JP3902866B2 - 車両用衝突判定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加速度センサにより得られた加速度信号に基づいて衝突判定を行う車両用衝突判定装置に係り、特に、衝突形態にかかわらず乗員保護装置を適正に起動できるようにした車両用衝突判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の衝突時に生じる衝撃から乗員を保護するために、エアバックシステムやシートベルト・プリテンショナ等の乗員保護装置が普及している。この種の乗員保護装置では、加速度センサにより得られた加速度信号に基づいて衝突判定を行い、衝突判定がなされるとエアバックやシートベルト・プリテンショナの点火装置を起動し、エアバックを膨脹させると共にシートベルトを巻き込んで乗員を保護する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した乗員保護装置は、基本的に加速度センサにより検知された加速度が予定の基準加速度を超えたことを条件に起動されるが、加速度の大小のみをパラメータとして衝突判定を行うと、必ずしも正確な衝突判定が行えない。このため、一般的には加速度の大小と共に、加速度信号の周波数成分も衝突判定の際のパラメータとして用いられる。
【0004】
例えば、乗員への衝撃が極めて少ない低速度での衝突時には、乗員保護装置が起動されないようにすることが望ましい。一方、車両が障害物に対して斜めに衝突した場合、乗員に加わる加速度が前記低速での衝突時よりも大きくなって乗員保護装置を起動することが望ましい場合であっても、加速度センサによって検知される加速度が前記低速度での衝突時よりもさらに小さくなる場合がある。
【0005】
このように、加速度センサによって検知される加速度と、乗員に実際に加わる加速度との相対関係は衝突形態によって逆転し得るため、従来技術では乗員保護装置が不必要に作動しないように、加速度信号に対して高速フーリエ変換処理を実行し、加速度信号の絶対値と周波数とに基づいて衝突判定を行なっていた。
【0006】
しかしながら、高速フーリエ変換処理では三角関数演算や乗算を多数回実行しなければならない。したがって、短時間で正確な衝突判定を行うためには、高速演算処理の可能なマイクロプロセッサを使用せざるを得ず、衝突判定装置が高価なものとなってしまうという問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、簡単かつ安価な構成で正確な衝突判定を短時間で行えるようにした車両用衝突判定装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明では、加速度センサが加速度に応答して出力する加速度信号に基づいて衝突判定を行う車両用衝突判定装置において、加速度センサから出力された加速度信号を、そのレベルが小さいほど高い増幅率で増幅する増幅制御手段と、増幅された加速度信号の予定の周波数帯域を減衰させるフィルタ手段と、前記増幅制御手段による増幅率に応じて、前記フィルタ手段の動作を制御するフィルタ制御手段と、前記フィルタ手段の出力信号に基づいて衝突判定を行う衝突判定手段とを設け、前記フィルタ制御手段は、前記増幅制御手段による増幅率が低い場合には、前記フィルタ手段の減衰動作を制限するようにした。
【0009】
上記した構成によれば、加速度信号は増幅制御手段によって十分に増幅される一方、増幅された加速度信号からは、フィルタ手段によって予定の周波数帯域が選択的に減衰される。したがって、当該フィルタ手段によって減衰させる予定の周波数帯域を、衝突時に検知される加速度が小さくないにもかかわらず乗員保護装置を起動させる必要のない衝突形態(例えば、低速度での正面衝突)に固有の周波数帯域と一致させれば、当該衝突形態における衝突判定を防止できる。
【0010】
この際、上記とは逆に、衝突時に検知される加速度が大きくないにもかかわらず乗員保護装置を起動させることが望ましい衝突形態(例えば、斜め衝突)では、その際の加速度信号の周波数帯域が前記とは異なるのでフィルタ手段が実質的に機能しない。このため、衝突判定手段には増幅された加速度信号がそのまま入力され、衝突判定を確実に下せるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である車両用衝突判定装置のブロック図である。
【0012】
加速度センサ10は、各車両ごとに所定の位置に固定され、加速度の大小に応答した電圧レベルの加速度信号S1 を出力する。A/D変換機能部20は、前記加速度センサ10から出力された加速度信号S1 をデジタル信号D1 に変換して出力する。
【0013】
増幅制御部30は、前記加速度信号D1 のピーク値が予定の電圧レベルまで増幅されるように、前記加速度信号D1 を、そのレベルが小さいほど高い増幅率で増幅する。この増幅制御部30は、デジタル信号D1 のピーク値に基づいて増幅率を決定する増幅率決定部31と、前記デジタル信号D1 を前記決定された増幅率で増幅(変倍)する増幅部32とによって構成される。
【0014】
