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JP3899766B2 - 圧縮着火式内燃機関 - Google Patents
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JP3899766B2 - 圧縮着火式内燃機関 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転条件に従って圧縮着火燃焼と火花点火燃焼とを切り替える内燃機関に係り、特に燃焼室に連通可能な副室を設けた圧縮着火式内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の予混合圧縮着火式内燃機関としては、特開平10−196424号公報に開示された技術が知られている。この技術によれば、圧縮着火燃焼における過早着火や失火を防ぐために、圧縮上死点近傍において燃焼室容積を急激に減ずるなどして、筒内の圧力を急増させ、それによって筒内温度の一斉上昇を引き起こし、筒内一斉に自着火を発生させることで、着火のタイミングを制御しようとしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成では、圧縮上死点付近で筒内の圧力および温度が一様に高まるため、筒内一斉に自着火が発生し、燃焼による圧力上昇が急激に起こり、ノッキングによるエンジン騒音が著しく増大するという問題点があった。
【0004】
また、急激な燃焼により筒内圧力上昇率や最大筒内圧が大きくなるため、燃焼室構造を頑強にする必要が生じ、製造コストが増大したり、部品重量の増大により車両燃費の向上が図れないという問題点があった。
【0005】
以上の問題点に鑑み、本発明の課題は、着火タイミングを正確に制御するとともに、筒内全体ではなく部分的に着火させて穏やかな燃焼を行うことにより、エンジン騒音を低減した圧縮着火式内燃機関を提供することである。
【0006】
また本発明の別の課題は、燃焼時の筒内圧力上昇率や最大筒内圧力を低下させて、製造コスト及び車両重量の増加を防止し、燃費の向上が図れる圧縮着火式内燃機関を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、筒内に少なくとも1本の点火栓と、燃焼室に連通可能な副室と、この副室及び燃焼室間を開閉する副室弁とを備え、運転条件に応じて圧縮着火燃焼と火花点火燃焼を切り替える圧縮着火式内燃機関であって、圧縮着火燃焼時には、副室内に燃焼ガスを閉じ込め、圧縮上死点付近において、機関回転数が低いほどまたは機関負荷が高まるに従って副室弁開時期を遅らせ、機関回転数が高まるに従ってまたは機関負荷が低いほど副室弁開時期を早めるように、前記副室弁を開き、副室内の燃焼ガスを再圧縮させるとともに筒内に副室弁開以前に供給された混合気と接触・伝熱することで局所的に圧縮着火燃焼を開始させ、火花点火運転時には、前記副室弁の閉状態を維持することを要旨とする。
【0008】
上記課題を解決するため請求項2記載の発明は、請求項1記載の圧縮着火式内燃機関において、筒内に少なくとも1本の燃料噴射弁を備え、圧縮着火燃焼時の排気行程に前記副室弁を開くとともに、燃料を少量噴射し、副室内に燃料の一部を燃焼ガスとともに閉じ込めることを要旨とする。
【0009】
上記課題を解決するため請求項3記載の発明は、筒内に少なくとも1本の点火栓と、燃焼室に連通可能な副室と、この副室及び燃焼室間を開閉する副室弁とを備え、運転条件に応じて圧縮着火燃焼と火花点火燃焼を切り替える圧縮着火式内燃機関において、圧縮着火燃焼時に、排気弁閉時期を進角し、吸気弁開時期を遅角して、排気上死点付近で燃焼室が密閉される密閉期間を設定し、前記密閉期間中に副室弁を開閉して燃焼ガスを閉じ込めるとともに、圧縮上死点付近において副室弁を開き、副室内の燃焼ガスを再圧縮させ、筒内に副室弁開以前に供給された混合気と接触・伝熱することで局所的に圧縮着火燃焼を開始させ、火花点火燃焼時には、副室弁の閉状態を維持することを要旨とする。
【0010】
上記課題を解決するため請求項4記載の発明は、請求項3記載の圧縮着火式内燃機関において、筒内に少なくとも1本の燃料噴射弁を備え、圧縮着火燃焼時の前記密閉期間中に、前記副室弁を開くとともに燃料を少量噴射し、副室内に燃料の一部を燃焼ガスとともに閉じ込めることを要旨とする。
