JP3903372B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、タイヤのサイドウォール部に標章や模様等の装飾を施す場合に、これらの視認性を著しく向上させることができる空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タイヤのサイドウォール部に、文字、図形、記号等の標章を配した場合の視認性向上、及び、タイヤ構成部品によって生じるサイドウォール表面における凹凸を目立たなくする等の目的で、サイドウォール表面に多数のリッジによって形成されるセレーション領域を配した環状の装飾部を設けて見栄えを良くして、外観を向上させる事が一般に行われている。
【0003】
例えば、特開平7−164831号で提案されている帯状デザインを有する空気入りタイヤでは、多数のリッジを所定のピッチをもって配列して形成した円環状デザインを備えたタイヤにおいて、リッジを密に並べた部分と比較的粗に並べた部分を周方向に繰り返し配置したり、リッジの延びの方向、例えば、タイヤラジアル方向に対する傾斜角度を異ならせたり、帯状デザイン内に細い環状部を設けてその両側に断面形状が異なるリッジ要素を配置したりして、帯状デザインを形成している。そして、この帯状デザインにより、カーカスプライのジョイント部の厚み増加に起因するサイドウォール部の凹凸を、目立ち難くしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの帯状デザインは、サイドウォール部の凹凸を目立ち難くするための、デザイン性に薄い単なる地の模様に過ぎず、文字、図形、記号等の標章は改めてリッジの配列によって形成したセレーション(鋸刃状)領域に平坦な面を設けることによって形成している。
【0005】
そのため、これらのセレーション領域のデザイン性は薄く、これらの模様や標章をサイドウォール部に配置しても、装飾性の向上効果が少ないという問題がある。
【0006】
また、タイヤ成形時に金型との間の空気溜まりが出来ると、加硫後のタイヤ表面にライト故障を生じる。そのため空気溜まりを生じないように、タイヤ表面との間の空気の流れを良くする必要があるが、このリッジを金型成形で形成する場合に、リッジの密な部分が有ったり、リッジの方向が変化する部分が有ったり、或いは、リッジ要素の境界となる環状部の部分が有ったりすると、タイヤ成形時の空気の流れが阻害され、空気溜まりが発生し易くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、多数のリッジで形成されるセレーションを利用して、タイヤ構成部品によって生じるサイドウォール等のタイヤ外表面の凹凸を目立たなくするだけでなく、セレーションで文字、図形、記号等の標章や模様を設けることができ、これらの標識や模様の視認性を高めて、タイヤ外表面のデザイン性を向上することができる空気入りタイヤを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の空気入りタイヤは、タイヤ外表面に、異なる角度の少なくとも2つの傾斜面を有するリッジの配列で形成されたセレーション領域を設けると共に、該セレーション領域において、前記リッジの長手方向を連続させたまま、前記少なくとも2つの傾斜面の角度をそれぞれ同時に前記リッジの途中で不連続的に変化させて、視認可能に形成した境界部を、少なくとも1カ所以上設けて構成する。
また、請求項2に係る本発明の空気入りタイヤは、タイヤ外表面に、異なる角度の少なくとも2つの傾斜面を有するリッジの配列で形成されたセレーション領域を設けると共に、該セレーション領域において、前記リッジの長手方向を連続させたまま、前記少なくとも2つの傾斜面の角度の1つを前記リッジの途中で徐々に変化させて視認可能に形成した境界部を少なくとも1カ所以上設けて構成する。
【0009】
このタイヤ外表面とは、主にサイドウォール部であるが、溝底面やトレッド面を含み、また、リッジの方向を連続させたままとは、折れ曲がり部や急激な曲がり部を設けず、方向一定の直線又は円滑な方向転換となる曲線を保つことをいう。
【0010】
このセレーション領域において、リッジを形成する傾斜面の角度を不連続的に変化することにより、光を反射する方向が、この境界部で、大きく変化するために、小さなリッジの連続による凹凸であっても、明確にこの境界部を視認できることになる。