フィルタ40は、増幅制御部30から出力されたデジタル信号D2 の予定帯域(本実施形態では、100〜200Hz)のみを減衰して出力する。フィルタ制御部50は、前記増幅制御部30の増幅率決定部31で決定された増幅率を入力され、増幅率が小さい場合には前記フィルタ40の減衰動作を制限する。衝突判定部60は、前記フィルタ40の出力信号D3 に基づいて衝突判定を行い、衝突判定がなされると、エアバック70やシートベルト・プリテンショナ80の点火装置を起動して乗員を保護する。
【0015】
図2は、車両の代表的な3つの衝突形態において前記加速度センサ10から出力される加速度信号S1 の特徴および各衝突形態における衝突判定の是非を一覧表示した図である。
【0016】
一般に、加速度信号S1 のピーク値が前記加速度センサ10の最大定格(例えば、50G)近傍の衝突判定レベル(例えば、40G)にまで達する高速度での正面衝突では、加速度信号S1 の周波数帯域が50〜200Hzの範囲となる。
【0017】
また、乗員保護装置を起動させる必要のない(<40G)、例えば加速度信号のピーク値が30Gを示す程度の低速度での正面衝突では、加速度信号S1 の周波数帯域が100〜200Hzの範囲となる。
【0018】
さらに、車両が障害物に斜めに衝突する斜め衝突では、乗員保護装置を起動させることが望ましい程の衝撃が乗員に加わる場合であっても、加速度信号S1 のピーク値は小さいレベル(例えば、15G程度)までしか到達せず、その周波数帯域は100Hz以下および200Hz以上の範囲となってしまう。
【0019】
以上のように、低速度での正面衝突と斜め衝突とを比較すると、乗員保護装置を起動させる必要のない低速度での正面衝突の方が、乗員保護装置を起動させることが望ましい斜め衝突の場合よりも加速度信号S1 のピーク値が大きくなる逆転現象が生じる。また、加速度信号S1 の周波数帯域は各衝突形態ごとに異なり、相互に重ならない。
【0020】
このようなことから、本実施形態では、検知された加速度が十分に大きい場合(例えば、高速度での正面衝突)には、実質的に無条件で衝突判定を下すと共に、検知された加速度が十分には大きくない場合には、各加速度信号を後の衝突判定部において衝突判定が下される程度に十分に増幅すると共に、増幅された加速度信号を対象に、低速度での正面衝突に固有の周波数帯域100〜200Hzのみを選択的に減衰させることで、前記低速度での正面衝突時と斜め衝突時との加速度信号レベルの逆転現象を解消するようにした。
【0021】
図3は、上記した3つの代表的な衝突形態における図1の各部における加速度信号の波形を示した図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。また、ここでは加速度センサ10として50G対応の加速度センサ(検知可能な最大加速度の絶対値が50G)を用い、衝突判定部60が各乗員保護装置70、80を起動させる衝突判定レベルが40Gであるものと仮定する。
【0022】
(1) 高速度での正面衝突
車両が高速度で障害物に正面衝突し、その加速度信号のピーク値が衝突判定レベルである40Gを超えると、前記増幅制御部30の増幅率決定部31は増幅率を“1”に決定する。このように、本実施形態では加速度センサ10で検知された加速度のピーク値が衝突判定レベルを超えると、増幅制御部30による増幅率が“1”(増幅せず)に設定される。
【0023】
前記フィルタ制御部50は、前記増幅率決定部31で決定された増幅率に基づいてフィルタ40の動作を制御し、上記したように増幅率が“1”であると、フィルタ40に対してフィルタ処理を禁止する。したがって、増幅制御部30から出力された加速度信号は、いずれの周波数帯域も減衰されることなく衝突判定部60へ入力される。衝突判定部60は加速度信号のレベルを判定し、ここでは衝突判定レベルである40Gを超えているのでエアバック70およびシートベルト・プリテンショナ80の各点火装置を起動する。
【0024】
(2) 低速度での正面衝突
車両が低速度で障害物に衝突し、その加速度信号のピーク値が衝突判定レベルである40G以下の30Gであると、前記増幅制御部30の増幅率決定部31は増幅率を“1.33”(=40G/30G)に決定する。このように、本実施形態では加速度信号のピーク値が衝突判定レベルを下回ると、ピーク値が少なくとも衝突判定レベル(40G)まで到達するように、前記増幅制御部30における増幅率が決定される。
【0025】
フィルタ制御部50は、前記増幅率決定部31で決定された増幅率が“1”より大きい、すなわち加速度信号が増幅されていると、フィルタ40に対して周波数帯域100〜200Hzに対するフィルタ処理を指示する。したがって、増幅制御部30から出力された加速度信号は、フィルタ40によって100〜200Hzの周波数帯域を減衰される。
【0026】
上記したように、低速度での正面衝突において検知される加速度信号の周波数帯域は100〜200Hzなので、フィルタ40から出力される加速度信号のレベルが非常に小さくなる。このため、衝突判定部60では非衝突と判定され、エアバック70およびシートベルト・プリテンショナ80は起動されない。
【0027】