【0011】
上記課題を解決するため請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の圧縮着火式内燃機関において、前記副室はシリンダヘッドから断熱されたことを要旨とする。
【0012】
上記課題を解決するため請求項6記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の圧縮着火式内燃機関において、前記副室の形状が略半球形であることを要旨とする。
【0013】
上記課題を解決するため請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の圧縮着火式内燃機関において、圧縮着火燃焼時に、機関負荷の上昇と共に前記副室弁の開時期を遅らせることを要旨とする。
【0014】
上記課題を解決するため請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の圧縮着火式内燃機関において、圧縮着火燃焼時に、機関回転数の上昇と共に前記副室弁の開時期を早めることを要旨とする。
【0015】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、圧縮着火燃焼時には、副室に高温の燃焼ガスを閉じ込め、圧縮上死点付近において、機関回転数が低いほどまたは機関負荷が高まるに従って副室弁開時期を遅らせ、機関回転数が高まるに従ってまたは機関負荷が低いほど副室弁開時期を早めるように、副室弁を開き、副室内の高温ガスを再圧縮させ、筒内に副室弁開以前に供給された混合気と接触・伝熱することで混合気の反応を局所的に引き起こし、部分的に圧縮着火燃焼を開始させるようにしたために、着火時期を制御できるとともに、副室付近から順次燃焼を行わしめることができるので、急激な圧力上昇による騒音増大や筒内最高圧力の上昇を引き起こすことなく、ノッキングを抑制して安定した燃焼を行うことが出来るという効果がある。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、圧縮着火燃焼時の排気行程に副室を開放するとともに、筒内に設けた燃料噴射弁から燃料を少量噴射し、副室内に燃料の一部を燃焼ガスとともに一定期間閉じ込めるようにしたことで、高温の燃焼ガスによって副室に閉じ込められた燃料が着火しやすいアルデヒドなどの活性種に改質され、圧縮上死点付近で副室が開放され、再圧縮された際に、混合気との接触・混合により確実に燃焼を開始させることが可能となり、さらに安定した安定した燃焼を行うことが出来る。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、圧縮着火燃焼時に、排気弁閉時期を進角し、吸気弁開時期を遅角して、排気上死点付近で密閉期間を設定し、この密閉期間中のある一定期間、副室を開放し高温の燃焼ガスを閉じ込めることで、再圧縮され温度が上昇した燃焼ガスを保持し、圧縮上死点付近において副室弁を開き、副室内の高温ガスを再圧縮させ、筒内に副室弁開以前に供給された混合気と接触・伝熱することで混合気の反応を局所的にかつ確実に引き起こし、部分的に圧縮着火燃焼を開始させるようにしたために、着火時期を制御できるとともに、副室付近から順次燃焼を行わしめることができるので、急激な圧力上昇による騒音増大や筒内最高圧力の上昇を引き起こすことなく、ノッキングを抑制して安定した燃焼を行うことが出来るという効果がある。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明の効果に加えて、前記密閉期間中に、副室を開放するとともに筒内に設けた燃料噴射弁から燃料を少量噴射し、副室内に燃料の一部を高温の燃焼ガスとともに閉じ込めるようにしたことで、副室に閉じ込められた燃料が高温の燃焼ガスによって短時間で着火しやすいアルデヒドなどの活性種に改質され、圧縮上死点付近で副室が開放され、再圧縮された際に、混合気との接触・混合により確実に燃焼を開始させることが可能となり、さらに安定した燃焼を行うことが出来る。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし請求項4記載の発明の効果に加えて、副室がシリンダヘッドから断熱されているため、副室に閉じ込めた燃焼ガスの冷却を防止し、十分に高温な燃焼ガスにより次回の混合気の着火を行うことが出来る。