【0011】
そして、タイヤ等の回転体の場合には、リッジの傾斜方向がタイヤの回転に伴って、タイヤを見る人に対して時々刻々変化し、陰影が微妙に変化するので、より装飾効果が発揮される。しかも、この境界部の両側の傾斜面には角度差があるため、視認性が高く、常に目立つ状態となる。
また、このセレーション領域において、前記リッジの長手方向を連続させたまま、前記少なくとも2つの傾斜面の角度の1つを前記リッジの途中で徐々に変化させて視認可能に形成した境界部を少なくとも1カ所以上設けたことにより、容易にグラデーション効果が得られ、タイヤの装飾性を増すことができる。
【0012】
その上、リッジの方向を連続させたままであるので、金型によるタイヤ成形時において、タイヤ外表面の空気の流れが良くなり、空気溜まりの発生が防止される。
【0013】
この境界部は、セレーション領域のどの部分にも簡単に形成でき、しかも、この境界部は直線状のみ成らず、曲線状にも形成できるので、この境界部により、標章または模様を形成することが容易にできるようになる。
【0014】
また、タイヤ成形時の空気溜まり防止のために空気の流れを考えると、リッジの方向をタイヤのラジアル方向、又は、ラジアル方向に対して同一角度にしてセレーション領域を形成することが好ましい。特に、ラジアルカーカスプライのジョイント部の凹凸を目立たなくすることを考慮すると、リッジの方向をタイヤのラジアル方向にしてセレーション領域を形成することが好ましい。
【0016】
そして、リッジの一方の傾斜面と他方の傾斜面とがなす角度を30度〜150度の範囲内、好ましくは90度とすることにより、セレーション領域に、より効果的な陰影が生じるので、境界部やこの境界部で形成した標章やセレーション領域に隣接して設けた標章の視認性が向上する。
【0017】
また、リッジの一方の傾斜面の角度を20度〜80度の範囲内、好ましくは、60度〜80度の範囲内とし、他方の傾斜面の角度を10度〜70度の範囲内、好ましくは10度〜30度の範囲内とすることによっても、セレーション領域により効果的な陰影が生じる。
【0018】
また、このリッジ10a,10bの深さを0.15mm〜10mmの範囲内で、ピッチを0.5mm〜100mmの範囲内に形成すると、視覚的に認知し易く、また、金型の製造も容易で、しかも、タイヤ成形時の空気の流れを円滑にでき、空気溜まりの発生が防止される。ただし、実施するタイヤサイズによっては限定されるものではない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態の空気入りタイヤについて、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明のリッジの傾斜角変化による境界部の形成を説明するための模式的な斜視図で、図2と図3はそれぞれ。図1のA−B断面とC−D断面を示す図である。また、図4は、図1の平面図で、図5は、平板における境界部の陰影の状態を示す図である。
【0021】
本発明の空気入りタイヤにおいては、タイヤのサイドウォール部等のタイヤ外表面にセレーション領域を設けて装飾を施すが、図1〜図4に示すように、このセレーション領域20を形成する各リッジ10a(10b)は、異なる角度の2つの傾斜面11a,12a(11b,12b)を有して形成し、このセレーション領域20をタイヤのサイドウォール部等のタイヤ外表面に設ける。
【0022】
そして、本発明では、このセレーション領域20において、リッジ10aとリッジ10bの方向は連続したまま、即ち、直線又は滑らかな曲線を維持したままで、リッジ10aを形成する両側の傾斜面の角度αaとβaを、それぞれ同時に不連続的に変化させ、傾斜面の角度αbとβbにして境界部30を形成する。
【0023】
つまり、リッジ10a,10bの方向を維持したまま、リッジ10aの第1の傾斜面11aとリッジ10bの第1の傾斜面11bの角度を不連続的に変化させ、また、同時に、リッジ10aの第1の傾斜面11aとリッジ10bの第1の傾斜面11bの角度を不連続的に変化させる。
【0024】
この傾斜面の角度を不連続に変化せる構成により、この境界部30の第1の傾斜面11a,11b及び第2の傾斜面12a,12bからの光の反射が変化して、図4に示すように境界部30の両側の陰影の配置や濃淡が不連続になるので、視覚的に認知される境界部30が形成されることになる。
