構においては、ハウジング部材には、油分配器内の油路と油圧室とを連通する油路を備えるという技術的手段を用いる。
【0012】
油圧室への油圧の供給は、ハウジング部材内に設けた油路を経て行う。これにより、ベーンロータとハウジング部材との間に設けられる微少クリアランスと離れた位置から油圧を供給できる。そして、上記クリアランスを通って油が油路に洩れることを低減することができる。
【0013】
さらに、本発明の請求項に記載の可変バルブタイミング機構においては、油分配器の先端部において、ハウジング部材若しくはベーンロータに対して回転軸に沿った円筒状の隙間を介して対向して配置され、径方向の隙間を提供する円筒部を備えるという技術的手段を用いる。
【0014】
円筒部を設けることにより、油圧室内から油分配器若しくはハウジング部材に設けられた油路への油の洩れは、油がハウジング部材とベーンロータとの間の微少クリアランス及び回転軸に沿った円筒状の隙間を介することにより低減することができる。特に、円筒部により提供される径方向の隙間は円筒シール面を形成するが、円筒シール面の軸方向の油の洩れは、比較的抑制しやすく、また、シール面を軸方向に比較的長く取ることができるので、円筒部によるシール効果も大きい。その結果、各油圧室の油圧を所望の値に設定することができるので、ハウジング部材に対するベーンロータの位相差を高精度に制御できる。
【0015】
さらに、本発明の請求項に記載の可変バルブタイミング機構においては、円筒部はハウジング部材若しくはベーンロータのいずれか一方に液密に設けられて円筒突出部により形成されるという技術的手段を用いる。
【0016】
円筒部がハウジング部材若しくはベーンロータのいずれか一方に液密に固定されることにより、液密に固定されている側からの油の洩れは完全に防止することができる。その結果、各油圧室の油圧を所望の値に設定することができるので、ハウジング部材に対するベーンロータの位相差を高精度に制御できる。
【0017】
さらに、本発明の請求項に記載の可変バルブタイミング機構においては、円筒突出部は円筒状のブッシュをハウジング部材若しくはベーンロータに圧入固定して形成されるという技術的手段を用いる。
【0018】
本発明の請求項に記載の可変バルブタイミング機構においては、円筒突出部はハウジング部材若しくはベーンロータと一体に成形されているという技術的手段を用いる。
【0019】
円筒突出部を、ハウジング部材及びベーンロータと別体の円筒状のブッシュを圧入固定して形成しても、一体に成形しても、液密に固定されている側からの油の洩れは完全に防止することができる。円筒突出部を別体または一体のいずれの手段により成形するかは、製造の容易性、コスト等を考慮し、自由に選択することができる。
【0020】
本発明の請求項に記載の可変バルブタイミング機構においては、油分配器内に設けられている油路とハウジング部材内に設けられている油路との接続部を挟んで軸方向両側にはシール部材が設けられているという技術的手段を用いる。
【0021】
油分配器内とハウジング部材内とに設けられている油路の接続部を挟んで軸方向両側にシール部材を設けることにより、油が油分配器とハウジング部材との間、または油分配器と円筒部との間を通って洩れることを防止することができる。その結果、各油圧室の油圧を所望の値に設定することができるので、ハウジング部材に対するベーンロータの位相差を高精度に制御できる。
【0022】
本発明の請求項に記載の可変バルブタイミング機構においては、シール部材の一方は油分配器と円筒部との間をシールし、他方は油分配器とハウジング部材との間をシールするという技術的手段を用いる。
【0023】
シール部材の一方は油分配器と円筒部との間している。そのため、円筒部はハウジング部材若しくはベーンロータとの間の円筒シールと円筒部と油分配器との間のシール部材を介してのしーるとの両方に貢献している。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として、本発明を適用した可変バルブタイミング機構の実施例を図1及び図2に基づいて説明する。
【0025】
図1は、図2の要部を通る縦断面図である。可変バルブタイミング機構は、カムシャフト10の端部に設けられており、カムシャフト10とともに回転する。可変バルブタイミング機構の一端からはカムシャフト10が延出し、可変バルブタイミング機構の他端には静止した油分配器8が配置されている。
【0026】
ハウジング部材としてのリアプレート4は、その外周に設けられたギアにより図示しない駆動軸としてのエンジンのクランクシャフトから駆動力を伝達され、クランクシャフトと同期して回転する。従動軸としてのカムシャフト10は、図示しない吸気弁および排気弁の少なくとも一方を開閉駆動する。カムシャフト10は、リアプレート4に対し所定の位相差を生じる範囲内で回動可能である。