(3) 斜め衝突
車両が障害物に対して斜めに衝突し、その加速度信号のピーク値が衝突判定レベル以下の15Gであると、前記増幅制御部30の増幅率決定部31は増幅率を“2.67”(=40G/15G)に決定する。フィルタ制御部50は、前記増幅率決定部31で決定された増幅率が“1”よりも大きいので、フィルタ40に対して前記周波数帯域100〜200Hzに対するフィルタ処理を指示する。したがって、増幅制御部30から出力された加速度信号は、フィルタ40によって100〜200Hzの周波数帯域を減衰される。
【0028】
ところが、上記したように斜め衝突では、加速度信号の周波数帯域が100Hz以下および200Hz以上なので、フィルタ40は実質的に機能せず、加速度信号のレベルは増幅後の高レベル(衝突判定レベル)を維持したまま衝突判定部60へ入力されることになる。したがって、衝突判定部60は衝突判定を下し、エアバック70およびシートベルト・プリテンショナ80を起動する。
【0029】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、衝突時に検知される加速度が大きくないにもかかわらず乗員保護装置を起動させることが望ましい第1の衝突形態(斜め衝突)での加速度信号が、衝突時に検知される加速度が小さくないにもかかわらず乗員保護装置を起動させる必要のない第2の衝突形態(低速度での正面衝突)での加速度信号のレベルを上回るように、検知された加速度信号を一様に増幅すると共に第2の衝突形態に固有の周波数帯域のみを選択的に減衰するので、第1の衝突形態での加速度信号レベルが第2の衝突形態での加速度信号レベルよりも大きくなる。
【0030】
したがって、衝突判定部では入力される加速度信号の大小のみに基づいて衝突判定を正確に行えるようになり、簡単かつ安価な構成で正確な衝突判定を短時間で行える車両用衝突判定装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態である車両用衝突判定装置のブロック図である。
【図2】車両の代表的な3つの衝突形態において加速度センサから出力される加速度信号の特徴および各衝突形態における衝突判定の是非を一覧表示した図である。
【図3】図1の各部の信号波形を3つの代表的な衝突形態ごとに示した図である。
【符号の説明】
10…加速度センサ、20…A/D変換部、30…増幅制御部、40…フィルタ、50…フィルタ制御部、60…衝突判定部、70…エアバック、80…シートベルト・プリテンショナ
Claims (1)
- 加速度センサが加速度に応答して出力する加速度信号に基づいて衝突判定を行う車両用衝突判定装置において、
加速度センサから出力された加速度信号を、そのピーク値が小さいほど高い増幅率で増幅する増幅制御手段と、
増幅された加速度信号の予定の周波数帯域を減衰させるフィルタ手段と、
前記増幅制御手段による増幅率に応じて、前記フィルタ手段の動作を制御するフィルタ制御手段と、
前記フィルタ手段の出力信号に基づいて衝突判定を行う衝突判定手段とを具備し、
前記フィルタ制御手段は、前記増幅制御手段による増幅率が低い場合には、前記フィルタ手段の減衰動作を制限することを特徴とする車両用衝突判定装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15081198A JP3902866B2 (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | 車両用衝突判定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15081198A JP3902866B2 (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | 車両用衝突判定装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11321549A JPH11321549A (ja) | 1999-11-24 |
| JP3902866B2 true JP3902866B2 (ja) | 2007-04-11 |
Family
ID=15504945
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15081198A Expired - Lifetime JP3902866B2 (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | 車両用衝突判定装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3902866B2 (ja) |
-
1998
- 1998-05-15 JP JP15081198A patent/JP3902866B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH11321549A (ja) | 1999-11-24 |
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