【0025】
そして、リッジ10a,10bの一方の傾斜面だけでなく、第1の傾斜面11a,11bと第2の傾斜面12a,12bを同時に角度変化させるので、いずれの方向から見ても、この境界部30で光の反射及び陰影に差が生じることになり、この境界部30が常に目立つので、視認性が著しく高くなる。
【0026】
そして、この境界部30を、この角度変更ポイントの位置の変化により、セレーション領域20の任意の場所に簡単に形成することができるので、直線状のみ成らず、曲線状にも形成できる。従って、それらを組み合わせて、図形や文字等の標章や絵柄等の模様も構成することが容易にできる。
【0027】
また、リッジ10a,10bの構成に関しては、このリッジ10a(10b)の一方の傾斜面11a(11b)と他方の傾斜面12a(12b)とがなす角度γa(γb)を30度〜150度の範囲内、好ましくは90度とする。
【0028】
また、リッジ10a(10b)の一方の傾斜面11a(12b)の角度αa(βb)を20度〜80度の範囲内、好ましくは、60度〜80度とし、他方の傾斜面11b(12a)の角度βa(αb)を10度〜70度の範囲内、好ましくは10度〜30度の範囲内とする。
【0029】
これらの角度でリッジ10a,10bを形成することにより、セレーション領域20に、より効果的な陰影が生じるので、境界部30やこの境界部30で形成した標章やこのセレーション領域20に隣接して設けた標章の視認性が向上する。
【0030】
また、このリッジ10a,10bの凹凸の深さは0.15mm〜10mmの範囲に、ピッチを0.5mm〜100mmの範囲にすると、視覚的に認知し易く、また、金型の製造も容易で、しかも、タイヤ成形時の空気の流れを円滑にでき、空気溜まりの発生を防止できる。ただし、タイヤサイズによっては、限定されるものではない。
【0031】
また、タイヤ成形時の空気溜まり防止のための空気の流れを考えると、リッジ10a,10bの方向をタイヤのラジアル方向に対して同一角度にしてセレーション領域を形成することが好ましい。更に、ラジアルカーカスプライのジョイント部の凹凸を目立たなくすることを考慮すると、リッジ10a,10bの方向をタイヤのラジアル方向に一致させることが好ましい。
【0032】
図5に、金型で成形したゴム製品の例であるが、このリッジ10a.10b及びセレーション領域20を平板で形成した場合の陰影の状態の例を示す。
【0033】
なお、この図5では、境界部30は金型製造時にカッターパスが交差するため、単純な直線とならず、図5に示すような少し複雑な形状となっている。この境界部30の形状により、この境界部30を通過する空気流れがより円滑となるというメリットがあるが、この境界部30の形状はリッジ切削時の刃先形状や加工方法等によりコントロールできる。
【0034】
更に、装飾性を増すために、リッジ10a,10bの少なくとも一方の傾斜面11aの角度αaを徐々に変化させることにより、視覚的にグラデーション効果を有するセレーション領域を容易に形成することができる。
【0035】
以上、2つの傾斜面で形成される断面が三角形形状のリッジで、本発明を説明したが、リッジの断面形状は三角形に限定されるものではなく、台形形状や多角形形状であってもよく、セレーション領域において、リッジを形成する傾斜面の角度を変えることにより、光を反射する方向がこの境界部で視認可能な程度に大きく変化するリッジであれば良い。
【0036】
また、境界部30におけるリッジ10aとリッジ10bが連続する部分は、図1〜図5では、谷線14aと谷線14bが連続しているが、これに限定されることなく、稜線13aと稜線13bとが連続してもよく、あるいは、いずれも連続しない状態であってもよい。要するに谷線14aの延長線と谷線14b、稜線13aの延長線と稜線13bがこの境界部の近傍で略平行状態にあればよい。
【0037】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1に係る本発明によれば、サイドウォール部等のタイヤ外表面に、異なる角度の少なくとも2つの傾斜面を有するリッジで形成されたセレーション領域を設けると共に、該セレーション領域において、リッジの長手方向は連続したまま、前記少なくとも2つの傾斜面の角度を前記リッジの途中でそれぞれ変化させて視認可能に形成した境界部を少なくとも1カ所以上設けて空気入りタイヤを構成するので、この境界部は、セレーション領域のどの部分にも簡単に形成できる。しかも、この境界部は直線状のみ成らず、曲線状にもすることができるので、この境界部により、標章や模様を容易に形成できる。