【0027】
図2は可変バルブタイミング機構の図1におけるA−A横断面図である。リアプレート4およびカムシャフト10は図2の時計方向に回転する。以下この回転方向を進角方向とする。
【0028】
図2に示すように、シューハウジング2は周方向にほぼ等角度間隔に配設された台形状のシュー2a、2b及び2cを有している。そしてシュー2a、2b及び2cは、円筒状の周壁2dにより連結されている。シュー2a、2b及び2cのそれぞれの内周側先端面は円弧状に形成されている。シュー2a、2b及び2cの周方向の間にはそれぞれベーン1a、1b及び1cの収容室としての扇状空間部が形成されている。
【0029】
ベーンロータ1は、円筒形状の支持部材1dと、ベーン1a、1b及び1cを有する。ベーン1a、1b及び1cは、支持部材1dの外周にほぼ等角度間隔で設けられ、径方向外側に延び、支持部材1dと一体に形成され支持部材1dとともに回転する。ベーン1a、1b及び1cは扇形状に形成され、このベーン1a、1b及び1cがシュー2a、2b及び2cの間に形成されている扇状空間部内に回動可能に収容されている。ベーンロータ1とカムシャフト10とは図示しないノックピンにより回転角度方向の位置決めがなされている。以上の構成により、カムシャフト10及びベーンロータ1はリアプレート4、シューハウジング2及びフロントカバー3からなるハウジング本体9に対して同軸に相対回動可能である。
【0030】
図2に示すように、ベーン1aとシュー2aとの間には遅角油圧室13aが形成され、ベーン1bとシュー2bとの間には遅角油圧室13bが形成され、ベーン1cとシュー2cとの間には遅角油圧室13cが形成されている。また、ベーン1aとシュー2cとの間には進角油圧室12aが形成され、ベーン1bとシュー2aとの間には進角油圧室12bが形成され、ベーン1cとシュー2bとの間には進角油圧室12cが形成されている。
【0031】
図2に示すように、ベーン1a、1b及び1cの外周面と円筒状の周壁2dの内周面との間には微小クリアランス16が設けられており、ベーン1a、1b及び1cにそれぞれ取り付けられたシール部材17で液密にシールされている。また、シュー2a、2b及び2cの台形先端部と支持部材9dとの間に形成される微小クリアランス18は、支持部材1dの外周壁に設けられたシール部材19で液密にシールされている。そして、進角油圧室12a、12b及び12cと遅角油圧室13a、13b及び13cとの隣り合う油圧室間がクリアランス16及び18を介して連通することを防止している。
【0032】
フロントカバー3とベーンロータ1とは相対回動するため、その間には間隔aの微少クリアランス38が設けられている。ベーン1a、1b及び1cの周方向の長さは比較的長い。そのため、進角遅角室と遅角油圧室との連通は、ベーン1a、1b及び1cとフロントカバー3との間の微少クリアランス38でシールすることにより抑制できる。
【0033】
図1に示すように、ベーン1aの内部にはストッパピストン15が収容されており、リアプレート4に形成されたテーパ形状のストッパ穴26に嵌合可能である。ストッパピストン15の図1に示す軸方向左側の収容孔27にはスプリング30が組み込まれている。ガイドリング28は、収容孔27を形成するベーン1aの内壁に遊嵌もしくは圧入しており、ストッパピストン15の外壁と遊嵌している。したがって、ストッパピストン15はカムシャフト10の軸方向に摺動可能にベーン1aに収容され、かつスプリング30によりリアプレート4側に付勢されている。ストッパピストン15は、油圧室28及び29から受ける力とスプリング30の付勢力とのバランスにより、ストッパ穴26に嵌合したりストッパ穴26から抜け出たりする。ストッパピストン15がストッパ穴26から抜け出ると、ベーンロータ9はリアプレート4との連結を解除され、シューハウジング2に対して最遅角位置から最進角位置の角度範囲内で回動自在である。
【0034】
ハウジング部材としてのリアプレート4、シューハウジング2およびフロントカバー3はボルト6により同軸上に締結固定され、ハウジング本体9を形成している。フロントカバー3はその中央部からハウジング外部に向けて円錐台形状の突出部が形成されており、その中央部には円形の開口が設けられている。その開口には、ハウジング本体9の内部を形成する側から後述する円筒ブッシュ7が遊嵌され、ハウジング本体9の外部を形成する側から後述する油分配器8が挿入される。フロントカバー3の開口の円筒ブッシュ7が遊嵌される部分は円筒ブッシュ7の厚さ分開口の径が大きく設定される。円筒ブッシュ7の内径は油分配器8が挿入できるように設定されている。この結果、フロントカバー3の中央には、フロントカバー3に形成された開口の小径部と、開口の大径部に遊嵌された円筒ブッシュ7とにより、径が一定の円形の挿入穴が形成されることとなる。