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし請求項5記載の発明の効果に加えて、副室の形状が略半球形であるため、副室に閉じ込めた燃焼ガスの断熱効果が増大するとともに、燃焼時の冷却損失を減少させ、安定した燃焼を行うことが出来る。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし請求項6記載の発明の効果に加えて、圧縮着火燃焼時に、機関負荷の上昇と共に副室の副室弁開時期を遅らせることで、ピストンの圧縮圧力が下降するとともに燃焼を行われるため、筒内に供給された混合気濃度が濃い場合の燃焼速度を緩和でき、機関負荷の高低に関わらず、安定した燃焼を行うことが出来る。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、請求項1ないし請求項7記載の発明の効果に加えて、圧縮着火燃焼時に、機関回転数の上昇と共に副室弁開時期を早めることで、燃焼反応を引き起こす時期を早め、機関高回転時は燃焼反応に要する時間が一定であると、反応速度に対するピストンの往復速度が相対的に早まるため、燃焼が終了する以前に筒内圧力が低下し失火が引き起こされることを防ぎ、機関回転数の高低によらず、安定した燃焼を行うことが出来る。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る圧縮着火式内燃機関の第1実施形態の燃焼室の構成を示す縦断面図(a)と平面図(b)である。
【0024】
図1において、シリンダブロック1と、シリンダヘッド2と、ピストン12とで燃焼室(主室とも呼ぶ)13が形成されている。またシリンダヘッド2には、吸気ポート3と、吸気弁4と、排気ポート5と、排気弁6と、筒内に直接燃料を噴射することができる燃料噴射弁7と、火花点火燃焼時に火花放電を行う点火プラグ8と、略半球状の副室9と、機関回転に同期して開閉可能な副室弁10と、副室9とシリンダヘッド2との間を断熱する副室断熱部材11と、副室弁用バルブスプリング14とが設けられている。
【0025】
図1において、本発明に特徴的な構成は、シリンダヘッド2から副室断熱部材11により断熱された副室9を設け、副室弁10を開閉することにより、燃焼室13と副室9とを連通、遮断可能としたことにある。そして、圧縮着火燃焼時には、副室9内に燃焼ガスを閉じ込め、圧縮上死点付近において副室弁10を開き、副室9内の燃焼ガスを再圧縮させるとともに筒内に副室弁10の開以前に供給された混合気と接触・伝熱することで局所的に圧縮着火燃焼を開始させ、火花点火運転時には、副室弁10の閉状態を維持するようにしている。
【0026】
副室9をシリンダヘッド2から断熱する副室断熱部材11及び副室弁10の材質としては、断熱性に加えて、常温から高温までの優れた強度、破壊靱性、耐摩耗性を兼ね備えたエンジニアリング・セラミックス、例えば、窒化ケイ素、チタン酸アルミニウム等材料としたセラミックスを用いることができる。
【0027】
これら副室断熱部材11及び断熱性の副室弁10により、副室9に一時的に閉じ込められた燃焼ガスは、次のサイクルの上死点付近で副室弁10が開くまで高温が保持されるようになっている。
【0028】
また、本発明においては、図9に示すように、圧縮着火燃焼と火花点火燃焼を運転条件に応じて切り替えることで、圧縮着火燃焼による低燃費と火花点火燃焼による高出力を両立することが可能となる。
【0029】
図2は本発明における第1実施形態のバルブタイミングと副室弁の開閉時期を示すものである。
吸気弁4及び排気弁6は、通常のエンジンと同様なオーバーラップバルブタイミングを有し、副室弁10は圧縮上死点付近で開き、膨張下死点付近で閉じるようにタイミング設定されている。
【0030】
吸気弁4及び排気弁6は、例えば通常のカム駆動により開閉制御されている。副室弁10は、例えば図12に示すように、副室弁10のステム上部に油圧シリンダ17を設け、油圧ポンプ15で発生される油圧を用いて副室弁10を所望の時期に開閉することができる。
【0031】
副室弁開時期には電磁弁16を開き、電磁弁18を閉じて、油圧ポンプで発生された油圧を油圧シリンダ17に導入する。この油圧は副室弁10のバルブスプリング14を圧縮しながら副室弁10を押し下げて副室弁10を開く。副室弁閉時期には電磁弁16を閉じ、電磁弁18を開いて油圧シリンダ17の油圧をオイル帰還路へ逃がすことにより、バルブスプリング14の反力で副室弁10を閉じることができる。