【0038】
このセレーション領域において、リッジを形成する傾斜面の角度を変えることにより、光を反射する方向がこの境界部で大きく変化するために、小さなリッジの連続による凹凸であっても明確にこの境界部を視認できるようになる。
【0039】
そして、特にタイヤ等の回転体の場合には、タイヤの回転や移動により、見る人の位置やタイヤへの光の入射方向等が変化し易く、これらの変化に伴って、リッジからタイヤを見る人に対して反射される光が時々刻々変化するので、タイヤの同一ポイントでも光の反射や影の濃さが微妙に変化し独特な外観を得ることができる。
また、請求項2に係る本発明によれば、タイヤ外表面に、異なる角度の少なくとも2つの傾斜面を有するリッジの配列で形成されたセレーション領域を設けると共に、該セレーション領域において、前記リッジの長手方向を連続させたまま、前記少なくとも2つの傾斜面の角度の1つを前記リッジの途中で徐々に変化させて視認可能に形成した境界部を少なくとも1カ所以上設けて空気入りタイヤを構成するので、タイヤの装飾性を増すことができる。
【0040】
その上、リッジの方向を連続させたままであるので、金型によるタイヤ成形時において、タイヤ外表面の空気の流れを良くすることができ、空気溜まりの発生を防止することができる。
【0041】
また、リッジの方向をラジアル方向に対して同一角度にするとタイヤ成形時の空気溜まり防止のために空気の流れが良くなり、更に、リッジの方向をタイヤのラジアル方向にすると、ラジアルカーカスプライのジョイント部の凹凸を目立たなくなり装飾性に優れた空気入りタイヤとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリッジの傾斜角変化による境界部の形成を説明するための模式的な斜視図である。
【図2】図1のA−B断面を示す図である。
【図3】図1のC−D断面を示す図である。
【図4】図1の平面図である。
【図5】本発明を平板に実施した一例の陰影の状態を示す図である。
【符号の説明】
10a,10b リッジ
11a,11b 第1の傾斜面
12a,12b 第2の傾斜面
13a,13b リッジの稜線
14a,14b リッジの谷線
20 境界部
Claims (6)
- タイヤ外表面に、異なる角度の少なくとも2つの傾斜面を有するリッジの配列で形成されたセレーション領域を設けると共に、該セレーション領域において、前記リッジの長手方向を連続させたまま、前記少なくとも2つの傾斜面の角度をそれぞれ同時に前記リッジの途中で不連続的に変化させて視認可能に形成した境界部を、少なくとも1カ所以上設けた空気入りタイヤ。
- タイヤ外表面に、異なる角度の少なくとも2つの傾斜面を有するリッジの配列で形成されたセレーション領域を設けると共に、該セレーション領域において、前記リッジの長手方向を連続させたまま、前記少なくとも2つの傾斜面の角度の1つを前記リッジの途中で徐々に変化させて視認可能に形成した境界部を少なくとも1カ所以上設けた空気入りタイヤ。
- 前記境界部により、標章又は模様を形成した請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記リッジの方向をタイヤのラジアル方向、又は、タイヤのラジアル方向に対して同一角度の方向にして前記セレーション領域を形成した請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記リッジの一方の傾斜面と他方の傾斜面とがなす角度を30度〜150度の範囲内とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記リッジの一方の傾斜面の角度を20度〜80度の範囲内とし、他方の傾斜面の角度を10度〜70度の範囲内とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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