【0035】
ベーンロータ1の中央部はその両面に、窪部1e、1fが形成されている。カムシャフト10は、その先端をベーンロータ1のリアプレート4側の窪部1fに嵌合し、センターボルト5により同軸上に締結固定されている。ベーンロータ1のフロントカバー3側の窪部1eには、窪部1eの深さより軸方向に長い円筒ブッシュ7が窪部1eの奥まで圧入され固定されている。そして、円筒ブッシュ7の他端はフロントカバー3中央部の開口に遊嵌させる。この円筒ブッシュ7をフロントカバー3中央部の開口に挿入することにより、前述したように油分配器8の挿入穴が形成される。なお、円筒ブッシュ7のベーンロータ1と反対側の端は後述する油路11と油分配器8内の油路との接続部25を形成する。
【0036】
図1に示すように、フロントカバー3に形成された開口の左側からは油分配器8が接続されている。油分配器8には遅角油圧室13a、13b、13cにオイルを供給するための油路34及び進角遅角室12a、12b、12cにオイルを供給するための油路36が設けられている。
【0037】
油分配器8はその先端部がベーンロータ1の中心軸を貫通しているセンターボルト5の頭部に接触しない位置まで挿入されている。そして、油分配器8の先端部の外周部は円筒ブッシュ7の内周面と遊嵌している。したがって、センターボルト5の頭部の周りには油路34からオイルが流れ込む空間14が形成される。ベーンロータ1の窪部1eからは、軸方向に油路21が穿設される。また、油路21から支持部材1dの内部を経て遅角油圧室13bへオイルを供給する油路22が径方向に穿設されている。その結果、空間14から油路21、22を経て遅角油圧室13bに圧油を供給する油路が形成される。この油路21、22は他の2つの遅角油圧室13a及び13cに対しても設けられ、それらの油路は空間14から各遅角油圧室へ放射状に形成される。
【0038】
フロントカバー3には、その内部を通って進角油圧室12aへオイルを供給する油路11が穿設されている。この油路11は、接続部25を介して油路36に接続される。この油路11は他の2つの進角油圧室12b及び12cに対しても同様に、油路36からフロンとカバー3の内部を通って放射状に設けられる。
【0039】
油路11は、フロントカバー3のベーンロータ1と接する面から円錐台状突出部の斜面に沿うように穿設されている。このように油路11を穿設する際、フロントカバー3の中央開口の部分には、バリが発生する。しかし、このバリは油路11から中央開口の方向に向けて発生するため、容易に取り除くことができる。
【0040】
油分配器8の接続部25を挟んで軸方向の両側にリング状のシール部材23及び24が設けられている。シール部材23は接続部25と空間14との連通を防止し、シール部材24は油分配器8の外周とフロントカバー3の開口の内壁との間を経て接続部25内のオイルが外部へ流出するのを防止している。
【0041】
シール部材23の軸方向の長さbと接続部25の軸方向の長さcとの関係はb>cとしている。このように長さを設定すると、シール部材23を装着している油分配器8をフロントカバー3に挿入するときに、シール部材23が接続部25に引っかかることがなく、スムーズに挿入できる。
【0042】
このように、3つの遅角油圧室13a、13b、13cへのオイルの供給は、空間14からベーンロータ1の支持部材1dの内部を通る放射状に設けられた油路21、22を経てなされる。また、3つの進角遅角室12a、12b、12cへのオイルの供給は、油分配器8からフロントカバー3の内部を通る放射状に設けられた油路11を経てなされる。
【0043】
円筒ブッシュ7はベーンロータ1の窪部1eに圧入固定され、円筒突出部を形成している。そのため、進角油圧室12a、12b、12cと空間14とのクリアランス38を介しての連通は、円筒ブッシュ7の外周面と窪部1eの内周面とで完全に防止することができる。また、シール部材23は、接続部25と空間14との連通を防止している。したがって、空間14内の圧油は、進角油圧室12a、12b、12c、油路36、油路11及び接続部25内の圧油と混ざり合うことはない。
【0044】
また、円筒ブッシュ7の外周面とフロントカバー3の開口内周面との間には、円筒シール面が形成されている。この円筒シール面は軸方向に比較的長く取ることができるので、遅角油圧室13a、13b、13cからクリアランス38及び円筒ブッシュ7と開口内周面との間を通って圧油が接続部25に洩れることを抑制している。
【0045】
次に、可変バルブタイミング機構の作動を説明する。
【0046】