【0032】
副室弁10の開閉を制御する電磁弁16、18は図示しないエンジンコントロールユニットからの信号で所望の時期に開閉することができるようになっている。
【0033】
尚、副室弁10の開閉もカム駆動によって実現することもできるが、火花点火燃焼時に副室弁を閉状態に維持するためのロストモーション機構を組み込んだり、後述するように圧縮着火時期の最適制御のために、副室弁開時期を制御するなど機構が複雑となる。
【0034】
次に、図4に基づいて、第1実施形態における部分負荷時のある定められたエンジン負荷及び回転数時の圧縮着火燃焼におけるエンジンの作動を行程順に説明する。
【0035】
まず、(a)吸気行程において燃料噴射が行われる。本実施の形態では、燃料噴射は筒内の2つの吸気弁4間に設けた燃料噴射弁7より燃焼室中心付近へやや下向きに行われるような構成となっている。吸気行程中に噴射された燃料は吸気の流れによって筒内で新気と混合しつつ(b)圧縮行程で圧縮され、圧縮上死点付近では均質混合気が形成される。燃料噴射量は機関負荷によって決定されるため、機関負荷が高いほど、筒内の混合気濃度は一様に濃くなる。
【0036】
次に、(c)圧縮上死点近傍において、副室弁10を開く。副室9内に前サイクルに閉じ込められた高温の燃焼ガスは、圧縮上死点付近の筒内圧に対して低いため、筒内の混合気が副室9内に流入すると共に、副室9内の燃焼ガスが急速に圧縮される。燃焼ガスは急速圧縮によって大幅に温度が上昇する。
【0037】
その結果、副室内に流入した混合気が高温ガスと接触・混合し、他に先駆けて燃焼反応を開始し、次の(d)膨張行程へ移る。このように副室内またはその付近から燃焼が開始されることによって順次隣接する混合気の燃焼が促進され、図11に示すように緩やかに筒内全体にわたって燃焼が進行する。
【0038】
次いで(e)排気行程前半に副室弁10を閉じ、筒内の残留燃焼ガスを副室9内に次サイクルの圧縮上死点付近まで閉じ込める。副室9内はシリンダヘッド2および燃焼室13に対して断熱されているため、次サイクルの圧縮上死点付近まで温度を低下することなく保持される。
【0039】
この結果、副室弁10の開時期によって、着火時期を制御することが可能となる。機関負荷が高い場合、混合気の燃焼反応による局所的な発熱量が大きいため、相隣る混合気の反応への供給が大きくなるため結果として燃焼速度が高められる。ピストンの圧縮により筒内圧力がピークを迎える時期でこのような燃焼反応が開始された場合、圧力が高いことと、局所的な発熱量が大きいことが相重なり、図10に示すように急激な燃焼による筒内圧力の急増による騒音が発生する。
【0040】
これらを回避するために、機関負荷に応じて副室弁10の開時期、即ち反応開始時期をある程度遅めることで、筒内圧力が圧縮上死点より低下した時期に燃焼を開始するようにすることが有効である。
【0041】
また、副室内の高温ガスによって反応を開始する混合気の化学反応(燃焼)時間は、同様な筒内圧、同様な副室内ガス温度では、機関回転数によらずほぼ一定となる。化学反応時間が同一でも、機関回転数が高い場合、ピストンの運動すなわちピストンの圧縮による筒内圧の変化は早くなる。
【0042】
その結果、副室付近より開始された反応が筒内に行き渡る以前に筒内圧力がピストンの下降によって低下し、燃焼速度が大幅に低下し、十分な出力が取り出せなかったり、燃焼が中断され、未燃HCが多量に排出されたりすることが考えられる。
【0043】
これらを回避するために、副室弁10の開時期、即ち反応開始時期をある程度早め、筒内圧力が高いうちに燃焼を進行させることで、ある一定期間内に燃焼を終了させることが有効である。
【0044】
上述した機関回転数、機関負荷による着火時期の制御方法を図5、図6にそれぞれ示す。
図5において、圧縮着火燃焼領域の機関回転数において、機関回転数が低いほど副室弁開時期を遅らせ、機関回転数が高まるに従って副室弁開時期を早めている。そして、圧縮着火燃焼領域から火花点火領域へ移ると、副室弁は閉じた状態を維持し、副室を利用することなく火花点火燃焼が行われる。
【0045】
図6において、圧縮着火燃焼領域の機関負荷において、負荷が低いほど副室弁開時期を早め、負荷が高まるに従って副室弁開時期を遅らせている。そして、圧縮着火燃焼領域から火花点火領域へ移ると、副室弁は閉じた状態を維持し、副室を利用することなく火花点火燃焼が行われる。
【0046】
このように、すべての圧縮着火燃焼運転時にわたって、燃焼騒音を防ぎつつ、安定した燃焼を行うには、着火時期の制御が不可欠であり、本発明では、高温の残留燃焼ガスを副室内に閉じ込めて圧縮上死点付近で副室弁を開放することで残留燃焼ガスを急速に圧縮し、さらに温度を高めるとともに、残留燃焼ガスと混合気とを接触させ、副室付近の一部の混合気から燃焼を開始させることができる。さらに、副室弁開時期を任意に制御することにより、任意の時期に燃焼を開始させることが可能となるため、安定した燃焼と燃焼騒音の抑制を両立できる。
【0047】
また、安定した着火源を有する構成としたため、圧縮比を著しく高めることなく安定した燃焼が可能となり、また、筒内に均質に混合気を供給するため、NOx やスモークの発生も同時に抑制できる。
【0048】
なお、火花着火運転時は、シリンダヘッドから断熱された高温壁面からのノッキングの発生を抑えるため、副室弁は常に閉とする。
【0049】
次に、燃焼室13の容積に対する副室9の容積の比を考察する。
燃焼室13の容積に対する副室9の容積が小さすぎると、副室容積に対する副室表面積が増加するので、断熱部材で断熱されているとは言え、副室9内に閉じ込められた燃焼ガスが放熱して温度低下が大きくなり、圧縮上死点付近で副室弁を開いたときに圧縮された残留燃焼ガスの温度が混合気に着火させる温度まで上昇しないことが考えられる。
【0050】
これとは逆に、燃焼室13の容積に対する副室9の容積が大きすぎると、副室弁開時に燃焼室13の圧力が大幅に低下して着火しなくなったり、副室弁閉状態で圧縮したときに副室弁開時期以前に着火してしてしまうなど、本発明の作用を行えない場合が生じる。
【0051】
以上の2点を考慮して、燃焼室容積に対する副室容積は、小さすぎず大きすぎず適切な容積比があり、5%程度が好ましいと言える。
【0052】
例えば、気筒当たりの排気量を500cm、圧縮比を15とすると、燃焼室(主室+副室)容積35.7cm程度となり、これに対して副室容積を5%とすると1.8cmとなる。すると、副室閉状態では、圧縮比が15.7となり、モータリングPmaxが3.87→4.12MPaの差異が生じるが大きな問題とはならない。これに対して副室容積比を10%とすると、副室容積は3.6cmとなり、副室閉時の圧縮比が16.56、Pmaxが4.42MPaとなり、15%近く圧縮圧力が上昇してしまうため、副室開閉によらず早期着火が起こると考えられる。
【0053】
次に、本発明に係る圧縮着火式内燃機関の第2実施形態を説明する。燃焼室自体の構成は、図1に示した第1実施形態と同様である。本実施形態においては、可変動弁装置を備えて、圧縮着火燃焼時と火花着火燃焼時とで吸気弁4及び排気弁6のバルブタイミングを変更している。
【0054】
図3は、第2実施形態におけるバルブタイミングと副室弁の作動タイミングを示す図である。本実施形態においては、圧縮着火燃焼時に排気弁閉時期(EVC)を進角し、吸気弁開時期(IVO)を遅角して、排気上死点付近に燃焼室の密閉期間(マイナスO/L期間)を設けるようバルブタイミングを選択している。そして副室弁は、このマイナスO/L期間に開閉すると共に、圧縮上死点付近で開き、膨張下死点付近で閉じるように動作する。
【0055】
火花着火燃焼時は、通常のオーバーラップタイミングを選択するとともに、副室弁は閉状態を維持する。
【0056】
次に、図7に基づいて、第2実施形態における部分負荷時のある定められたエンジン負荷・回転時の圧縮着火燃焼におけるエンジンの作動を行程順に説明する。
【0057】
第1実施形態と同様に、(a)吸気行程で筒内の2つの吸気弁4間に設けた燃料噴射弁7より燃焼室中心付近へやや下向きに燃料噴射が行われ、(b)圧縮行程の後半においては均質な混合気場が形成される。次いで(c)圧縮上死点近傍において、副室弁10を開き、副室内に閉じ込められた残留燃焼ガスを圧縮してさらに温度を高めるとともに混合気と接触させて燃焼を開始させ、(b)膨張行程へ移る。
【0058】