(1)図1および図2に示すように、エンジン始動時ポンプ37からの圧油が進角油圧室12a、12b、12c及び遅角油圧室13a、13b、13cのいずれにもまだ導入されていないとき、クランクシャフトの回転に伴いベーンロータ1はシューハウジング2に対して最遅角位置にあり、ストッパピストン15はスプリングの付勢力によりリアプレート4の突起26に嵌合しており、ベーンロータ1はストッパピストン15によりシューハウジング2と連結されている。エンジン始動後、ポンプ37から圧油が十分に供給できるようになった後、油圧室28にオイルが供給され突起26とストッパピストン15との嵌合が解除される。そして、以下の(2)から(4)のいずれかの作動が選択される。
【0047】
(2)切替バルブ31の31aが選択されてポンプ37から圧油が圧送されると、油路33、34に圧油が供給され、油路34から空間14及び支持部材1dに穿設された油路21、22を介して遅角油圧室13a、13b、13cに圧油が分配される。そして、進角油圧室12a、12b、12cの圧油は油タンク32へ開放される。遅角油圧室13a、13b、13cの圧油がそれぞれベーン1a、1b、1cの側面に作用すると、ベーンロータ1はシューハウジング2に対して図2の反時計方向すなわち遅角方向へ回動し、カムシャフト10のバルブタイミングが遅らせられる。
【0048】
(3)切替バルブ31の31cが選択されると、ポンプ37からの圧油は油路35、36に供給され、油路36からフロントカバー3に穿設された油路11を介して進角油圧室12a、12b、12cに圧油が分配される。また、遅角油圧室13a、13b、13cの圧油は、油タンク32へ開放される。進角油圧室12a、12b、12cの油圧がそれぞれベーン1a、1b、1cの側面に作用すると、ベーンロータ1はシューハウジング2に対して図2の時計方向すなわち進角方向へ回動し、カムシャフト2のバルブタイミングが早められる。
【0049】
(4)ベーンロータ1がシューハウジング2に対して進角方向、あるいは遅角方向へ回転している途中で切替バルブ31bを選択すると、遅角油圧室13a、13b、13c及び進角油圧室12a、12b、12cの油は流入および流出が遮断され、ベーンロータ1は中間の位置に保持される。
【0050】
エンジン始動後の(2)から(4)の各状態をエンジンの作動状態に応じて適当に選択することにより、ベーンロータ1の位置を制御し、所望のバルブタイミングを得ることができる。(2)から(4)の各状態において、ベーンロータ1の外周壁とシューハウジング2の内周壁との間のシール性は常に確保されているので、各油圧室から圧油がシューハウジング2の内壁面を経て漏れ出ることを防ぐことができる。
【0051】
油圧の供給をカムシャフト10内の油路をではなく、フロント側から挿入した油分配器8を用いて行うことにより、エンジン側の設計条件によりカムシャフト10内に油路を設けるのが困難な場合にも、油圧室に圧油を供給することができる。
【0052】
また、両油圧室への油圧の供給は、フロントカバー3内に設けた油路11を経て行う。これにより、ベーンロータ1とフロントカバー3との間に設けられる微少クリアランス38と離れた位置から油圧を供給できる。そして、微少クリアランス38を通って油が油路に洩れることを低減することができる。
【0053】
油分配器8の先端部には円筒部を形成する円筒ブッシュ7が設けられている。円筒ブッシュ7は、フロントカバー3の中央開口の大径部に遊嵌され、円筒ブッシュ7の外周面と開口内周面とで円筒シール面が形成される。この円筒シール面により、遅角油圧室13a、13b、13cから接続部25に油が洩れることを低減することができる。また、円筒ブッシュ7は、ベーンロータ1の窪部1eに圧入固定され、円筒突出部を形成している。そのため、進角油圧室12a、12b、12cがクリアランス38を介して空間14と連通するのを防止することができる。
【0054】
また、シール部材23により、フロントカバー3に設けられた進角油圧室へのオイル供給のための油路11と空間14との間の連通を防止している。シール部材24は接続部25から油分配器8の外周面とフロントカバー3の挿入穴の内壁との間を通って、油が外部へ流出するのを防止している。
【0055】
上述のように、円筒ブッシュ7及びシール部材23により、進角側と遅角側とが連通することはない。また、シール部材23により圧油が外部に洩れ出ることもないので、ハウジング本体9に対するベーンロータ1の位相差を高精度に制御できる。
【0056】
本実施例においては、進角油圧室12a、12b、12cへの圧油の供給はフロントカバー3内に設けた油路11を用い、遅角油圧室13a、13b、13cへはベーンロータ1内に設けた油路21、22を用いたが、その逆の構成にしてもよい。また、フロントカバー3に進角及び遅角の両方の油圧室への油路を設けて、そこから圧油を供給してもよい。
【0057】