ここで、第2実施形態においては、可変動弁装置を作動させることにより、図3に示したように、排気上死点付近に燃焼室の密閉期間を設けるようバルブタイミングを選択している。(e)排気行程の前半では、通常のエンジンと同じくシリンダの排気ガスは排気弁から排気ポートへと排出される。(f)排気行程後半では、排気弁を閉じて高温の燃焼ガスを閉じ込め、再度圧縮を行い、筒内に高温、高圧の状態を形成する。
【0059】
この密閉期間中の上死点前後に副室を開き、再圧縮された高温高圧ガスを副室内に閉じ込める。ここで、副室の開閉時期はピストンによる圧縮時の開期間とピストン下降時の開期間が等しいように開閉することで、密閉期間中の圧縮仕事を回収し燃費の悪化を起こさないようにする。
【0060】
副室内に密閉期間中に閉じ込められた高温の燃焼ガスは、圧縮上死点付近の筒内圧に対しては低いため、圧縮上死点付近で再度開放した場合、筒内の混合気が副室内に流入する。これにより、副室内の燃焼ガスは急速に圧縮され、大幅に温度が上昇し、その結果、副室内に流入した混合気が高温ガスと接触・混合し、他に先駆けて燃焼反応を開始する。副室内またはその付近から燃焼が開始されることによって順次隣接する混合気の燃焼が促進され、緩やかに筒内全体にわたって燃焼が進行する。
【0061】
排気行程前半に副室を閉じ、筒内の残留燃焼ガスを副室内に閉じ込め、密閉期間での副室の開放時に前記残留燃焼ガスを急速圧縮したものと、密閉期間中に筒内で圧縮された残留ガスとを同時に副室内に閉じ込め、圧縮上死点付近での副室の開放によって、着火源を形成し、燃焼騒音を抑制しつつ安定した燃焼を行わせる。密閉期間中に副室を開放するために、副室に閉じ込めるガス温度を高温にでき、また、筒内全体の混合気温度を上昇できるため低圧縮化が図れ、かつ安定的な着火源を有するため、火花点火時の出力を損なうことなく、低負荷域でも安定した燃焼を行うことが可能となる。
【0062】
上述した第1および第2実施形態では、筒内に直接燃料を噴射するよう燃料噴射弁を設けた、いわゆる筒内直噴型エンジンの構成となっているが、吸気ポートに燃料噴射弁を配し、吸気弁開によって筒内に気化・混合の進んだ混合気を供給するようにしてもよい。
【0063】
第1および第2実施形態では、吸気行程中に筒内に直接燃料を噴射するようにし、圧縮行程後半においては均質な混合気場を形成するようになっているが、第3実施形態として、図8に示すように、圧縮行程後半に筒内に燃料を噴射し、副室付近に混合気を成層化するようにしてもよい。
【0064】
この第3実施形態では、圧縮行程後半に燃料噴射を行い、副室付近に混合気を成層化し、第1、第2実施形態と同様に副室内に高温の燃料ガスを閉じ込めて、圧縮上死点近傍において副室を開放することで、混合気に反応を起こさしめ、安定した燃焼を行う。このような混合気分布では、ごく低負荷の場合でも、混合気濃度を著しく希薄にすることなく、また、燃焼室壁面付近の低温度領域に燃料が存在しないようにしたため、燃焼が確実に行われ、未燃HCの排出を抑制することが出来る。
【0065】
また、第1、第2実施形態において、副室内に燃焼ガスを閉じ込めるために、副室弁が開く時期よりも前、すなわち、それぞれ、膨張行程後半から排気行程前半、および密閉期間中にごく少量の燃料噴射を行うことも可能である。つまり、圧縮着火燃焼時の排気行程または密閉期間中に副室を開放するとともに、筒内に設けた燃料噴射弁から燃料を少量噴射し、副室内に燃料の一部を燃焼ガスとともに一定期間閉じ込める。
【0066】
高温の燃焼ガスとともに副室に閉じ込められた燃料は、ある一定期間高温雰囲気にさらされるため、燃焼の予反応が起こり、アルデヒドなどの反応性の高い組成に改質される。これらの活性種を含むガスが圧縮上死点近傍での急速圧縮によりさらに高温となり、混合気と接触、混合することで確実に着火を引き起こすことが出来る。
【0067】
以上述べてきたように、本発明においては、圧縮着火燃焼時に、シリンダヘッドと断熱された副室内に高温の燃焼ガスを閉じ込め、圧縮上死点付近において開閉弁を開き、副室内の高温ガスを再圧縮させ、筒内に開閉弁開以前に供給された混合気と接触・伝熱することで混合気の反応を局所的に引き起こし、部分的に圧縮着火燃焼を開始させるようにしたために、着火時期を抑制でき、かつ、副室付近から順次燃焼を行わしめることができるので、急激な圧力上昇による騒音増大や筒内最高圧力の上昇を引き起こすことなく、安定した燃焼を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における燃焼室構造を示す縦断面図(a)及び平面図(b)である。