本実施例においては、円筒ブッシュ7はベーンロータ1の窪部1eに圧入固定したが、円筒ブッシュ7をフロントカバー3の開口大径部に圧入固定してもよい。この場合には、進角油圧室12a、12b、12cと空間14とのクリアランス38を介しての連通は、円筒ブッシュ7の外周面とベーンロータ1の中央部の窪部1eとの間の円筒シール面で抑制する。また、遅角油圧室13a、13b、13cから接続部25への油の洩れは、円筒ブッシュ7の外周面とフロントカバー3の中央開口との間に形成される円筒シール面にて低減することができる。
【0058】
また、円筒ブッシュ7をベーンロータ1の窪部1e及びフロントカバー3の開口大径部のどちらにも圧入固定せず、両方に遊嵌されて設けてもよい。その場合、円筒ブッシュ7の外周面を経ての油の洩れは、窪部1e側及び接続部25側のどちらも完全には防止することはできない。しかし、円筒ブッシュ7の外周面と、窪部1e及びフロントカバー3の中央開口との間に形成される円筒シール面にて、油の洩れを低減することはできる。
【0059】
また、円筒ブッシュ7を単体部品として用いずに、図3に示すようにフロントカバー3の開口大径部と一体に円筒突出部として成形してもよい。また、円筒ブッシュ7をベーンロータ1とを一体に円筒突出部として成形してもよい。このように円筒突出部として一体成形した場合は、円筒ブッシュ7を圧入固定した後の状態が初めから得られているので、円筒ブッシュ7をベーンロータ1または開口大径部のいずれか一方に圧入固定したときと同様のシール効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の可変バルブタイミング機構を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の可変バルブタイミング機構を示す横断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の可変バルブタイミング機構を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ベーンロータ
2 シューハウジング(ハウジング部材)
3 フロントカバー(ハウジング部材)
4 リアプレート(ハウジング部材)
5 センターボルト
6 ボルト
7 円筒ブッシュ
8 油分配器
9 ハウジング本体
10 カムシャフト
11、21、22、33、34、35、36 油路
14 空間
15 ストッパピストン
25 接続部
31 切替えバルブ
37 ポンプ
50 シール薄板

Claims (4)

  1. 内燃機関の駆動軸から内燃機関の吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を開閉する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、一方の端面側で回転可能に支持される可変バルブタイミング機構において、ハウジング部材と、
    前記ハウジング部材に収容されて、周方向両側に設けられた油圧室からの油圧により前記ハウジング部材に対し所定角度範囲に限って相対回動可能なベーンを有するベーンロータと、
    前記ハウジング部材の他方の端面側から回転軸上に、前記ハウジング部材並びに前記ベーンロータと対向して配置され、前記両油圧室への油路を提供する油分配器とを備え
    前記ハウジング部材には、前記油分配器内の油路と前記油圧室とを連通する油路を備え、
    前記油分配器の先端部において、前記ハウジング部材若しくは前記ベーンロータに対して回転軸に沿った円筒状の隙間を介して対向して配置され、径方向の隙間を提供する円筒部を備え、
    前記円筒部は、前記ハウジング部材若しくは前記ベーンロータのいずれか一方に液密に設けられた円筒突出部により形成され、
    前記円筒突出部は、円筒状のブッシュを前記ハウジング部材若しくは前記ベーンロータに圧入固定して形成されることを特徴とする可変バルブタイミング機構。
  2. 前記円筒突出部は、前記ハウジング部材若しくは前記ベーンロータと一体に成形されていること特徴とする請求項1に記載の可変バルブタイミング機構。
  3. 前記油分配器内に設けられている油路と前記ハウジング部材内に設けられている油路との接続部を挟んで軸方向両側にはシール部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の可変バルブタイミング機構。
  4. 前記シール部材の一方は前記油分配器と前記円筒部との間をシールし、他方は前記油分配器と前記ハウジング部材との間をシールすることを特徴とする請求項3に記載の可変バルブタイミング機構。
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