【図2】第1実施形態のバルブタイミングと副室弁の作動タイミングを示すバルブリフト線図である。
【図3】第2実施形態のバルブタイミングと副室弁の作動タイミングを示すバルブリフト線図である。
【図4】第1実施形態における圧縮着火燃焼時の筒内状態を表わす模式図である。
【図5】本発明における機関回転数と副室弁開時期の制御対応図である。
【図6】本発明における機関負荷と副室弁開時期の制御対応図である。
【図7】第2実施形態における圧縮着火燃焼時の筒内状態を表わす模式図である。
【図8】第3実施形態の圧縮上死点付近の混合気分布を示す燃焼室縦断面図である。
【図9】本発明の燃焼形態を表わす運転領域マップである。
【図10】筒内混合気が一斉に燃焼した場合または急速に燃焼した場合の筒内圧力波形を示す図である。
【図11】本発明の構成により筒内混合気が順次燃焼した場合の筒内圧力波形を示す図である。
【図12】本発明の副室弁の開閉構造の例を示す図である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 シリンダヘッド
3 吸気ポート
4 吸気弁
5 排気ポート
6 排気弁
7 燃料噴射弁
8 点火プラグ
9 副室
10 副室弁
11 副室断熱部材
12 ピストン
13 燃焼室(主室)
14 バルブスプリング

Claims (8)

  1. 筒内に少なくとも1本の点火栓と、燃焼室に連通可能な副室と、この副室及び燃焼室間を開閉する副室弁とを備え、運転条件に応じて圧縮着火燃焼と火花点火燃焼を切り替える圧縮着火式内燃機関であって、
    圧縮着火燃焼時には、副室内に燃焼ガスを閉じ込め、圧縮上死点付近において、機関回転数が低いほどまたは機関負荷が高まるに従って副室弁開時期を遅らせ、機関回転数が高まるに従ってまたは機関負荷が低いほど副室弁開時期を早めるように、前記副室弁を開き、副室内の燃焼ガスを再圧縮させるとともに筒内に副室弁開以前に供給された混合気と接触・伝熱することで局所的に圧縮着火燃焼を開始させ、火花点火運転時には、前記副室弁の閉状態を維持することを特徴とする圧縮着火式内燃機関。
  2. 筒内に少なくとも1本の燃料噴射弁を備え、圧縮着火燃焼時の排気行程に前記副室弁を開くとともに、燃料を少量噴射し、副室内に燃料の一部を燃焼ガスとともに閉じ込めることを特徴とする請求項1記載の圧縮着火式内燃機関。
  3. 筒内に少なくとも1本の点火栓と、燃焼室に連通可能な副室と、この副室及び燃焼室間を開閉する副室弁とを備え、運転条件に応じて圧縮着火燃焼と火花点火燃焼を切り替える圧縮着火式内燃機関であって、
    圧縮着火燃焼時に、排気弁閉時期を進角し、吸気弁開時期を遅角して、排気上死点付近で燃焼室が密閉される密閉期間を設定し、
    前記密閉期間中に副室弁を開閉して燃焼ガスを閉じ込めるとともに、圧縮上死点付近において副室弁を開き、副室内の燃焼ガスを再圧縮させ、筒内に副室弁開以前に供給された混合気と接触・伝熱することで局所的に圧縮着火燃焼を開始させ、火花点火燃焼時には、副室弁の閉状態を維持することを特徴とする圧縮着火式内燃機関。
  4. 筒内に少なくとも1本の燃料噴射弁を備え、圧縮着火燃焼時の前記密閉期間中に、前記副室弁を開くとともに燃料を少量噴射し、副室内に燃料の一部を燃焼ガスとともに閉じ込めることを特徴とする請求項3記載の圧縮着火式内燃機関。
  5. 前記副室は、シリンダヘッドから断熱されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の圧縮着火式内燃機関。
  6. 前記副室の形状が略半球形であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の圧縮着火式内燃機関。
  7. 圧縮着火燃焼時に、機関負荷の上昇と共に前記副室弁の開時期を遅らせることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の圧縮着火式内燃機関。
  8. 圧縮着火燃焼時に、機関回転数の上昇と共に前記副室弁の開時期を早めることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の圧縮着火式内燃機関。
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